JP2015195503A - 画像読取装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】黒基準値を精度良く且つ効率的に定めることが可能な技術を提供する。【解決手段】画像読取装置は、黒基準値の確定に必要な黒データの取得を、電源投入時及び読取指令の入力時に行うが、電源投入時に多くの黒データを取得する。主制御ユニットは、電源投入時に実行する起動時読取処理で、規定回数の黒データを取得する(S110)。そして、規定回数の黒データにおける画素値Yの変動幅ΔYが基準幅以上である画素を大変動画素として検出し、その画素番号及び標準画素値を記憶する(S190)。標準画素値は、対応画素に関して上記規定回数の黒データが示す画素値Yの平均値である。また、特定領域において変動幅ΔYが最小の画素を、小変動画素として検出する(S200)。読取指令時には、黒データの取得処理を1回実行し、1回分の黒データを小変動画素及び大変動画素の標準画素値に基づき補正して、補正後の各画素の画素値を黒基準値に定める。【選択図】図5

Description

本発明は、画像読取装置に関する。
従来、イメージセンサを用いて原稿を読み取る画像読取装置が知られている。イメージセンサとしては、CMOSタイプ及びCCDタイプのイメージセンサが知られている(例えば特許文献1参照)。
この種の画像読取装置では、画素値のばらつきを抑えるために、光源を点灯させた状態で白基準部材を読み取って白データを取得し、光源を消灯させた状態で白基準部材を読み取って黒データを取得することが行われている。これらの白データ及び黒データは、シェーディング補正に利用される。例えば、複数の白データの平均値によって各画素の白基準値が定められ、複数の黒データの平均値によって、各画素の黒基準値が定められる。原稿の読取動作によってイメージセンサから得られた原稿の読取画像を表す各画素の画素値は、この白基準値及び黒基準値を基準に、対応する階調値に変換される。
イメージセンサは、画素毎の受光素子を有する。画素値は、光電効果による受光素子の蓄積電荷に対応する。白データは、各画素の白色の画素値に対応する受光素子の蓄積電荷を表し、黒データは、各画素の黒色の画素値に対応する受光素子の蓄積電荷を表す。
画素値のばらつきは、受光素子の特性ばらつきや、受光素子からアナログシフトレジスタのデータ出力端までの経路長の違い等に起因して生じる。アナログシフトレジスタのデータ出力端から離れた受光素子の蓄積電荷は、シフトレジスタ内での転送動作によって減少する傾向が見られる。
特開2002−314805号公報
ところで、黒基準値の適値は、周辺環境によって変化しやすく、原稿の読取直前に黒データを取得して定められるのが好ましい。しかしながら、黒基準値を精度よく定めるために、原稿の読取直前における黒データの取得回数を増やすと、読取指令に対するレスポンスが悪化するという問題がある。即ち、読取指令から、読取指令に基づく原稿の読取動作を開始するまでに要する時間が、その間に行われる黒データの取得動作によって長くなってしまうといった問題がある。
本発明は、こうした問題に鑑みなされたものであり、黒基準値を精度良く且つ効率的に定めることが可能な技術を提供することを目的とする。
本発明の画像読取装置は、読取ユニットと、第一取得ユニットと、決定ユニットと、記憶ユニットと、第二取得ユニットと、確定ユニットとを備える。
読取ユニットは、複数の受光素子を用いた受光動作により被写体の読取動作を実行し、これら複数の受光素子に対応する複数画素の画素値を示す読取画像データを生成する。第一取得ユニットは、所定条件での読取動作の実行により、読取画像データとして黒色の画素値を示す黒データを読取ユニットに生成させる制御を、第一の規定回数実行する。これによって、第一の規定回数分の黒データを取得する。
決定ユニットは、上記第一の規定回数分の黒データに基づいて画素値の変動幅が基準幅より大きい画素を大変動画素として検出し、大変動画素毎に、黒色の標準画素値を、第一の規定回数分の黒データに基づいて決定する。記憶ユニットは、この大変動画素毎の標準画素値を記憶する。
第二取得ユニットは、上記制御を第一の規定回数よりも少ない1以上の第二の規定回数実行することにより、第二の規定回数分の黒データを取得する。確定ユニットは、この第二の規定回数分の黒データ、及び、記憶ユニットが記憶する大変動画素毎の標準画素値に基づき、複数画素の夫々における黒基準値を確定する。黒基準値は、黒色の画素値として定められる値である。
画素値の変動が大きい画素に関しては、黒データの取得回数が少ない場合に、黒基準値を精度良く定めることができない。そこで、本発明では、第一取得ユニット及び第二取得ユニットの夫々で異なる時期に黒データを取得する。そして、第二取得ユニットより前に動作する第一取得ユニットにより多数の黒データを取得し、大変動画素の標準画素値を記憶する。そして、第二取得ユニットにより取得された黒データ、及び、大変動画素の標準画素値に基づき、各画素の黒基準値を確定する。
従って、本発明によれば、第二取得ユニットが取得する黒データの数が少ない場合でも、大変動画素の標準画素値を用いて、各画素の黒基準値を精度よく定めることができる。本発明によれば、第一取得ユニットによって予め多数の黒データを取得することができる。更に、第一取得ユニットが取得した黒データに基づいて標準画素値を記憶する際、選択的に大変動画素の標準画素値を記憶するので、効率的に黒基準値の高精度な確定のために必要な情報を記憶しておくことができる。従って、本発明によれば、黒基準値を精度良く且つ効率的に定めることができる。
ところで、上記第二の規定回数は、1回に定められ得る。この場合、確定ユニットは、複数画素の内、大変動画素ではない画素の夫々の黒基準値を、第二取得ユニットが取得した黒データが示す画素値に確定し、大変動画素の夫々の黒基準値を、記憶ユニットが記憶する標準画素値に対応した値に確定することができる。
第二の規定回数が二以上である場合、確定ユニットは、例えば、大変動画素ではない画素の夫々の黒基準値を、第二取得ユニットが取得した黒データが示す画素値の平均値(又は中央値又は最頻値)に確定し、大変動画素の夫々の黒基準値を、記憶ユニットが記憶する標準画素値に対応した値に確定することができる。
大変動画素の夫々の黒基準値を確定する際、確定ユニットは、第二取得ユニットが取得した黒データが示す画素値に対し標準画素値に基づいた補正を加えることにより黒基準値を確定することができる。別例として、確定ユニットは、標準画素値に対し、第二取得ユニットが取得した黒データに基づく補正を加えることにより黒基準値を確定することができる。
また、決定ユニットは、上記第一の規定回数分の黒データに基づき、複数画素又は複数画素の内の特定画素グループにおいて画素値の変動幅が最小の画素を、小変動画素として検出し、小変動画素についての黒色の標準画素値を、上記第一の規定回数分の黒データに基づいて決定することができる。この場合、記憶ユニットは、決定ユニットにより決定された小変動画素の標準画素値を記憶することができる。
この他、確定ユニットは、第二取得ユニットが取得した黒データが示す小変動画素の画素値と記憶ユニットが記憶する小変動画素の標準画素値とに基づき、記憶ユニットが記憶する大変動画素の標準画素値に対する補正量を決定することができる。この場合、確定ユニットは、大変動画素の黒基準値を、記憶ユニットが記憶する標準画素値を補正量分補正した値に確定することができる。
第二取得ユニットによる黒データの取得時には、周辺温度等の周辺環境の変化により、黒データの全体に対して、第一取得ユニットによる黒データ取得時から一様な変化が生じていることが考えられる。
このようなケースにおいて、小変動画素を基準に補正量を決定し、大変動画素の夫々の黒基準値を上記手法で定めれば、各画素の黒基準値を精度良く定めることができる。補正量は、例えば、第二取得ユニットが取得した黒データが示す小変動画素の画素値の標準画素値からの差分に対応する値に定めることができる。
また、大変動画素及び小変動画素の標準画素値は、上記第一の規定回数分の黒データに対する統計処理により定めることができる。具体的に、標準画素値は、上記第一の規定回数分の黒データが示す画素値の平均値に定められ得る。平均値に代えて、中央値又は最頻値を用いることも可能である。
平均値を用いる場合、画像読取装置は、第一の規定回数分の黒データが示す複数画素の画素値を、画素毎に平均化することによって、複数画素の夫々の画素値が平均化された一つの平均黒データを生成する統計処理ユニットを備えた構成にされ得る。
また、画像読取装置には、上記第一の規定回数分の黒データに基づき、上記複数画素を、隣接する画素間における画素値の勾配の大小に応じて分類することにより、これら複数画素を、勾配が小さい第一の画素グループと、勾配が大きい第二の画素グループと、の二グループに分類する分類ユニットを設けることができる。
そして、決定ユニットは、上記特定画素グループとしての第一の画素グループにおいて画素値の変動幅が最小の画素を、小変動画素として検出する構成にされ得る。検出された小変動画素が、定常的に小変動画素である可能性は、勾配が大きい第二の画素グループよりも第一の画素グループのほうが高いと考えられる。従って、第一の画素グループから小変動画素を検出すれば、確定ユニットにおいて、高精度に、大変動画素の黒基準値を定めることができる。
また、分類ユニットは、上記第一の規定回数分の黒データを平滑化し、平滑化後の黒データに基づいて、複数画素を第一の画素グループと第二の画素グループとに分類する構成にされ得る。具体的に、分類ユニットは、上記第一の規定回数分の黒データを移動平均処理することにより平滑化する構成にされ得る。
また、画像読取装置には、上記第一の規定回数分の黒データに基づき、上記基準幅を設定する設定ユニットを設けることができる。設定ユニットは、例えば、上記第一の規定回数分の黒データに基づき、隣接する画素間における画素値の勾配が最も小さい特定画素の集合の内、画素値の変動幅が最大の画素の当該変動幅に対応する値に、基準幅を設定する構成にされ得る。
例えば、設定ユニットは、上記変動幅が最大の画素の当該変動幅に一致する値、それより所定量小さい値、及び、それより所定量大きい値のいずれかに、基準幅を定めることができる。第一取得ユニットが取得した黒データに基づき、上記基準幅を設定すれば、効率的に大変動画素の標準画素値を記憶することができる。
また、第一取得ユニットは、画像読取装置の電源投入時に起動して、黒データを取得する構成にされ得る。同様に、決定ユニットは、画像読取装置の電源投入時に起動して、第一取得ユニットが取得した黒データに基づき、標準画素値を決定し、これを記憶ユニットに記憶させることができる。
この他、第二取得ユニットは、画像読取装置に対する原稿の読取指令が入力される度に起動して、黒データを取得する構成にされ得る。また、確定ユニットは、読取指令が入力される度に起動して、黒基準値を確定する構成にされ得る。読取指令に基づき読取ユニットが生成した読取画像データは、この黒基準値に基づき補正され得る。
即ち、画像読取装置には、読取指令が入力されると、読取ユニットに原稿の読取動作を実行させることによって、原稿の読取画像データを取得し、当該取得した読取画像データを黒基準値に基づいて補正する原稿画像取得ユニットを設けることができる。
また、読取ユニットは、撮像チップを、一つ又は複数備えた構成にされ得る。撮像チップは、複数の受光素子と、シフトレジスタとを備えた構成にされる。シフトレジスタは、各受光素子の蓄積電荷を表すデータを各画素の画素値を表すデータとして順に出力することによって読取画像データを出力することができる。読取ユニットが複数の撮像チップを備える場合、決定ユニット、確定ユニット、分類ユニット及び設定ユニットの夫々の処理動作は、撮像チップ毎に、当該撮像チップから得られた読取画像データに基づいて行うことができる。
画像読取装置の概略上面図(A)及び画像読取装置1の副走査方向に沿う概略断面図(B)である。 画像読取装置の構成を表すブロック図である。 ラインセンサの構成を表すブロック図である。 ラインセンサから得られる画素値を示すグラフである。 主制御ユニットが実行する起動時読取処理を表すフローチャートである。 主制御ユニットが実行する領域判別処理を表すフローチャートである。 第一及び第二領域を画素値と共に示すグラフである。 記憶される撮像チップ毎の小変動画素情報及び大変動画素情報を示す図である。 主制御ユニットが実行する指令時読取処理を表すフローチャートである。 主制御ユニットが実行する黒基準値確定処理を表すフローチャートである。
以下に本発明の実施例について、図面と共に説明する。
本実施例の画像読取装置1は、図1(A)及び図1(B)に示すように、フラットベッド型のスキャナ装置として構成される。この画像読取装置1は、本体カバー10と、装置本体20とを有する。図1(A)では、本体カバー10を透過して表す。本体カバー10は、装置本体20の上方に開閉可能に設けられる。装置本体20の上面は、本体カバー10が閉じられた状態で、本体カバー10により被覆される。
装置本体20は、プラテンガラス21と、筐体23と、カバー材25と、白基準部材27と、ラインセンサ30と、キャリッジ41と、ベルト搬送機構43と、モータ50とを備える。
筐体23は、上部が開口された形状にされ、プラテンガラス21は、筐体23の開口部を閉塞するように、筐体23に固定される。カバー材25は、主走査方向に長尺な形状を有し、プラテンガラス21の一端でプラテンガラス21の表面を被覆するように取り付けられる。
白基準部材27は、ラインセンサ30の主走査方向に対応する長さの白色部材によって構成され、カバー材25の裏面に押圧されてプラテンガラス21の表面でプラテンガラス21に対向するように設けられる。
ラインセンサ30は、プラテンガラス21の下方領域で、ベルト搬送機構43を介して主走査方向とは直交する副走査方向に往復動可能に設けられる。ラインセンサ30は、プラテンガラス21の主走査方向の長さと同程度の長さの受光面を備え、プラテンガラス21上に載置された原稿Pをライン毎に読み取る。このラインセンサ30は、キャリッジ41に搭載された状態で、筐体23内に設けられる。
キャリッジ41は、ベルト搬送機構43が備える一対のプーリ431,433に巻回されたベルト435に固定されており、モータ50からの動力により回転するベルト435に作用され、副走査方向に往復動する。即ち、ラインセンサ30は、ベルト搬送機構43によって搬送されるキャリッジ41と共に、副走査方向に搬送される。以下では、キャリッジ41及びベルト搬送機構43を、搬送ユニット40と表現する。
続いて、画像読取装置1の電気的構成について説明する。図2に示すように、画像読取装置1は、ラインセンサ30、搬送ユニット40及びモータ50に加えて、主制御ユニット60と、読取制御ユニット71と、ディジタルデータ生成ユニット73と、モータ制御ユニット75と、検出ユニット77と、ユーザインタフェース79と、通信インタフェース81とを備える。
主制御ユニット60は、CPU61と、ROM63と、RAM65と、NVRAM67とを備える。CPU61は、ROM63に記憶されたプログラムに従う処理を実行する。RAM65は、CPU61による処理実行時に作業領域として使用される。NVRAM67は、電気的にデータ書換可能な不揮発性メモリであり、各種データを記憶する。NVRAM67は、例えばフラッシュメモリ又はEEPROMにより構成される。
主制御ユニット60は、CPU61による各種処理の実行により、画像読取装置1を統括制御し、画像読取装置1に必要な各種機能を実現する。主制御ユニット60は、各種処理を実現するための専用回路を備えた構成にされ得る。即ち、主制御ユニット60は、ソフトウェアによる処理とハードウェアによる処理との組み合わせにより、各種機能を実現する構成にされ得る。
主制御ユニット60は、通信インタフェース81を介して外部装置3から読取指令を受信すると、プラテンガラス21上に載置された原稿Pをラインセンサ30に読み取らせるように、読取制御ユニット71及びモータ制御ユニット75に対して指令入力する。そして、この指令入力に基づく読取制御ユニット71及びモータ制御ユニット75の動作によって得られた原稿Pの読取画像を表す画像データを、通信インタフェース81を介して外部装置3に提供する。
読取制御ユニット71は、主制御ユニット60からの指令に従ってラインセンサ30に対する駆動制御を行う。具体的には、ラインセンサ30にラインスタート信号等の制御信号を入力することにより、ラインセンサ30によるライン毎の読取動作を制御する。
ラインセンサ30は、ラインスタート信号が入力される度に、読取動作を実行する。このラインセンサ30は、図3に示すように、光源31と、複数の撮像チップ35と、転送ユニット39とを備える。複数の撮像チップ35は、主走査方向に配列されて、主走査方向に等間隔に配置された受光素子の配列を形成する。ラインセンサ30は、例えばCMOS型又はCCD型のCISイメージセンサとして構成される。
このラインセンサ30は、光源31からプラテンガラス21に光を照射し、プラテンガラス21上の読取対象に照射された光の反射光を主走査方向に配列された受光素子で受光することにより、読取対象を主走査方向に読み取り、読取結果として、主走査方向1ライン分の読取画像を表すラインデータ(画像データ)を生成する。
光源31は、プラテンガラス21に対し光を照射する。光源31の点灯及び消灯は、読取制御ユニット71によって制御される。撮像チップ35は、受光素子群36と、アナログシフトレジスタ38とを備える。
受光素子群36は、主走査方向に配列された画素毎の受光素子の一群から構成される。アナログシフトレジスタ38は、光電効果により各受光素子(各画素)にて蓄積された電荷を保持し、各画素の蓄積電荷に応じたアナログデータをデータ出力端から順に出力する。
具体的に、撮像チップ35は、ラインスタート信号が入力される度に、受光素子群36による読取動作を開始する一方、それまでの読取動作により生成された蓄積電荷をアナログシフトレジスタ38に転送し、この蓄積電荷に応じたアナログデータを、次のラインスタート信号が入力されるまでの間にアナログシフトレジスタ38から順に出力する。
各撮像チップ35からの上記アナログデータは、画素の配列順に従って転送ユニット39から順に出力される。この出力動作によって、ラインセンサ30からは、主走査方向1ライン分の各画素の画素値Yを表す上記ラインデータが出力される。画素値Yは、蓄積電荷に対応する。即ち、画素値Yは、対応する画素(受光素子)の蓄積電荷に応じた値を示す。
但し、蓄積電荷は、アナログシフトレジスタ38のデータ出力端から遠い画素程、アナログシフトレジスタ38での転送動作により減衰して小さくなる傾向を有する。従って、ラインセンサ30が単色の画像を読み取った場合でも、転送ユニット39からは、図4に示すように、アナログシフトレジスタ38のデータ出力端に近い画素から遠い画素に向けて画素値Yが減少するような波形を示すラインデータが出力される。図4には、画素番号XをX座標に示し、対応する画素の画素値YをY座標に示したグラフを示す。画素番号Xは、主走査方向における画素の配列番号である。図4において不連続に画素値Yが変化する地点が撮像チップ35間の境界であると理解されたい。
このような特徴を有するアナログのラインデータは、ラインスタート信号の入力毎に、ラインセンサ30からディジタルデータ生成ユニット73に転送される。ディジタルデータ生成ユニット73は、このアナログのラインデータをディジタルデータに変換し、主制御ユニット60に入力する。
モータ制御ユニット75は、主制御ユニット60からの指令に従って、モータ50の駆動制御を行う。このモータ50の駆動制御により、キャリッジ41及びラインセンサ30の副走査方向への搬送制御が実現される。モータ制御ユニット75は、例えば、検出ユニット77により検出されたキャリッジ41の位置及び速度に基づき、キャリッジ41の位置及び速度をフィードバック制御するようにモータ50の駆動制御を行う。
検出ユニット77は、キャリッジ41の搬送経路に設けられるリニアエンコーダ又はモータ50の回転軸に設けられるロータリエンコーダを備えた構成にされて、エンコーダからの出力信号を処理することにより、キャリッジ41の位置及び速度を検出し、この情報をモータ制御ユニット75に提供する。
ユーザインタフェース79は、ユーザからの入力操作を受付可能且つユーザ向けの各種情報を表示可能に構成される。ユーザインタフェース79は、ユーザからの入力操作を受けて、例えば原稿Pの読取指令を主制御ユニット60に入力する。
また、通信インタフェース81は、外部装置3と通信可能に構成され、外部装置3からの各種指令を主制御ユニット60に入力する一方、主制御ユニット60から提供される原稿Pの読取画像を表す画像データを外部装置3に送信する。
続いて、主制御ユニット60が、シェーディング補正のために画像読取装置1の電源投入時に実行する起動時読取処理について図5を用いて説明する。周知のようにシェーディング補正では、ラインセンサ30から得られる各画素の画素値Yに対し、白基準値及び黒基準値に基づいた補正が行われる。
シェーディング補正に先立っては、光源31を点灯させた状態でラインセンサ30に白基準部材27を読み取らせたときに得られるラインデータである白データ、及び、光源31を消灯させた状態でラインセンサ30に白基準部材27を読み取らせたときに得られるラインデータである黒データが取得される。そして、白データに基づき、各画素の白色の画素値である白基準値が定められ、黒データに基づき、各画素の黒色の画素値である黒基準値が定められる。
シェーディング補正では、この白基準値と黒基準値との間の画素値Yに対して階調数分の階調値を割り当て、画素値Yを、規定ビット数の階調値に変換する。これによって、ハードウェアに依存する画素間の画素値Yのばらつきを抑えるように画素値Yを補正する。
但し、黒基準値の適値は周辺温度等の周辺環境の影響を受けて変わり易い。このため、従来では、ユーザインタフェース79又は通信インタフェース81を介して外部から読取指令が入力される度に、複数回(例えば128回)分の黒データの取得を行っていた。そして、この複数の黒データに基づいて、黒基準値を定めた後、原稿Pの読取動作を行っていた。
しかしながら、このような処理動作では、読取指令から原稿Pの読取動作に移行するまでに時間を要する。そこで、本実施例では、電源投入時に、図5に示す処理を主制御ユニット60で実行するようにした。
図5に示す起動時読取処理では、規定回数(例えば128回)分の黒データを取得した後、画素値Yの変動幅ΔYの小さい小変動画素、及び、変動幅ΔYの大きい大変動画素を検出し、検出画素毎に、画素値Yの平均値YAを標準画素値として記憶する。そして、読取指令時には、後述する図9に示す処理によって、1回分のみの黒データの取得を行って、この黒データと、上記記憶した変動小画素及び変動大画素の情報とから、黒データを補正し、黒基準値を確定する。
起動時読取処理を開始すると、主制御ユニット60は、モータ制御ユニット75にモータ50を制御させて、ラインセンサ30を白基準部材27の下方に配置させる(S100)。その後、黒データ取得処理(S110)を実行する。
黒データ取得処理では、ラインセンサ30に光源31を消灯させたまま読取動作を実行させる制御を、読取制御ユニット71に実行させる。これによって、黒データをラインセンサ30に生成させ、そのディジタルデータをディジタルデータ生成ユニット73から取得する。
主制御ユニット60は、この黒データ取得処理(S110)を、実行回数が規定回数Mに到達するまで繰返し実行し(S120でNo)、規定回数実行すると(S120でYes)、これらの黒データ取得処理で得られたM回分の黒データを平均化した平均黒データを生成する(S130)。
即ち、S130では、M回分の黒データが備える各画素の画素値Yを、画素毎に平均化することによって一つの平均黒データを生成する。平均黒データが示す画素番号Xの画素値YAは、M回分の黒データが示す画素番号Xの画素値Yの平均値YAである。
その後、主制御ユニット60は、撮像チップ35が同一の画素毎の処理を行うために、ラインセンサ30が備える複数の撮像チップ35の中から、処理対象チップを一つ選択する(S140)。そして、この処理対象チップの画素群に対し、S150〜S200の処理を実行する。
S150では、図6に示す領域判別処理を実行する。領域判別処理を開始すると、主制御ユニット60は、平均黒データにおける処理対象チップの画素群に対応するデータ領域を抽出する。そして、このデータ領域に対する移動平均処理を実行することにより、当該データ領域が示す各画素の画素値YAに対する移動平均値Zを算出する(S151)。移動平均値Zは、単純移動平均であってもよいし、加重移動平均であってもよい。
画素番号Xの画素の移動平均値Zは、主走査方向において画素番号Xの画素の前後所定範囲に位置する画素群についての画素値YAの平均値として算出することができる。処理対象チップの端に位置する画素のように、上記所定範囲が処理対象チップの画素群からはみ出る画素に関しては、この画素を移動平均値Zの算出対象から外すことができる。
図7に示すグラフでは、処理対象チップの各画素の画素値Yを破線で表し、移動平均値Zを概略的に実線で表す。S151で移動平均処理を実行すると、主制御ユニット60は、S153に移行する。S153では、処理対象チップの移動平均値Zを有する画素群における、配列順が先頭(画素番号が最小)の画素から末尾側に向けて所定個の画素群を、傾きK1の算出対象に設定する。そして、図7において一点鎖線で示すように、この画素群の移動平均値Zの傾きK1を算出する。
傾きK1の算出対象の画素群は、例えば、移動平均値Zを有する画素群の先頭から1/3の範囲内に位置する画素群に定められる。但し、どのような範囲を傾きK1の算出対象に設定するかは、撮像チップ35から出力される画素値Yの分布による。先頭画素から同じような傾きを示す領域が傾きK1の算出対象となるように、当該算出対象の設定範囲を定めることができる。
傾きK1は、隣接する画素間の移動平均値Zの差dZを、算出対象の画素群における画素番号の小さい画素から大きい画素に向けて順に算出し、この差dZの平均値を算出することによって求めることができる。即ち、差dZの平均値を、傾きK1として算出することができる。
傾きK1を算出すると、主制御ユニット60は、S154に移行する。S154では、処理対象チップの移動平均値Zを有する画素群における、配列順が末尾(画素番号が最大)の画素から先頭側に向けて所定個の画素群を傾きK2の算出対象に設定する。そして、図7において二点鎖線で示すように、この画素群の移動平均値Zの傾きK2を算出する。傾きK2の算出対象に設定する画素群は、例えば、移動平均値Zを有する画素群の末尾から1/6の範囲内に位置する画素群に定められる。但し、どのような範囲を傾きK2の算出対象に設定するかは、撮像チップ35から出力される画素値Yの分布による。
傾きK2は、傾きK1と同様に、隣接する画素間の移動平均値Zの差dZを、算出対象の画素群における画素番号の小さい画素から大きい画素に向けて順に算出し、この差dZの平均値を算出することによって求めることができる。
傾きK2を算出すると、主制御ユニット60は、これら傾きK1と傾きK2との平均値KA=(K1+K2)/2を、領域判別値KAに設定する(S156)。
その後、主制御ユニット60は、傾きK1の算出対象と傾きK2の算出対象との間に挟まれた画素群の区間において、画素番号の小さい順に移動平均値の差dZを算出し、差dZが領域判別値KAを示す最初の地点を、境界地点として検出する(S158)。そして、境界地点より画素番号が小さい領域を第一領域と判別し、境界地点より画素番号が大きい領域を第二領域と判別した後(S159)、領域判別処理を終了する。
S150で領域判別処理を終了すると、主制御ユニット60は、S160に移行し、処理対象チップにおける各画素の画素値Yの変動幅ΔYを算出する。画素番号Xの変動幅ΔYは、S110,S120の処理で得られたM回分の黒データにおける画素番号Xの画素値Yの最大値と最小値と差の絶対値に対応する。
その後、主制御ユニット60は、S150で判別した第一領域の先頭区間で、変動幅ΔYが最大の画素を検出し(S170)、この画素の変動幅ΔYを、基準幅Wに設定する(S180)。但し、基準値Wは、変動幅ΔYが最大の画素の当該変動幅ΔYから所定量小さい値に定められてもよいし、所定量大きい値に定められてもよい。
先頭区間は、画素値Yの画素間の勾配が特に小さく画素値Yが安定した区間であるように、第一領域おける先頭から所定個(例えば20個)の画素群に対応する区間に定めることができる。
S180での処理を終えると、主制御ユニット60は、処理対象チップの全画素の内、変動幅ΔYが基準幅W以上である画素を、大変動画素として検出する(S190)。即ち、処理対象チップにおける全画素に関して、画素毎に、この画素の変動幅ΔYと基準幅Wとを比較し、変動幅ΔYが基準幅W以上であるときには、その画素を大変動画素として検出する。
更に、主制御ユニット60は、検出した大変動画素毎に、この大変動画素の画素番号Xと、この画素の画素値Yの平均値YAとを大変動画素情報として記憶する(S190)。平均値YAは、平均黒データを参照して特定することができる。以下では、S190で記憶される大変動画素の平均値YAのことを、標準画素値YLとも表現する。大変動画素情報は、NVRAM67又はRAM65に記憶することができる。
更に、主制御ユニット60は、領域判別処理にて判別した第一領域内で変動幅ΔYが最小の画素を、小変動画素として検出する(S200)。そして、検出した小変動画素の画素番号Xと、この画素の画素値Yの平均値YAとを小変動画素情報として記憶する(S200)。平均値YAは、平均黒データを参照して特定することができる。以下では、S200で記憶される小変動画素の平均値YAのことを、標準画素値YSとも表現する。小変動画素情報は、NVRAM67又はRAM65に記憶することができる。
S200での処理を終えると、主制御ユニット60は、ラインセンサ30が有する撮像チップ35の全てを、処理対象チップに選択してS150〜S200の処理を実行したか否かを判断する(S210)。そして、未選択の撮像チップ35があると判断した場合には(S210でNo)、S140に移行して、未選択の撮像チップ35を新たな処理対象チップに選択し、S150〜S200の処理を実行する。
主制御ユニット60は、このようにしてS150〜S200の処理を撮像チップ35毎に実行し、撮像チップ35の全てを処理対象チップに選択したと判断すると(S210でYes)、当該起動時読取処理を終了する。このように起動時読取処理を終了した時点で、NVRAM67又はRAM65には、図8に示すように、撮像チップ35毎に、小変動画素情報と大変動画素情報とが記憶される。
起動時読取処理後、主制御ユニット60は、原稿Pの読取指令が入力される度に、図9に示す指令時読取処理を実行する。読取指令は、通信インタフェース81を介して外部装置3から、又は、ユーザインタフェース79を介してユーザから入力される。
指令時読取処理を開始すると、主制御ユニット60は、モータ制御ユニット75にモータ50を制御させて、ラインセンサ30を白基準部材27の下方に配置させる(S300)。その後、白基準値確定処理を実行する(S310)。
白基準値確定処理では、ラインセンサ30に光源31を点灯させた状態で読取動作を実行させる制御を、読取制御ユニット71に実行させる。これによって、白データをラインセンサ30に生成させ、このディジタルデータをディジタルデータ生成ユニット73から取得する。そして、この白データに基づき、各画素の白基準値を定める。S310では、上記制御を複数回実行して、複数回分の白データを取得し、複数回分の白データの平均値に基づき、各画素の白基準値を定めることができる。
S310での処理を終えると、主制御ユニット60は、黒データ取得処理をS110と同様に実行し、これにより、1回分の黒データを取得する(S320)。その後、主制御ユニット60は、S320で取得した黒データに基づき、図10に示す黒基準値確定処理を実行する(S330)。
黒基準値確定処理を開始すると、主制御ユニット60は、ラインセンサ30が備える複数の撮像チップ35の中から、処理対象チップを一つ選択する(S331)。そして、処理対象チップの画素群に対し、S333〜S337の処理を実行する。
S333において、主制御ユニット60は、NVRAM67又はRAM65が記憶する処理対象チップの小変動画素情報が示す画素番号Xと同一の画素についての、S320で取得した黒データが示す画素値Y=YBを検出する(S333)。
次に、主制御ユニット60は、処理対象チップの小変動画素情報が示す小変動画素の標準画素値YSと、S333で検出した対応画素の現在の画素値YBとの差YB−YSをオフセット量C=YB−YSとして算出する(S335)。
その後、主制御ユニット60は、処理対象チップの大変動画素情報が示す大変動画素毎に、その大変動画素と同じ画素番号Xの画素についての、S320で取得した黒データが示す画素値Yを、この大変動画素の標準画素値YL及び上記オフセット量Cを用いて、値(YL+C)に補正する(S337)。
S337での処理を終えると、主制御ユニット60は、ラインセンサ30が有する撮像チップ35の全てを、処理対象チップに選択してS333〜S337の処理を実行したか否かを判断する(S338)。そして、未選択の撮像チップ35があると判断した場合には(S338でNo)、S331に移行して、未選択の撮像チップ35を新たな処理対象チップに選択し、S333〜S337の処理を実行する。
主制御ユニット60は、このようにしてS333〜S337の処理を撮像チップ35毎に実行し、撮像チップ35の全てを処理対象チップに選択したと判断すると(S338でYes)、S339に移行する。そして、S339では、各画素の黒基準値をS337の処理を受けた補正後の黒データが示す各画素の画素値Yに定める。即ち、画素番号Xの黒基準値を、補正後の黒データが示す画素番号Xの画素値Yに定める。その後、黒基準値確定処理を終了する。
この黒基準値確定処理を終了すると、主制御ユニット60は、原稿Pの読取処理を実行し、原稿Pの読取画像を表す画像データをラインセンサ30によるライン毎の読取動作を通じて生成する(S350)。即ち、S350では、読取制御ユニット71及びモータ制御ユニット75に指令入力して、搬送ユニット40にキャリッジ41及びラインセンサ30を副走査方向に搬送させる一方、ラインセンサ30にライン毎の読取動作を実行させることにより、原稿Pの副走査方向の長さに対応した複数ライン分のラインデータを取得し、これらラインデータの集合からなる原稿Pの読取画像を表す画像データを生成する。
この画像データの生成時には、S310で定められた白基準値及びS330で定められた黒基準値に基づいてシェーディング補正を各ラインデータに施し、シェーディング補正後のラインデータを要素とする高画質な原稿Pの読取画像を表す画像データを生成する。その後、生成した画像データを、外部装置3に提供して当該指令時読取処理を終了する。
以上、画像読取装置1の構成について説明したが、本実施例によれば、黒基準値の確定に必要な黒データの取得を、電源投入時及び読取指令の入力時の二段階に分けて行う。そして、電源投入時に多くの黒データを取得して、ノイズによる影響を抑えた平均黒データに基づく標準画素値を記憶する。この際、全画素の標準画素値を記憶するのではなく、オフセット量Cを決定するための一つの小変動画素及び変動幅ΔYが基準幅W以上の大変動画素の標準画素値を選択的に記憶することにより、黒基準値の高精度な設定に貢献する情報を、データ量を抑えてNVRAM67又はRAM65に効率的に記憶する。
そして、読取指令の入力時には、電源投入時に記憶した小変動画素情報及び大変動画素情報に基づき、変動幅ΔYが大きいと予想される画素(大変動画素に該当する画素)に対し、標準画素値を利用した黒基準値の設定を行う。
上述したように指令時読取処理では、撮像チップ35が有する画素群の内、大変動画素に該当しない画素の夫々の黒基準値を、読取指令時に取得した黒データが示す画素値Yに定め、大変動画素の夫々の黒基準値を、NVRAM67又はRAM65が記憶する対応画素の標準画素値YLにオフセット量Cを加算した値(YL+C)に定める。
従って、本実施例によれば、読取指令時に多数の黒データを取得しなくても、黒基準値を精度良く且つ効率的に定めることができる。特に、本実施例では、オフセット量Cに基づく標準画素値YLの補正によって大変動画素に該当する各画素の黒基準値を定めるので、周辺温度等の周辺環境の変化により、黒データの全体に対して電源投入時から一様な変化が生じている場合にも適切に黒基準値を定めることができる。
従来装置では、読取指令時に多数の黒データを取得して、これらを平均化し、黒基準値を求めていた。このために、従来装置では、読取指令の入力から、その読取指令に基づく原稿Pの読取動作を開始するまでに時間を要していた。
一方、本実施例によれば、読取指令時には黒データの取得動作を1回実行するだけであるので、読取指令時に、多数回(2桁から3桁の回数)の黒データの取得を行う従来装置と比較して、格段に迅速に読取指令に基づく原稿Pの読取動作を開始することができる。
しかも、電源投入時には黒データを分析して黒基準値の設定(黒データの補正)に役立つ情報を選び出し、これを小変動画素情報及び大変動画素情報として記憶するために、長期間保持すべきデータ量を抑えることができる。従って、本実施例に従う黒基準値の設定方法は、非常に有意義である。
[他の実施形態]
以上、本発明の実施例について説明したが、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、種々の態様を採ることができる。例えば、上記実施例では、読取指令時に黒データの取得を1回のみ行ったが、読取指令時における黒データの取得は複数回であってもよい。例えば、S320では、数回の黒データの取得を行い、この行為によって取得した複数の黒データを、S130と同様の手法で平均化して、平均黒データを作成することができる。そして、S330では、この平均黒データに対して上述した手法で補正を加えて、補正後の平均黒データの画素値Yを、黒基準値に定めることができる。
上記実施例に従えば、読取指令時に黒データの取得を複数回行う場合であっても、その回数を、従来装置における読取指令時の黒データの取得回数よりも十分抑えることができる。従って、この場合でも、黒基準値を精度良く且つ効率的に定めることができる。
また、黒基準値は、上記実施例とは異なる方法で定められてもよい。例えば、大変動画素に対応する画素の黒基準値は、この画素の標準画素値YLとオフセット量Cとの加算値(YL+C)と、この画素の読取指令時に取得された黒データが示す画素値Yとの重み付け平均によって定められてもよい。重み付けは、電源投入時と読取指令時との間における黒データの取得回数の差や、時間経過等を考慮して定めることができる。黒基準値は、これ以外の手法で、読取指令時に取得した黒データが示す画素値Yに対し標準画素値YLに基づいた補正を加えることにより定めることができる。
また、補正量として機能するオフセット量Cは、大変動画素の標準画素値YLに基づいて決定されてもよい。例えば、大変動画素毎に、標準画素値YLと、この画素の読取指令時に取得した黒データが示す画素値Yとの差(Y−YL)を算出し、この差の平均値(又は中央値又は最頻値)を、オフセット量Cとして定めることも可能である。
また、小変動画素は、第一領域から検出せずに、撮像チップ35の全画素領域から検出することも可能である。但し、第一領域は、画素値Yの勾配(傾きK1)が小さく画素値Yが安定した領域である。即ち、小変動画素が、定常的に小変動画素である可能性は、勾配が大きい第二領域よりも第一領域のほうが高いと考えられる。従って、オフセット量Cを最適に設定するためには、上記実施例のように、第一領域で小変動画素を検出するのが好ましいと考えられる。
この他、標準画素値YL,YSは、対応する画素値Yの平均値ではなく、中央値又は最頻値であってもよい。画素値Yの分布が綺麗な正規分布に従う場合、中央値又は最頻値は、平均値に近い値を示す。
また、上記実施例では、傾きK1及び傾きK2を用いることにより、撮像チップ35の全画素領域を、画素値Yの勾配の大小に応じて、第一領域と第二領域とに分類したが、領域の分類(判別)は、他の手法で行われてもよい。
例えば、傾きK1の算出対象に設定された画素群より末尾側に位置する画素群に関して、各画素の差dZを末尾側に向けて順に算出することにより、差dZが傾きK1より所定量以上変化する地点を検出し、この地点を境界として全画素領域を、第一領域と第二領域とに分類することもできる。領域判別値KAは、固定値として定められてもよい。
また、上記実施例では、S151で移動平均処理を実行したが、移動平均処理を実行する目的は、画素値YAの軌跡を平滑化することにあるので、移動平均処理に代えて、その他の平滑化処理を実行することも可能である。
また、基準値Wは、上記実施例で説明した以外の他の手法で定められてもよい。例えば、撮像チップ35における各画素の変動幅ΔYの分布に基づき、大変動画素に分類される画素が全画素の所定割合になるように、基準値Wを設定することも可能である。但し、上記先頭区間は、隣接する画素間における画素値Yの勾配が最も小さい、画素値Yの安定した画素集合として選択された区間である。従って、上記実施例のように基準値Wを設定すると、全画素の変動幅ΔYの分布から基準値Wを設定する場合よりも効率的に、且つ適切に基準値Wを設定することができる。
この他、基準値Wは、予め設計段階で定められた固定値であってもよい。但し、基準値Wを黒データに基づき設定する手法によれば、個体差や経時変化、周辺環境等に応じて適切な基準値Wを設定することができる。
また、画像読取装置1は、起動時読取処理と同一の処理を、画像読取装置1の電源投入時以外の期間において、読取指令の前に実行する構成にされ得る。この場合には、電源投入時に上記起動時読取処理を実行する必要はない。また、画像読取装置1は、読取指令とは関係なく定期的に黒データを取得して、黒基準値を上記手法で更新する構成にされてもよい。
[対応関係]
最後に、用語間の対応関係について説明する。ラインセンサ30及び搬送ユニット40は、読取ユニットの一例に対応し、主制御ユニット60が実行するS100〜S120は、第一取得ユニットにより実現される処理の一例に対応する。
また、主制御ユニット60が実行するS190,S200は、決定ユニットにより実現される処理の一例に対応し、S320は、第二取得ユニットにより実現される処理の一例に対応し、S330は、確定ユニットにより実現される処理の一例に対応する。
この他、主制御ユニット60が実行するS130は、統計処理ユニットによって実現される処理の一例に対応し、S150は、分類ユニットにより実現される処理の一例に対応し、S170,S180は、設定ユニットにより実現される処理の一例に対応し、S350は、原稿画像取得ユニットにより実現される処理の一例に対応する。
1…画像読取装置、3…外部装置、10…本体カバー、20…装置本体、21…プラテンガラス、23…筐体、25…カバー材、27…白基準部材、30…ラインセンサ、31…光源、35…撮像チップ、36…受光素子群、38…アナログシフトレジスタ、39…転送ユニット、40…搬送ユニット、41…キャリッジ、43…ベルト搬送機構、50…モータ、60…主制御ユニット、61…CPU、63…ROM、65…RAM、67…NVRAM、71…読取制御ユニット、73…ディジタルデータ生成ユニット、75…モータ制御ユニット、77…検出ユニット、79…ユーザインタフェース、81…通信インタフェース、431,433…プーリ、435…ベルト、P…原稿。

Claims (13)

  1. 複数の受光素子を用いた受光動作により被写体の読取動作を実行し、前記複数の受光素子に対応する複数画素の画素値を示す読取画像データを生成する読取ユニットと、
    所定条件での読取動作の実行により、前記読取画像データとして黒色の画素値を示す黒データを前記読取ユニットに生成させる制御を、第一の規定回数実行することによって、前記第一の規定回数分の前記黒データを取得する第一取得ユニットと、
    前記第一の規定回数分の前記黒データに基づいて前記画素値の変動幅が基準幅より大きい画素を大変動画素として検出し、前記大変動画素毎に、黒色の標準画素値を、前記第一の規定回数分の前記黒データに基づいて決定する決定ユニットと、
    前記大変動画素毎の前記標準画素値を記憶する記憶ユニットと、
    前記制御を前記第一の規定回数よりも少ない1以上の第二の規定回数実行することにより、前記第二の規定回数分の前記黒データを取得する第二取得ユニットと、
    前記第二の規定回数分の前記黒データ、及び、前記記憶ユニットが記憶する前記大変動画素毎の前記標準画素値に基づき、黒基準値として、前記複数画素の夫々における黒色の画素値を確定する確定ユニットと、
    を備えることを特徴とする画像読取装置。
  2. 前記第二の規定回数は1回であり、
    前記確定ユニットは、前記複数画素の内、前記大変動画素ではない画素の夫々の前記黒基準値を、前記第二取得ユニットが取得した前記黒データが示す画素値に確定し、前記大変動画素の夫々の前記黒基準値を、前記記憶ユニットが記憶する前記標準画素値に対応した値に確定すること
    を特徴とする請求項1記載の画像読取装置。
  3. 前記決定ユニットは、前記第一の規定回数分の前記黒データに基づき、前記複数画素又は前記複数画素の内の特定画素グループにおいて前記画素値の変動幅が最小の画素を、小変動画素として検出し、前記小変動画素についての黒色の標準画素値を、前記第一の規定回数分の前記黒データに基づいて決定し、
    前記記憶ユニットは、前記決定ユニットにより決定された前記小変動画素の前記標準画素値を記憶し、
    前記確定ユニットは、前記第二取得ユニットが取得した前記黒データが示す前記小変動画素の画素値と前記記憶ユニットが記憶する前記小変動画素の前記標準画素値とに基づき補正量を決定し、前記大変動画素の夫々の前記黒基準値を、前記記憶ユニットが記憶する前記大変動画素の前記標準画素値を前記補正量分補正した値に確定すること
    を特徴とする請求項2記載の画像読取装置。
  4. 前記補正量は、前記第二取得ユニットが取得した前記黒データが示す前記小変動画素の画素値の前記標準画素値からの差分に対応すること
    を特徴とする請求項3記載の画像読取装置。
  5. 前記標準画素値は、対応する画素に関して前記第一の規定回数分の前記黒データが示す画素値の平均値であること
    を特徴とする請求項1〜請求項4のいずれか一項記載の画像読取装置。
  6. 前記第一の規定回数分の前記黒データが示す前記複数画素の画素値を、画素毎に平均化することによって、前記複数画素の夫々の画素値が平均化された一つの平均黒データを生成する統計処理ユニットを備え、
    前記決定ユニットは、前記標準画素値を前記平均黒データに基づき決定すること
    を特徴とする請求項1〜請求項5のいずれか一項記載の画像読取装置。
  7. 前記第一の規定回数分の前記黒データに基づき、前記複数画素を、隣接する画素間における画素値の勾配の大小に応じて分類することにより、前記複数画素を、前記勾配が小さい第一の画素グループと、前記勾配が大きい第二の画素グループと、の二グループに分類する分類ユニット
    を備え、
    前記決定ユニットは、前記特定画素グループとしての前記第一の画素グループにおいて前記画素値の変動幅が最小の画素を、前記小変動画素として検出すること
    を特徴とする請求項3又は請求項4記載の画像読取装置。
  8. 前記分類ユニットは、前記第一の規定回数分の前記黒データを移動平均処理することにより平滑化し、当該平滑化後の前記黒データに基づいて、前記複数画素を前記第一の画素グループと前記第二の画素グループとに分類すること
    を特徴とする請求項7記載の画像読取装置。
  9. 前記第一の規定回数分の前記黒データに基づき、前記基準幅を設定する設定ユニットを備えること
    を特徴とする請求項1〜請求項8のいずれか一項記載の画像読取装置。
  10. 前記設定ユニットは、前記第一の規定回数分の前記黒データに基づき、隣接する画素間における画素値の勾配が最も小さい特定画素の集合の内、前記画素値の変動幅が最大の画素の当該変動幅に対応する値に、前記基準幅を設定すること
    を特徴とする請求項9記載の画像読取装置。
  11. 前記第一の画素グループにおいて前記勾配が小さい特定画素の集合の内、前記画素値の変動幅が最大の画素の当該変動幅に対応する値に、前記基準幅を設定する設定ユニットを備えること
    を特徴とする請求項7又は請求項8記載の画像読取装置。
  12. 前記第一取得ユニット及び前記決定ユニットは、前記画像読取装置の電源投入時に起動し、
    前記第二取得ユニット及び前記確定ユニットは、前記画像読取装置に対する原稿の読取指令が入力される度に起動し、
    前記画像読取装置は、
    前記読取指令が入力されると、前記読取ユニットに前記原稿の読取動作を実行させることによって、前記原稿の前記読取画像データを取得し、当該取得した前記読取画像データを前記黒基準値に基づいて補正する原稿画像取得ユニット
    を備えること
    を特徴とする請求項1〜請求項11のいずれか一項記載の画像読取装置。
  13. 前記読取ユニットは、前記複数の受光素子と、前記複数の受光素子の夫々の蓄積電荷を表すデータを該当画素の画素値を表すデータとして順に出力することによって前記読取画像データを出力するシフトレジスタと、を備える撮像チップを、複数備え、
    前記決定ユニット及び前記確定ユニットの処理動作は、前記撮像チップ毎に、当該撮像チップから得られた前記読取画像データに基づいて行われること
    を特徴とする請求項1〜請求項12のいずれか一項記載の画像読取装置。
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