JP2015199703A - 固形粉末化粧料 - Google Patents
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Abstract
化粧持ちに優れながらも、化粧を落とす際には通常の洗顔料でも簡単に洗い流すことが可能であり、且つ、滑らかな伸び広がりと、小道具等への取れにも優れる固形粉末化粧料を提供すること。
【解決手段】
(a)デキストリンと脂肪酸とのエステル化物であって、デキストリンのグルコースの平均重合度が3〜150であり、脂肪酸が炭素数4〜26の分岐飽和脂肪酸の1種又は2種以上を全脂肪酸に対して50mol%より多く100mol%以下、及び、炭素数2〜22の直鎖飽和脂肪酸、炭素数6〜30の直鎖又は分岐の不飽和脂肪酸及び炭素数6〜30の環状の飽和又は不飽和脂肪酸よりなる群から選ばれる1種又は2種以上を全脂肪酸に対して0mol%以上50mol%未満を含有し、グルコース単位当たりの脂肪酸の置換度が1.0〜3.0であるデキストリン脂肪酸エステル 0.5〜10質量%、(b)HLB10〜15の非イオン性界面活性剤 0.1〜5質量%、(c)粉体、を含有する固形粉末化粧料。
【選択図】なし
Description
(1)(a)デキストリンと脂肪酸とのエステル化物であって、デキストリンのグルコースの平均重合度が3〜150であり、脂肪酸が炭素数4〜26の分岐飽和脂肪酸の1種又は2種以上を全脂肪酸に対して50mol%より多く100mol%以下、及び、炭素数2〜22の直鎖飽和脂肪酸、炭素数6〜30の直鎖又は分岐の不飽和脂肪酸及び炭素数6〜30の環状の飽和又は不飽和脂肪酸よりなる群から選ばれる1種又は2種以上を全脂肪酸に対して0mol%以上50mol%未満を含有し、グルコース単位当たりの脂肪酸の置換度が1.0〜3.0であるデキストリン脂肪酸エステル 0.5〜10質量%;
(b)HLB10〜15の非イオン性界面活性剤 0.1〜5質量%;
(c)粉体;
を含有する固形粉末化粧料に関するものである。
本発明の固形粉末化粧料に使用される成分(a)のデキストリン脂肪酸エステルは、適度なタック性を有した皮膜を形成することにより、化粧持ちを高める成分である。デキストリンと脂肪酸とのエステル化物であり、デキストリンへの脂肪酸の置換度は、グルコース単位当たり1.0〜3.0であり、好ましくは1.2〜2.8である。この置換度が1.0未満であると液状油等への溶解温度が100℃以上と高くなり、着色や特異な臭いが生じ、好ましくない。
(1)液状油に混合したときに液状油がゲル化しない。
「液状油がゲル化しない」とは、ASTM D445測定方法による40℃における動粘度が8mm2/sである流動パラフィンを液状油とする場合、デキストリン脂肪酸エステルを5質量%含有する該流動パラフィンを100℃で溶解し、24時間後25℃で粘度を測定したとき、粘度が、Yamco DIGITAL VISCOMATE粘度計VM−100A(振動式)(山一電機社製)の検出限界以下であることを意味する。なお、ゲル化する場合には、粘度が検出されることで確認できる。
「タック性」を、支持体に該デキストリン脂肪酸エステルを塗布し、もうひとつの支持体を相互に離れた状態から面接触させた後に、後退させて別離させ、後退を開始してから完全に別離するまでの接触点にかかる荷重変化(最大応力値)で表す場合、該デキストリン脂肪酸エステルを40質量%含有する軽質流動イソパラフィン溶液をガラス板に400μm厚のアプリケーターで成膜し、乾燥させた皮膜に、テクスチャーアナライザー、たとえば、テクスチャーアナライザーTA.XTplus(Stable Micro Systems社製)を用いて、プローブとして直径12.5mm円柱状のポリアセタール樹脂(Delrin(登録商標)デュポン社製)製プローブを使用し、100gの荷重をかけ10秒保持後に0.5mm/秒で離したときの荷重変化、すなわちタック性が30〜1,000gである。
製造方法としては、特に限定されず、公知の製法を採用することができるが、たとえば以下のようにして製造することができる。
(1)グルコースの平均重合度が3〜150であるデキストリンと、炭素数4〜26の分岐飽和脂肪酸誘導体の1種又は2種以上を全脂肪酸誘導体に対して50mol%より多く100mol%以下、及び、炭素数2〜22の直鎖飽和脂肪酸誘導体、炭素数6〜30の直鎖又は分岐の不飽和脂肪酸誘導体及び炭素数6〜30の環状の飽和又は不飽和脂肪酸誘導体よりなる群から選ばれる1種又は2種以上(以下、これらの脂肪酸誘導体をまとめて表すときは「その他の脂肪酸誘導体」という)を全脂肪酸誘導体に対して0mol%以上50mol%未満を含有する脂肪酸誘導体とを反応させる。
(1)及び(2)のいずれの場合も、まず、デキストリンを反応溶媒に分散し、必要に応じて触媒を添加する。これに、上記脂肪酸のハロゲン化物、酸無水物等を添加して反応させる。(1)の製造法の場合は、これらの酸を混合して同時に添加反応させ、(2)の製造法の場合は、まず反応性の低い分岐飽和脂肪酸誘導体を反応させた後、次いでその他の脂肪酸誘導体を添加反応させる。
[製造例1:デキストリンイソステアリン酸(エメリー型)エステル]
平均グルコース重合度30のデキストリン21.41g(0.132mol)をジメチルホルムアミド71g、3−メチルピリジン62g(0.666mol)とからなる混合溶媒に70℃で分散させ、イソステアリン酸クロライド(エメリー型)120g(0.396mol)を30分かけて滴下した。滴下終了後、反応温度を80℃として5時間反応させた。反応終了後、反応液をメタノールに分散させ、上層を除去した。半固形分をメタノールで数回洗浄後、乾燥して淡黄色の樹脂状物質107gを得た。(仕込み時分岐飽和脂肪酸60mol%) 尚、エメリー型の出発原料はコグニス社製のEMARSOL873を用いた。本原料の脂肪酸組成は分岐脂肪酸が60mol%、その他の脂肪酸が40mol%(パルミチン酸10mol%を含む)のものを用いた。
置換度は2.2、イソステアリン酸60mol%、その他の脂肪酸40mol%(内パルミチン酸10mol%)、粘度は0mPa・s、タック性は161gであった。
表1に示す組成のアイカラーを下記製造方法に従って調製した。得られたアイカラーについて、下記評価方法1及び2により評価を行った。その結果を併せて表1に示す。
A.成分9〜18を70℃に加熱し、均一混合する。
B.成分1〜8をスーパーミキサーで均一混合する。
C.Bを攪拌しながら、Aを添加し、均一分散して化粧料基材を得る。
D.Cの化粧料基材100部に対して、精製水50部を添加し、均一に混合し、スラリー状とする。
E.Dを金皿に充填し、表面に吸い取り紙を置き、加圧して精製水の一部を除去する。
F.Eを室温で一昼夜乾燥し、精製水を完全に除去して、アイカラーを得た。
化粧品評価専門パネル20名に前記実施例及び比較例のアイカラーを使用してもらい、「化粧持ち」、「滑らかな伸び広がり」、「化粧料の取れ易さ」について、各自が下記の基準に従って5段階評価し、サンプル毎に評点を付し、更に全パネルの評点の平均点を以下の判定基準に従って判定した。なお、化粧持ちについては、アイカラー塗布直後の状態と、日常生活6時間後の状態とを比較し、評価した。
<評価基準>
(評価結果):(評点)
非常に良好:5点
良好 :4点
普通 :3点
やや不良 :2点
不良 :1点
<判定基準>
(評点の平均点) :(判定)
4.5以上 : ◎
3.5以上〜4.5未満: ○
1.5以上〜3.5未満: △
1.5未満 : ×
人口皮革(2cm×2cm)に前記実施例及び比較例のアイカラーを同様な面積、膜厚になるように塗布し、規格瓶にぬるま湯(40℃)を45gとサンプルを塗布した人口皮革を入れ、同様な振幅になるように50回振とうさせた。振とう後に人口皮革に残ったサンプル量を目視にて観察し、下記の表2の基準に基づいて4段階で評価した。
<判定基準>
(判定):(評価)
◎ :化粧料がほとんど残っていない
○ :化粧料が少し残っている
△ :化粧料が残っている
× :振とう前と変化なし
表1の結果から明らかなように、本発明の実施品である実施例1〜9のアイカラーは、「化粧持ち」、「滑らかな伸び広がり」、「化粧料の取れ易さ」、「洗浄性」の全ての項目に優れた固形粉末化粧料であった。一方、成分(a)のデキストリン脂肪酸エステルをイソノナン酸イソトリデシルに置き換えた比較例1では、化粧持ちの点で満足のいくものは得られず、成分(a)のデキストリン脂肪酸エステルの代わりにワセリンを用いた比較例2では、滑らかな伸び広がりと化粧料の取れ易さの点でも満足のいくものは得られなかった。また、成分(b)のHLB10〜15の非イオン性活性剤の代わりに、HLB4付近の非イオン性活性剤を用いた比較例3、4では、化粧料の取れ易さ及び洗浄性において満足のいくものが得られなかった。
下記の処方および製法によりファンデーションを製造した。
(成分) (%)
1.マイカ 残量
2.硫酸バリウム 14
3.酸化チタン 14
4.窒化ホウ素 5
5.ベンガラ 1
6.黄酸化鉄 2
7.黒酸化鉄 0.5
8.雲母チタン 1
9.ヘクトライト 0.5
10.ワセリン 2
11.流動パラフィン 2.5
12.PEG−20水添ヒマシ油 0.2
13.メトキシケイ皮酸エチルヘキシル 0.5
14.防腐剤 適量
15.製造例1のデキストリン脂肪酸エステル 2
A.成分9〜15を75℃に加熱し、均一混合する。
B.成分1〜8をスーパーミキサーで均一混合する。
C.Bを攪拌しながら、Aを添加し、均一分散して化粧料基材を得る。
D.Cの化粧料基材100部に対して、揮発性溶媒(軽質流動イソパラフィン)50部を添加し、均一混合し、スラリー状とする。
E.Dを金皿に充填し、表面に吸い取り紙を置き加圧して溶媒の一部を除去する。
F.Eを70℃の恒温槽に10時間放置し、溶媒を完全に除去して、ファンデーションを得た。
得られたファンデーションは、化粧持ちに優れながらも、洗浄性が良好であり、さらには、滑らかな伸び広がりで、小道具への取れ易さにも優れたものであった。
(成分) (%)
1.酸化チタン 20
2.セリサイト 残量
3.硫酸バリウム 5
4.無水ケイ酸 3
5.ナイロンパウダー *1 3
6.防腐剤(パラオキシ安息香酸メチル) 0.2
7.ジイソステアリン酸ジグリセリル 2
8.製造例1のデキストリン脂肪酸エステル 1
9.モノステアリン酸デカグリセリル ※2 0.4
10.流動パラフィン 0.3
11.ローズマリーエキス 0.01
12.香料 0.1
*1:オルガソールEXD(平均粒子径10μm:アトフィナ・ジャパン社製)
*2:NIKKOL Decaglyn 1−SV(日光ケミカルズ社製)
A:成分1〜6を混合する。
B:成分7〜12を混合、70℃まで加熱し溶解する。
C:AにBを加えて均一分散し、粉砕後、化粧料基材を得た。
D:化粧料基材100部に対して、揮発性溶媒(精製水)60部を添加し、混合した。
E:Dを金皿に充填後、多孔質プレスヘッドにて圧縮成型し、室温で一昼夜乾燥し、溶媒を除去して白粉を得た。
得られた白粉は、化粧持ちに優れながらも、洗浄性が良好であり、さらには、滑らかな伸び広がりで、小道具への取れ易さにも優れたものであった。
(成分) (%)
1.シリコーン処理セリサイト 残量
2.金属石鹸処理タルク 20
3.合成金雲母 5
4.無水ケイ酸 2
5.赤226 0.2
6.黄酸化鉄 2
7.黒酸化鉄 0.2
8.雲母チタン 10
9.酸化チタン被覆ガラス末 *3 3
10.ヒアルロン酸 0.01
11.防腐剤 適量
12.流動パラフィン 3
13.ジメチコン 2
14.デキストリン脂肪酸エステル *4 1
15.モノステアリン酸ポリオキシエチレン(20)ソルビタン 1
16.香料 0.1
*3:マイクログラスメタシャシン MT1080RY(日本板硝子社製)
*4:ユニフィルマHVY(千葉製粉社製)
A:成分1〜11を混合する。
B:成分12〜16を混合、70℃まで加熱し溶解する。
C:AにBを加えて均一分散し、粉砕後、化粧料基材を得た。
D:Cを金皿に充填後、プレスを行い、ほほ紅を得た。
得られたほほ紅は、化粧持ちに優れながらも、洗浄性が良好であり、さらには、滑らかな伸び広がりで、小道具への取れ易さにも優れたものであった。
Claims (3)
- (a)デキストリンと脂肪酸とのエステル化物であって、デキストリンのグルコースの平均重合度が3〜150であり、脂肪酸が炭素数4〜26の分岐飽和脂肪酸の1種又は2種以上を全脂肪酸に対して50mol%より多く100mol%以下、及び、炭素数2〜22の直鎖飽和脂肪酸、炭素数6〜30の直鎖又は分岐の不飽和脂肪酸及び炭素数6〜30の環状の飽和又は不飽和脂肪酸よりなる群から選ばれる1種又は2種以上を全脂肪酸に対して0mol%以上50mol%未満を含有し、グルコース単位当たりの脂肪酸の置換度が1.0〜3.0であるデキストリン脂肪酸エステル 0.5〜10質量%;
(b)HLB10〜15の非イオン性界面活性剤 0.1〜5質量%;
(c)粉体;
を含有する固形粉末化粧料。 - 前記成分(a)と前記成分(b)の含有質量比(a):(b)が1:4〜40:1の範囲である請求項1記載の固形粉末化粧料。
- 前記成分(b)が、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、グリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビット脂肪酸エステルから選ばれる1種又は2種以上である請求項1又は2に記載の固形粉末化粧料。
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JP2017109948A (ja) * | 2015-12-16 | 2017-06-22 | 株式会社コーセー | 固形粉末化粧料 |
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