JP2015199614A - リン(p)を含有する下水汚泥焼却灰からのリン酸溶液の回収方法 - Google Patents

リン(p)を含有する下水汚泥焼却灰からのリン酸溶液の回収方法 Download PDF

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卓馬 松尾
徳美 用山
Tokumi Mochiyama
徳美 用山
森田 一弘
Kazuhiro Morita
一弘 森田
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Abstract

【課題】リンを含有する下水汚泥焼却灰から、該リンを高リン酸濃度のリン酸溶液として低コストで回収する方法の提供。【解決手段】 リンを含有する下水汚泥焼却灰からリンをリン酸溶液として回収する方法であって、I)リンを含有する下水汚泥焼却灰を、リン酸、塩酸などからなる群から選ばれる少なくとも1種の酸で処理する第1の処理工程;II)第1の処理工程により得られた液をさらに硫酸で処理する第2の処理工程;III)第2の処理工程により得られた液を濾過して、下水汚泥焼却灰に含有するリン及びアルミニウムを溶解する粗製リン酸溶液を得る一方、下水汚泥焼却灰に含有するカルシウム成分及びケイ素成分を不溶物としてろ別する第1の濾過工程;IV)粗製リン酸溶液のアルミニウムをフッ化水素酸及び/又はその塩類を加えて処理する第3の処理工程;V)第3の処理工程により得られた液を濾過して、難溶性のアルカリ金属-アルミニウム-フッ素又はアンモニウム-アルミニウム-フッ素からなる錯体を固形分としてろ別してリン酸溶液を得る第2の濾過工程;を有する、上記方法により、上記課題を解決する。【選択図】なし

Description

本発明は、リン(P)を含有する下水汚泥焼却灰から、該リン(P)を産業上使用可能なリン酸溶液として回収する方法に関する。
従来、下水処理場で発生する下水汚泥などを焼却して減量化した際に生じる下水汚泥焼却灰は、その多くがそのまま廃棄処理により埋立て処分がされてきた。しかしながら、この下水汚泥焼却灰にはリン(P)が、Pとして25〜35重量%含まれている。なお、リン酸の原料に使用されているリン鉱石中のP含量は30〜35重量%であり、汚泥焼却灰中のリン(P)は資源として大変魅力がある。
現在、リン鉱石は、世界的に枯渇が危惧されている資源のひとつであり、このために近年、汚泥焼却灰からリンを回収し、再利用する技術が種々報告されている。
汚泥焼却灰からリンを回収するには、まず、汚泥焼却灰中のリン(P)などを薬剤で溶出させ、溶出液とシリカ(SiO)などの不溶性残渣を分離する。溶出させる薬剤として、硫酸又は塩酸などの酸性溶液を用いる方法(特許文献1、2)と、苛性ソーダ水溶液のような強アルカリ性溶液を用いる溶出方法(特許文献3、4)が知られている。
酸性溶液を用いる方法では、リン酸の他にアルミニウム、マグネシウム、鉄などの金属イオンが多く溶解しており、一般的には水と2相を形成する有機溶媒を用いて溶出液中のリン酸を抽出している。有機溶媒としてはヘキサノール、ブタノール、エーテル類、ケトン類等が使用できる(特許文献1)。
また、特許文献2は、リン酸トリブチル(TBP)等の有機溶媒に混合してリン酸分を有機溶媒に移行させ、この有機溶媒を洗浄して酸を除去したうえ、水と混合して逆抽出を行いリン酸分を回収する方法を開示する。
さらに、特許文献5は、塩酸で溶出させた塩にジエチルヘキシルリン酸を加えると共にpHを2.1に調整して、リン酸を含む有機相と鉄を含む水相とに分離させる方法を開示する。
これら特許文献1〜5に開示される有機溶媒を用いる抽出方法はいずれも、処理工程が多く煩雑であり、抽出液中のリン酸濃度が低く、逆抽出で得られたリン酸濃度も非常に薄く、その後に、多量の水分を蒸発させる濃縮工程が必要となり、経済的な方法からはほど遠い。
特許文献3及び4は、強アルカリ性溶液を用いる方法を開示する。この方法では、工程はさらに複雑にあると共に、回収されるものはリン酸ではなく、リン酸カルシウムのように固形分として回収される。
下水汚泥焼却灰から酸抽出でリン(P)をリン酸として溶出させた溶液中には多量のアルミニウム(Al)が含まれており、このアルミニウム(Al)を難溶性の硫酸アルミニウムカリウム(カリ明礬:KAl(SO・12HO)または、硫酸アルミニウムアンモニウム(NHAl(SO・12HO)としてアルミニウム(Al)を除去する方法が、特許文献6に開示されている。しかしながら、これらの析出物中のアルミニウム含量は5〜6重量%と低く、全てのアルミニウム(Al)を回収するためには多量の析出物が発生する、という問題がある。
特開平7?251141号公報。 特開平9?775079号公報。 特開2008−229576号公報。 特開2012−245474号公報。 特開2007?277056号公報。 特許第3612543号公報。
本発明の目的は、上述した従来技術の問題点を解決することにある。
具体的には、本発明の目的は、リン(P)を含有する下水汚泥焼却灰から、該リン(P)を高リン酸濃度のリン酸溶液として低コストで回収する方法を提供することにある。
また、本発明の目的は、上記目的に加えて、下水汚泥焼却灰に含まれるアルミニウム(Al)を低コストで回収する方法を提供することにある。
さらに、本発明の目的は、上記目的に加えて、下水汚泥焼却灰に含まれるアルミニウム(Al)を産業上使用可能な塩として回収する方法を提供することにある。
本発明者らは、以下の発明を見出した。
<1> リン(P)を含有する下水汚泥焼却灰から前記リン(P)をリン酸溶液として回収する方法であって、
I)リン(P)を含有する下水汚泥焼却灰を、リン酸、塩酸、硝酸、及びオキソ酸からなる群から選ばれる少なくとも1種の酸で処理する第1の処理工程;
II)第1の処理工程後に第1の処理工程により得られた液を、又は第1の処理工程と同時に下水汚泥焼却灰を、硫酸で処理する第2の処理工程;
III)第2の処理工程により得られた液を濾過して、下水汚泥焼却灰に含有するリン(P)及びアルミニウム(Al)を溶解する粗製リン酸溶液を得る一方、下水汚泥焼却灰に含有するカルシウム(Ca)成分及びケイ素(Si)成分を不溶物としてろ別する第1の濾過工程;及び
IV)粗製リン酸溶液をフッ化水素酸及び/又はその塩類を加えて処理する第3の処理工程;
V)第3の処理工程により得られた液を濾過して、難溶性のアルカリ金属-アルミニウム-フッ素又はアンモニウム-アルミニウム-フッ素からなる錯体を固形分としてろ別してリン酸溶液を得る第2の濾過工程;
を有する、上記方法。
<2> 上記<1>において、第1の処理工程の少なくとも1種の酸の濃度が5〜50wt%、好ましくは8〜42wt%、より好ましくは10〜40wt%であるのがよい。
<3> 上記<1>又は<2>において、第1の処理工程の少なくとも1種の酸の重量部が、下水汚泥焼却灰の重量部の0.8〜10倍、好ましくは1〜5倍、より好ましくは1.5〜4倍であるのがよい。
<4> 上記<1>〜<3>のいずれかにおいて、第1の処理工程の少なくとも1種の酸がリン酸であるのがよい。
<5> 上記<1>〜<4>のいずれかにおいて、第3の処理工程のフッ化水素酸及び/又はその塩類が、フッ化ナトリウム(NaF)、酸性フッ化ナトリウム(NaHF)、フッ化水素酸(HF)、フッ化アンモニウム(NHF)、酸性フッ化アンモニウム(NHHF)、フッ化カリウム(KF)、及び酸性フッ化カリウム(KHF)からなる群から選ばれる1種又は2種以上であるのがよい。
<6> 上記<1>〜<5>のいずれかにおいて、第3の処理工程のフッ化水素酸及び/又はその塩類が、フッ化ナトリウム(NaF)、酸性フッ化ナトリウム(NaHF)、フッ化水素酸(HF)、フッ化アンモニウム(NHF)、及び酸性フッ化アンモニウム(NHHF)からなる群から選ばれる1種又は2種以上であり、
粗製リン酸溶液のアルミニウム(Al)1当量に対して、ナトリウム源を1.5〜4.5当量、好ましくは2.4〜4.5当量、より好ましくは3.0〜4.5当量、及びフッ素源を4.5〜12.0当量、好ましくは5〜12.0当量、より好ましくは6〜12.0当量用い、
第2の濾過工程において、難溶性アルカリ金属-アルミニウム-フッ素を氷晶石(NaAlF)としてろ別するのがよい。
<7> 上記<6>において、ナトリウム源としてフッ化ナトリウム(NaF)、水酸化ナトリウム(NaOH)又は酸性フッ化ナトリウム(NaHF)を用い、フッ素源としてフッ化ナトリウム(NaF)、酸性フッ化ナトリウム(NaHF)、フッ化水素酸(HF)、フッ化アンモニウム(NHF)、及び酸性フッ化アンモニウム(NHHF)からなる群から選ばれる1種又は2種以上を用いるのがよい。
<8> 上記<6>又は<7>において、第3の処理工程を、フッ化ナトリウム(NaF)及びフッ化アンモニウム(NHF)の組合せにより処理するのがよい。
<9> 上記<1>〜<5>のいずれかにおいて、第3の処理工程のフッ化水素酸及び/又はその塩類が、フッ化カリウム(KF)、酸性フッ化カリウム(KHF)、フッ化水素酸(HF)、フッ化アンモニウム(NHF)、及び酸性フッ化アンモニウム(NHHF)からなる群から選ばれる1種又は2種以上であり、
粗製リン酸溶液のアルミニウム(Al)1当量に対して、カリウム源を1.5〜4.5当量、好ましくは2.4〜4.5当量、より好ましくは3.0〜4.5当量、及びフッ素源を4.5〜12.0当量、好ましくは5〜12.0当量、より好ましくは6〜12.0当量用い、
第2の濾過工程において、難溶性アルカリ金属-アルミニウム-フッ素をカリ氷晶石(KAlF)としてろ別するのがよい。
<10> 上記<9>において、カリウム源としてフッ化カリウム(KF)、水酸化カリウム(KOH)又は酸性フッ化カリウム(KHF)を用い、フッ素源としてフッ化カリウム(KF)、酸性フッ化カリウム(KHF)、フッ化水素酸(HF)、フッ化アンモニウム(NHF)、及び酸性フッ化アンモニウム(NHHF)からなる群から選ばれる1種又は2種以上を用いるのがよい。
<11> 上記<9>又は<10>において、第3の処理工程を、フッ化カリウム(KF)及びフッ化アンモニウム(NHF)の組合せにより処理するのがよい。
<12> 上記<1>〜<5>のいずれかにおいて、第3の処理工程のフッ化水素酸及び/又はその塩類が、フッ化水素酸(HF)、フッ化アンモニウム(NHF)、及び酸性フッ化アンモニウム(NHHF)からなる群から選ばれる1種又は2種以上であり、
粗製リン酸溶液のアルミニウム(Al)1当量に対して、アンモニウム源を2.0〜6.0当量、好ましくは3.0〜6.0当量、及びフッ素源を3.0〜9.0当量、好ましくは4.0〜9.0当量、より好ましくは6.0〜9.0当量用い、
第2の濾過工程において、難溶性アンモニウム-アルミニウム-フッ素をNHAlFとしてろ別するのがよい。
<13> 上記<12>において、アンモニウム源としてフッ化アンモニウム(NHF)又は酸性フッ化アンモニウム(NHHF)を用い、
フッ素源としてフッ化水素酸(HF)、フッ化アンモニウム(NHF)、及び酸性フッ化アンモニウム(NHHF)からなる群から選ばれる1種又は2種以上を用いるのがよい。
<14> 上記<12>又は<13>において、第3の処理工程を、フッ化水素酸(HF)及びフッ化アンモニウム(NHF)の組合せにより処理するのがよい。
<15> 上記<12>〜<14>のいずれかにおいて、該<12>〜<14>のいずれかで得られたNHAlFを硫酸に分散させて得られた液にフッ化ナトリウムまたはフッ化カリウムを加えて反応させ、氷晶石またはカリ氷晶石を回収する工程;をさらに有するのがよい。
<16> 上記<1>〜<15>のいずれかの方法により得られたリン酸溶液を、第1の処理工程のリン酸として用いるのがよい。
本発明により、上述した従来技術の問題点を解決することができる。
具体的には、本発明により、リン(P)を含有する下水汚泥焼却灰から、該リン(P)を高リン酸濃度のリン酸溶液として低コストで回収する方法を提供することができる。
また、本発明により、上記効果に加えて、下水汚泥焼却灰に含まれるアルミニウム(Al)を低コストで回収する方法を提供することができる。
さらに、本発明により、上記効果に加えて、下水汚泥焼却灰に含まれるアルミニウム(Al)を産業上使用可能な塩として回収する方法を提供することができる。
以下、本願に記載する発明を詳細に説明する。
本願は、リン(P)を含有する下水汚泥焼却灰から該リン(P)をリン酸溶液として回収する方法を提供する。
なお、本願において、「リン酸溶液」とは、リン酸を主成分とする水溶液をいう。具体的には、リン酸濃度がP換算で5〜55wt%であり、アルミニウム(Al)をAl/P重量比で0.07以下、カルシウム(Ca)をCaO/P重量比で0.07以下、ケイ素(Si)をSiO/P重量比で0.07以下含む水溶液である。
本発明の方法は、次の工程を有する。
I)リン(P)を含有する下水汚泥焼却灰を、リン酸、塩酸、硝酸、及びオキソ酸からなる群から選ばれる少なくとも1種の酸で処理する第1の処理工程;
II)第1の処理工程後に第1の処理工程により得られた液を、又は第1の処理工程と同時に下水汚泥焼却灰を、さらに硫酸で処理する第2の処理工程;
III)第2の処理工程により得られた液を濾過して、下水汚泥焼却灰に含有するリン(P)及びアルミニウム(Al)を溶解する粗製リン酸溶液を得る一方、下水汚泥焼却灰に含有するカルシウム(Ca)成分及びケイ素(Si)成分を不溶物としてろ別する第1の濾過工程;
IV)粗製リン酸溶液をフッ化水素酸及び/又はその塩類を加えて処理する第3の処理工程;及び
V)第3の処理工程により得られた液を濾過して、難溶性のアルカリ金属-アルミニウム-フッ素又はアンモニウム-アルミニウム-フッ素からなる錯体を固形分としてろ別してリン酸溶液を得る第2の濾過工程;
を有する。
以下、I)〜V)工程の各工程について詳述する。
<I)工程>
I)工程は、リン(P)を含有する下水汚泥焼却灰を、リン酸、塩酸、硝酸、及びオキソ酸からなる群から選ばれる少なくとも1種の酸で処理する第1の処理工程である。
上述のように、下水汚泥焼却灰にはリン(P)が、Pとして25〜35重量%含まれている。このリン(P)を、産業上利用可能な「リン酸溶液」として回収するために、まず、リン酸、塩酸、硝酸、及びオキソ酸からなる群から選ばれる少なくとも1種の酸で処理して、下水汚泥焼却灰に含まれるリン(P)をリン酸として液に溶出させる。
この工程において、下水汚泥焼却灰に含まれるCa、Alなどの金属分も液に溶出される一方、下水汚泥焼却灰に含まれるケイ素(Si)成分、具体的にはシリカ分は溶出されず、固形分として後述の第1の濾過工程で濾別される。
「少なくとも1種の酸」に含まれるオキソ酸として、リン酸、塩酸、硝酸及び硫酸以外に、ハロゲンオキソ酸(例えば、次亜塩素酸、亜塩素酸、塩素酸、過塩素酸、次亜臭素酸、亜臭素酸、臭素酸、過臭素酸、次亜ヨウ素酸、亜ヨウ素酸、ヨウ素酸、過ヨウ素酸)などを挙げることができる。
「少なくとも1種の酸」として2種以上を用いる場合、該2種以上を混酸として用いても、2種以上を先後させて処理させてもよい。
「少なくとも1種の酸」として、好ましくはリン酸のみであるのがよい。
「少なくとも1種の酸」の濃度は、上述の作用、即ちリンをリン酸として溶出させ且つCa、Alなどの金属分を溶出させる一方、ケイ素(Si)成分、具体的にはシリカ分を溶出させない作用を生じるのであれば、特に限定されない。
例えば、該濃度は、用いる下水汚泥焼却灰、用いる酸に依存するが、処理におけるハンドリング面及び処理における経済面から、5〜50wt%、好ましくは8〜42wt%、より好ましくは10〜40wt%であるのがよい。
また、「少なくとも1種の酸」の量は、上述の作用、即ちリンをリン酸として溶出させ且つCa、Alなどの金属分を溶出させる一方、Siを溶出させない作用を生じるのであれば、特に限定されない。例えば、「少なくとも1種の酸」の量は、用いる下水汚泥焼却灰、用いる酸に依存するが、用いる下水汚泥焼却灰の量の0.8〜10倍、好ましくは1〜5倍、より好ましくは1.5〜4倍であるのがよい。
I)工程、即ち第1の処理工程は、用いる下水汚泥焼却灰、用いる酸及びその濃度などに依存するが、温度50〜95℃で行うのがよい。
<II)工程>
II)工程は、i)第1の処理工程後に該第1の処理工程により得られた液を硫酸で処理するか、又はii)第1の処理工程と同時に下水汚泥焼却灰を硫酸で処理する、第2の処理工程である。
好ましくは、II)工程、即ち第2の処理工程は、i)第1の処理工程後に設けるのがよい。
II)工程、即ち第2の処理工程は、硫酸で処理することにより、下水汚泥焼却灰を処理して得られた液中に含まれるCaを、難溶性であるCaSO・2HOとすることができる。この固形分:CaSO・2HOは、後述の第1の濾過工程で濾別される。
II)工程、即ち第2の処理工程の硫酸の量は、該第2の処理工程を設ける時期、即ちi)第1の処理工程後又はii)第1の処理工程と同時、に依存すると共に、用いる下水汚泥焼却灰中のCa量にも依存する。II)工程、即ち第2の処理工程の硫酸の量は、Ca1当量に対して1〜4当量、好ましくは1〜2当量であるのがよい。
II)工程、即ち第2の処理工程は、用いる下水汚泥焼却灰、特に下水汚泥焼却灰中のCa量、用いる硫酸の濃度及び量などに依存するが、温度50〜95℃で行うのがよい。
<III)工程>
III)工程は、第2の処理工程により得られた液を濾過して、下水汚泥焼却灰に含有するリン(P)及びアルミニウム(Al)を溶解する粗製リン酸溶液を得る一方、下水汚泥焼却灰に含有するカルシウム(Ca)成分及びケイ素(Si)成分を不溶物としてろ別する第1の濾過工程である。
ここで、「第2の処理工程により得られた液」とは、第2の処理工程が第1の処理工程と同時に行う場合であっても、第1の処理工程後に第2の処理工程を行う場合であっても、便宜上、「第2の処理工程により得られた液」と規定していることを意味する。
III)工程、即ち第1の濾過工程は、第1の処理工程で得られた固形分であるケイ素(Si)成分、具体的にはシリカを濾別すると共に、第2の処理工程で得られた固形分であるカルシウム(Ca)成分、具体的にはCaSO・2HOを濾別する工程である。
III)工程、即ち第1の濾過工程は、上記固形分を十分に濾別できる条件であれば特に限定されない。例えば、温度50〜95℃で行うのがよい。
<IV)工程>
IV)工程は、上記III)工程により得られた粗製リン酸溶液をフッ化水素酸及び/又はその塩類を加えて処理する第3の処理工程である。
IV)工程、即ち第3の処理工程は、粗製リン酸溶液に含まれるアルミニウム(Al)を、リン酸溶液に難溶性のアルカリ金属-アルミニウム-フッ素又はアンモニウム-アルミニウム-フッ素からなる錯体とする反応を行う工程である。
なお、アルカリ金属源としてナトリウム(Na)を用いることにより氷晶石NaAlFを、カリウム(K)を用いることによりカリ氷晶石KAlFを、錯体として得ることができる。また、アルカリ金属源の代わりに、アンモニア源を用いることにより、テトラフルオロアルミン酸アンモニウムNHAlFを、錯体として得ることができる。該テトラフルオロアルミン酸アンモニウムNHAlFは、上述の氷晶石NaAlF又はカリ氷晶石KAlFへと変換することができる。
本発明は、IV)工程により得られる錯体が産業上有用な化合物、即ち氷晶石(NaAlF)又はカリ氷晶石(KAlF)であるか、該氷晶石又はカリ氷晶石に簡易に変換可能なテトラフルオロアルミン酸アンモニウム(NHAlF)であるため、その点でも有利である。
フッ化水素酸及び/又はその塩類として、フッ化ナトリウム(NaF)、酸性フッ化ナトリウム(NaHF)、フッ化水素酸(HF)、フッ化アンモニウム(NHF)、酸性フッ化アンモニウム(NHHF)、フッ化カリウム(KF)、及び酸性フッ化カリウム(KHF)からなる群から選ばれる1種又は2種以上であるのがよい。
<<a.アルカリ金属源としてナトリウムを用いる場合>>
IV)工程、即ち第3の処理工程において、アルカリ金属源としてナトリウムを用いる場合、以下の条件であるのがよい。
即ち、IV)工程、即ち第3の処理工程のフッ化水素酸及び/又はその塩類が、フッ化ナトリウム(NaF)、酸性フッ化ナトリウム(NaHF)、フッ化水素酸(HF)、フッ化アンモニウム(NHF)、及び酸性フッ化アンモニウム(NHHF)からなる群から選ばれる1種又は2種以上であり、
粗製リン酸溶液のアルミニウム(Al)1当量に対して、ナトリウム源を1.5〜4.5当量、好ましくは2.4〜4.5当量、より好ましくは3.0〜4.5当量、及びフッ素源を4.5〜12.0当量、好ましくは5〜12.0当量、より好ましくは6〜12.0当量用いるのがよく、これにより、難溶性アルカリ金属-アルミニウム-フッ素を氷晶石(NaAlF)として得ることができる。
得られた難溶性氷晶石(NaAlF)は、後述のV)工程、即ち第2の濾過工程において、ろ別するのがよい。
ナトリウム源としてフッ化ナトリウム(NaF)、水酸化ナトリウム(NaOH)又は酸性フッ化ナトリウム(NaHF)を用い、フッ素源としてフッ化ナトリウム(NaF)、酸性フッ化ナトリウム(NaHF)、フッ化水素酸(HF)、フッ化アンモニウム(NHF)、及び酸性フッ化アンモニウム(NHHF)からなる群から選ばれる1種又は2種以上を用いるのがよい。
特に、第3の処理工程を、フッ化ナトリウム(NaF)及びフッ化アンモニウム(NHF)の組合せにより処理するのがよい。
ここでの工程は、用いる粗製リン酸溶液などに依存するが、温度50〜95℃であるのがよい。
<<b.アルカリ金属源としてカリウムを用いる場合>>
IV)工程、即ち第3の処理工程において、アルカリ金属源としてカリウムを用いる場合、以下の条件であるのがよい。
即ち、IV)工程、即ち第3の処理工程のフッ化水素酸及び/又はその塩類が、フッ化カリウム(KF)、酸性フッ化カリウム(KHF)、フッ化水素酸(HF)、フッ化アンモニウム(NHF)、及び酸性フッ化アンモニウム(NHHF)からなる群から選ばれる1種又は2種以上であり、
粗製リン酸溶液のアルミニウム(Al)1当量に対して、カリウム源を1.5〜4.5当量、好ましくは2.4〜4.5当量、より好ましくは3.0〜4.5当量、及びフッ素源を4.5〜12.0当量、好ましくは5〜12.0当量、より好ましくは6〜12.0当量用いるのがよく、これにより、難溶性アルカリ金属-アルミニウム-フッ素をカリ氷晶石(KAlF)として得ることができる。
得られた難溶性カリ氷晶石(KAlF)は、後述のV)工程、即ち第2の濾過工程において、ろ別するのがよい。
カリウム源としてフッ化カリウム(KF)、水酸化カリウム(KOH)又は酸性フッ化カリウム(KHF)を用い、フッ素源としてフッ化カリウム(KF)、酸性フッ化カリウム(KHF)、フッ化水素酸(HF)、フッ化アンモニウム(NHF)、及び酸性フッ化アンモニウム(NHHF)からなる群から選ばれる1種又は2種以上を用いるのがよい。
特に、第3の処理工程を、フッ化カリウム(KF)及びフッ化アンモニウム(NHF)の組合せにより処理するのがよい。
ここでの工程は、用いる粗製リン酸溶液などに依存するが、温度50〜95℃であるのがよい。
<<c.アルカリ金属源の代わりにアンモニア源を用いる場合>>
IV)工程、即ち第3の処理工程において、アルカリ金属源の代わりにアンモニア源を用いる場合、以下の条件であるのがよい。
IV)工程、即ち第3の処理工程のフッ化水素酸及び/又はその塩類が、フッ化水素酸(HF)、フッ化アンモニウム(NHF)、及び酸性フッ化アンモニウム(NHHF)からなる群から選ばれる1種又は2種以上であり、
粗製リン酸溶液のアルミニウム(Al)1当量に対して、アンモニウム源を2.0〜6.0当量、好ましくは3.0〜6.0当量、及びフッ素源を3.0〜9.0当量、好ましくは4.0〜9.0当量、より好ましくは6.0〜9.0当量用いるのがよく、これにより、難溶性アンモニウム-アルミニウム-フッ素をテトラフルオロアルミン酸アンモニウムNHAlFとして得ることができる。
なお、本工程のようにリン酸酸性条件下では、通常、中性領域で生成するヘキサフルロロアルミン酸アンモニウム(NHAlFは生成せずに、テトラフルオロアルミン酸アンモニウムNHAlFのみが生成する。
得られた難溶性テトラフルオロアルミン酸アンモニウムNHAlFは、後述のV)工程、即ち第2の濾過工程において、ろ別するのがよい。
アンモニウム源としてフッ化アンモニウム(NHF)又は酸性フッ化アンモニウム(NHHF)を用い、
フッ素源としてフッ化水素酸(HF)、フッ化アンモニウム(NHF)、及び酸性フッ化アンモニウム(NHHF)からなる群から選ばれる1種又は2種以上を用いるのがよい。
特に、第3の処理工程を、フッ化水素酸(HF)及びフッ化アンモニウム(NHF)の組合せにより処理するのがよい。
ここでの工程は、用いる粗製リン酸溶液などに依存するが、温度50〜95℃であるのがよい。
なお、アルカリ金属源の代わりにアンモニア源を用いる場合、上述のように、難溶性テトラフルオロアルミン酸アンモニウムNHAlFが得られる。ここで得られたNHAlFをさらに処理して、有用な氷晶石またはカリ氷晶石を得ることができる。即ち、得られたNHAlFを硫酸に分散させて得られた液にフッ化ナトリウムまたはフッ化カリウムを加えて反応させ、氷晶石またはカリ氷晶石を回収する工程;をさらに有してもよい。
この工程において、硫酸の濃度は5〜20wt%、反応温度:50〜95℃であるのがよい。
また、フッ化ナトリウムまたはフッ化カリウムは、得られたNHAlF 1当量に対して2.8〜3.5当量であるのがよい。
<V)工程>
V)工程は、第3の処理工程により得られた液を濾過して、難溶性のアルカリ金属-アルミニウム-フッ素又はアンモニウム-アルミニウム-フッ素からなる錯体を固形分としてろ別してリン酸溶液を得る第2の濾過工程である。
本工程は、上述のように、粗製リン酸溶液に含まれるアルミニウム(Al)を、リン酸溶液には難溶性である固形分の錯体として濾別する一方、リン酸溶液を得る工程である。
V)工程、即ち第2の濾過工程は、上記固形分を十分に濾別できる条件であれば特に限定されない。例えば、温度10〜95℃で行うのがよい。
上述のI)〜V)工程の前後に、工程を設けてもよい。例えば、V)工程で得られたリン酸溶液をさらに精製する工程を設けてもよい。
本発明の方法により得られたリン酸溶液は、上述の定義を有するリン酸溶液、即ちリン酸濃度がP換算で5〜55wt%であり、アルミニウム(Al)をAl/P重量比で0.07以下、カルシウム(Ca)をCaO/P重量比で0.07以下、ケイ素(Si)をSiO/P重量比で0.07以下であるため、例えば、本発明の方法により得られたリン酸溶液は、肥料用のリン酸として用いることができる。また、例えば、本発明の方法により得られたリン酸溶液は、第1の処理工程のリン酸として用いることもできる。
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はかかる実施例により限定されるものではない。
代表的な下水汚泥焼却灰として、千葉県にあるA終末処理場の下水汚泥焼却灰を使用した。その下水汚泥焼却灰の主な成分の組成は、それぞれ酸化物換算で、P:31.6%、CaO:9.5%、Al:10.4%、Fe:4.9%、SiO:45%であった。
<粗製リン酸溶液を得る工程(I)〜III)工程)>
温調器付の温水浴に浸し、攪拌機を備えた1Lテフロン(登録商標)ビーカーに、10%リン酸水溶液300gを入れ、250rpmで攪拌しながら、焼却灰150gを投入し、60℃に昇温後、60℃に保持しながらさらに30分間攪拌した。続いて、この温度を保持しながら、37.5%硫酸水溶液66.5gを1時間かけて滴下し、滴下終了後さらに30分間攪拌した。
ポリフロンフィルター(PF050、110mmφ)を備えた磁性ヌッチェを用いて吸引ろ過を行い、ろ液を粗製リン酸として回収した。
ろ過後、水250gにて洗浄/ろ過した。この操作で、粗製リン酸(P:16.1%、Al:2.9%含有)301g、洗浄液(P:5.9%、Al:1.1%含有)293gと、ろ過残渣180g(水分40%)を得た。ろ過残渣は、40℃で2日間乾燥して、乾燥固形分108g(P:11%含有)を得た。このことから、焼却灰中のPの75.3%を回収できた。
(実施例2〜7)
抽出に使用するリン酸濃度を変えた以外、実施例1と同様の実験を行い、リン酸溶液を得た。なお、反応条件を表1に、結果を表2に示す。
(比較例1)
抽出に使用するリン酸を水300gに変更した以外、実施例1と同様の実験を行った。なお、反応条件を表1に、結果を表2に示す。
Figure 2015199614
Figure 2015199614
実施例1〜7及び比較例1から、次のことがわかる。即ち、用いるリン酸の濃度を適切にすると、リン酸回収率を90%以上に上げることができる。また、用いるリン酸の濃度を適切なものにすると、回収粗製リン酸溶液中のリン酸濃度も高くなるこがわかる。なお、回収粗製リン酸溶液中のリン酸濃度が高いと、その後に設ける濃縮などの後工程での経済性が向上する。
(実施例8)
<粗製リン酸溶液を得る工程(I)〜III)工程)>
実施例3は、リン酸回収率が高く且つ得られる粗製リン酸溶液中のリン酸濃度も高いことから、上記実施例3に沿って、10倍スケールの合成を行い、粗製リン酸(P:32.6%、Al:3.5%含有)3085gを回収した。
<IV)及びV)工程>
その後、得られた粗製リン酸からアルミニウム(Al)を除去するIV)及びV)工程を行った。
具体的には、次の作業を行った。
温調器付の温水浴に浸し、攪拌機を備えた300mlテフロン(登録商標)ビーカーに、上記で得られた粗製リン酸(P:32.6%、Al:3.5%含有)100gを入れ、250rpmで攪拌しながら95℃に昇温して保持した。
これにNHF7.6gを加えた後、NaF8.6gを徐々に加えた。NaFの添加後そのまま1時間攪拌し、加温を止めて、攪拌しながら室温付近まで放冷した。その後、ポリフロンフィルター(PF050,110mmφ)を備えた磁製ヌッチェを用いて吸引ろ過を行い、リン酸溶液(P:32.2%、Al:0.03%含有)86.2gを回収した。ろ過後、水100gにて洗浄/ろ過を行った。 ろ過残渣は、40℃で2日間乾燥して、乾燥固形分としてNaAlFを15.0g(純度95%、Al回収率99%)得た。
(実施例9〜12)
実施例8のNHF量及び/又はNaF量を変更した以外、実施例8と同様の実験を行い、リン酸溶液及びNaAlFを得た。NHF量及び/又はNaF量などの条件を表3に、結果を表4に示す。
Figure 2015199614
Figure 2015199614
表3及び表4から、粗製リン酸溶液にNHF及びNaFを添加して処理することにより、粗製リン酸溶液に含まれるアルミニウム(Al)を固形分:NaAlFとして除去できることがわかる。なお、Na/Al及び/又はF/Alを適切な値にすること、特に実施例8〜10に記載される値にすることにより、アルミニウム(Al)をNaAlFのみとして除去することができ、さらなる処理を行わなくとも、純度がある程度高い氷晶石NaAlFを固形分として得ることができる。
(実施例13)
実施例8の<第1工程>で得られた粗製リン酸(P:32.6%、Al:3.5%含有)100gを、実施例8の<第2工程>の「NaF8.6g」を「KF12.0g」に変更した以外、実施例8の<第2工程>と同様な方法で処理し、リン酸溶液(P:32.1%、Al:0.10%含有)83.4gを回収し且つ乾燥固形分としてKAlF 18.1g(純度95%、Al回収率97%)を得た。
(実施例14〜17)
実施例13のNHF量及び/又はKF量を変更した以外、実施例13と同様の実験を行い、リン酸溶液及びKAlFを得た。NHF量及び/又はKF量などの条件を表5に、結果を表6に示す。
Figure 2015199614
Figure 2015199614
表5及び表6から、粗製リン酸溶液にNHF及びKFを添加して処理することにより、粗製リン酸溶液に含まれるアルミニウム(Al)を固形分:KAlFとして除去できることがわかる。なお、K/Al及び/又はF/Alを適切な値にすること、特に実施例13〜15に記載される値にすることにより、アルミニウム(Al)をKAlFのみとして除去することができ、さらなる処理を行わなくとも、純度がある程度高いカリ氷晶石KAlFを固形分として得ることができる。
(実施例18)
実施例8の<第2工程>の「NaF」の代わりに「HF」を用いて、リン酸溶液及びNHAlFを得た。具体的には、次のような作業を行った。
温調器付の温水浴に浸し、攪拌機を備えた300mlテフロン(登録商標)ビーカーに、実施例8の<第1工程>で得られた粗製リン酸(P:32.6%、Al:3.5%含有)100gを入れ、250rpmで攪拌しながら95℃に昇温して保持した。
これにNHF5.1gと46%HF6.0gを加えた。この温度を8時間保持した後、加温を止めて、攪拌しながら室温付近まで放冷した。その後、ポリフロンフィルター(PF050,110mmφ)を備えた磁製ヌッチェを用いて吸引ろ過を行い、精製リン酸液(P:30.7%、Al:1.51%含有)101.6gを回収した。ろ過後水100gにて洗浄/ろ過を行った。 ろ過残渣を40℃で2日間乾燥して、乾燥固形分としてNHAlF 4.7g(純度95%、Al回収率54%)を得た。
(実施例19〜25、比較例2)
実施例18のNHF量及び/又はHF量を変更した以外、実施例18と同様の実験を行い、リン酸溶液及びNHAlFを得た。NHF量及び/又はHF量などの条件を表7に、結果を表8に示す。
Figure 2015199614
Figure 2015199614
表7及び表8から、粗製リン酸溶液にNHF、又はNHF及びHFを添加して処理することにより、粗製リン酸溶液に含まれるアルミニウム(Al)を固形分:NHAlFとして除去できることがわかる。
粗製リン酸溶液にNHF及びHFを添加して処理する場合、NH/Alが1であるとき、アルミニウム(Al)が十分に回収されないことがわかる。
実施例21と実施例25とを比較すると、処理の時間により、アルミニウム(Al)の回収率が変化することがわかる。
(実施例26)
<NHAlFからの氷晶石NaAlFの調製>
温調器付の温水浴に浸し、攪拌機を備えた300mlテフロン(登録商標)ビーカーに5%硫酸97gを入れ、250rpmで攪拌しながら60℃に昇温して保持し、これに実施例18〜25で得られたNHAlF 3gを加え、続いてNaF3.1gを徐々に加えて3時間攪拌し、加温を止めて、攪拌しながら室温付近まで放冷した。その後、ポリフロンフィルター(PF050,110mmφ)を備えた磁性ヌッチェを用いて吸引ろ過を行い、ろ過後水100gにて洗浄/ろ過を行った。ろ過残渣を40℃で2日間乾燥して、乾燥固形分としてNaAlF 4.4g(純度>98%、回収率88%)を得た。
(実施例27、比較例3及び比較例4)
実施例26のNHAlF量、硫酸の濃度及び量、NaF量、並びに反応温度を変更した以外、実施例26と同様の実験を行い、NaAlFを得た。
表9にNHAlF量などの条件及びその結果を示す。
なお、比較例3は、硫酸の濃度がゼロ、即ち水を使用した。また、比較例4は、硫酸の濃度を30%とした場合である。比較例3では原料のNHAlFが残存し、30%硫酸では不純物としてNaAl14が含まれていた。
Figure 2015199614
(実施例28)
<NHAlFからのカリ氷晶石KAlFの調製>
実施例26の「NaF3.1g」を「KF4.3g」に変更した以外、実施例26と同様の実験を行い、KAlF 4.3g(純度>98%、回収率82%)を得た。
(実施例29、比較例5及び比較例6)
実施例28のNHAlF量、硫酸の濃度及び量、KF量、並びに反応温度を変更した以外、実施例28と同様の実験を行い、KAlFを得た。
表10にNHAlF量などの条件及びその結果を示す。
なお、比較例5は、硫酸の濃度がゼロ、即ち水を使用した。また、比較例6は、硫酸の濃度を30%とした場合である。比較例5では原料のNHAlFが残存し、30%硫酸では不純物としてKAl14が含まれていた。
実施例20と同様の実験を行い、その反応条件および結果を表10に示す。 比較例13は、水を使用し、比較例14は30%硫酸を使用した場合である。水では原料のNHAlFが残存し、30%硫酸では不純物としてKAl14が含まれていた。
Figure 2015199614

Claims (16)

  1. リン(P)を含有する下水汚泥焼却灰から前記リン(P)をリン酸溶液として回収する方法であって、
    I)リン(P)を含有する下水汚泥焼却灰を、リン酸、塩酸、硝酸、及びオキソ酸からなる群から選ばれる少なくとも1種の酸で処理する第1の処理工程;
    II)前記第1の処理工程後に該第1の処理工程により得られた液を、又は前記第1の処理工程と同時に下水汚泥焼却灰を、硫酸で処理する第2の処理工程;
    III)前記第2の処理工程により得られた液を濾過して、下水汚泥焼却灰に含有するリン(P)及びアルミニウム(Al)を溶解する粗製リン酸溶液を得る一方、下水汚泥焼却灰に含有するカルシウム(Ca)成分及びケイ素(Si)成分を不溶物としてろ別する第1の濾過工程;及び
    IV)前記粗製リン酸溶液をフッ化水素酸及び/又はその塩類を加えて処理する第3の処理工程;
    V)前記第3の処理工程により得られた液を濾過して、難溶性のアルカリ金属-アルミニウム-フッ素又はアンモニウム-アルミニウム-フッ素からなる錯体を固形分としてろ別してリン酸溶液を得る第2の濾過工程;
    を有する、上記方法。
  2. 前記第1の処理工程の前記少なくとも1種の酸の濃度が5〜50wt%である請求項1記載の方法。
  3. 前記第1の処理工程の前記少なくとも1種の酸の重量部が、前記下水汚泥焼却灰の重量部の0.8〜10倍である請求項1又は2記載の方法。
  4. 前記第1の処理工程の前記少なくとも1種の酸がリン酸である請求項1〜3のいずれか1項記載の方法。
  5. 前記第3の処理工程の前記フッ化水素酸及び/又はその塩類が、フッ化ナトリウム(NaF)、酸性フッ化ナトリウム(NaHF)、フッ化水素酸(HF)、フッ化アンモニウム(NHF)、酸性フッ化アンモニウム(NHHF)、フッ化カリウム(KF)、及び酸性フッ化カリウム(KHF)からなる群から選ばれる1種又は2種以上である請求項1〜4のいずれか1項記載の方法。
  6. 前記第3の処理工程において、前記フッ化水素酸及び/又はその塩類が、フッ化ナトリウム(NaF)、酸性フッ化ナトリウム(NaHF)、フッ化水素酸(HF)、フッ化アンモニウム(NHF)、及び酸性フッ化アンモニウム(NHHF)からなる群から選ばれる1種又は2種以上であり、
    粗製リン酸溶液のアルミニウム(Al)1当量に対して、ナトリウム源を1.5〜4.5当量、及びフッ素源を4.5〜12.0当量用い、
    前記IV)第2の濾過工程において、前記難溶性アルカリ金属-アルミニウム-フッ素を氷晶石(NaAlF)としてろ別する請求項1〜5のいずれか1項記載の方法。
  7. 前記ナトリウム源としてフッ化ナトリウム(NaF)、水酸化ナトリウム(NaOH)又は酸性フッ化ナトリウム(NaHF)を用い、前記フッ素源としてフッ化ナトリウム(NaF)、酸性フッ化ナトリウム(NaHF)、フッ化水素酸(HF)、フッ化アンモニウム(NHF)、及び酸性フッ化アンモニウム(NHHF)からなる群から選ばれる1種又は2種以上を用いる請求項6記載の方法。
  8. 前記第3の処理工程を、フッ化ナトリウム(NaF)及びフッ化アンモニウム(NHF)の組合せにより処理する請求項6又は7記載の方法。
  9. 前記第3の処理工程において、前記フッ化水素酸及び/又はその塩類が、フッ化カリウム(KF)、酸性フッ化カリウム(KHF)、フッ化水素酸(HF)、フッ化アンモニウム(NHF)、及び酸性フッ化アンモニウム(NHHF)からなる群から選ばれる1種又は2種以上であり、
    粗製リン酸溶液のアルミニウム(Al)1当量に対して、カリウム源を1.5〜4.5当量、及びフッ素源を4.5〜12.0当量用い、
    前記第2の濾過工程において、前記難溶性アルカリ金属-アルミニウム-フッ素をカリ氷晶石(KAlF)としてろ別する請求項1〜5のいずれか1項記載の方法。
  10. 前記カリウム源としてフッ化カリウム(KF)、水酸化カリウム(KOH)又は酸性フッ化カリウム(KHF)を用い、前記フッ素源としてフッ化カリウム(KF)、酸性フッ化カリウム(KHF)、フッ化水素酸(HF)、フッ化アンモニウム(NHF)、及び酸性フッ化アンモニウム(NHHF)からなる群から選ばれる1種又は2種以上を用いる請求項9記載の方法。
  11. 前記第3の処理工程を、フッ化カリウム(KF)及びフッ化アンモニウム(NHF)の組合せにより処理する請求項9又は10記載の方法。
  12. 前記第3の処理工程において、前記フッ化水素酸及び/又はその塩類が、フッ化水素酸(HF)、フッ化アンモニウム(NHF)、及び酸性フッ化アンモニウム(NHHF)からなる群から選ばれる1種又は2種以上であり、
    粗製リン酸溶液のアルミニウム(Al)1当量に対して、アンモニウム源を2.0〜6.0当量、及びフッ素源を3.0〜9.0当量用い、
    前記第2の濾過工程において、前記難溶性アンモニウム-アルミニウム-フッ素をNHAlFとしてろ別する請求項1〜5のいずれか1項記載の方法。
  13. 前記アンモニウム源としてフッ化アンモニウム(NHF)又は酸性フッ化アンモニウム(NHHF)を用い、
    前記フッ素源としてフッ化水素酸(HF)、フッ化アンモニウム(NHF)、及び酸性フッ化アンモニウム(NHHF)からなる群から選ばれる1種又は2種以上を用いる請求項12記載の方法。
  14. 前記第3の処理工程を、フッ化水素酸(HF)及びフッ化アンモニウム(NHF)の組合せにより処理する請求項12又は13記載の方法。
  15. 請求項12〜14のいずれか1項で得られたNHAlFを硫酸に分散させ、得られた液にフッ化ナトリウムまたはフッ化カリウムを加えて反応させ、氷晶石またはカリ氷晶石を回収する工程;をさらに有する請求項12〜14のいずれか1項記載の方法。
  16. 請求項1〜15のいずれか1項記載の方法により得られたリン酸溶液を、前記第1の処理工程のリン酸として用いる請求項1〜15のいずれか1項記載の方法。
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