JP2015199118A - 迅速な凝固が可能な湯道及び鋳造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】加圧、減圧、差圧、重力のいずれか一つ以上の作用圧を用いて溶湯を鋳型に注湯する鋳造方法において、迅速な凝固が可能な湯道及びこれを用いた鋳造方法を提供する。
【解決手段】基本の湯道の一部に複数の板状の流路からなるゲート湯道を設けることによって迅速な凝固が可能な湯道を得る。
【選択図】図7

Description

発明の詳細な説明
産業上の利用分野
一般に、加圧、減圧、差圧、重力の一つ以上の作用圧を用いて溶湯を鋳型に注湯する鋳造方法においては、鋳造タクトを短縮するあるいは品質を安定させるために、注湯した溶湯の逆流防止の手段が行われている。本発明は、この逆流防止に効果がある新規な湯道及びこれを用いた鋳造方法に関するものである。
加圧、減圧、差圧などの作用圧を用いて溶湯を鋳型に注湯する鋳造方法は広く鋳造全般に実施されている。しかし、その工程上、重力に反して加圧、減圧、差圧などの作用圧を用いて注湯が行われるので、注湯後に溶湯が凝固するまでその作用圧を保持するか、あるいは作用圧とは別の強制的外力によって鋳型キャビティー内に充填された溶湯の逆流を止めることが行われている。つまり、鋳造工程が溶湯充填工程と逆流防止工程の2つから構成されている。そのため、工程時間が延びる、あるいは強制的逆流防止装置が必要などの問題がある。これらの参考文献を下記特許文献に示す。
また、本願発明者は、先に特願2005−268163において、重力を用いた注湯(以下、重力注湯という)と加圧を組合せた鋳造方法として、鋳型キャビティーの全体の体積よりも小さい所望のキャビティー部分とほぼ等しい体積の注湯開始後、湯口部から圧縮ガスを送気して所望のキャビティー部分のみに溶湯を充填して凝固させる鋳造方法を出願している。
この鋳造方法においても、溶湯を所望のキャビティー部分に充填した後に、圧縮ガスによる加圧を保持するか、あるいは何らかの強制的遮断手段が必要であった。そのため、工程時間が延びる、あるいは必要な強制的遮断手段が複雑あるいは不安定などの問題点があった。
特開2008−093729号公報 特開平11−320071号公報 特開平10−052737号公報 特開平10−015656号公報 特開平07−124695号公報 特開平06−238417号公報
本発明は以上の従来技術の問題点に鑑み、加圧、減圧、差圧、重力のいずれか一つ以上の作用圧を用いて溶湯を鋳型に注湯する鋳造方法において、極めて簡単な方法によって注湯した溶湯を短時間で逆流しないようにする新規な鋳造用湯道及びこれを用いた鋳造方法を提供するものである。
これによって、鋳造工程が溶湯充填工程のみで完了するので、工程時間が大幅に短縮される、及び複雑な強制的逆流防止装置あるいは手段を用いなくてよいなどの効果が得られる。また、特願2005−268163の所望のキャビティー部分のみに溶湯を充填する鋳造方法を容易に実施できるようになる効果が得られる。
(手段1)
加圧、減圧、差圧、重力の一つ以上の作用圧を用いて溶湯を鋳型に注湯する鋳造方法に用いられる湯道であって、基本の湯道の一部に複数の板状の流路からなるゲート湯道を設けたことを特徴とする鋳造用湯道である。
以下、本手段の構成、作用、効果について詳細に説明する。通常、鋳型の鋳造方案は、製品部、押湯、湯道、湯口から構成されており、これらの空洞部分をキャビティーと称している。しかし、鋳造方法や材質によっては、押湯がない場合もある。また、湯道と湯口が兼用になって単に湯道又は湯口と呼ばれる場合もある。ここでは、統一して湯道と称する。
まず、従来の加圧、減圧、差圧などの作用圧を用いて溶湯を鋳型に注湯する鋳造方法では、鋳型キャビティーに充填された溶湯が逆流するのを防止するため、注湯後に溶湯が凝固するまでその作用圧を保持するか、何らかの強制的逆流防止装置が必要である。
本手段では、基本の湯道の一部に溶湯の流れ方向に複数の板状の流路からなるゲート湯道を設ける。基本の湯道としては、一般的には断面が矩形、円形あるいは半円形などの形状が用いられている。本手段では、その一部すなわち途中の適宜の個所に複数の板状の流路からなるゲート湯道を設ける。
ゲート湯道を板状の流路で構成した理由は、断面が板状の流路は、矩形や円形などに比べてはるかに凝固速度が速く、溶湯の逆流を短時間で止めることが可能であるからである。また、板状の流路を複数用いた理由は、板状では断面積が小さいので、複数個用いることによって、基本となる湯道と同程度の流路断面積が得られるようにしたものである。
ここで、板状とは、板の厚みをA、幅をB、長さをCとしたとき、B、CのいずれかがおよそAの5倍以上である形状をいうものとする。この5倍という数値は、形状によって決まる凝固速度の指標である凝固モジュラスから想定されるもので、板状と矩形、円形などとを区別するひとつの目安値である。したがって、この数値によって本手段の板状を明確に規定するものではなく、基本の湯道に比べて明らかに凝固速度が速いという意味である。したがって、基本の湯道の大きさ形状にもよるが、本手段で一般的に用いる板の厚みは、1〜10mm程度である。
この構成によって、本手段の作用、効果を説明する。まず、ゲート湯道は板状の流路で構成されているので、凝固速度が基本の湯道である矩形や円形などと比べて格段に速い。すなわち、注湯後短時間で凝固あるいは半凝固状態となり溶湯の逆流を止める作用が得られる。したがって、加圧、減圧、差圧などで溶湯を充填後速やかにこれらの作用圧を停止することができるという効果が得られる。
次に、複数の板状の流路としたので、基本となる湯道と同等の流路面積を確保することができる。また、ゲート湯道は基本の湯道の一部に設けられているので、従来から用いられていた湯道の一部のみをこのゲート湯道に変更するだけでよい。つまり、湯道方案の一部変更で従来の全ての鋳造模型に適用できるというメリットがある。
(手段2)
手段1記載の鋳造用湯道において、前記ゲート湯道が、基本の湯道の一部に鋳型の見切面に平行方向及び直角方向に設けた板状の流路によって構成されていることを特徴とする鋳造用湯道である。
手段2は、基本の湯道の一部に設けるゲート湯道が、鋳型の見切面に平行方向及び直角方向(垂直方向)に設けた板状の流路によって構成されているようにした。すなわち、通常の板状の湯道は見切面上に見切面に平行方向のみに用いられているが、本手段では、見切面に直角方向にも設けた。これは、見切面に平行方向のみで基本の湯道と同等の断面積を得ようとすると幅が広くなり、近くに配置された製品部と交接してしまうのでこれは不可能な場合が多い。そこで、見切面に直角方向にも板状の流路を設けたものである。これによって、本手段では基本の湯道と同等の断面積を容易に得ることができる。
本手段の作用、効果は、いわゆる主型模型の基本の湯道の一部にこのゲート湯道を設ける修正のみで迅速な凝固が可能な湯道系が得られることになる。なお、通常用いられる見切面に平行な板状湯道は、押湯の直前などに用いられるもので、ノロ、砂などの異物を除去するのが目的であって、本手段の板状の湯道とは目的、作用、効果が異なっている。
(手段3)
手段1記載の鋳造用湯道において、前記ゲート湯道が、基本の湯道の一部に適宜の大きさ、形状のゲートキャビティーを設けるとともに、該ゲートキャビティーの中に、ゲートキャビティーよりも小さくほぼ相似形状のゲート中子を設置することにより、ゲートキャビティーとゲート中子の間に形成される隙間による板状の流路によって構成されていることを特徴とする鋳造用湯道である。
本手段では、さらに大きな断面積の板状の流路を得るために中子を用いた。まず、基本の湯道の一部に適宜の大きさ、形状のゲートキャビティーを設ける。次に、このゲートキャビティーの中に中子を設置する。これをゲート中子と称する。このゲート中子は、ゲートキャビティーよりも小さくほぼ相似形状とする。
この構成で本手段の作用、効果を説明する。ゲート中子はゲートキャビティーよりも小さいので、その間に隙間ができる。この隙間を溶湯の流路に利用する。ゲート中子はゲートキャビティーとほぼ相似につくられているので、この流路はほぼ均一な板状となっている。ほぼ相似形状と表現したのは、必ずしも正確な相似である必要はなく、隙間の一部がやや厚肉またはやや薄肉になっても狙いの凝固速度から大幅に外れない程度であればよいと言う意味である。
(手段4)
手段3記載の鋳造用湯道において、前記ゲート中子に、溶湯の流れ方向に板状の流路となるスリットを設けたことを特徴とする鋳造用湯道である。
本手段では、さらにゲート湯道の流路の断面積を大きくするため、前記ゲート中子に溶湯の流れ方向に板状の流路となるスリットを設けた。これによって、手段3のゲートキャビティーとゲート中子の間の隙間による流路と合せて、さらに大きな流路断面積を得ることができた。その結果、この板状の流路の板厚を薄くしても、基本の湯道に相当する断面積を確保できるようになり、さらに凝固速度を速めることができる。
(手段5)
手段1乃至4いずれかに記載の鋳造用湯道を用いて、溶湯を鋳型に注湯することを特徴とする鋳造方法である。
手段1乃至4いずれかに記載の鋳造用湯道を用いれば、加圧、減圧、差圧、重力などの作用圧を用いて溶湯を注湯する鋳造方法において、注湯または溶湯充填後、ゲート湯道の部分を速やかに凝固させることができ、溶湯の逆流を短時間で止めることができる。その結果、従来は、凝固の遅い湯道が凝固して逆流が止まるまで作用圧を保持していたものが、注湯または溶湯充填後、短時間で作用圧を止めることができるようになる。つまり、鋳造タクトを大幅に短縮することができる。または従来、逆流を止めるために何らかの機械的逆流防止手段を講じていたものが不要になって、工程が単純化される。
手段6
手段1乃至4いずれかに記載の鋳造用湯道を用いて、溶湯を通気性鋳型に重力注湯するにあたり、鋳型の全キャビティーのうち溶湯を充填したい所望のキャビティー部分とほぼ等しい体積の溶湯を注湯後、湯口部から圧縮ガスを送気することによって、溶湯を所望のキャビティー部分に充填することを特徴とする鋳造方法である。
本手段では、本願発明者による特願2005−268163において開示されている、重力注湯と加圧を組合せた鋳造方法において、鋳型キャビティーの所望のキャビティー部分のみに溶湯を充填して凝固させる鋳造方法に、本発明の手段1乃至4の鋳造用湯道を利用するものである。
この鋳造方法では、所望のキャビティー部分とほぼ等しい体積の溶湯を注湯後、湯口部から圧縮ガスを送気して溶湯を所望のキャビティー部分に充填するが、湯道が凝固するまで圧縮ガスの送気を保持する必要があった。また、幾つかの溶湯逆流防止手段も開示しているが十分な効果を得ることができなかった。そこで、この鋳造方法に本発明の手段1乃至4を利用することで、湯道の一部のゲート湯道を迅速に凝固させることができる。その結果、加圧の保持時間を大幅に短縮できるようになり、鋳造の工程時間を短縮することができる、あるいは鋳造方法を簡略化することができる。なお、圧縮ガスとしては圧縮空気が最も簡便であるが、これに限定されず、鋳物製品の品質に影響がない適宜の圧縮ガスを用いることができる。
発明の効果
本発明によって従来の鋳造法に比べ次のような効果が得られた。(1)基本の湯道の一部に板状流路からなるゲート湯道を設けることで、注湯または充填された溶湯の逆流を短時間で止めることができるようになった。(2)その結果、加圧、減圧、差圧、重力などの作用圧を用いて溶湯を鋳型に注湯する鋳造方法において、工程時間が大幅に短縮された。(3)一部の鋳造工程では、逆流防止のために複雑な逆流防止装置が用いられていたが、これを省くことができるようになった。(4)重力注湯と加圧を組合せた鋳造方法において、所望のキャビティー部分のみに溶湯を充填して凝固させる工程時間が大幅に短縮された。
本発明を実施する最良の形態は、手段4に示した鋳造用湯道を加圧鋳造、減圧鋳造、差圧鋳造、重力鋳造、及び重力と加圧を組合わせて所望のキャビティー部分のみに溶湯を充填して凝固させる鋳造方法などの湯道あるいは湯口に用いることである。
以下実施例により本発明を詳細に説明するが、これら実施例により本発明が限定されるものではない。
図1、2及び3に手段1及び2を用いた実施例1を示す。図1及び2において、図1は基本の湯道1の一部に設けた複数の板状の流路2からなるゲート湯道3の溶湯の流れ方向4に直角な断面図である。図2は基本の湯道1の一部にゲート湯道3を設けた状態を示す見切面5に平行な平面図である。図3は注湯後溶湯の凝固が進行している状態を示す。
まず図1において、板状の流路2は、見切面5に平行な板状の流路6及び見切面5に直角方向の板状の流路7から構成されている。また、図2において、基本の湯道1とゲート湯道3の幅寸法(あるいは高さ寸法)が異なった場合として、基本の湯道1とゲート湯道3をつなぐ繋ぎ湯道8をゲート湯道3の前後に設けている。本発明では、板状の流路2の総断面積は、通常、基本の湯道1にほぼ等しい大きさにすることが多いので、ゲート湯道3の幅及び高さが大きくなる。そのときにこの繋ぎ湯道3を設けることによって、基本の湯道からの溶湯が全ての板状の流路2に滑らかに流入して流れる効果をもつものである。ただし、これは不可欠な要素ではなく補助的なものである。
本実施例における作用効果を説明する。加圧、減圧、差圧、重力などの方法により注湯された溶湯は、湯口(図示せず)から基本の湯道1を通り、ゲート湯道3を通って、再度基本の湯道1を通って押湯、製品(ともに図示せず)へと充填される。このとき、ゲート湯道3は板状の流路2から構成されているが、見切面に平行な板状の流路6及び見切面に直角方向の板状の流路7からなっているので、基本の湯道1の断面積に相当する十分な断面積を確保することができる。したがって、基本の湯道1を流れてきた溶湯は、大きな抵抗なくゲート湯道3を通過することができる。これが見切面に複数の板状の流路2から構成されたゲート湯道3のひとつの効果である。
次に、溶湯の充填が完了後、溶湯は凝固を開始する。図3に凝固が進行している状態を示す。このとき、ゲート湯道3は板状の流路で構成されており、基本の湯道1は通常矩形、円形又は半円形などで構成されているので、その凝固速度は、ゲート湯道3の方が、基本の湯道1よりも大幅に速い。これは正確には凝固モジュラスの比較で評価できるが、簡単に考えても、凝固の際の冷却面となる表面積の違いを比較するだけで明らかである。なお、ゲート湯道3の各板状の流路2の凝固速度はその位置によって多少の差が生じるが大きな差異はない。
例えば、基本の湯道1を20mm×20mm=400mmの矩形とし、ゲート湯道3の流路を、見切面に平行な板状の流路6及び見切面に垂直方向の板状の流路7を、それぞれ、2mm×40mm=80mm及び2mm×30mm×2本=120mm、2mm×25mm×4本=200mm、合計400mmとする。つまり、ゲート湯道3の総断面積は、わずか2mm厚さの板状湯道によって、ほぼ基本の湯道1に相当する大きさとすることができる。
このとき、それぞれの凝固モジュラスは一般に公知な公式によって、基本となる湯道1がほぼ、20mm/4=5mm、ゲート湯道3は板状の流路で構成されているので、それぞれの流路の凝固を考えればよくほぼ、2mm/2=1mmである。つまり、ゲート湯道3の凝固モジュラスは、基本の湯道1の凝固モジュラスの1/5である。通常、凝固が完了する時間は、凝固モジュラスの2乗に比例するので、ゲート湯道3の凝固時間は、基本の湯道1の1/25に短縮されることになる。つまり、ゲート湯道3の凝固速度は極めて速くなり、加圧などによって注湯充填された溶湯の逆流は早期に止められることになる。これがゲート湯道3を用いる効果である。
この結果、従来、加圧などによって溶湯を注湯充填する鋳造方法において、溶湯の充填後、湯道あるいは湯口が凝固して溶湯の逆流が止まるまで長時間、加圧などの作用圧を保持していたものが、本発明のゲート湯道を用いることで、極めて短時間で凝固が完了するので、加圧などの作用圧の保持時間を大幅に短縮することができる。あるいは、従来、湯道又は湯口に対し機械的な遮断手段を用いていたものは、これを用いる必要がなくなった。
以上をまとめると、まず基本の湯道の一部に、見切面に平行な板状の流路及び見切面に直角方向の複数の板状の流路を設けることで、基本の湯道に相当する湯道断面積を容易に得ることができるようになった。そして、加圧などの作用圧で溶湯を注湯充填した後、ゲート湯道が速やかに凝固し、逆流を早期に止めることができるので、作用圧の保持時間を大幅に短縮できるようになった。この結果、鋳造タクトが大幅に短縮され生産効率を改善できた。あるいは、湯道又は湯口などの逆流防止の機械的遮断装置を省略することができるようになった。
なお、ゲート湯道に用いる板状の流路の形状は、基本の湯道の断面積にほぼ相当する断面積を確保できる形状とする。通常板状とは、幅又は長さが厚さの5倍以上であれば先の凝固モジュラスの計算が適用できるのでこれを目安とする。板厚としては、鋳造する製品の大きさや、鋳込重量にもよるが、1〜10mm程度が速やかな凝固を得るのに適している。
なお、減圧、差圧、重力などを用いた鋳造方法においても基本的には加圧によるものと溶湯の流れ及び逆流作用、凝固による逆流防止の機構は同じであるので、これ以降の実施例でも加圧を代表例として説明する。
図4、5及び6に手段1及び3を用いた実施例2を示す。本実施例では、実施例1とは異なって、中子を用いて流路を構成する場合を説明する。図4は見切面5に直角な断面図を、図5は見切面5に平行な平面図で溶湯が流れている状態を、図6は注湯完了後凝固が進行している状態を、それぞれ示す。
まず図4、5において基本の湯道1の一部に適宜の大きさ、形状のゲートキャビティー9を設ける。次に、このゲートキャビティー9の中に中子を設置する。これをゲート中子10と称する。このゲート中子10は、ゲートキャビティー9よりも小さくほぼ相似形状とする。ゲートキャビティー9とゲート中子10の形状、大きさは、適宜の板状の流路2が構成されれば任意であって、曲線的な流路でもよい。
また、基本の湯道1とゲート湯道3のつなぎのために繋ぎ湯道8を設けている。また、ゲート中子10の上下に設けた突起はゲート中子10を保持するための中子巾木11であり、流路を妨げない適宜の大きさとする。
この構成で本手段の作用、効果を説明する。ゲート中子10はゲートキャビティー9よりも小さいので、その間に隙間ができる。この隙間を溶湯の流路として利用する。ゲート中子10はゲートキャビティー9とほぼ相似につくられているので、この流路はほぼ均一な板状の流路2となっている。この板状の流路2はゲート中子10の外周に構成されているので、その断面積は、基本の湯道1の断面積に相当する程度とすることができる。なお、ほぼ相似形状と表現したのは、必ずしも正確な相似である必要はなく、隙間の一部がやや厚肉またはやや薄肉になっても狙いの凝固速度から大幅に外れない程度であればよいという意味である。
次に溶湯が注湯されると、図5に示すように、溶湯はゲート中子10の外周に構成される左右及び上下の板状の湯道2を通って押湯及び製品部(ともに表示せず)へ充填される。充填が完了後、溶湯は凝固を開始する。図6に凝固が進行している状態を示す。このとき、ゲート湯道3は板状の流路2で構成されており、基本の湯道1は通常矩形、円形ないし半円形などで構成されているので、その凝固速度は、ゲート湯道3の方が、基本の湯道1よりも大幅に速い。その凝固速度の比較は実施例1に示した通りである。
この結果、極めて短時間で凝固が完了するので、実施例1と全く同様に、加圧などの作用圧の保持時間を大幅に短縮することができる。あるいは、従来、湯道又は湯口に対し機械的な遮断手段を用いていたものは、これを用いる必要がなくなった。
図7、8及び9に手段1、3及び4を用いた実施例3を示す。図7は見切面5に直角な断面図を、図8は見切面5に平行な平面図で溶湯が流れている状態を、図9は注湯完了後凝固が進行している状態を、それぞれ示す。
本実施例では、図7、8に示すように実施例2のゲート中子10の外周に構成された板状の流路に加えて、ゲート湯道3の板状の流路の断面積を大きくするため、ゲート中子10に溶湯の流れ方向に板状の流路となるスリット12を設けた。このスリット12によって、ゲートキャビティー9とゲート中子10の間の外周の隙間による板状の流路と合せて、さらに大きな流路断面積を得ることができた。その結果、この板状の流路2の板厚をさらに薄くしても、基本の湯道1に相当する断面積を確保できるようになり、実施例2よりもさらに凝固速度を速めることができた。その効果として、逆流防止時間を一段と短縮することができた。また、ゲート湯道3の幅を小さくすることができ、湯道周辺にある製品部と干渉することも避けることができるようになった。
図10、11及び12に手段1、4及び5を用いた実施例4を示す。図10は加圧鋳造法の装置構成において本発明のゲート湯道3とゲート中子10を設置した状態を、図11は加圧によって溶湯を上部の鋳型に注湯している状態を、図12は注湯完了後、凝固が進行している状態を、それぞれ示す。
まず図10において装置の構成を説明する。溶湯13は加圧室14内部の取鍋15に保持されており、ストークス16を通じて鋳型17と連通されている。鋳型17には製品部18と押湯19が設けられており、溶湯13をこれらの部分に充填するための湯道20が設けられている。湯道20の一部に、本発明のゲート湯道3と、ゲート中子に溶湯の流れ方向にスリットを設けたゲート中子10を設置している。
図11は外部から加圧21を加圧室14に付加し、溶湯13を上部の鋳型17に充填している状態である。このとき、溶湯13の流れは実施例1及び2で示したと同様に、ゲート湯道3の板状の流路2を矢印のように流れる。次に図12に示すように、注湯完了後、ゲート湯道3の適宜の凝固を待って加圧21を止めると、ストークス16内の溶湯13は取鍋15に戻されるが、鋳型17内部の溶湯22は、ゲート湯道3が凝固しているので鋳型内に留まる。つまり、注湯完了後速やかに加圧を止めても鋳型内の溶湯は逆流せず、鋳造サイクルを短縮することができた。
本例では、加圧の場合について説明したが、減圧、差圧及び重力を用いた場合も全く同じ作用効果を得ることができる。したがって、これらの鋳造方法においても同様に鋳造サイクルを短縮することができる。また、本例では、スリット付のゲート中子を用いた例を示したが、手段2の主型用のゲート湯道を用いても、手段3のゲート中子を用いてもまったく同様な作用効果を得ることができる。
図13〜16に手段1及び4を用いた実施例5を示す。本例では、本発明の鋳造用湯道を用いて、溶湯を通気性鋳型に重力注湯するにあたり、鋳型の全キャビティーのうち溶湯を充填したい所望のキャビティー部分とほぼ等しい体積の溶湯を注湯後、湯口部から圧縮ガスを送気することによって加圧し、溶湯を所望のキャビティー部分に充填することを特徴とする鋳造方法について説明する。
図13は最も一般的な平込め鋳型に重力注湯する場合に、実施例4と同じゲート湯道3とスリット付のゲート中子10を基本の湯道1の一部に設置した状態を、図14は注湯後の状態を、図15は注湯後、湯口から加圧をして溶湯を所望のキャビティー部分のキャビティー部分に充填した状態を、図16は溶湯充填後、適宜の時間後の溶湯の凝固状態を、それぞれ示した図である。
まず図13では、鋳型17内に製品部18、押湯19、基本の湯道1、湯口23が設けられており、基本の湯道1の一部に本発明の手段4のゲート湯道3とスリット付のゲート中子10を設置した状態を示している。また、鋳型17の上部には、注湯取鍋25が用意されており、これには所望のキャビティー部分24、本例では製品部18と押湯19にほぼ等しい溶湯13が準備されている。
次に図14では、注湯取鍋25から溶湯が注湯された状態を示す。溶湯は湯口23、ゲート湯道3の板状の流路2を通って押湯19及び製品部18に向かって流れるが、溶湯量は所望のキャビティー部分24のみしかないので、当然全キャビティーを充満することはできない。したがって、溶湯13はキャビティー全体に分散充填された状態となる。
図15は、その後、湯口23から圧縮ガスを送気して加圧21を加えキャビティー全体に分散充填された溶湯13を所望のキャビティー部分24に充填した状態を示す。このときも溶湯13は、ゲート湯道3の板状の流路2を通って充填される。次に図16は、溶湯の充填後、適宜の時間経過した後、圧縮ガスの送気を止めて加圧21止めた状態を示す。溶湯充填後、溶湯13はゲート湯道3の板状の湯道2の部分で速やかに凝固するので、圧縮ガスの送気を早期に止めても溶湯は逆流することはない。
上記のように、本発明の鋳造用湯道を用いて、重力注湯と加圧を組合せて所望のキャビティー部分のみに溶湯を充填する鋳造方法を実施することによって、加圧時間を大幅に短縮することができるようになった。その結果、鋳造サイクルを短縮し、かつ所望のキャビティー部分のみに溶湯を充填してゲート湯道で凝固させることで、大幅な溶湯削減すなわち鋳造歩留りの向上を達成することができた。また、逆流防止のための機械的遮断手段を用いる必要がなくなった。
図17、18に手段1及び4を用いた別の実施例6を示す。本実施例では、実施例5と同様であるが、本発明の鋳造用湯道を縦型鋳型において所望のキャビティー部分のみに溶湯を充填する場合を説明する。図17はゲート湯道3とゲート中子10が縦型鋳型26の基本の湯道1の一部に設置されている。所望のキャビティー部分24(ここでは製品部と押湯及び湯道の一部とする)のみの溶湯を注湯後、湯口23から圧縮ガスを送気して加圧21を加えている状態を示す。注湯された溶湯13は全キャビティーを充満することはできないが、加圧21によってゲート湯道3の板状の流路2を通って所望のキャビティー部分24に充填される。
次に図18は、溶湯充填後、適宜の時間の後に、加圧を止めた状態を示す。溶湯はゲート湯道3の板状の湯道2の部分で速やかに凝固が進行するので、加圧21を早期に止めても溶湯が逆流することはない。すなわち、加圧の保持時間を短縮することができる。その結果、鋳造の工程時間を大幅に短縮できるようになった。本例の場合にも工程短縮と鋳造歩留りの向上を得ることができた。このように、減圧、加圧、差圧、重力のひとつ以上の作用圧を用いる鋳造方法において、本発明の鋳造用湯道は大きな作用効果を発揮するものである。
本発明の実施例1の断面図を示す図である。 本発明の実施例1の平面図を示す図である。 本発明の実施例1の凝固状態を示す図である。 本発明の実施例2の断面図を示す図である。 本発明の実施例2の平面図を示す図である。 本発明の実施例2の凝固状態を示す図である。 本発明の実施例3の断面図を示す図である。 本発明の実施例3の平面図を示す図である。 本発明の実施例3の凝固状態を示す図である。 本発明の実施例4の装置構成を示す図である。 本発明の実施例4の加圧中の状態を示す図である。 本発明の実施例4の加圧完了後の状態を示す図である。 本発明の実施例5の鋳型の構成を示す図である。 本発明の実施例5の注湯後の状態を示す図である。 本発明の実施例5の加圧中の状態を示す図である。 本発明の実施例5の加圧完了後の状態を示す図である。 本発明の実施例6の加圧中の状態を示す図である。 本発明の実施例6の加圧完了後の状態を示す図である。
1 基本の湯道 2 板状の流路 3 ゲート湯道
4 溶湯の流れ方向 5 見切面 6 見切面に平行な板状の湯道
7 見切面に直角な板状の湯道 8 繋ぎ湯道 9 ゲートキャビティー
10 ゲート中子 11 中子巾木 12 スリット 13 溶湯
14 加圧室 15 取鍋 16 ストークス 17 鋳型
18 製品部 19 押湯 20 湯道 21 加圧
22 鋳型内部の溶湯 23 湯口 24 所望のキャビティー部分
25 注湯取鍋 26 縦型鋳型

Claims (6)

  1. 加圧、減圧、差圧、重力の一つ以上の作用圧を用いて溶湯を鋳型に注湯する鋳造方法に用いられる湯道であって、基本の湯道の一部に複数の板状の流路からなるゲート湯道を設けたことを特徴とする鋳造用湯道。
  2. 請求項1記載の鋳造用湯道において、前記ゲート湯道が、基本の湯道の一部に鋳型の見切面に平行方向及び直角方向に設けた板状の流路によって構成されていることを特徴とする鋳造用湯道。
  3. 請求項1記載の鋳造用湯道において、前記ゲート湯道が、基本の湯道の一部に適宜の大きさ、形状のゲートキャビティーを設けるとともに、該ゲートキャビティーの中に、ゲートキャビティーよりも小さくほぼ相似形状のゲート中子を設置することにより、ゲートキャビティーとゲート中子の間に形成される隙間による板状の流路によって構成されていることを特徴とする鋳造用湯道。
  4. 請求項3記載の鋳造用湯道において、前記ゲート中子に、溶湯の流れ方向に板状の流路となるスリットを設けたことを特徴とする鋳造用湯道。
  5. 請求項1乃至4いずれかに記載の鋳造用湯道を用いて、溶湯を鋳型に注湯することを特徴とする鋳造方法。
  6. 請求項1乃至4いずれかに記載の鋳造用湯道を用いて、溶湯を通気性鋳型に重力注湯するにあたり、鋳型の全キャビティーのうち溶湯を充填したい所望のキャビティー部分とほぼ等しい体積の溶湯を注湯後、湯口部から圧縮ガスを送気することによって、溶湯を所望のキャビティー部分に充填することを特徴とする鋳造方法。
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