以下、発明を実施するための形態(以下実施の形態とする)について、図面を用いて説明する。
[1.第1の実施の形態]
[1−1.紙幣処理装置の構成]
図1に示す本実施の形態による紙幣処理装置1は、金融機関の窓口に設置される窓口用現金処理装置(いわゆるテラーマシン)であり、当該窓口において顧客と応対する窓口担当者等に操作されることにより、紙幣の入金処理や出金処理を行う。
紙幣処理装置1は、全体として直方体状に形成された筐体10の内部に制御部13が設けられており、この制御部13により全体を統括制御している。制御部13は、図示しないCPU(Central Processing Unit)を中心に構成されており、所定のプログラムを読み出して実行し、入金処理や出金処理等のような種々の処理を行う。また制御部13は、内部に記憶部を有しており、この記憶部に種々の情報やプログラム等を記憶させる。
筐体10の上面における前寄りの箇所には、操作者との間で紙幣の授受を行うための入出金部14が設けられている。この入出金部14には、手前側から後ろ側へ向かって、紙幣を出金する2個の出金口16、紙幣を入金させる入金口15、並びに各種情報の表示及び操作の受付を行う表示操作部17が順次配置され、当該表示操作部17の左右に操作ボタン18がそれぞれ配置される。
なお以下では、紙幣処理装置1のうち表示操作部17の表示内容を正しく読み取り得る正面側を前側とし、その反対を後側とし、前側から見た場合の左及び右をそれぞれ左側及び右側とし、さらに上側及び下側を定義して説明する。
次に、図2を用いて、紙幣処理装置1の内部構成について説明する。紙幣処理装置1の筐体10内には、上述した制御部13の他、搬送部21、鑑別部22、一時保留部23、リジェクト庫24及び複数個の紙幣収納庫25が設けられている。
搬送部21は、筐体10内の各部を結ぶ搬送路Yに沿って配置された各種ローラやベルト及びこれらを駆動するためのギアやモータ等により構成されている。また搬送部21は、搬送路の分岐点に図示しない搬送路切替機構を配置している。この搬送部21は、制御部13の制御に基づき、搬送路に沿って紙幣を搬送すると共に、搬送路切替機構により当該紙幣の搬送先を切り替える。因みに図2では、搬送部21を構成する部品の一部のみを模式的に示している。
鑑別部22は、入金口15の後方下側に配置されている。この鑑別部22は、搬送部21により搬送されてくる紙幣の金種、真偽、正損、走行状態などを基に、取り扱うことのできる取扱可能紙幣であるか否かを判別し、また損傷の程度を基に再利用することができる再利用可能紙幣であるか否かを判別して、その判別結果を制御部13へ送出する。一時保留部23は、鑑別部22の後方に配置されており、搬送部21により搬送されてきた紙幣を内部に一時的に収納し、また収納している紙幣を1枚ずつ搬送部21へ送出する。
一方、筐体10内における下部には、最も前側にリジェクト庫24が配置されており、その後側に前方から後方へ向けて5列の紙幣収納庫25が順次並ぶように配置されている。各紙幣収納庫25は、内部に紙幣を集積した状態で収納するようになっており、またそれぞれ金種が割り当てられている。この紙幣収納庫25は、搬送部21から搬送されてくる紙幣(正常紙幣)を上下方向に重ねて内部に収納し、また収納している紙幣を1枚ずつ繰り出して搬送部21へ受け渡す。リジェクト庫24は、鑑別部22において再利用不可能と鑑別された紙幣(リジェクト紙幣)を内部に集積して収納する。
かかる構成により紙幣処理装置1は、図示しない端末装置から入金指示を受け付けると、入金処理を行う。具体的に紙幣処理装置1の制御部13は、操作者に紙幣を入金口15へ投入させ、後述する分離処理によりこの紙幣を1枚ずつ分離して搬送部21へ順次送り出す。搬送部21は、この紙幣を搬送路Yに沿って鑑別部22へ順次搬送する。
制御部13は、鑑別部22により各紙幣が取扱可能紙幣であるか否かを鑑別させ、その鑑別結果を基に進捗状況を表示操作部17に表示しながら、取扱可能紙幣を搬送部21により一時保留部23へ搬送する一方、取り扱うことができない紙幣(リジェクト紙幣)を出金口16へ搬送する。
その後制御部13は、鑑別した紙幣の枚数等を操作者に確認させた上で、表示操作部17に進捗状況等の情報を表示しながら、一時保留部23に保留された取扱可能紙幣を搬送部21により再度鑑別部22へ搬送して金種及び損傷の程度を鑑別させる。このとき制御部13は、再利用可能紙幣をその金種に応じた紙幣収納庫25に収納させ、再利用できない紙幣(リジェクト紙幣)をリジェクト庫24に収納させる。
また紙幣処理装置1は、図示しない端末装置から出金指示を受け付けると、出金処理を行う。具体的に制御部13は、表示操作部17に進捗状況等の情報を表示しながら、紙幣収納庫25から出金額に応じた金種及び枚数の紙幣を順次繰り出し、これを搬送部21により出金口16へ順次搬送させる。その後制御部13は、全ての紙幣を出金口16へ搬送すると、紙幣を操作者に取り出させる。
ところで筐体10の下側には、前面に開閉可能な前扉11が設けられると共に、内部に下部筐体12が内蔵されている。この下部筐体12は、図示しないスライドレールを介して筐体10に取り付けられており、前扉11が開放されると、図3に示すように、当該筐体10に対し前方へ移動し、当該筐体10の外部に引き出された状態となる。
下部筐体12は、図4(A)に示すように、全体的に中空の直方体状に構成されており、上面が開放されている。また下部筐体12の内部は、前後方向に所定間隔毎に並ぶ5枚の仕切板により、上下方向に細長い6個の空間に仕切られている。このうち最も前側の空間は、他の5個の空間よりも前後方向に狭いリジェクトスロット12Rとなっており、リジェクト庫24が装填される。残りの5個の空間は、互いにほぼ同等の大きさでなる紙幣収納スロット12Bとなっており、紙幣収納庫25がそれぞれ装填される。
ここで下部筐体12の各紙幣収納スロット12Bに装填可能な紙幣収納庫25としては、上下方向に比較的長い大紙幣収納庫25Aと、上下方向に比較的短い下段小紙幣収納庫25B及び上段小紙幣収納庫25Cとの3種類がある。このため下部筐体12の各紙幣収納スロット12Bには、図4(B)及び(C)に示すように、1個の大紙幣収納庫25Aを装填することができ、或いは1個の下段小紙幣収納庫25Bと1個の上段小紙幣収納庫25Cとを上下に重ねた状態で装填することができる。
因みに下部筐体12には、図4(B)及び(C)に示したように、全ての紙幣収納スロット12Bに同一種類の紙幣収納庫25を装填する必要は無い。例えば下部筐体12は、3箇所の紙幣収納スロット12Bに大紙幣収納庫25Aを装填し、残りの2箇所の紙幣収納スロット12Bに下段小紙幣収納庫25B及び上段小紙幣収納庫25Cの組み合わせをそれぞれ装填すること等ができる。
[1−2.紙幣収納庫の構成]
次に、紙幣収納庫25のうち下段小紙幣収納庫25B及び上段小紙幣収納庫25Cの構成について、それぞれ詳細に説明する。なお大紙幣収納庫25Aについては、下段小紙幣収納庫25Bと比較して上下方向の長さが約2倍に拡張されている点以外はほぼ同様であるため、その説明を省略する。
[1−2−1.下段小紙幣収納庫の構成]
支持体としての下段小紙幣収納庫25Bは、図5(A)、(B)及び(C)に示すように、全体として直方体状の筐体30を中心に構成されている。筐体30は、例えば硬質な樹脂材料が成型されることにより、その内部に紙幣を収納するための収納空間30Sが形成される。
筐体30の上部には、前側及び左右の前側部分に渡って取手31が設けられている。取手31は、左右の後端部分において回動軸を介して筐体30に取り付けられている。下段小紙幣収納庫25Bが運搬される場合、この取手31は、回動軸を中心に回動して筐体30の上面30Aから起立した状態となり、保守作業員等により把持される。
また筐体30の上面30Aには、左右方向に細長いスリット状の上受渡口32が形成されている。この上受渡口32は、図示しない受渡ガイドにより紙幣の紙面を案内しながら、図示しないローラにより当該紙幣を短辺に沿って上下方向に進行させ、上段小紙幣収納庫25C(図4)との間で当該紙幣を受け渡す。また上受渡口32の前側における左右両端の近傍には、比較的小さな丸孔でなる位置決孔33が穿設されている。この位置決孔33は、上段小紙幣収納庫25Cに対する水平方向の相対位置を定める際に使用される(詳しくは後述する)。
さらに筐体30の上部における前側及び後側には、他の部分よりも所定高さだけ低い段差面30ADが形成されており、この段差面30ADから上方へ隆起した台座部34が左右に1箇所ずつ、合計4箇所に設けられている。
図6に拡大した斜視図を示すように、台座部としての台座部34は、小型の直方体状に形成されており、その上面である台座上面34Aが筐体30の上面30Aよりも低く、且つ当該上面30Aとほぼ平行な平面状に形成されている。因みに台座部34は、例えば筐体30と一体に成形されることで、硬質な樹脂材料により構成され、十分な剛性を有している。また台座部34の左右外方には、段差面30ADと同等の高さの底面を有し、上面30Aよりも十分に下方に窪んだ回避空間35が形成されている。
なお説明の都合上、以下では上面30Aから台座上面34Aまでの高さ、すなわち上下方向の距離を距離L1と呼び、当該台座上面34Aから段差面30ADまでの高さ(上下方向の距離)を距離L2と呼ぶ。
筐体30の下面には、前後左右の各頂点の近傍に、下方に向けて4個の脚部36が立設されている。各脚部36は、筐体30の下面に固定された脚本体部36Rと、当該脚本体部36の下側に取り付けられた衝撃吸収材36Sにより構成されている。
脚本体部36Rは、小さな直方体状に形成されており、例えば筐体30と一体に成形されることで硬質な樹脂材料により構成され、十分な剛性を有している。衝撃吸収材36Sは、上下方向に薄い直方体状に形成されており、例えば樹脂やゴム等のような、外力が加えられると容易に変形し、この外力が開放されると元の形状に戻るような、可撓性を有する材料により構成されている。
この脚部36は、例えば下段小紙幣収納庫25Bが運搬されて床面や机等の上に載置される際、衝撃吸収材36Sをこの床面や机等に当接させて変形させる。これにより脚部36は、載置時に発生する衝撃のエネルギーを当該衝撃吸収材36Sに吸収させ、この衝撃を筐体30へ殆ど伝達させない。
筐体30(図5)の正面には、開閉可能な扉40が設けられている。この扉40は、錠が取り付けられており、解錠された上で開放されると、収納空間30Sを外部と連通させ、当該収納空間30S内へ紙幣を装填すること、及び当該収納空間30S内から紙幣を取り出すことが可能となる。一方、扉40は、紙幣収納スロット12B(図4)に装填される場合や運搬される場合には、閉塞された上で施錠されることにより、収納空間30S内の紙幣を保護する。
また筐体30内には、図7に示すように、複数のローラや紙幣を案内するガイド等の組み合わせにより構成された分離集積部41が設けられている。因みにこのローラ等は、下段小紙幣収納庫25Bが紙幣収納スロット12B(図4)に装填され所定のコネクタを介して供給される電流や制御信号等に基づき、図示しないモータにより回転駆動される。また筐体30内には、紙幣の集積状態や搬送状態等を検知するセンサ(図示せず)も設けられている。このセンサは、紙幣の検知結果を基に検知信号を生成し、上述したコネクタを介してこれを制御部13(図2)等へ通知するようになっている。
この分離集積部41は、制御部13(図2)の制御に基づき、上段小紙幣収納庫25C(図4)から上受渡口32を介して搬送されてきた紙幣を収納空間30S内へ放出して集積し、また収納空間30S内に収納されている紙幣を1枚ずつに分離して繰り出し、上受渡口32を介して上段小紙幣収納庫25Cへ受け渡すことができる。
このように下段小紙幣収納庫25Bの上部には、上面30Aに上段小紙幣収納庫25Cとの間で紙幣を受け渡すための上受渡口32が形成されると共に、前側及び後側における左右それぞれに台座部34及び回避空間35が設けられている。
[1−2−2.上段小紙幣収納庫の構成]
収納庫としての上段小紙幣収納庫25Cは、図8(A)、(B)、(C)及び(D)に示すように、全体として下段小紙幣収納庫25Bと同様の直方体状に形成され、筐体30と対応する筐体50を中心に構成されている。筐体50は、筐体30と同様、例えば硬質な樹脂材料が成型されることにより、その内部に紙幣を収納するための収納空間50Sが形成される。筐体50の上部には、筐体30の取手31と同様の取手51が設けられている。
筐体50の上面50Aには、やはり下段小紙幣収納庫25Bの場合と同様に、左右方向に細長いスリット状の上受渡口52が形成されている。この上受渡口52は、紙幣を上下方向に進行させ、搬送部21(図2)との間で当該紙幣を受け渡す。
筐体50の下面50Bには、上面50Aにおける上受渡口52のほぼ真下となる位置に、左右方向に細長いスリット状の下受渡口58が設けられている。この下受渡口58は、上受渡口52と上下対称に構成されており、下段小紙幣収納庫25B(図5)の上受渡口32との間で紙幣を受け渡すことができる。
また下受渡口58の前側における左右両端の近傍には、比較的小さな円錐状の突起でなる位置決突起59が下方へ向けて立設されている。この位置決突起59は、下段小紙幣収納庫25Bに対する水平方向の相対的な位置を定める際に使用される(詳しくは後述する)。
また筐体50の下面50Bには、前後左右の各頂点近傍に、下方に向けて4個の脚部54が立設されている。図9に示すように、各脚部54は、上下方向に長い直方体状の突出脚部55と、当該突出脚部55よりも上下方向に短い直方体状の固定脚部56とが左右方向に連結されたような形状となっている。因みに脚部54は、筐体50の右側及び左側で左右対称に形成されており、左右の外方に突出脚部55が位置し、その内方に(すなわち左右の中心に近い側に)固定脚部56が位置している。
可変当接部としての突出脚部55は、下段小紙幣収納庫25Bの脚部36と同様、脚本体部36R及び衝撃吸収材36Sとそれぞれ同様に構成された脚本体部55R及び衝撃吸収材55Sを有している。すなわち衝撃吸収材55Sは、例えば樹脂やゴム等のような、外力が加えられると容易に変形し、この外力が開放されると元の形状に戻るような、可撓性を有する材料により構成されている。
この突出脚部55は、その下端、すなわち衝撃吸収材55Sの下面である突出下面55SAを筐体50の下面50Bよりも十分に下方へ突出させている。このため突出脚部55は、例えば上段小紙幣収納庫25Cが運搬されて床面や机等の上に載置される際、下段小紙幣収納庫25Bの脚部36(図5)と同様、衝撃吸収材55Sをこの床面や机等に当接させ変形させることで、載置時に発生する衝撃のエネルギーを吸収させ、この衝撃を筐体50へ殆ど伝達させない。
一方、固定当接部としての固定脚部56は、突出脚部55と比較して、下面50Bからの下方への突出量が小さく、その下面である固定下面56Aが、突出脚部55の突出下面55SAよりも高く、上段小紙幣収納庫25Cの中心に近い位置にある。このため固定脚部56は、突出脚部55の衝撃吸収材55Sが床面や机等に当接したとき、固定下面56Aをこの床面や机等に当接させること無く、浮かせた状態とする。
因みに脚部54は、例えば衝撃吸収材55S以外の部分、すなわち突出脚部55の脚本体部55R及び固定脚部56等が筐体50と一体に成形されている。
なお説明の都合上、以下では筐体50の下面50Bから固定脚部56の固定下面56Aまでの高さ、すなわち上下方向の距離を距離L3と呼び、当該固定下面56Aから突出脚部55の下面、すなわち衝撃吸収材55Sの下面である突出下面55SAまでの高さ(上下方向の距離)を距離L4と呼ぶ。
さらに筐体50(図8)の正面には、下段小紙幣収納庫25Bの場合と同様に、開閉可能な扉60が設けられている。扉60は、扉40と同様、解放時には収納空間50Sに対する紙幣の装填又は取出を可能とし、閉塞時には当該収納空間50Sに収納された紙幣を保護する。
筐体50内には、図10に示すように、上下方向に貫通する中継搬送路63が設けられており、当該中継搬送路63の上端及び下端が上受渡口52及び下受渡口58にそれぞれ接続されている。また中継搬送路63の上端近傍には、紙幣の搬送経路を切り替える切替器65が設けられている。この切替器65は、制御部13(図2)からの制御に基づいて紙幣の搬送方向を切り替えることにより、上方と下方との間で紙幣を搬送させ、又は上方と前下方との間で紙幣を搬送させる。さらに切替器65と収納空間50Sとの間には、後上方と前下方とを結ぶように傾斜した搬送路66が形成されている。搬送路66の周囲には、下段小紙幣収納庫25Bの分離集積部41と同様の構成でなる分離集積部61が配置されている。
このように上段小紙幣収納庫25Cは、筐体50の下面50Bに取り付ける脚部54を、下端に衝撃吸収材55Sを取り付けた突出脚部55と、当該突出脚部55よりも下面50Bからの突出量が少ない固定脚部56との組み合わせにより構成している。
[1−3.動作及び効果]
以上の構成において、第1の実施の形態による紙幣処理装置1は、下段小紙幣収納庫25Bの上部に台座部34及び回避空間35を設けると共に、上段小紙幣収納庫25Cの下部に突出脚部55及び固定脚部56の組み合わせでなる脚部54を設けた。脚部54は、突出脚部55の下端に衝撃吸収材55Sを設ける一方、固定脚部56の固定下面56Aを当該突出脚部55の突出下面55SAよりも高くした。
このため上段小紙幣収納庫25Cは、紙幣収納スロット12Bから取り出されて床や机の上に載置される際、突出脚部55の衝撃吸収材55Sを床や机に当接させることができ、当接時に発生する衝撃を良好に吸収し、上段小紙幣収納庫25Cの損傷を防止することができる。
ここで、紙幣処理装置1において下部筐体12の紙幣収納スロット12B(図4)における下側部分に下段小紙幣収納庫25Bが装填されており、その上側に上段小紙幣収納庫25Cが重なるように装填される場合を想定する。
この場合、下段小紙幣収納庫25Bは、紙幣収納スロット12Bに正しく装填されており、図示しない位置決機構等により当該紙幣収納スロット12Bに対する位置が固定されている。さらに上段小紙幣収納庫25Cは、例えば取手51が保守作業者等に把持された状態で、紙幣収納スロット12B(図4)における前後左右の各側面や図示しないガイド等により案内されながら、その内部で下方へ降ろされていく。
このとき上段小紙幣収納庫25Cは、まず図11(A)に示すように、下段小紙幣収納庫25Bの上方において、当該下段小紙幣収納庫25Bのほぼ真上に位置する。このとき脚部54の突出脚部55は、回避空間35(図中斜線で示す)のほぼ真上に位置する。また脚部54の固定脚部56は、台座部34のほぼ真上に位置する。上段小紙幣収納庫25Cは、この状態から下方へ降ろされると、脚部54の突出脚部55を回避空間35へ逃がしながら、固定脚部56の固定下面56Aを台座部34の台座上面34Aに近づけていく。
ここで、上段小紙幣収納庫25Cにおける下面30Bから固定下面56Aまでの距離L3は、下段小紙幣収納庫25Bにおける上面30Aから台座上面34Aまでの距離L1よりも大きい(距離L3>距離L1)。また、上段小紙幣収納庫25Cにおける固定下面56Aから突出下面55SAまでの距離L4は、下段小紙幣収納庫25Bにおける台座上面34Aから段差面30ADまでの距離L2よりも小さい(距離L4<距離L2)。
このため上段小紙幣収納庫25Cは、さらに下方へ降ろされると、やがて図11(B)に示すように、固定脚部56の固定下面56Aが台座部34の台座上面34Aに当接した段階で、下段小紙幣収納庫25Bの上側に積み重なり、載置された状態となる。
このとき上段小紙幣収納庫25Cは、下面50Bに設けた4箇所の脚部54(図8)において、十分な剛性を有する固定脚部56を、下段小紙幣収納庫25B側でやはり十分な剛性を有する台座部34に当接させている。その一方で突出脚部55は、上述した距離L4<距離L2の関係により、下端の衝撃吸収材55Sを回避空間35(図中斜線で示す)内で宙に浮かせた状態となり、下段小紙幣収納庫25Bの段差面30ADには当接しない。
このため上段小紙幣収納庫25Cは、固定脚部56を台座部34に当接させることにより、下段小紙幣収納庫25Bに対し、上下方向に関し所望の位置に合わせることができ、且つその位置や傾斜角度を変化させること無く一定に保つことができる。
また他の観点から見れば、上段小紙幣収納庫25Cは、外力が加えられると変形する性質を有する衝撃吸収材55Sを下段小紙幣収納庫25Bと当接させないことにより、当該下段小紙幣収納庫25Bに対する上下方向の位置や傾斜角度が不安定となることを回避できる。
特に上段小紙幣収納庫25Cは、脚部54において突出脚部55の脚本体部55R及び固定脚部56を一体の部品として形成し、両者を互いに近接させた。このため上段小紙幣収納庫25Cは、樹脂材料が成型されることにより構成される筐体50及び脚部54における製造誤差や撓みの発生等を極めて小さく抑えて、突出下面55SAと固定下面56Aとの距離L4をほぼ設計値通りに維持することができる。
さらに上段小紙幣収納庫25Cは、固定脚部56を台座部34に当接させる際、2本の位置決突起59(図8)を下段小紙幣収納庫25Bにおける2箇所の位置決孔33(図5、図6)にそれぞれ挿入させる。これにより上段小紙幣収納庫25Cは、水平方向(すなわち前後方向及び左右方向)の位置に関し、下段小紙幣収納庫25Bに対して理想的な位置に合わせ、下受渡口58(図8)を上受渡口32(図5)の真上に位置させることができる。
すなわち上段小紙幣収納庫25Cは、下段小紙幣収納庫25Bの上受渡口32に対する下受渡口58の相対的な位置を、上下方向、前後方向及び左右方向の何れについても、理想的な位置に合わせることができる。これにより上段小紙幣収納庫25Cは、下段小紙幣収納庫25Bとの間で、下受渡口58及び上受渡口32を介して紙幣を安定的に搬送することができる。
これと共に上段小紙幣収納庫25Cは、紙幣収納スロット12B内における上受渡口52の位置も、理想的な位置、すなわち下部筐体12が筐体10(図2)内に収納されたときに搬送部21の受渡口と適切に対向し得る位置に、合わせることができる。
これにより紙幣処理装置1は、例えば下段小紙幣収納庫25Bと搬送部21(図2)との間で紙幣を受け渡す場合、図12に示すように、下段小紙幣収納庫25Bと上段小紙幣収納庫25Cとの間で紙幣を円滑に受け渡すことができ、当該紙幣を中継搬送路63(図10)により上下方向へ搬送した上で、さらにこの紙幣を上段小紙幣収納庫25Cと搬送部21との間で円滑に受け渡すことができる。
以上の構成によれば、第1の実施の形態による紙幣処理装置1は、下段小紙幣収納庫25Bの上部に硬質な材料でなる台座部34及び回避空間35を設けると共に、上段小紙幣収納庫25Cの下部に、下端に衝撃吸収材55Sを有する突出脚部55及び当該突出脚部55よりも短く硬質な材料でなる固定脚部56を設けた。紙幣処理装置1は、下段小紙幣収納庫25Bの上側に上段小紙幣収納庫25Cを積み重ねる際、固定脚部56を台座部34に当接させる一方、突出脚部55を回避空間35内で宙に浮かせて衝撃吸収材55Sを下段小紙幣収納庫25Bに当接させない。このため紙幣処理装置1は、下段小紙幣収納庫25Bに対する上段小紙幣収納庫25Cの上下方向の位置を精度良く定めて、上受渡口32と下受渡口58との間における紙幣の受渡精度を高めることができる。
[2.第2の実施の形態]
第2の実施の形態による紙幣処理装置101(図1、図2)は、第1の実施の形態による紙幣処理装置1と比較して、下部筐体12及び下段小紙幣収納庫25Bに代わる下部筐体112及び下段小紙幣収納庫125Bを有する点において相違するものの、他の点については同様に構成されている。
下部筐体112(図4)は、第1の実施の形態による下部筐体12と比較して、紙幣収納スロット12Bに代わる紙幣収納スロット112Bを有する点において相違するものの、他の点については同様に構成されている。
[2−1.紙幣収納スロットの構成]
紙幣収納スロット112Bは、図13(A)、(B)及び(C)並びに図14に示すように、底部131の上面131Aにおける後寄りに、2個の位置決支持部133及び1個のスロット側コネクタ138がそれぞれ立設されている。
位置決支持部133は、左右の両端からやや内側へ寄った箇所に、すなわち左右の両端との間に回避空間137を空けた箇所に、それぞれ立設されている。各位置決支持部133は、下側部分を占める台座部134と、上側部分を占めるポスト135とにより構成されている。
台座部134は、例えば硬質な樹脂材料により構成されており、中心軸を上下方向に向けた比較的太く短い円柱状に形成され、その上面である台座上面134Aがほぼ水平な平面状となっている。ポスト135は、台座上面134Aのほぼ中央から上方に向けて立設されており、中心軸を上下方向に向けた比較的細い円柱状に形成され、その先端が円錐状に細められている。
スロット側コネクタ138は、2個の位置決支持部133の間であって左右の中央よりも右側に偏った位置、すなわち右側の位置決支持部133の近傍に配置されている。このスロット側コネクタ138は、全体として左右方向にやや長い直方体状に形成されており、その上面に電気信号又は電流を伝達するための複数の端子(図示せず)が設けられている。なお説明の都合上、以下では底部131の上面131Aから台座上面134Aまでの高さ、すなわち上下方向の距離を距離L5と呼ぶ。
このように紙幣収納スロット112Bは、底部131の上面131Aにおける後寄りに、台座部134の台座上面134Aにポスト135が立設された位置決支持部133が2箇所に設けられ、その左右両外側に回避空間137が形成されている。
[2−2.下段小紙幣収納庫の構成]
下段小紙幣収納庫125Bは、図5と対応する図15及び図16に示すように、第1の実施の形態による下段小紙幣収納庫25Bと比較して、筐体30に代わる筐体130を有する点が一部相違するものの、他の部分については同様に構成されている。筐体130は、筐体30と比較して、中空の直方体状に構成されている点や上部に台座部34及び回避空間35等が設けられている点において同様であるものの、その下面130Bの構成が一部相違している。
具体的に下面130Bには、前後左右の頂点近傍に、第1の実施の形態と同様の脚部36がそれぞれ立設されることに加えて、後寄りに2箇所の位置決孔153及び1箇所のコネクタ孔155がそれぞれ穿設されている。
各位置決孔153は、丸孔でなり、後側における左右の脚部36の内側にそれぞれ隣接するように配置されている。各位置決孔153の周囲には、被支持部154が設けられている。被支持部154は、位置決孔153の周囲を取り囲むような円環状に形成されており、その下面が下面130Bと同一の平面上にある。この被支持部154は、筐体130の一部として、当該筐体130と一体に形成される。このため被支持部154は、当該筐体130と同様、硬質な樹脂材料により形成され、十分な剛性を有する。
コネクタ孔155は、2箇所の位置決孔153の間であって左右の中央よりも右側に偏った位置、すなわち右側の位置決孔153の近傍に配置されている。コネクタ孔155は、左右方向に長い角穴となっており、その内部に収納庫側コネクタ156が埋め込まれている。
収納庫側コネクタ156は、左右方向にやや長い直方体状に形成されており、紙幣収納スロット112Bに設けられたスロット側コネクタ138と嵌合する形状となっている。この収納庫側コネクタ156の下面には、スロット側コネクタ138の各端子(図示せず)とそれぞれ接触して電気的に接続し得るような複数の端子(図示せず)が設けられている。なお説明の都合上、以下では被支持部154から脚部36における衝撃吸収材36Sの下面である脚部下面36SAまでの高さ、すなわち上下方向の距離を距離L6と呼ぶ。
このように下段小紙幣収納庫125Bは、筐体130の下面130Bにおける後寄りに、左右の脚部36の内側に位置決孔153がそれぞれ穿設され、その周囲に被支持部154が形成されており、さらにその間に収納庫側コネクタ156が設けられている。
因みにこの第2の実施の形態においても、大紙幣収納庫25A(図4)が下段小紙幣収納庫125Bと類似した構成となっており、当該大紙幣収納庫25Aの下面が下段小紙幣収納庫125Bの下面130Bと同様に構成されている。
[2−3.動作及び効果]
以上の構成において、第2の実施の形態による紙幣処理装置101は、紙幣収納スロット112Bにおける底部131の上面131Aに位置決支持部133を立設して回避空間137を形成し、また下段小紙幣収納庫125Bの下面130Bに脚部36を立設すると共に位置決孔153を穿設し、その周囲に被支持部154を形成した。
ここで、紙幣処理装置101において下部筐体112の紙幣収納スロット112Bに下段小紙幣収納庫125Bが装填される場合を想定する。この場合、下段小紙幣収納庫125Bは、第1の実施の形態における上段小紙幣収納庫25Cと同様、例えば取手31が保守作業者等に把持された状態で、紙幣収納スロット112Bにおける前後左右の各側面や図示しないガイド等により案内されながら、その内部で下方へ降ろされていく。
このとき下段小紙幣収納庫125Bは、まず図11(A)と対応する図17(A)に示すように、底部131から僅かに離れた位置まで到達する。このとき各脚部36は、各回避空間137(図中斜線で示す)のほぼ真上に位置する。また各位置決孔153は、各位置決支持部133のポスト135のほぼ真上に位置する。さらに各被支持部154は、各位置決支持部133の台座部134のほぼ真上に位置する。
下段小紙幣収納庫125Bは、この状態から下方へ降ろされると、脚部36を回避空間137へ逃がしながら、ポスト135を位置決孔153内へ誘導し、被支持部154を台座部134の台座上面134Aに近づけていく。
ここで、下段小紙幣収納庫125Bにおける被支持部154から脚部36の脚部下面36SAまでの距離L6は、底部131の上面131Aから台座上面134Aまでの距離L5よりも小さい(距離L6<距離L5)。このため下段小紙幣収納庫125Bは、さらに下方へ降ろされると、やがて図11(B)と対応する図17(B)に示すように、被支持部154が台座部134の台座上面134Aに当接した段階で、紙幣収納スロット112Bに装填された状態となる。
このとき下段小紙幣収納庫125Bは、十分な剛性を有する被支持部154を、紙幣収納スロット112B側でやはり十分な剛性を有する台座部134に当接させている。その一方で脚部36は、上述した距離L6<距離L5の関係により、下端の衝撃吸収材36Sを回避空間137(図中斜線で示す)内で宙に浮かせた状態となり、紙幣収納スロット112Bにおける底部131の上面131Aには当接しない。
このため下段小紙幣収納庫125Bは、第1の実施の形態と同様、被支持部154を台座部134に当接させることにより、紙幣収納スロット112Bに対し、上下方向に関し所望の位置に合わせることができる。また他の観点から見れば、下段小紙幣収納庫125Bは、外力が加えられると変形する性質を有する衝撃吸収材36Sを紙幣収納スロット112Bと当接させないことにより、当該紙幣収納スロット112Bに対する上下方向の位置が不安定となることを回避できる。
また下段小紙幣収納庫125Bは、2箇所の位置決孔153にポスト135をそれぞれ挿入させることにより、水平方向(すなわち前後方向及び左右方向)の位置に関し、紙幣収納スロット112Bに対して理想的な位置に合わせることができる。
すなわち下段小紙幣収納庫125Bは、紙幣収納スロット112Bのスロット側コネクタ138に対する収納庫側コネクタ156の位置を、水平方向に関しては位置決孔153及びポスト135により理想的な位置に合わせ、上下方向に関しては被支持部154及び台座部134により理想的な位置に合わせることができる。
これにより下段小紙幣収納庫125Bは、紙幣収納スロット112Bに装填されることで、収納庫側コネクタ156をスロット側コネクタ138に嵌合させて互いの端子同士を接触させ、電気的に接続させることができる。このとき下段小紙幣収納庫125Bは、被支持部154及び台座部134の当接により、収納庫側コネクタ156及びスロット側コネクタ138に過大な力が加えられることによる破損を防止できる。
ところで下段小紙幣収納庫125Bは、重心が筐体130のほぼ中心に位置するため、下面130Bのうち後側の被支持部154においてのみ台座部134により下方から支持されると、その前面を前方に傾けるような力が作用する。このとき下段小紙幣収納庫125Bは、図18に示すように、前面の上端近傍にある第2当接点としての当接点130Pにより、紙幣収納スロット112Bの前側板132に寄りかかるように当接し、当該前側板132により支持される。すなわち下段小紙幣収納庫125Bは、予め設計された傾きに合わせられており、且つこの傾きを安定的に維持することができる。
その他の点についても、第2の実施の形態による紙幣処理装置101は、第1の実施の形態による紙幣処理装置1と同様の作用効果を奏し得る。
以上の構成によれば、第2の実施の形態による紙幣処理装置101は、紙幣収納スロット112Bに硬質な材料でなる台座部134を設けて回避空間137を形成し、また下段小紙幣収納庫125Bの下面130Bに脚部36を立設すると共に硬質な材料でなる被支持部154を形成した。紙幣処理装置101は、紙幣収納スロット112Bに下段小紙幣収納庫125Bを装填する際、被支持部154を台座部134に当接させる一方、脚部36を回避空間137内で宙に浮かせて衝撃吸収材36Sを紙幣収納スロット112Bの底部131に当接させない。このため紙幣処理装置101は、紙幣収納スロット112Bに対する下段小紙幣収納庫125Bの上下方向の位置を精度良く定めて、収納庫側コネクタ156及びスロット側コネクタ138を破損させること無く適切に嵌合させることができる。
[3.他の実施の形態]
なお上述した第1の実施の形態においては、固定下面56A及び台座上面34Aを当接させることで下受渡口58と上受渡口32との高さを合わせ、第2の実施の形態では、被支持部154と台座上面134Aとを当接させて収納庫側コネクタ156とスロット側コネクタ138との高さを合わせる場合について述べた。
しかしながら本発明はこれに限らず、上段小紙幣収納庫25C側における種々の部分と下段小紙幣収納庫25B側における種々の部分との高さを合わせ、或いは下段小紙幣収納庫125B側における種々の部分と紙幣収納スロット112B側における種々の部分との高さを合わせるようにしても良い。例えば、紙幣収納スロット12Bに大紙幣収納庫25Aを装填する場合に、当該大紙幣収納庫25Aの上面に形成された受渡口の高さを、下部筐体12が筐体10(図2)内に収納されたとき搬送部21(図2)側の受渡口との高さに合わせるようにしても良い。
また上述した第1の実施の形態においては、下段小紙幣収納庫25Bに対する上段小紙幣収納庫25Cの高さを所望の高さに合わせ、第2の実施の形態においては紙幣収納スロット112Bに対する下段小紙幣収納庫125Bの高さを所望の高さに合わせる場合について述べた。しかしながら本発明はこれに限らず、例えばリジェクトスロット12R(図4)に対するリジェクト庫24の高さを所望の高さに合わせる場合等、紙幣を収納する種々の収納庫を所望の高さに合わせる場合に適用しても良い。
さらに上述した第2の実施の形態においては、紙幣収納スロット112Bにおける底部131の上面131Aに位置決支持部133を立設し、当該上面131A上における前後左右の頂点近傍に回避空間137を形成する場合について述べた(図14)。
しかしながら本発明はこれに限らず、例えば図14と対応する図19に示す紙幣収納スロット212Bのように、底部231の厚さが比較的大きく、上面231Aと台座上面234Aとが同一平面上にあるような場合に、当該上面231Aよりも下方に穴を穿設することにより、脚部36を逃がすための回避穴237を形成しても良い。この場合、上面231Aのほぼ全体が台座上面134Aと同等の機能を果たし、下段小紙幣収納庫125Bの下面130Bのほぼ全体が被支持部154と同等の機能を果たすことになる。これと同様に、第1の実施の形態において、段差面30ADに突出脚部55を逃がすための穴を穿設して回避空間35を形成しても良い。また、台座部34の台座上面34A(図6)を上面30Aと同等の高さとしても良い。この場合、固定脚部56の固定下面56A(図9)は、第2の実施の形態における被支持部154と同様、下面50Bと同等の高さとしても良い。
さらに上述した第1の実施の形態においては、上段小紙幣収納庫25Cの下面30Bから下方へ突出するように突出脚部55及び固定脚部56を設けると共に、下段小紙幣収納庫25Bの上部に台座部34及び回避空間35を形成した。これにより、固定下面56A及び台座上面34Aを当接させた際に、下段小紙幣収納庫25Bに対する上段小紙幣収納庫25Cの上下方向の位置を所望の位置に合わせる場合について述べた。
しかしながら本発明はこれに限らず、例えば図20に平面図を示すように、下段小紙幣収納庫325Bにおける前後左右の各稜線の近傍に衝撃吸収材336Sを取り付けても良い。この場合、筐体330における前後左右の各側面に当該衝撃吸収材336Sよりも各側面からの突出量が小さい固定脚部356をそれぞれ立設させる。さらにこの場合、紙幣収納スロット312Bにおける前後左右の各内側面に、各固定脚部356とそれぞれ当接するように台座部334を設けると共に衝撃吸収材336Sを逃がすための回避空間335を形成する。すなわち本発明は、固定脚部及び台座部を互いに当接させることで、紙幣収納スロット12B等に対する上段小紙幣収納庫25C等の種々の方向に関する位置を、所望の位置に合わせるようにしても良い。
また上述した第1の実施の形態においては、上段小紙幣収納庫25Cの下面50Bに、突出脚部55及び固定脚部56を一体に組み合わせた脚部54を設ける場合について述べた(図9)。しかしながら本発明はこれに限らず、例えば図9と対応する図21(A)に示すように、上段小紙幣収納庫425Cの下面50Bに、突出脚部455及び固定脚部456を互いに分離して設けても良い。この場合、下段小紙幣収納庫25Bの上部において、各固定脚部456と対応する位置に台座部34を設ければ良い。さらにこの場合、固定脚部456を必ずしも突出脚部455と対応付けて配置する必要や、同数にする必要は無く、下面50Bにおける任意の箇所に、3個以下又は5個以上の固定脚部456を設けても良い。
さらに上述した第1の実施の形態においては、上段小紙幣収納庫25Cの下面50Bに4個の固定脚部56を設け、下段小紙幣収納庫25Bの上部に4個の台座部34を設ける場合について述べた。しかしながら本発明はこれに限らず、3個以下又は5個以上の固定脚部56及び台座部34をそれぞれ設けても良い。この場合、上段小紙幣収納庫25Cの重心を下面50Bに投影した投影点を囲む3箇所以上に固定脚部56をそれぞれ配置し、これらとそれぞれ対向する箇所に台座部34をそれぞれ配置して当接させることにより、下段小紙幣収納庫25Bに対する上段小紙幣収納庫25Cの傾斜角度を所望の角度に合わせ、且つ固定することができる。
さらに上述した第1の実施の形態においては、突出脚部55及び固定脚部56を一体に組み合わせた脚部54において、当該突出脚部55及び固定脚部56の間に傾斜面を形成する場合について述べた(図9)。しかしながら本発明はこれに限らず、例えば図9と対応する図21(B)に示す脚部554のように、突出脚部555及び固定脚部556の間に湾曲面を形成しても良く、或いは図21(C)に示す脚部654のように、突出脚部655及び固定脚部656の間に、固定下面656Aと同等の高さでなる平面を形成しても良い。
さらに上述した第1の実施の形態においては、脚部54において突出脚部55を左右の外方に配置し、固定脚部56その内側に配置する場合について述べた(図8、図9)。しかしながら本発明はこれに限らず、例えば図9と対応する図21(D)に示す脚部754のように、固定脚部756を左右の外方に配置し、突出脚部755をその内側に配置しても良い。この場合、下段小紙幣収納庫25Bの上部において、左右の外方に台座部34を配置し、その内側に回避空間35を形成すれば良い。
さらに上述した第1の実施の形態においては、左右の脚部54を互いに独立させる場合について述べた(図8)。しかしながら本発明はこれに限らず、例えば図22に示す連結脚部854のように、左右方向に長い連結固定脚部856を形成しても良い。この場合、下段小紙幣収納庫25Bの上部において、当該連結固定脚部856と対応する何れか1箇所以上に台座部34を配置することができる。また、前後の脚部54を互いに連結させても良い。
さらに上述した第1の実施の形態においては、固定脚部56の固定下面56A及び台座部34の台座上面34Aを何れも長方形ないし正方形状とする場合について述べた。しかしながら本発明はこれに限らず、これらを種々の形状としても良く、或いは4箇所の固定下面56Aをそれぞれ異なる形状とし、4箇所の台座上面34Aをそれぞれ異なる形状としても良い。また、固定下面56A及び台座上面34Aの形状を必ずしも対応させる必要は無く、互いに異なる形状としても良い。この場合、固定下面56Aの少なくとも一部と台座上面34Aの少なくとも一部とが互いに当接することで下段小紙幣収納庫25Bに対する上段小紙幣収納庫25Cの高さを保持できれば良い。また互いに当接する部分は面に限らず、線や点であっても良い。第2の実施の形態についても同様である。
さらに上述した第1の実施の形態においては、樹脂材料により固定脚部56や突出脚部55の脚本体部55R等を筐体30と一体に形成する場合について述べた。しかしながら本発明はこれに限らず、例えば固定脚部56や突出脚部55の脚本体部55R等を筐体30とは別に構成し、ねじや接着剤等の固定部材を用いて筐体30に取り付けても良い。この場合、固定脚部56や突出脚部55の脚本体部55R等は樹脂材料に限らず、例えば金属材料等の他の種々の等でも良く、十分な剛性を有していれば良い。台座部34や第2の実施の形態における台座部134についても同様である。
さらに上述した第1の実施の形態においては、突出脚部55を、硬質な樹脂材料により構成された脚本体部55Rと、その下端取り付けられた上下方向に薄い板状の衝撃吸収材55Sとにより構成する場合について述べた。しかしながら本発明はこれに限らず、例えば突出脚部55及び固定脚部56を分離して構成する場合に、当該突出脚部55全体を柔軟な材料により構成して衝撃吸収材55Sとしても機能させるようにしても良い。また、衝撃吸収材55Sとしては、樹脂等の材料が一様に充填された、いわば中実な構成に限らず、内部に空間を有する、いわゆる中空な構成としても良い。この場合、衝撃が加わった際に内部の空気を一時的に圧縮させてばねのように機能させて、衝撃を大きく吸収することができる。第2の実施の形態における脚部36についても同様である。
さらに上述した第1の実施の形態においては、4個の固定脚部56において、上段小紙幣収納庫25Cにおける下面30Bから固定下面56Aまでの距離を距離L3(図9)に統一し、且つ下段小紙幣収納庫25Bにおける上面30Aから台座上面34Aまでの距離を距離L1(図6)に統一する場合について述べた。しかしながら本発明はこれに限らず、例えば固定脚部56ごとに下面30Bから固定下面56Aまでの距離を相違させても良い。この場合、上面30Aから台座上面34Aまでの距離を各固定脚部56に合わせてそれぞれ相違させれば良い。
さらに上述した第1の実施の形態においては、本発明を金融機関の窓口等に設置され主に金融機関の職員等に使用される紙幣処理装置1に本発明を適用する場合について述べた。しかしながらこれに限らず、例えば現金自動預払機(ATM)や両替機、或いは自動販売機等のように紙幣を取り扱う種々の装置であって、当該紙幣を収納する紙幣収納庫を本体に対して着脱可能なものに本発明を適用しても良い。或いは、証券や金券、若しくは入場券等のような種々の媒体を取り扱う種々の装置であって、当該媒体を収納する収納庫を本体に対して着脱可能なものに本発明を適用しても良い。第2の実施の形態についても同様である。
さらに本発明は、上述した各実施の形態及び他の実施の形態に限定されるものではない。すなわち本発明は、上述した各実施の形態と上述した他の実施の形態の一部又は全部を任意に組み合わせた実施の形態や、一部を抽出した実施の形態にもその適用範囲が及ぶものである。
さらに上述した第1の実施の形態においては、収納庫としての上段小紙幣収納庫25Cと、可変当接部としての突出脚部55と、固定当接部としての固定脚部56と、支持体としての下段小紙幣収納庫25Bと、台座部としての台座部34と、当接回避部としての回避空間35とによって媒体収納装置としての下部筐体12を構成する場合について述べた。しかしながら本発明はこれに限らず、その他種々の構成でなる収納庫と、可変当接部と、固定当接部と、支持体と、台座部と、当接回避部とによって媒体収納装置を構成しても良い。
さらに上述した第1の実施の形態においては、媒体収納装置としての下部筐体12を内部に有する媒体処理装置としての紙幣処理装置1であって、当該媒体収納装置を、収納庫としての上段小紙幣収納庫25Cと、可変当接部としての突出脚部55と、固定当接部としての固定脚部56と、支持体としての下段小紙幣収納庫25Bと、台座部としての台座部34と、当接回避部としての回避空間35とによって構成する場合について述べた。しかしながら本発明はこれに限らず、その他種々の構成でなる媒体収納装置を内部に有する媒体処理装置であって、当該媒体収納装置を、収納庫と、可変当接部と、固定当接部と、支持体と、台座部と、当接回避部とによって構成しても良い。