JP2015199468A - 衝撃吸収構造およびこれを備えた車両用外板部材 - Google Patents

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Abstract

【課題】衝撃によるエネルギーが加わった際におけるエネルギー吸収量を増大させることができる衝撃吸収構造およびこれを備えた車両用外板部材を提供する。
【解決手段】本発明に係る衝撃吸収構造は、板厚方向に間隔をおいて一対に配設される繊維強化樹脂板11,12と、これら一対の繊維強化樹脂板11,12の間に配設される板状の中間部材13と、を備える。中間部材13は断面波形状に形成され、中間部材13の波形状の頂部14が繊維強化樹脂板11,12の内表面15,16に各々接合されている。
【選択図】図1

Description

本発明は、衝撃吸収構造およびこれを備えた車両用外板部材に関する。
従来から、自動車の車体などを構成する部材として、いわゆるサンドイッチ構造が公知である(例えば、特許文献1)。この特許文献1に記載のサンドイッチ構造は、板厚方向に間隔をおいて配設される炭素繊維強化樹脂製のアウターパネルおよびインナーパネルと、これらのアウターパネルおよびインナーパネルとの間に配設される複数のリブと、を備えている。前記リブは円筒形状に形成されており、衝撃によるエネルギーがアウターパネルに加わった際に、前記リブが変形、破壊されることにより衝撃によるエネルギーを吸収するようになっている。
特開2012−131335号公報
しかしながら、前記特許文献1に記載のサンドイッチ構造においては、前記リブの長手方向端部は、アウターパネルおよびインナーパネルとの接触面積が小さいため、アウターパネルおよびインナーパネルと前記リブとの接着面積を大きくとることができない。このため、サンドイッチ構造全体の剛性が比較的低く、エネルギー吸収量が低下するという問題がある。
そこで、本発明は、衝撃によるエネルギーが加わった際におけるエネルギー吸収量を増大させることができる衝撃吸収構造およびこれを備えた車両用外板部材を提供することを目的とする。
本発明の第1の態様は、一対の繊維強化樹脂板の間に配設される板状の中間部材を備えた衝撃吸収構造である。前記中間部材は断面波形状に形成され、この中間部材の波形状の頂部が前記繊維強化樹脂板の内表面に接合されている。
本発明の第2の態様は、前記衝撃吸収構造を備えた車両用外板部材である。
本発明によれば、衝撃によるエネルギーが加わった際におけるエネルギー吸収量を増大させることができる衝撃吸収構造およびこれを備えた車両用外板部材を提供することができる。
本発明の実施形態に係る衝撃吸収構造を備えたフードの分解斜視図である。 本発明の実施形態に係る衝撃吸収構造を備えたフードに荷重を負荷した状態を示す説明図である。 本発明の実施形態に係る衝撃吸収構造を備えたフードのF−S線図である。
以下、本発明の実施形態を図面と共に詳述する。
本発明の実施形態に係る衝撃吸収構造を備えた自動車用のフード(ボンネット)10を図1に基づいて説明する。
図1に示すように、フード10は、板厚方向に間隔をおいて一対に配設される繊維強化樹脂板11,12と、これら一対の繊維強化樹脂板11,12の間に配設される板状の中間部材13と、を備えている。このフード10を構成する繊維強化複合材は、サンドイッチパネルとも称されるものである。
本実施形態に係る衝撃吸収構造は、自動車用のフードに限定されず、ドアパネル、バンパー、トランクリッド、リアゲート、フェンダパネル、サイドボディパネル、ルーフパネルなど車両用外板部材に適用することができる。なお、この衝撃吸収構造は、車両用外板部材に限定されず、各種構成部材に適用することが可能である。
繊維強化樹脂板11,12は、衝撃吸収構造の表層(表面および裏面)を構成するものである。本実施形態では、繊維強化樹脂板(表側部材)11が衝撃吸収構造の車外側の表層を構成し、繊維強化樹脂板(裏側部材)12が衝撃吸収構造の車内側の表層を構成する。繊維強化樹脂板11,12は、繊維強化樹脂(繊維強化プラスチック)から板状に形成されている。この繊維強化樹脂としては、炭素繊維強化樹脂(CFRP)、ガラス繊維強化樹脂(GFRP)、アラミド繊維強化樹脂(AFRP)など、種々の繊維強化樹脂を用いることができる。繊維強化樹脂板11,12の板厚は、例えば0.8〜1mm程度とされ、フード10全体の板厚は、例えば10mm程度とされる。
中間部材13は、衝撃吸収構造のコア層を構成するものである。中間部材13は、断面波形状(コルゲート形状)に形成され、中間部材13の波形状の頂部14が接着剤により繊維強化樹脂板11,12の内表面15,16に各々接合(接着)されている。中間部材13としては、繊維強化樹脂製、金属製または合成樹脂製の板バネを用いることが可能である。本実施形態では、中間部材13の断面は正弦波形状に形成されているが、これに限定されず、中間部材13の断面が三角波形状、台形波形状などに形成されていてもよい。
本実施形態では、中間部材13は、フード10を構成する衝撃吸収構造の積層方向と交差する方向に間隔をおいて複数配設され、各中間部材13の波形状の頂部14が接着剤により繊維強化樹脂板11,12の内表面15,16に各々接合(接着)されている。ある程度の面積をもった中間部材13を衝撃吸収構造に複数配設して、衝撃によるエネルギーの入力初期の剛性をある程度確保しつつ、中間部材13が衝撃吸収構造の積層方向に対して局所的に潰れやすくするためである。例えば、繊維強化樹脂板11,12と中間部材13との接着力(あるいは接着面積)が大きくなるほど中間部材13の1枚あたりの面積(大きさ)を小さく設定する。また、中間部材13を構成する板バネのバネ定数が大きくなるほど中間部材13の1枚あたりの面積(大きさ)を小さく設定する。
フード10を成形する際には、まず、中間部材13の両面における波形状の頂部14に、接着剤を塗布する。次いで、中間部材13の両面に繊維強化樹脂板11,12を重ね合わせ、これらの積層体(一対の繊維強化樹脂板11,12、中間部材13)を上下から挟んで、加圧、加熱する。このようにすることにより、中間部材13の両面における波形状の頂部14に塗布した接着剤が溶融、硬化して、この接着剤により繊維強化樹脂板11,12と中間部材13とが接着される。なお、この成形方法は一例であり、種々の方法を採用することが可能である。
繊維強化樹脂板11,12と中間部材13とを接着する接着剤としては、エポキシ樹脂系接着剤や、ウレタン樹脂系接着剤などを用いることができる。また、繊維強化樹脂板11,12と中間部材13とを接着する接着剤は、熱硬化性の接着剤であってもよく、熱可塑性の接着剤であってもよい。
本実施形態に係る衝撃吸収構造によるエネルギー吸収を図2および図3に基づいて説明する。
前述のように構成されたフード10に対して、歩行者保護試験で使用されるインパクター(ヘッドインパクター)Pを衝突させ、フード10への入力荷重(反力)Fおよびフード10のストローク(変位量)Sを測定した。図3に、フード10のF−S線図、すなわち、フード10への入力荷重とフード10のストロークSとの関係を表すグラフを示す。
[フェーズ1]
図2(a)に示されるように、衝撃によるエネルギーがフード10の表面(繊維強化樹脂板11)に入力されると、表面側の繊維強化樹脂板11が裏面側の繊維強化樹脂板12側に変位する。すると、図2(b)に示されるように、中間部材13の接合部には、繊維強化樹脂板11の変位方向と略直交する方向の力が作用し、繊維強化樹脂板11,12と中間部材13との接合部17で剥離が生じる。この際、衝撃によるエネルギーが繊維強化樹脂板11に入力され、繊維強化樹脂板11,12と中間部材13との接合部17で剥離が生じるまで、図3に示す如く、フード10の反力はピーク反力F1まで大きくなる。
[フェーズ2]
また、そののち、図2(c)に示されるように、繊維強化樹脂板11,12との接合が解除された中間部材13が衝撃吸収構造の積層方向に潰れて変形し、図2(d)に示されるように、中間部材13が略平坦な状態となる。つまり、板バネから構成される中間部材13が伸びきり、繊維強化樹脂板11,12と平行な板状になる。この際、中間部材13が衝撃吸収構造の積層方向に潰れて変形し、中間部材13が略平坦な状態となるまで、図3に示すごとく、フード10の反力はピーク反力F1から反力F2まで小さくなる。
[フェーズ3]
さらに、そののち、図2(e)に示されるように、中間部材13が略平坦な状態となり、フード10全体(繊維強化樹脂板11,12、中間部材13)が曲げ変形する。この際、図3に示す如く、フード10の反力は反力F2から2つ目のピーク反力F3(F1>F3>F2)まで再び大きくなる。
以下に、本実施形態による作用効果を説明する。
(1)本実施形態に係る衝撃吸収構造は、板厚方向に間隔をおいて一対に配設される繊維強化樹脂板(表側部材)11および繊維強化樹脂板(裏側部材)12と、これら一対の繊維強化樹脂板11,12の間に配設される板状の中間部材13と、を備える。中間部材13は断面波形状に形成され、中間部材13の波形状の頂部14が繊維強化樹脂板11,12の内表面15,16に各々接合されている。
衝撃によるエネルギーがフード10の表面(繊維強化樹脂板11)に入力されると、まず、繊維強化樹脂板11、12と中間部材13との接合部17(図2(b)参照)が剥離しつつ、中間部材13が衝撃吸収構造の積層方向に潰れる。繊維強化樹脂板11、12と中間部材13との接合部17が剥離するまでは曲げ剛性が確保されて、フード10の反力が大きくなり、衝撃によるエネルギーが吸収される。また、そののち、中間部材13が衝撃吸収構造の積層方向に潰れて変形し、中間部材13が略平坦な状態となるまでは、フード10の反力は一旦小さくなる。さらに、そののち、中間部材13が略平坦な状態となり、フード10全体が曲げ変形することにより、フード10の反力が再び大きくなり、衝撃によるエネルギーがさらに吸収される。すなわち、衝撃によるエネルギーの入力初期(フェーズ1、フェーズ2)は、繊維強化樹脂板11、12と中間部材13との接合部17が剥離しつつ、中間部材13が衝撃吸収構造の積層方向に潰れることによりエネルギーを吸収し、ストロークが大きくなる入力後期(フェーズ3)では、フード10全体が曲げ変形することによりエネルギーを吸収する。このため、本実施形態に係る衝撃吸収構造によれば、衝撃によるエネルギーを効果的に吸収することが可能となる。
(2)中間部材13は、繊維強化樹脂板11,12の板厚方向(衝撃吸収構造の積層方向)と交差する方向に間隔をおいて複数配設され、各中間部材13の波形状の頂部14が繊維強化樹脂板11,12の内表面に各々接合されている。
このようにすることにより、衝撃によるエネルギーの入力に対し過度の反力が発生することを抑制することができる。このため、フード10において、衝撃によるエネルギーの入力初期の剛性をある程度確保しつつ、フード10(中間部材13)が局所的に積層方向に対して潰れやすい構造とすることが可能となる。よって、フード10によって、衝撃によるエネルギーを効果的に吸収することが可能となる。
ところで、本発明の衝撃吸収構造およびこれを備えた車両用外板部材は前述の実施形態に例をとって説明したが、この実施形態に限ることなく本発明の要旨を逸脱しない範囲で他の実施形態を各種採用することができる。
10 フード(車両用外板部材)
11 繊維強化樹脂板
12 繊維強化樹脂板
13 中間部材
14 中間部材の波形状の頂部
15 繊維強化樹脂板の内表面
16 繊維強化樹脂板の内表面

Claims (3)

  1. 板厚方向に間隔をおいて一対に配設される繊維強化樹脂板と、
    これら一対の繊維強化樹脂板の間に配設される板状の中間部材と、を備え、
    前記中間部材は断面波形状に形成され、この中間部材の波形状の頂部が前記繊維強化樹脂板の内表面に接合されていることを特徴とする衝撃吸収構造。
  2. 前記中間部材は、前記繊維強化樹脂板の板厚方向と交差する方向に間隔をおいて複数配設され、各中間部材の波形状の頂部が前記繊維強化樹脂板の内表面に各々接合されていることを特徴とする請求項1に記載の衝撃吸収構造。
  3. 請求項1または2に記載の衝撃吸収構造を備えた車両用外板部材。
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