JP2015198003A - 調理器用トッププレート - Google Patents

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Abstract

【課題】ガラス基板の裏面に形成した塗膜の色に近い色を調理面側から見て発現することができる調理器用トッププレートを提供する。
【解決手段】調理器具が載せられる調理面11と、調理面11と反対側に位置する裏面12を有するガラス基板10と、裏面12に設けられる第1の塗膜20と、調理面11に設けられるパターン模様の第2の塗膜30とを備え、第1の塗膜及び前記第2の塗膜は、顔料を含み、顔料が同色顔料からなることを特徴としている。
【選択図】図1

Description

本発明は、調理器用トッププレートに関する。
電磁気調理器、ラジアントヒーター調理器、ガス調理器などの調理器のトッププレートには、低い熱膨張係数を有する結晶化ガラスなどからなるガラス基板が用いられている。ガラス基板として透明なガラス基板を用いる場合には、一般に、調理器内部の構造を隠蔽するため、調理器内部側に位置する裏面に、金属光沢層や塗膜層が形成される(特許文献1及び2)。
特開2004−333102号公報 特開2008−267633号公報
しかしながら、調理器用トッププレートに用いられる透明なガラス基板は、低膨張結晶化ガラスからなり、不純物のFeにより、一般に黄色等に着色しているものが多い。このため、調理面側から観察した場合、塗膜の色とガラス基板の色が合わされた色になり、塗膜本来の色を発現することができないという問題があった。例えば、黄色に着色したガラス基板の裏面に白色系塗膜を形成すると、クリーム色に見えてしまうという問題があった。一方で、調理面の全面に膜を形成して、ガラス基板の色を隠そうとした場合、ガラス基板の質感が失われてしまう。
本発明の目的は、ガラス基板の質感を失うことがなく、ガラス基板の裏面に形成した塗膜の色に近い色を調理面側から見て発現することができる調理器用トッププレートを提供することにある。
本発明の調理器用トッププレートは、調理器具が載せられる調理面と、調理面と反対側に位置する裏面を有するガラス基板と、裏面に設けられる第1の塗膜と、調理面に設けられるパターン模様の第2の塗膜とを備え、第1の塗膜及び第2の塗膜は、顔料を含み、顔料が同色顔料からなることを特徴としている。
ここで、「顔料が同色顔料からなる」とは、一種の同色の顔料だけでなく、二種以上の顔料を混合して同色となるものを含む。ここで、同色とは、顔料単体で色調を測定した場合の色差ΔEが10以下となるものを示し、色差ΔEが5以下であることが好ましい。
本発明において、「パターン模様」とは、膜が形成された部分と、膜が形成されていない部分を有するパターン模様である。このようなパターン模様として、例えば、ドット、格子、幾何学、まだら、不規則またはライン状の模様が挙げられる。
顔料は、同一顔料からなることが好ましい。
顔料は、白色顔料からなることが好ましい。白色顔料としては、TiO、CaCO、カオリン等の顔料が挙げられる。
調理面に対し垂直な方向から見たときの第2の塗膜の面積は、第1の塗膜の面積の10〜90%の範囲であることが好ましい。
調理器用トッププレートが表示部を有している場合、第1の塗膜及び第2の塗膜は、表示部以外の領域の上に設けられていることが好ましい。
本発明によれば、ガラス基板の質感を失うことがなく、ガラス基板の裏面に形成した塗膜の色に近い色を調理面側から見て発現することができる。
本発明の実施形態の調理器用トッププレートを示す模式的断面図である。 本発明の実施形態の調理器用トッププレートにおいて、調理面と垂直な方向から見たときの第1の塗膜及び第2の塗膜を示す模式的平面図である。 本発明の実施形態の調理器用トッププレート及び調理器内に設けられる発光部を示す模式的断面図である。
以下、好ましい実施形態について説明する。但し、以下の実施形態は単なる例示であり、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。また、各図面において、実質的に同一の機能を有する部材は同一の符号で参照する場合がある。
図1は、本発明の実施形態の調理器用トッププレートを示す模式的断面図である。調理器用トッププレート1は、ガラス基板10を備えている。ガラス基板10は、調理面11と裏面12を有している。調理面11は、鍋やフライパンなどの調理器具が載せられる側の面である。裏面12は、調理器の内部側の面である。
裏面12の上には、第1の塗膜20が設けられている。第1の塗膜20は、後述する、表示部が形成される部分以外の全面に隙間無く塗られる塗膜で、いわゆる遮光膜である。調理面11の上には、第2の塗膜30が設けられている。第2の塗膜30は、不連続部分を有するパターン模様の塗膜である。第2の塗膜30は、模様により意匠性を付与するための模様膜である。本実施形態では、ドット状の塗膜が、第2の塗膜30として形成されている。
第1の塗膜20及び第2の塗膜30は、顔料を含んでなる。第1の塗膜20及び第2の塗膜30において、顔料は同色顔料である。ここで、同色顔料とは、色差ΔEが10以下となるものを示し、色差ΔEが5以下であることが好ましい。
上記の色差ΔEは、L*a*b*表色系における色差であり、以下の式から求めることができる。
ΔE=((Lα−Lβ)+(aα−aβ+(bα−bβ)0.5
(下付きのα及びβは、それぞれ第1の塗膜20に含まれる顔料を測定した値と第2の塗膜30に含まれる顔料を測定した値を意味する。)
L*は「明度指数」(L軸=0〜100)、a*とb*は「クロマティクネク指数」(a軸=−60〜+60、b軸=−60〜+60)を意味する。
第1の塗膜20及び第2の塗膜30が、1種類の顔料を含む場合、第1の塗膜20及び第2の塗膜30に含まれる顔料は、同一であることが好ましい。
第1の塗膜20及び第2の塗膜30が、ともに2種類以上の顔料を含む場合、第1の塗膜20及び第2の塗膜30において最も多く含まれる顔料が同一であることが好ましい。この場合、第1の塗膜20及び第2の塗膜30に最も多く含まれる顔料の含有量は、全顔料の質量に対して50質量%以上であることが好ましく、70質量%以上であることがより好ましく、95質量%以上であることがさらに好ましい。
第1の塗膜20及び第2の塗膜30のうちの一方の塗膜が1種類の顔料を含み、他方の塗膜が2種類以上の顔料を含む場合、他方の塗膜において最も多く含まれる顔料が同一であることが好ましい。この場合、他方の塗膜において最も多く含まれる顔料の含有量は、全顔料の質量に対して50質量%以上であることが好ましく、70質量%以上であることがより好ましく、95質量%以上であることがさらに好ましい。
このように、第2の塗膜30は、パターン模様の塗膜であり、かつ、第1の塗膜20及び第2の塗膜30が、顔料を含み、顔料が同色顔料からなることにより、調理面11側から見て、第1の塗膜20の色に近い色を発現することができる。
具体的には、裏面12側から第1の塗膜20を見た場合の色調と、調理面11側から第1の塗膜20及び第2の塗膜30を見た場合の色差ΔEを、10以下にすることができる。
上記の色差ΔEは、L*a*b*表色系における色差であり、以下の式から求めることができる。
ΔE=((L−L)+(a−a+(b−b)0.5
(下付きの1及び2は、それぞれ裏面12側から調理器用トッププレート1を測定した場合と調理面11側から調理器用トッププレート1を測定した場合の値を意味する。)
第1の塗膜20及び第2の塗膜30は、ガラス成分及び顔料を含むことが好ましい。顔料としては、無機顔料が好ましく用いられる。第1の塗膜20及び第2の塗膜30におけるガラス成分の含有量は、20〜99質量%であることが好ましく、30〜95質量%であることがより好ましい。好ましく用いられるガラス成分としては、例えば、ホウケイ酸塩系ガラス、アルカリ金属成分及びアルカリ土類金属成分のうちの少なくとも一方を含む珪酸塩系ガラス、亜鉛及びアルミニウムを含むリン酸塩系ガラス等が挙げられる。第1の塗膜20及び第2の塗膜30における顔料の含有量は、1〜80質量%であることが好ましく、5〜70質量%であることがより好ましい。
第1の塗膜20及び第2の塗膜30は、例えば、ガラス粉末、顔料粉末、バインダー、溶剤等を含むペーストを、スクリーン印刷法やインクジェット法などの種々の印刷法により印刷して形成することができる。印刷されたペースト層を、焼成することにより、第1の塗膜20及び第2の塗膜30が形成される。焼成温度は、特に限定されるものではないが、700℃以上であることが好ましく、800℃以上であることがより好ましい。また、焼成温度は、900℃以下であることが好ましく、850℃以下であることがより好ましい。
本発明においては、調理面11の上にパターン模様の第2の塗膜30が設けられているので、調理器具を動かすことによって調理面11にキズが入るのを防止することができる。
図2は、本発明の実施形態の調理器用トッププレートにおいて、調理面11側から見たときの第1の塗膜及び第2の塗膜を示す模式的平面図である。本発明においては、調理面11に対し垂直な方向から見たときの第2の塗膜30の面積が、第1の塗膜20の面積の10〜90%の範囲であることが好ましく、15〜70%の範囲であることがさらに好ましく、20〜60%の範囲であることが特に好ましい。第2の塗膜30の面積が小さすぎると、第1の塗膜20の色に近い色が得られにくくなる場合がある。また、第2の塗膜30の面積が大きすぎると、ガラスの質感が得られず、意匠性に乏しくなる場合がある。
なお、上記の第1の塗膜20の面積に対する第2の塗膜30の面積の割合は、第1の塗膜20が設けられた範囲における第2の塗膜30の面積割合である。
上記の第1の塗膜20に対する第2の塗膜30の面積割合は、例えば、第1の塗膜20が形成された全領域の面積に対する第2の塗膜30が形成された面積を測定することにより求めることができる。
第2の塗膜30のパターン模様の大きさは、調理面11側から見たときの第2の塗膜30の形状が、略円形である場合、直径が0.5〜5mmの範囲内であることが好ましい。第2の塗膜30の形状が、矩形状である場合、一辺の長さが0.2〜4mmの範囲内であることが好ましい。また、第2の塗膜30の形状が、格子またはライン状である場合、格子を構成するライン及びライン状模様におけるラインの幅が0.2〜5.0mmの範囲内であることが好ましい。その他の形状のものについては、これらと同様の効果が得られるような大きさにすればよい。
調理器用トッププレート1では、加熱及び冷却が繰り返しなされる。このため、ガラス基板10は、優れた耐熱性及び低い熱膨張係数を有するものであることが好ましい。具体的には、ガラス基板10の軟化温度は、700℃以上であることが好ましく、750℃以上であることがより好ましい。また、ガラス基板10の30℃〜750℃における平均線熱膨張係数は、−10×10−7/℃ 〜 +30×10−7/℃の範囲内であることが好ましく、−10×10−7/℃ 〜 +20×10−7/℃の範囲内であることがより好ましい。このため、ガラス基板10は、ガラス転移温度が高く、かつ低い熱膨張係数のガラス、結晶化ガラス、または強化ガラスであることが好ましい。結晶化ガラスの具体例としては、例えば、日本電気硝子株式会社製ネオセラムN−0が挙げられる。
図3は、本発明の実施形態の調理器用トッププレート及び調理器内に設けられる発光部を示す模式的断面図である。図3に示すように、本実施形態の調理器用トッププレート1は、電源や加熱状態等の各種情報を表示するための表示部Dを有している。調理器内には、LED(Light Emitting Diode)光源などからなる発光部40が設けられている。発光部40から出射された光41は、表示部Dを透過し、各種情報が表示される。本実施形態では、光41が表示部Dを透過するように、表示部Dの領域には、第1の塗膜20及び第2の塗膜30が形成されていない。なお、図3においては、図示簡略化のため、第2の塗膜30を連続した塗膜として図示しているが、実際は、図1に示すような不連続部分を有するパターン模様の塗膜である。
(実験例1:第1の塗膜20に対する第2の塗膜30の面積割合の検討)
第1の塗膜20を形成するためのペーストは、白色顔料であるTiO顔料、B−SiO系ガラスフリット、及び展色剤(ビヒクル)の質量比(TiO顔料:ガラスフリット:ビヒクル)が、7:3:10となるように均一に混合することにより調製した。このペーストを、スクリーン印刷法を用いて、ガラス基板10の裏面12上に印刷した。
第2の塗膜30を形成するためのペーストは、白色顔料であるTiO顔料、B−SiO系ガラスフリット、及び展色剤(ビヒクル)の質量比(TiO顔料:ガラスフリット:ビヒクル)が、3:7:7.7となるように均一に混合することにより調製した。このペーストを、スクリーン印刷法を用いて、ガラス基板10の調理面11上に印刷した。
第1の塗膜20に対する第2の塗膜30の面積割合を、100%、44%、35%、25%、0%と変化させて第2の塗膜30を形成する以外は、上記のようにして第1の塗膜20及び第2の塗膜30をガラス基板10の調理面11及び裏面12上に形成した。
以上のようにして、5種類のトッププレートのサンプルを作製した。各サンプルについて、色差計(コニカミノルタ株式会社製 CM600d)を用いて、調理面11側及び裏面12側からL値、a値及びb値を測定し、ΔEを求めることで評価した。また、調理面11側からの目視により質感を評価した。質感評価は、ガラスの質感が感じられる場合を○、ガラスの質感が感じられない場合を×とした。評価結果を表1に示す。
Figure 2015198003
表1に示すように、第1の塗膜20に対する第2の塗膜30の面積割合を、25%以上とすることにより、ΔEが9.46以下となり、第1の塗膜20の色に近い色が得られた。また、第1の塗膜20に対する第2の塗膜30の面積割合を、44%以下とすることにより、ガラスの質感が感じられた。
上記実験例1では、第1の塗膜20及び第2の塗膜30として、白色系塗膜を形成したが、本発明はこれに限定されるものではない。その他の有彩色系塗膜及び無彩色系塗膜であっても、本発明の効果を得ることができる。
1…調理器用トッププレート
10…ガラス基板
11…調理面
12…裏面
20…第1の塗膜
30…第2の塗膜
40…発光部
41…光

Claims (6)

  1. 調理器具が載せられる調理面と、前記調理面と反対側に位置する裏面を有するガラス基板と、
    前記裏面に設けられる第1の塗膜と、
    前記調理面に設けられるパターン模様の第2の塗膜とを備え、
    前記第1の塗膜及び前記第2の塗膜は、顔料を含み、前記顔料が同色顔料からなる、調理器用トッププレート。
  2. 前記パターン模様が、ドット、格子、またはライン状の模様である、請求項1に記載の調理器用トッププレート。
  3. 前記顔料が同一顔料からなる、請求項1または2に記載の調理器用トッププレート。
  4. 前記顔料が白色顔料からなる、請求項1〜3のいずれか一項に記載の調理器用トッププレート。
  5. 前記調理面に対し垂直な方向から見たときの前記第2の塗膜の面積が、前記第1の塗膜の面積の10〜90%の範囲である、請求項1〜4のいずれか一項に記載の調理器用トッププレート。
  6. 前記調理器用トッププレートが表示部を有しており、前記第1の塗膜及び前記第2の塗膜が、前記表示部以外の領域の上に設けられている、請求項1〜5のいずれか一項に記載の調理器用トッププレート。
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