JP2015198740A - 自動血圧測定装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】正確な最低血圧測定値が得られる自動血圧測定装置を提供する。【解決手段】自動血圧測定装置によれば、収縮期末期圧よりも低い圧迫圧の区間で逐次得られたカフ容積脈波PVRから収縮期時相波PVRsysをそれぞれ差し引くことによりカフ容積脈波PVRに含まれる拡張期合成波PVRdiaをそれぞれ抽出し、それら拡張期合成波PVRdiaの振幅に基づいて生体の最低血圧値が算出されることから、その最低血圧値の決定にはカフ容積脈波PVRに含まれる収縮期時相波PVRsysの影響を受けないので、最低血圧値について高い測定精度が得られる。【選択図】図14

Description

本発明は、腕、足首のような生体の一部である被圧迫部位内の抹消動脈から発生する脈波を検出するためにその被圧迫部位に巻回される圧迫帯を備えた自動血圧測定装置に関するものである。
生体の血圧値等の生体の循環器情報は、生体の動脈からその拍動に同期して発生する脈波をその生体の被圧迫部位に巻回された圧迫帯内の圧力振動として検出し、その脈波の大きさの予め設定された変化状態となったときのその圧迫帯の圧迫圧力に基づいて測定される。このような間接血圧測定は、オシロメトリック法或いはカフ振動法として知られている。このようなオシロメトリック法では、圧迫帯の圧迫圧力の連続的変化に伴ってカフに発生する圧力振動であるカフ容積脈波の大きさが増減し、そのカフ脈波の振幅値を結ぶエンベロープ(包絡線)の変曲点付近、或いはカフ脈波振幅をその最大脈振幅値で正規化した振幅比と聴診法による血圧測定値との対比により統計的に血圧値を決定している。たとえば、特許文献1に示す血圧測定装置がそれである。
また、従来では、動脈圧とカフ圧が平衡したときに最大に脈が振れると判断され、管法則と呼ばれる動脈血管の内腔断面積とその血管の貫壁圧力の関係において、管法則に現れるコンプライアンスが最大値を示す圧力が動脈圧の平均血圧に相当するとみなされてきた。その結果、オシロメトリック法の基本原理ではこの管法則を基に上記エンベロープの最大振幅を示すカフ圧力が平均血圧に相当するとされてきた。
特開平07−236617号公報
しかしながら、上記従来のオシロメトリック法で得られる血圧測定値は、予め求めた統計的関係から推定(算出)されるものであり、カフ血圧測定方法の影響を受ける脈波エンベロープの最大値を基礎としており、その精度が十分に得られないという問題があった。
本発明の目的とするところは、血圧値について高い測定精度が得られる自動血圧測定装置を提供することである。
本発明者は、カフ圧が動脈圧の最低血圧値を越えると動脈は容易に圧平し始め、図21に示すように上記管法則のコンプライアンスが最大となるカフ圧力は動脈圧の最低血圧値付近であることを発見した。従来では、大動脈系にみられる血管壁の上記管法則の非線形特性、及び血管内圧が減少し貫壁圧力が負となったときにも円管を維持する弾性繊維に富んだ弾性管特性を、末梢の上腕動脈にも適用して、管法則のコンプライアンスの最大である圧力が平均血圧に相当すると考えられてきた。そのように考えられた原因は腕帯を用いた上腕血圧の測定方法が腕帯の装着部位より下流側の末梢血流循環状態に影響を与える事にあった。即ち、カフ法による血圧測定の過程でカフより末梢側の動脈系に流れ込む血流量に対応して末梢側の動脈圧が上昇し、カフ圧力を越える事によりカフ下の血管が常時開口するため上記カフ容積脈波の振幅が減少した結果、平均血圧値と想定された圧力付近で上記エンベロープの最大値が形成される。図21に示される血管コンプライアンスの最大点より高い貫壁圧力では血管壁弾性の増加により血管コンプライアンスの低下する特性を示し、血管コンプライアンスの最大点より低い貫壁圧力では上記血圧測定条件に影響を受けながら血管コンプライアンスが減少しカフ圧が最低血圧より高くなるにつれて血管が圧平した状態になると判断される。上記のようにカフ容積脈波が最大振幅を示すカフ圧力は血圧測定方法と、測定時の生体の循環状態に依存しており一定では無い。また、前記のようにカフ法による血圧測定では測定時のカフより末梢側の動脈の血流状態に応じて動脈圧(静水圧)が上昇するので、この上昇状態に依存して、カフ圧力が最高血圧値以下から最低血圧値付近にかけて、反射波がカフ容積脈波の心収縮期の頂上付近に重畳する。この過渡的な反射波はカフ容積脈波の振幅を増加させる。従って、従来のオシロメトリック法の、カフ脈波の振幅値を結ぶエンベロープ(包絡線)の変曲点付近、或いはカフ脈波振幅をその最大脈振幅値で正規化した振幅比を用い、統計的に聴診法による血圧値に一致するように推定(測定)された血圧値は、カフ血圧測定方法の影響を受ける脈波エンベロープを基礎としており、それが血圧値の測定精度が十分に得られない原因であると考えられた。
そして、本発明者は、以上の事情を背景として、種々の研究を進めた結果、動脈血管についてその貫壁圧力Pt(=最低血圧値DBP−圧迫帯の圧迫圧Pcuff)[mmHg]と断面積A[cm]との間の関係を表わす、たとえば図21に示すP−A曲線において、動脈血管への入力である圧脈波とその動脈血管からの出力である容積脈波振幅(カフ脈波振幅)との関係を求めて考察すると、P−A曲線のうちの断面積Aが零に近接する部分は貫壁圧力Ptが負となり、カフによる圧迫部位より抹消側で血液が滞留して末梢側の動脈圧(静水圧)が増加するためであることが推定される点、上記P−A曲線上において貫壁圧力Ptの零付近がP−A曲線の最大傾斜であって、動脈血管の最大コンプライアンス部分すなわち動脈血管の最も変形し易い部分であるため、図22に示すように、同じ大きさの入力(圧力波)に対して最大振幅の容積脈波が出力される点、および、図23に示すように、脈圧PP(1拍の管内圧力振幅=1拍の最高血圧値−最低血圧値)[mmHg]をパラメ−タ(媒介変数)として、圧迫帯の圧迫圧Pcuffの変化に伴って変化する容積脈波振幅の各エンベローブの形状は、脈圧PPが小さくなるほど、コンプライアンス曲線に漸近し、エンベロープの最大振幅点が精度良く決定できるので、予め測定された最低血圧値(拡張期血圧)DBPに接近する点に着目した。本発明者は、カフ圧が低下していく過程でカフ容積脈波の振幅が最大振幅から減少する理由は、P−A曲線の最低血圧値付近の急傾斜部を挟んで形成される伝播速度の遅い成分(脈波のうちの緩やかな形状部分)と早い成分(脈波のうちの先鋭化した形状部分)とを含む圧脈波がコロトコフ音を発生するという学説を前提とすると、P−A曲線の最低血圧値付近の急傾斜部すなわち血管コンプライアンスの最大部を低圧側へ過ぎたところで発生する圧脈波が遅い成分が主体的となってコロトコフ音の消失波(最低血圧に対応するコロトコフ音のスワン第5点)に対応すると考えられること、このため、専ら早い成分で振幅が決まるカフ容積脈波の振幅減少に基づいて統計的に最低血圧値を決定するオシロメトリック法による最低血圧値が観血法を用いて測定された最低血圧値から乖離すると推測した。そして、本発明者は、血管コンプライアンスの非線形さは脈波振幅が小さいほど精度良く検出される点、圧脈波は心臓の収縮期に拍出される血液量に依存して形成される収縮期脈波と大動脈系のコンプライアンスにより収縮期に蓄えられた血液を末梢へ循環させる大動脈系に起因した拡張期脈波から形成された複合波として伝導動脈系を伝播するので、カフ圧により前記圧脈波振幅の主成分である収縮期脈波と二次的な成分である拡張期脈波を分離する方法を考案し、脈波のノッチ圧以下の拡張期に発生する相対的に小さな拡張期時相で発生する拡張期時相波を圧脈波から分離して用いて生体の最低血圧値を測定することにより、生体の最低血圧値の精度が高められるのではないかと推定した。カフ圧力が圧脈波の収縮期末期圧より高い場合には、カフ脈波には生体の脈波の収縮期脈波とその収縮期脈波の減衰成分から成る収縮期時相波のみが現れる。上記減衰成分の減衰時定数は平均的な脈波周期の定常時の拡張期血圧のレベルに減衰し、脈波振幅に依存しないと近似できる。カフ圧力が収縮期末期圧より低い場合には、拡張期波及び、血圧測定時のカフとカフ圧力の存在でカフ下流域に滞留(充血)する血液量に依存して静水圧が上昇し過渡現象として反射波が脈波の心収縮期時相に重畳する事がある。上記一過性のカフより末梢側からの反射波の主成分は心収縮期に現れ、カフ圧力が収縮期末期圧直後では心収縮期半ばの波形に重畳しカフ圧力の低下とともに心収縮期前半に重畳開始点が移行し、カフ圧力が最低血圧以下に減圧されると次第に消失して定常状態に復帰する。上記拡張期波と一過性の反射波はカフ圧力の低下とともに現れるが、一般的には拡張期波が先に現れる。若年者のような末梢血管抵抗の小さい場合では収縮期末期圧が低下しており反射波が先に現れることがある。この場合には反射波は遅れており、反射波の容積脈波振幅への影響が少ない。
そこで、本発明者は、上記収縮期時相波を検出し、収縮期末期圧よりも低いカフ圧力で現れる拡張期波を含んだカフ容積脈波から収縮期時相波を差し引き、心拡張期区間で拡張期波を抽出することで、そのカフ容積脈波の数分の1の振幅の拡張期容積脈波の振幅に基づいて生体の最低血圧値を決定すると、観血法による拡張期血圧に近い、カフオシロメトリック法による最低血圧値が高精度で得られた。本発明は、このような知見に基づいて為されたものである。
すなわち、本発明の自動血圧測定装置は、(a) 生体の一部に巻回されて該生体の一部に対する圧迫圧を低下させる圧迫帯を備え、該圧迫帯の圧迫圧を低下させる過程で得られた該圧迫圧を表わすカフ圧信号に含まれる、該生体の脈拍に同期する交流成分であるカフ容積脈波に基づいて該生体の最低血圧値を測定する自動血圧測定装置であって、(b) 前記カフ容積脈波のうち前記カフ圧が前記生体の収縮期末期圧を越える圧力で検出される収縮期時相波とその減衰波形を基準波とし、前記カフ圧が前記生体の収縮期末期圧以下であるときに順次得られる各カフ容積脈波の該カフ容積脈波に含まれる反射波の重畳開始点の振幅と同等となるように前記基準波を調整した収縮期時相波を、それぞれ生成する収縮期時相波生成部と、(c) カフ圧が前記生体の収縮期末期圧以下であるときに順次得られる各カフ容積脈波の波形から前記それぞれ生成された収縮期時相波の波形を差し引くことにより拡張期波と反射波からなる拡張期合成波をそれぞれ生成する拡張期合成波生成部と、(d)前記生成された拡張期合成波の心拡張期区間の成分を抽出した拡張期波に基づいて前記生体の最低血圧値を決定する最低血圧値決定部とを、含むことを特徴とする。
このように構成された自動血圧測定装置によれば、カフ容積脈波から収縮期時相波を差し引くことによりそのカフ容積脈波に含まれる拡張期成分波を抽出し、それら拡張期成分波の振幅に基づいて前記生体の最低血圧値が算出されることから、その最低血圧値の決定にはカフ容積脈波に含まれる収縮期時相波の影響を受けない数分の1程度の小さい脈圧成分が使われるので、最低血圧値について高い測定精度が得られる。
ここで、好適には、たとえば血圧測定中の脈波の平均周期の間隔の移動平均処理を行なうローパスフィルタ処理を施すことで前記カフ圧信号から前記生体野一部への圧迫圧力であるDC成分を抽出し、前記カフ圧信号とDC成分との差分を求めることで前記カフ圧容積脈波を生成するカフ容積脈波生成部と、前記連続するカフ圧容積脈波の収縮期波下降脚の変曲点に対応して生じる一次微分波形の負の極小値が最小となったときのカフ圧力を前記収縮期末期圧として決定する収縮期末期圧決定部とを、さらに含む。このようにすれば、生体の心拍に同期したカフ容積脈波、および、生体の収縮期末期圧が容易に得られる。
また、好適には、前記収縮期末期圧決定部は、共通の時間軸上において、前記カフ容積脈波の一次微分波形の変曲点の検出を二次微分波形の極小点により決定し、上記二次微分波形の負の極小点に対応したカフ容積脈波の振幅値が、上記カフ容積脈波の最大振幅の50[%]を超えたときのカフ圧を前記収縮期末期圧として決定するさらに含む。このようにすれば、拡張期波よりも先行して反射波が収縮期時相波に重なり、前期カフ容積脈波の一次微分波形の負の極小値が最小となる点が拡張期時相に延長する場合でも、収縮期末期圧が正確に決定される。前記カフ容積脈波の一次微分波形の負の極小点が最小となったときのカフ圧を収縮期末期圧として決定する場合は、上記反射波の重畳によって負の極小点がブロードとなって不明確となったり、複数発生したりして収縮期末期圧の精度が得られない場合がある。
また、好適には、前記収縮期時相波生成部は、前記収縮期末期圧より低いカフ圧力で得られたカフ容積脈波の上昇脚から頭頂部にかけての二次微分波の正から負に向かう零クロス点で且つ一次微分波の極小点に対応する、上記カフ容積脈波の変曲点を反射波重畳開始点として決定する反射波重畳開始点決定部と、前記収縮期末期圧より低いカフ圧力で得られたカフ容積脈波と前記基準波とを共通の時間軸上でそれらの立上がり開始点を一致させたときの、前記収縮期時相波の基準波の最大振幅時刻より遅れて上記反射波重畳開始点がある場合にはその基準波の最大振幅値をAESBPとし、その時刻のカフ容積脈波振幅をAPVRとし、前期反射波重畳開始点が基準波の最大振幅時刻より前の脈波上昇脚に存在する場合には、そのカフ容積脈波の前記反射波重畳開始点における振幅値をAPVRとし、上記基準波の前記反射波重畳開始点における振幅値をAESBPとして、その振幅比Aratio(=APVR/AESBP)を求め、その振幅比Aratioを前記基準波に乗算することで前記収縮期時相波を生成する基準波補正部とを、含むものである。このようにすれば、前記収縮期末期圧より低いカフ圧力で得られたカフ容積脈波にそれぞれ含まれる収縮期時相波を容易に得ることができる。
また、好適には、拡張期合成波生成部は、前記共通の時間軸上で、カフ圧が前記生体の収縮期末期圧以下であるときに順次得られる前記カフ容積脈波の振幅から、それぞれについて生成された前記収縮期時相波の振幅をそれぞれ差し引くことで、それぞれの拡張期合成波をカフ圧の減少過程で順次生成させるものである。このようにすれば、時系列的に複数の拡張期合成波が容易に得られる。
また、好適には、前記最低血圧値決定部は、前記拡張期合成波生成部により生成された拡張期合成波のうちの心拡張期区間の一連の拡張期波の最大振幅を示す拡張期波の1つ後の拡張期波に対応するカフ圧を最低血圧値として決定するものである。このようにすれば、観血法すなわちカテーテルを用いた直接法による血圧測定により得られた最低血圧値との相関性が一層高められ、傾向誤差の無い測定精度が得られる。
また、好適には、前記カフ圧の降下期間において逐次得られるカフ容積脈波と前記収縮期末期圧より低いカフ圧力ではカフ容積脈波にそれぞれ含まれる収縮期時相波からなる容積脈波の振幅値を結ぶエンベロープ(包絡線)の変曲点付近、或いは収縮期時相波の振幅をその最大脈振幅値で正規化した振幅比が所定の振幅比となる脈波に対応したカフ圧力を最高血圧値として決定する最高血圧値決定部を、さらに含む。このようにすれば、カフ容積脈波の収縮期時相波成分を用いて最高血圧値を決定するので、前記カフ容積脈波の反射波が重畳した脈波形の振幅が増加しエンベロープに複数の変曲点が現れる場合や脈波形の最大振幅に反射波成分が含まれる状況下で最高血圧値を決定するオシロメトリック法による場合に比較して、最高血圧値の精度が高められる。
生体の被圧迫部位である上腕に巻き付けられる上腕用の圧迫帯を備えた本発明の一実施例の自動血圧測定装置を示している。 図1の圧迫帯の外周面を示す一部を切り欠いた図である。 図2の圧迫帯内に備えられた上流側膨張袋、中間膨張袋、および下流側膨張袋を示す平面図である。 図3の上流側膨張袋、中間膨張袋、および下流側膨張袋を幅方向に切断して示す断面図である。 図1の電子制御装置に備えられた制御機能の要部を説明するための機能ブロック線図である。 血圧測定の開始時点からの時間経過に伴って低下するカフ内の圧力を示すカフ圧信号Spcを破線で例示し、そのカフ圧信号Spcに含まれる直流成分である圧迫圧Pcuffを実線で例示する図である。 共通の時間軸上において、カフ圧信号Spcに含まれる交流成分であるカフ容積脈波PVRを実線で示し、カフ容積脈波PVRの一次微分波形PVR’を破線で例示する図である。 カフ容積脈波PVRの一次微分波形PVR’の負の極小点が最小値を示す時点である収縮期末期圧ESBPの推定点を示す図である。 カフ容積脈波PVR、その一次微分波形PVR’、および二次微分波形PVR”を共通の時間軸上に示し、且つ、カフ容積脈波PVRの振幅A、および二次微分波形PVR”の負の極小点に相当する時点のカフ容積脈波PVR上の振幅値dを示す図である。 図5の電子制御装置に含まれるカフ圧制御部の制御作動を説明するタイムチャートである。 カフ容積脈波PVRの立上り開始点Pfの定義を説明する図である。 圧迫圧Pcuffが収縮期末期圧ESBPより低い区間で得られる一つのカフ容積脈波PVRから、それの立上り開始点Pfが一致し且つそのカフ容積脈波PVRの振幅にそれぞれ一致するように補正された基準波PVRb(収縮期時相波PVRsys)の波形を差し引くことで拡張期合成波PVRdiaが生成されることを説明する図である。 圧迫圧Pcuffが収縮期末期圧ESBPより降下する過程で得られる複数のカフ容積脈波PVRから、それと立上り開始点Pfが一致し且つそのカフ容積脈波PVRの振幅にそれぞれ一致するように補正された基準波PVRb(収縮期時相波PVRsys)を差し引くことで拡張期合成波PVRdiaが生成されることを説明する図である。 圧迫圧Pcuffの降下過程において逐次得られるカフ容積脈波PVRと、収縮期時相波PVRsysと、拡張期合成波PVRdiaとを、共通の時間軸上に示す図である。 図14のうちの拡張期合成波PVRdiaの最大振幅発生時点付近を示す部分拡大図である。 Wオシロメトリック法を用いて、圧迫圧力Pcuffの降下期間において逐次得られるカフ容積脈波PVRと前記収縮期末期圧より低いカフ圧力ではカフ容積脈波にそれぞれ含まれる収縮期時相波からなる容積脈波の振幅値を結ぶエンベロープ(包絡線)と、カフ容積脈波PVRの収縮期時相波の振幅の第1階差とその変曲点(矢印)とを示す図である。 Wオシロメトリック法を用いて、圧迫圧力Pcuffの降下期間において逐次得られるカフ容積脈波PVRと前記収縮期末期圧より低いカフ圧力ではカフ容積脈波にそれぞれ含まれる収縮期時相波からなる容積脈波の振幅値を結ぶエンベロープ(包絡線)と、反射波を含むカフ容積脈波PVRの振幅の第1階差と複数の変曲点(矢印)とを示す図である。 圧迫圧の降下期間に得られたカフ容積脈波PVRの主成分の時間幅Tを説明する図である。 図5の電子制御装置による制御作動の要部を説明するフローチャートである。 実施例の自動血圧測定装置14のWオシロメトリック法により測定された最低血圧値DBPを縦軸に示し、観血法により測定された最低血圧値DBPdirectを横軸に示す相関図である。 生体の動脈血管の貫壁圧力Pt[mmHg]と血管断面積A[cm]との関係を示す図である。 図21により表示されるP−A曲線において、入力された圧力波に対応して出力される容積脈波の関係を説明する図である。 脈圧PP[mmHg]をパラメータとする圧迫圧Pcuffと容積脈波PVRの振幅のエンペローブとの関係を示す図である。
以下、本発明の一実施例を図面を参照して詳細に説明する。なお、以下の実施例において図は適宜簡略化或いは変形されており、各部の寸法比および形状等は必ずしも正確に描かれていない。
図1は、生体の一部である被圧迫部位、たとえば生体の肢体の1つである上腕10に巻き付けられた上腕用の圧迫帯12を備えた本発明の一例の自動血圧測定装置14を示している。この自動血圧測定装置14は、上腕10内の動脈16を止血するのに十分な値まで昇圧させた圧迫帯12の圧迫圧力を予め設定された降圧速度で降圧させる過程において、動脈16の脈動すなわち容積変化に応答して発生する圧力振動を含む圧迫帯12内の圧力を表わすカフ圧信号Spcを読み込むとともに、そのカフ圧信号Spcからその直流(DC)成分すなわち上腕10に対する圧迫圧力を表わすカフ圧Pcuffとその交流成分であるカフ容積脈波PVRとに分離し、それらカフ圧Pcuffおよびカフ容積脈波PVRに基づいてその生体の最高血圧値SBPおよび最低血圧値DBPを測定するものである。
図2は圧迫帯12の外周面を示す一部を切り欠いた図である。図2に示すように、圧迫帯12は、PVC等の合成樹脂により裏面が相互にラミネートされた合成樹脂繊維製の外周側面不織布20aおよび図示しない内周側不織布から成る帯状外袋20と、その帯状外袋20内において幅方向に順次収容され、たとえば軟質ポリ塩化ビニールシートなどの可撓性シートから構成されて独立して上腕10を圧迫可能な上流側膨張袋22、中間膨張袋24、および下流側膨張袋26とを備え、外周側面不織布20aの端部に取り付けられた面ファスナ28に前記内周側不織布の端部に取り付けられた図示しない起毛パイルが着脱可能に接着されることにより、上腕10に着脱可能に装着されるようになっている。上腕10に装着された状態においては、下流側膨張袋26は上流側膨張袋22および中間膨張袋24よりも上腕10内の動脈16の下流側に位置させられる。また、中間膨張袋24は下流側膨張袋26よりも上流側に位置させられ、上流側膨張袋22は下流側膨張袋26および中間膨張袋24よりも上流側に位置させられる。上流側膨張袋22、中間膨張袋24、および下流側膨張袋26は、幅方向に連ねられて前記上腕10を各々圧迫する独立した気室をそれぞれ有するとともに、管接続用コネクタ32、34、および36を外周面側に備えている。それら管接続用コネクタ32、34、および36は、外周側面不織布20aを通して圧迫帯12の外周面に露出されている。
図3は圧迫帯12内に備えられた上流側膨張袋22、中間膨張袋24、および下流側膨張袋26を示す平面図であり、図4はそれらを幅方向すなわち図3の矢印a方向に切断した断面図である。上流側膨張袋22、中流側膨張袋24、および下流側膨張袋26は、それらにより圧迫された動脈16の容積変化に応答して発生する圧力振動である脈波を検出するためのものであり、それぞれ長手状を成している。上流側膨張袋22および下流側膨張袋26は中間膨張袋24の両側に隣接した状態で配置されている。また、中間膨張袋24は上流側膨張袋22および下流側膨張袋26の間に挟まれた状態で圧迫帯12の幅方向の中央部に配置されている。なお、圧迫帯12が前記上腕10に巻き付けられた状態においては、上流側膨張袋22および下流側膨張袋26は上記上腕10の長手方向に所定間隔を隔てて位置させられ、また、中間膨張袋24は上記上腕10の長手方向において連なるように上記上流側膨張袋22および下流側膨張袋26の間に配置させられる。
図4に示すように、中間膨張袋24は所謂マチ構造の側縁部を両側に備えている。すなわち、中間膨張袋24の上腕10の長手方向における両端部には、互いに接近するほど深くなるように互いに接近する方向に折れ込まれた可撓性シートから成る一対の折込溝24fがそれぞれ形成されている。そして、上流側膨張袋22および下流側膨張袋26の中間膨張袋24に隣接する側の隣接側端部22aおよび26aが上記一対の折込溝24f内に差し入れられて配置されるようになっている。これにより、中間膨張袋24の両端部24aおよび24bと上流側膨張袋22の隣接側端部22aおよび下流側膨張袋26の隣接側端部26aとが相互に重ねられた構造すなわちオーバラップ構造となるので、上流側膨張袋22、中間膨張袋24、および下流側膨張袋26が等圧で上腕10を圧迫したときにそれらの境界付近においても比較的均等な圧力分布が得られる。
上流側膨張袋22および下流側膨張袋26も、所謂マチ構造の側縁部を中間膨張袋24とは反対側の端部22bおよび26bに備えている。すなわち、上流側膨張袋22および下流側膨張袋26の中間膨張袋24とは反対側の端部22bおよび26bには、互いに接近するほど深くなるように互いに接近する方向に折れ込まれた可撓性シートから成る折込溝22fおよび26fがそれぞれ形成されている。それら折込溝22fおよび26fを構成するシートは、幅方向に飛び出ないように、上流側膨張袋22および下流側膨張袋26内に配置された貫通穴を備える接続シート38、40を介してその反対側部分すなわち中間膨張袋24側の部分に接続されている。これにより、上流側膨張袋22および下流側膨張袋26の端部22bおよび26bにおいても前記上腕10の動脈16に対する圧迫圧力が他の部分と同様に得られるので、圧迫帯12の幅方向の有効圧迫幅がその幅寸法と同等になる。圧迫帯12の幅方向は12cm程度であり、その幅方向に3つの上流側膨張袋22、中間膨張袋24、および下流側膨張袋26が配置された構造であるから、それぞれが実質的に4cm程度の幅寸法とならざるを得ない。このような狭い幅寸法であっても圧迫機能を十分に発生させるために、中間膨張袋24の両端部24aおよび24bと上流側膨張袋22および下流側膨張袋26の隣接側端部22aおよび26aとが相互に重ねられたオーバラップ構造とされるとともに、上流側膨張袋22および下流側膨張袋26の中間膨張袋24とは反対側の端部22bおよび26bが所謂マチ構造の側縁部とされている。
上流側膨張袋22および下流側膨張袋26の中間膨張袋24側の端部22aおよび26aと、それが差し入れられている一対の折込溝24fの内壁面すなわち相対向する溝側面との間には、圧迫帯12の長手方向の曲げ剛性よりもその圧迫帯12の幅方向の曲げ剛性が高い剛性の異方性を有する長手状の遮蔽部材42がそれぞれ介在させられている。この遮蔽部材42は、上流側膨張袋22および下流側膨張袋26、或いは中間膨張袋24と同様の長さ寸法を備えている。
上記遮蔽部材42は、たとえば、上腕10の長手方向すなわち圧迫帯12の幅方向に平行な樹脂製の複数本の可撓性中空管44が互いに平行な状態で、上腕10の周方向すなわち圧迫帯12の長手方向に連ねて配列されるとともに、それら可撓性中空管44が型成形或いは接着により直接に或いは粘着テープなどの可撓性シート等の他の部材を介して間接的に相互に連結されることにより構成されている。上記遮蔽部材42は、上流側膨張袋22および下流側膨張袋26の中間膨張袋24側の端部22aおよび26aの外周側の複数箇所に設けられた複数の掛止シート46に掛け止められている。
図1に戻って、自動血圧測定装置14においては、空気ポンプ50、急速排気弁52、および排気制御弁54が主配管56にそれぞれ接続されている。その主配管56からは、上流側膨張袋22に接続された第1分岐管58、中間膨張袋24に接続された第2分岐管62、および下流側膨張袋26に接続された第3分岐管64がそれぞれ分岐させられている。上記第1分岐管58は、空気ポンプ50と上流側膨張袋22との間を直接開閉するための第1開閉弁E1を直列に備えている。また、上記主配管56は、空気ポンプ50、急速排気弁52、および排気制御弁54と、上記各分岐管との間を直接開閉するための第2開閉弁E2を直列に備えている。また、上記第3分岐管64は、空気ポンプ50と下流側膨張袋26との間を直接開閉するための第3開閉弁E3を直列に備えている。そして、上流側膨張袋22内の圧力値を検出するための第1圧力センサT1が第1分岐管58に接続され、中間膨張袋24内の圧力値を検出するための第2圧力センサT2が第2分岐管62に接続され、下流側膨張袋26内の圧力値を検出するための第3圧力センサT3が第3分岐管64に接続されている。
電子制御装置70には、第1圧力センサT1、第2圧力センサT2、および第3圧力センサT3から、上流側膨張袋22内の圧力値すなわち上流側膨張袋22の圧迫圧力値PC1を示す第1カフ圧信号、中間膨張袋24内の圧力値すなわち中間膨張袋24の圧迫圧力値PC2を示す第2カフ圧信号、および下流側膨張袋26内の圧力値すなわち下流側膨張袋26の圧迫圧力値PC3を示す第3カフ圧信号がそれぞれ供給される。電子制御装置70は、CPU72、RAM74、ROM76、および図示しないI/Oポートなどを含む所謂マイクロコンピュータである。この電子制御装置70は、CPU72がRAM74の記憶機能を利用しつつ予めROM76に記憶されたプログラムにしたがって入力信号を処理し、電動式の空気ポンプ50、急速排気弁52、排気制御弁54、第1開閉弁E1、第2開閉弁E2、および第3開閉弁E3をそれぞれ制御することにより、膨張袋22、24、および26を用いて同じ圧迫圧で上腕10を圧迫するとともに、その圧迫圧を予め設定された速度で降下させる過程で、上腕10の動脈16の容積変化に応答してそれぞれ発生する膨張袋22、24、および26内の圧力を表わす第1カフ圧信号、第2カフ圧信号、第3カフ圧信号をそれぞれ採取する。また、電子制御装置70は、たとえば徐々に降下するカフ圧を示す第2カフ圧信号を平滑化処理した後でローパスフィルタを通すことにより第2カフ圧信号のDC成分を抽出するとともに、第2カフ圧信号からDC成分を差し引くことで、カフ圧信号に含まれる交流成分であるカフ容積脈波信号SM2を生成し、以下に示すWオシロメトリック法を用いてそのカフ容積脈波信号SM2に基づいて前記生体の収縮期脈波の振幅のエンベロープから最高血圧値SBP、拡張期脈波の振幅のエンベロープから最低血圧値DBPを算出し、表示装置78にその演算結果である測定値を表示させる。この電子制御装置70には、血圧値測定起動部80からの出力信号も供給される。この血圧値測定起動部80は、図示しない起動釦を用いた手動による起動操作に応答して、或いは予め設定された血圧測定周期毎に、血圧測定開始の指令信号を出力するものである。
図5は、電子制御装置70に備えられた制御機能の要部を説明するための機能ブロック線図である。図5において、カフ圧制御部82は、血圧測定開始の指令信号が血圧値測定起動部80から供給された場合に、急速排気弁52および排気制御弁54を閉じ、第1開閉弁E1、第2開閉弁E2、および第3開閉弁E3を開いた状態で空気ポンプ50を起動させることにより、上流側膨張袋22、中間膨張袋24、および下流側膨張袋26による上腕10の動脈16への圧迫圧力値PCをその動脈16における最高血圧値SBPよりも充分に高い値に予め設定された昇圧目標圧力値PCM(たとえば180[mmHg])までそれぞれ急速に昇圧させる。例えば、中間膨張袋24の圧迫圧力値PC2が上記昇圧目標圧力値PCM以上となるまで各膨張袋を昇圧する。続いて、カフ圧制御部82は、排気制御弁54を用いて、上記昇圧させた上流側膨張袋22、中間膨張袋24、および下流側膨張袋26の圧迫圧力値PCをたとえば3〜5[mmHg/sec]程度に予め設定された徐速降圧速度でそれぞれ同時に徐速降圧させ、上流側膨張袋22、中間膨張袋24、および下流側膨張袋26で均等な圧で圧迫される上腕10の圧迫圧力を降下させる。そして、カフ圧制御部82は、中間膨張袋24の圧迫圧力値PC2が、上記動脈16における最低血圧値DBPよりも充分に低い値に予め設定された測定終了圧力値PCE(たとえば30[mmHg])よりも小さくなったときに、急速排気弁52を用いて上流側膨張袋22、中間膨張袋24、および下流側膨張袋26内の圧力をそれぞれ大気圧まで排圧する。
カフ圧信号記憶部84は、カフ圧制御部82により上流側膨張袋22、中間膨張袋24、および下流側膨張袋26の圧迫圧力値PCがそれぞれ徐速降圧させられる過程において、第1圧力センサT1、第2圧力センサT2、および第3圧力センサT3からの出力信号、とりわけ第2圧力センサT2からの出力信号をカフ圧信号Spcとして用いる。
カフ容積脈波生成部86は、たとえば血圧測定中の脈波の平均周期の間隔の移動平均を行う実質的なローパスフィルタ処理を上記カフ圧信号Spcに施すことで、そのカフ圧信号SpcからそのDC成分すなわち上腕10に対する圧迫圧力を表わす圧迫圧(カフ圧)Pcuffを生成するとともに、カフ圧信号Spcとカフ圧Pcuffとの差分を求めることでカフ圧信号Spcに含まれる交流成分であるカフ容積脈波PVRとを生成する。たとえば図6の破線はカフ圧信号Spcを示し、図6の実線は圧迫圧Pcuffを示している。また、図7の実線は、カフ容積脈波PVRを示している。
収縮期末期圧決定部88は、カフ容積脈波PVRをたとえばカットオフ周波数が0.5[Hz]のハイパスフィルタを通すことにより、図7の破線および図8に示されるカフ圧容積脈波PVRの一次微分波形PVR’を求める。次いで、その一次微分波形PVR’の負の極小値が最小となったときの圧迫圧Pcuffを生体の心臓の収縮期末期圧ESBPとして決定する。一次微分波形PVR’の負の極小値は心臓の拡張期に発生する成分である拡張期波が表れると減衰する性質があることを利用して、一次微分波形PVR’の負の極小値が最小となったときの圧迫圧Pcuffを収縮期末期圧として決定するものである。
また、収縮期末期圧決定部88は、上記に加えて或いはそれとは別に、カフ容積脈波PVRをたとえばカットオフ周波数が1.0[Hz]のハイパスフィルタを2回通すことにより、図9の2点鎖線に示されるカフ容積脈波PVRの二次微分波形PVR”を求める。次いで、その共通の時間軸上において、カフ容積脈波PVRの二次微分波形PVR”の負の極小点に相当する時点のカフ容積脈波PVR上の振幅値dが、そのカフ容積脈波PVRの振幅Aの予め定められた所定割合たとえば50%を超えたときの圧迫圧Pcuffを収縮期末期圧ESBPとして決定する。この所定割合は、予め実験的に求められたものである。
収縮期時相波生成部90は、一連のカフ容積脈波PVRのうち圧迫帯12(中間膨張袋24)内の圧迫圧(カフ圧)Pcuffが生体の心臓の収縮期末期圧ESBPであるときに発生した1つのカフ容積脈波PVRである収縮期末期圧容積脈波PVRESBPよりも1つ前に発生した容積脈波を基準波PVRbとし、圧迫圧Pcuffが生体の収縮期末期圧ESBP以下であるときに順次得られる各カフ容積脈波PVRのうちそのカフ容積脈波PVRに含まれる拡張期合成波PVRdiaの重畳開始点の振幅と同等となるように前記基準波PVRbの振幅をそれぞれ調整(補正)した収縮期時相波PVRsysを、それぞれ生成する。すなわち、収縮期時相波生成部90は、一連のカフ容積脈波PVRのうち圧迫帯12(中間膨張袋24)内の圧迫圧(カフ圧)Pcuffが生体の心臓の収縮期末期圧ESBPであるときに発生した1つのカフ容積脈波PVRである収縮期末期圧容積脈波PVRESBPよりも1つ前に発生した容積脈波を基準波PVRbとする基準波決定部92と、圧迫圧(カフ圧)Pcuffが生体の心臓の収縮期末期圧ESBPより低い区間で得られたカフ容積脈波PVRの二次微分波PVR”の正から負に向かう零クロス点で且つ一次微分波PVR’の極小点に対応する、カフ容積脈波PVRの基線BL上の点を反射波重畳開始点Prsとして決定する反射波重畳開始点決定部94と、圧迫圧(カフ圧)Pcuffが生体の心臓の収縮期末期圧ESBPより低い区間で複数得られたうちの1つのカフ容積脈波PVRと基準波PVRbとを共通の時間軸上で相互の立上り開始点(フット点)Pfを一致させたときの、前記収縮期時相波の基準波の最大振幅時刻より遅れて上記反射波重畳開始点がある場合にはその基準波の最大振幅値をAESBPとし、その時刻のカフ容積脈波振幅をAPVRとし、前期反射波重畳開始点が基準波の最大振幅時刻より前の脈波上昇脚に存在する場合には、そのカフ容積脈波の前記反射波重畳開始点における振幅値をAPVRとし、上記基準波の前記反射波重畳開始点における振幅値をAESBPとして、その振幅比Aratio(=APVR/AESBP)を個々のカフ容積脈波PVR毎に求め、その振幅比Aratioを基準波の最大振幅値AESBPに乗算して個々のカフ容積脈波PVRの振幅に基準波PVRbの振幅をそれぞれ一致させる補正をすることで収縮期時相波PVRsysを生成する基準波補正部96とを、含む。
図10は、上記反射波重畳開始点決定部94におけるカフ容積脈波PVR内の反射波重畳開始点Prsの決定方法を説明する図である。図10において、共通の時間軸上のカフ容積脈波PVRの一次微分波PVR’およびカフ容積脈波PVRの二次微分波PVR”において、二次微分波PVR”の零クロス点Z、および一次微分波PVR’の極小点PBが求められ、二次微分波PVR”の零クロス点Zで且つ一次微分波PVR’の極小点PBに対応する、カフ容積脈波PVRの基線BL上の変曲点が、反射波重畳開始点Prsとして決定される。
また、上記基準波補正部96において、カフ容積脈波PVRおよび基準波PVRbの立上り開始点(フット点)Pfは、図11に示すように求められる。たとえば図11に示されているカフ容積脈波PVRにおいて、カフ容積脈波PVRの振幅の20[%]に相当する点P20と50[%]に相当する点P50とを結ぶ直線Lがカフ容積脈波PVRの基線BLと交差する点が、基準波PVRbの立上り開始点(フット点)Pfとして決定される。
拡張期合成波生成部98は、圧迫圧Pcuffが収縮期末期圧ESBPより低い区間で順次得られる各カフ容積脈波PVRから、それの立上り開始点Pfが一致し且つそのカフ容積脈波PVRの振幅にそれぞれ一致するように補正された基準波PVRbすなわち収縮期時相波PVRsys(=Aratio×PVRb)の波形をそれぞれ差し引くことで拡張期合成波PVRdiaを、図12或いは図13に示すようにそれぞれ生成する。図12では、1つの波形について、2点鎖線で示されているカフ容積脈波PVRから、その振幅に一致するように補正された基準波PVRbすなわち収縮期時相波PVRsys(破線で示された波形)が差し引かれることにより生成された拡張期合成波PVRdiaが、実線で示されている。図13では、圧迫圧Pcuffが収縮期末期圧ESBPより降下する過程で得られた複数のカフ容積脈波PVRが2点鎖線で示され、そのカフ容積脈波PVRの立上り開始点Pfが一致し且つそのカフ容積脈波PVRの振幅にそれぞれ一致するように補正された基準波PVRbすなわち収縮期時相波PVRsysが破線で示され、カフ容積脈波PVRから収縮期時相波PVRsysを差し引くことで得られた拡張期合成波PVRdiaが、実線で示されている。この拡張期合成波PVRdiaは、動脈の分岐点から反射される反射波と拡張期に発生する拡張期時相波との合成波である。図13の矢印は、収縮期末期圧ESBPに対応する時点と収縮期末期圧容積脈波PVRESBPとを示している。
最低血圧値決定部100は、Wオシロメトリック法を用いて拡張期合成波生成部98により生成された拡張期合成波PVRdiaの振幅変化に基づいて生体の最低血圧値DBPを算出する。最低血圧値決定部100は、たとえば、圧迫圧Pcuffが収縮期末期圧ESBPより降下する過程で順次得られる各カフ容積脈波PVRから収縮期時相波PVRsysを差し引くことで得られた複数の拡張期合成波PVRdiaは、時系列的に振幅が最大振幅まで増加した後減少する。最低血圧値決定部100は、拡張期合成波生成部98により生成された一連の拡張期合成波PVRdiaのうちの最大振幅を示す拡張期合成波の1つ後の拡張期合成波PVRdiaの発生時点に対応する圧迫圧力Pcuffを最低血圧値DBPとして決定する。図14では、圧迫圧力Pcuffの降下過程において逐次得られるカフ容積脈波PVRのうちの収縮期時相波PVRsysと重なる部分は破線で、重ならない部分が2点鎖線で示され、収縮期時相波PVRsysが破線で示され、拡張期合成波PVRdiaが実線で示されている。拡張期合成波のうち心拡張期領域の波形を前期脈波の立ち上がり点から300[msec]以降の時間領域で抽出すると拡張期波が得られる。図15は図14のうちの拡張期合成波PVRdia抽出分離された拡張期波PVRdiaの最大振幅発生時点付近を示す部分拡大図である。図14および図15の矢印は、最大振幅を示す拡張期波PVRdiaの1つ後で発生した拡張期波PVRdiaの発生時点すなわち最低血圧値DBPとして決定された圧迫圧力Pcuffに対応する時点を示している。
最高血圧値決定部102は、Wオシロメトリック法を用いて、たとえば、圧迫圧力Pcuffの降下期間において逐次得られるカフ容積脈波PVRと前記収縮期末期圧より低いカフ圧力ではカフ容積脈波にそれぞれ含まれる収縮期時相波からなる容積脈波の振幅値を結ぶエンベロープ(包絡線)の変曲点付近、或いは収縮期時相波の振幅をその最大脈振幅値で正規化した振幅比が所定の振幅比となる脈波に対応した圧迫圧力Pcuffが、最高血圧値SBPとして決定される。上記カフ容積脈波PVRの収縮期時相波の振幅の第1階差のポイントを示す黒点とその変曲点を示す矢印が、図16に示されている。また、図17では、反射波を含むカフ容積脈波PVRの振幅の第1階差のポイントを示す黒点とその複数の変曲点が矢印で示されている。図18は、容積脈波PVRの主成分の時間幅Tを示している。
図19は、上記電子制御装置70の制御作動の要部を説明するフローチャートである。図示しない電源スイッチが投入されると初期状態とされる。この初期状態では、第1開閉弁E1、第2開閉弁E2、第3開閉弁E3、および急速排気弁52は常開弁であるため開状態(非作動状態)とされ、排気制御弁54は常閉弁であるため閉状態(非作動状態)とされ、また、空気ポンプ50は非作動状態とされている。
次いで、図示しない起動操作装置が操作されて自動血圧測定装置14の測定動作が開始されると、先ず、前記カフ圧制御部82に対応する図19のステップ(以下、「ステップ」を省略する)S1においては、圧迫帯12の圧迫圧力値が昇圧される。具体的には、急速排気弁52が閉状態とされるとともに、空気ポンプ50が作動状態とされてその空気ポンプ50から圧送される圧縮空気により主配管56内およびそれに連通された上流側膨張袋22、中間膨張袋24、および下流側膨張袋26内の圧力が急速に高められる。そして、圧迫帯12による上腕10の圧迫が開始される。
上記S1に次いで、前記カフ圧制御部82に対応するS2においては、中間膨張袋24の圧迫圧力値PC2を示すカフ圧信号PK2に基づいて、その圧迫圧力値PC2が生体の最高血圧値よりも高くなるように予め設定された昇圧目標圧力値PCM(たとえば180[mmHg])以上であるか否かが判定される。上記S2の判定が否定されて図19のS1以下が繰り返し実行される。
しかし、S2の判定が肯定されると、前記カフ圧制御部82に対応するS3において、空気ポンプ50の作動が停止される。そして、昇圧させた上流側膨張袋22、中間膨張袋24、および下流側膨張袋26の圧迫圧力値PC1、PC2、およびPC3が例えば3〜5[mmHg/sec]に予め設定された所定の徐速降圧速度でそれぞれ同時に降圧するように排気制御弁54が作動させられ、徐速排気が開始される。これにより、図6に示すように、カフ圧信号Spcが減少し、圧迫圧力Pcuffが降下させられる。
S3に次いで、カフ圧信号記憶部84に対応するS4では、圧迫圧力値PC1、PC2、およびPC3がそれぞれ所定の降圧速度で降下される間に、カフ圧信号SpcがRAM74に記憶される。次に、前記カフ圧制御部82に対応するS5では、カフ圧信号Spcが予め設定された測定終了圧力値PCE(たとえば30[mmHg])以下であるか否かが判定される。このS5の判定が否定されるうちは図19のS3以下が繰り返し実行されるが、S5の判定が肯定されると、前記カフ圧制御部82に対応するS7において、上流側膨張袋22、中間膨張袋24、および下流側膨張袋26内の圧力がそれぞれ大気圧まで排圧させられるように急速排気弁52が作動させられる。
続いて、前記カフ容積脈波生成部86に対応するS7では、RAM74に記憶されたカフ圧信号Spcに、たとえば血圧測定中の脈波の平均周期の間隔の移動平均を行う実質的なローパスフィルタ処理が施されることで、そのカフ圧信号SpcからそのDC成分すなわち上腕10に対する圧迫圧力を表わす圧迫圧力(カフ圧力)Pcuffが生成される。また、カフ圧信号Spcと圧迫圧力(カフ圧力)Pcuffとの差分が求められることでカフ圧信号Spcに含まれる交流成分であるカフ容積脈波PVRが生成される。
次に、前記収縮期末期圧決定部88に対応するS8では、カフ容積脈波PVRがたとえばカットオフ周波数が0.5[Hz]のハイパスフィルタに通されることで、カフ圧容積脈波PVRの一次微分波形PVR’が求められる。そして、その一次微分波形PVR’の負の極小値が最小となったときの圧迫圧力Pcuffが生体の心臓の収縮期末期圧ESBPとして決定される。
また、上記収縮期末期圧決定部88に対応するS8では、上記に加えて或いはそれに替えて、カフ容積脈波PVRがたとえばカットオフ周波数が1.0[Hz]のハイパスフィルタに2回通されることにより、カフ容積脈波PVRの二次微分波形PVR”が求められる。そして、共通の時間軸上において、カフ容積脈波PVRの二次微分波形PVR”の負の極小点に相当する時点のカフ容積脈波PVR上の振幅値dが、そのカフ容積脈波PVRの振幅Aの予め定められた所定割合たとえば50[%]を超えたときの圧迫圧力Pcuffが収縮期末期圧ESBPとして決定される。拡張期波よりも先行して反射波が収縮期時相波に重なり、前記カフ容積脈波の一次微分波形の負の極小値が最小となる点が拡張期時相に延長する場合、例えば前記カフ容積脈波の立ち上がり点から上記一次微分波形の負の極小点が260[msec]を越えるような場合は、その負の極小点が最小となったときの圧迫圧力Pcuffが生体の心臓の収縮期末期圧ESBPに替えて、上記振幅dがカフ容積脈波PVRの振幅Aの50[%]を超えたときの圧迫圧力Pcuffから決定された収縮期末期圧ESBPが用いられる。
次いで、前記収縮期時相波生成部90に対応するS9では、一連のカフ容積脈波PVRのうち圧迫帯12(中間膨張袋24)内の圧迫圧力(カフ圧力)Pcuffが生体の心臓の収縮期末期圧ESBPであるときに発生した1つのカフ容積脈波PVRである収縮期末期圧容積脈波PVRsysよりも1つ前に発生した容積脈波が基準波PVRbとされ、圧迫圧力Pcuffが生体の収縮期末期圧ESBP以下であるときに順次得られる各カフ容積脈波PVRのうちそのカフ容積脈波PVRに含まれる拡張期合成波PVRdiaの重畳開始点の振幅と同等となるように前記基準波PVRbの振幅をそれぞれ調整(補正)した収縮期時相波PVRsysが、それぞれ生成される。
次いで、前記拡張期合成波生成部98に対応するS10では、圧迫圧力Pcuffが収縮期末期圧ESBPより低い区間で順次得られる各カフ容積脈波PVRから、それの立上り開始点Pfが一致し且つそのカフ容積脈波PVRの振幅にそれぞれ一致するように補正された基準波PVRbすなわち収縮期時相波PVRsys(=Aratio×PVRb)の波形をそれぞれ差し引くことで拡張期合成波PVRdiaが、図12或いは図13に示すようにそれぞれ生成される。
最低血圧値決定部100に対応するS11では、拡張期合成波生成部98により生成された拡張期合成波のうちの心拡張期領域の波形を前期脈波の立ち上がり点から300[msec]以降の時間領域で抽出した拡張期波について、一連の拡張期波PVRdiaのうちの最大振幅を示す拡張期波の1つ後の拡張期波PVRdiaが決定され、その1つ後の拡張期波PVRdiaの発生時点に対応する圧迫圧力Pcuffが最低血圧値DBPとして決定される。
最高血圧値決定部102に対応するS12では、圧迫圧力Pcuffの降下期間において逐次得られるカフ容積脈波PVRと前記収縮期末期圧より低いカフ圧力ではカフ容積脈波にそれぞれ含まれる収縮期時相波からなる容積脈波の振幅値を結ぶエンベロープ(包絡線)の変曲点付近、或いは収縮期時相波の振幅をその最大脈振幅値で正規化した振幅比が所定の振幅比となる脈波に対応した圧迫圧力Pcuffが、最高血圧値SBPとして決定される。そして、S13では、上記のようにして決定された最高血圧値SBPおよび最低血圧値DBPを示す血圧データが出力されるともに、それら最高血圧値SBPおよび最低血圧値DBPが表示装置78に表示される。
上述のように、本実施例の自動血圧測定装置14によれば、収縮期末期圧よりも低い圧迫圧力Pcuffの区間で逐次得られたカフ容積脈波PVRから収縮期時相波PVRsysをそれぞれ差し引くことによりカフ容積脈波PVRに含まれる拡張期合成波PVRdiaをそれぞれ抽出し、それら拡張期合成波の心拡張期領域の拡張期波PVRdiaの振幅に基づいて生体の最低血圧値DBPが算出されることから、その最低血圧値DBPの決定にはカフ容積脈波PVRに含まれる収縮期時相波PVRsysの数分の1程度の小さな振幅の拡張期波が用いられるので、最低血圧値DBPについて高い測定精度が得られる。因みに、図20は、観血法により測定された最低血圧値DBPdirectを横軸とし、上記のように決定された最低血圧値DBPを縦軸とした図であって、相互に高い相関を示し傾向誤差が見られない。
また、本実施例の自動血圧測定装置14によれば、たとえば血圧測定中の脈波の平均周期の間隔の移動平均処理を行なうローパスフィルタ処理を施すことでカフ圧信号SpcからそのDC成分である圧迫圧力Pcuffを抽出し、そのカフ圧信号SpcとそのDC成分である圧迫圧力Pcuffとの差分を求めることでカフ圧容積脈波PVRを生成するカフ容積脈波生成部86と、カフ圧容積脈波PVRの一次微分波形PVR’の負の極小点が最小となったときの圧迫圧力(カフ圧力)Pcuffを収縮期末期圧ESBPとして決定する収縮期末期圧決定部88とを、さらに含む。このため、生体の心拍に同期したカフ容積脈波PVR、および、生体の収縮期末期圧ESBPが容易に得られる。
また、本実施例の自動血圧測定装置14によれば、収縮期末期圧決定部88は、共通の時間軸上において、カフ容積脈波PVRの二次微分波形PVR”の負の極小点に相当する時点のカフ容積脈波PVR上の振幅値dが、カフ容積脈波PVRの振幅Aの50[%]を超えたときの圧迫圧力(カフ圧力)Pcuffを収縮期末期圧ESBPとして決定する。このため、拡張期波よりも先行して反射波が収縮期時相波に重なり、前期カフ容積脈波の一次微分波形の負の極小値が最小となる点が拡張期時相に延長する場合でも、収縮期末期圧ESBPが正確に決定される。カフ容積脈波PVRの一次微分波形PVR’の負の極小値が最小となったときの圧迫圧力(カフ圧力)Pcuffを収縮期末期圧ESBPとして決定する場合は、反射波の重畳によって負の極小点がブロードで不明確となったり、極小点が複数発生したりして収縮期末期圧ESBPの精度が得られない場合がある。
また、本実施例の自動血圧測定装置14によれば、収縮期時相波生成部90は、収縮期末期圧ESBPであるときに発生した収縮期末期圧容積脈波PVRESBPよりも1つ前に発生したカフ容積脈波を基準波PVRbとして決定する基準波決定部92を、含む、この場合、その収縮期末期圧容積脈波PVRESBPよりも1つ前に発生したカフ容積脈波は、反射波或いは拡張期時相波の影響を受けない純粋な容積脈波であることから、そのような基準波PVRbから得られた拡張期合成波PVRdiaの形状が正確となり、その拡張期合成波PVRdiaに基づいて測定される最低血圧値DBPの精度が、一層高められる。
また、本実施例の自動血圧測定装置14によれば、収縮期時相波生成部90は、収縮期末期圧ESBPより低い圧迫圧Pcuffで得られたカフ容積脈波PVRの上昇脚から頭頂部にかけての二次微分波PVR”の正から負に向かう零クロス点で且つ一次微分波PVR’の極小点に対応する、カフ容積脈波PVRの変曲点を反射波重畳開始点Prsとして決定する反射波重畳開始点決定部94と、収縮期末期圧ESBPより低い圧迫圧力Pcuffで得られたカフ容積脈波PVRと基準波PVRbとを共通の時間軸上でそれらの立上がり開始点Pfを一致させたときの、前記収縮期時相波の基準波の最大振幅時刻より遅れて上記反射波重畳開始点がある場合にはその基準波の最大振幅値をAESBPとし、その時刻のカフ容積脈波振幅をAPVRとし、前期反射波重畳開始点が基準波の最大振幅時刻より前の脈波上昇脚に存在する場合には、そのカフ容積脈波の前記反射波重畳開始点における振幅値をAPVRとし、上記基準波の前記反射波重畳開始点における振幅値をAESBPとして、その振幅比Aratio(=APVR/AESBP)を求め、その振幅比Aratioを基準波PVRbに乗算することで収縮期時相波PVRsysを生成する基準波補正部96とを、含むものである。このため、収縮期末期圧ESBPより低い圧迫圧力Pcuffで得られたカフ容積脈波PVRにそれぞれ含まれる収縮期時相波PVRsysを容易に得ることができる。
また、本実施例の自動血圧測定装置14によれば、拡張期合成波生成部98は、共通の時間軸上で、圧迫圧力Pcuffが生体の収縮期末期圧ESBP以下であるときに順次得られるカフ容積脈波PVRの形状(振幅)から、それぞれについて生成された収縮期時相波PVRsysの形状(振幅)をそれぞれ差し引くことで、それぞれの拡張期合成波PVRdiaを圧迫圧力Pcuffの減少過程で順次生成させるものである。このため、時系列的に複数の拡張期合成波PVRdiaが容易に得られる。
また、本実施例の自動血圧測定装置14によれば、最低血圧値決定部100は、拡張期合成波生成部98により生成された一連の拡張期合成波PVRdiaのうちの最大振幅を示す拡張期合成波PVRdiaの1つ後に発生したの拡張期合成波PVRdiaに対応する圧迫圧力Pcuffを最低血圧値として決定するものである。このため、観血法すなわちカテーテルを用いた直接法を用いたコロトコフ音方式の血圧測定により得られた最低血圧値との相関性が一層高められ、傾向誤差の無い測定精度が得られる。
また、本実施例の自動血圧測定装置14によれば、圧迫圧力Pcuffの降下期間において逐次得られるカフ容積脈波PVRと前記収縮期末期圧ESBPより低いカフ圧力ではカフ容積脈波にそれぞれ含まれる収縮期時相波からなる容積脈波の振幅値を結ぶエンベロープ(包絡線)の変曲点付近、或いは収縮期時相波の振幅をその最大脈振幅値で正規化した振幅比が所定の振幅比となる脈波に対応した圧迫圧力Pcuffを最高血圧値SBPとして決定する最高血圧値決定部102を、含む。このため、カフ容積脈波の収縮期時相波成分を用いて最高血圧値を決定するので、前記カフ容積脈波の反射波が重畳した脈波形の振幅が増加しエンベロープに複数の変曲点が現れる場合や脈波形の最大振幅に反射波成分が含まれる状況下で最高血圧値SBPとして決定するオシロメトリック法により場合に比較して、最高血圧値SBPの精度が高められる。
以上、本発明の一実施例を図面を参照して詳細に説明したが、本発明はこの実施例に限定されるものではなく、別の態様でも実施され得る。
たとえば、前述の実施例の収縮期時相波生成部90では、圧迫帯12による圧迫圧力Pcuffが収縮期末期圧ESBPであるときに発生した容積脈波である収縮期末期圧容積脈波PVRESBPより1つ前に発生した容積脈波を基準波PVRbとしていた。しかし、この基準波PVRbは、拡張期合成波PVRdia成分を含まない収縮期の代表的な正確な形状の容積脈波であればよいので、実用上問題のない僅かな精度の低下が許容されるのであれば、収縮期末期圧容積脈波PVRESBPそのものを基準波PVRbとしたり、収縮期末期圧容積脈波PVRESBPより1つ後に発生した容積脈波を基準波PVRbとしてもよい。要するに、収縮期末期圧容積脈波PVRESBPに隣接する容積脈波或いは収縮期末期圧容積脈波PVRESBPに連なる容積脈波を基準波PVRbとしてもよい。
また、前述の実施例の最低血圧値決定部100では、最低血圧値DBPの決定に際して、最大振幅をd有する拡張期合成波PVRdiaよりも1つ後で発生した拡張期合成波PVRiaの発生時点の圧迫圧力Pcuffを最低血圧値DBPとして決定していた。しかし、実用上問題のない僅かな精度の低下が許容されるのであれば、最大振幅を有する拡張期合成波PVRdiaの発生時点の圧迫圧力Pcuffを最低血圧値DBPとして決定してもよい。
また、前述の実施例で用いられた圧迫帯12は、独立して上腕10を圧迫可能な上流側膨張袋22、中間膨張袋24および下流側膨張袋26を備えたものであったが、単一の膨張袋を備えたものであってもよい。
また、前述の実施例では、カフ圧制御部82は、上流側膨張袋22、中間膨張袋24、および下流側膨張袋26の圧迫圧力値PCをたとえば3〜5[mmHg/sec]程度の一定の速度で連続的に降圧させるものであったが、圧迫帯12の圧迫圧力が一定値に維持される過程で脈波が採取されるようにするステップ降圧を行なうものであってもよい。
なお、上述したのはあくまでも一実施形態であり、その他一々例示はしないが、本発明は、その主旨を逸脱しない範囲で当業者の知識に基づいて種々変更、改良を加えた態様で実施することができる。
10:上腕(生体の被圧迫部位)
12:圧迫帯
14:自動血圧測定装置
16:動脈
24:中間膨張袋
DBP:最低血圧値
SBP:最高血圧値
Spc:カフ圧信号
Pcuff:圧迫圧力(カフ圧力)
PVR:カフ容積脈波
PVR’:カフ容積脈波の一次微分波
PVR”:カフ容積脈波の二次微分波
ESBP:収縮期末期圧
PVRESBP:収縮期末期圧容積脈波
Prs:反射波重畳開始点
PVRb:基準波
PVRsys:収縮期時相波
PVRdia:拡張期合成波

Claims (7)

  1. 生体の一部に巻回されて該生体の一部に対する圧迫圧を低下させる圧迫帯を備え、該圧迫帯の圧迫圧を低下させる過程で得られた該圧迫圧を表わすカフ圧信号に含まれる、該生体の脈拍に同期する交流成分であるカフ容積脈波に基づいて該生体の最低血圧値を測定する自動血圧測定装置であって、
    前記カフ容積脈波のうち前記カフ圧が前記生体の収縮期末期圧であるときのカフ容積要請脈波である収縮期末期圧容積脈波またはそれに連なる1つの容積脈波を基準波とし、前記カフ圧が前記生体の収縮期末期圧以下であるときに順次得られる各カフ容積脈波の該カフ容積脈波に含まれる反射波の重畳開始点の振幅と同等となるように前記基準波を調整した収縮期時相波を、それぞれ生成する収縮期時相波生成部と、
    カフ圧が前記生体の収縮期末期圧以下であるときに順次得られる各カフ容積脈波の波形から前記それぞれ生成された収縮期時相波の波形を差し引くことにより拡張期合成波をそれぞれ生成する拡張期合成波生成部と、
    前記生成された拡張期合成波の振幅に基づいて前記生体の最低血圧値を決定する最低血圧値決定部と
    を、含むことを特徴とする自動血圧測定装置。
  2. 血圧測定中の脈波の平均周期の間隔の移動平均処理を行なうローパスフィルタ処理を施すことで前記カフ圧信号から前記生体野一部への圧迫圧力であるDC成分を抽出し、前記カフ圧信号とDC成分との差分を求めることで前記カフ圧容積脈波を生成するカフ容積脈波生成部と、
    前記連続するカフ圧容積脈波の収縮期波下降脚の変曲点に対応して生じる一次微分波形の負の極小値が最小となったときのカフ圧力を前記収縮期末期圧として決定する収縮期末期圧決定部と
    を、さらに含むことを特徴とする請求項1の自動血圧測定装置。
  3. 前記収縮期末期圧決定部は、共通の時間軸上において、前記カフ容積脈波の一次微分波形の変曲点の検出を二次微分波形の極小点により決定し、上記二次微分波形の負の極小点に対応したカフ容積脈波の振幅値が、上記カフ容積脈波の最大振幅の50[%]を超えたときのカフ圧を前記収縮期末期圧として決定する
    ことを特徴とする請求項2の自動血圧測定装置。
  4. 前記収縮期時相波生成部は、
    前記収縮期末期圧より低いカフ圧力で得られたカフ容積脈波の上昇脚から頭頂部にかけての二次微分波の正から負に向かう零クロス点で且つ一次微分波の極小点に対応する、上記カフ容積脈波の変曲点を反射波重畳開始点として決定する反射波重畳開始点決定部と、
    前記収縮期末期圧より低いカフ圧力で得られたカフ容積脈波と前記基準波とを共通の時間軸上でそれらの立上がり開始点を一致させたときの、前記収縮期時相波の基準波の最大振幅時刻より遅れて上記反射波重畳開始点がある場合にはその基準波の最大振幅値をAESBPとし、その時刻のカフ容積脈波振幅をAPVRとし、前期反射波重畳開始点が基準波の最大振幅時刻より前の脈波上昇脚に存在する場合には、そのカフ容積脈波の前記反射波重畳開始点における振幅値をAPVRとし、上記基準波の前記反射波重畳開始点における振幅値をAESBPとして、その振幅比Aratio(=APVR/AESBP)を求め、その振幅比Aratioを前記基準波に乗算することで前記収縮期時相波を生成する基準波補正部と
    を、含むことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1の自動血圧測定装置。
  5. 前記拡張期合成波生成部は、前記共通の時間軸上で、カフ圧力が前記生体の収縮期末期圧以下であるときに順次得られる前記カフ容積脈波の振幅から、それぞれについて生成された前記収縮期時相波の振幅をそれぞれ差し引くことで、それぞれの拡張期合成波がカフ圧の降下過程で順次生成することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1の自動血圧測定装置。
  6. 前記最低血圧値決定部は、前記拡張期合成波生成部により生成された一連の拡張期合成波のうちの最大振幅を示す拡張期合成波の1つ前の拡張期合成波に対応するカフ圧を最低血圧値として決定することを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1の自動血圧測定装置。
  7. 前記カフ圧の降下期間において逐次得られるカフ容積脈波と前記収縮期末期圧より低いカフ圧力ではカフ容積脈波にそれぞれ含まれる収縮期時相波からなる容積脈波の振幅値を結ぶエンベロープの変曲点付近、或いは収縮期時相波の振幅をその最大脈振幅値で正規化した振幅比が所定の振幅比となる脈波に対応したカフ圧力を最高血圧値として決定する最高血圧値決定部を、さらに含むことを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1の自動血圧測定装置。
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