以下、図面を参照して、本発明を実施するための形態について説明する。
<構成>
(遊技機の外観構成)
図1は、本発明の一実施形態に係るパチスロ機1の外観構成を示す図である。図1に示されるように、パチスロ機(回胴遊技機)1は、所謂パチスロなどと称されるゲーム遊技装置であり、入賞判定ライン上の停止図柄の組合せによってメダルの獲得数を増やすことを楽しむものである。
まず、パチスロ機1は、筐体の前面上部に設けられた、様々な演出等を表示する液晶画面等の映像表示装置10を備えている。映像表示装置10の下方中央の透明板に覆われた内側には、リール(回胴)の図柄表示窓11と、メダル保有数を表示するためのメダル保有数表示部12とが設けられている。
図柄表示窓11には、3つの縦長矩形の図柄表示窓11a、11b、11cが並列に配されており、各図柄表示窓11a、11b、11cの内側には、それぞれ外周の前面部分を表示させた3個のリール(回胴)13a、13b、13cが回転自在に設けられている。リール13a、13b、13cは、偏平円筒状をなし外周面に複数種の図柄が一周に亘って配列されたものである。リール13a、13b、13cが3個左右水平方向に指向した回転中心軸を中心に回転自在に支持され、それぞれステップモータ(図示せず)により同一方向に回転され、各図柄表示窓11a、11b、11cには、対応するリール13a、13b、13cの前面に位置した3個の図柄が表示される。3個のリール13a〜13cが停止した状態で、各リール13a、13b、13cにつき、それぞれ上中下段の合計3個の図柄が表示される。よって、図柄表示窓11内全体では、9個の図柄が3行3列に配置されることになり、上中下ラインの水平一直線の3行及び中央の図柄を通る斜めライン一直線の2行の合計5行のラインが入賞ラインとなる(但し、機種によっては、例えば、中ラインの水平一直線の1行のみのものもある)。
また、図柄表示窓11の右側には、再遊技、スタート、ウエイト等のプレイ状態を示す表示器14が設けられている。図柄表示窓11及び表示器14の下端は若干前方に張り出しており、その上面右端にはメダル投入口15が配設され、左端にはMAXBETボタン16a、1BETボタン16b、2BETボタン16cが配置される。
また、MAXBETボタン16aのすぐ下方の張出部には、スタートレバー装置17が配置される。そして、スタートレバー装置17の左下方には、精算ボタン18が配置される。また、張出部の前面にはリール13a、13b、13cの下方の位置にそれぞれ対応して、停止操作部としての第1リール停止ボタン19a、第2リール停止ボタン19b、第3リール停止ボタン19cが配設されている。
筐体の下部には、メダルの払出し口20があり、受け皿21が前方に突設されていて、筐体内部に設けられたホッパーユニット(図示せず)により排出されたメダルが払出し口20から受け皿21に払い出される。また、受け皿21の左右には、スピーカ22が備え付けられており、種々の効果音を出力する。
(遊技機の制御系構成)
図2は、本発明の一実施形態に係るパチスロ機1の制御系構成を示す図である。図2に示すように、パチスロ機1は、キャビネット内部に収納されており、主基板30及び周辺基板40を有している。
主基板30は、メイン制御部としての機能を有するメイン制御基板である。主基板30は、各種演算、パチスロ機1の制御等を行うCPU30aと、パチスロ機1の各種制御プログラムや遊技抽選用の抽選テーブル等を記憶したROM30bと、プログラムの作業領域としての又は一時的なデータの記憶等を行う書き換え可能なRAM30cと、ボタンやスイッチ等からの入力、LED等への出力、回胴ユニット50等の駆動を行うための入出力部30dと、周辺基板40にコマンドを送出する送出部30eとを備えている。
周辺基板40にコマンドを送出する送出部30eは、CPU30aからのコマンド受付及び送出等を行う機能を有している。主基板30は、抽選処理、回胴ユニット50の制御、周辺基板40への演出用のコマンドの送出等を行い、遊技機に関する規則、規格等に基づいた動作を行うように構成されている。
周辺基板40は、サブ制御部としての機能を有するサブ制御基板である。周辺基板40は、主基板30から受信した遊技に要するコマンドに応じて演出処理を実行する。周辺基板40は、演算や映像表示装置10の制御等を行うCPU40aと、映像表示装置10、照明装置23、スピーカ22の制御を行うプログラムを記憶したROM40bと、プログラムの作業領域としての又は一時的なデータの記憶を行う書き換え可能なRAM40cと、映像表示装置10の駆動を行うVDP(Video
Display Processor)40e、スピーカ22から音声や効果音を発生するための音源IC40f、照明等の駆動を行う入出力部40dとを備えている。
また、周辺基板40には、映像表示装置10、照明装置23及びスピーカ22によって様々な演出を行うための、画像データ等からなる演出データがROM40bに記憶されている。周辺基板40は、主基板30から出力される信号によって、ROM40bに記憶している演出データから演出内容を決定し、CPU40aがROM40bに記憶された演出プログラムを実行することにより、演出内容を実現する。また、周辺基板40は、その演出内容に基づいて映像表示装置10、照明装置23及びスピーカ22の駆動を行う。また、周辺基板40は、その演出内容に基づいて、スタートレバー装置17に制御信号を送信することで、スタートレバー装置17の操作可能方向を制限する。この点、再度後述する。
また、パチスロ機1は、図2に示すように、入力デバイスとして、ドアベースの前面に配されたMAXBETボタン16a、1BETボタン16b、2BETボタン16c、スタートレバー装置17、精算ボタン18、第1リール停止ボタン19a、第2リール停止ボタン19b、第3リール停止ボタン19cを備える。
ここで、メイン制御部としての主基板30は、これらの入力デバイスから、入力操作信号を、入出力部30dを介して取得可能に構成されている。主基板30は、例えば、遊技者によりMAXBETボタン16aが押下されると、MAXBETボタン16aから入力操作信号を、入出力部30dを介して取得する。これにより、主基板30は、遊技者がMAXBETボタン16aを押下したことを検知できる。
スタートレバー装置17は、遊技者が遊技開始時に操作して、各リールの回転及び当選役抽選の開始を行わせる入力操作信号を入力するための入力操作装置である(以下、単にスタートレバーともいう)。また、本実施形態に係るスタートレバー装置17は、周辺基板40からの制御信号を受信可能に接続されている。スタートレバー装置17は、周辺基板40からの制御信号を受信すると、制御信号に従って、スタートレバーの操作可能方向を制限する。すなわち、演出に応じて、スタートレバーについて物理的に所定方向への操作をできなくする。通常時、遊技者は上下左右360°いずれの方向からも、スタートレバーを操作可能である。しかしながら、演出に応じて、周辺基板40からスタートレバー装置17に制御信号が送信されると、スタートレバーは所定方向からの操作が不可能となる。例えば、周辺基板40から上方向から下方向への操作を制限(禁止)する制御信号が送信された場合、スタートレバーは上方向から下方向への動きが非可動化され、遊技者は上方向からスタートレバーを操作できなくなる。この点、再度後述する。
第1リール停止ボタン19aは、図柄表示窓11に表示されている直上のリール13aの回転を停止させ、第2リール停止ボタン19bは、直上のリール13bの回転を停止させ、第3リール停止ボタン19cは、直上のリール13cの回転を停止させるための操作ボタンである。なお、それぞれのリール停止ボタンは、リールが一定速度を維持している状態に至った後で作動可能になっている。
回胴ユニット50は、リール13a、リール13b、リール13cを、それぞれ回転させるためのステッピングモータを備えた第1リール駆動部50a−1、第2リール駆動部50b−1、第3リール駆動部50c−1を有し、各リールを独立して回転、停止することが可能となっている。また、回胴ユニット50は、リール13a、リール13b、リール13cの各リールの回転中の位置を検出するための第1リール位置センサ50a−2、第2リール位置センサ50b−2、第3リール位置センサ50c−2を有している。例えば、回転中のリール13aの所定の位置を第1リール位置センサ50a−2で検出し、第1リール位置センサ50a−2で検出した第1リールの所定の位置からステッピングモータを駆動したパルス数をカウントすることにより、第1リールの位置情報を得ることができる。
(スタートレバー装置の機構例)
図3は、本発明の一実施形態に係るスタートレバー装置17の垂直方向断面図(スタートレバー装置17の可動の上下方向に沿った断面図)を示す図である。
スタートレバー装置17は、パチスロ機1のドアベース正面左側部に装着される。コインベット後、遊技者によりスタートレバーが操作されると、パチスロ機1は、入賞役の内部抽選を行うと共に、リール13a、リール13b、リール13cの各リールの回転を開始させる。
レバー軸17aは、円柱状の部材に形成され、先端には球状部材17bが取り付けられている。遊技者からは、ドアベースから突起するこの球状部材17b及びレバー軸17a部分が操作対象となるスタートレバーとして認識される。
また、レバー軸17aは、球状支持部材17cと挿通軸支されており、この球状支持部材17cを支点として、上下左右360°方向に揺動可能である。スタートレバー装置17は、球状支持部材17cの球面に沿うような形状の曲面17gを有する部材17hを有しており、該部材17hは、球状支持部材17cを取り囲むように設けられている。すなわち、球状支持部材17cが該球状支持部材17cを取り囲む曲面17gに篏合する形で設けられているので、レバー軸17aは、ある意味球状支持部材17cを中心に上下左右360°方向に揺動可能なのである。さらに、レバー軸17aは、復帰バネ17dとも支持されており、これにより、上下左右360°方向に操作されたレバー軸17aを初期位置(中心位置)へ復帰させる。なお、復帰バネ17dは、中空円柱状であり、復帰バネ17dの中空部内にレバー軸17aが貫通している。よって、360°どの方向にレバー軸17aが傾いても、復帰バネ17dの復元力によりレバー軸17aは初期位置に復帰することができる。
また、スタートレバー装置17の内部には、センサ17eが備えられている。遊技者により、上下左右360°いずれかの方向からスタートレバーが操作されると、レバー軸17aは球状支持部材17cを支点として可動し、レバー軸17aの先端部(球状部材17bとは対極側に位置する先端部)がセンサ17eに接触する。センサ17eがその先端部の接触を検知すると、スタートレバー操作を示す入力操作信号が主基板30に送信される。
さらに、スタートレバー装置17の内部には、例えば、スタートレバーの操作可能方向を制限する制限手段としてのストッパー17f−1、17f−2、17f−3、17f−4(但し、図3の垂直方向断面図において、ストッパー17f−3、17f−4は非図示)が、レバー軸17aを囲うようにして備えられている。スタートレバー装置17は、例えば、周辺基板40からの制御信号を受信可能に構成されており、周辺基板40からの制御信号を受信すると、ストッパー17fを駆動(作動)させ、スタートレバーの操作可能方向を制限する。
なお、図3は、スタートレバー装置17の垂直方向断面図を示す図であるとした。しかしながら、本実施形態に係るスタートレバー装置17は、上下左右360°いずれかの方向からスタートレバー操作が可能である。このため、図3を、スタートレバー装置17の水平方向断面図を示す図と見立てることも可能である。またこの場合、水平方向断面図(スタートレバー装置17の可動の左右方向に沿った断面図)において、ストッパー17f−3、17f−4は図示され、ストッパー17f−1、17f−2は非図示される。
<スタートレバー操作例>
(ストッパーの非作動時)
図4は、本発明の一実施形態に係るスタートレバー操作例1を示す図である。なお、図4は、図3と同様、スタートレバー装置17の垂直方向断面図を示す。通常時(ストッパー17fの非作動時)、遊技者は上下左右360°いずれの方向からも、スタートレバーを操作可能である。
例えば、図4(a)に示されるように、遊技者が上方向から下方向へスタートレバーを操作すると、レバー軸17aは球状支持部材17cを支点として可動し、レバー軸17aの先端部(球状部材17bとは対極側に位置する先端部)が上方のセンサ17eに接触する。これにより、スタートレバー操作を示す入力操作信号が、センサ17eから主基板30に送信される。
また、例えば、図4(b)に示されるように、例えば、遊技者は下方向から上方向へスタートレバーを操作すると、レバー軸17aは球状支持部材17cを支点として可動し、レバー軸17aの先端部(球状部材17bとは対極側に位置する先端部)が下方のセンサ17eに接触する。これにより、スタートレバー操作を示す入力操作信号が、センサ17eから主基板30に送信される。
(ストッパーの作動時)
図5は、本発明の一実施形態に係るスタートレバー操作例2を示す図である。なお、図5は、図3と同様、スタートレバー装置17の垂直方向断面図を示す。ストッパー17fの作動時、遊技者は、スタートレバーの操作可能方向が制限される。
例えば、図5(a)を参照すると、図4(a)と比べ、ストッパー17f−1が作動し、初期位置からレバー軸17a方向に突起して張り出している。このとき、遊技者が上方向から下方向へスタートレバーを操作した場合、ストッパー17f−1に阻まれ、レバー軸17aは非可動の状態にある。つまり、スタートレバーは上方向から下方向への動きが非可動化され、遊技者は上方向から下方向へスタートレバーを操作できない。
また、レバー軸17aの先端部(球状部材17bとは対極側に位置する先端部)が上方のセンサ17eに接触しないため、スタートレバー操作を示す入力操作信号が、センサ17eから主基板30に送信されることもない。
一方、例えば、図5(b)に示されるように、例えば、遊技者は下方向から上方向へスタートレバーを操作すると、ストッパー17f−1の影響を受けることなく、レバー軸17aは球状支持部材17cを支点として可動し、レバー軸17aの先端部(球状部材17bとは対極側に位置する先端部)が下方のセンサ17eに接触する。これにより、スタートレバー操作を示す入力操作信号が、センサ17eから主基板30に送信される。
このように、ストッパー17f−1が作動しレバー軸17a方向に突起して張り出している場合、スタートレバーは上方向から下方向への動きが非可動化され、遊技者は上方向から下方向へスタートレバーを操作できなくなる。即ち、ストッパー17f−1により、上方向からのスタートレバー操作が制限(禁止)される。一方、遊技者は上方向以外の方向からであればスタートレバーを操作することが可能である。
<ストッパーの作動バリエーション例>
図6は、本発明の一実施形態に係るストッパーの作動バリエーション例を示す図である。図6は、スタートレバー装置17における、ストッパー17f及びレバー軸17aの位置する垂直方向断面図を示す。
図6(a)は、ストッパー17fの非作動時状態を示す。このとき、遊技者は上下左右360°いずれの方向からも、スタートレバーを操作可能である。
図6(b)は、ストッパー17f−1の作動時状態を示す。このとき、ストッパー17f−1がレバー軸17a方向に突起して張り出しており、遊技者が上方向から下方向へスタートレバーを操作した場合、ストッパー17f−1に阻まれ、レバー軸17aは非可動である。つまり、遊技者は上方向から下方向へのスタートレバーを操作できない。
図6(c)は、ストッパー17f−2の作動時状態を示す。このとき、ストッパー17f−2がレバー軸17a方向に突起して張り出しており、遊技者が下方向か上方向へスタートレバーを操作した場合、ストッパー17f−2に阻まれ、レバー軸17aは非可動である。つまり、遊技者は下方向から上方向へのスタートレバーを操作できない。
図6(d)は、ストッパー17f−3の作動時状態を示す。このとき、ストッパー17f−3がレバー軸17a方向に突起して張り出しており、遊技者が左方向か右方向へスタートレバーを操作した場合、ストッパー17f−3に阻まれ、レバー軸17aは非可動である。つまり、遊技者は左方向から右方向へのスタートレバーを操作できない。
図6(e)は、ストッパー17f−4の作動時状態を示す。このとき、ストッパー17f−4がレバー軸17a方向に突起して張り出しており、遊技者が右方向か左方向へスタートレバーを操作した場合、ストッパー17f−4に阻まれ、レバー軸17aは非可動である。つまり、遊技者は右方向から左方向へのスタートレバーを操作できない。
図6(f)は、ストッパー17f−1及びストッパー17f−2の作動時状態を示す。このとき、ストッパー17f−1及びストッパー17f−2がレバー軸17a方向に突起して張り出しており、遊技者が上下いずれの方向へスタートレバーを操作した場合、ストッパー17f−1及びストッパー17f−2に阻まれ、レバー軸17aは非可動である。つまり、遊技者は上下いずれの方向へのスタートレバーを操作できない。
図6(g)は、ストッパー17f−3及びストッパー17f−4の作動時状態を示す。このとき、ストッパー17f−3及びストッパー17f−4がレバー軸17a方向に突起して張り出しており、遊技者が左右いずれの方向へスタートレバーを操作した場合、ストッパー17f−3及びストッパー17f−4に阻まれ、レバー軸17aは非可動である。つまり、遊技者は左右いずれの方向へのスタートレバーを操作できない。
図6(h)は、ストッパー17f−1、ストッパー17f−2、ストッパー17f−3及びストッパー17f−4の作動時状態を示す。このとき、ストッパー17f−1、ストッパー17f−2、ストッパー17f−3及びストッパー17f−4がレバー軸17a方向に突起して張り出しており、遊技者が上下左右いずれの方向へスタートレバーを操作した場合、ストッパー17f−1、ストッパー17f−2、ストッパー17f−3及びストッパー17f−4に阻まれ、レバー軸17aは非可動である。つまり、遊技者は上下左右いずれの方向へのスタートレバーを操作できない。
<ストッパーの作動タイミング例>
次に、ストッパーの作動タイミングについて、ゲーム上の演出内容との関係を踏まえながら、具体的事例を挙げて説明する。
上述の通り、本実施形態に係るスタートレバー装置17は、周辺基板40からの制御信号を受信可能に接続されており、周辺基板40からの制御信号を受信すると、ストッパー17fを駆動(作動)させ、スタートレバーの操作可能方向を制限する。
ここで、パチスロ機1における1ゲームとは、次の手順を含む。まず、遊技者は、コインをベットし、スタートレバーを操作する(叩くともいう)。パチスロ機1は、スタートレバー操作を契機として、入賞役の内部抽選を行うと共に、リールの回転を開始させる。遊技者は、第1〜3リール停止ボタンを押下して、各リールを停止させる。パチスロ機1は、入賞判定ライン上の停止図柄の組合せによってメダルの払い出しを行う。以上で1ゲームが終了する。以降、遊技者は同様の要領で毎ゲームを消化する。
このことから、ストッパーの作動タイミングは、遊技者がスタートレバーを操作するその直前時点よりも前である。よって、例えば、ストッパーの作動タイミングは、次ゲームに備えて、スタートレバーの操作可能方向を制限するべく、1ゲームが終了直後の時点でありうる。また、当該ゲームにおいて、スタートレバーの操作可能方向を制限するべく、コインをベットした直後もありうる。
(例1)
パチスロ機1において、ボーナス又はART(アシストリプレイタイム)などの内部抽選に当選した場合、周辺基板40は、例えば、当選ゲーム(又は演出との兼ね合いによっては以降のゲームでもよい)の終了直後時点で、スタートレバー装置17に対し、ストッパー17f−1を駆動(作動)させるための制御信号を送信する。スタートレバー装置17では、制御信号を受信することで、ストッパー17f−1が駆動(作動)する。これにより、スタートレバーは上方向から下方向への操作が制限されるという、いわば「レバーフリーズ現象」が発生する。
次ゲームを開始すべく、遊技者は、コインをベットし、通常通り上方向からスタートレバーを叩くが、スタートレバーは全く動かない。レバーフリーズ現象の発生である。遊技者は、上方向以外の方向(例えば、左右又は下方向)からスタートレバーを叩くことで、リールが回転を開始する。
一般的に、遊技者は上方向から下方向への一定方向でスタートレバーを繰り返し操作することで毎ゲームを消化するところ、突然又は予兆演出等を伴って、上方向からのスタートレバーが全く動かないというレバーフリーズ現象に遭遇する。
レバーフリーズ現象が発生した場合、遊技者は上方向以外の方向からスタートレバーを操作することでリール回転を開始できるため、従来繰り返し単調で飽きやすいスタートレバー操作に対して、変化や面白みを付与することが可能となる。また、ゲーム設計上、レバーフリーズ現象を、ボーナス等の当選時高確率に発生する演出とすれば、遊技者はレバーフリーズ現象した場合、ボーナス等に対して高い期待度を持ちながら、上方向以外の方向からのスタートレバーを叩くことができる。
なお、実際にボーナス等の内部抽選に当選している場合、レバーフリーズ現象の発生後、映像表示装置10上の映像演出(例えば、バトルに勝利する演出や、ミッションに成功する演出など)と絡めながら、ボーナス等の確定が告知されうる。一方、ボーナス等の内部抽選に当選していない場合には、レバーフリーズ現象を、ハズレ(ガセ)演出として扱うことも可能である。つまり、ボーナス等の内部抽選に当選していない場合でも、レバーフリーズ現象は発生しうる。
また、レバーフリーズ現象発生ゲームが終了後、スタートレバー装置17は、ストッパー17fを再度駆動させ、初期位置に戻すようにする。演出上、レバーフリーズ現象を複数ゲームに跨いで発生させたい場合、周辺基板40からのリセット制御信号を受信することで、ストッパー17fを初期位置に戻すようにしてもよい。
(例2)
また、レバーフリーズ現象そのものが必ずしもボーナス等の当選確定でないとすれば、スタートレバーの操作可能方向の制限を多様化させ、ボーナス等の当選期待度を示唆するようにしてもよい。
例えば、周辺基板40は、スタートレバー装置17に対し、複数のストッパー17f−1、ストッパー17f−3、及びストッパー17f−4を駆動(作動)させるための制御信号を送信する。これにより、スタートレバーは、上方向及び左右方向への操作が同時に制限されるというレバーフリーズ現象が発生する。
次ゲームを開始すべく、遊技者は、コインをベットし、通常通り上方向からスタートレバーを叩くが、スタートレバーは全く動かない。レバーフリーズ現象の発生である。遊技者は、上方向以外の方向、例えば、左又は右方向からスタートレバーを叩く。しかしスタートレバーは依然として全く動かない。最後に、遊技者は、残る下方向からスタートレバーを叩くとリールが回転を開始する。
このように、レバーフリーズ現象時、操作不能な方向が多いほど、ボーナス等の当選期待度(当選可能性)を高くする。遊技者は、通常まずは上方向からスタートレバーを叩くことで、レバーフリーズ現象の発生を認識し、次は右方向から、さらには左方向からといったように、1つ1つの方向への操作を楽しみながら、スタートレバーを叩くことができるようになる。レバーフリーズ現象発生時、遊技者の心理として、リールが回転開始しないことを望みながら、右方向又は左方向からスタートレバーを叩くものであることは言うまでもない。
なお、周辺基板40は、スタートレバー装置17に対し、全部のストッパー17fを駆動(作動)させるための制御信号を送信することで、下方向も含め上下左右360°の全方向への操作が同時に制限されるというレバーフリーズ現象を発生させてもよい。この場合、レバーフリーズ現象発生してから、一定時間経過後、全部又は一部のストッパー17fを初期位置に戻すことで、レバーフリーズ現象を全部又は一部解除させる。
また、演出上、レバーフリーズ現象を複数ゲームに跨いで発生させたい場合、ゲーム毎に、スタートレバーの操作可能方向の制限を変化させることも可能である。例えば、1ゲーム目には「上方向から叩けないレバーフリーズ現象」、2ゲーム目に「上右方向から叩けないレバーフリーズ現象」、3ゲーム目には「上右左方向から叩けないフリーズ現象」、4ゲーム目には「上下右左方向(全方向)から叩けないフリーズ現象」(一定時間経過後、レバーフリーズ現象を解除)を発生させる。このような使い方は、複数ゲームに跨って発生するバトル連続演出などとの親和性が高い。
(例3)
また、レバーフリーズ現象を、高確率や前兆(例えば、ボーナスやART潜伏)など、各種の内部状態を示唆するものとして用いることも可能である。
パチスロ機1において、高確率や前兆など、特定の内部状態に遷移した場合、周辺基板40は、例えば、遷移ゲーム(又は演出との兼ね合いによっては以降のゲームでもよい)の終了直後時点で、スタートレバー装置17に対し、ストッパー17f−1を駆動(作動)させるための制御信号を送信する。スタートレバー装置17では、ストッパー17f−1が駆動(作動)し、レバーフリーズ現象が発生する。周辺基板40は、高確率や前兆など、特定の内部状態中、永続的に又は頻繁にレバーフリーズ現象が発生させるようにする。
なお、特に高確率などの特定の内部状態では、その状態中において、特定役を引くことで(特定役の内部抽選に当選することで)、ボーナスやARTに当選するタイプのパチスロ機がある。特定役の当否は、スタートレバー操作を契機として抽選がなされることから、遊技者にとって、高確率中のスタートレバー操作は力が入る。よって、高確率中を示唆するレバーフリーズ現象が発生すると、遊技者は、通常時とは異なり、例えば、頻繁に下方向からスタートレバーを叩くことなる。これにより、スタートレバー操作に対して一層変化や面白みを付与することが可能となる。
(例4)
また、レバーフリーズ現象を、上級者向けの告知方法として、用いることも可能である。
レバーフリーズ現象の発生に伴って、演出をより盛り上げるため、レバーフリーズ現象に加えて、映像演出などとも連携させることが考えられる。しかし、一例として、上級者向けの告知方法とする場合には、レバーフリーズ現象オンリーとする。レバーフリーズ現象発生時、他の一切の演出を行わない。即ち、上級者はスタートレバーからの情報だけで、周囲者に気付かれることなく、自らだけが大きなチャンス到来をこっそりとを楽しむことができる。これにより、スタートレバー操作に対して一層の面白みを付与することが可能となる。
(例5)
またさらに、上級者はレバーフリーズ現象を予め想定の上、通常時のプレイスタイルを変えて、毎ゲームを楽しむこともできる。具体的に、上級者は、通常時からあえて下方向からスタートレバーを叩くようにして、毎ゲームをプレイする。あるとき、上述のように、上方向から下方向への操作が制限されるというレバーフリーズ現象が発生する。しかしながら、レバーフリーズ現象発生時、他の一切の演出を行わないとするならば、上級者は下方向からスタートレバーを叩いている限り、レバーフリーズ現象発生を認識できない。
このように、遊技者があえてレバーフリーズ現象発生を認識しにくいようプレイスタイルを変えることで、上級者として独特の嗜好に応じて、スタートレバー操作に対して一層の面白みを付与することが可能となる。なお、この場合、上級者は、下方向から上方向への操作制限を含むレバーフリーズ現象が発生した場合のみ、レバーフリーズ現象発生を認識できるため、非常に大きなチャンス到来時のみ、スタートレバー操作に対して一層の面白みを付与することも可能となる。
<不正について>
スタートレバーに関連して、不正(ゴト)の問題がある。パチスロ機は、スタートレバー操作を契機として、入賞役の内部抽選を行う。このため、不正者(ゴト師もという)は、例えば、専用の機械(例えば、低周波発信機)を使い、タイミングを取りながら特定の周期を狙い打つようにスタートレバーを操作することで、不公正な大当たりを獲得する。
具体的に、不正者は、不正を実行する場合、例えば、低周波発信機を腕さらには指先に装着の上、スタートレバーの上に指を乗せる。そして、不正者は、低周波発信機からの信号に従って、繊細にタイミングを取りながら、スタートレバーを操作する。ここで、特定の周期(例えば、ボーナス等の周期)を狙い打つには、特定の周期位置を特定する必要があることから、一定量のゲームプレイ数や時間が必要とされる。
よって、不正者が特定の周期位置を特定する作業中、あるときレバーフリーズ現象が発生すると、上方向からのスタートレバー操作ができなくなる。これにより、あるときには低周波発信機からの信号通りの不正者によるスタートレバー操作を阻害することで、不正者は特定の周期位置を特定しにくくなる。すなわち、最適化されつつある周期調整を途中でリセットさせることができ、低周波発信機を用いた不正者による大当たり等に関する周期特定を完了させないようにすることができる。
<総括>
以上、本実施形態に係るパチスロ機1は、遊技者に対して、スタートレバーの操作可能方向を、任意の方向及び任意のタイミングで制限する。
これにより、遊技者は通常時の方向以外からスタートレバーを操作することでリール回転を開始するため、従来繰り返し単調で飽きやすいスタートレバー操作に対して、変化や面白みを付与することが可能となる。また、このとき、ゲーム設計上、ボーナス等の当選時高確率に発生する演出とすれば、遊技者は、ボーナス等に対して高い期待度を持ちながら、操作可能方向からのスタートレバーを叩くことができる。
また、これにより、低周波発信機などからの信号に従った通りのスタートレバー操作を阻害できるため、不正者は特定の周期位置を特定しにくくなり、ひいては不正低減に寄与することができる。
以上、本実施形態に係るパチスロ機1によれば、一つの側面では、ゲーム性を向上させるスタートレバーの操作演出を提案することができる。また、一つの側面では、不正低減に寄与するスタートレバー機構を提案することができる。
なお、本発明の好適な実施の形態により、特定の具体例を示して本発明を説明したが、特許請求の範囲に定義された本発明の広範な趣旨及び範囲から逸脱することなく、これら具体例に様々な修正及び変更を加えることができることは明らかである。すなわち、具体例の詳細及び添付の図面により本発明が限定されるものと解釈してはならない。
例えば、上述の実施形態に係るスタートレバー装置17は、上下左右360°いずれの方向からも操作可能であるとした。しかしながら、スタートレバー装置は、通常時と比べ、少なくとも一部方向からの操作を制限できればよい。よって、例えば、上下方向からのみ操作可能なスタートレバー装置であれば、任意の方向及び任意のタイミングで、上下方向の何れか一方向からの操作を制限できればよい。
また、上述の実施形態に係るスタートレバー装置17の機構や、ストッパーそれ自体は、あくまで一例であり、本実施形態に限定されるものではない。即ち、スタートレバー装置は、少なくとも一部方向からの操作を制限しうる限り、あらゆるスタートレバー装置の機構を適用しうる。また、ストッパーそれ自体、一定の強度を有する限り、部材や形状等も問わない。