<概要>
[第1実施形態]
以下、ドッキングに関する第1実施形態の概要について説明する。本実施形態の眼科用レーザ手術装置(以下、本装置または手術装置ともいう、図1参照)1は、レーザ光を患者眼Eの組織に対して集光させ、患者眼Eを処置する。例えば、本装置1は、照射光学系320を備えてもよい(図3参照)。照射光学系320は、例えば、レーザ光源から出射されたレーザ光を患者眼Eに照射する。照射光学系320は、例えば、レーザを患者眼Eの組織に対して集光させるための対物レンズ305等を備えてもよい。例えば、本装置1は、移動ユニット10、眼検出器(例えば、制御部100)、制御部100、等を備えてもよい。
移動ユニットは、例えば、患者眼Eをレーザ照射ユニット300の光軸上に固定するための眼球固定ユニット280を患者眼Eに向けて移動させるために設けられてもよい。
眼検出器は、例えば、患者眼Eの画像を撮像するための撮像光学系(例えば、観察光学系70)によって撮像された撮像画像(例えば、正面画像、断層画像など)に基づいて、眼球固定ユニット280によって固定される前の患者眼Eを検出してもよい。
制御部100は、眼検出器からの検出信号に基づいて駆動部の駆動を制御し、眼球固定ユニット280によって固定される前の患者眼Eに対して眼球固定ユニット280を自動的に移動させてもよい。
例えば、制御部100は、アライメント、患者眼の傾きなどが適正と判断された場合、自動的にドッキング動作を開始・完了させてもよい。制御部100は、眼検出結果に基づいて自動的に眼球固定ユニット280を移動させてもよい。
なお、本装置1は、デリバリーユニット41を備えてもよい。デリバリーユニット41は、患者眼Eにレーザ光を導光する。デリバリーユニット41は、例えば、照射端ユニット42と、照射光学系320の少なくとも一部を備えてもよい。
なお、移動ユニット10は、駆動部12を備えてもよい。移動ユニット10は、駆動部12の駆動によって、レーザ照射端ユニット300と、デリバリーユニット41に連結されてもよい。移動ユニット10は、患者眼Eをレーザ照射ユニット300の光軸上に固定するための眼球固定ユニット280と、を患者眼Eに向けて一体的に移動させるために設けられてもよい。なお、移動ユニット10は、例えば、眼球固定ユニット280を照射光学系320と一体的に移動させるために設けられてもよい。
なお、眼検出器は、例えば、アライメント検出器(例えば、制御部100)および傾斜検出器(例えば、制御部100)の少なくともいずれかを備えてもよい。アライメント検出器は、例えば、撮像画像に基づいて照射光学系320に対する患者眼Eのアライメント状態を検出してもよい。傾斜検出器は、例えば、撮像画像に基づいて照射光学系320に対する患者眼Eの傾斜状態を検出してもよい。
なお、制御部100は、眼検出器の検出結果において、アライメント状態又は傾斜状態の少なくとものいずれかが適正と判定された場合、駆動部100の駆動を制御し、眼球固定ユニット280を患者眼Eに対して自動的に密着させてもよい。
なお、本装置1は、さらに固視誘導ユニット120備えてもよい。固視誘導ユニット120は、患者眼Eに呈示する固視標(例えば、光源121)の呈示位置を移動させ、患者眼Eの固視方向を誘導してもよい。この場合、制御部100は、眼検出器による照射光学系320に対する患者眼Eのアライメント状態の検出結果に基づいて、患者眼Eと照射光学系320とが所定の位置関係となるように駆動部12を制御して自動位置合わせしてもよい。その後、制御部100は、固視誘導ユニット120を制御し、照射光軸(例えば、光軸L1)と患者眼Eの傾きが所定の関係になるように固視標呈示を自動的に行ってもよい。このとき、制御部100は、例えば、駆動部12を再度制御し、固視標の呈示位置を移動させることによって生じたアライメントずれに対して再度所定の位置関係となるように移動ユニット10を自動的に移動させ、眼球固定ユニット280によって患者眼Eを固定してもよい。なお、眼球固定ユニット280は、検者にて手動で行い、照射光学系320は、制御部にて自動で行われてもよい。
なお、制御部100は、例えば、眼検出器による照射光学系320に対する患者眼Eの傾斜状態の検出結果に基づいて固視誘導ユニット120を制御してもよい。これによって、制御部100は、固視標の呈示位置を自動的に移動させてもよい。制御部100は、被検眼Eの傾斜状態を随時検出し、固視標の呈示位置を随時移動させてもよい。
なお、本装置1は、アライメント投影光学系(例えば、照明光源60など)をさらに備えてもよい。アライメント投影光学系は、例えば、患者眼Eに向けてアライメント光を投影してもよい。この場合、アライメント検出器は、アライメント光による前眼部からの反射光を受光素子により受光することで、患者眼Eに対するレーザ照射ユニットのアライメントずれを検出してもよい。なお、アライメント検出器は、患者眼Eの断層像を取得し、取得された断層像から患者眼Eの特徴部位の形状を取得し、患者眼Eに対するレーザ照射ユニット300のアライメントずれを検出してもよい。
なお、眼球固定ユニット280は、サクションリング281を有してもよい。サクションリング281は、患者眼Eに当接されるリング状の部材であってもよい。眼球固定ユニット280は、サクションリング281によって、患者眼Eを照射光軸上に吸引固定してもよい。なお、移動ユニット10は、照射光学系320と眼球固定ユニット280とを一体的に移動可能であってもよい。制御部100は、駆動部12の駆動を制御し、患者眼Eとサクションリング281とが当接する位置に眼球固定ユニット280を移動させてもよい。そして、制御部100は、例えば、眼球固定ユニット280が患者眼Eとサクションリング281とが当接する位置に移動された場合、固視誘導ユニット120を制御し、レーザ照射ユニット300の照射光軸と患者眼Eの光軸(例えば、光軸S1)を一致さるために患者眼Eに呈示する固視標の呈示位置を移動させてもよい。
なお、制御部100は、固視標の呈示位置を移動させることによって生じたアライメントずれに対して再度患者眼Eとサクションリング281とが当接する位置となるように駆動部12を制御した後、眼球固定ユニット280によって患者眼Eを吸引固定してもよい。
なお、制御部100は、固視誘導ユニット120を制御し、サクションリング281の内側に注入された液体によって屈折した固視標の光軸ずれを補正するために、固視灯の呈示位置を移動させてもよい。
なお、装置は、観察光学系70と、フォーカス調整部80を備えてもよい。観察光学系70は、受光素子76を有してもよい。観察光学系70は、受光素子76によって患者眼Eの前眼部観察像を撮影するためにレーザ照射ユニット300に設けられてもよい。フォーカス調整部80は、例えば、患者眼Eに対する観察光学系70のフォーカスを調整してもよい。
フォーカス調整部80は、移動ユニット10の駆動による観察光学系70のフォーカスずれを補正可能であってもよい。この場合、眼検出器は、フォーカス調整部80によって補正された前眼部観察像を用いて、照射光学系320に対する患者眼Eのアライメント状態を検出してもよい。さらに、制御部100は、眼検出器によるアライメント検出結果に基づいて、駆動部12を制御し、患者眼Eに対して照射端ユニット42の少なくとも一部を移動させてもよい。
[第2実施形態]
以下、手術前のプランニング(手術条件の設定)に関する第2実施形態の概要を説明する。なお、第1実施形態と同様の構成には、同一番号を付して説明する。第2実施形態の眼科用レーザ手術装置(以下、本装置、手術装置ともいう)1は、例えば、レーザ光を患者眼Eの組織に対して集光させ、患者眼Eを処置する。本装置1は、例えば、走査光学系(例えば、走査ユニット330)を備えてもよい。走査光学系は、例えば、レーザ光源から出射されたレーザ光を3次元的に走査させてもよい。本装置1は、例えば、予め設定された治療領域に対応する各ターゲット位置にレーザ光を照射して患者眼Eの処置を行ってもよい。
本装置1は、例えば、変化情報取得部(例えば、制御部100)を備えてもよい。変化情報取得部は、例えば、第1のデータセットと、第2のデータセットを取得してもよい。第1のデータセットは、例えば、患者眼Eの組織内部を含む治療領域を予めプランニングするために取得された患者眼Eの構造に関してもよい。第2のデータセットは、治療領域がプランニングされた後、プランニングされた治療領域に基づいてレーザ光による処置を行う際に取得された患者眼Eの構造に関してもよい。変化情報取得部は、例えば、
取得した第1のデータセットと第2のデータセットとを比較し、患者眼Eの構造変化情報、患者眼Eの視線方向の変化情報の少なくともいずれかである患者眼Eの変化情報を得てもよい。
なお、患者眼Eの構造は、例えば、角膜形状、水晶体形状、虹彩形状、隅角形状の少なくともいずれかであってもよい。治療領域とは、例えば、角膜内部、水晶体内部の領域であってもよい。
なお、第1または第2のデータセットは、例えば、前眼部の断層画像、前眼部の正面画像、3次元データ等であってもよい。なお、構造変化は、少なくとも深さ方向または横断方向における構造変化を含んでもよい。
変化情報取得部は、例えば、角膜形状から患者眼Eの乱視軸を求め、眼球の回旋方向を求めてもよい。変化情報取得部は、例えば、水晶の体前または後面の曲率半径中心から水晶体光軸を求めることで、眼球の視線方向を求めてもよい。また、変化情報取得部は、患者眼Eの隅角から虹彩平面を求め、眼球の視線方向を求めてもよい。変化情報取得部は、虹彩平面から眼球の光軸方向の位置を求めてもよい。変化情報取得部は、水晶体内の白内障分布から患者眼の位置を求めてもよい。変化情報取得部は、上記の情報を第1データ及び第2データについてそれぞれ算出し、第1データ及び第2データの比較をしてもよい。
例えば、眼球は、眼球固定ユニット280によって固定されると、サクションリング281によって押しつけられて角膜が変形したり、水晶体の位置がずれたりする場合がある。なお、座位または寝位によって眼球の形状が変化する場合がある。変化情報取得部は、例えば、これらの眼球の変化情報を取得してもよい。
なお、レーザ光による処置を行う際とは、例えば、ドッキング前、ドッキング後、レーザ照射中などであってもよい。
なお、眼科用レーザ手術装置は、例えば、レーザスポットを3次元的に移動させ、レーザスポットを連続的に繋げることによって眼球組織を切開等してもよい。
なお、第1のデータセットは、座位状態において患者眼Eを撮影するために別に設置された装置である第1の眼科撮影装置によって撮影された画像に基づいて取得されてもよい。
眼科撮影装置は、例えば、オプティカルコヒーレンストモグラフィ、SLO(Scanning laser opthalmoscopeoct)シャインプルークカメラ等の前眼部断面画像撮影装置が用いられてもよい。
なお、本装置1は、固視誘導ユニット120と、制御部100をさらに備えてもよい。固視誘導ユニット120は、例えば、患者眼Eに呈示する固視標の呈示位置を移動させ、患者眼Eの固視方向を誘導してもよい。制御部100は、例えば、変化情報取得部によって取得された患者眼Eの視線方向の変化情報に基づいて固視誘導ユニットを制御してもよい。このとき、制御部100は、プランニングに用いる第1のデータセットを取得したときに対する患者眼Eの視線方向の変化を補正してもよい。このように、本装置1は、検者眼Eの視線方向のずれを補正してもよい。
なお、本装置は、さらに、設定部(例えば、制御部80)を備えてもよい。設定部は、第1のデータセットに基づいてプランニングされた治療領域と、変化情報取得部によって取得された患者眼Eの変化情報と、に基づいてレーザ光の照射位置を設定してもよい。
なお、設定部は、例えば、治療領域に基づいて予め設定されたレーザ照射位置を、変化情報に基づいて補正してもよい。また、設定部は、例えば、治療領域に基づいて照射位置を設定する際、変化情報を考慮して照射位置を設定してもよい。
なお、変化情報取得部は、第2のデータセットとして、制御部100によって固視方向が補正された患者眼Eの構造に関する第2のデータセットを取得してもよい。このとき、設定部は、第1のデータセットに基づいてプランニングされた治療領域と、変化情報取得部によって取得された患者眼Eの変化情報と、に基づいてレーザ光の照射位置を設定してもよい。
なお、第1のデータセット及び第2のデータセットは、それぞれ患者眼Eの隅角構造に関連するデータを含むデータセットであってもよい。この場合、変化情報取得部は、第1のデータセットにおける隅角構造に関連するデータと、第2のデータセットにおける隅角構造に関連するデータと、を比較してもよい。そして、変化情報取得部は、患者眼Eの構造変化情報、患者眼Eの視線方向の変化情報の少なくともいずれかである患者眼Eの変化情報を取得してもよい。
なお、第1のデータセット及び第2のデータセットは、それぞれ患者眼Eの角膜構造、水晶体構造、虹彩構造の少なくともいずれかに関連するデータを含むデータセットであってもよい。
[第3実施形態]
以下、断層像撮影ユニットに関する第3実施形態の概要について説明する。以下、手術前のプランニング(手術条件の設定)に関する第2実施形態の概要を説明する。なお、第1または第2実施形態と同様の構成には、同一番号を付して説明を省略する場合がある。
第2実施形態の眼科用レーザ手術装置(以下、本装置、手術装置ともいう)1は、例えば、レーザ光を患者眼Eの組織に対して集光させ、患者眼Eを処置する。本装置1は、主に、照射光学系320と、断層画像取得部(例えば、断層画像撮影ユニット71)と、第1参照光学系721及び第2参照光学系731を少なくとも備える。断層画像取得部は、OCT光源711と、測定光路、参照光路、光検出器717、画像処理器(例えば、制御部80)等を備えてもよい。測定光路は、照射光学系320と少なくとも一部の光路を共用してもよい。光検出器717は、測定光路を介して患者眼Eに導かれた測定光と参照光路からの参照光との干渉信号を検出してもよい。画像処理器は、光検出器717からの干渉信号を処理して断層画像を得てもよい。
参照光路は、第1参照光学系714と、第2参照光学系715とを備えてもよい。第1参照光学系714は、患者眼Eの断層画像を得るために光路長が設定されてもよい。第2参照光学系715は、インターフェースユニット50の断層画像を得るために第1参照光学系714よりも光路長が短く設定されてもよい。
画像処理器は、患者眼Eに導かれた測定光と第1参照光学系714の参照光との干渉信号を処理して得られる断層画像に含まれる実像及び虚像のどちらか一方を除去する第1のフルレンジ処理をしてもよい。画像処理器は、インターフェース50に導かれた測定光と第2参照光学系の参照光との干渉信号を処理して得られる断層画像に含まれる実像及び虚像のどちらか一方を除去する第2のフルレンジ処理をしてもよい。
なお、患者眼Eの断層画像は、例えば、角膜、水晶体のすくなくともいずれかを含む断層画像であってもよい。
なお、画像処理器は、第1のフルレンジ処理によって得られた第1の断層画像と、第2のフルレンジ処理によって得られた第2の断層画像と、を画像処理によって合成し、インターフェースユニット50から患者眼Eの水晶体までの領域を少なくとも含む第3の断層画像を取得してもよい。
なお、本装置1は、対物レンズ305を少なくとも収容する照射端ユニット42及び照射端ユニット42に装着されたインターフェースユニット50を患者眼Eに向けて一体的に移動させるために設けられた移動ユニット10と、患者眼Eの断層画像が取得されるように移動ユニット10を制御する移動制御部100を備えてもよい。なお、移動ユニット10は駆動部12を備えてもよい。
なお、本装置1は、距離検出器(例えば、制御部100)を備えてもよい。距離検出器は、例えば、第1のフルレンジ処理によって得られた第1の断層画像に含まれる患者眼Eと、第2のフルレンジ処理によって得られた第2の断層画像に含まれるインターフェース50とを画像処理によって検出し、その検出結果に基づいて患者眼Eとインターフェース50との相対的な距離を検出してもよい。
なお、本装置1は、位置検出器(例えば、制御部100)を備えてもよい。位置検出器は、第1のフルレンジ処理によって得られた第1の断層画像に含まれる患者眼Eと、第2のフルレンジ処理によって得られた第2の断層画像に含まれるインターフェースとを画像処理によって検出し、その検出結果に基づいて患者眼Eとインターフェースとの相対的な位置を検出してもよい。
なお、本装置1は、例えば、第2参照光学系に配置された光学部材(例えば、第2参照ミラー731)を移動させることによって参照光の光路長を変更するための光路長調整ユニットと、患者眼Eの断層画像が取得されるように光路長調整ユニットを制御する光路長制御部(例えば、制御部100)と、を備えてもよい。光路長制御部は、駆動部を備えてもよい。
なお、光路長制御部は、照射端ユニット及びインターフェースユニットの移動位置の変化に応じて、患者眼Eの断層画像が取得されるように光路長調整ユニットを制御してもよい。
なお、光路長制御部は、照射端ユニット42及びインターフェースユニット50が患者眼Eに近づくほど、参照光の光路長を短くしてもよい。これによって、光路長制御部は、照射端ユニット42及びインターフェースユニット50の接近に伴う測定光路の光路長の短縮化を補正してもよい。光路長の変化量は、患者眼Eと装置との距離によって予め算出されてもよい。
なお、光路長制御部は、断層画像取得部によって取得された断層画像に含まれる撮影対象物の移動位置の変化に応じて、患者眼Eの断層画像が取得されるように光路長調整ユニットを制御してもよい。例えば、断層画像中の患者眼の移動位置の変化に応じて光路長調整ユニットを制御してもよい。
<実施例>
以下、本発明の典型的な実施例の1つについて、図面を参照して説明する。以下の説明では、一例として、患者眼Eに照射されるレーザ光の光軸に沿う方向をZ方向とする。Z方向に交差(本実施形態では垂直に交差)する方向のうちの1つをX方向とする。Z方向およびX方向に共に交差(本実施形態では垂直に交差)する方向をY方向とする。X,Y,Z方向は適宜設定すればよい。例えば、患者の上下左右に基づいて方向を規定する場合、X方向を患者の左右方向、Y方向を患者の上下方向としてもよいし、X方向を患者の上下方向、Y方向を患者の左右方向、Z方向を眼Eの軸方向としてもよい。図1は、本装置1の外観を示す概略図である。図3は、本装置1の光学系及び制御系の概略構成を示す概略図である。
<全体構成>
本実施例の眼科用レーザ手術装置1は、患者眼Eの組織を処置するために使用される。本実施例では、患者眼Eの水晶体を処置することが可能な眼科用レーザ手術装置1を例示する。しかし、本実施例で例示する技術は、例えば、患者眼Eの他の部位(例えば、角膜、眼底)の処置に適用してもよい。本技術は、もちろん、角膜及び水晶体を含む前眼部の組織の処置に適用してもよい。
本実施例の眼科用レーザ手術装置(以下、手術装置)1は、例えば、第1移動ユニット10、第2移動ユニット200、レーザ照射ユニット300、インターフェイスユニット50、制御ユニット100、固視誘導ユニット120を主に備える。手術装置1には、照明光源60、観察・撮影ユニット70、フォーカス調整ユニット80、操作ユニット400が配置されてもよい。
レーザ照射ユニット300(図3参照)は、レーザ光源ユニット310と、レーザ照射光学系(レーザデリバリ)320と、を備える。レーザ光源ユニット310は、本体部2の内部に配置される。レーザ照射光学系(導光光学系)320は、レーザ光源ユニット310からのレーザ光を眼Eに導光するために配置された光学系である。
レーザ照射光学系320の少なくとも一部は、デリバリーユニット41(図1,2参照)に設けられている。レーザ光源ユニット310から出射されたレーザは、レーザ照射光学系320を介して、デリバリーユニット41における照射端ユニット42に導光される(詳しくは後述する)。照射端ユニット42には、レーザビームを集光するための対物光学系(例えば、対物レンズ305)が少なくとも配置されており、照射端ユニット42の出射端から眼Eに向けてレーザが照射される。なお、デリバリーユニット41の照射端ユニット42には、観察・撮影ユニット70が配置されてもよく、眼Eの観察・撮影等に利用される。
第1移動ユニット10は、照射端ユニット42を少なくとも本体部2に対してXYZ移動させるために配置されている。照射端ユニット42の出射端には、インターフェイスユニット50が設けられている。また、デリバリーユニット41には、第2移動ユニット200を介して眼球固定ユニット280が配置されている。したがって、第1移動ユニット10によって照射端ユニット42が移動される場合、結果として、インターフェイスユニット50、眼球固定ユニット280、第2移動ユニット200は、照射端ユニット42と共に一体的に移動される。
なお、第1移動ユニット10は、例えば、デリバリーユニット41に設けられ、照射端ユニット42を本体部2に対して移動される(移動機構については、例えば、特開2000−152954を参考にされたい)。しかしながら、これに限定されない。例えば、第1移動ユニット10は、本体部2に設けられてもよく、第1移動ユニット10は、本体部2に対してデリバリーユニット41を移動させることによって、照射端ユニット42を本体部2に対して相対的に移動させてもよい。
第2移動ユニット200は、照射端ユニット42に対して眼球固定ユニット280を相対的に移動させるために配置されている。第2移動ユニット200は、例えば、前述の第1移動ユニット10による照射端ユニット42の移動の際、眼球固定ユニット280の患者眼E側への変位を軽減するために用いられる。つまり、眼球固定ユニット280は、眼Eの有無に関係なく、第1移動ユニット10によって移動される。しかしながら、第2移動ユニット200によって、照射端ユニット42の移動方向とは反対方向に独立して移動可能である(詳しくは後述する。図4、図13参照)。
なお、図2、図4では、第2移動ユニット200は、デリバリーユニット41における照射端ユニット42に設けられているが、これに限定されない。例えば、デリバリーユニット41の基部に設けられても良い。
より詳細には、第2移動ユニット200は、後述する眼球固定ユニット280を着脱可能に取り付けることができる。第2移動ユニット200は、眼球固定ユニット280をZ方向に移動可能である。眼球固定ユニット280は、レーザ照射ユニット300に対して患者眼Eの眼球を固定保持する。レーザ照射ユニット300は、レーザ光を患者眼Eに照射する。照射端ユニット42には、レーザ光を患者眼Eに集光させるための対物レンズ305等が設けられている。
インターフェイスユニット50は、患者眼Eの角膜に近接し、屈折率の差を小さくし、屈折率差によって発生するレーザ光の収差を減少させる。これによって、例えば、角膜及びレンズでの表面反射が少なくなる。照明光源60は、患者眼Eを照明する。観察・撮影ユニット70は、患者眼Eの前眼部の正面像及び前眼部の断層像を撮影する。観察・撮影ユニット70は、例えば、光干渉断層像撮影ユニット((OCT:Optical Coherence Tomography)ユニットと略す)71と、正面撮影ユニット75とを備える。光干渉断層像撮影ユニット71は、患者眼Eの断層像を撮影(取得)する。正面撮影ユニット75は、患者眼Eの前眼部像を撮影する。フォーカス調整ユニット80は、正面撮影ユニット75のフォーカスを調整する。操作ユニット400は、装置1を操作するために設けられる。制御ユニット100は、装置全体を統括制御する。
<第1移動ユニット>
より詳細には、第1移動ユニット10(図1参照)は、照射端ユニット42、第2移動ユニット200、眼球固定ユニット280、インターフェイスユニット50、観察・撮影ユニット70等を一体的に移動させる。これによって、照射端ユニット42、眼球固定ユニット280、インターフェイスユニット50は、患者眼Eにアライメントできる。
第1移動ユニット10は、例えば、移動機構11と、駆動部(モータ、アクチュエータ等)12を備える。移動機構11は、眼球固定ユニット280、インターフェイスユニット50等の本体の一部を本体部2に対して移動させる。駆動部12は、移動機構11を駆動する。第1移動ユニット10は、図4に示す照射端ユニット42(の光軸L1)、眼球固定ユニット280、インターフェイスユニット50(の中心軸)を、本体部2および患者眼Eに対して3次元方向に移動させる。ここでは、光軸L1と、眼球固定ユニット280およびインターフェイスユニット50の中心軸は、一致している。また、後述するサクションリング281の中心軸と、インターフェイスユニット50の中心軸とは一致している。
なお、移動機構11と、駆動部12に関して、照射端ユニット42を移動させるための移動機構及び駆動部は、X方向、Y方向、Z方向に関してそれぞれ異なる位置に配置されてもよい。例えば、X方向、Y方向に関する移動機構及び駆動部が本体部2に設けられ、Z方向に関する移動機構及び駆動部がデリバリーユニット41の基部に配置されてもよい。
第1移動ユニット10は、制御ユニット100に接続されており、制御ユニット100からの制御信号に基づいて照射端ユニット42、眼球固定ユニット280およびインターフェイスユニット50を本体部2に対して移動させる。術者は、モニタ92に表示される患者眼Eを確認しながら、XY方向の位置合せ(XYアライメント)と、Z方向の位置合わせ(Zアライメント)と、を行う。ここでは、少なくとも照射端ユニット42と眼球固定ユニット280およびインターフェイスユニット50が一体的に移動する。第1移動ユニット10は、サクションリング281及びインターフェイスユニット50をZ軸方向に沿って移動させる。第1移動ユニット10は、内部にエンコーダ等のセンサを備えている。このため、眼球固定ユニット280およびインターフェイスユニット50等の位置は制御ユニット100に取得される。
なお、第1移動ユニット10は、少なくともZ軸方向に移動する構成であればよい。例えば、レーザ照射ユニット300及び眼球固定ユニット280およびインターフェイスユニット50が手術顕微鏡等の別装置(レーザ照射ユニット300と連結されている)に取り付けられる構成で、XYアライメントを術者が持って移動させる構成であってもよい。
<レーザ照射ユニット>
図3に示すように、レーザ照射ユニット300は、例えば、レーザ光源ユニット310と、レーザ照射光学系(レーザデリバリ)320と、位置検出ユニット370を備えてもよい。レーザ光源ユニット310は、手術用のレーザ光(レーザビーム)を出射する。レーザ照射光学系320は、レーザ光を導光するための光学部材を含む。レーザ照射光学系320は、本体部2、デリバリーユニット41に内蔵されている。レーザ照射光学系320は、例えば、走査ユニット330と、対物レンズ305と、各種光学部材とを備える。対物レンズ305は、走査ユニット330と患者眼Eの間の光路上に設けられている。対物レンズ305は、走査ユニット330を経たレーザ光を、患者眼Eの組織に集光させる。位置検出ユニット370は、患者眼Eの絶対位置を検出する。
レーザ光源ユニット310によって出射されたレーザ光は、非線形相互作用によって組織にプラズマを誘起するために用いられる。非線形相互作用とは、光と物質とによって生じる相互作用の1つであり、光の強度(つまり、光子の密度)に比例しない応答が現れる作用である。本実施形態の眼科用レーザ手術装置1は、レーザ光を患者眼Eの透明組織内に集光(合焦)させることで、集光位置(「レーザスポット」という場合もある)または集光位置よりも僅かに光路(光束)の上流側で多光子吸収を生じさせる。多光子吸収が生じる確率は、光の強度に比例せず、非線形となる。多光子吸収によって励起状態が生じると、組織内にプラズマバブルが発生し、組織の切断・破砕等が行われる。以上の現象は、光破壊(photodisruption)と言われる場合もある。非線形相互作用による光破壊では、レーザ光による熱の影響が集光位置の周辺に加わり難い。よって、微細な処置が可能である。レーザ光のパルス幅を小さくする程、少ないエネルギーで効率よく光破壊が生じる。
レーザ光源ユニット310としては、1フェムト秒から10ナノ秒のパルス幅のレーザ光を出射するデバイスが用いられる。レーザ光源としては、例えば、パルス幅500フェムト秒で、中心波長が、1040nm(波長幅は、±10nm)である赤外域のレーザ光を出射するデバイスを用いてもよい。また、レーザ光源としては、10ピコ秒のパルス幅を持ち、450nmを中心波長として±10nmの波長幅を持つ紫外域のレーザを出射するレーザ光源を用いてもよい。また、レーザ光源ユニット310には、レーザスポットのスポットサイズが1〜15μmでブレイクダウンを発生させる出力のレーザ光を出射可能なレーザ光源を用いる。
レーザ照射光学系320において、レーザ光源ユニット310を上流、患者眼Eを下流とする。すると、レーザ光源ユニット310から下流に向かって、ミラー301及びミラー302、ホールミラー371〜レンズ303、レンズ304、ビームコンバイナ72が光軸L1に沿って配置されている。
ミラー301及び302は、レーザ光の光軸を調整する。ホールミラー371は、レーザ光の光軸L1と位置検出ユニット370の光軸L2とを分けるビームスプリッタとして用いられる。レンズ303は、走査ユニット330、レーザ光の中間結像を形成するために用いられる。レンズ304は、瞳共役位置を形成する。ビームコンバイナ72は、光軸L1と観察・撮影ユニット70の光軸L3とを合波する。
ミラー301及び302は、反射面が互いに直交する構成となっており、傾斜可能な保持部材に保持されている。ミラー301及び302の反射面を移動、傾斜させることにより、レーザ光源ユニット310から出射されたレーザ光の光軸を調整することができる。ミラー301及び302の調整により、レーザ光の軸を光軸L1に合わされる。
<走査ユニット>
走査ユニット330は、レーザ光を走査することで、対物レンズ305(詳細は後述する)によって集光されるレーザ光の集光位置を走査させる。つまり、走査ユニット330は、レーザ光の集光位置を目標位置に移動させる。本実施形態の走査ユニット330は、Z走査部350およびXY走査部360を備える。
本実施形態のZ走査部350は、凹レンズ351、凸レンズ352、および駆動部353を備える。駆動部353は、凹レンズ351を光軸L1に沿って移動させる。凹レンズ351が移動することで、凹レンズ351を通過したビームの発散状態が変化する。その結果、レーザ光の集光位置(レーザスポット)がZ軸方向に移動する。
本実施形態のXY走査部360は、Xスキャナ361、Yスキャナ364、およびレンズ367,368を備える。Xスキャナ361は、駆動部362によってガルバノミラー363を揺動させることで、レーザ光をX方向に走査させる。Yスキャナ364は、駆動部365によってガルバノミラー366を揺動させることで、レーザ光をY方向に走査させる。レンズ367,368は、2つのガルバノミラー363,366を共役とする。
なお、走査ユニット330としては、レーザ光をXY方向に走査できる構成であればよい。例えば、X方向の走査をポリゴンミラーとし、Y方向の走査をガルバノミラーとする構成としてもよい。また、レゾナントミラーをX方向とY方向に対応させて用いる構成としてもよい。また、2つのプリズムを独立して回転させる構成でもよい。このようにして、走査ユニット330によって、レーザスポットが、患者眼Eの眼球組織内(ターゲット内)で3次元的(XYZ方向)に移動される。
走査ユニット330と対物レンズ305の間には、レーザ光軸と観察・撮影光軸を同軸とするためのビームコンバイナ(ビームスプリッタ)72が配置される。コンバイナ72は、レーザ光を反射し、観察・撮影ユニット70の照明光を透過する特性を有している。対物レンズ305は、照射端ユニット42に対して固定的に配置されたレンズである。図4に示すように、対物レンズ305は、照射端ユニット42によって保持される。対物レンズ305は、レーザ光をレーザスポットとしてターゲットに結像させる。レーザスポットのスポットサイズは、例えば、1〜15μm程度である。
なお、図示は略すが、術者がレーザ照射位置を確認するための照準光(エイミング光)を出射するエイミング光源をレーザ照射ユニット300に設ける。
<位置検出ユニット>
位置検出ユニット370は、走査ユニット330に対する患者眼Eの位置を検出するために用いられる。本実施形態の眼科用レーザ手術装置1は、走査ユニット330に対する患者眼Eの位置を検出することで、レーザ光が集光する集光位置を、断層像(詳細は後述する)に対応付ける。集光位置を断層像に対応付けることで、走査ユニット330等を制御するための制御データを、断層像を用いて設定することができる。なお、位置検出ユニット370の詳細については、例えば、特開2013−248304号公報を参考にされたい。
<照射端ユニット>
照射端ユニット42(図2、図4参照)は、例えば、対物レンズ305、インターフェイスユニット50と、照明光源60を一体的に保持する。照射端ユニット42は、例えば、鏡筒44を備える。鏡筒44は、筒状であり、内部に対物レンズ305等を保持する。鏡筒44の患者眼E側の端部には、照明光源60が固定される。また、鏡筒44の患者眼E側の端部には、ガイド46が形成される。ガイド46には、インターフェイスユニット50が着脱可能に取り付けられる。
照射端ユニット42は、第1移動ユニット10によって本体部2に対してXYZ軸方向に移動される。照射端ユニット42に保持される対物レンズ305、インターフェイスユニット50、照明光源60等は、照射端ユニット42とともに第1移動ユニット10によって移動される。
<インターフェイスユニット>
インターフェイスユニット50(図4参照)は、患者眼Eの角膜に近接し、角膜の屈折力を弱めて、レーザ光を水晶体等の眼球組織に到達(集光)し易くする役割を持つ。本実施形態のインターフェイスユニット50は、角膜に直接接触することなく、少なくとも角膜の一部を覆う構成とする。インターフェイスユニット50は、カバーガラス51、ホルダ52を主に備える。カバーガラス51は、例えば、角膜を覆う光学部材である。カバーカラス51は、例えば、圧平レンズまたは液浸レンズであってもよい。例えば、圧平レンズは、レーザを透過し、角膜の前面を圧平する。ホルダ52は、例えば、カバーガラス51を保持する。インターフェイスユニット50は、ホルダ52を介して照射端ユニット42の鏡筒44に着脱可能に取り付けられる。
カバーガラス51は、角膜を覆う部材であり、少なくともレーザスポットが集光されるNAをカバーするサイズとなっている。カバーガラス51は、透光性を有する透明部材であり、例えば、ガラス、樹脂によって形成される。カバーガラス51は、後述する液体の液面に位置し、液体を覆う役割を持つ。ホルダ52は、円錐状に形成されたテーパ状の部材であり、円錐の先端箇所でカバーガラス51を支持する。また、ホルダ52の上部には、照射端ユニット42の鏡筒44に着脱可能に保持されるように、互いに嵌め合う嵌合部が形成されている。本実施例では、例えば、ホルダ52の上部にスライダ53が形成される。そして、照射端ユニット42に形成されるガイド46に対してスライダ53をスライドさせることによって、インターフェイスユニット50が着脱される。
インターフェイスユニット50は、後述するサクションリング281の内側に収まる形状である。インターフェイスユニット50の各部材は、生体適合性を有する素材で形成される。インターフェイスユニット50は、一回の使用で廃棄されるディスポーザブルタイプとなっている。
インターフェイスユニット50は、後述するサクションリング281に吸着された患者眼Eの角膜に近接する。または、先に患者眼Eおよびインターフェイスユニット50の位置を決定した後に、サクションリング281を吸着させてもよい。サクションリング281の内側には、例えば、液体(生理食塩水)が満たされる。カバーガラス51、液体により、角膜の屈折力がキャンセルされる。これによって、レーザ光は、対物レンズ305からターゲットである水晶体まで屈折することが抑制される。
なお、インターフェイスユニット50は、角膜に直接接触する構成であってもよい。例えば、インターフェイスユニット50は、カバーガラス51を角膜に接触させて角膜を圧平するユニットであってもよい。この結果、角膜がカバーガラス51と接触することによって、角膜の位置がレーザ照射光学系320に対してポジショニングされる。カバーガラス51は、例えば、角膜内等のレーザ照射領域をカバーするように角膜を覆う接触面を有していればよい。
<照明光源>
照明光源60(図3,図4参照)は、患者眼Eを照明する。照明光源60は、例えば、患者眼Eに対して輝点を形成させるための光源と、瞳孔のコントラストを高めるための光源が設けられる。本実施例において、輝点を形成させる光源は、例えば、赤外光源が用いられる。これによって、患者が眩しいと感じることを低減できる。瞳孔のコントラストを高めるための光源としては、例えば、可視光源が用いられる。より詳細には、可視光源として、例えば、緑色または赤色の光源が用いられる。
なお、照明光源60としては、ひとつの光源が、輝点形成に用いられる光源と、瞳孔のコントラスト向上に用いられる光源と、を兼用してもよい。
照明光源60によって、患者眼Eに角膜反射像である輝点が形成される。この輝点は後述する正面撮影ユニット75等で観察される。後述する制御ユニット100は、例えば、この輝点の位置から患者眼Eの位置を検出してもよい。
<固視誘導ユニット>
固視誘導ユニット120は、例えば、被検眼を固視させるための固視標を投影する(図3参照)。固視誘導ユニット120は、固視標の呈示位置を変更することによって、ドッキング前の患者眼Eの視線方向を変更してもよい。固視誘導ユニット120は、手術レーザの照射光軸と患者眼の光軸とを所定の位置関係に導くために、眼Eの固視方向を誘導する。
固視誘導ユニット120は、制御ユニット100によって制御される。制御ユニット100は、術者によって操作される操作部からの操作信号に基づいて固視誘導ユニット120を制御してもよいし、制御ユニット100は、固視誘導ユニット120を自動的に制御してもよい(詳しくは、後述する)。
より詳細には、固視誘導ユニット120は、例えば、光源121、ダイクロイックミラー122等を備えてもよい。光源121は、患者眼Eに固視標を投影してもよい。ダイクロイックミラー122は、例えば、正面撮影ユニット75の光軸L5と固視誘導ユニット120の光軸L6を分岐する。光源121には、可視光を少なくとも含む光を発する光源が用いられる。なお、光源121は、例えば、複数の固視灯を備えてもよく、各固視灯は、光軸に直交する面上の異なる位置に配列される。制御ユニット100は、患者眼Eの視線方向を切り換えるために固視灯の点灯位置を切り換えることができる。なお、固視誘導ユニット120は、単一の固視灯を駆動部によって移動させることで固視灯の点灯位置を切り換えてもよいし、表示装置(例えば、液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ等)を用いて、固視灯の点灯位置を切り換えてもよい。なお、固視誘導ユニット120は、固視灯の光軸を移動させてもよいし、液晶プロジェクタなどの手段を用いてもよい。
<第2移動ユニット>
図4に示すように、第2移動ユニット200は、例えば、対物レンズ305に対して眼球固定ユニット280をZ軸方向に駆動可能に保持してもよい。第2移動ユニット200は、例えば、基部201、アーム202、リンクユニット210、エンコーダ203、リンク駆動ユニット220、ロック部230、位置センサ240、ロードセル206、連結部250を備えてもよい。
基部201は、第2移動ユニット200の各構成を保持する。アーム202は、基部201を照射端ユニット42の鏡筒44に連結する(図4参照)。なお、前述のように、照射端ユニット42は、第1移動ユニットによってXYZ方向に移動される。鏡筒44に連結された第2移動ユニットもXYZ方向に移動される。なお、アーム202は、鏡筒44に対して水平方向に回転可能に取り付けられてもよい。例えば、鏡筒44に対する第2移動ユニット200の位置を変更できるようにしてもよい。例えば、第2移動ユニット200は、鏡筒44を中心にXY方向に回動可能に設けられてもよい。例えば、患者の右眼を治療する場合と左眼を治療する場合とで、第2移動ユニット200の位置を切り換えてもよい。これによって、第2移動ユニットが患者に接触することを防止してもよい。なお、第2移動ユニット200は、鏡筒44に着脱可能に取り付けられてもよい。
<リンクユニット>
リンクユニット210は、眼球固定ユニット280をZ軸方向に移動させるための移動機構を形成する。リンクユニット210は、例えば、リンク211、リンク212、ジョイント213、ジョイント214を備える。リンク211は、矩形状である。リンク212は、棒状である。リンク211とリンク212はリンク機構を形成する。リンク211の一方の端部は、ジョイント213によって基部201に回転可能に連結される。リンク211の他方の端部は、ジョイント214によってリンク212の端部が連結される。リンク212は、筒状のガイド215に挿入される。ガイド215によって、リンク212の移動方向はZ軸方向に規定される。
なお、第2移動ユニットにおいて、眼球固定ユニット280をZ軸方向に移動させるための機構は、上記のようなリンク機構でなくともよい。例えば、ラック・ピニオン機構によって、眼球固定ユニット280をZ軸方向に移動させてもよい。
支基216は、リンク212に固定される。支基216は、リンク212とともにZ軸方向に移動される。ロードセル206は、矩形状をしており、両端から加わる荷重を検知する。ロードセル206の一方の端部は、支基216に固定されている。ロードセル206の他方の端部は、連結部250に固定される。つまり、ロードセル206は、支基216と連結部250との間に加わる荷重を検知する。
連結部250は、眼球固定ユニット280を着脱可能に吸着保持する(図5参照)。連結部250は、例えば、シール部材251、吸引孔252、接続管253を備える。シール部材251は、眼球固定ユニット280を吸着する際に、連結部250と眼球固定ユニット280の気密性を高める。シール部材251は、弾性体が主に用いられる。吸引孔252は、連結部250の連結面250aに開いている。吸引孔252には、接続管253が嵌合されている。図示を略す吸引装置から延びるホースは、接続管253に接続される。吸引装置は、連結面250aと凹部283との間に形成された空間Rの空気を吸引する。空気が吸引されることによって、空間Rに負圧が生じる。この負圧によって、連結部250と眼球固定ユニット280は互いに引っ張り合い、結果として、吸着される。
眼球固定ユニット280に大きな荷重が加わると、伝達した荷重によって、ロードセル206が故障する場合がある。眼球固定ユニット280に大きな荷重が加わった場合に、制御ユニット100は、連結部250から眼球固定ユニット280が外れるように、吸引装置の吸引圧が設定されてもよい。
例えば、所定値を超える荷重が眼球固定ユニット280に加わった場合、眼球固定ユニット280は連結部250から外れる。したがって、ロードセル206への大きな荷重を低減できるので、ロードセル206の故障が低減される。
なお、連結部250は、吸引圧によって眼球固定ユニット280を固定するものとしたが、どのような固定方法でもよい。例えば、連結部250と眼球固定ユニット280は、互いに形成されたネジが螺合することによって固定されてもよい。また、連結部250と眼球固定ユニット280は、磁力によって固定されてもよい。また、連結部250と眼球固定ユニット280は、互いに嵌り合うことで固定されてもよい。また、連結部250と眼球固定ユニット280は、粘着性の物質によって固定されてもよい。
<リンク駆動ユニット>
リンク駆動ユニット220は、例えば、ピン221、バネ222、送りネジ223、ナット224、ホルダ225、駆動部(アクチュエータ)226を備える。駆動部226の回転シャフト226aには、送りネジ223が連結されている。駆動部226が回転すると、送りネジ223が回転する。送りネジ223が回転すると、送りネジ223に螺合するナット224が上下に移動される。
ナットの上部にはホルダ225が固定される。ホルダ225には、バネ222を介してピン221が取り付けられている。ナットが上昇すると、同時にピン221が上昇する。ピン221が上昇すると、リンク211に接触する。ピン221が上昇を続けると、リンク211は、バネ222の弾性力が働くピン221によって押し上げられ、ジョイント213を基点として回転する。リンク211が回転すると、リンク212は、ジョイント214とともに、上方に移動される。リンク212は、ガイド215に沿って、Z軸方向に移動される。
ロードセル206は、リンク212に固定されている。さらに、連結部250は、ロードセル206を介してリンク212に固定されている。ロードセル206、連結部250は、リンク212とともにZ軸方向に移動される。連結部250には、後述する眼球固定ユニット280が吸着されている。したがって、眼球固定ユニット280は、リンク212とともにZ軸方向に移動される。
<エンコーダ>
エンコーダ203は、リンク212の移動量または、位置を検出する。本実施例のリンク212には、磁気を帯びたラインが複数箇所に形成される。エンコーダ203は、ラインの磁気を検出し、ラインの通過数によってリンク212の移動量または位置を検出する。なお、エンコーダ203としては、磁気に限らず、部材の移動量または位置を検出可能な種々のエンコーダ(またはポテンショメータ)を用いてもよい。
<位置検出センサ>
位置検出センサ240は、リンク212の駆動限界を検知する。例えば、リンク212には、遮蔽板が固定される。位置検出センサ240は、例えば、U字型の端子が備わる。例えば、U字型の端子の間には常に磁気が発生している。この端子の間に遮蔽板が挿入されると磁気が遮断される。すると、位置検出センサ240は、磁気が遮断されたことを検知し、リンク212が所定の領域にあることを検出する。本実施例では、例えば、リンク212が駆動領域の上限あることを検出するセンサ241と、下限に位置することを検出するセンサ242が備わってもよい。
なお、位置検出センサは磁気センサに限らず、他の原理を用いたセンサであってもよい。例えば、フォトインタラプタ等の光学センサであってもよい。
<ロック部>
ロック部230は、例えば、リンク212の移動を規制する。ロック部230は、リンク212のジョイント214側と反対側に設けられる。ロック部230は、例えば、筐体231、ロック部材232、バネ233、駆動部234を備える。ロック部材は、筐体231に回転可能に設けられる。ロック部材232は、例えば、環状である。ロック部材232には穴232aが形成される。リンク212は、穴232aを通っている。ロック部材232は回転可能に筐体231に設けられる。ロック部材232は、バネ233によって一定の方向に回転されるように付勢させる。ロック部材232はバネ233によって回転され、穴232aがリンク212に接触する。ロック部材232の穴232aがリンク212に接触することによって、リンク212が固定される。駆動部234は、バネ233の弾性力による回転方向とは、反対にロック部材232を回転させる。駆動部234は、水平になるまでロック部材232が回転させる。
ロック部230は、例えば、バネ233の弾性力によってロック部材232が回転され、常にリンク212がロックされた状態である。例えば、後述する制御ユニット100は、駆動部226によってリンクユニット210を移動させるとき、同時に駆動部234を駆動させ、ロック部材232を水平方向になるまで回転させる。すると、リンク212のロックが解除され、Z軸方向に移動可能となる。
ロック部230によって、駆動部234が停止している場合は、ロックが掛かる。これによって、駆動部234が停止している場合に、ロックが外れて不具合等に繋がることが抑制させる。
なお、ロック部230は、上記の構成に限らず、リンク212の移動を規制できればよい。例えば、ソレノイドや電磁ブレーキなどを使用してもよい。以上のように、ロック部230は、リンク212の移動を電気的に制御してもよい。
<眼球固定ユニット>
眼球固定ユニット280(図4、図5参照)は、対物レンズ305に対して患者眼Eを固定するためのユニットである。対物レンズ305に対して患者眼Eを固定することで、レーザを患者眼Eに好適に集光させることができる。眼球固定ユニット280は、例えば、サクションリング281、支持部282、凹部283、吸引用パイプ284等を備える。サクションリング281は、患者眼E(例えば、強膜)に接触する接触部である。支持部282は、サクションリング281を支える。凹部283は、第2移動ユニット200の連結部250に連結される。吸引用パイプ284は、サクションリング281に吸引圧を付加する流路(通気孔)である。眼球固定ユニット280は、吸引ポンプ(図示を略す)から付加される吸引圧を、吸引用パイプ284を介してサクションリング281に伝達(付加)する。
サクションリング281は、強膜の曲面に沿う開口を有する。サクションリング281の開口は眼球の輪部(角膜周辺部)を囲う形状であり、眼球固定ユニット280にあわせたリング形状となっている。これにより、眼球がサクションリング281に対して均一に吸着される。支持部282は、眼球をサクションリング281に吸着させた状態で支持部282の内側に液体が満たすことができるように、サクションリング281(眼球)を囲う壁状となっている。
また、眼球固定ユニット280には、インターフェイスユニット50を非接触(非干渉)にて収納するための空間280Sが形成されている。空間280は、例えば、支持部282の内側に形成されてもよい。支持部282は、連結部250と着脱可能となるような形状(嵌合形状)となっている。パイプ284には、装置本体の設けられた(又は別ユニットの)吸引ポンプからの吸引チューブが接続される。吸引ポンプの操作により発生した吸引圧によって、吸引チューブ、パイプ284、サクションリング281内が負圧となり、患者眼Eの強膜がサクションリング281の開口に吸着される。
本実施例の眼球固定ユニット280は、例えば、図示無き液体供給排出用のパイプ(以下、液体用パイプと略す)をさらに備える。液体用パイプは、支持部282を貫通して形成された流路(貫通孔)であり、液体を供給・排出してもよい。液体用パイプには、図示を略す灌流吸引ユニットにチューブ等を介して接続されてもよい。レーザ照射前には、灌流吸引ユニットの動作により、眼球固定ユニット280内に液体が供給される。手術後には、眼球固定ユニット280内の液体が排出される。なお、液体は、液体用パイプを介して供給されるだけの構成であってもよい。患者眼Eに眼球固定ユニット280を患者眼Eから取り外す作業により、液体を廃棄する構成としてもよい。なお、液体は術者が眼球固定ユニット280に注入してもよい。例えば、眼球固定ユニット280によって患者眼Eの固定が完了した後、術者は、注射器等で液体をサクションリング281の内側に注入してもよい。
眼球固定ユニット280は、生体適合性を有する樹脂、金属、等の素材で形成されている。眼球固定ユニット280は、インターフェイスユニット50と同様にディスポーザブルタイプとなっている。このため、第2移動ユニット280に対して着脱可能な構成となることが好ましい(図5参照)。
このようにして、眼球固定ユニット280とインターフェイスユニット50は、独立してZ方向に移動可能とさせることができる。また、本実施形態では、眼球固定ユニット280、インターフェイスユニット50は、対物レンズ305に対してXY方向に動くことがない構成であるため、患者眼Eの吸着等の作業がし易くなる。
<観察光学系70>
観察光学系70(観察・撮影ユニットともいう)70(図3参照)は、患者眼Eを術者に観察させると共に、処置対象となる組織を撮影する。一例として、本実施形態の観察光学系70は、断層像撮影ユニット71および正面撮影ユニット75を備える。観察光学系70の光軸L3は、ビームコンバイナ72によって、レーザ光の光軸L1と同軸とされる。光軸L3は、ビームコンバイナ73によって、断層像撮影ユニット71の光軸L4と、正面撮像ユニット75の光軸L5とに分岐される。なお、観察光学系70は、手術装置1と患者眼Eとの位置関係を検出する検出ユニットの一部として機能してもよい。例えば、観察光学系70は、XY方向の患者眼Eの位置を検出する第1検出ユニットとして機能してもよい。また、観察光学系70は、光軸方向の患者眼Eの位置を検出する第2検出ユニットとして機能してもよい。
<断層像撮影ユニット71>
断層像撮影ユニット71は、光干渉の技術を用いて患者眼Eの組織の断層像を取得する。本装置の観察光学系70には、例えば、フルレンジ撮影が可能な断層像撮影ユニット71を用いてもよい。ここで言うフルレンジ撮影とは、断層像撮影ユニット71において取得される実像及び虚像のうちどちらか一方を除去して撮影することである。詳しくは特開2012−223264号公報を参考にされたい。
本実施形態の眼科用レーザ手術装置1は、術前に撮影した患者眼Eの断層像を基にレーザ光が集光する位置を設定できる。その結果、眼科用レーザ手術装置1は、レーザ光を照射する動作(例えば、駆動部353,362,365の動作)を制御するための制御データを、断層像を用いて作成することができる。
図6に示すように、断層像撮影ユニット71は、例えば、光源711、光分割器712(例えば、カップラー)、光スイッチ713、第1参照光学系714、第2参照光学系715、光スキャナ716、検出器717等を備える。
光源711は、測定光(例えば、赤外光)を出射する。光分割器712は、光源711から出射された光束を測定光と参照光に分割する。光分割器712を出射した測定光は、患者眼Eに導かれる。光分割器712を出射した参照光は、光スイッチ713に導かれる。光スイッチ713は、光分割器712によって分割されて生じた参照光を第1参照光学系714あるいは第2参照光学系715に導く。光スイッチ713は、第1参照光学系714への光路と、第2参照光学系715への光路とを切り換える。なお、光分割器712としては、カップラーの他、ビームスプリッタなどであってもよい。
第1参照光学系714は、例えば、第1参照ミラー721と、コリメータレンズ722、集光レンズ723等を備えてもよい。第1参照ミラー721は、第1参照光を所定の光路長になるように反射する。コリメータレンズ722は、第1参照光を平行光束にする。集光レンズ723は、例えば、第1参照光を第1参照ミラー721に向けて集光させる。
光スイッチ713を出射した第1参照光は、光ファイバを通過し、第1参照光学系714に導かれる。第1参照光は、例えば、コリメータレンズ722を通過し、平行光束とされる。平行光束とされた第1参照光は、例えば、集光レンズ723によって集光され、その後、第1参照ミラー721によって反射される。第1参照ミラー721によって反射された第1参照光は、再び光スイッチ713に導かれる。
第1参照光の光路長は、第1参照光学系714の光学配置によって決定される。例えば、第1参照光の光路長は、第1参照ミラー721の位置によって決定される。例えば、第1参照光学系714において、インターフェイスユニット50によって反射された測定光の光路長と第1参照光の光路長が一致するように、第1参照ミラー721の位置が設定されてもよい(図6参照)。この結果として、断層像撮影ユニット71では、第1の撮影領域として、眼球固定ユニット280を撮影できる撮影領域が設定されうる。
第2参照光学系715は、第2参照ミラー731と、コリメータレンズ732、集光レンズ733等を備えてもよい。第2参照ミラー731は、第2参照光を所定の光路長になるように反射する。コリメータレンズ732は、第2参照光を平行光束にする。集光レンズ733は、第2参照光を第2参照ミラー731へ集光させる。
光スイッチ713を出射した第2参照光は、光ファイバを通過し、第2参照光学系715に導かれる。第1参照光は、例えば、コリメータレンズ732を通過し、平行光束とされる。平行光束とされた第2参照光は、例えば、集光レンズ733によって集光され、第2参照ミラー731によって反射される。第2参照ミラー731によって反射された第2参照光は、再び光スイッチ713に導かれる。
第2参照光の光路長は、第2参照光学系715の光学配置によって決定される。例えば、第2参照光の光路長は、第2参照ミラー731の位置によって決定される。例えば、第1参照光学系714において、患者眼Eの角膜によって反射された測定光の光路長と第2参照光の光路長が一致するように、第2参照ミラー731の位置が設定されてもよい(図6参照)。この結果として、断層像撮影ユニット71では、第2の撮影領域として、患者眼Eの角膜を撮影できる撮影領域が設定されうる。
第1参照光と第2参照光は、光スイッチ713に入射した後、再び光分割器712に入射する。光分割器712は、患者眼Eによって反射された測定光と、第1参照光あるいは第2参照光を合成する。参照光と測定光との合成光は、検出器717によって検出される。例えば、第1参照ミラー721によって反射された第1参照光は、インターフェイスユニットによって反射された測定光と合成され、検出器717(受光素子)120に受光されてもよい。例えば、第2参照光学系715によって反射された第2参照光は、患者眼Eの角膜によって反射された測定光と合成され、検出器717(受光素子)120に受光されてもよい。
本実施例の断層像撮影ユニット71のように、例えば、光路長の異なる第1と第2の参照光学系を備えることによって、第1の撮影領域U1と第2の撮影領域U2が設定されてもよい(図6参照)。
以上のように、本実施例の手術装置は、第1参照光学系714によって干渉信号を取得できる撮影領域U1と、第2参照光学系715によって干渉信号を取得できる撮影領域U2とが設けられることによって、通常のOCTの撮影範囲を広くすることができる。これによって、患者眼Eの角膜がサクションリング281と接触する接触位置Wと、インターフェイスユニット50の両方を観察することが可能である。
光スキャナ716は、光源から出射された測定光を偏向させる。光スキャナ716は、例えば、2つのガルバノミラーによって構成されてもよい。この場合、2つのガルバノミラーの回転軸は互いに直交していることが好ましい。光スキャナ716は、制御ユニット100からの指令信号に基づいて、測定光を2次元的に偏向させる。制御ユニット100は、光スキャナ716を制御し、患者眼Eに対してXY方向に測定光を走査させる。本実施例では、患者眼Eの前眼部で測定光を走査させる。例えば、制御ユニット100は、各走査位置で得られた深さ情報(奥行情報)を直線上に並べることによって断層像を得る(いわゆる、Bスキャン)。
光スキャナ716としては、光を偏向させる機構であればよい。例えば、反射ミラー(ガルバノミラー、ポリゴンミラー、レゾナントスキャナ)の他、光の進行方向を変化させる(偏向させる)音響光学素子(AOM)等が用いられる。
検出器717は、眼底によって反射された測定光と、参照光との干渉状態を検出する。フーリエドメインタイプの場合では、光のスペクトル強度が検出器717によって検出され、スペクトル強度に関するデータをフーリエ変換することによって深さプロファイル(Aスキャン信号)が取得される。断層像撮影ユニット71としては、例えば、Spectral-domain (SD方式)、Swept-source(SS方式)が挙げられる。また、Time-domain(TD方式)であってもよい。この場合、光コヒーレンストモグラフィーの技術が利用されうる。例えば、特開2013−248303、特開2013−248304号公報を参考にされたい。
<正面撮影ユニット>
正面撮影ユニット75(図3参照)は、患者眼Eの正面像を取得する。本実施例の正面撮影ユニット75は、例えば、リレーレンズ77、受光素子76を備える。正面撮影ユニット75は、可視光または赤外光によって照明された患者眼Eを撮影する。正面撮影ユニットによって撮影された患者眼Eの正面像は、モニタ92(後述する)に表示されてもよい。術者は、モニタ92を見ることで、患者眼Eを正面から観察することができる。
なお、本実施例の正面観察ユニット75は、例えば、テレセントリック光学系であってもよい。これによって、正面観察ユニット75によって撮影する正面画像のピント位置を変更しても、画像の倍率が変化しないようにしてもよい。例えば、手術装置1において、手術内容によって患者眼の角膜または水晶体等にピントを合わせる場合がある。このため、ピント位置を変更した場合でも画像の倍率を調整しなくて済むように、テレセントリック光学系を用いてもよい。
<フォーカス調整ユニット>
フォーカス調整ユニット80(図3参照)は、正面撮影ユニット75のフォーカスを調整する。本実施例のフォーカス調整ユニット80は、正面撮影ユニット75によって取得される患者眼Eの前眼部画像のフォーカスを調整する。
本実施例のフォーカス調整ユニット80は、例えば、受光素子76を移動させる駆動部81を備える(図17,18参照)。駆動部81は、撮影光軸(光軸L5)の方向に受光素子76を移動させる。これによって、フォーカス調整ユニット80は、撮像光軸の方向に受光素子76のフォーカス位置を調整することができる。
受光素子76としては、例えば、二次元撮像素子が用いられる。もちろん、正面撮影ユニット75としては、二次元撮像素子を用いた構成に限定されず、例えば、走査型レーザ撮像装置、光干渉断層計、等であってもよい。
<操作ユニット>
操作ユニット400(図3参照)は、例えば、トリガスイッチ410、表示部420等を備えてもよい。トリガスイッチ410は、レーザ照射ユニット300から治療レーザ光を出射させるトリガ信号を入力する。表示部420は、患者眼Eの断層像、前眼部像を表示したり、手術条件を表示する表示手段として用いられる。表示部420は、タッチパネル機能を有してもよく、手術条件の設定、断層像上での手術部位(レーザ照射位置)の設定を行う入力手段を兼ねてもよい。なお、ポインティングデバイスであるマウス、数値、文字等を入力するため入力デバイスであるキーボード、等を入力手段として用いることもできる。
表示部420には、プランニング画面、ドッキング操作画面等が表示されてもよい。図7に示すように、プランニング画面には、例えば、前眼部像表示部表示領域430、断層像表示領域440、手術条件表示部450、スイッチ421、スイッチ422等が表示されてもよい。前眼部像表示部表示領域430は、術眼Eの前眼部を表示する。断層像表示領域440は、術眼Eの前眼部の断層像を表示する。手術条件表示部450は手術条件を表示する。スイッチ421は、手術部位の設定作業(プランニング)を開始する。スイッチ422は、指定した手術部位を確定させる(プランニングを確定させる)。断層像表示領域440では、術者により手術部位(レーザ照射の範囲)が指定される。表示部420上で指定された手術部位は、断層像におけるレーザ照射位置として設定される。制御ユニット100にて設定された手術部位は、RAM103に記憶される。スイッチ421及び422は、装置1のモードをプランニングモードに切換える機能を持つ。表示部420(断層像表示領域440)は、手術部位設定ユニットとして機能する。
なお、ドッキング操作画面としては、例えば、患者眼Eの前眼部を表示する前眼部像表示部表示領域430、患者眼Eの前眼部の断層像を表示する断層像表示領域440、手術条件を表示する手術条件表示部450、眼球固定するための操作を行う眼球固定操作部(眼球固定・インターフェイス操作部)460、照射端ユニット42の移動を操作する移動ユニット操作部470、が表示されてもよい(図8参照)。
断層像表示領域440(モニタ92)は、術者が眼球固定ユニット280、インターフェイスユニット50の位置合わせを視覚的に行いやすいように、断層像上にサクションリング281、インターフェイスユニット50を表示する役割を持ってもよい。
本実施形態では、断層像表示領域440において、少なくとも眼球固定ユニット280、インターフェイスユニット50の位置決めが完了するまでは、断層像が動画表示される。断層像では、患者眼Eの角膜及び角膜周辺(輪部周辺の強膜、眼球固定ユニット280(サクションリング281)が写り込んで撮影されている。ここでは、眼球固定時の断層像では、少なくとも患者眼Eの角膜と、サクションリング281が含まれる。カバーガラス51の位置決め時の断層像では、少なくとも、角膜とカバーガラス51が含まれる。
眼球固定操作部460には、サクションリング281に付加される吸引圧を設定する吸引圧設定部461、サクションリング281により眼球を吸着する指令信号を入力する吸引圧設定部462、サクションリング281内に液体を供給する指令信号を入力する供給スイッチ463、サクションリング281内から液体を排出する指令信号を入力する排出スイッチ464、インターフェイスユニット50の位置(高さ位置)を調節するための上下動スイッチ465が配置されている。
吸引圧設定部461が操作されると、吸引圧の数値を設定するためのテンキーが表示される。数値を入力すると、設定値としてメモリ71(後述)に記憶される。制御ユニット100は、設定された吸引圧に基づいて吸引ポンプを制御する。吸引圧設定部462が操作されると、サクションリング281に付加(印加)される吸引圧がオン・オフされる。スイッチ463が操作されると、指令信号が制御ユニット100へと送られる。信号を受けた制御ユニット100は、灌流吸引ユニットを制御し、図示無き液体用パイプを介して液体をサクションリング281内に供給し、一定の水位とする。スイッチ464が操作されると、指令信号が制御ユニット100へと送られる。信号を受けた制御ユニット100は、吸引排出ユニットを制御し、液体用パイプを介してサクションリング281内の液体を排出する。
スイッチ465には、上方に向いたカーソル466と、下方へ向いたカーソル467と、を含む。カーソル466が操作されると、インターフェイスユニット50をZ方向に沿って上方向に移動させるための指令信号(操作信号)が制御ユニット100へと送られる。信号を受けた制御ユニット100は、駆動部12を制御し、カバーガラス51を上方へと移動させる。逆に、カーソル467が操作されると、制御ユニット100は、カバーガラス51を下方へと移動させる。詳細は後述するが、術者は、モニタ92に表示される患者眼Eの動画像を見ながら眼球固定ユニット280を移動させ、眼球固定を行う。このため、モニタ92は、眼球固定ユニット280を位置決めするための手段(モニタリングユニット)となる。
移動ユニット操作部470は、第1移動ユニット10に、XYZ方向に移動させる指令信号(操作信号)を入力するための入力手段となっている。操作部470は、X方向、Y方向、Z方向のそれぞれに対して正負の方向に配置されたカーソルを備えている。カーソルが操作されることで、方向に対応した指令信号が制御ユニット100へと送られる。
<制御ユニット100>
制御ユニット100(図3,図9参照)は、CPU101、ROM102、RAM103、および不揮発性メモリ(図示せず)等を備える。CPU101は、眼科用レーザ手術装置1の各種制御(例えば、後述する制御データ作成の制御、レーザ光源ユニット310の制御、走査ユニット330の制御、集光位置の走査速度の調整制御等)を司る。ROM102には、眼科用レーザ手術装置1の動作を制御するための各種プログラム、初期値等が記憶されている。RAM103は、各種情報を一時的に記憶する。不揮発性メモリは、電源の供給が遮断されても記憶内容を保持できる非一過性の記憶媒体である。
制御ユニット100には、第1移動ユニット10、第2移動ユニット200、レーザ照射ユニット300、照明光源60、観察・撮影ユニット70、フォーカス調整ユニット80、操作ユニット400、固視誘導ユニット120、吸引ポンプ、灌流吸引ユニット、等が接続される。
制御ユニット100は、眼球固定ユニット280、インターフェイスユニット50で患者眼Eの固定が完了した後に、位置検出ユニット370を用いて患者眼Eの特徴部位(水晶体前嚢)の絶対位置を取得して、レーザ照射位置の補正を行う(アライメント)。
制御ユニット100は、手術用のレーザ光の照射よりも前に、断層像表示領域440で設定された手術部位(領域)と、位置検出ユニット370で取得した絶対情報とに基づき、手術用のレーザ光を照射するための位置情報を補正する。制御ユニット100は、補正された手術部位、手術条件、照射パターンに基づいてレーザ光源ユニット310からレーザ光を出射し、走査ユニット(ガルバノミラー363及び366)を制御して、レーザスポットを眼球組織で移動させ、眼球組織を切断、破砕する。
制御ユニット100は、眼球固定操作部96からの指令信号に基いて第1移動ユニット10を駆動制御し、眼球固定ユニット280およびインターフェイスユニット50を照射端ユニット42と共に、XYZ方向に移動させる。これにより、眼球固定ユニット280およびインターフェイスユニット50のXY方向の位置合せと、Z方向の粗動の位置合せが行える。
制御ユニット100は、断層像撮影ユニット71等で取得した断層像を画像処理し、眼球固定ユニット280、インターフェイスユニット50、患者眼Eの組織の位置、形状を取得(検出、算出)、表示(表示制御)を行う役割を持つ。また、制御ユニット100は、断層像を表示する、又は、画像処理結果に基づいて眼球固定ユニット280、インターフェイスユニット50の駆動制御をすることによって眼球固定ユニット280、インターフェイスユニット50の位置をモニタリングするモニタリングユニットの機能(の一部)を担う。
<術前プランニング>
以下、本装置を用いて術前に行うプランニングの一例を説明する。本実施例においては、術前に患者眼Eの形状情報を取得し、取得した画像を用いて手術のプランニングを行う。プランニングとは、例えば、角膜切開、前嚢切開、水晶破砕等のパターン及び施術位置等の照射プランニング、または眼球固定ユニット280で患者眼Eを固定する際のドッキング工程のプランニングが挙げられる。プランニングに用いる患者眼Eの形状情報としては、例えば、角膜形状、水晶体形状、虹彩形状、隅角形状等が取得される。
術者は、例えば、手術の数日前に、前眼部撮影装置によって患者眼Eの形状情報を取得する。前眼部撮影装置としては、手術装置1とは別筐体として配置された前眼部撮影装置であってもよく、その前眼部撮影装置は、座位状態において患者眼Eを撮影する装置であってもよい。また、前眼部撮影装置としては、手術装置1に一体的に設けられた前眼部撮影装置(例えば、観察・撮影ユニット70)であってもよく、その前眼部撮影装置は、横に寝た状態において患者眼Eを撮影する装置であってもよい。
例えば、前眼部撮影装置によって患者眼Eの断層像及び正面像のうち少なくとも1つを撮影し、患者眼Eの形状情報を取得する。患者眼Eの断層像は、例えば、OCT,SLO,シャインプルーフカメラ等の非侵襲にて断層像を撮影可能な装置を用いてもよい。
なお、制御ユニット100は、Bスキャン方向の異なる断層像を複数取得し、RAM103に記憶してもよい。例えば、Y方向に対して、30度ステップ毎のBスキャンの断層像を取得する。例えば、90度、120度、150度、180度、210度、240度、の6枚を取得してもよい。なお、上記のように複数(少なくとも2断面)の断層像を取得することにより、前眼部の3次元データが得られるため、有利である。制御ユニット100は、XY方向に関するラスタースキャンによって、互いに隣接する複数の断層像からなる前眼部の3次元データを取得するようにしてもよい。なお、制御ユニット100は、レーザ照射の光軸を含んだ互いに直交する少なくとも2つの断層像を取得する構成であることが好ましい。
外部の前眼部撮影装置が用いられる場合外部の前眼部撮影装置と手術装置1との間で、データをやり取りできることが好ましい。例えば、有線または無線によって接続されていてもよいし、フラッシュメモリ等の記憶媒体によってデータをやり取りできてもよい。制御ユニット100は、外部の観察装置によって撮影された術前の観察画像を取得し、RAM103等に保存する。制御ユニット100は、観察画像から患者眼Eの眼球形状のイメージングを行ってもよい。そして、制御ユニット100は、イメージングの結果を基に形状情報を取得し、手術条件の設定(照射プランニング)を行ってもよい。もちろん、術前のプランニングに用いる観察画像は、例えば、手術装置1に設けられた観察光学系70(例えば、観察・撮影ユニット70)によって撮影してもよい。
図7は、表示部420の表示画面を示した図である。図7に示すように、前眼部撮影装置などによって観察画像が取得された後、術者がスイッチ421を操作する(タッチする)と、プランニングを開始するための指令信号が制御ユニット100へと送られる。制御ユニット100は、指令信号に基づき、例えば、取得された患者眼Eの前眼部画像の静止画を前眼部像表示領域430に表示させ、前眼部断層像の静止画を断層像表示領域440に表示させる。
制御ユニット100は、例えば、前眼部像表示領域430と断層像表示領域440上で手術部位を指定可能な状態とする。術者は、前眼部像表示領域430の前眼部像上で、前嚢切開の領域(円の直径等)を指定する。制御ユニット100は、前眼部像の画像処理により、瞳孔中心に対して前嚢切開の位置(円)を表示する。また、術者は、断層像表示領域440の断層像上で角膜及び水晶体の破砕又は切開する領域を指定する。制御ユニット100は、前眼部断層像の画像処理により、破砕領域を指定する(詳細は後述する)。水晶体における手術部位(領域)は、深さ方向(Z方向)の領域決めとなる。スイッチ422が操作されると、現段階でのプランニングが確定される。制御ユニット100は、前眼部像における前嚢切開位置の情報と、断層像上での手術部位(領域)の情報を、手術部位情報(プランニング情報)としてRAM103に記憶する(手術部位の設定)。
<モニタ表示とプランニング>
次に、モニタ上での手術部位の指定と画像処理について説明する。ここでは、スイッチ421が操作された後の処理を説明する。
前眼部像表示領域430には、術眼Eの前眼部像が表示されている。前眼部像表示領域430の下部には、前嚢切開の円のサイズを示す切開サイズ表示欄431が配置されている。制御ユニット100は画像処理を行い、前眼部像の瞳孔中心を取得する。制御ユニット100は、前眼部像における虹彩IRの形状から瞳孔中心の位置を求める。制御ユニット100は、前眼部像表示部表示領域430が操作されると、前眼部像に瞳孔中心CPを表示する。そして、制御ユニット100は、瞳孔中心CPを中心とした円C1を前眼部像に表示する。円C1は、レーザ照射による前嚢の切開位置を示している。円C1の直径は、切開サイズ表示欄431に示された直径となるように表示される。術者が、切開サイズ表示欄431を操作することで、図示を略す増減スイッチが表示される。この増減スイッチにより、切開サイズを変できる。切開サイズ表示欄431に表示されている切開サイズは、RAM103に記憶される。
なお、前嚢切開の形状は、円に限るものではなく、予め設定された図形、例えば、楕円等を選択する構成としてもよい。また、円C1(の中心)を瞳孔中心CPから偏心させる(XY方向にシフトさせる)構成としてもよい。例えば、円C1を偏心させる距離を入力する欄を表示させ、術者が所望する距離を入力する構成とする。また、円C1の中心は、瞳孔中心に限らず、水晶体の頂点、等としてもよい。水晶体の頂点は、複数の断層像において、前嚢の頂点を抽出することにより求められる。
断層像表示領域440には、術眼Eにおけるレーザ照射光学系の中心光軸(レーザ光の中心光軸)を通るY方向の断層像が表示されている。断層像表示領域440の下部には、水晶体核の破砕(切開)におけるマージン量を表示するマージン表示欄441が配置されている。ここでいうマージンとは、水晶体の嚢をレーザ光で損傷させないように、水晶体の後嚢PP1から手前側(前嚢AP1から奥側)に設けるレーザ光を照射しない領域である。マージンは、例えば、50〜1000μmで設定され、ここでは、500μmとする。マージン表示欄441を操作すると、図示を略す増減スイッチが表示される。この増減スイッチにより、マージンを変更できる。マージン表示欄441に表示されたマージンは、RAM103に記憶される。
断層像表示領域440には、手術部位を示す領域A1が表示される。制御ユニット100は、断層像を形成する画像データに対して画像処理を行い、手術部位を示す領域(以下、領域A1と省略する)A1を求める。制御ユニット100は、断層像上で領域A1に対応する領域を強調表示する。
制御ユニット100は、断層像において、水晶体LE1の前嚢AP1の位置、水晶体LE1の後嚢PP1の位置、前嚢AP1周辺部の前方にある虹彩IR、を検出する。制御ユニット100は、メモリ71に記憶されたマージンに基づいて前嚢AP1と後嚢PP1の間の領域を定め、虹彩IRが前嚢AP1に掛った箇所(虹彩IRより後方の領域)を除外した領域を定める。このとき、制御ユニット100は、円C1に対応する位置にマージンを設定しない。また、制御ユニット100は、水晶体LE1(の内部)にマージン領域M1を表示する。制御ユニット100は、前嚢AP1から奥側にマージン分だけ領域M1を設定するとともに、円C1に対応する領域にはマージンを設定しない。また、制御ユニット100は、後嚢PP1から手前側にマージン分だけ領域M1を設定する。
領域A1は、術者の操作により変更(微調整)できる。領域A1の線は、自由に変更できる構成となっており、術者が、領域A1の線をタッチ、ドラッグ、することにより、領域A1の形状を変更できる。このとき、制御ユニット100は、マージンを越えてレーザ照射領域A1を変更できないようにしている。言い替えると、制御ユニット100は、マージン領域内に領域A1を設定できないようにしている。術者が、マージンを越えてレーザ照射領域A1を設定しようとすると、制御ユニット100は図示無きブザーを制御して術者に警告し、領域A1の変更を受け付けないようにしてもよい。
なお、手術条件表示部450では、術者の操作により、例えば、角膜切開する場合のレーザ光の照射位置が設定されてもよい。例えば、図7に基づいて角膜切開をする場合の照射位置を設定する場合を説明する。術者は、まず、正面観察ユニット75によって撮影された患者の前眼部正面像において、角膜切開を施す位置を選択する。例えば、術者は、角膜頂点から離れた、強膜付近の角膜部分を前眼部正面像上で選択する。操作ユニット400は、術者からの操作を受け付け、制御ユニット100に操作信号を送信する。操作ユニット400からの操作信号を受け取ると、制御ユニット100は、術者によって選択された前眼部像の位置に切開マークJを表示させる。さらに、制御部100は、断層像表示領域440の断層像において、術者の選択に対応する位置にRAM103等に記憶された切開パターンKの形状を表示してもよい。なお、術者は、断層像表示領域440に表示された切開パターンKの位置を確認し、切開を施す位置を変更してもよい。例えば、切開パターンKが強膜上に表示されていた場合、術者は、操作ユニット400を操作して切開パターンKの表示位置が角膜上になるように設定を変更してもよい。例えば、切開パターンKをドラッグ操作によって移動させてもよい。制御ユニット100は、操作ユニット400からの操作信号を受け取り、角膜切開位置の変更をRAM103等に記録してもよい。なお、制御ユニット100は、術者による操作ユニット400からの操作信号に基づいて角膜切開の照射パターンFを変更または編集してもよい。例えば、制御ユニット100は、切開の角度または長さ等を編集してもよい。
スイッチ422が操作されると、円C1及び領域A1の情報(画像における座標情報)がRAM103に記憶される。領域A1及びM1の情報は、2次元であるが、制御ユニット100は、領域A1を、手術領域に関する3次元的な手術位置情報に変換し、RAM103に記憶する。例えば、制御ユニット100は、領域A1を、水晶体LE1の中心軸(ここでは、虹彩IRから求めた瞳孔中心を通る軸)を回転軸として回転させることにより、撮影されていない方向の断層像を補間し、手術領域に関する3次元値情報を得る。又は、複数の断層像上で設定した手術領域を、スプライン補間等の補間アルゴリズムによって補間し、3次元情報を得る。これにより、断層像を用いて設定した手術部位の情報が生成され、RAM103に記憶されたこととなる。なお、照射プランニングの方法は、特許公開2013−248304号公報に記載の方法を利用してもよい。
なお、ドッキング工程のプランニングとしては、例えば、制御ユニット100は、患者眼EのOCT画像から眼球の視軸、あるいは構造軸(光軸ともいう)を求めてもよい。これによって、装置の光軸と患者眼Eの視軸あるいは眼球構造軸が一致するような固視灯の点灯位置を予め求めておくことができる。例えば、レーシック手術等の角膜照射時は、眼球視軸と装置光軸が一致することが好ましい。したがって、装置の光軸方向から固視灯を投光できるように、固視灯の点灯位置を制御することができる。また、例えば、白内障手術等の水晶体照射時は、眼球構造軸(眼球光軸)と装置光軸が一致することが好ましい。したがって、装置の光軸方向に対して斜めに固視灯の点灯位置を制御してもよい。
このように、患者眼Eの構造軸と視軸の関係が予め求めておき、固視灯の点灯位置を算出しておけば、術中に無駄な時間を掛けることなく、適切に眼球を固定することができる。
<手術の流れ・制御動作>
次に、手術の流れおよび本装置1の制御動作を図10に基づいて説明する。なお、以下では、術前に患者眼Eの観察画像を用いた手術条件の設定(ステップ1)を行ってから手術を開始する場合について説明する。
<術中の操作方法>
まず、術者は、連結部250に眼球固定ユニット280を取り付ける。術者は、眼球固定ユニット280を連結部250に嵌める。次に術者は、操作部の吸引開始ボタンを押す。吸引開始ボタンが押されると、制御ユニット100は吸引装置に操作信号を送る。吸引装置は、制御ユニット100から送られた操作信号に基づいて、連結部250と凹部283との間に形成された空間Rの空気を吸引する。空間Rの空気が吸引されると、空間Rの内部に負圧が働く。これによって、連結部250に眼球固定ユニット280が吸着される。
次に、術者は、インターフェイスユニット50を照射端ユニット42のホルダ52に取り付ける。術者は、操作部を操作し、ドッキング(眼球固定)を開始する信号を制御ユニット100に送る。制御ユニット100は、術者による操作部からの操作信号を受け付け、自動ドッキングを開始する。
<自動ドッキング>
以下、本実施例のドッキング(ステップ2)に関する制御動作について説明する。本実施例の装置は、自動的に患者眼Eとドッキングすることができる。これによって、ドッキングに要していた時間を短縮でき、負担なくドッキングを行えるようになる。
<XYアライメント>
制御ユニット100は、患者眼Eに対するレーザ照射ユニット300の光軸L1を位置決め(XYアライメント)してもよい。例えば、制御ユニット100は、アライメント検出ユニット(例えば、観察光学系70、制御ユニット100)によって検出された患者眼の位置に基づいて、第1移動ユニットをXY方向を移動させる。
アライメント検出ユニットは、装置に対する眼Eの横方向(XY方向)の位置を検出するために用いられる。例えば、アライメント検出ユニットは、照明光学系と観察光学系70とを組み合わせて、患者眼EのXY方向の位置を検出してもよい。例えば、アライメント検出ユニットは、観察光学系70によって撮影された前眼部画像を画像処理することによって、患者眼EのXY方向の位置を検出してもよい。例えば、前眼部画像に写った照明光の角膜反射像の位置を検出してもよい。角膜反射像の位置を画面の所定の位置に移動させるようにアライメントを行ってもよい。
なお、アライメント検出ユニットは、例えば、断層像から装置に対する患者眼Eの横方向の位置を検出してもよい。この場合、例えば、断層像より角膜フレア像を検出してもよい。より詳細には、断層像撮影ユニット71の測定光軸に対して垂直な角膜面は、測定光が強く反射するため、干渉信号の強度が高くなる。したがって、角膜の頂点付近に測定光軸と平行な筋が画像中に生じる。この筋を角膜フレア像と呼ぶ。制御ユニット100は、画像処理によって、この角膜フレア像を検出し、光の筋が画像の中心にくるように、第1移動ユニットを制御し、XY方向のアライメントをしてもよい。
また、断層像より3次元形状データを構築し、その形状情報から装置と患者眼Eの位置関係を検出してもよい。例えば、制御ユニット100は、断層像から、虹彩の3次元形状データを構築する。制御ユニット100は、虹彩の3次元形状データから瞳孔の中心を算出し、この瞳孔中心と装置の光学中心とを合わせることによってXYアライメントを行ってもよい。このように、制御ユニット100は、断層像あるいは前眼部像を用いて患者眼Eの位置を検出しながら、自動でXY方向のアライメントを行ってもよい。
<Z方向アライメント>
XYアライメントが完了すると、制御ユニット100は、駆動部12を制御し、照射端ユニット42を患者眼Eに向けて移動させることによって、Z方向のアライメントを行ってもよい。結果として、インターフェースユニット50、眼球固定ユニット280、第2移動ユニット200は、照射端ユニット42と共に一体的に移動される、
例えば、制御ユニット100は、装置1に対する患者眼Eの光軸方向(Z方向)の位置を検出してもよい。そして、検出された患者眼Eの位置に基づいて、第1移動ユニット10をZ軸方向に移動させ、レーザ照射ユニット300を患者眼Eに対して所定の位置に配置させてもよい。例えば、制御ユニット100は、正面観察ユニット75を用いて患者眼Eの光軸方向の位置を検出してもよい。より詳細には、正面観察ユニット75によって撮影された患者眼Eの正面像に写る照明光源の輝点の状態を検出してもよい。例えば、輝点のボケの状態によって患者眼Eの位置を検出してもよい。例えば、照射ユニット42に対して患者眼Eの位置が所定の位置から離れている場合、受光素子76によって検出される輝点が惚けている(図14(a)参照)。この場合、受光素子に検出される輝点からの受光範囲が大きくなり、強度が弱くなる。したがって、輝点の惚け状態と患者眼Eの位置関係を予め測定しておくことで、患者眼Eの光軸方向の位置を検出することができる。なお、制御ユニット100は、輝点だけでなく、前眼部像のボケ状態を検出し、患者眼Eの光軸方向の位置を検出してもよい。
なお、第2検出ユニットは、断層像撮影ユニット71によって撮影された患者眼Eの断層像によって、患者眼Eの光軸方向の位置を検出してもよい。例えば、断層像撮影ユニット71の参照光の光路長が一定であれば、断層像に撮影される撮影領域は一定である。したがって、検出器717によって取得された断層像の位置から患者眼Eの位置を求めることができる。参照光学系の参照光の光路長を変更可能な場合、例えば、断層像に写ったカバーガラス51の位置を基準として、患者眼Eの光軸方向の位置を検出してもよい。
<固視誘導>
レーザ照射ユニット300の位置が患者眼Eに対して所定の位置に配置されると、制御ユニット100は、固視誘導ユニット120を制御し、患者眼Eの固視誘導を開始してもよい。例えば、制御ユニット100は、傾き検出ユニットによって、眼球の傾きを検出する。そして、制御ユニット100は、眼球の傾き具合に基づいて、固視誘導ユニット120の視軸誘導を制御してもよい。例えば、傾き検出ユニットには、断層像撮影ユニット71が用いられてもよい。例えば、断層像撮影ユニット71によって撮影された断層像に基づいて、眼球の傾きを検出してもよい。制御ユニット100は、例えば、2断面以上(好ましくは3断面以上)の断層像から3次元形状データを構築し、その形状情報より傾きを求めてもよい。例えば、傾き検出ユニットは、断層像によって検出された水晶体の前嚢の曲率中心と後嚢の曲率中心を通過する線の方向を眼球の光軸S1として検出してもよい。例えば、傾き検出ユニットは、断層像から検出された角膜の前面の曲率中心と後面の曲率中心を通過する線の方向を眼球の光軸S1(構造軸)として検出してもよい。例えば、傾き検出ユニットは、眼球の光軸S1あるいは視軸S2等が装置の光軸L1に対して何度傾いているのかを検出してもよい。傾き検出ユニットには、シャインプルーク光学系による前眼部断層像撮影装置が用いられてもよい。
制御ユニット100は、傾き検出ユニットによって検出された患者眼Eの傾きに基づいて、固視誘導ユニット120の視軸誘導を制御する。例えば、図11に示すように、制御ユニット100は、光軸S1あるいは視軸S2が装置の光軸L1に対して適正な位置になるように、固視誘導ユニット120を制御し、視軸S2を誘導する。例えば、レーザを水晶体に照射する場合は、図11(b)のように、眼球の光軸S1と装置の光軸L1が一致することが好ましい。このような場合、装置の光軸L1に対して斜めから固視灯を投光するように固視誘導ユニット120が制御される。例えば、レーザを角膜に照射する場合は、図11(a)のように、視軸S2と装置の光軸L1が一致することが好ましい。このような場合、装置の光軸L1の方向から固視灯を投影するように固視誘導ユニット120が制御される。
なお、サクションリング281と患者眼Eとの距離が所定の位置より離れている場合、固視誘導ユニット120によって誘導された固視灯が視認できない場合がある。例えば、患者眼Eがサクションリング281に対して所定の距離よりも離れた状態で、5°の視角の固視を呈示しても、光束がサクションリング281によって遮られ、眼球に入らない場合がある。そこで、制御ユニット100は、固視誘導ユニット120を制御し、最初は視角0°での固視を呈示しておく。そして、患者眼Eがサクションリング281に対して所定の距離よりも近づくと、制御ユニット100は、固視誘導ユニット120を制御し、視角5°の固視誘導を開始する。
このように、制御ユニット100は、固視誘導ユニットによって誘導される固視光束が患者眼Eに入射される位置まで、サクションリング281と患者眼Eとを接近させてもよい。これによって、確実に患者の固視を誘導することができる。
なお、サクションリング281と患者眼Eとの距離は、患者眼Eの観察画像を用いてもよい。例えば、前眼部画像のフォーカス状態からサクションリング281と患者眼Eの距離を取得してもよい。例えば、フォーカス調整ユニット80は、受光素子76の位置を移動させることによって、常に患者の前眼部にピントを合わせている場合、制御ユニット100は受光素子76の位置から患者眼Eの位置を取得してもよい。
上記のように、制御ユニット100は、観察画像からサクションリング281と患者眼Eとの距離を取得してもよい。そして、患者眼Eが所定距離よりも近づいたときに固視誘導ユニット120によって、例えば、視角を0°から5°に変更するようにしてもよい。なお、視角は5°に限らず、何°でもよい。
<固視誘導によるアライメント補正>
ところで、固視誘導ユニット120によって固視灯の位置が移動されると、患者眼Eの角膜に形成される角膜輝点の位置がずれる場合がある。この場合、制御ユニット100は、固視灯の移動によってずれた分だけアライメント位置を補正してもよい。例えば、断層像撮影ユニット71によって撮影された術中の眼球の傾き検出結果に基づいて、固視誘導を制御する。この際、固視誘導によって輝点がずれる場合がある。制御ユニット100は、観察光学系70によって撮影された角膜輝点像の位置に基づいて第1移動ユニット10を制御し、固視誘導後も最適なXY方向のアライメントを行ってもよい。
例えば、図12に示すように、本実施例において、患者眼Eの角膜に生じる輝点は、患者眼Eの角膜における最も装置側(照射端ユニット側)の点を基準に形成される。固視誘導ユニット120によって固視の位置が切り換った場合、左右方向に角膜輝点の位置がずれる場合がある。これは、角膜の曲率中心と眼球の回旋中心が異なるからである。例えば、固視位置を切り替える前は、図12(a)に示すように、正面画像の中央部に輝点が配置されているとする。この状態で固視位置を移動させると、例えば、図12(b)に示すように、正面画像に撮影された輝点がずれてしまう。
そこで、制御ユニット100は、固視誘導によって固視灯の点灯位置を切り換える際、例えば、第1検出ユニットによってXY方向のアライメントずれを検出してもよい。そして、制御ユニットは、検出されたアライメントのずれに基づいて第1移動ユニット10を移動させることによって、再度、XY方向のアライメントを行ってもよい。例えば、図12(b)に示すアライメントずれの状態から、図12(a)に示すアライメントが合った状態になるまで、再度アライメントを行ってもよい。
なお、輝点を用いなくとも、例えば、断層像から検出される患者眼Eの形状によってアライメントのずれ量を求め、XY方向のアライメントを求めてもよい。
なお、固視誘導によって眼球が回旋する他に、頭部が動くことで輝点の位置が移動することが考えられる。この場合も、制御ユニット100は、第1検出ユニット(例えば、観察光学系70)によってXY方向のアライメントずれを検出し、第1移動ユニット10によって、再度、XY方向のアライメントを行ってもよい。
制御ユニット100は、断層像撮影ユニット71で取得した動画像である断層像を画像処理し、患者眼Eの角膜形状を抽出して角膜頂点の位置を抽出する。また、制御ユニット100は、患者眼Eの虹彩を抽出して瞳孔中心位置を得る。そして、制御ユニット100は、角膜頂点と瞳孔中心を通る線を患者眼Eの方向(眼球の軸を示す軸情報)とする。制御ユニット100は、断層像上に軸を示すシンボル(マーク)F1を重畳表示する(図8参照)。また、制御ユニット100は、正面像取得ユニット350で取得した正面像を画像処理し、瞳孔中心位置を抽出する。制御ユニット100は、瞳孔中心位置を示すシンボルF2を正面像に重畳表示する。シンボルF1、F2は、リアルタイムに更新表示される。
制御ユニット100は、被検眼に対するXY方向のアライメント状態および患者眼Eの傾き状態が適正と判定されると、駆動部12を制御し、照射端ユニット42を患者眼Eに向けてZ方向にさらに移動させることによって、サクションリング281と患者眼Eとを接触させる。
サクションリング281が患者眼Eに接触すると、ロードセル206は、患者眼Eによって眼球固定ユニット280が押し上げられる力を検出する。ロードセル206によって力が検出されると、制御ユニット100は、第1移動ユニット10の駆動を停止させる。このとき、制御ユニット100は、例えば、エンコーダ203からリンク212の位置を取得し、サクションリング281と患者眼Eとが接触した位置としてRAM103に記憶する。
なお、サクションリング281が患者眼Eに接触すると、患者眼Eの位置がずれる場合がある。この場合も、制御ユニット100は、例えば、観察光学系70などによってXY方向のアライメントずれを検出し、第1移動ユニット10によって、再度、XY方向のアライメントを行ってもよい。
次いで、図13(a),(b)に示すように、制御ユニット100は、駆動部226を駆動させ、ピン221を下方向に移動させる。リンク211、212は、重力によって下方向に移動される。サクションリング281は、リンクユニット210および連結部250、眼球固定ユニット280等の重量の分、患者眼Eに押し付けられて密着される。このように、制御ユニット100は、ピン221によるサクションリング281の支持を解除し、サクションリング281を患者眼Eに押し付ける。これによって、サクションリング281と患者眼Eとの密閉性が高まり、サクションリング281が患者眼Eに吸着し易くなる。
なお、ステップ6において、サクションリング281を患者眼Eに押圧するときの荷重は、例えば、300g以下、より好ましくは200gになるように設定されてもよい。また、好ましくは、サクションリング281によって患者眼が良好に吸着されるように患者眼Eに適度な荷重が加わることが好ましい。例えば、駆動部226から切り離された状態で、患者眼Eに加わる荷重が300g以下になるように、リンクユニット210の設計が行われてもよい。
なお、例えば、制御ユニット100は、駆動部226を制御し、ピン221をリンク211に接触させることで、バネ222の弾性力の大きさだけ患者眼Eに加わる荷重をキャンセルしてもよい。
なお、バネ222の弾性力に限らず、例えば、リンクユニット210にバランス調整機構を設置することで、患者眼Eに加わる荷重をキャンセルしてもよい。例えば、リンク211のジョイント213側の端部に錘を固定してもよい。これによって、リンク211には、サクションリング281を上方に移動させる方向にモーメントが働き、患者眼Eに加わる荷重がキャンセルされる。
次いで、制御ユニット100は、吸引装置に制御信号を送る。制御ユニット100は、吸引装置によって眼球を吸引するときの吸引圧を制御し、適正な吸引圧で眼球を吸引させる。これによって、患者眼Eの眼圧が上昇することを低減できる。吸引装置はポンプを始動させ、サクションリング281を患者眼Eに吸着させる。患者眼Eの吸着が完了すると、制御ユニット100は、液体がサクションリング281内に満たされる。
なお、サクションリング281内に液体が満たされると、空気と液体の屈折率の差によって、患者から見た固視標の位置がずれる可能性がある。このとき、サクションリング281によって眼球が吸着されているため、患者が固視灯を観察すると、患者眼Eに負荷が掛かってしまう。
これを防ぐため、制御ユニット100は、サクションリング281内に液体が満たされる際に、固視誘導ユニットを制御してもよい。例えば、制御ユニット100は、固視灯の点灯位置を移動させてもよい。例えば、制御ユニット100は、液体の屈折率に基づいて、固視灯の光束が液面で屈折する屈折角を考慮し、固視灯の点灯位置を移動させてもよい。なお、屈折角等は、ROM102等に記憶されていてもよいし、制御ユニット100によって算出されてもよい。
なお、空気中での固視角(固視標を見たときの視角)は、患者によって異なる。したがって、制御ユニット100は、患者の固視角に応じて固視誘導ユニット120を制御してもよい。例えば、制御ユニット100は、断面像から患者の固視角を取得し、取得された固視角に基づいて、固視誘導を行ってもよい。
患者眼Eがサクションリング281に吸引された状態で、制御ユニット100は、サクションリング281の位置を、患者眼Eに接触したときの位置に戻す。制御ユニット100は、サクションリング281が患者眼Eに接触したときの位置をRAM103から読み出す。制御ユニット100は、RAM103から読み出した位置に応じて駆動部226を駆動させ、ピン221を上方に移動させる。リンク211は、ピン221によって押し上げられる。リンク211が押し上げられると、リンク212がZ軸方向に上昇する。リンクユニット210が上方に移動されることによって、眼球固定ユニット280が上方に移動され、サクションリングの位置が患者眼Eに接触したときの位置に戻る。これによって、サクションリング281から患者眼Eに加わる押し付け力が解除される。このように、制御ユニット100は、眼球固定ユニット280の位置を元に戻す。
<レーザ照射ユニットおよびインターフェイス位置決め>
次に、術者は、レーザ照射ユニット300およびインターフェイスユニット50の患者眼Eに対するZ方向の位置を決定する(ステップ3)。制御ユニット100は、断層像を画像処理し、カバーガラス51の位置(Z方向での高さ位置)と、角膜の位置を算出しながら、第1移動ユニット10及び第2移動ユニット100を制御し、角膜(頂点)に対してカバーガラス51前面(下面)が、一定の位置関係となるようにする。位置関係としては、例えば、角膜頂点とカバーガラス51前面が、1mm程度の距離とする。これは、液体の表面の揺れの影響を受けず、カバーガラス51が直接角膜に接触して患者に負担を掛けてしまわない距離である。
制御ユニット100は、指令信号を第1移動ユニット10に送る。制御ユニット100は、第1移動ユニット10を駆動させ、照射端ユニット42及びインターフェイスユニット50を患者眼Eに対してZ軸方向に移動させる。
第2移動ユニット200は、アーム202によって照射端ユニット42に取り付けられている。このため、第1移動ユニット10の駆動によって、第2移動ユニット200は、照射端ユニット42とともに患者眼Eの方向に移動される。
本実施例では、図13に示すように、第1移動ユニット10によってインターフェイスユニット50および第2移動ユニット200が移動された場合、制御ユニット100は、眼球固定ユニット280の位置を患者眼E(或いは装置の設置面(床面))に対して一定に保持するように、第2移動ユニット200の駆動を制御する。
例えば、第1移動ユニット10が第2移動ユニット200及び眼球固定ユニット280を患者眼Eに近づける方向に移動させる移動量をΔZ1、第2移動ユニット200が眼球固定ユニット280を照射端ユニット42に対して相対的に近づける方向に移動させる移動量をΔZ2とする。本実施例の制御ユニット100は、例えば、移動量ΔZ1と移動量ΔZ2が等しくなるように第1移動ユニット10と第2移動ユニット200の駆動が制御される。
例えば、制御ユニット100は、第1移動ユニット10および第2移動ユニット200のそれぞれの駆動部12,226に関して、駆動量(例えば、パルスモータのパルス数)と、リンク212(または、眼球固定ユニット280)の移動量との関係が記憶される。したがって、制御ユニット100は、第1移動ユニット10の駆動量に応じて、第2移動ユニットの駆動を制御してもよい。これによって、移動量ΔZ1と移動量ΔZ2が等しくなるように、第1移動ユニット10と第2移動ユニット200を制御することができる。
本実施例の場合、第1移動ユニット10による第2移動ユニット200の下方への移動量ΔZ1と、第2移動ユニット200による眼球固定ユニット280の上方への移動量ΔZ2が相殺される。これによって、眼球固定ユニット280のZ軸方向の位置が患者眼Eに対して不動に保たれた状態で、インターフェイスユニット50を患者眼Eに対して位置決めすることができる。したがって、第1移動ユニット10の移動によって眼球固定ユニットが患者眼Eに押し付けられ、患者眼Eの眼圧が上昇することが低減される。つまり、手術中の患者の負担を軽減させることができる。
なお、ロードセル206による圧力の検出結果を見ながら、第1移動ユニット10及び第2移動ユニット200をサーボコントロールしなくとも、眼圧の変動を抑制しつつ眼球固定を行える。
本実施例では、ロードセル206の検出値は、第1移動ユニット10及び第2移動ユニットの移動制御には、フィードバックされない。しかし、ロードセル206の検出結果は、常に監視されており、圧力が閾値以上に達すると、ロック部230によるロックが解除される。これによって、患者眼Eに過度の負荷が掛かることが抑制される。
さらに、本実施例において、例えば、制御ユニット100は、第1移動ユニット10が駆動されるとき、眼球固定ユニット280が患者眼Eに対して定常的に一定の位置に保持されるように、第2移動ユニット200を制御する。
例えば、第1移動ユニット10が第2移動ユニット200と眼球固定ユニット280とを患者眼Eに近づける方向に一体的に移動させ、第2移動ユニット200が眼球固定ユニット280を患者眼Eから遠ざける方向に移動させるとする。このとき、第1移動ユニット10によって眼球固定ユニット280が移動されるときのZ軸方向の移動速度の大きさをV1、第2移動ユニット200によって眼球固定ユニット280が移動されるときのZ軸方向の移動速度の大きさをV2とする。本実施例において、制御ユニット100は、Z軸方向の移動速度の大きさV1とV2が等しくなるように第1移動ユニット10と第2移動ユニット200を制御する。
例えば、制御ユニット100は、第1移動ユニット10および第2移動ユニット200のそれぞれの駆動部12,226に関して、駆動速度(例えば、モータの回転速度)と、リンク212(または眼球固定ユニット280)の移動速度との関係が記憶される。したがって、制御ユニット100は、第1移動ユニットの駆動量に応じて、第2移動ユニット200の駆動を制御してもよい。これによって、移動速度の大きさV1と移動速度の大きさV2が等しくなるように、第1移動ユニット10と、第2移動ユニット200を制御することができる。
これによって、制御ユニット100は、眼球固定ユニット280を患者眼E対して常に一定の位置に保った状態で、インターフェイスユニット50(カバーガラス51)を患者眼Eに対して位置決めできる。したがって、眼球固定ユニット280が移動することによって、サクションリング281に患者眼Eが圧迫されて眼圧が上昇することを低減させることができる。
なお、上記のように、眼球固定ユニット280の位置は、患者眼Eに対して必ずしも一定でなくてもよい。ただし、患者眼Eに過大な負荷が掛からない程度に眼球固定ユニット280の位置を保持することが好ましい。
なお、制御ユニット100が、断層像の画像処理により、カバーガラス51前面の位置と、眼球固定ユニット280の上面の位置とを検出してカバーガラス51の位置決めを行う構成としてもよい。
このようにして、患者眼Eの眼球が固定され、インターフェイスユニット50が位置決めされる。術者が、前眼部画像または断層像等の動画像を見ながら、サクションリング281、インターフェイスユニット50のZ方向の移動を行うことで、簡単に位置決め作業が行える。また、患者眼Eの動画像を確認することで、患者眼Eによって異なる強膜、角膜の位置に対応で、患者眼Eに応じて好適な眼球固定ができる。
また、本実施形態の装置は、装置本体に設けられたサクションリング281とインターフェイスユニット50を独立してそれぞれZ方向に移動可能な構成を持ち、サクションリング281によって固定された患者眼Eに対してインターフェイスユニット50を移動させる。これにより、サクションリング281によって固定された患者眼Eとインターフェイスユニットの位置関係を好適に調整できるため、患者眼Eによって異なる強膜、角膜の位置に対応で、患者眼Eに応じて好適な眼球固定ができる。さらに、インターフェイスユニット50は、第2移動ユニットによって、XY方向への移動が規制された状態にて、サクションリング281に対してZ軸方向に移動可能であるため、インターフェイスユニット50とサクションリング281とのXY方向のずれの発生を回避できる。
また、本実施形態の装置は、装置本体に設けられたサクションリング281とインターフェイスユニット50を独立してそれぞれZ方向に移動可能な構成を持ち、患者眼Eに対するサクションリング281の固定、サクションリング281によって固定された患者眼Eとインターフェイスユニット50の位置関係の調整を、スムーズに行うことができ、効率的な手術が行える。
<フォーカスの調整>
なお、本実施例の装置1では、第1移動ユニット10によって正面撮影ユニット75及び対物レンズ305がZ軸方向に移動される場合、患者眼Eにフォーカスが合うように、フォーカス調整ユニット80によって正面撮影ユニット75のフォーカスが調整される。
例えば、図13(a),(b)に示すように、第1移動ユニット10が患者眼Eに向かって移動するとする。このとき、患者眼Eに対する対物レンズ305の距離および患者眼Eに対する正面撮影ユニット75の距離が短くなる。このため、正面撮影ユニット75の光学系によって受光素子76の位置に結像されていた患者眼Eの像は、受光素子76の遠方に結像されるようになる。したがって、受光素子76によって検出される患者眼Eの正面像は、ピントの合っていない画像になってしまう。
例えば、眼球固定ユニット280によって固定される前における患者眼Eに対して正面撮影ユニット75のフォーカスを調整する。例えば、初期状態では、サクションリング281から患者側に15mm離れた位置に受光素子76のフォーカスが合っているものとする。これによって、術者は、サクションリング281に患者眼Eが接触する前に、患者眼Eの位置を把握することができる。
まず、術者は、第1移動ユニット10によって、眼球固定ユニット280を患者眼Eに接近させる。眼球固定ユニット280が移動されることによって、サクションリング281から15mm離れた位置に患者眼Eが位置すると、受光素子76のフォーカスが患者眼Eに合う。しかしながら、サクションリング281を患者眼Eに当接させるため、さらに第1移動ユニット10を移動させると、受光素子76のフォーカス位置が患者眼Eに対してずれてしまう。フォーカス位置がずれると、受光素子76によって取得される患者眼Eの正面像がぼやけてしまい、患者眼Eと眼球固定ユニット280のXY方向の位置決めに支障が出てしまう。
このような場合、本実施例において、制御ユニット100は、例えば、第1移動ユニット10の移動によって、受光素子76のフォーカスが患者眼Eに合った後、第1移動ユニット10の位置または移動量に応じたフォーカス調整ユニット80の制御を開始してもよい。そして、制御ユニット100は、対物レンズ305及び正面撮影ユニット75によって結像された患者眼Eの像が受光素子76の受光位置に結像されるように、受光素子76の位置を変更する。例えば、観察光路上における受光素子76と患者眼Eの距離を変化させる(図14(a),(b)参照)。
例えば、図14(b)に示すように、制御ユニット100は、フォーカス調整ユニットの駆動部81を制御し、受光素子76を移動させる。第1移動ユニット10によって、対物レンズ305と患者眼Eとが近づく方向に移動されると、制御ユニット100は、駆動部81によって、受光素子76の位置を患者眼Eから遠ざける方向に移動させる。このように、制御ユニット100は、フォーカス調整ユニット80によって正面撮影ユニット75のフォーカス位置を調整することができる。患者眼Eに対して対物レンズ305を近づけた時の移動量と、受光素子76を移動させるときの移動量との関係は、装置の光学系等に依存し、実験的に求めることができる。また、対物レンズ305の移動量と受光素子76の移動量は、設計値として理論的に求めることもできる。例えば、対物レンズ305を患者眼Eに対して35mm近づけた場合、受光素子76を2mm遠ざけることで、受光素子76のピントを患者眼Eに合わせることができる。
このように、照射端ユニット42の移動に伴って正面撮影ユニット75の配置が移動される場合、受光素子76に撮像される患者眼Eの画像のピントが合わなくなってしまう。画像のピントが合わなくなると、例えば、サクションリング281の位置決めが不鮮明な画像で行われることになる。したがって、例えば、レーザ照射光学系320の光軸L1に対して、患者眼Eの光軸S1がずれて傾いた状態で、患者眼Eが固定されてしまう。
本実施例ように、正面撮影ユニット75と患者眼Eとの距離が変化し、受光素子76のフォーカスが合わなくなった場合、例えば、フォーカス調整ユニット80によって、正面撮影ユニット75のフォーカスを患者眼Eに合わせる。
このように、正面撮影ユニット75のフォーカスを調整することで、患者眼Eの様子が観察し易くなる。そして、サクションリング281の位置決めおよびインターフェイスユニット50の位置決めを好適に行うことができる。
さらに、本実施例では、眼球固定ユニット280によって患者眼Eを固定した後、患者眼Eに対して、照射端ユニット42の位置合わせを行うときも、正面撮影ユニット75のフォーカスを調整してもよい。
例えば、制御ユニット100は、第1移動ユニット10を移動させ、眼球固定ユニット280に固定された患者眼Eに対して、対物レンズ305およびインターフェイスユニット50を接近させる。そして、患者眼Eを、レーザを照射するための照射位置に配置する。第1移動ユニット10が移動されることにともない、正面撮影ユニット75も移動される。つまり、正面撮影ユニット75のフォーカス位置がずれる。このとき、制御ユニット100は、フォーカス調整ユニット80を制御し、例えば、受光素子76の位置を移動させる。これによって、フォーカス調整ユニット80は、患者眼Eを固定する前の眼球固定ユニット280の待機位置から、レーザを照射するための照射位置までに置ける患者眼Eに正面撮影ユニット75のフォーカスを合わせることができる。これによって、術者は、眼球固定前からレーザを照射するまで、患者眼Eの様子を確認し易くなる。
なお、フォーカス調整ユニット80は、眼球固定ユニット280の高さに応じてリアルタイムで受光素子76のフォーカスを調整してもよい。例えば、制御ユニット100は、第1移動ユニット10または第2移動ユニット200の移動量から、眼球固定ユニットのリアルタイムの高さを検出する。そして、制御ユニット100は、検出したリアルタイムの高さに応じてフォーカス調整ユニット80を制御し、受光素子76のフォーカスをリアルタイムにて調整してもよい。
<オートフォーカス+オートアライメント>
なお、本実施例において、フォーカス調整ユニットによって正面像のフォーカスを合わせつつ、患者眼Eのオートフォーカスを合わせてもよい。正面像のピントが合うことによって、正面像に写る輝点が鮮明になる。制御ユニット100は、正面像に写る輝点を用いて自動でフォーカス調整を行ってもよい。
例えば、図15(a)のように、正面像のフォーカスが合っていない状態では、画像全体がぼけており、輝点を検出した際に誤差が大きい可能性がある。そこで、制御ユニット100は、フォーカス調整ユニット80を制御し、前眼部正面像のフォーカスを自動で調整する。これによって、前眼部正面像の輝点を良好に検出することができるようになる(図15(b)参照)。
制御ユニット100は、患者眼Eの輝点に対してフォーカスの合った正面像から、輝点の位置を検出する。そして、検出された輝点の位置に基づいて、照射端ユニット42のアライメントを行う。例えば、制御ユニット100は、輝点の位置から瞳孔中心を決定し、決定した瞳孔中心が正面像の中心に配置されるように照射端ユニット42を移動させ、アライメントを行う。
上記のように、アライメントを行う際に、フォーカスを輝点に合わせることによって、輝点の位置を良好に検出できるようになる。これによって、制御ユニット100は、フォーカス輝点の位置に基づくアライメントを行い易くなる。
なお、フォーカス調整ユニット80は、必ずしも角膜輝点に正面撮影ユニット75のフォーカスを合わせなくてもよい。例えば、角膜、角膜輪舞、虹彩、水晶体にフォーカスを合わせてもよい。
なお、以上の説明では、角膜輝点を用いてアライメントを行うこととしたが、これに限らない。例えば、制御ユニット100は、正面撮影ユニット75によって撮影された正面像から、瞳孔、角膜輪舞等を検出することによって患者眼Eの瞳孔中心を決定し、アライメントを行ってもよい。
<プランニング内容の反映>
眼球固定(ステップ2)が完了すると、制御ユニット100は、観察光学系70によって患者眼Eの観察画像を取得する(ステップ4)。例えば、制御ユニット100は、断層像撮影ユニット71によって患者眼Eの断層像を取得してもよい。制御ユニット100は、術前に撮影した観察画像と、観察光学系70によって撮影された術中の観察画像とを対応づける(ステップ5)。これによって、術前に設定したプランニング内容を術中の観察画像に対応付けることができる。したがって、制御ユニット100は、術前に設定した手術条件によって手術を行うことができる。
なお、術前に外部の観察装置によって撮影した患者眼Eのドッキングされていない状態の観察画像と、観察光学系70によって撮影した患者眼Eのドッキング後の観察画像は、一致しない場合がある。例えば、角膜、虹彩、水晶体等が変形する。例えば、水晶体の傾きが変化する。例えば、術前の撮影では起きた状態で撮影を行い、術中は横になった状態で撮影を行った場合、患者眼Eの形状が変化する場合がある。例えば、術中は、眼球固定ユニットによって眼球を固定するため、患者眼Eの形状が変化する場合がある。
上記のように、術前と術中に取得された眼球イメージの形状が一致しない場合、制御ユニット100は、術前の観察画像に基づいて設定したプランニングの内容を、術中の観察画像に適する内容に補正してもよい(ステップ6)。例えば、図16に示すように、制御ユニット100は、まず、断層像から角膜形状、虹彩形状、水晶体形状、隅角形状の形状情報等の少なくとも一つを検出する。続いて、制御ユニット100は、術前の観察画像を術中の観察画像に対応付ける。これによって、術前画像に基づいて設定された手術条件は術中画像に対応付けられる。制御ユニット100は、術中画像位置から装置に対応する患者眼Eの位置を算出できる。したがって、制御ユニット100は、術中画像に対応付けられた手術領域の通り、患者眼Eにレーザ光を照射することができる。すなわち、制御ユニット100は、プランニングによって設定された手術条件にて患者眼Eを処置できる。
例えば、制御ユニット100は、検出した形状情報に基づいて術前画像と術中画像を対応付ける。例えば、制御ユニット100は、術前と術中の画像のそれぞれに対して、虹彩の形状を取得する。そして、隅角(虹彩と角膜の付け根部)を含む平面D1と、その平面に垂直であって、瞳孔の中心を通る線D2をそれぞれの画像に対して算出する(16図参照)。
制御ユニット100は、例えば、平面D1及び線D2がそれぞれ一致するように、術前と術中の観察画像を対応付けてもよい。なお、制御ユニット100は、線D2および水晶体の前嚢の頂点が一致するように、術前と術中の画像を対応付けてもよい。
制御ユニット100は、術前と術中の観察画像を対応付けることによって、術前の観察画像に基づいて設定されたプランニングの内容を、術中の画像に適するように補正してもよい。
例えば、図17に示すように、術前のプランニング内容を術中の観察画像に対応させた結果、術前と術前の眼形状の変化によって、術前のプランニング内容が術中の観察画像に適合しない場合がある。このような場合、制御ユニット100は、術前のプランニング内容を術中に適した内容になるように補正してもよい。例えば、術前と術中で水晶体の厚さに変化が生じたとする。この場合、水晶体の厚さの変化量に応じてレーザを照射する領域A1を補正してもよい。例えば、水晶体の厚さが0.5mm厚くなった場合、設定されたマージンに対して0.5mmがレーザを照射されずに余分に残る(図17(a)参照)。そこで、制御ユニット100は、レーザの領域A1を0.5mm厚くしてもよい(図17(b)参照)。例えば、制御ユニット100は、前嚢と後嚢に対して設定されたマージンの範囲で領域A1から領域A2にレーザの照射領域(治療領域ともいう)を補正してもよい。
例えば、制御ユニットは、術前のプランニングにて設定された角膜切開の位置を術中の角膜形状に合わせて補正してもよい。例えば、制御ユニット100は、術前と術中の角膜形状の変化に合わせて角膜切開の位置を補正してもよい。例えば、術前のプランニング内容を術中の観察画像に対応づけた結果、切開パターンKが強膜上に表示されていたとする。この場合、制御ユニットは、術中の観察画像から角膜と強膜の境界を検出してもよい。そして、検出した境界よりも角膜側に切開パターンKの位置を補正してもよい。
なお、制御ユニット100は、散瞳状態によってもレーザの照射領域A1を修正してもよい。例えば、術前に比べ、術中に瞳孔が大きく開いていた場合、制御ユニット100は、瞳孔径に合わせてレーザの照射領域A1から領域A2に補正してもよい。
このように、術前画像に対して設定した手術条件を、術中画像を基に修正することによって、手術をよりスムーズに行うことができる。例えば、術前の眼球形状と、術中の眼球形状が異なる場合、プランニング時に予定していた手術条件の通りに手術できない可能性がある。このような場合、プランニング内容を修正できるようにすることで、一からプランニングをやり直す手間が省ける。
なお、プランニング内容の修正は、制御ユニット100が自動で行ってもよいし、術者が手動でおこなってもよい。例えば、制御ユニット100が自動でプランニング内容の修正を行い、術者は、修正されたプランニング内容を確認し、さらに修正の必要があれば、操作部の操作によって手動で修正できるようにしてもよい。
なお、別装置(断層像を表示するファイリングシステム等)によってプランニングを行ってもよい。この場合、プランニングのデータは手術装置に読み込まれる。
制御ユニット100は、修正した照射プランニングの内容を表示部に表示させる。術者は、修正された照射プランニングの内容を確認すると、操作部ユニット90を操作し、レーザ照射を開始させる制御信号を制御ユニット100に送る。制御ユニット100は、操作部ユニット90から制御信号を受け付けると、照射プランニングの情報に基づいてレーザ照射を行う(ステップ7)。
レーザ照射によって、患者眼Eの水晶体が切断、破砕され、水晶体前嚢が切開される。制御ユニット100は、レーザ照射が完了すると、図示無きブザーによって術者に報知する。
レーザ照射が完了すると、制御ユニット100は、インターフェイスユニット50を上方へと移動させる。続いて、サクションリング281内の液体を排出させる。その後、制御ユニット100は、サクションリング281による吸着を解除し、サクションリング281を患者眼Eから取り外す。
眼球固定ユニット280及びインターフェイスユニット50が取り外された患者眼Eは、別の手術装置、例えば、超音波白内障手術装置によって、手術される。
なお、照射プランニングの内容だけでなく、ドッキング工程のプランニング内容の修正を行ってもよい。例えば、制御ユニット100は、術前画像と術中画像とで眼球の視軸あるいは光軸が異なっていた場合、軸の方向を自動で修正するように視軸誘導を行うように、固視誘導ユニット120を制御してもよい。
なお、本実施例において、フォーカス調整ユニット80は、観察・撮影ユニット70の受光素子76を対物レンズ305に対して移動させることによって、観察・撮影ユニット70のフォーカスを調整するものと説明したが、これに限らない。例えば、図18(a)に示すように、観察・撮影ユニット70の光路上にフォーカス調整用のレンズを挿脱させてもよい。例えば、観察・撮影ユニット70は光路上に凹レンズ83が配置され、受光素子76は、サクションリング281からの15mm遠方にピントが合っているとする。患者眼Eがしだいに接近し、サクションリング281から15mm遠方の位置に来ると、観察・撮影ユニット70のフォーカスは患者眼Eに一致する。
次いで、患者眼Eが、サクションリング281と接触する位置に達した場合、制御ユニット100は、凹レンズ82を観察・撮影ユニット70の光路外に退避させる。結果として、サクションリング281にドッキングされた患者眼Eの近辺に、受光素子76のフォーカスが合うようになる。さらに、照射端ユニット42がレーザ照射位置まで接近した場合、制御ユニット100は、観察・撮影ユニット70の光路上に凸レンズ83を挿入する。結果として、レーザ照射位置に配置された患者眼Eの近辺に受光素子76のフォーカスが合うようになる。
このように、観察・撮影ユニット70の光路上に光学素子(例えば、凹レンズ82、凸レンズ83)を挿脱することによっても、観察・撮影ユニット70のフォーカス位置を調整することができる。
また、例えば、図18(b)に示すように、対物レンズ305を移動させることによって、観察・撮影ユニット70のフォーカスを調整するものとしてもよい。例えば、照射端ユニット42を患者眼Eの方向に移動させる。このとき、対物レンズ305を患者眼Eから遠ざかる方向に移動させる。患者眼Eと受光素子76の位置が変更されることによってフォーカス位置がずれてしまっても、対物レンズ305を移動させることによって、受光素子76のフォーカスを患者眼Eに合わせることができる。
また、例えば、観察・撮影ユニット70に備えられた図示無き結像レンズを移動させることによって、観察・撮影ユニット70のフォーカスを調整してもよい。
以上のように、フォーカス調整ユニット80は、受光素子76の配置を調整することによって、観察・撮影ユニット70の受光素子76のフォーカスを調整してもよい。
また、例えば、フォーカス調整ユニットは、例えば、患者眼Eの高さに応じて設けられた複数の図示無き受光素子を切換えてもよい。このように、フォーカス調整ユニットは、フォーカス位置の異なる複数の受光素子を切換ることによって、正面撮影ユニット75のフォーカスを調整できてもよい。
本実施例の受光素子76では、眼球の固定前において、サクションリング281の遠方にフォーカスが合った状態である。このように、サクションリング281の遠方にフォーカスを合わせておくことで、サクションリング281に接触する前の患者眼Eを好適に検出することができる。さらに、前述のように、受光素子76のフォーカスを患者眼Eに調整することによって、患者眼Eがサクションリング281と接触する前から、レーザを照射されるまで、ピントの合った画像を撮影することができる。これによって、術者は術中の患者眼Eの様子を適切に観察することができる。
なお、本実施例では、例えば、サクションリング281から15mm遠方の位置にフォーカスが合っている。カバーガラス51からは、例えば、35mm遠方の位置にフォーカスが合っている。受光素子76のピントは、少なくとも、サクションリング281から5mm遠方の位置に合っているとよい。また、好ましくは、カバーガラス51からは、例えば、25mm遠方にピントが合っているとよい。少なくとも、サクションリング281に患者眼Eが接触する前に、患者眼Eに受光素子76のフォーカスが合うことが好ましい。
なお、本実施例においては、制御ユニット100は、観察・撮影ユニット70によって取得された患者眼Eの前眼部画像に基づいて、患者眼Eの位置を検出してもよい。例えば、制御ユニット100は、照明光源からの照明光によって形成された角膜上の輝点を正面画像から検出してもよい。そして、制御ユニット100は、検出された輝点の位置に基づいて、患者眼EのXY方向またはZ軸方向の装置に対する距離を求めてもよい。このように、正面撮影ユニット75は患者眼Eの位置を検出する検出ユニットとして機能してもよい。例えば、制御ユニット100は、正面画像に写った角膜輝点の位置から照射端ユニット42に対する患者眼Eの位置を検出してもよい(図12参照)。このように、正面観察ユニット75は患者眼の位置を検出する検出ユニットとして機能してもよい。なお、正面画像には、カバーレンズ51等に照明光が反射してできた輝点が写りこむ場合がある(図15参照)。例えば、レーシック手術時にカバーレンズ51に照明光が反射する場合が挙げられる。このカバーレンズ51等の輝点は、常に正面画像の同一位置に検出される。制御ユニット100は、予め記憶部に記憶された輝点の形成される位置を読み込み、角膜輝点とカバーレンズ51の輝点を区別してもよい。また、カバーレンズ51の輝点は、角膜輝点に比べて大きく写る場合が多い。このため、制御ユニット100は、輝点大きさから角膜輝点とカバーレンズ51の輝点を区別してもよい。
なお、制御ユニット100は、正面画像に写った角膜輝点の位置が、表示部93の中央に配置されるように、第1移動ユニット10を制御してもよい。
なお、断層像撮影ユニット71によって患者眼Eの位置を検出してもよい。例えば、断層像撮影ユニット71によって撮影された患者眼Eの前眼部断層像から、患者眼Eの位置を検出してもよい。断層像撮影ユニット71は、患者眼Eの角膜の断層像、眼球固定ユニット280、インターフェイスユニット50等も撮影される。したがって、断層像撮影ユニット71は、装置に対する患者眼Eの位置を検出する検出ユニットとして機能してもよい。制御ユニット100は、断層像撮影ユニット71によって検出された装置に対する患者眼Eの位置に応じて、フォーカス調整ユニット80を制御し、受光素子76のフォーカスを調整してもよい。
なお、サクションリング281によって患者眼Eが固定された後は、眼球固定ユニット280の位置から患者眼Eの位置を検出してもよい。例えば、制御ユニット100は、第1移動ユニットまたは第2移動ユニットの駆動量(パルスモータのパルス数など)から眼球固定ユニット280の位置を検出する。
以上のように、手術装置1は、検出ユニット(例えば、観察・撮影ユニット、制御ユニット100)によって、患者眼Eの位置を検出してもよい。そして、制御ユニット100は、検出した患者眼Eの位置に基づいてフォーカス調整ユニットを制御し、正面撮影ユニット75のフォーカスを調整してもよい。
なお、検出ユニットは、角膜輝点、瞳孔、角膜輪舞、結膜血管等を検出してもよい。検出ユニットは、手術装置1の動作に合わせて、検出対象を切り換えてもよい。例えば、装置1と患者眼Eのアライメント状態を検出する場合、検出ユニットは、角膜輝点を検出対象として設定してもよい。角膜輝点は検出しやすく、アライメント状態の検出精度を高めることができる。また、検出対象として、レーザの照射対象(例えば、水晶体、角膜など)を検出対象としてもよい。例えば、手術のプランニング等を行うときは、レーザの照射対象を鮮明な画像で確認するために、照射対象に観察画像のフォーカスが合っていることが好ましい。したがって、検出ユニットは、レーザの照射対象を検出し、観察・撮像ユニット70のフォーカスを調整してもよい。照射対象を検出することによって、フォーカスを調整してもよい。
なお、制御ユニット100は、フォーカス調整ユニット80によって常に受光素子76のフォーカス調整を行い、受光素子76の位置に基づいて、照射端ユニット42から患者眼Eまでの距離を算出しても良い。例えば、受光素子76のピントが合う位置は、光学的な設計値によって算出することができる。このように、受光素子76のフォーカス状態を利用して、患者眼EのZ軸方向の位置を取得してもよい。
なお、以上の説明において、フォーカス調整ユニット80は駆動部81を有し、制御ユニット100によって自動で制御されるものとしたが、これに限らない。例えば、術者によって手動で受光素子76等の位置を移動させ、フォーカス調整を行ってもよい。
本実施例では、患者眼Eとサクションリング281のドッキング前の位置から、患者眼Eにレーザを照射する位置までの広い領域に対して、患者眼Eの位置を検出している。このため、本実施例では、対物レンズ305に対して患者眼Eが遠い場合と近い場合で、照明光源60からの出射光が角膜を反射して受光素子76に受光されるまでの光路が異なる。
例えば、対物レンズ305に対して患者眼Eが遠い場合、照明光は、カバーガラス51の外側を通り、サクションリング281の内側を通過して角膜に到達する。そして、角膜に反射された照明光は、Z軸方向に反射され、受光素子76に受光される。一方、対物レンズ305に対して患者眼Eが近い場合、照明光は、カバーガラス51の内部を透過し、サクションリング281の内側を通過して角膜に到達する。そして、角膜に反射された照明光は、Z軸方向に反射され、受光素子76に受光される。
このように、本実施例では、対物レンズ305に対して患者眼Eが遠い場合と近い場合と、どちらの場合でも角膜に輝点を形成できるように照明光源60が配置されている。これによって、同一の照明光源60を用いて、長い領域で角膜上に輝点を形成させることができる。
なお、以上の説明では、第2移動ユニット200は、第1移動ユニット10によってXYZ方向に移動されるとしたが、これに限らない。例えば、第2移動ユニット200は、第1移動ユニット10の駆動に影響されない本体部2に取り付けられてもよい。この場合、第2移動ユニット200は、本体部2に対して眼球固定ユニット280をXYZ方向に移動可能に保持できるとよい。また、この場合、第2移動ユニット200のXY方向の駆動に関しては、第1移動ユニット10の駆動と同期されてもよい。
なお、本装置1は、例えば、光路長調整ユニット740を備えてもよい(図19参照)。光路長調整ユニット740は、参照光学系の参照ミラーを移動させることで、参照光の光路長を調整してもよい。これによって、断層像撮影ユニット71の撮影領域を変更できるようにしてもよい。例えば、光路長調整ユニット740は、参照光学系に設けられた少なくとも1つの参照ミラーを駆動部の駆動によって移動させてもよい。例えば、光路長調整ユニット740は、第2参照光学系715に設けられた第2参照ミラー731を移動させる。
光路長調整ユニット740は、第2参照ミラー731を移動させることによって、第2参照光学系715の光路長を変更することができる。第2参照光学系715の光路長を変更すると、検出器717によって取得させる断層像の位置が変更される。
例えば、図19に示すように、第2参照ミラー731が、基準位置Aに配置されるとする。このとき、眼球固定ユニット280の遠方に位置する領域に対する断層像が取得される。次に、駆動部741によって、例えば、第2参照ミラー731が位置Bまで移動され、第2参照光学系715の光路長が短くなる。これによって、第2参照光学系715の第2参照光と測定光が合成された場合、サクションリング281に近い領域に対する断層像が取得される。例えば、第2参照ミラー731が位置Bに配置された場合、サクションリング281から10mm前後遠方に位置する領域の断層像が取得される。
このように、光路長調整ユニット740によって第2参照ミラー731を移動させることによって、サクションリング281に対して遠方に位置する領域から近方に位置する領域まで、広い領域における患者眼Eの断層像を取得することが出来る。
第2参照光学系715を経た第2参光路の光路長を変更することによって、断層像の撮影領域を移動させることできる。これによって、角膜が照射端ユニット42に対して移動した場合、角膜の動きに合わせて断層像撮影ユニット71の撮影領域を変更することができる。これによって、眼球固定ユニット280が患者眼Eに対して接近する場合、眼球固定ユニットと患者眼Eの接近する様子を観察することができる。
なお、光路長調整ユニット740は、観察光学系70によって検出された信号に基づいて、第2参照ミラー731を移動させてもよい。例えば、断層像を解析することによって取得された患者眼Eの位置情報に基づいて、第2参照ミラー731を移動させてもよい。これによって、断層像撮影ユニット71の撮影領域を患者眼Eに合わせることができる。
なお、光路長調整ユニットは、例えば、装置の移動量に連動して第2参照ミラー731を移動させてもよい。例えば、制御ユニット100は、第1移動ユニットを駆動させる駆動部12の駆動量を計測する。そして、計測した駆動部12の駆動量に応じて、第2参照ミラー731を移動させてもよい。これによって、患者眼Eの位置を検出しなくとも、断層像撮影ユニット71の撮影領域を患者眼Eに合わせることができる。
以上の説明において、光路長調整ユニット740は、第2参照ミラー731を移動させるものと説明したが、これに限らない。例えば、第1参照ミラー721を移動できてもよいし、第1参照ミラー721と第2参照ミラー731をともに移動できてもよい。
光路調整ユニットは、所定の位置になるように、断層像撮影ユニット71が前眼部撮影モードに対応した所定の光学配置となるように、各光学部材の位置が自動的に調整されてもよい。
なお、眼球固定ユニット280上の位置センサ(例えば、エンコーダ203など)でサクションリング281の位置を検出し、検出した位置を元に断層画像上にサクションリング281の描画を重畳表示してもよい。また、術前検査で角膜輪部までの断層画像または曲率形状を取得しておいてもよい。その情報を元に、ドッキング時の断層画像に角膜輪部の輪郭線を重畳表示してもよい。この2つを断層画像上に同時に表示することで、術者は、ドッキング時の接触ポイントとなる角膜輪部とサクションリング281の位置関係が観察できる。
なお、以上の説明では、サクションリング、インターフェイスユニットは、ディスポーザブルタイプ(ワンユースタイプ)としたが、これに限るものではない。眼球の固定ができればよく、リユースタイプであってもよい。この場合、繰り返し滅菌が可能な素材、ステンレス鋼、ガラス、等を用いて、それぞれのユニットを形成する。
なお、以上説明した本実施形態では、サクションリングによる患者眼Eの吸着の後に、インターフェイスユニットを患者眼Eに当接させる構成としたが、これに限るものではない。眼球固定が行えればよく、作業の順番が逆であってもよい。
なお、以上の説明では、サクションリング、インターフェイスユニットは、Z方向に移動する構成となっていたが、これに限るものではない。2つのユニットが、独立して移動する構成であればよく、それぞれのユニットが、XY方向(或いは回転)する構成であってもよい。
なお、以上の説明では、断層像には撮影した画像(動画像)を用いて眼球固定ユニットの位置決めを行う構成としたが、これに限るものではない。例えば、少なくともサクションリングのリングの位置を示すシンボル(イラスト、フレーム等)を断層像に重畳表示する構成としてもよい。例えば、サクションリングの部材の構成、第1保持ユニットのセンサの検出信号から、サクションリングのリングの位置を求め、断層像に表示させる構成としてもよい。これによって、画像に写りこみにくい部材の位置をモニタ上で確認できる。
また、制御ユニット100等の画像処理によって断層像から患者眼Eの形状を抽出して、眼球固定等に利用する構成としてもよい。例えば、眼球固定動作の前に取得した断層像(別の撮影装置で取得した断層像でもよい)を画像処理し、角膜形状と、サクションリングが接触する角膜周辺(角膜輪部)の形状(眼球形状)を抽出しておく。眼球形状は、角膜頂点付近を通る直交するライン(Bスキャン)によって取得された3次元形状であることがこのましい。眼球固定動作の際に、患者眼Eの角膜形状を取得して、予め取得していた角膜形状とマッチングさせることによって、患者眼Eの角膜周辺の形状と位置を取得する。得られた角膜周辺の形状の位置を断層像上にシンボル表示する構成とする。これにより、断層像撮影ユニット71で角膜周辺を撮影できなくても、術者が角膜周辺の位置を確認(予測)しながらサクションリングの位置決めが行える。
なお、以上の説明では、断層像撮影ユニット71が、眼球固定ユニット、インターフェイスユニットの少なくとも一部を含む断層像を取得する構成としたが、これに限るものではない。断層像上で眼球固定ユニット等の位置、形状がわかる構成であればよい。例えば、眼球固定ユニット等の一部を示すイラスト等を断層像上にシンボルとして表示する構成としてもよい。具体的には、制御ユニット100が、サクションリングの位置をセンサ、アライメントユニットの情報(位置の検出結果)により取得し、断層像上にサクションリングを模した形状のイラストを表示する。イラストは、サクションリングの設計情報から形状を模す。制御ユニット100は、センサの位置情報に基づき表示を更新する。断層像上のイラストによって、術者は、サクションリングの位置を知ることができ、位置合せがし易くなる。インターフェイスユニットの場合も同様に、駆動部、アライメントユニットの情報を取得し、インターフェイスユニットのイラスト(少なくとも)カバーガラスを示す断層像上に表示する。なお、眼球固定ユニット、インターフェイスユニットの一部が断層像に含まれていてもシンボル表示してもよい。
なお、以上の説明では、サクションリング、インターフェイスユニットの位置合せを、術者の操作により行う構成としたが、これに限るものではない。各ユニットの位置合せができる構成であればよい。例えば、制御ユニット100が、断層像等に基づいて患者眼Eの位置を特定し、眼球固定ユニット等の位置を調整する構成としてもよい。具体的には、制御ユニット100が、サクションリングユニットの設計情報とサクションリング内のセンサの検出結果に基いてサクションリングの位置を取得する。また、断層像からサクションリングが接触する輪部の位置を取得する(又は)、角膜形状から予測する)。また、制御ユニット100は、患者眼Eの軸を得ておき、これらの情報を用いて、サクションリングのXYZ方向のアライメント、吸着動作を行う構成とする。インターフェイスユニットの場合も同様に、患者眼Eの角膜(頂点)位置及びカバーガラスの形状と位置と、予め設定された角膜とカバーガラスの位置関係(カバーガラスの高さ)とに基いてインターフェイスユニットのZ方向のアライメントを行う構成とする。
また、眼球固定ユニット、インターフェイスユニット(レーザ照射ユニット)のXYの位置を、制御ユニット100が位置合せする構成としてもよい。制御ユニット100は、断層像から取得した角膜頂点位置又は瞳孔中心位置と、眼球固定・インターフェイスユニットの中心軸(光軸L1)とのXY方向の差を算出する。制御ユニット100は、算出結果の差がなくなるようにアライメントユニットを制御して眼球固定ユニット、インターフェイスユニットを移動させる。このとき、患者眼Eの軸が中心軸に一致するように第1移動ユニットを制御する。
なお、以上の説明では、断層像の動画像をモニタに表示させる構成としたが、これに限るものではない。制御ユニット100が、眼球ユニット等の位置合せを行う場合のモニタリングができる構成であればよい。撮影された断層像は内部で処理される構成としてもよい。この場合、制御ユニット100がモニタリングユニットとして機能することとなる。
なお、以上の説明では、断層像撮影ユニット71として、干渉光学系を用いる構成としたが、これに限るものではない。患者眼Eの奥行情報、断層像を撮影できればよい。例えば、シャインプルーフカメラユニットを用いる構成としてもよい。
なお、以上の説明では、断層像等をレーザ照射前(手術前)の眼球固定ユニットの位置合せに用いる構成としたが、これに限るものではない。レーザ照射中(手術中)に、断層像を用いて眼球固定の状態をモニタ(確認)する構成としてもよい。例えば、制御ユニット100が、画像処理により、断層像から患者眼Eの移動を検出する構成とする。制御ユニット100が、断層像から角膜形状、角膜頂点位置、等の患者眼Eの特徴部分の情報を得ておく。制御ユニット100が、特徴部分の位置をモニタして、特徴部分の移動を検出する。例えば、サクションブレイク等によって眼球が移動してしまった場合、制御ユニット100は、検出結果に基づいてレーザ照射を停止し、術者に報知する構成とする。このような場合、サクションリングの吸引圧をモニタするセンサを用いた吸着状態の検出と比べて、吸着状態の検出を早くできる。また、吸着状態に限らず、断層像等から患者眼Eの変化を検出し、レーザ照射を停止する、レーザ照射(の位置)を補正する制御を行う構成としてもよい。
なお、以上の説明では、眼球固定ユニットの少なくとも一部、インターフェイスユニットの少なくとも一部、が断層像に写り込む構成としたが、これに限るものではない。インターフェイスユニットの位置合せができる構成であればよく、インターフェイスユニットの一部が断層像に写り込めばよい。これによって、画像表示、画像処理での角膜とインターフェイスユニットに位置関係が取得しやすい。
なお、以上の説明では、眼球固定ユニットの一部、インターフェイスユニットの一部が断層像に写り込む構成としたが、これに限るものではない。角膜に対して眼球固定ユニット、インターフェイスユニットの位置合せができる構成であればよい。各ユニットは必ずしも断層像に写り込まなくてもよい。断層像撮影ユニット71と角膜(表面)の位置関係は、撮影された断層像から取得できる。このため、断層像撮影ユニット71と眼球固定ユニット、インターフェイスユニットの位置関係を定めることによって、眼球固定ユニット等が写り込まない断層像を利用して角膜(患者眼E)と眼球固定ユニットの位置関係を取得して、各ユニットの位置合せを行うことができる。
なお、以上の説明では、断層像を利用した眼球固定ユニット、インターフェイスユニットの位置合せにおいて、各ユニットが装置本体に固定的に配置された構成であったが、これに限るものではない。レーザ照射ユニットに対して眼球を固定する構成であればよい。例えば、眼球固定ユニットは、装置とは独立したユニットであってもよい。この場合、眼球固定作業において、断層像等を用いることによって、独立した眼球固定ユニットの位置決めがし易くなる。
なお、以上の説明では、眼球固定ユニット(サクションリング)は、眼球を吸引して、吸着固定する構成としたが、これに限るものではない。眼球を固定できる構成であればよい。例えば、眼球に接触し、眼球の動きを抑制する眼球固定ユニットであってもよい。
なお、以上の説明では、レーザ光を備える眼科用レーザ手術装置を例に挙げたが、これに限るものではなない。患者眼E(患者眼E)の眼球を固定し、固定された患者眼Eの眼球組織にレーザ光を照射して手術、治療を行う構成であればよい。例えば、選択的線維柱帯形成術(Selective Laser Trabeculoplasity)を行うための眼科用レーザ手術装置であってもよい。この場合、レーザ光は、可視光のレーザ等であり、レーザスポットのサイズは、数百μmとされ、患者眼E隅角の線維柱帯に照射される。
以上のように本発明は実施形態に限られず、種々の変容が可能であり、本発明はこのような変容も技術思想を同一にする範囲において含むものである。