JP2015199727A - パウダーファンデーション - Google Patents
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Abstract
Description
特許文献2には、有機色素を、無機塩を用いて屈折率2未満の無機粉体に付着等させた複合粉体を配合したパウダーファンデーションが開示されている。
特許文献3には、有機染料又は有機顔料を、無機塩を用いて無機化合物に付着等させた複合有機顔料を配合したパウダーファンデーションが開示されている。
特許文献4には、赤色、黄色及び青色の有機顔料被覆板状粉体を含有する固形粉末状ファンデーションが開示されている。
特許文献5には、赤色顔料を無機物中にインターカレーションによって複合化した構造を有する赤色複合粉体を含有するパウダーファンデーションが開示されている。
また、特許文献4に開示されたファンデーションは、色材として青色顔料を使用しているため、赤色透過光量の低下により、透明感が得られにくい。
特許文献5に開示されたパウダーファンデーションは、耐溶出性に優れるが、透明感及びカバー力には着目しておらず、十分な透明感及び十分なカバー力が得られるには至っていない。
特許文献2及び特許文献3に開示されたパウダーファンデーションは、無機粉体として酸化チタンを10質量%と多く使用しているため、赤色透過光量の低下により、透明感が得られにくいことがある。
<1> (A)リソールルビンBCAからなる赤色顔料を無機物中にインターカレーションによって複合化した構造を有する赤色複合粉体を0.01質量%以上5質量%以下、(B)平均粒子径が0.1μm以上0.5μm以下である酸化チタン粒子を2質量%以上8質量%以下、並びに(C)タルク、マイカ、及びセリサイトからなる群より選ばれる少なくとも1種の体質顔料を合計量で20質量%以上90質量%以下含有するパウダーファンデーション。
(1)380nm〜730nmの波長領域における分光透過率から算出した透過光のRGBにおけるR値が13.8以上、
(2)380nm〜730nmの波長領域における分光透過率及び分光反射率から式(A)によって算出される色ムラカバー力(F)が45%以上
式(A): 色ムラカバー力(F)=(ΔE0−ΔE1)/ΔE0×100[%]
ΔE0: ファンデーションを適用する前の適用対象物が有する色ムラ部と色ムラ部の周囲の正常部との色差
ΔE1: ファンデーションを適用した後の適用対象物の適用面側における色ムラ部と色ムラ部の周囲の正常部との色差
<4> 更に、赤色酸化鉄を含有する<1>〜<3>のいずれか1つに記載のパウダーファンデーション。
<5> 標準の光D65光源を用いて測定した外観色の色相角∠hが、50°〜80°の範囲内である<1>〜<4>のいずれか1つに記載のパウダーファンデーション。
本明細書において、組成物中の各成分の量は、各成分に該当する物質が組成物中に複数存在する場合には、特に断らない限り、組成物中に存在する複数の物質の合計量を意味する。
本明細書において「工程」との語は、独立した工程だけではなく、他の工程と明確に区別できない場合であってもその工程の所期の目的が達成されれば、本用語に含まれる。
本発明のパウダーファンデーションは、(A)リソールルビンBCAからなる赤色顔料を無機物中にインターカレーションによって複合化した構造を有する赤色複合粉体(以下、「特定赤色複合粉体」とも称する。)を0.01質量%以上5質量%以下、(B)平均粒子径が0.1μm以上0.5μm以下である酸化チタン粒子を2質量%以上8質量%以下、並びに(C)タルク、マイカ、及びセリサイトからなる群より選ばれる少なくとも1種の体質顔料を合計量で20質量%以上90質量%以下、含有するパウダーファンデーションである。
本発明のパウダーファンデーションは、必要に応じて、上記(A)〜(C)以外の他の成分を含んでもよい。
本発明のパウダーファンデーションは、リソールルビンBCAからなる赤色顔料を無機物中にインターカレーションによって複合化した構造を有する赤色複合粉体を含有する。
特定赤色複合粉体は、本発明のパウダーファンデーションにおいて、色材成分として機能し得る成分である。また、特定赤色複合粉体は、本明細書において、赤色顔料の概念に包含される。
特定赤色複合粉体の製造に用いられる無機水酸化物としては、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム等が挙げられる。
特定赤色複合粉体の製造に用いられる板状層状無機粉体としては、例えばモンモリロナイト、バイデライト、ヘクトライト、サポナイト、ノントロナイト、膨潤性フッ素系雲母類等が挙げられる。
特定赤色複合粉体の平均粒子径は、測定対象となる特定赤色複合粉体を含む所定の濃度の溶媒分散物を調製して、市販のレーザー光散乱の原理に基づく測定機器(例えば、レーザー回折散乱式粒度分布測定器LMS−30((株)セイシン企業製))により測定することができる。
上記の吸光度の極大値としては、より好ましくは0.01未満であり、低いほど好ましい。
質量部換算で1質量部となる量の特定赤色複合粉体を、蒸留水(分散媒)99質量部中に、60秒間震盪分散し、40℃、400rpmにて、6時間スターラー攪拌した後に、孔径0.45μmのセルロースアセテートフィルター(商品名:Cellulose Acetate、ADVANTEC社製)にてろ過してろ液を得る。得られたろ液の吸光度を、蒸留水をブランクとして測定し、400nmから600nmまでの波長領域での吸光度の極大値を決定する。
質量部換算で1質量部となる量の特定赤色複合粉体を、無水エタノール(99.5v/v%)99質量部中に、60秒間震盪分散し、40℃、400rpmにて、6時間スターラー攪拌した後に、孔径0.45μmのセルロースアセテートフィルター(商品名:Cellulose Acetate、ADVANTEC社製)にてろ過してろ液を得る。得られたろ液の吸光度を、エタノールをブランクとして測定し、400nmから600nmまでの波長領域での吸光度の極大値を決定する。
本発明のパウダーファンデーションにおける特定赤色複合粉体の含有量は、その種類による発色効率の違いを考慮して、上記の範囲内において調整することができる。
本発明のパウダーファンデーションにおける特定赤色複合粉体の含有量が、パウダーファンデーションの全質量に対して、0.01質量%未満であると、十分な透明感とカバー力を得ることができない。また、本発明のパウダーファンデーションにおける特定赤色複合粉体の含有量が、パウダーファンデーションの全質量に対して、5質量%を超えると、透明感が不十分となる傾向がある。
本発明のパウダーファンデーションは、平均粒子径が0.1μm以上0.5μm以下である酸化チタン粒子(以下、「顔料級酸化チタン粒子」とも称する。)を含有する。顔料級酸化チタン粒子を配合することで、可視光を効率良く散乱するため、カバー力を効率良く発現させることができる。
顔料級酸化チタン粒子は、本発明のパウダーファンデーションにおいて、色材成分として機能し得る色材顔料の一つとして含有されるが、後述する他の成分にて挙げる色材顔料には、顔料級酸化チタン粒子は包含されない。
顔料級酸化チタン粒子の平均粒子径が0.1μm以上であることで、可視光を強く散乱するため、十分なカバー力を発現することができる。
本発明のパウダーファンデーションにおける顔料級酸化チタン粒子の含有量が、パウダーファンデーションの全質量に対して、2質量%未満であると、カバー力が低くなりすぎる傾向がある。また、本発明のパウダーファンデーションにおける顔料級酸化チタン粒子の含有量が、パウダーファンデーションの全質量に対して、8質量%を超えると、カバー力が高くなりすぎる傾向があるため、透明感が低下する傾向がある。
本発明のパウダーファンデーションにおける特定赤色複合粉体の含有量と、顔料級酸化チタン粒子の含有量との比率が、質量基準で、上記範囲内であると、透明感及びカバー力が顕著に優れたパウダーファンデーションとすることができる。
顔料級酸化チタン粒子は、1種のみであってもよく、2種以上であってもよい。
本発明のパウダーファンデーションは、タルク、マイカ、及びセリサイトからなる群より選ばれる少なくとも1種の体質顔料を含有する。
体質顔料は、本発明のパウダーファンデーションにおいて、色相の調整に実質的に寄与しない。
特定粉体としては、市販品を用いることもでき、例えば、SERICITE FSE(三信鉱工(株)製)、TALK JA−46R(浅田製粉(株)製)、合成金雲母PDMシリーズ(トピー工業(株)製)等が挙げられる。
本発明のパウダーファンデーションは、成形性とケーキのワレ耐性のバランスの観点から、体質顔料として、タルク、マイカ、及びセリサイトの全てを含有することが特に好ましい。
本発明のパウダーファンデーションは、特定赤色複合粉体、顔料級酸化チタン粒子、並びにタルク、マイカ、及びセリサイトからなる群より選ばれる体質顔料以外に、本発明の効果を損なわない範囲において、必要に応じて他の成分を含有してもよい。
他の成分としては、平均粒子径が0.7μm以上2.0μm以下である酸化チタン粒子、色材顔料、パール顔料等の顔料、油剤、その他の添加剤が挙げられるが、これらに限定されるものではない。以下、本発明のパウダーファンデーションにおいて好適に含有される他の成分について説明する。
本発明のパウダーファンデーションは、顔料級酸化チタンに加えて、補助的に平均粒子径が0.7μm以上2.0μm以下である酸化チタン粒子(以下、「大粒径酸化チタン粒子」とも称する。)を含有してもよい。大粒径酸化チタン粒子を顔料級酸化チタン粒子に加えて補助的に配合することで、カバー力を補助することができる。
大粒径酸化チタン粒子は、本発明のパウダーファンデーションにおいて、色材成分として機能し得る色材顔料の一つとして含有されるが、後述する他の成分にて挙げる色材顔料には、大粒径酸化チタン粒子は包含されない。
大粒径酸化チタン粒子の平均粒子径は、0.7μm以上2.0μm以下であり、0.7μm以上1.5μm以下であることが好ましく、0.7μm以上1.2μm以下であることがより好ましい。
本発明における大粒径酸化チタン粒子の平均粒子径は、上述の顔料級酸化チタンと同様の測定方法によって得られる値を採用する。
大粒径酸化チタン粒子としては、市販品を用いることもでき、例えば、MPY−70M(テイカ(株)製)、MPY−100M(テイカ(株)製)等が挙げられる。
パウダーファウンデーションが、顔料級酸化チタンに加えて大粒径酸化チタン粒子を含むとき、顔料級酸化チタン粒子及び大粒径酸化チタン粒子の合計含有量は、パウダーファンデーションの全質量に対して、例えば、2質量%以上8質量%以下であってもよく、好ましくは2.5質量%以上7質量%以下であり、より好ましくは3質量%以上5質量%以下である。また、パウダーファウンデーションが、顔料級酸化チタンに加えて大粒径酸化チタン粒子を含むとき、パウダーファンデーションにおける特定赤色複合粉体の含有量と、顔料級酸化チタン粒子及び大粒径酸化チタン粒子の合計含有量との比率(特定赤色複合粉体の含有量:顔料級酸化チタン粒子及び大粒径酸化チタン粒子の合計含有量)は、質量基準で、1:5〜1:20であることが好ましく、1:6〜1:15であることがより好ましく、1:7〜1:10であることが更に好ましい。
大粒径酸化チタン粒子は、1種のみであってもよく、2種以上であってもよい。
本発明のパウダーファンデーションは、色材顔料、パール顔料等の顔料を含有することが好ましい。
本発明のパウダーファンデーションは、特定赤色複合粉体、及び顔料級酸化チタン粒子及び大粒径酸化チタン粒子からなる群より選ばれる酸化チタン粒子以外の色材成分として、更に、色材顔料を含有することが好ましい。色材顔料とは、色相の調整に寄与し、且つパール顔料以外の顔料を意味する。
本発明のパウダーファンデーションが含有する色材顔料は、1種のみであってもよく、2種以上であってもよい。
本発明のパウダーファンデーションは、更に、パール顔料を含有することが好ましい。パール顔料とは、色相の調整に寄与し、且つ真珠光沢を有する顔料を意味する。
パール顔料としては、市販品を用いることもでき、例えば、ロナフレアバランス ゴールド、トランスプリズマーレッド、ティミロン スーパーシルク MP−1005(以上、MERCK社製、商品名)、フラメンコシリーズ(BASF社製、商品名)等が挙げられる。
本発明のパウダーファンデーションが含有するパール顔料は、1種のみであってもよく、2種以上であってもよく、パウダーファンデーションに含有されるパール顔料全体が示す反射色の色相角が40°〜80°の範囲になる比率で配合することが好ましい。
本発明のパウダーファンデーションは、更に、油剤を含有することが好ましい。
油剤としては、例えば、流動パラフィン、ワセリン、パラフィンワックス、スクワラン、ミツロウ、カルナウバロウ、オリーブ油、ラノリン、高級アルコール、脂肪酸、高級脂肪酸、エステル油、セレシン、マイクロクリスタリンワックス、キャンデリラロウ、ジグリセライド、トリグリセライド、シリコーン油、パーフルオロポリエーテル、パーフルオロデカリン、パーフルオロオクタン、ホホバ油、ミリスチン酸オクチルドデシル、ジオクタン酸ネオペンチルグリコール等の化粧料に汎用される油分が挙げられる。
本発明のパウダーファンデーションは、更に、紫外線防止剤を含有することが好ましい。紫外線防止剤の例としては、顔料級酸化チタン粒子よりも平均粒子径が小さい酸化チタン、酸化亜鉛等が挙げられる。これらは、シミ、そばかす等の隠蔽剤としての機能も有する。
本発明のパウダーファンデーションは、本発明の効果を損なわない範囲で、通常の化粧料に配合される成分を、その他の添加剤として、必要に応じて更に含有してもよい。その他の添加剤としては、例えば、界面活性剤、水溶性高分子、保湿剤、防腐剤、薬剤、紫外線吸収剤、色素、無機塩又は有機酸塩、香料、キレート剤、pH調整剤、水等を配合することができる。
防腐剤としては、例えば、パラオキシ安息香酸アルキルエステル(例えば、メチルパラベン、プロピルパラベン等)、安息香酸ナトリウム、ソルビン酸カリウム等の化粧料に汎用される防腐剤が挙げられる。
薬剤としては、例えば、ビタミン類、生薬、消炎剤、抗酸化剤、殺菌剤、制菌剤等の化粧料に汎用される薬剤が用いられる。
紫外線吸収剤としては、例えば、パラアミノ安息香酸系紫外線吸収剤、アントラニル系紫外線吸収剤、サリチル酸系紫外線吸収剤、桂皮酸系紫外線吸収剤、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤等の化粧料に汎用される紫外線吸収剤が挙げられる。
本発明のパウダーファンデーションは、青色顔料を含有しないか、又は、青色顔料の含有量が0.001質量%以下であることが好ましく、青色顔料を含有しないことがより好ましい。
本発明のパウダーファンデーションは、透明感及びカバー力の観点から、下記の(1)及び(2)の両方の物性を満たすことがより好ましい。
式(A): 色ムラカバー力(F)=(ΔE0−ΔE1)/ΔE0×100[%]
ΔE0:ファンデーションを適用する前の適用対象物が有する色ムラ部と色ムラ部の周囲の正常部との色差
ΔE1:ファンデーションを適用した後の適用対象物の適用面側における色ムラ部と色ムラ部の周囲の正常部との色差
式(A1): ΔE0={(L0 *[色ムラ部])−L0 *[正常部])2+(a0 *[色ムラ部])−a0 *[正常部])2+(b0 *[色ムラ部])−b0 *[正常部])2}1/2
本発明のパウダーファンデーションの透過光のR値は、13.8以上であることが好ましい。透過光のR値の上限値は、特に限定されるものではない。
パウダーファンデーションにおける赤色透過光量と、パウダーファンデーションの透明感とは相関性があることが知られている。したがって、パウダーファンデーションの透過光のR値が高いほど、そのパウダーファンデーションの透明感が高いことを示す。
本発明のパウダーファンデーションによれば、透過光のR値が13.8以上、好ましくは13.85以上という優れた透明感を実現することができる。
パウダーファンデーションを肌色シートに塗布したときの明度L*が67.0となる塗布量におけるパウダーファンデーションの塗布膜の分光反射率(R1)を、積分球を付属した分光光度計を用いて拡散反射測定条件により測定された380nm〜730nmの波長領域における、パウダーファンデーションの塗布膜の積分反射率(R2)及び積分透過率(T)、並びにパウダーファンデーションを塗布する前のシートの積分反射率(R3)から、下記式(B)によって算出する。
式(B): R1=R2+R3×(T)2
なお、CIEが定めるF10光源の分光放射エネルギー、等色関数、三刺激値RGBの算出式等、全ての光学的な数値データ及び数式は、成書(色再現工学の基礎、大田登 著、コロナ社)に記載されているものを用いることができる。
本発明のパウダーファンデーションの色ムラカバー力(F)は、パウダーファンデーションを0.150mg/cm2の塗布量で塗布した後の皮膚等のファンデーションの適用対象物において、45%以上であることが好ましい。
色ムラカバー力(F)とは、正常部及び色ムラ部を有する皮膚に対するパウダーファンデーションの隠蔽性能を示す指標である。色ムラカバー力(F)の値が高いほど、シミ、そばかす、くすみ等に起因する皮膚の色ムラに対するカバー力が高いことを示す。
本発明のパウダーファンデーションによれば、色ムラカバー力(F)が45%以上という優れたカバー力を実現することができる。
パウダーファンデーションを塗布する前の正常部と色ムラ部との色差ΔE0を、380nm〜730nmの波長領域における分光反射率を測定して得られた、標準の光D65を光源として仮定したときの反射光のL0 *、a0 *、b0 *の値から、下記式(A1)によって算出する。
本発明のパウダーファンデーションが示す外観色は、パウダーファンデーションが適用される形態に応じた外観色であれば特に限定されない。
例えば、本発明のパウダーファンデーションは、肌色のつながり(観察角度によって肌色の濃度変化が大きくならないようにすること)の観点から、標準の光D65光源を用いて測定した外観色の色相角∠hが、50°〜80°の範囲内であることが好ましく、55°〜75°の範囲内であることがより好ましい。
式(C): 色相角∠h=tan−1(b*/a*)
本発明のパウダーファンデーションの製造方法は、特に限定されるものではなく、パウダーファンデーションの製造に適用し得る方法を、パウダーファンデーションの形態に応じて、適宜選択することができる。
乾式成型法としては、例えば、パウダーファンデーションに含有される各成分からなる混合物を、ハンマーミル等を用いて壊砕した後に、プレス機で皿に打型する方法を適用することができる。
湿式成型法としては、例えば、パウダーファンデーションに含有される各成分からなる混合物と溶剤とを混合し、得られたスラリーを容器に充填した後、溶剤を除去する方法を適用することができる。
本発明のパウダーファンデーションにおける特定赤色複合粉体は溶剤への溶出性が小さいことから、湿式成型法を好適に適用することができる。
本発明のパウダーファンデーションを得るために好適に適用される製造方法は、湿式成型法であり、これにより優れた使用感を達成することができる。
スラリー調製工程は、特定赤色複合粉体を0.01質量%以上5質量%以下、顔料級酸化チタン粒子を2質量%以上8質量%以下、タルク、マイカ、及びセリサイトからなる群より選ばれる少なくとも1種の体質顔料を合計量で20質量%以上90質量%以下、及び所望により用いられる大粒径酸化チタン粒子及び/または他の成分を含有する化粧料基剤と、溶剤と、を混合し、スラリーを得る工程である。
化粧料基剤に含まれる特定赤色複合粉体、顔料級酸化チタン粒子、並びにタルク、マイカ、及びセリサイトからなる群より選ばれる体質顔料、並びに大粒径酸化チタン粒子などの必要に応じて含有される他の成分の詳細は、既述の通りである。
化粧料基剤に含有される各成分の混合は、ヘンシェルミキサー等を用いて、混合物が示す色相が均一になるまで行えばよい。
スラリー調製工程に用いる溶剤としては、例えば、水、エタノール、ヘキサン、軽質流動イソパラフィン、イソドデカン、及びこれらの混合物が挙げられる。
これらの中でも、スラリー調製工程に用いる溶剤としては、使用感の向上の観点から、水、エタノール、又はこれらの混合物であることが好ましい。
成型工程は、スラリー調製工程にて得られたスラリーを容器に充填した後、溶剤を除去する工程である。
<パウダーファンデーションの調製>
下記表1に記載のA相及びB相の各成分を別個に秤量し、ヘンシェルミキサーにて混合粉砕し、混合物を得た。続いて、90質量部の水/エタノール混合溶媒(混合質量比=60対40)中に、攪拌しながら混合物を添加し、均一になるまで混合してスラリーを得た。続いて、金皿中に得られたスラリーを充填した後、多孔質吸引ヘッドを用いて吸引圧縮成型した。その後、温度37℃にて24時間乾燥して、実施例1〜3、及び比較例1〜9の各パウダーファンデーションを調製した。
※1:OTS−2 SERICITE FSE(形状:板状、大東化成工業(株)製)
※2:OTS−2 TALK JA−46R(形状:板状、大東化成工業(株)製)
※3:SI06 TiO2 TTO−55(B)(大東化成工業(株)製)(平均粒子径:0.03〜0.05μm)
※4:SI06 TiO2 CR−50(大東化成工業(株)製)(平均粒子径0.25μm)
※5:MPY−70M(テイカ(株)製)(平均粒子径0.7μm)
※6:トランスプリズマーレッド(MERCK社製)(酸化チタン被覆雲母(雲母チタン)を含む赤色パール剤である。)
※7:ロナフレアバランス ゴールド(MERCK社製)(酸化チタン被覆雲母(雲母チタン)を含む金色パール剤である。)
※8:OTS−2 YELLOW LLXLO(大東化成工業(株)製)
※9:OTS−2 BLACK BL−100(大東化成工業(株)製)
※10:OTS−2 RED R−516L(大東化成工業(株)製)
※11:赤色202号−無機物複合粉体(インターカレーション)、HNB RED7(大東化成工業(株)製)
※12:赤色202号−PMMA複合粉体(メカノケミカル)、3D−TECH PW(OTS LC3079−10)XP(大東化成工業(株)製)
※13:青色1号−無機物複合粉体(インターカレーション)、HNB BLUE 1 AL(大東化成工業(株)製)
※14:シリコーン油剤(東レ・ダウコーニング(株)製)
※15:シリコーン油剤(東レ・ダウコーニング(株)製)
実施例1〜3、及び比較例1〜9に使用した下記に示す赤色色材成分と赤色202号とについて、水に対する溶出試験、及びエタノールに対する溶出試験を以下のようにして実施した。
質量部換算で1質量部となる量の赤色色材成分を、蒸留水(分散媒)99質量部中に、60秒間震盪分散し、40℃、400rpmにて、6時間スターラー攪拌した後に、孔径0.45μmのセルロースアセテートフィルター(商品名:Cellulose Acetate、ADVANTEC社製)にてろ過してろ液を得る。得られたろ液の吸光度を、蒸留水をブランクとして測定し、400nmから600nmまでの波長領域での吸光度の極大値を決定する。
質量部換算で1質量部となる量の赤色色材成分を、無水エタノール(99.5v/v%)99質量部中に、60秒間震盪分散し、40℃、400rpmにて、6時間スターラー攪拌した後に、孔径0.45μmのセルロースアセテートフィルター(商品名:Cellulose Acetate、ADVANTEC社製)にてろ過してろ液を得る。得られたろ液の吸光度を、エタノールをブランクとして測定し、400nmから600nmまでの波長領域での吸光度の極大値を決定する。
各赤色色材成分の詳細は、表1欄外の備考に示す通りである。
実施例1〜3 :特定赤色複合粉体/酸化鉄(赤色)
比較例1、5〜9:特定赤色複合粉体/酸化鉄(赤色)
比較例2、3 :酸化鉄(赤色)
比較例4 :赤色顔料(赤色202号)とポリメチルメタクリレート(PMMA)との複合粉体〔赤色顔料−PMMA複合粉体〕/酸化鉄(赤色)
1.外観色
実施例1〜3、及び比較例1〜9にて得られたパウダーファンデーションの外観色について、分光光度計(製品名:Spectrolino、Gretag Macbeth社製)を用いて、波長380nm〜730nmまでの分光反射率を測定し、L*a*b*表色系(CIE 1976年度)の定義に従って、光源D65を仮定したときの反射光のa*、b*の値を、下記式(1)に代入して、色相角∠hを算出した。結果を表3に示す。
式(1): 色相角∠h=tan−1(b*/a*)
実施例1〜3、及び比較例1〜9にて得られたパウダーファンデーションを用いて、以下に示す手順によって、平均塗布量が0.150[mg/cm2]のときの色ムラカバー力を算出した。結果を表3に示す。
色ムラ部及び正常部の両方について、分光光度計Spectrolino(製品名:Gretag Macbeth社製)を用いて、波長380nm〜730nmまでの分光反射率を測定し、D65光源を仮定したときの反射光のL0 *、a0 *、b0 *の値を下記式(A1)に代入して色差ΔE0を算出した。
実施例1〜3、及び比較例1〜9にて得られたパウダーファンデーションを用いて、以下に示す手順によって、肌色シート上にパウダーファンデーションの塗布膜が形成されたときの反射率を近似的に算出し、明度L*が67.0になるときの塗布量におけるパウダーファンデーションの塗布膜が、F10光源で照明されたときに示す透過光のR値を算出した。結果を表3に示す。
また、各実施例及び各比較例のパウダーファンデーションについて、「2.色ムラカバー力」で測定した色ムラカバー力(F)値に対する透過光のR値の関係を図1に示す。
実施例1〜3、及び比較例1〜9にて得られたパウダーファンデーションを、パフを用いて同一人物である被験者の女性の顔に化粧した後、いすに座った状態で、透明感を目視で観察した。評価基準は以下の通りである。結果を表3に示す。
AA:極めて透明感が高い
A :透明感が高い
B :やや透明感が低い
C :極めて透明感が低い
実施例1〜3、及び比較例1〜9にて得られたパウダーファンデーションを、パフを用いて同一人物である被験者の女性の顔に化粧した後、相対湿度80%RH、室温25℃の恒温恒湿室にて6時間、いすに座っていた後の化粧崩れの様子を目視で観察した。評価基準は以下の通りである。結果を表3に示す。
AA:ほとんど化粧崩れが気にならない
A :若干、化粧崩れはみられるが、気にならない
B :化粧崩れがみられ、やや気になる
C :はっきり化粧崩れがみられ、非常に気になる
成型後の実施例1〜3及び比較例1〜9にて得られたパウダーファンデーションについ
て、ケーキ表面及び金皿の縁に、不均一な赤味が無いかを目視で確認した。評価基準は以下の通りである。結果を表3に示す。
A:不均一な赤味がまったく認められなかった
B:不均一な赤味が若干認められたが軽微であった
C:顕著な赤味のムラが認められた
実施例2のパウダーファンデーションは、透過光のR値が高く、官能評価でも透明感が高いとの評価を得た。さらに、実施例2のパウダーファンデーションは、カバー力が非常に優れており、実施例1及び実施例3のパウダーファンデーションとは性能のバランスは異なるが、総合的に良好な特性を有することが分かる。
樹脂ビーズ(PMMA:ポリメタクリル酸メチル)中に機械的に赤色202号微粒子を打ち込んで作製された赤色顔料−PMMA複合粉体を含有する比較例4のパウダーファンデーションでは、ブリードアウトによるケーキ表面の不均一な赤みが発生した。
顔料級酸化チタン粒子を含有しない比較例5のパウダーファンデーションは、カバー力が低すぎて、パウダーファンデーションとしては許容できないものであった。
比較例6のパウダーファンデーションは青色顔料を含有するので、青色顔料が赤色光を主に吸収するために赤色透過光量が大幅に低下し、透明感が悪化した。
比較例7〜9のパウダーファンデーションは、顔料級酸化チタン粒子に加えて大粒径酸化チタン粒子を配合したため、赤色透過光量、カバー力ともに悪化し、実施例1〜3のパウダーファンデーションより劣るものであった。
Claims (5)
- (A)リソールルビンBCAからなる赤色顔料を無機物中にインターカレーションによって複合化した構造を有する赤色複合粉体を0.01質量%以上5質量%以下、(B)平均粒子径が0.1μm以上0.5μm以下である酸化チタン粒子を2質量%以上8質量%以下、並びに(C)タルク、マイカ、及びセリサイトからなる群より選ばれる少なくとも1種の体質顔料を合計量で20質量%以上90質量%以下含有するパウダーファンデーション。
- 下記の(1)及び(2)を満たす請求項1に記載のパウダーファンデーション。
(1)380nm〜730nmの波長領域における分光透過率から算出した透過光のRGBにおけるR値が13.8以上、
(2)380nm〜730nmの波長領域における分光透過率及び分光反射率から式(A)によって算出される色ムラカバー力(F)が45%以上
式(A): 色ムラカバー力(F)=(ΔE0−ΔE1)/ΔE0×100[%]
ΔE0: ファンデーションを適用する前の適用対象物が有する色ムラ部と色ムラ部の周囲の正常部との色差
ΔE1: ファンデーションを適用した後の適用対象物の適用面側における色ムラ部と色ムラ部の周囲の正常部との色差 - (A)赤色複合粉体の含有量と、(B)平均粒子径が0.1μm以上0.5μm以下である酸化チタン粒子の含有量との比率が、質量基準で、1:5〜1:20である請求項1又は請求項2に記載のパウダーファンデーション。
- 更に、赤色酸化鉄を含有する請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載のパウダーファンデーション。
- 標準の光D65光源を用いて測定した外観色の色相角∠hが、50°〜80°の範囲内である請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載のパウダーファンデーション。
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-
2015
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