JP2015196816A - 2剤型バイオフィルム除去剤組成物及びバイオフィルムの除去方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】バイオフィルムを効率的に除去する剤を提供する。【解決手段】 (A)界面活性剤およびアルカリ剤を含有する液状組成物(第1剤)と、(B)過酸化水素含有物(第2剤)を含む2剤型バイオフィルム除去剤組成物。【選択図】なし
Description
本発明は、浴室、台所、トイレ、洗面所、排水管、排水溝、医療器具、逆浸透膜(RO膜)、冷却水系等に発生したバイオフィルムの除去剤に関するものである。
台所、浴室、洗面所、トイレ、排水化、排水溝、医療器具、冷却水系等の水周りは微生物の生育に適した環境であり、これら増殖してバイオフィルムを形成する。バイオフィルムはぬるぬるした感じや着色によって見た目にも不潔な印象を与えるだけでなく、微生物が原因となる危害を引き起こすことが問題となっている。例えば温泉施設等ではレジオネラ菌による感染症の防除が大きな問題になっている。また、食品プラントの配管内にバイオフィルムが形成すると、食中毒の原因となる。医療分野においても、カテーテルにバイオフィルムが形成し、これが原因となって感染症が発生する。また、空調用、冷凍用、あるいは各種プラントの冷却水系では、バイオフィルムが系内の配管や機器に付着して、熱効率の低下、配管の閉塞や流量の低下、金属腐食等の問題を引き起こす。
バイオフィルムを除去する方法として、殺菌剤を用いる方法が提案されている。例えば、特許文献1では、バイオフィルムの構成成分の一つであるアルギン酸カルシムの崩壊剤と次亜塩素酸ナトリウムを接触させる方法が提案されている。次亜塩素酸ナトリウムはバイオフィルムを除去する能力には優れているが、強い酸化力を有するために金属に錆を発生させる、プラスチック素材を傷める等の問題がある。
上記のような状況の下、本発明の解決しようとする課題は、バイオフィルムを効率的に除去する剤を提供することである。
本発明者は、上記課題を解決すべく鋭意研究を重ねたところ、弱アルカリ性の環境下に過酸化水素含有物と界面活性剤を用いることによって、バイオフィルムを効率的に除去できることを見出した。本発明は、このような知見に基づいて完成したものであり、以下の様態の2剤型バイオフィルム除去剤組成物及びバイオフィルム除去方法を提供するものである。
項1 (A)界面活性剤およびアルカリ剤を含有する液状組成物(第1剤)と、(B)過酸化水素含有物(第2剤)とからなる2剤型バイオフィルム除去剤組成物。
項2. 前記界面活性剤が下記式(1)
項1 (A)界面活性剤およびアルカリ剤を含有する液状組成物(第1剤)と、(B)過酸化水素含有物(第2剤)とからなる2剤型バイオフィルム除去剤組成物。
項2. 前記界面活性剤が下記式(1)
(式中、R1はC3〜C18のアルキル基、R2はC1〜C18のアルキル基、m又はnは其々1〜14であり、mとnの合計は2〜15である。X−は、アニオンを示す)
で表されるカチオン界面活性剤である項1に記載の2剤型バイオフィルム除去剤組成物。
項3. 前記界面活性剤がアニオン界面活性剤である項1に記載の2剤型バイオフィルム除去剤組成物。
項4. 前記(A)の液状組成物と前記(B)の過酸化水素含有物の混合液のpHが9.5〜11.0であることを特徴とする項1〜3のいずれか一項に記載の2剤型バイオフィルム除去剤組成物。
項5.(A)界面活性剤およびアルカリ剤を含有する液状組成物と、(B)過酸化水素含有物とを混合した液を、バイオフィルムを有する除去対象物に接触させることを特徴とするバイオフィルムの除去方法。
で表されるカチオン界面活性剤である項1に記載の2剤型バイオフィルム除去剤組成物。
項3. 前記界面活性剤がアニオン界面活性剤である項1に記載の2剤型バイオフィルム除去剤組成物。
項4. 前記(A)の液状組成物と前記(B)の過酸化水素含有物の混合液のpHが9.5〜11.0であることを特徴とする項1〜3のいずれか一項に記載の2剤型バイオフィルム除去剤組成物。
項5.(A)界面活性剤およびアルカリ剤を含有する液状組成物と、(B)過酸化水素含有物とを混合した液を、バイオフィルムを有する除去対象物に接触させることを特徴とするバイオフィルムの除去方法。
本発明におけるバイオフィルム除去剤組成物及びバイオフィルムの除去方法を用いれば、弱アルカリ性の液を用いて、様々な環境に形成されるバイオフィルムを簡便にかつ効果的に除去できる。
本発明のバイオフィルム除去剤組成物は2剤型であり、(A)界面活性剤およびアルカリ剤を含有する液状組成物(第1剤)と、(B)過酸化水素含有物(第2剤)を含む。
(A)の液状組成物に使用する界面活性剤としては、カチオン界面活性剤、アニオン界面活性剤を用いることができる。
(A)の液状組成物に使用する界面活性剤としては、カチオン界面活性剤、アニオン界面活性剤を用いることができる。
カチオン界面活性剤としては、例えば一般式(1)で表されるポリオキシエチレンジアルキルアンモニウム塩が用いられる。
式中のR1基はC3〜C18のアルキル基を示し、これらのアルキル基としては、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、2−エチルヘキシル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ヘキサデシル基、オクタデシル基などが挙げられる。
式中のR2基はC1〜C18のアルキル基を示し、これらのアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、2−エチルヘキシル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ヘキサデシル基、オクタデシル基などが挙げられる。
式中のポリオキシエチレン鎖の重合度(m,n)は、夫々1〜14の整数であり、(m+n)の合計は2〜15の整数である。(a)成分の中でも、ポリオキシエチレンアルキルメチルアンモニウム塩(アルキル鎖長8〜18、エチレンオキサイドの合計縮合数(m+n)=15)は、消泡性に優れるので好適である。
式中X−は、アニオンを表す。Xとしては例えば、塩素(Cl)、臭素(Br)、ヨウ素(I)、硫酸(1/2SO4)、硝酸(NO3)、アセテート(CH3COO)等を挙げることができる。
アニオン界面活性剤としては特に限定されるものではなく、例えば、アルキル硫酸エステル塩(例えば、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸カリウム等)、アルキルベンゼンスルホン酸塩(例えば、リニアドデシルベンゼンスルホン酸トリエタノールアミン、リニアドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム等)、αオレフィンスルホン酸、高級脂肪酸エステルスルホン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、アルキルリン酸エステル塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸、石鹸等が挙げられる。
本発明のバイオフィルム除去方法における(A)の液状組成物の界面活性剤の濃度は、添加または混合する(B)の過酸化水素含有物の量比によって異なるので限定できないが、等量の(B)過酸化水素含有物と混合する場合には、0.001〜1重量%が好ましく、好ましくは0.005〜0.5重量%、更に好ましくは0.01〜0.1重量%である。0.001重量%以下、または1重量%以上では、バイオフィルム除去能が著しく低下する。なお、(A)の界面活性剤の濃度は使用時の濃度であり、(A)の界面活性剤の濃度がより高い濃縮液も本発明のバイオフィルム除去剤組成物に包含される。
本発明の(A)の液状組成物に用いられるアルカリ剤は、(A)の液状組成物をアルカリに調整するために用いられる。アルカリ剤としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム等のアルカリ金属水酸化物類、オルト珪酸ナトリウム、メタ珪酸ナトリウム、セスキ珪酸ナトリウム等の珪酸塩類、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、セスキ炭酸ナトリウム、セスキ炭酸カリウム等の炭酸塩類、ホウ酸ナトリウム等のホウ酸塩類、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等のアルカノールアミン、リジン、アルギニン等の塩基性アミノ酸類、テトラメチルアンモニウム等の四級アミン、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、スペルミン、スペルミジン等のポリアミン類が挙げられる。これらのアルカリ剤の内、好ましくは水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、メタケイ酸ナトリウム又は1号ケイ酸カリウムである。アルカリ剤は2種以上を組み合わせて用いても良い。
(A)の液状組成物中のアルカリ剤の濃度は、(B)の過酸化水素含有物の種類および量比によって異なるので限定できないが、特に好ましい実施形態では混合液のpHが9.5〜11となるように調整される。混合液のpHが9.5よりも低い場合にはバイオフィルムの除去は不十分であり、11より高い場合は強アルカリ性であり、危険性が高くなるので好ましくない。なお、上記のpH値は使用時の2剤型バイオフィルム除去剤組成物のpHであり、pHが11より高い濃縮液であっても、使用時に希釈した場合に本発明のpH範囲に含まれる場合には、本発明のバイオフィルム除去剤組成物に包含される。
(B)の過酸化水素含有物としては、過酸化水素水、過炭酸ナトリウム、過ホウ酸ナトリウムなどの過酸化水素を含むか、あるいは、過酸化水素がバイオフィルム除去剤組成物中で発生させることができるものが挙げられる。中でも、過酸化水素水は液体であるので取扱いが容易であり、また過酸化水素濃度を高くすることができるので、本発明に用いる過酸化水素含有物として適している。
過酸化水素水中の過酸化水素濃度は、(A)の液状組成物との混合比によって異なるので限定できないが、等量を混合する場合には、0.2〜20重量%、好ましくは1〜10重量%、更に好ましくは2〜4重量%である。
本発明の(A)の液状組成物には、適宜、非イオン界面活性剤、両性界面活性剤、キレート剤、溶剤、保湿剤、香料、増粘剤、着色剤、抗菌剤、消泡剤等を添加することが出来る。
本発明に用いられる両性界面活性剤としては、ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ステアリルジメチルアミノ酢酸ベタイン等のアルキルベタイン型、コカミドプロピルベタイン、ラウリン酸アミドプロピルベタイン等の脂肪酸アミドベタイン型、2−アルキル−N−カルボキシメチル−N−ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン等のアルキルイミダゾール型、ラウロイルグルタミン酸ナトリウム、ラウロイルメチル−β―アラニン等のアミノ酸型、ラウリルジメチルアミンN−オキサイド、オレイルジメチルアミンN−オキサイド等のアルキルアミンオキサイド、ラウリン酸アミドプロピルヒドロキシスルホベタイン等のスルホベタイン型が挙げられる。
非イオン性界面活性剤としては、ソルビタン脂肪酸エステル(例えば、ソルビタンモノオレート、ソルビタンモノイソステアレート、ソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノパルミテート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタンセスキオレエート、ソルビタントリオレエート等)、グリセリン脂肪酸エステル類(例えば、モノエルカ酸フリセリン、セスキオレイン酸グリセリン、モノスレアリン酸グリセリン等)、プロピレングリコール脂肪酸エステル類(例えば、モノステアリン酸プロピレングリコール等)、硬化ひまし油誘導体、グリセリンアルキレート、POE−ソルビタンエステル類(例えば、POE−ソルビットラウレート、POE−ソルビットモノオレエート、POE−ソルビタンモノステアレート等)、POE−脂肪酸エステル類、POE−アルキルエーテル類(例えば、POE−ラウリルエーテル、POE−オレイルエーテル、POE−ステアリルエーテル等)、プルロニック類、POE・POP−アルキルエーテル類(例えば、POE・POP−モノセチルエーテル、POE・POP−モノブチルエーテル、POE・POP−グリセリンエーテル等)、テトロニック類、POE−ひまし油誘導体(例えば、POE−ひまし油、POE−硬化ひまし油、POE-硬化ひまし油モノイソステアレート等)、アルカノールアミド(例えば、ヤシ油脂肪酸ジエタノールアミド、ラウリン酸モノエタノールアミド、脂肪酸イソプロパノールアミド等)、POE−プロピレングリコールエステル、POE−アルキルアミン、POE−脂肪酸アミド、ショ糖脂肪酸エステル等が挙げられる。
キレート剤としては、通常使用されるものであれば特に限定されないが、例えば、リン酸系化合物(例えば、オルトリン酸、ピロリン酸、トリポリリン酸、メタリン酸、ヘキサメタリン酸等)、ホスホン酸類(例えば、エタン−1,1−ジホスホン酸、エタン−1,1,2−トリホスホン酸、エタン―1−ヒドロキシ−1,1,2−トリホスホン酸、エタン−1−ジカルボキシ−1,2−ジホスホン酸、メタンヒドロキシホスホン酸等)、ホスホノカルボン酸類(例えば、2−ホスホノブタン−1,2−ジカルボン酸、1−ホスホノブタン−2,3,4−トリカルボン酸、αメチルホスホノコハク酸等)、アミノカルボン酸類(例えば、ニトリロトリ酢酸、イミノ二酢酸、エチレンジアミン四酢酸、ヒドロキシエチレンジアミン四酢酸、ジエチレントリアミン五酢酸、グリコールエーテルジアミン四酢酸、ヒドロキシエチルイミノ二酢酸、トリエチレンテトラミン六酢酸、イミノジコハク酸、アスパラギン酸ジ酢酸、アミノメチルグリシンジ酢酸等)、有機酸(例えば、ジグリコール酸、オキシジコハク酸、カルボキシメチルオキシコハク酸、アスコルビン酸、グルコン酸、クエン酸、乳酸、酒石酸、シュウ酸、リンゴ酸、コハク酸、アジピン酸、スベリン酸等)、アミノ酸(例えば、アスパラギン酸、グルタミン酸、グリシン等)、これらのアルカリ金属塩、アンモニア塩又はアルカノールアミン塩を挙げることができる。
溶剤としては、グリセリン、メタノール、エタノール、プロパノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ブチレングリコール、ペンチレングリコール、ヘキシレングリコール、トリエチレングリコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、グリセリンモノメチルエーテル、グリセンモノエチルエーテル、グリセリンモノプロピルエーテル、グリセンモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノプロピルエーテル、ジグリセリンモノメチルエーテル、ジグリセリンモノエチルエーテル、ジグリセリンモノプロピルエーテル、ジグリセリンモノブチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル等が挙げられる。
増粘剤としては、例えば、アラビアゴム、カラギーナン、カラヤガム、トラガカントガム、カゼイン、デキストリン、ゼラチン、アルギン酸ナトリウム、メチルセルロース、エチルセルロース、CMC、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、PVA、ポリアクリル酸ナトリウム、グアーガム、タマリントガム、キサンタンガム、ケイ酸アルミニウムマグネシウム、ベントナイト、ヘクトライト、ラポナイト等が挙げられる。
保湿剤としては、例えば、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、キシリトール、ソルビトール、マルチトール等が挙げられる。
着色料としては、例えば、二酸化チタン、酸化亜鉛、酸化鉄、チタン酸鉄、黄酸化鉄、黄土、黒酸化鉄、コバルトバイオレット、チタン酸コバルト、群青、パール顔料、金属粉末顔料、有機顔料、クロロフィル、βカロチン等が挙げられる。
香料としては、ジャコウ、ライム、ビャクダン、ハッカ、バニリン、シトロネラール、オイゲノール、リナロール、クマリン、ケイ皮酸エチル等が挙げられる。
消泡剤としては、シリコーン系消泡剤等が挙げられる。
抗菌剤としては、クロルヘキシジン塩酸塩、ポリヘキサメチレンビグアナイド、ナトリウムピリチオン、ジンクピリチオン、1,2−ベンズイソチアゾリン−3−オン、ハイジェニア等が挙げられる。
本発明の液状組成物は、以上に列挙した添加剤の1種以上と適宜併用することで、各目的により適したバイオフィルム除去剤とすることが出来る。
本発明の2剤型バイオフィルム除去剤は使用する直前に混合して使用する。(A)剤と(B)剤の混合比(A/B)は、(B)剤中の過酸化水素濃度によって異なるので限定できないが、35%過酸化水素水を用いる場合には、3.5〜350、好ましくは7〜70、更に好ましくは15〜30である。
混合したバイオフィルム除去剤組成物は、対象物に噴霧・塗布することによって、又は対象物をバイオフィルム除去剤組成物に浸漬することによって使用される。適用する対象物としては、台所、浴室、洗面所、トイレ、排水管、排水溝、医療器具、冷却水系、RO膜等が挙げられる。
以下、本発明を実施例及び比較例を用いてより詳細に説明するが、本発明がこれら実施例に限定されないことはいうまでもない。
実施例1〜5、比較例1〜6
<バイオフィルム除去能>
緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa NBRC3080)を普通ブイヨン培地に接種して、30℃にて24時間振盪培養した。増殖した菌液を、SCD培地を用いて100倍に希釈した。これらの菌液200μlを96ウェルマイクロプレート内に注入し、30℃にて24時間培養し、バイオフィルムを形成させた。培養液を捨てた後、イオン交換水で3回洗浄し、試験に用いるバイオフィルムサンプルを調製した。
<バイオフィルム除去能>
緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa NBRC3080)を普通ブイヨン培地に接種して、30℃にて24時間振盪培養した。増殖した菌液を、SCD培地を用いて100倍に希釈した。これらの菌液200μlを96ウェルマイクロプレート内に注入し、30℃にて24時間培養し、バイオフィルムを形成させた。培養液を捨てた後、イオン交換水で3回洗浄し、試験に用いるバイオフィルムサンプルを調製した。
その後、表1に示すバイオフィルム除去剤300μLを注入し、25℃にて10分静置後に液を抜き出した。イオン交換水で3回洗浄した後、次の方法で残存するバイオフィルムを定量した。
クリスタルバイオレット0.1%溶液350μLを注入し、20分後に抜き出すことにより、バイオフィルムを染色した。イオン交換水で5回洗浄し、余分な洗浄液を除去した。エタノールでクリスタルバイオレットを抽出し、600nmの吸光度を測定した。
バイオフィルム除去剤を作用させなかったウェルについグラム染色用A液で処理後、吸光度を測定して初期値とした。また、培地200μLを含有するが菌株を接種しなかったウェルについても同様の操作を行い、ブランク値とした。バイオフィルム除去率を下式により求めた。
除去率(%)=100×[{(初期値―ブランク値)−(測定値―ブランク値}/((初期値―ブランク値)]
得られた結果を表1、表2に示した。表1,2において、50%水酸化カリウム溶液、1N塩酸は、pH調整に必要な量を使用した。
得られた結果を表1、表2に示した。表1,2において、50%水酸化カリウム溶液、1N塩酸は、pH調整に必要な量を使用した。
1)ライオン株式会社製、ポリオキシエチレンアルキルアンモニウムクロライド(C8〜C18、EO:15モル)
2)第一工業製薬株式会社製、アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム
3)第一工業製薬株式会社製、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸ナトリウム(27%溶液)
4)東邦化学工業株式会社、ポリオキシエチレンアルキルリン酸エステル
5)第一工業製薬株式会社製、ポリオキシエチレンアルキルスルホコハク酸(25%溶液)
2)第一工業製薬株式会社製、アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム
3)第一工業製薬株式会社製、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸ナトリウム(27%溶液)
4)東邦化学工業株式会社、ポリオキシエチレンアルキルリン酸エステル
5)第一工業製薬株式会社製、ポリオキシエチレンアルキルスルホコハク酸(25%溶液)
表1,2に示したように、本発明の組成物は、pH10または10.5で、優れたバイオフィルム除去性を示した。一方、過酸化水素を含有しない界面活性剤溶液、過酸化水素のみを含有する溶液によるバイオフィルムの除去は少なく、バイオフィルムが残存していることが確認できる。
Claims (5)
- (A)界面活性剤およびアルカリ剤を含有する液状組成物(第1剤)と、(B)過酸化水素含有物(第2剤)を含む2剤型バイオフィルム除去剤組成物。
- 前記界面活性剤がアニオン界面活性剤である請求項1に記載の2剤型バイオフィルム除去剤組成物。
- 前記(A)の液状組成物と前記(B)の過酸化水素含有物の混合液のpHが9.5〜11.0であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の2剤型バイオフィルム除去剤組成物。
- (A)界面活性剤およびアルカリ剤を含有する液状組成物と、(B)過酸化水素含有物とを混合した液を、バイオフィルムを有する除去対象物に接触させることを特徴とするバイオフィルムの除去方法。
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WO2020230627A1 (ja) * | 2019-05-10 | 2020-11-19 | 花王株式会社 | 水系システム用バイオフィルム除去用組成物 |
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