JP2015194948A - 情報処理装置、入力装置、情報処理方法及びプログラム - Google Patents

情報処理装置、入力装置、情報処理方法及びプログラム Download PDF

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大 板谷
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Abstract

【課題】より操作性を向上させることを可能とする。【解決手段】シート状の操作部材上に設けられる複数のキー領域の各々に対する操作入力が、当該キー領域と、当該キー領域の各々に対応して設けられる容量素子と、の距離の変化に応じた前記容量素子の容量変化量として検出される入力装置の周辺温度に基づいて、前記キー領域に対する操作入力を表す操作入力値を補正する温度補償部、を備える、情報処理装置。【選択図】図9

Description

本開示は、情報処理装置、入力装置、情報処理方法及びプログラムに関する。
PC(Personal Computer)等の情報処理装置に対する入力装置として、キーボードが広く用いられている。近年、より薄型のキーボードとして、タッチパネルを利用したものが普及しつつある。タッチパネルを用いたキーボードでは、当該タッチパネルの表示面にキーボードの各キーに対応するGUI部品が表示され、表示されたキーをユーザがタッチパネル上で選択することにより、選択されたキーに対応付けられた情報が情報処理装置に入力される。
ここで、タッチパネルとしては様々な方式のものが存在するが、操作体の当該タッチパネルへの接触を検出するセンサ素子の特性が温度依存性を有する場合がある。この場合、使用環境の温度に応じて、タッチパネルへの操作体の接触を検出する感度が変化してしまう可能性があるため、ユーザの操作性を損なう恐れがある。
そこで、タッチパネルにおいて、使用環境の温度に応じた補償を行う技術が開発されている。例えば、特許文献1には、静電型のタッチパネルにおいて、静電容量センサのインピーダンスの温度特性を事前に把握しておき、当該温度特性を利用して当該静電容量センサの静電容量を補正する技術が開示されている。また、例えば、特許文献2には、超音波型のタッチパネルにおいて、温度変化に応じた表面基板における弾性表面波の速度変化に対応するために、温度補償用のIDT(Inter Digital Transducer)の周波数特性を用いて、当該弾性表面波の入出力用IDTの周波数特性を補正する技術が開示されている。
特開2009−20006号公報 特開2002−169649号公報
しかしながら、上記特許文献1、2に記載の技術は、一般的なタッチパネルを対象とするものであり、例えばキーボードのような用いられ方をする場合については特に想定されていない。タッチパネルがキーボードとして用いられる場合には、例えばキーに対応する領域に対する連続的で素早い打鍵等、他の場合とは異なる操作入力が行われることが想定される。従って、キーボードとして用いられる際にタッチパネルに対して求められる操作性は、他の用途の場合とは異なる可能性がある。よって、上記特許文献1、2に記載の技術を、タッチパネルを用いたキーボードに対してそのまま適用したとしても、必ずしもユーザの操作性を向上させることができるとは限らない。
上記事情に鑑みれば、キーボードとしての操作性を考慮しつつ、操作体の検出感度に対して使用環境の温度に応じた補償を行うことにより、より高い操作性を実現する技術が求められていた。そこで、本開示では、より操作性を向上させることが可能な、新規かつ改良された情報処理装置、入力装置、情報処理方法及びプログラムを提案する。
本開示によれば、シート状の操作部材上に設けられる複数のキー領域の各々に対する操作入力が、当該キー領域と、当該キー領域の各々に対応して設けられる容量素子と、の距離の変化に応じた前記容量素子の容量変化量として検出される入力装置の周辺温度に基づいて、前記キー領域に対する操作入力を表す操作入力値を補正する温度補償部、を備える、情報処理装置が提供される。
また、本開示によれば、複数のキー領域を有し、当該キー領域への操作入力に応じて変形可能なシート状の操作部材と、前記キー領域の各々に対応する位置に少なくとも1つの容量素子を有し、前記操作入力に応じた前記キー領域と前記容量素子との距離の変化量を、前記容量素子の容量変化量として検出可能な電極基板と、周辺温度に基づいて、前記キー領域に対する操作入力を表す操作入力値を補正する制御部と、を備える、入力装置が提供される。
また、本開示によれば、プロセッサが、シート状の操作部材上に設けられる複数のキー領域の各々に対する操作入力が、当該キー領域と、当該キー領域の各々に対応して設けられる容量素子と、の距離の変化に応じた前記容量素子の容量変化量として検出される入力装置の周辺温度に基づいて、前記キー領域に対する操作入力を表す操作入力値を補正すること、を含む、情報処理方法が提供される。
また、本開示によれば、コンピュータのプロセッサに、シート状の操作部材上に設けられる複数のキー領域の各々に対する操作入力が、当該キー領域と、当該キー領域の各々に対応して設けられる容量素子と、の距離の変化に応じた前記容量素子の容量変化量として検出される入力装置の周辺温度に基づいて、前記キー領域に対する操作入力を表す操作入力値を補正する機能、を実現させる、プログラムが提供される。
本開示によれば、キー領域に対する物理的な押圧量が、当該キー領域に対する操作入力を表す操作入力値として検出され得るキーボードにおいて、周辺温度に基づいて当該操作入力値が補正される。従って、周辺温度が変化した場合であっても、補正後の操作入力値に基づくキー入力の検出が行われるため、ユーザの操作性をより向上させることができる。
以上説明したように本開示によれば、より操作性を向上させることが可能となる。なお、上記の効果は必ずしも限定的なものではなく、上記の効果とともに、または上記の効果に代えて、本明細書に示されたいずれかの効果、または本明細書から把握され得る他の効果が奏されてもよい。
本開示の一実施形態に係る入力装置の概略構成を示す上面図である。 図1に示す入力装置の概略断面図である。 本実施形態に係る入力装置におけるキー入力時の動作について説明するための説明図である。 本実施形態に係る入力装置における容量素子について説明するための説明図である。 入力装置におけるキー配置と容量素子C1との位置関係を示す概略図である。 本実施形態に係る入力装置における容量素子C1の温度特性を示すグラフ図である。 本実施形態に係る入力装置における容量素子C1の温度特性を示すグラフ図である。 本実施形態に係る入力検出システムのハードウェア構成の一例を示すブロック図である。 本実施形態に係る入力検出システムの機能構成の一例を示す機能ブロック図である。 温度検出用に用いられるダミーノードの一構成例を示す概略断面図である。 ダミーノードの温度特性を示すグラフ図である。 ダミーノードの温度特性を示すグラフ図である。 入力装置でのダミーノードの一配置例を示す概略図である。 温度検出用ICを用いて温度を検出する変形例における、入力検出システムの機能構成の一例を示す機能ブロック図である。 荷重値とデルタ値との関係を示すグラフ図である。 荷重負荷中の経過時間と理想的な補正倍率によって補正されたデルタ値との関係を示すグラフ図である。 本実施形態における逆補正を考慮した補正倍率の設定方法について説明するための説明図である。 本実施形態に係るデルタ値補正テーブルの一例を示す図である。 本実施形態に係る情報処理方法の処理手順の一例を示すフロー図である。 温度補償を行わなかった場合における、入力装置のデルタ値の荷重感度特性を示すグラフ図である。 本実施形態に係る温度補償を行った場合における、入力装置のデルタ値の荷重感度特性を示すグラフ図である。 基準条件に基づいて設定される理想的な補正倍率によって温度補償を行った場合における、入力装置のデルタ値の荷重感度特性を示すグラフ図である。
以下に添付図面を参照しながら、本開示の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
なお、説明は以下の順序で行うものとする。
1.入力装置の構成
2.本開示に至る背景
3.入力検出システムの構成
3−1.ハードウェア構成
3−2.機能構成
4.温度検出処理
4−1.ダミーノードを用いた温度検出処理
4−2.温度検出用ICを用いた温度検出処理
5.補正倍率決定処理
5−1.基準条件の決定
5−2.逆補正について
5−3.デルタ値補正テーブルの設定
5−4.温度補償時の処理
6.情報処理方法
7.温度補償処理の結果
8.補足
本開示の好適な一実施形態では、入力装置として、シート状の操作部材上に設けられる複数のキー領域の各々に対する操作入力(すなわち、指等の操作体による押圧量)を、当該キー領域の各々に対応して設けられる容量素子の静電容量の変化量(後述するデルタ値)によって検出する、静電型のキーボードが用いられる。本明細書では、まず、(1.入力装置の構成)において、本開示の好適な一実施形態に係る入力装置の構成について説明する。次に、(2.本開示に至る背景)において、本実施形態に係る入力装置における容量素子の静電容量の温度依存性について本発明者らが検討した内容について説明するとともに、本発明者らが本開示に想到した背景について説明する。
次に、(3.入力検出システムの構成)において、本実施形態に係る入力装置におけるキー入力を検出するための入力検出システムの構成について説明する。ここで、本実施形態に係る入力検出システムでは、当該入力装置の使用環境における温度に基づいて、キー領域への操作入力を表す操作入力値(例えば上述した容量素子の静電容量の変化量(デルタ値))を補正する温度補償処理は行われる。温度補償処理では、当該入力装置の使用環境における温度を検出する処理(以下、温度検出処理とも呼称する)、検出された温度に基づいて検出信号であるデルタ値に対する補正量(補正倍率)を決定する処理(以下、補正倍率決定処理とも呼称する)、及び、決定された補正倍率に基づいてデルタ値を補正する処理(以下、デルタ値補正処理とも呼称する)が行われる。(4.温度検出処理)及び(5.補正倍率決定処理)では、当該温度補償処理における各処理について詳細に説明する。
次に、(6.情報処理方法)で、本実施形態に係る温度補償方法における処理手順について説明する。そして、最後に、(7.温度補償処理の結果)で、本実施形態に係る温度補償処理が適用された結果について、当該温度補償処理が行われなかった場合と比較しながら説明する。
本実施形態では、温度補償処理が行われた操作入力値を用いて、キーごとに入力状態(操作入力が有効であると判断されている状態(KEY ON状態)又は操作入力が有効でないと判断されている状態(KEY OFF状態))が判定されることにより、キー入力の有無が判定されることとなる。これにより、使用環境の温度変化を反映したキー入力の判定が行われることとなり、ユーザの操作性をより向上させることができる。
(1.入力装置の構成)
まず、図1−図3を参照して、本開示の好適な一実施形態に係る入力装置の構成について説明する。図1は、本開示の一実施形態に係る入力装置の概略構成を示す上面図である。図2は、図1に示す入力装置の概略断面図である。図3は、本実施形態に係る入力装置におけるキー入力時の動作について説明するための説明図である。
図1及び図2を参照すると、本実施形態に係る入力装置1は、シールド層40と、第2の支持体60と、電極基板20と、第1の支持体30と、操作部材10と、がこの順に積層されて構成される。入力装置1は、例えばPC等の情報処理装置(以下、接続装置とも呼称する。)のキーボードとして用いられる。なお、以下では、操作体の一例として、キーボードに対する操作入力として最も一般的に行われ得る、指でキーが選択される場合について説明するが、ユーザの身体の他の部位やスタイラス等の道具を用いてキーを選択することも当然可能である。
また、以下の説明では、入力装置1の面内における互いに直交する2方向をX軸方向及びY軸方向と定義する。また、入力装置1の積層方向(厚み方向)をZ軸方向と定義する。また、Z軸の正方向(操作部材10が配設される方向)を上方向又は表面方向とも呼称し、Z軸の負方向を下方向又は裏面方向とも呼称する。図2及び図3は、入力装置1におけるX−Z平面での断面図に対応している。
(操作部材)
操作部材10は、入力装置1の表面(上面)に配設されるシート状の部材である。操作部材10の表面には、キーボードにおける各キーに対応する複数のキー領域10aが形成される。操作部材10は、例えば銅(Cu)、アルミニウム(Al)等の導電性を有する金属材料によって構成され、例えばグランド電位に接続される。ただし、操作部材10の材料はかかる例に限定されず、導電性を有する材料であれば他の材料が用いられてもよい。
操作部材10の厚みは、例えば数10μm〜数100μmであり、操作部材10は、図3に示すように、キー領域10aに対する入力操作(すなわち、指によるキー領域10aに対する押圧)によって電極基板20側へ部分的に変形可能に構成される。ただし、操作部材10の厚みはかかる例に限定されず、ユーザによるキー領域10aの押圧感(打鍵感)やキー入力の検出精度等を考慮して適宜設定されてよい。
各キー領域10aは、ユーザによって押圧される(打鍵される)キーに対応し、キーの種類に応じた形状及び大きさを有する。各キー領域10aには、適宜のキー表示が施されていてもよく、当該キー表示は、キーの種類を表示するものであってもよいし、個々のキーの位置(輪郭)を表示するものであってもよいし、これら両方を表示するものであってもよい。キー表示には、適宜の印刷手法、例えば、スクリーン印刷やフレキソ印刷、グラビア印刷等が適用可能である。なお、以下の説明では、キー領域10aに対して各種の操作入力が行われることを表現する際に、キー領域10aのことを、単に、キーと記載する場合がある。例えば、入力装置1において「キーを押圧する」とは、「キー領域10aを押圧する」ことを意味していてよい。
ここで、操作部材10は、上述した導電性を有する材料によって構成される導電層の上に、フレキシブル性を有する絶縁性のプラスチック材料(例えば、PET(ポリエチレンテレフタレート)、PEN(ポリエチレンナフタレート)、PMMA(ポリメタクリル酸メチル)、PC(ポリカーボネート)、PI(ポリイミド)等)からなるプラスチックシートが更に積層されて構成されてもよい。その場合、当該プラスチックシートの表面に、各キーに対応するキー表示が印刷されることとなる。導電層の上にプラスチックシートが積層されて用いられる場合には、導電層及びプラスチックシートは、樹脂シートの表面に予め導電層膜が貼り付けられた複合シート等で構成されてもよいし、プラスチックシートの表面に導電層膜が蒸着やスパッタリングによって形成されて構成されてもよい。あるいは、プラスチックシートの表面に導電ペースト等の塗膜が印刷されることにより構成されてもよい。
(シールド層)
シールド層40は、入力装置1の裏面に配設されるシート状の部材である。このように、入力装置1は、シールド層40と操作部材10とで、電極基板20、第1の支持体30及び第2の支持体60が挟持されて構成される。シールド層40は、操作部材10と同様に、例えば銅、アルミニウム等の導電性を有する金属材料によって構成され、例えばグランド電位に接続される。ただし、シールド層40の材料はかかる例に限定されず、導電性を有する材料であれば他の材料が用いられてもよい。シールド層40は、入力装置1の外部から入射する電磁ノイズを遮蔽する機能を有する。なお、シールド層40の厚みは特に限定されず、例えば数10μm〜数100μmである。また、操作部材10と同様に、シールド層40も、その裏面に、例えば絶縁性のプラスチックシートが更に積層されて構成されてもよい。
(第1及び第2の支持体)
第1の支持体30は、操作部材10と電極基板20との間に配置される。第1の支持体30は、基材32の上に、複数の構造体31が形成されて構成される。
基材32は、PET、PEN、PC等からなる絶縁性のプラスチックシートで構成され、電極基板20の上に積層される。基材32の厚みは特に限定されず、例えば数μm〜数100μmである。
複数の構造体31は、それぞれ同一の高さ(例えば数μm〜数100μm)を有し、操作部材10の各キー領域10aを区画するように、基材32上に形成される。構造体31によって、基材32と操作部材10とが接続される。構造体31が形成されない領域(すなわち、キー領域10aに対応する領域)には、空間33が形成される。このような構成を有することにより、キー領域10aに対する操作入力がなされると、少なくとも押圧されたキー領域10aに対応する部分において、操作部材10と電極基板20との距離が変化することとなる(図3参照。)。
各構造体31は、各キー領域10aにおける操作性(クリック感、ストローク感)や検出精度の向上の観点から剛性の比較的高い材料で構成されるが、弾性材料で構成されてもよい。各構造体31は、例えば、紫外線硬化樹脂等の電気絶縁性の樹脂材料で構成され、基材32の表面に転写法等の適宜の手法を用いて形成される。
第2の支持体60は、シールド層40と電極基板20との間に配置される。第2の支持体60は、複数の構造体61によって構成される。複数の構造体61は、それぞれ同一の高さ(例えば数μm〜数100μm)を有し、例えば第1の支持体30の構造体31と半ピッチだけずれた位置(例えば各キー領域10aの略中央部)に形成され得る。構造体61によって、シールド層40と電極基板20とが接続される。構造体61が形成されない領域には空間62が形成される。このように、本実施形態に係る入力装置1は、その表面及び裏面の双方に、指によって押圧された際に変形が生じ得る空間33、62が形成され得る。なお、構造体61の材料及び形状は、第1の支持体30の構造体31と同様であってよい。
(電極基板)
電極基板20は、第2の配線基板22の上に、接着層50を介して第1の配線基板21が積層された積層構造を有する。第1の配線基板21の表面には、Y軸方向に延伸する電極線210(Pulse電極)が形成される。また、第2の配線基板22の表面には、X軸方向に延伸する電極線220(Sense電極)が形成される。
第1の配線基板21及び第2の配線基板22は、絶縁性材料からなるプラスチックシートによって構成される。例えば、第1の配線基板21及び第2の配線基板22は、PET、PEN、PC、PMMA等の材料からなるプラスチックシート、ガラス基板、ガラスエポキシ基板等で構成される。第1の配線基板21及び第2の配線基板22の厚みは特に限定されず、例えば、それぞれ数10μm〜数100μmである。
電極線210及び電極線220は、例えばAlやCu等のエッチング、又は銀(Ag)等の金属ペーストの印刷等によって、第1の配線基板21及び第2の配線基板22上にそれぞれ形成される。
接着層50は、絶縁性材料からなる接着基板51の両面に、同じく絶縁性材料からなる接着剤層52、53がそれぞれで積層されて構成される。接着基板51は、例えばPET、PEN、PC、PMMA等の材料からなるプラスチックシート、ガラス基板、ガラスエポキシ基板等で構成され得る。また、接着剤層52、53は、いわゆるOCA(Optical Clear Adhesive:光学的透明接着剤)として用いられる各種の材料によって構成され得る。
第1の配線基板21及び第2の配線基板22は、接着層50を介して、電極線210と電極線220とが互いに対向するように積層される。電極線210と電極線220とは、絶縁体からなる層(すなわち、第1の配線基板21及び接着層50)を挟んで対向することとなるため、電極線210と電極線220との交差領域(以下、ノードとも呼称する。)に容量素子が形成されることとなる。電極線210と電極線220とは、その延伸方向が略直交しているため、例えば、一の電極線210と複数の電極線220とにより、複数のノードが形成されることとなる。
図4に、電極線210と電極線220とが重なり合うことにより、容量素子が構成される様子を概略的に示す。図4は、本実施形態に係る入力装置1における容量素子について説明するための説明図である。図4では、ある1つのキー領域10aにおける、電極基板20の表面に対応する平面での断面図を概略的に示している。
図4に示すように、X軸方向に延伸する電極線220と、X軸方向に延伸する電極線210と、が重なり合う部位に、容量素子C1が形成される。本実施形態では、キー領域10a内に、少なくとも1つの容量素子C1が形成されるように、電極線210及び電極線220が形成される。
ここで、図3を参照して、本実施形態に係る入力装置1におけるキー入力の検出の原理について説明する。図3に示すように、あるキーに対する操作入力があった場合には、当該キーに対応するキー領域10aが指によってZ軸方向に押圧される。キー領域10aが押圧されると、操作部材10(の導電層)と電極基板20の容量素子C1との距離が変化するため、容量素子C1における静電容量が変化する。この容量素子C1における容量変化量(以下、デルタ(Delta)値とも呼称する。)は、キー領域10aに対する操作入力に応じた、キー領域10aと容量素子C1との距離の変化量を表すものであると言える。
本実施形態では、ノードごとに検出されたデルタ値に基づいて、当該ノードに対応するキーの入力が検出される。例えば、デルタ値や当該デルタ値から算出される値(例えばデルタ値の時間微分を表す微分デルタ値や、デルタ値を正規化した正規化デルタ値等)を、所定のしきい値と比較することにより、当該ノードに対応するキーの入力が検出され得る。これらのデルタ値、微分デルタ値及び/又は正規化デルタ値等の値や、これらの統計値は、キーに対する操作入力を表す値であると言えるため、以下では、これらの値を総称して操作入力値とも呼称する。なお、デルタ値に基づくキー入力の検出の詳細については、下記(3.入力検出システムの構成)で詳しく説明する。
このように、本実施形態では、容量素子C1の容量変化量に基づいて、キーの入力が検出されるため、操作入力がない状態での容量素子C1の静電容量(以下、初期静電容量又はBase Signal値とも呼称する。)は、所定の値になるように調整されている。従って、電極線210及び電極線220の形状(より詳細には容量素子C1の電極となり得る部位(電極部)の形状)や、電極線210と電極線220との間に位置する絶縁体の厚み及び材質等は、容量素子C1のBase Signal値が所定の値になるように適宜設定され得る。
なお、以下の説明では、デルタ値としきい値との比較等の説明を分かりやすくするために、デルタ値を正の値として定義している。上述したように、デルタ値は、容量素子C1における容量変化量であるため、操作入力がある状態(図3に示す状態)での容量素子C1の静電容量から、操作入力がない状態(図2に示す状態)での容量素子C1の静電容量(すなわち、Base Signal値)を差し引いた値として算出され得る。一方、図3に示す状態では、キー領域10aと容量素子C1との距離が短くなることにより、容量素子C1の静電容量は、図2に示す状態よりも小さくなっている。このように、単純に静電容量の差分を取るだけではデルタ値は負の値となり得るが、本実施形態では、適宜符号を変更することにより、デルタ値を正の値として扱っている。なお、デルタ値を負の値として扱う場合であっても、しきい値等のデルタ値と比較される値の符号を反転することにより、以下に説明するキー入力の検出処理と同様の処理が当然実行可能である。
ここで、図4に示す例では、1つのキー領域10aに6つの容量素子C1が設けられている(すなわち、ノードが6つ存在している)が、本実施形態はかかる例に限定されない。1つのキー領域10aに設けられるノードの数は任意であってよい。上述したように、本実施形態では、容量素子C1の容量変化量に基づいてキーの入力が検出される。従って、1つのキー領域10aに複数の容量素子C1を配置し、例えばそれらの容量素子C1の容量変化量の平均値や合計値等の統計値を用いることにより、キー入力の検出精度を向上させることができる。本実施形態では、1つのキー領域10aに設けられるノードの数は、キーの種類やキーの配置等を考慮して適宜設定されてよい。例えば、入力される頻度がより高いキーや、配置位置の観点から検出精度が低くなる可能性があるキー(例えば面内で比較的端に位置するキー)等には、より多くのノードを設けることにより、キー入力の検出精度をより向上させることができる。
また、図4に示す例では、簡単のため、電極線210及び電極線220が略直線形状であり、容量素子C1を構成する電極に対応する部分の形状が略四角形である場合について図示しているが、本実施形態はかかる例に限定されない。例えば、電極線210及び電極線220は、容量素子C1が設けられる部位に、円環状、菱形状等の所定の形状を有する所定の面積の電極部を有してもよく、当該電極部がX軸方向又はY軸方向に連なった形状であってもよい。電極線210及び電極線220の形状を適宜設定し、電極部の形状を調整することにより、例えば、デルタ値の検出精度を向上させることが可能となる。
図5に、入力装置1におけるキー配置と容量素子C1との位置関係を示す。図5は、入力装置1におけるキー配置と容量素子C1との位置関係を示す概略図である。図5では、入力装置1の上面図の一部に、容量素子C1を重ね合わせて図示している。
図5に示す例では、容量素子C1は、図4に例示したような単純な形状ではなく、放射状に広がった配線形状からなる電極部を有している。また、例えば図中で破線で囲ったキー領域10aには、4つの容量素子C1が設けられている。つまり、破線で囲ったキー領域10aは4つのノードを有しており、当該キー領域からは、各ノードに対応した4つのデルタ値が検出されることとなる。
以上、本実施形態に係る入力装置1の概略構成について説明した。以上説明したように、入力装置1は、シールド層40と、第2の支持体60と、電極基板20と、第1の支持体30と、操作部材10と、が積層されて構成される。また、電極基板20内に形成される2層の配線層によって構成される容量素子C1の容量変化量を用いて、キー入力の検出が行われ得る。このように、入力装置1は、比較的簡易な構成によってキー入力を検出することができる。よって、入力装置1をより薄型化、軽量化することが可能となる。
ここで、静電型のタッチパネルを用いた既存のキーボードでは、一般的に、容量素子がタッチパネルの面内に均一に分布して配置されている。従って、必ずしもキーの配置と容量素子の配置とが対応していない。一方、入力装置1は、電極線210及び電極線220の形状を適宜設定することが可能であり、容量素子の数や配置を、キー配置に応じて調整することができる。このように、入力装置1では、キー入力の検出精度を高めるために最適なキー構造及び信号処理を、キーごとに設定することが可能となる。また、上述した、容量素子がタッチパネルの面内に均一に分布して配置されるタッチパネルを用いた既存のキーボードに比べて、必要な数だけ容量素子を形成すればよく、電極の本数を削減することができるため、入力キーを検出する際の信号処理における負荷を低減することができ、当該信号処理を行うプロセッサ(後述するコントローラIC110やメインMCU120)として、より安価なものを用いることが可能となる。
なお、本実施形態に係る入力装置1としては、例えば、本願出願人による先行出願である国際公開第2013/132736号を参照することができる。
(2.本開示に至る背景)
ここで、本実施形態に係る入力装置1における容量素子C1の静電容量の温度依存性について本発明者らが検討した結果について説明するとともに、本発明者らが本開示に想到した背景について説明する。本発明者らは、以上説明した入力装置1における容量素子C1について、その温度特性を調べる実験を行った。
当該実験の結果を図6及び図7に示す。図6及び図7は、本実施形態に係る入力装置1における容量素子C1の温度特性を示すグラフ図である。図6では横軸に入力装置1の使用環境の温度を取り、縦軸に入力装置1におけるあるキー領域10aに対応するノードのBase Signal値を取り、両者の関係をプロットしている。図6では、一例として、「K」、「S」、「X」、「Y」及び「N」のキーについての結果を図示している。なお、図6及び後述するグラフ図において、縦軸又は横軸の単位として用いている「CNT」は、デルタ値やBase Signal値等の容量素子C1の静電容量に関する値を、後述する図8に示すコントローラIC110におけるカウント値(CNT)に換算したものに対応している。例えば、本実施形態では、下記数式(1)に従って、容量素子C1の静電容量(例えばBase Signal値)をカウント値に換算している。
Figure 2015194948
ここで、αはコントローラIC110の性能や電源電圧等によって定まる係数であり、βは容量素子C1の静電容量が0(pF)であるときの仮想的なカウント値として設定される定数である。なお、上記数式(1)は、容量素子C1の静電容量をプロセッサ内で扱われる値に換算する際の一例であり、容量素子C1の静電容量は、プロセッサの性能等に応じて適宜変換されて扱われてよい。
図7では横軸に時間を取り、縦軸に入力装置1におけるあるキー領域10aに対応するノードにおいて検出されたデルタ値を取り、両者の関係をプロットしている。図7では、一例として、「J」のキーについての結果を図示している。また、図7では、指によるキー領域10aへの操作入力を想定し、所定の第1の時刻において指を模した冶具を用いて所定の荷重(例えば50(gF))でキー領域10aの押圧を開始した後、所定の第2の時刻で当該冶具をキー領域10aから離す操作を行い、その間の、押圧したキー領域10aに対応するノードのデルタ値の時間変化を図示している。第1の時刻は、各グラフにおいてデルタ値が急峻に増加している時刻に対応し、第2の時刻は、各グラフにおいてデルタ値が急峻に減少している時刻に対応している。なお、図7及び後述するグラフ図においては、デルタ値を、所定の基準値を用いて正規化した任意単位(a.u.:arbitrary unit)として図示している場合がある。
なお、図6及び図7、並びに、後述する図15、図16、図20、図21及び図22に示すグラフ図においては、入力装置1内の所定のキー(例えば「J」のキー)に含まれる複数のノードにおけるデルタ値及びBase Signal値のうち、当該キー内の所定の位置に配設されているある1つのノードにおけるデルタ値及びBase Signal値を、当該キーでのデルタ値及びBase Signal値の代表値としてプロットしている。
図6を参照すると、入力装置1においては、温度が低くなるにつれて容量素子C1のBase Signal値が低下することが分かる。図6に示す例では、例えば常温である25度から−5度まで温度が低下した場合には、Base Signal値は約10(%)低下している。Base Signal値が低下することにより、キー領域10aを押圧した際の容量素子C1の静電容量とBase Signal値との差分として定義されるデルタ値も小さくなることが想定される。
一方、図7を参照すると、入力装置1においては、温度が低くなるにつれて、同一の荷重でキー領域10aを押圧した場合であっても、検出されるデルタ値が低下することが分かる。図7に示す例では、例えば常温である25度から−5度まで温度が低下した場合には、デルタ値は約33(%)低下している。また、図7に示すように、温度が高い場合(例えば25度や45度の場合)には、キーを押圧した直後(第1の時刻)にデルタ値が急峻に増加し、キーを押圧している最中(第1の時刻から第2の時刻の間)におけるデルタ値はほぼ一定であるのに対して、温度が低い場合(例えば5度や−5度の場合)には、キーを押圧している最中(第1の時刻から第2の時刻の間)に、デルタ値が徐々に増加する様子が観察された。
以上、図6及び図7に示す結果から、入力装置1においては、例えばデルタ値と所定のしきい値とを比較することによりキーの入力状態が判定される場合であれば、使用環境の温度の変化に応じて、キー入力の検出され易さが変化し得ることが分かった。例えば、常温(25度)で使用されることを想定して調整されたしきい値を用いてキーの入力状態が判定された場合には、温度が低い場合にはキーの入力が検出され難くなり、温度が高い場合にはキーの入力が検出され易くなる。従って、入力装置1では、使用環境の温度によって、ユーザの打鍵感(操作感)が変化する可能性がある。
本発明者らは、入力装置1においてデルタ値が温度依存性を有する原因について考察した。まず、図6に示すような容量素子C1のBase Signal値の変化は、容量素子C1において電極線210と電極線220との間に配設される絶縁膜層(図2に示す第1の配線基板21や接着基板51)の誘電特性が、温度に応じて変化することによって生じ得ると考えられる。以下では、このような、容量素子C1の電気的なパラメータの温度特性に起因するデルタ値の温度特性のことを、便宜的に、電気的要因によるデルタ値の温度特性とも呼称する。
一方、図3に示すように、本実施形態に係る入力装置1では、指によるキー領域10aの押圧量が、容量素子C1の静電容量変化として検出され得る。従って、温度に応じて入力装置1を構成する各部材の弾性特性が変化することでも、デルタ値の温度特性は影響を受けると考えられる。本発明者らによる解析の結果、例えば接着層50に用いられている接着剤層52、53には、温度が低くなるほどその硬度が高くなる(すなわち、弾性率が低くなる)傾向があることが分かった。以下では、このような、容量素子C1の構造的なパラメータの温度特性に起因するデルタ値の温度特性のことを、便宜的に、構造的要因によるデルタ値の温度特性とも呼称する。図7に示す結果は、電気的要因によるデルタ値の温度特性と、構造的要因によるデルタ値の温度特性とが、ともに現れているものであると言える。
このように、入力装置1におけるデルタ値の温度特性は、電気的要因と構造的要因とが交じり合った複雑なものとなり得る。ここで、上述した特許文献1に記載の技術は、静電型のタッチパネルにおいて、静電容量センサのインピーダンスの温度特性を事前に把握しておき、当該温度特性を利用して当該静電容量センサの静電容量を補正するものである。しかしながら、特許文献1に記載の技術では、高温時における、静電容量センサの電極間に設けられるエラストマー(誘電膜)の熱膨張による静電容量の変化を補正することしか想定されていない。上述したような構造的要因による静電容量の温度特性は、キー領域10aに対する押圧量が検出されるという、本実施形態に係る入力装置1の構成を有するからこそ生じ得るものであるため、例えば特許文献1に記載の技術を、そのまま入力装置1を用いた入力検出システムに適用したとしても、高精度なキー入力の検出は実現できない可能性がある。
また、本実施形態に係る入力装置1のように、タッチパネルがキーボードして用いられる場合には、単純に温度特性に応じてデルタ値の補正を行うだけでは十分ではなく、キーボードとしてのユーザの操作性まで考慮してデルタ値の補正を行うことが求められる。例えば、補正を行った結果、キー入力の検出の感度が高くなり過ぎてしまった場合には、指のキー領域10aに対する僅かな接触も検出されてしまい、かえって操作性が低下する恐れがある。特許文献1に記載の技術では、このような、ユーザによる操作性まで考慮した温度補償については記載されていなかった。
以上説明したように、入力装置1においては、ユーザによる操作性まで考慮して、デルタ値の温度補償を行うことが求められていた。本発明者らは、以上の観点から入力装置1における温度補償について鋭意検討した結果、以下に説明する実施形態に想到した。以下では、本実施形態に係る入力検出システムについて、特に、当該入力検出システムにおいて実行される温度補償処理について詳しく説明する。なお、以下の説明では、一例として、入力装置1のノードから検出されたデルタ値に対して温度補償を行う場合について説明する。ただし、本実施形態はかかる例に限定されず、デルタ値を含むあらゆる操作入力値に対して温度補償が行われてよい。例えば、デルタ値を他の操作入力値(例えば微分デルタ値や正規化デルタ値等)に換算した後に、当該他の操作入力値に対して温度に応じた補正が行われてもよい。温度補償は、キーの入力状態を判定する処理が行われるまでに、当該入力状態を判定する際に用いられる操作入力値に対して行われていればよいため、判定に用いられる操作入力値が取得される(算出される)までのどの段階で温度補償が行われても、同様の効果を得ることができる。以下の説明において温度補償の対象としている「デルタ値」は、他の操作入力値に適宜読み替えることが可能である。
(3.入力検出システムの構成)
本実施形態に係る入力検出システムの構成について説明する。本実施形態に係る入力検出システムでは、入力装置1の各ノードで検出されたデルタ値に対して、使用環境の温度に応じた温度補償処理が施される。そして、当該デルタ値が検出されたノードに対応するキーが特定され、温度補償が行われたデルタ値に基づいて、特定されたキーに対する入力状態の判定処理が行われる。キーに対する入力状態の判定結果に基づいて、入力装置1が接続される接続装置に、当該キーに対応付けられた情報の入力が行われることとなる。
(3−1.ハードウェア構成)
まず、図8を参照して、本実施形態に係る入力検出システムのハードウェア構成について説明する。図8は、本実施形態に係る入力検出システムのハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
図8を参照すると、本実施形態に係る入力検出システム2は、入力装置1と、コントローラIC(Integrated Circuit)110と、メインMCU(Microcontroller)120と、インターフェースIC130と、コネクタ140と、で構成される。なお、入力装置1の構成については、上記(1.入力装置の構成)で説明しているため、ここでは詳細な説明は省略する。
コントローラIC110は、入力装置1におけるノードごとの静電容量値を検出する機能を有するプロセッサである。操作入力が行われていないノードからはBase Signal値が検出される。一方、操作入力が行われているノードからは、当該操作入力に応じた静電容量値が検出される。コントローラIC110は、操作入力が行われているノードにおいて検出された静電容量値と、当該ノードのBase Signal値とに基づいて、ノードごとのデルタ値を検出することができる。なお、コントローラIC110によって行われる処理は、後述する図9に示す静電容量検出部111によって行われる処理に対応している。
ここで、ノードは、X軸方向に延伸する複数の電極線220と、Y軸方向に延伸する複数の電極線210と、の交差領域に対応しているため、X及びYのアドレスによって表現され得る。コントローラIC110は、各ノードでのデルタ値を、当該ノードのアドレスと対応付けて検出することができる。コントローラIC110は、各ノードで検出されたデルタ値についての情報を、当該ノードのアドレスについての情報(アドレス情報)と対応付けて、後段のメインMCU120に送信する。ここで、後述するように、本実施形態では、入力装置1に温度検出用のダミーノードが設けられてもよく、当該ダミーノードのBase Signal値に基づいて温度が検出されてもよい。ダミーノードのBase Signal値に基づいて温度が検出される場合には、コントローラIC110は、当該ダミーノードのBase Signal値についての情報を、後段のメインMCU120に送信する。なお、コントローラIC110において実行される各処理は、コントローラIC110(すなわちプロセッサ)が所定のプログラムに従って動作することにより実行され得る。
メインMCU120は、各ノードで検出されたデルタ値に温度補償を施し、温度補償後のデルタ値に基づいて、キーの入力を判定する処理を行う。ここで、メインMCU120が行う処理には、検出されたデルタ値を使用環境の温度に応じて補正する処理(以下、温度補償処理とも呼称する。)、デルタ値が検出されたキーを特定する処理(以下、キー特定処理とも呼称する。)、温度補償後のデルタ値に基づいてキーの入力状態を判定する処理(以下、入力状態判定処理とも呼称する。)、及び、判定された入力状態に基づいて各キーの入力状態を設定する処理(以下、入力状態設定処理とも呼称する。)が含まれる。なお、メインMCU120によって行われるこれらの処理は、後述する図9に示す、温度補償部112、キー特定部113、入力状態判定部114及び入力状態設定部115によって行われる処理にそれぞれ対応している。温度補償処理、キー特定処理、入力状態判定処理及び入力状態設定処理の詳細については、下記(3−2.機能構成)で図9を参照して詳しく説明する。なお、メインMCU120において実行される各処理は、メインMCU120に搭載されるプロセッサが所定のプログラムに従って動作することにより実行され得る。
メインMCU120は、温度補償処理、キー特定処理、入力状態判定処理及び入力状態設定処理を、入力装置1に含まれる各ノードに対して順次行うことにより、温度補償が行われた状態で各キーの入力状態を判定することができる。ここで、キーの入力状態としては、KEY ON状態(以下、単にON状態とも呼称する。)とKEY OFF状態(以下、単にOFF状態とも呼称する。)とが存在し得る。KEY ON状態とは、キーに対する操作入力が有効であると判断されている状態のことを意味する。一方、KEY OFF状態とは、キーに対する操作入力が無効であると判断されている状態のことを意味する。
メインMCU120は、KEY ON状態であると判定されたキーに対応付けられているキーの内容を示す情報を、後段のインターフェースIC130に送信する。このように、KEY ON状態とは、キーに対応付けられている情報が送出され得る状態であるとも言える。ただし、メインMCU120は、全てのキーについての入力状態判定処理の結果を後段のインターフェースIC130に送信してもよく、インターフェースIC130以降のいずれかの構成によって、KEY ON状態であると判定されたキーに対応付けられている情報のみが抽出されてもよい。
インターフェースIC130は、入力装置1と、入力装置1が接続される接続装置との間のインターフェースとなるプロセッサである。例えば、インターフェースIC130には、コネクタ140が接続されており、当該コネクタ140によって入力装置1と接続装置とが接続される。インターフェースIC130は、コネクタ140の種類に応じて、当該コネクタ140の種類に適した方式に信号を変換し、接続装置に、KEY ON状態であると判定されたキーに対応付けられている情報を送信する。例えば、当該接続装置の表示部に、当該キーに対応する文字や記号等が表示されることとなる。インターフェースIC130が行う具体的な処理は、コネクタ140の種類に応じて適宜設定され得る。コネクタ140は、例えばUSB(Universal Serial Bus)形式のコネクタであってよい。
以上、図8を参照して、本実施形態に係る入力検出システム2のハードウェア構成について説明した。次に、図8に示す入力検出システム2に対応する機能構成について説明する。
(3−2.機能構成)
図9を参照して、本実施形態に係る入力検出システム2の機能構成について説明する。図9は、本実施形態に係る入力検出システム2の機能構成の一例を示す機能ブロック図である。なお、図9に示す機能構成は、図8に示す入力検出システム2のハードウェア構成に対応するものである。ここで、本実施形態では、インターフェースIC130及びコネクタ140としては、キーボードを情報処理装置に接続する際に一般的に用いられている、各種の公知のものが用いられてよい。従って、図9では、図8に示す構成の中でも、コントローラIC110及びメインMCU120によって実行される機能について主に図示している。
図9を参照すると、本実施形態に係る入力検出システム2は、その機能として、静電容量検出部111と、温度補償部112と、キー特定部113と、入力状態判定部114と、入力状態設定部115と、を備える。なお、図9では、便宜的に、これらの各機能が、制御部150(本開示の情報処理装置に対応する。)において実行され得るように図示しているが、実際には、制御部150は、コントローラIC110及びメインMCU120に対応するプロセッサによって構成され得る。つまり、図9において制御部150が有する各機能は、コントローラIC110及びメインMCU120に対応するプロセッサが、所定のプログラムに従って駆動することにより実現され得る。例えば、静電容量検出部111に対応する機能がコントローラIC110によって実行され、その他の機能(温度補償部112、キー特定部113、入力状態判定部114及び入力状態設定部115)はメインMCU120に搭載されるプロセッサによって実行され得る。ただし、本実施形態はかかる例に限定されず、図9に示す各機能は、コントローラIC110及びメインMCU120のいずれのプロセッサによって実行されてもよいし、図示しない他の処理回路において実行されてもよい。
静電容量検出部111は、入力装置1の各ノードにおける静電容量を検出する。例えば、静電容量検出部111は、各ノードでの静電容量を、所定のサンプリングレートで順次検出する。操作入力が行われていないノードからはBase Signal値が検出され、操作入力が行われているノードからは、当該操作入力でのキー領域10aの押圧量に応じた静電容量値が検出されることとなる。静電容量検出部111は、操作入力が行われているノードにおいて検出された静電容量値と、当該ノードのBase Signal値とに基づいて、ノードごとのデルタ値を検出することができる。静電容量検出部111は、各ノードでのデルタ値を、当該ノードのアドレスと対応付けて検出する。静電容量検出部111は、検出したデルタ値についての情報を、後述する温度補償部112のデルタ値補正部123に提供する。また、静電容量検出部111は、検出したデルタ値に対応するノードのアドレス情報をキー特定部113に提供する。また、入力装置1に設けられるダミーノードでのBase Signal値に基づいて温度が検出される場合には、静電容量検出部111は、当該ダミーノードのBase Signal値についての情報を、後述する温度補償部112の温度検出部121に提供する。
キー特定部113は、ノードのアドレス情報に基づいて、デルタ値が検出されたノードに対応するキーを特定する。キー特定部113によって実行される処理は、上述したキー特定処理に対応している。例えば、本実施形態に係る入力検出システム2には、各種の情報を記憶可能な記憶装置(図示せず。)が設けられてもよく、当該記憶装置に、入力装置1におけるノードのアドレスとキー配置との位置関係が記憶されていてよい。キー特定部113は、当該記憶装置を参照することにより、ノードのアドレスとキー配置との位置関係に基づいて、デルタ値が検出されたノードに対応するキーを特定することができる。なお、当該記憶装置は、メインMCU120に搭載されるメモリ等であってもよいし、メインMCU120とは別途の構成として設けられてもよい。また、当該記憶装置の種類は限定されず、例えば、HDD(Hard Disk Drive)等の磁気記憶部デバイス、半導体記憶デバイス、光記憶デバイス又は光磁気記憶デバイス等であってよい。キー特定部113は、特定したキーについての情報を入力状態判定部114及び後述する温度補償部112の補正量決定部122に提供する。
温度補償部112は、入力装置1の使用環境の温度(周辺温度)に基づいて、検出されたデルタ値を補正する。温度補償部112によって実行される処理は、上述した温度補償処理に対応している。具体的には、温度補償部112の機能は、温度検出部121と、補正量決定部122と、デルタ値補正部123と、に大別される。
温度検出部121は、入力装置1に設けられる温度検出素子の出力値に基づいて、入力装置1の周辺温度を検出する。ここで、温度検出素子としては、温度検出用に設けられるダミーノードや、サーミスタ素子が搭載された温度検出用IC等が利用され得る。例えば、温度検出部121は、静電容量検出部111から提供されたダミーノードのBase Signal値に基づいて、入力装置1の周辺温度を検出することができる。
補正量決定部122は、検出された温度に基づいて、デルタ値に対する補正量を決定する。ここで、補正量は、例えば類似する荷重感度特性を有するノードからなるグループごとに異なる値が設定され得る。補正量決定部122は、キー特定部113から提供された、特定されたキーについての情報に基づいて、当該キーに対応するノードに応じた補正量を決定することができる。なお、以下の説明では、補正量の一例として、補正量決定部122が、デルタ値に対する補正倍率(すなわち、検出された現在のデルタ値に対する補正後に得たいと考えているデルタ値の比率)を決定する場合について説明する。ただし、本実施形態はかかる例に限定されず、例えば、検出された現在のデルタ値と補正後に得たいと考えているデルタ値との差分等、他の値が補正量として用いられてもよい。また、デルタ値以外の他の操作入力値を補正の対象とする場合には、補正量決定部122は、当該他の操作入力値に応じた補正量を決定してもよい。
デルタ値補正部123(本開示での操作入力値補正部に対応する。)は、決定された補正倍率を用いて、静電容量検出部111によって検出されたデルタ値を補正する。例えば、デルタ値補正部123は、補正量決定部122によって決定された補正倍率を、静電容量検出部111によって検出されたデルタ値に乗じることにより、デルタ値を補正することができる。デルタ値補正部123によって補正されたデルタ値は、温度依存性が考慮された、すなわち、温度補償が行われたデルタ値となる。デルタ値補正部123は、補正後のデルタ値を入力状態判定部114に提供する。なお、デルタ値以外の他の操作入力値を補正の対象とする場合には、例えば、静電容量検出部111によって検出されたデルタ値が他の操作入力値に変換された後に、補正量決定部122によって決定された当該他の操作入力値に応じた補正量を用いて、当該他の操作入力値を補正してもよい。
なお、温度補償部112における各機能(温度検出部121、補正量決定部122及びデルタ値補正部123)の詳細については、下記(4.温度検出処理)及び(5.補正倍率決定処理)で改めて詳しく説明する。
入力状態判定部114は、各ノードで検出され、温度補償が施されたデルタ値に基づいて、当該ノードに対応するキーの入力状態を判定する。入力状態の判定では、温度補償が施されたデルタ値に基づいて、各キーの入力状態がKEY ON状態であるかどうかが判断され得る。入力状態判定部114によって実行される処理は、上述した入力状態判定処理に対応している。
入力状態判定処理では、各ノードにおける操作入力値に基づいてキーの入力状態が判定され得る。操作入力値としては、例えば、デルタ値、デルタ値の微分値である微分デルタ値、及び/又は、デルタ値を正規化した値である正規化デルタ値等が用いられ得る。また、1つのキーに対して複数のノードが設けられている場合には、デルタ値、微分デルタ値及び/又は正規化デルタ値等の値の合計値や平均値等の統計値に基づいて、入力状態判定処理が行われてもよい。ここで、微分デルタ値は、検出されたデルタ値そのもの(すなわち生データ又は適宜増幅等されたもの)を微分したものであってもよいし、正規化デルタ値を微分したものであってもよい。本明細書において、「微分デルタ値」とは、デルタ値の微分値又は正規化デルタ値の微分値を意味していてよい。
具体的には、入力状態判定処理では、操作入力値が予め設定された条件(入力状態判定条件)を満たすかどうかが判断される。操作入力値が入力状態判定条件を満たした場合には、当該操作入力値が検出された(算出された)ノードに対応するキーの入力状態がKEY ON状態であると判定される。一方、操作入力値が入力状態判定条件を満たしていない場合には、当該操作入力値が検出された(算出された)ノードに対応するキーの入力状態がKEY OFF状態であると判定される。なお、入力状態判定条件は、キーごとに設定され得る。入力状態判定部114は、キー特定部113によって特定されたキーについての情報に基づいて、特定されたキーに対して設定されている入力状態判定条件を用いて入力状態判定処理を行うことができる。例えば、上述した記憶装置に、各キーに対して設定された入力状態判定条件が記憶されており、入力状態判定部114は、当該記憶装置を参照することにより、キーごとに設定された入力状態判定条件についての情報を取得し、入力状態判定処理を実行することができる。
例えば、入力状態判定部114は、操作入力値を所定のしきい値と比較することにより入力状態を判定する。具体的には、入力状態判定部114は、操作入力値が当該しきい値よりも大きい場合に、当該ノードに対応するキーの入力状態が、KEY ON状態であると判定する。また、入力状態判定部114は、操作入力値が当該しきい値以下である場合に、当該ノードに対応するキーの入力状態が、KEY OFF状態であると判定する。
なお、KEY ON状態を判定するためのしきい値と、KEY OFF状態を判定するためのしきい値とは、同一の値であってもよいし、互いに異なる値であってもよい。KEY ON状態を判定するためのしきい値及びKEY OFF状態を判定するためのしきい値として、互いに異なる値を用いる場合には、いわゆるチャタリングを防止することができ、操作性を向上させることができる。
また、入力状態判定部114は、キーごとに入力状態を判定するが、例えば1つのキーに複数のノードが対応付けられている場合には、当該キーに含まれるいずれか1つのノードにおける操作入力値が入力状態判定条件を満たすことにより入力状態が判定されてもよいし(すなわち、「OR」による判定)、当該キーに含まれる全てのノードにおける操作入力値が条件を満たすことにより入力状態が判定されてもよい(すなわち、「AND」による判定)。入力状態判定条件は、キーごとに任意に設定可能である。例えば、あるキーでは、上述した「OR」による判定によって入力状態が判定されてもよいし、他のキーでは、上述した「AND」による判定によって入力状態が判定されてもよい。また、操作入力値と比較されるしきい値も、キーごとに異なる値であってもよい。各キーにおける入力状態判定条件は、例えばキーが使用される頻度や、キーの配置位置に基づく検出精度等を考慮して、適宜設定されてよい。
ここで、本明細書では、操作入力値としきい値との大小関係を説明するために、「以下」や「よりも大きい」等の表現を用いているが、これらの表現はあくまで例示であって、操作入力値としきい値とを比較する際の境界条件を限定するものではない。本実施形態では、操作入力値が当該しきい値と等しい場合に、その大小関係をどのように判断するかは任意に設定可能であってよい。本明細書における「以下」との表現は「よりも小さい」との表現と互いに読み替えることが可能であるし、「よりも大きい」との表現は「以上」との表現と互いに読み替えることが可能である。
なお、入力状態判定部114において行われる入力状態判定処理は、上述した例に限定されず、入力状態判定部114においては、一般的にタッチパネル式のキーボードの技術分野において用いられている、各種の公知の入力状態判定処理が行われてよい。
入力状態判定部114は、キーごとの入力状態の判定結果についての情報を入力状態設定部115に提供する。
入力状態設定部115は、入力状態判定部114による入力状態の判定結果に基づいて、各キーの入力状態を設定する。入力状態設定部115は、入力状態の判定結果に応じて、各キーの入力状態を、KEY ON状態又はKEY OFF状態に設定する。また、入力状態設定部115は、KEY ON状態を設定したキーに対応付けられているキーの内容を示す情報を、インターフェースIC140を介して、接続装置に送信する。接続装置では、送信されたキーについての情報が入力値として受け入れられる。なお、入力状態設定部115は、全てのキーについての入力状態判定処理の結果を後段のインターフェースIC130に送信してもよく、インターフェースIC130以降のいずれかの構成(例えば接続装置)によって、KEY ON状態であると判定されたキーに対応付けられている情報のみが抽出されてもよい。
以上、図9を参照して、本実施形態に係る入力検出システムの機能構成について説明した。なお、以上説明したような本実施形態に係る入力検出システム2の各機能を実現するためのコンピュータプログラムを作製し、パーソナルコンピュータ等に実装することが可能である。また、このようなコンピュータプログラムが格納された、コンピュータで読み取り可能な記録媒体も提供することができる。記録媒体は、例えば、磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、フラッシュメモリなどである。また、上記のコンピュータプログラムは、記録媒体を用いずに、例えばネットワークを介して配信してもよい。
(4.温度検出処理)
以下、(4.温度検出処理)及び(5.補正倍率決定処理)では、図9に示す温度補償部112が有する各機能について詳しく説明する。まずは、上述した温度検出部121の機能について説明する。
(4−1.ダミーノードを用いた温度検出処理)
図6を参照して説明したように、入力装置1の各ノードにおけるBase Signal値は温度依存性を有する。従って、当該温度依存性を利用すれば、逆に、各ノードでのBase Signal値を検出することにより、周辺温度を測定することが可能となる。
ただし、キー領域10aに配設されたノード(すなわち、実際に打鍵が行われる領域に配設されるノード)を用いて温度を検出しようとすると、例えば操作入力時のユーザの指との接触によりキー領域10a及びノードの温度が上昇してしまい、正確な周辺温度が検出されない可能性がある。実際に、本発明者らによる検討の結果、ノードの配設位置に対応する操作部材10上の領域に所定の時間手を載せた場合、当該ノードでのBase Signal値から検出される温度と、実際の周辺温度との間には、有意な差が生じることが分かった。そこで、本実施形態では、温度検出用にキー領域10aとは異なる領域に設けられるダミーノード(すなわち、温度検出用容量素子)を、入力装置1内でユーザの手が触れにくいと考えられる領域に配設し、当該ダミーノードでのBase Signal値に基づいて温度を検出する。
まず、図10を参照して、ダミーノードの構成について説明する。図10は、温度検出用に用いられるダミーノードの一構成例を示す概略断面図である。なお、図10は、上述した図2と同様に入力装置1のX−Z平面での断面の様子を示しており、ダミーノードに対応する領域の断面の様子を概略的に示している。
図10を参照すると、ダミーノード領域10dは、図2に示すキー領域10aに対して、第1の支持体30によって形成されていた空間33と、第2の支持体60によって形成されていた空間62と、が他の層によって埋め込まれた構造を有する。このように、ダミーノード領域10dでは、本来打鍵時に押圧され変形し得る領域(すなわち空間33、62)が存在しないため、例えば何らかの原因によってダミーノード領域10dが変形することによるノードのBase Signal値の変化が生じ難くなり、温度検出時のロバスト性を高めることができる。ダミーノード領域10d内に存在する容量素子C1の各々がダミーノードとして機能し、当該容量素子C1のBase Signal値に基づいて、温度が検出されることとなる。なお、図10に示すダミーノード領域10dを構成する各層は、図2に示すキー領域10aを構成する各層と同様であるため、ここでは詳細な説明は省略する。
ここで、ダミーノード間での温度特性のばらつきが大きい場合には、ダミーノードを用いた温度検出において十分な精度が得られない可能性がある。本発明者らは、複数のダミーノードについて、そのBase Signal値の温度依存性を測定し、ばらつきを調べる実験を行った。ダミーノードの温度特性について調べた結果を図11及び図12に示す。図11及び図12は、ダミーノードの温度特性を示すグラフ図である。図11では、横軸に周辺温度を取り、縦軸にダミーノードのBase Signal値を取り、両者の関係をプロットしている。図12では、横軸に同じく周辺温度を取り、縦軸に、ダミーノードのBase Signal値の、常温(25(度))でのBase Signal値との差分値を取り、両者の関係をプロットしている。
図11を参照すると、同じ温度で比較した場合、Base Signal値は、ダミーノード間でばらつきを有していることが分かる。しかしながら、図12に示すように、基準となる温度を設定し(図12に示す例では25(度))、当該基準温度に対するBase Signal値の差分を見てみると、Base Signal値の温度依存性は、各ダミーノードにおいてほぼ同様の特性を有することが分かった。図11及び図12では、図面が煩雑になることを防ぐために、5つのダミーノードについての結果だけを図示しているが、より多くのダミーノードについて同様にBase Signal値の温度依存性を測定した結果、実験に用いた入力装置1では、ダミーノードによって約6(度)(±3(度))の分解能で温度を検出可能であることが分かった。参考までに、一般的に市販されている温度検出用IC(サーミスタ素子によって温度を検出するもの)としては、その仕様が、例えばBグレードのもので分解能が±3.0(度)、Cグレードのもので分解能が±4.0(度)のものが存在し得る。このように、実験に用いた入力装置1のダミーノードは、市販の温度検出用ICと同等の性能を有する温度センサとして機能し得ることが分かった。
ここで、上述したように、ダミーノードは、できるだけユーザの手が触れない部位に配設されることが望ましい。図13を参照して、本実施形態における、入力装置1でのダミーノードの一配置例について説明する。図13は、入力装置1でのダミーノードの一配置例を示す概略図である。
図13に示すように、本実施形態に係る入力装置1は、筐体170に組み込まれて使用され得る。筐体170内には、入力装置1のほかに、入力装置1によるキーの入力を検出するためのCPU(Central Processing Unit)やGPU(Graphics Processing Unit)等のプロセッサ172(図8に示すコントローラIC110や、メインMCU120のプロセッサに対応)及びプロセッサ172に対して電力を供給するバッテリ171等の構成部材が格納され得る。
図13では、入力装置1においてダミーノード領域10dが好適に設けられる位置の一例を図示している。例えば、ダミーノード領域10dは、入力装置1上において、通常使用時にユーザが手を載せないと考えられる、向かって奥側の端に対応する領域等に好適に配設され得る。また、ダミーノード領域10dは、例えばバッテリ171やプロセッサ172のような発熱の可能性のある素子から十分離れた領域(すなわち、他の素子の発熱の影響を受けない領域)に配設されることが好ましい。
また、図13に示すように、入力装置1内に複数のダミーノード領域10dが配置される場合には、複数のダミーノードでのBase Signal値を用いて温度を検出することにより、温度検出時のロバスト性をより高めることができる。例えば、複数のダミーノードで各々検出されたBase Signal値の平均値に基づいて温度が検出されてもよい。
また、例えば、複数のダミーノードでのBase Signal値の中から異常と思われるものを除外し、残りのBase Signal値の統計値に基づいて温度が検出されてもよい。具体的には、例えばダミーノードが3つ存在する場合であれば、これら3つのダミーノードのうちの2つのダミーノードのBase Signal値の差分値を計算する処理を、全てのダミーノードの組み合わせについて実行する。算出された全ての差分値が所定のしきい値以下であれば、3つのBase Signal値はいずれも妥当であると考えられるため、これら3つのBase Signal値の統計値に基づいて温度を検出する。一方、3つのBase Signal値のうちの1つ(Sig1とする)と、他の2つのBase Signal値との差分値が所定のしきい値よりも大きい場合には、例えばSig1が検出されたダミーノードが手等によって温められている可能性があり、Sig1は異常値であると考えられるため、Sig1を除外した他の2つのBase Signal値の統計値に基づいて温度を検出する。更に、全ての差分値が所定のしきい値よりも大きい場合には、どのBase Signal値が異常値であるか判断できないため、例えば温度検出処理を中断し、所定の時間が経過した後に温度検出処理を再開することが好ましい。この場合には、例えば前回の温度検出処理において検出された温度がそのまま用いられてよい。
本実施形態では、例えば図9に示す温度検出部121が、以上説明した処理を行うことにより、ダミーノードでのBase Signal値に基づいて温度を検出することができる。例えば、入力検出システム2に設けられる記憶装置(図9には図示せず。)に、図12に示すようなダミーノードにおけるBase Signal値の温度依存性についての情報がテーブル等の形式で予め格納されている。また、当該記憶装置には、各ダミーノードにおける常温(例えば25(度))時のBase Signal値についての情報が格納されている。温度検出部121は、当該記憶装置を参照し、例えばダミーノードにおいて検出されたBase Signal値と常温時のBase Signal値との差分を計算し、上記テーブルと照合することにより、温度を検出することができる。
なお、温度検出部121は、ダミーノードにおいて検出されたBase Signal値と常温時のBase Signal値との差分を計算するだけであってもよく、当該差分を実際の周辺温度に換算する処理までは行わなくてもよい。図12に示す関係性から、常温とのBase Signal値の差分値と、周辺温度とは、1対1に対応する関係であるため、常温とのBase Signal値の差分値を算出した段階で、実質的には温度を検出していることになるからである。このように、常温とのBase Signal値の差分値は周辺温度を表す指標となる値であるため、本実施形態では、温度検出部121による温度の検出処理とは、常温とのBase Signal値の差分値を算出する処理を意味していてもよい。後述するが、後段の補正量決定部122では、周辺温度と、当該周辺温度に応じた補正量との関係を示すテーブルを参照して、周辺温度に応じた補正量が決定されることとなる。当該テーブルにおいても、実際の周辺温度と補正量との関係が示されていてもよいし、常温とのBase Signal値の差分値と補正量との関係が示されていてもよい。温度検出部121は、補正量決定部122によって行われる補正量の決定処理において用いられる形式で、温度を検出することができる。
以上、ダミーノードを用いた温度検出処理について説明した。以上説明したように、本実施形態に係る温度検出処理では、入力装置1に温度検出用のダミーノードが設けられ、当該ダミーノードでのBase Signal値に基づいて温度が検出される。ダミーノードとしては、例えば入力装置1における余剰なノード(冗長なノード)を利用することができるため、入力装置1の製造コストの増加を抑えることができる。また、ダミーノードの配設位置を工夫したり、複数のダミーノードでのBase Signal値を利用したりすることにより、温度検出の精度をより高めることができる。
(4−2.温度検出用ICを用いた温度検出処理)
以上説明した実施形態では、ダミーノードを用いて温度を検出していたが、本実施形態はかかる例に限定されない。本実施形態では、サーミスタ素子等の温度検出用の素子が搭載された温度検出用ICを用いて温度が検出されてもよい。
図14を参照して、温度検出用ICを用いて温度を検出する変形例における、入力検出システムの機能構成について説明する。図14は、温度検出用ICを用いて温度を検出する変形例における、入力検出システムの機能構成の一例を示す機能ブロック図である。
図14を参照すると、本変形例に係る入力検出システム3は、その機能として、静電容量検出部111と、温度補償部112aと、キー特定部113と、入力状態判定部114と、入力状態設定部115と、を備える。ここで、図14に示す入力検出システム3は、温度補償部112aの温度検出部121aの機能が異なること以外は、図9に示す入力検出システム2と同様の機能構成を有していてよい。従って、ここでは、入力検出システム2との相違点である、温度検出部121aの機能について主に説明する。なお、図14において、便宜的に、制御部150a(本開示の情報処理装置に対応する。)において実行され得るように図示している各機能は、入力検出システム2と同様に、例えば図8に示すコントローラIC110及びメインMCU120に対応するプロセッサが所定のプログラムに従って駆動することにより実現され得る。
図14を参照すると、本変形例では、温度検出部121aは、ダミーノードのBase Signal値を静電容量検出部111から取得するのではなく、例えば入力装置1の外表面の所定の部位に取り付けられる温度検出用IC160の出力値を取得する。温度検出用IC160は、例えばサーミスタ素子を有しており、当該サーミスタ素子の電圧値が温度検出部121aに提供される。例えば、入力検出システム3に設けられる記憶装置(図14には図示せず。)に、温度検出用IC160におけるサーミスタ素子の電圧値と温度との関係についての情報が、例えばテーブルや所定の関係式の形式で予め格納されている。温度検出部121aは、当該記憶装置を参照し、サーミスタ素子の電圧値をADC(analog−to−digital Converter)によってデジタル値に変換した後、例えば上記テーブルや所定の関係式等に基づいて温度に変換することにより、温度を検出することができる。
温度検出部121aは、検出した温度についての情報を補正量決定部122に提供する。その他の処理は図9に示す入力検出システム2と同様であるため、詳細な説明は省略する。
以上、温度検出用IC160を用いて温度を検出する変形例について説明した。以上説明したように、本実施形態では、温度を検出するための温度検出素子としては、ダミーノードが用いられてもよいし、温度検出用IC160が用いられてもよい。いずれの場合であっても、検出された温度に基づいて、温度検出部121、121aにおいてデルタ値に対する温度補償処理が行われ得る。なお、上記の例では、温度検出用IC160としてサーミスタ素子を利用するものを用いていたが、本実施形態はかかる例に限定されない。温度検出用IC160としては、他の方式で温度を検出するものが用いられてもよい。温度検出部121aは、温度検出用IC160からの出力値を、当該温度検出用IC160の性能や仕様等に応じて適宜温度に変換することができる。
(5.補正倍率決定処理)
次に、上述した図9に示す補正量決定部122の機能について説明する。なお、ここでは、併せてデルタ値補正部123の機能についても説明する。本実施形態では、後述する図18に示すような、温度に応じたデルタ値に対する補正倍率を示すテーブル(以下、デルタ値補正テーブルとも呼称する。)が、例えば入力装置1ごとに予め設定されている。実際の打鍵時に補正量決定部122が行う処理は、温度検出部121によって検出された温度に基づいて、例えば図18に示すデルタ値補正テーブルを用いて補正倍率を決定する処理となる。ここでは、実際の使用時(打鍵時)に補正量決定部122が行う処理について説明するに先立ち、図18に例示するデルタ値補正テーブルの設定方法、すなわち、各温度に応じた補正倍率の設定方法について説明する。
(5−1.基準条件の決定)
補正倍率を設定する際には、まず、補正の基準となる条件を決定する必要がある。基準条件でのデルタ値が理想的な「あるべきデルタ値」であるため、補正倍率を設定する際には、補正後のデルタ値が基準条件でのデルタ値になるように、補正倍率を設定することが目標となる。
例えば、基準条件での周辺温度を常温である25(度)とする。つまり、補正後のデルタ値が、25(度)でのデルタ値にできるだけ近付くように補正倍率を設定することを考える。この場合、理想的には、例えば、ノードごとにBase Signal値の温度依存性を予め取得し、当該温度依存性に基づいて、ノードごとに、デルタ値が基準温度である25(度)での値になるように、各温度に対する補正倍率が設定されることが望ましい。しかしながら、入力装置1内の全てのノードに対して補正倍率を予め設定し、ノードごとにデルタ値を補正することは、その設定作業に要する工数やプロセッサ(例えば図8に示すメインMCU120のプロセッサ)のリソースの観点から現実的ではない。従って、現実的には、代表となるノード(代表ノード)を選択し、代表ノードについて設定された補正倍率を用いて、他のノードに対してもデルタ値の補正が行われることとなる。そこで、補正倍率を決定するための基準となる代表ノードを決定する必要がある。
また、同一のノードにおいても、当該ノードに対応するキーへの荷重の負荷状況に応じて、デルタ値の検出のされ方(例えばデルタ値の大きさや荷重の負荷中におけるデルタ値の時間変化)等は異なる。従って、ある温度で検出されたデルタ値を常温でのデルタ値に補正するための補正倍率も、キーへの荷重の負荷状況に応じて変化し得る。ここで、デルタ値に影響を与え得る荷重の負荷状況としては、例えば、荷重の値、指とキー領域10aとの接触面の面積(例えば指先(爪)で打つ場合と、指の腹で打つ場合等)、指とキー領域10aとの接触面のキー領域10a内での位置及び荷重負荷中における荷重の時間変化等が考えられる。そこで、補正倍率を決定するための基準となる荷重の負荷状況を決定する必要がある。
更に、ノードの特性によっては、一定の荷重を一定の時間負荷した場合であっても、当該荷重負荷中におけるデルタ値が、略一定値とならず、変動する可能性がある。従って、荷重の負荷状況と合わせて、基準条件でのデルタ値を測定する点(時間)を決定する必要がある。
これら、代表ノード及び荷重の負荷状況について、本実施形態では、例えば以下のように基準条件を決定した。まず、代表ノードについては、荷重感度特性が比較的近い複数のノードによってグループを構成し、グループごとに基準となるノードを1つずつ選択し、代表ノードとした。代表ノードの温度特性から得られる補正倍率が、当該代表ノードが属するグループの補正倍率として設定されることとなる。ここで、荷重感度特性が比較的近いノードとは、例えば、同じ種類のキー(形状やノードの配置が同様であるキー)に設けられるノードであり得る。同じ種類のキーによって構成されるグループの中から代表となるキーが選択され、当該代表となるキーの中から更に選択されたノードが代表ノードであり得る。
次に、荷重の負荷状況については、キー領域10aへの接触面の面積及び位置を略一定にするために、指を模擬した冶具を用いることとした。当該冶具は、例えば、直径約10(mm)の円筒形の部材の周囲に厚さ約3(mm)のウレタン製シートを貼り付けたものであり得る。当該冶具の所定の部位で、キー領域10a内の所定の位置を押圧することを基準とした。
また、基準とする荷重値は50(gF)とし、基準条件でのデルタ値を測定する時間は、一定の荷重を1(sec)間負荷した状態での後半300(ms)間とした。これらの基準は、例えば下記の図15及び上述した図7に示すデルタ値の特性から決定されたものである。図15は、荷重値とデルタ値との関係を示すグラフ図である。図15では、横軸にキー領域10aに対して負荷した荷重値を取り、縦軸に当該キー領域10aに設けられるノードにおけるデルタ値を取り、両者の関係をプロットしている。また、図15では、温度をパラメータとして、互いに異なる温度での特性を図示している。
図15に示すように、実験に用いた入力装置1では、ユーザによる通常使用時に負荷され得る荷重である30(gF)〜50(gF)においてデルタ値が飽和しないように、各ノードの電気的特性及び構造的特性等が調整されている。ユーザは、荷重値の絶対値が大きいほど荷重の変化を感じ易い(すなわち、温度によるキー入力の検出感度の変化を感じ易い)と考えられるため、基準としては、ユーザによる通常使用時に負荷され得る荷重の上限値である50(gF)を採用した。
また、上述した図7に示すように、実験に用いた入力装置1では、一定の荷重値でキー領域10aを押圧しているにもかかわらず、温度が低い場合(例えば5度や−5度の場合)には、キーを押圧している最中(第1の時刻から第2の時刻までの間)にデルタ値が徐々に増加する様子が観察された。これは、温度が低い場合には、荷重の負荷に対するキー領域10aの機械的な変形の応答性が低くなることを意味している。このような低温時での応答性を考慮して、デルタ値が略一定になる、一定の荷重を1(sec)間負荷した状態での後半300(ms)間で測定されるデルタ値を、基準として採用した。
(5−2.逆補正について)
以上説明したように、基準条件を決定することにより、当該基準条件におけるデルタ値の温度依存性を取得し、当該温度依存性を用いて補正倍率を設定することができる。ここで、基準条件において設定された補正倍率(すなわち、理想的な補正倍率)に基づいて、実際に各ノードで検出されたデルタ値に対して補正を行うことを考える。上述したように、基準条件において設定された補正倍率は、代表ノードにおけるデルタ値の温度依存性に基づいて設定されたものであり、当該補正倍率に基づいて補正を行うことにより、各ノードのデルタ値は、理想的には、当該代表ノードにおける常温でのデルタ値に補正されることとなる。
図16に、理想的な補正倍率によって補正されたデルタ値を示す。図16は、荷重負荷中の経過時間と理想的な補正倍率によって補正されたデルタ値との関係を示すグラフ図である。図16は、図7に対応する図であり、図7に示す各時間でのデルタ値に対して、上述した基準条件において取得される理想的な補正倍率で補正を施したものをプロットしている。図16に示すように、理想的な補正倍率を用いることにより、各温度でのデルタ値が、常温(25(度))でのデルタ値と略一致するように補正されていることが分かる。
しかしながら、実際には、補正後のデルタ値が、常温でのデルタ値と完全に一致することは考え難い。何故ならば、各ノードにおけるデルタ値の温度依存性や、荷重の負荷状況、周辺温度の検出等には、少なからずばらつきが存在するからである。例えば、これらのばらつきに起因して、補正後のデルタ値が、代表ノードにおける常温でのデルタ値よりも大きくなってしまう状況が起こり得る。
ここで、キーの入力状態判定処理では、例えば、デルタ値が所定のしきい値と比較され、デルタ値が当該しきい値よりも大きい場合に、当該キーの入力状態がKEY ON状態であると判定される。従って、補正後のデルタ値が、代表ノードにおける常温でのデルタ値よりも大きくなった場合には、当該補正後のデルタ値に基づく入力状態の判定処理では、よりKEY ON状態であると判定されやすくなる、すなわち、キー入力の検出感度がより高くなると考えられる。
しかしながら、例えば、入力装置1では、ユーザがホームポジションに手を載せたり、ユーザが入力装置1の上に手を載せた状態でキーを探ったりする操作(以下、探り操作とも呼称する。)が行われ得る。このような探り操作は、タッチパネルを他の用途に適用した場合には行われない、キーボード特有の操作であると言える。探り操作時にユーザの意図に反してキーの入力が検出されてしまうと、ユーザの操作性を著しく損ねることになる。従って、入力状態判定処理においてデルタ値と比較されるしきい値は、探り操作時のキー入力の誤検出を防止し得るように、キーの検出感度が高くなり過ぎないように設定されている。よって、上記のように、温度補償を行ったことにより入力の検出感度が高くなったキーが存在すると、探り操作時のキーの誤検出が頻発し、ユーザの操作性がかえって低下してしまう事態が生じ得る。本明細書では、基準条件でのデルタ値よりも大きい値にデルタ値が補正されてしまうことを、便宜的に、逆補正と呼称することとする。
そこで、本実施形態では、基準条件において設定された補正倍率に基づいて、逆補正を生じさせないような制約条件の下で、補正倍率の再設定を行う。具体的には、通常使用時に想定され得るどのような荷重負荷状況においても、入力装置1内の全てのノードでの補正後のデルタ値が、基準条件でのデルタ値よりも大きくならないようなマージンを持たせた補正倍率を、最終的な補正倍率として設定する。
図17を参照して、本実施形態における逆補正の防止を考慮した補正倍率の設定方法について説明する。図17は、本実施形態における逆補正を考慮した補正倍率の設定方法について説明するための説明図である。図17では、補正倍率を縦軸に取り、理想的な補正倍率と、逆補正を考慮して設定される最終的な補正倍率との関係を模式的に図示している。
図17に示すように、まず、基準条件に基づいて設定された補正倍率(すなわち、理想的な補正倍率)が設定される。次に、様々なばらつき要素(例えば、周辺温度の検出のばらつきや、キー間のばらつき、入力装置間のばらつき等)を考慮して、逆補正を生じさせないような制約条件(図中の制約条件1)に基づいて、最終的な補正倍率が設定される。
また、最終的な補正倍率を設定する際には、制約条件1以外の他の制約条件が考慮されてもよい。図17では、一例として、キーの戻り時間についての制約条件(制約条件2)と、隣接補償エリア間の補正倍率差についての制約条件(制約条件3)と、を図示している。
制約条件2として挙げているキーの戻り時間についての制約条件とは、キー領域10aを押圧してから、キー領域10aの物理的な変形が元に戻るまでの時間に関する制約条件である。上記(1.入力装置の構成)で説明したように、入力装置1では、操作部材10のキー領域10aの押圧量が、容量素子C1の容量変化量として検出される。従って、例えばキー領域10aから指を離した後であっても、操作部材10が変形している間(操作部材10と電極基板20との距離が短くなっている間)は、ゼロではない所定の大きさのデルタ値が検出され続けることとなる。
一方、入力装置1が接続されるPC等の接続装置に一般的に適用されている各種のOS(Operating System)には、キーボードにおいて同一のキーが押され続けた場合に、当該キーに対応する情報が連続して入力される機能(いわゆる、リピートキー機能)が実装されていることが多い。当該リピートキー機能では、所定の時間、同一のキーの入力状態がKEY ON状態である場合に、当該キーの入力が連続して行われることとなる。リピートキー機能の実行が判定される、KEY ON状態の継続時間は、OSの種類によっても異なるが、例えば、あるOSにおける当該継続時間は、33(ms)に設定されている。上述したように、入力装置1では、キー領域10aから指を離した後も、操作部材10が変形している間は所定の大きさのデルタ値が検出され続ける。従って、操作部材10が元の形状に戻るまで比較的長い時間を要する場合には、リピートキー機能が実行されてしまい、ユーザの意図に反して同一のキーが連続して入力されてしまう可能性がある。
ここで、図7及び図16に示すように、常温よりも低い温度(−5(度)、5(度))で検出されたデルタ値が常温でのデルタ値になるように補正を行う場合には、低い温度で検出されたデルタ値の値が大きくなるように補正が行われることとなるため、例えばキー領域10aへの押圧を止めた時刻である第2の時刻以降のデルタ値も所定の補正倍率で大きくなるように補正が行われることとなる。従って、補正倍率が大きい場合には、第2の時刻以降のデルタ値が必要以上に大きく補正されてしまい、上述したようなリピートキー機能によるキーの誤検出が生じる可能性を高めてしまう。このように、理想的な補正倍率に対する制約条件として、リピートキー機能によるキーの誤検出を生じさせないようなキーの戻り時間が考慮されることが好ましい。具体的には、制約条件2が考慮される場合には、キー領域10aに対する操作入力が終了した時点から所定の時間内における補正後のデルタ値が、所定のしきい値を超えないように、補正倍率が設定される。当該所定の時間とは、リピートキー機能の実行が判定されるKEY ON状態の継続時間であり、当該所定のしきい値とは、デルタ値と比較され、KEY ON状態の判定基準となるしきい値である。
また、制約条件3として挙げている隣接補償エリア間の補正倍率差についての制約条件とは、温度の変化によって補正倍率が大きく変化することによるユーザの操作性の低下を考慮したものである。後述する図18に示すように、本実施形態では、検出された温度に応じて複数の温度補償エリアを設け、温度補償エリアごとに補正倍率が変更される、周辺温度に対して段階的に補正倍率が設定され得る。補正倍率をこのように設定することにより、周辺温度に対して連続的に変化するように補正倍率を設定する場合に比べて、温度補償処理を行うプロセッサ(すなわち、例えば図8に示すメインMCU120)に要求される処理能力を低減することができ、コストを削減することができる。
しかしながら、図18に示すように段階的に補正倍率が設定される場合には、例えば温度が変化して温度補償エリアが変更されると、補正倍率が急激に変化することとなる。従って、補正倍率の変化量によっては、わずかな周辺温度の変化でキー入力の検出感度が急激に大幅に変化することとなり、ユーザビリティに影響を与える可能性がある。従って、理想的な補正倍率に対する制約条件として、このようなキー入力の検出感度の急激な変化を防ぐために、補償エリア間の補正倍率の変化量(補正倍率差)が、所定のしきい値を超えないような条件が考慮されることが好ましい。
本実施形態では、上述したような様々な制約条件を考慮した上で、最も条件が厳しい制約条件に基づいて、理想的な補正倍率から最終的な補正倍率が設定されてよい。制約条件としては、例えば、キー入力の検出感度が高くなり過ぎることによるユーザの操作感の低下を抑制し得るような条件が考慮され得る。従って、最終的な補正倍率を用いて温度補償を行うことにより、よりユーザの操作性を向上させることが可能となる。
ここで、図17に示すように、本実施形態では、各種の制約条件が考慮された結果、最終的な補正倍率は、理想的な補正倍率よりも低い値となり得る。従って、ある温度で検出されたデルタ値に対して補正を行う場合を考えると、理想的な補正倍率によって補正を行った場合のデルタ値(これは、常温でのデルタ値と略一致するデルタ値)よりも、最終的な補正倍率によって補正を行った場合のデルタ値の方が小さい値となり得る。よって、最終的な補正倍率によって補正を行った場合のデルタ値に基づいて入力状態の判定が行われた場合には、常温時よりもキー入力の検出感度が低下する可能性がある。しかしながら、上述したように、補正後のデルタ値を用いることにより、常温時よりもキー入力の検出感度が高くなった場合には、探り操作時のキー入力の誤検出という不具合が生じ得る。そこで、本実施形態では、キー入力の検出感度が若干低下したとしても、探り操作時のキー入力の誤検出が頻発する事態が防止された方が、総合的なユーザビリティは向上するであろうとの考え方に基づいて、補正後のデルタ値が常温でのデルタ値を超えないように、図17に示すような制約条件を設定している。ただし、図17に示す例は一例であって、ユーザの操作性を向上させるという観点から設定され得る制約条件であれば、他の考え方に基づく制約条件が設定されてもよい。理想的な補正倍率に基づいて最終的な補正倍率が設定される際には、入力装置1が適用され得る様々なシステムを考慮して、ユーザの操作性を向上させるような各種の制約条件が適宜設けられてよい。
また、本実施形態では、補正後のデルタ値が常温でのデルタ値を超えないような補正倍率は、常温よりも高い温度で検出されたデルタ値に対しても適用され得る。例えば、図7及び図16に示す例であれば、45(度)で検出されたデルタ値に対しては、理想的な補正倍率として設定され得る1よりも小さい補正倍率を、各種の制約条件を考慮して更に小さくすることにより、最終的な補正倍率が設定されることとなる。
(5−3.デルタ値補正テーブルの設定)
以上説明したように、本実施形態では、基準条件に基づいて理想的な補正倍率が設定された後に、各種の制約条件に基づいて当該理想的な補正倍率が変更され、最終的な補正倍率が設定される。本実施形態では、入力装置1の動作保証範囲として設定されている温度領域を複数の領域(以下、温度補償エリアとも呼称する。)に分割し、各温度補償エリアに対して、最終的な補正倍率を設定することにより、温度補償エリアごとのデルタ値に対する補正倍率を表すデルタ値補正テーブルが設定される。
図18に、このようにして設定された、本実施形態に係るデルタ値補正テーブルの一例を示す。図18は、本実施形態に係るデルタ値補正テーブルの一例を示す図である。図18では、横軸に、ノードのBase Signal値の、25(度)でのBase Signal値との差分値を取り、縦軸に補正倍率を取り、両者の関係をプロットしている。
図18に示す例では、横軸の25(度)に対するBase Signal値の差分値を11の温度補償エリア<−7>〜<3>に分割し、各温度補償エリアに対して補正倍率が設定されている。なお、図18では、横軸に25(度)に対するBase Signal値の差分値を取っているが、本実施形態はかかる例に限定されない。横軸としては周辺温度を取ってもよい。上記(4−1.ダミーノードを用いた温度検出処理)で説明したように、常温とのBase Signal値の差分値と、周辺温度とは、例えば図12に示すようなダミーノードの温度特性に基づいて、1対1に対応する関係であるため、デルタ値補正テーブルの横軸としてどちらの値を取ったとしても、実質的には同様のデルタ値補正テーブルが設定され得るからである。また、図18に示すように、デルタ値補正テーブルの横軸として常温とのBase Signal値の差分値を取る場合には、上記(4−1.ダミーノードを用いた温度検出処理)で説明したように、温度検出部121は、温度検出処理として、当該差分値を計算する処理までを行えばよく、実際の周辺温度の値自体は計算しなくてもよい。当該差分値が分かれば、図18に示すデルタ値補正テーブルを用いて、補正倍率を決定することができるからである。
なお、温度補償エリアの設定方法は図示する例に限定されず、温度補償エリアは、入力装置1の動作保証範囲として設定される温度範囲や、Base Signal値の温度依存性等のノードの特性に応じて、適宜設定されてよい。ここで、温度補償エリアを細かく設定することにより、より厳密に各温度に対する補正倍率を設定することができ、デルタ値の補正の精度(すなわち、温度補償の精度)も向上することが期待される。しかしながら、補正倍率をあまりにも詳細に設定してしまうと、温度補償時の信号処理の負荷が大きくなり、温度補償処理を行うプロセッサ(例えば図8に示すメインMCU120のプロセッサ)に高い処理能力が要求され、コストが増加することが懸念される。従って、温度補償エリアは、温度補償の精度として所定の精度が確保されることを前提として、このようなメインMCU120の性能とコストとのトレードオフを考慮して適宜設定されてよい。なお、コストの問題が解決され、より処理能力の高いプロセッサを用いることが可能であれば、周辺温度に対して連続的に(無段階に)変化する補正倍率が設定されてもよい。温度に対して連続的に(無段階に)変化する補正倍率が設定された場合には、上述した制約条件3は考慮する必要がなくなる。
(5−4.温度補償時の処理)
以上説明したデルタ値補正テーブルが、入力装置1ごとに予め設定され、例えば入力検出システム2に設けられる記憶装置に格納されている。実際に使用時のデルタ値に対して温度補償が行われる際には、温度検出部121によって、ダミーノードにおける、検出されたBase Signal値と、25(度)でのBase Signal値との差分が計算される(これは、すなわち、現在の周辺温度を検出する処理に対応する)。そして、当該計算結果に基づいて、補正量決定部122によって、現在の周辺温度に対応する補正倍率が決定されることとなる。補正量決定部122は、上述した記憶装置を参照することにより、デルタ値補正テーブルに基づいて、現在の温度に対応する温度補償エリア、及び、当該温度補償エリアに対応する補正倍率を決定することができる。
補正量決定部122は、決定した補正倍率についての情報を、デルタ値補正部123に提供する。デルタ値補正部123は、決定された補正倍率を用いて、打鍵されたキーに対応するノードから検出されたデルタ値を補正する。具体的には、デルタ値補正部123は、決定された補正倍率を、打鍵されたキーに対応するノードにおいて検出されたデルタ値に乗じることにより、当該デルタ値を補正することができる。デルタ値補正部123は、補正後のデルタ値を入力状態判定部114に提供する。入力状態判定部114において、補正後のデルタ値に基づいて入力判定処理が行われることにより、キー入力の検出感度が、例えば基準である25(度)のときの感度を超えない範囲で、当該25(度)のときの感度に近いものとなるため、感度が高くなり過ぎることによる不具合の発生を防止しつつ、使用環境の温度の変化によるユーザの操作性の低下を抑制することができる。
以上、本実施形態に係る補正倍率決定処理について、特に事前に設定され得るデルタ値補正テーブルの設定方法について詳細に説明した。以上説明したように、本実施形態では、補正倍率が設定される際に、基準条件に基づいて理想的な補正倍率が設定された後に、各種の制約条件に基づいて当該理想的な補正倍率が変更され、最終的な補正倍率が設定される。当該制約条件としては、例えば、逆補正を生じさせないような制約条件、キーの戻り時間についての制約条件、及び/又は、隣接補償エリア間の補正倍率差についての制約条件等が考慮される。これらの制約条件を考慮した上で補正倍率が設定されることにより、よりユーザにとって利便性の高いキー入力の検出感度が実現されるような補正倍率が設定され得る。従って、このように設定された補正倍率を用いて打鍵時に検出されたデルタ値を補正し、補正後のデルタ値を用いて当該ノードに対応するキーの入力状態の判定が行われることにより、使用環境の温度が変化した場合であっても、入力装置1におけるユーザの操作性が損なわれないような温度補償が実現され得る。
(6.情報処理方法(温度補償方法))
次に、図19を参照して、本実施形態に係る入力検出システム2において行われる情報処理方法の処理手順について説明する。図19は、本実施形態に係る情報処理方法の処理手順の一例を示すフロー図である。図19に示す各処理は、図9に示す入力検出システム2の各機能によって実行され得る。なお、図19に示すフロー図は、入力検出システム2において行われる一連の情報処理方法の中でも、本実施形態における特徴的な構成である、温度補償部112によって実行され得る温度補償方法の処理手順について主に図示している。
図19を参照すると、本実施形態に係る温度補償方法では、まず、現在のダミーノードのBase Signal値が検出される(ステップS101)。ステップS101に示す処理は、例えば、上述した図9に示す静電容量検出部111によって実行され得る。
次に、検出されたダミーノードのBase Signal値と、常温(25(度))でのダミーノードのBase Signal値との差分が計算され、当該差分に基づいて、温度補償エリアが決定される(ステップS103)。ステップS103における、ダミーノードにおける、検出されたBase Signal値と、常温でのダミーノードのBase Signal値との差分を計算する処理は、例えば、上述した図9に示す温度検出部121によって実行され得る。また、ステップS103における、温度補償エリアを決定する処理は、例えば、上述した図9に示す補正量決定部122によって実行され得る。温度補償エリアは、例えば図18に示すデルタ値補正テーブルにおける温度補償エリア<−7>〜<3>のことであり、温度補償エリアが決定されることにより、自ずと補正倍率も決定されることとなる。
次に、ユーザの打鍵に応じたデルタ値が検出される(ステップS105)。ステップS105に示す処理は、例えば、上述した図9に示す静電容量検出部111によって実行され得る。ステップS105において検出されたデルタ値が、温度補償を施す対象となるデルタ値である。
次に、ステップS103において決定された温度補償エリアに応じた補正倍率で、ステップS105において検出されたデルタ値が補正される(ステップS107)。ステップS107に示す処理は、例えば、上述した図9に示すデルタ値補正部123によって実行され得る。
次に、ステップS107において補正された補正後のデルタ値に基づいて、当該デルタ値が検出されたノードに対応するキーの入力状態が判定される(ステップS109)。ステップS109に示す処理は、例えば、上述した図9に示す入力状態判定部114によって実行され得る。なお、図示は省略するが、ステップS105に示す処理からステップS109に示す処理までのいずれかの段階で、デルタ値が検出されたノードに対応するキーを特定する処理(当該処理は、例えば、上述した図9に示すキー特定部113によって実行され得る。)が行われており、ステップS109では、キーごとに設定されている入力状態判定条件に基づいて、キーの入力状態が判定される。キーの入力状態がKEY ON状態であると判定されたキーに対応付けられた情報が、入力装置1が接続される接続装置に入力されることとなる。なお、ステップS109において行われる入力状態判定処理としては、一般的にタッチパネル式のキーボードの技術分野において用いられている、各種の公知の処理が行われてよい。
以上、図19を参照して、本実施形態に係る入力検出システム2において行われる情報処理方法の処理手順について説明した。
(7.温度補償処理の結果)
図20−図22を参照して、以上説明した本実施形態に係る温度補償処理を、入力装置1に対して適用した結果について説明する。図20は、温度補償を行わなかった場合における、入力装置1のデルタ値の荷重感度特性を示すグラフ図である。図21は、本実施形態に係る温度補償を行った場合における、入力装置1のデルタ値の荷重感度特性を示すグラフ図である。図22は、基準条件に基づいて設定される理想的な補正倍率によって温度補償を行った場合における、入力装置1のデルタ値の荷重感度特性を示すグラフ図である。
図20−図22のいずれにおいても、2つのグラフ図を図示している。図中(a)は、上述した図7及び図16に対応する図であり、横軸に時間を取り、縦軸に入力装置1におけるあるキー領域10aに対応するノードにおいて検出されたデルタ値を取り、両者の関係をプロットしたものである。図中(a)のグラフ図では、所定の第1の時刻において指を模した冶具を用いて所定の荷重(例えば50(gF))でキー領域10aの押圧を開始した後、所定の第2の時刻で当該冶具をキー領域10aから離す操作を行い、その間の、押圧したキー領域10aに対応するノードのデルタ値の時間変化を図示している。なお、図20(a)は、図7を再掲したものであり、図21(a)は、図16を再掲したものである。
また、図中(b)は、上述した図15に対応する図であり、横軸にキー領域10aに対して負荷した荷重値を取り、縦軸に当該キー領域10aに設けられるノードにおけるデルタ値を取り、両者の関係をプロットしたものである。なお、図20(b)は、図15を再掲したものである。
まず、図20を参照すると、温度補償を行わない場合には、例えば周辺温度が45(度)である場合には、約35(gF)小さい荷重値でキー領域10aを押圧しただけで、常温時と同等のデルタ値が検出されることとなる(すなわち、キーの入力が検出され易くなる)。また、例えば周辺温度が−5(度)又は5(度)である場合には、100(gF)以上大きい荷重値でキー領域10aを押圧しないと、常温時と同等のデルタ値は検出されないこととなる(すなわち、キーの入力が検出され難くなる)。このように、温度補償を行わない場合には、温度が高い場合にはキー入力の検出感度が高くなり、温度が低い場合にはキー入力の検出感度が低くなるため、周辺温度の変化に応じて打鍵感が大きく変化してしまい、ユーザの操作性が損なわれる可能性がある。
次に、図22を参照すると、理想的な補正倍率を用いて温度補償を行った場合には、周辺温度がどれだけ変化した場合であっても、基準条件として設定されている50(gF)でキー領域10aを押圧することにより、常温時と同等のデルタ値が検出されることとなる。しかしながら、理想的な補正倍率を用いて温度補償を行った場合には、各種のばらつき要因により、必ずしもすべてのノードが基準条件として設定されている代表ノードと同様の荷重感度特性を有するように補正されるとは限らない。例えば、あるノードにおける補正後のデルタ値が、代表ノードのデルタ値よりも大きくなってしまった場合には、当該ノードに対応するキー入力の検出感度は、代表ノードに対応するキー入力の検出感度よりも高くなってしまうことが考えられる。キー入力の検出感度が高くなり過ぎてしまった場合には、例えばホームポジションに手を置く操作や、入力装置1上でキーを探る操作といった、キーの入力を意図していない操作によって、キーの入力が誤検出されてしまう恐れがあり、ユーザの操作の自由度が制限されてしまう恐れがある。
そこで、本実施形態では、このような逆補正を生じさせないような制約条件に基づいて補正倍率が設定され、温度補償が行われる。図21には、逆補正を生じさせないような制約条件に基づいて設定された補正倍率を用いて温度補償を行った場合における、デルタ値の荷重感度特性を図示している。図21を参照すると、本実施形態に係る温度補償を行った場合には、いずれの周辺温度の場合であっても、約75(gF)大きい荷重値でキー領域10aを押圧することにより、常温時において50(gF)で検出され得るデルタ値と同等のデルタ値が検出されることとなる。理想的な補正倍率を用いて温度補償を行った場合と比べて、常温時と同等のデルタ値を得るために必要な荷重値は大きくなるが、今回の実験から得られた結果(約75(gF))は、入力装置1の製品としての仕様を満たすものであり、ユーザの操作性を損なうようなキー入力の検出感度の大幅な低下は生じないと考えられる。一方で、上述したようなキー入力の誤検出はより抑制されることとなるため、総合的なユーザの操作性としてはむしろ向上することとなる。
以上、添付図面を参照しながら本開示の好適な実施形態について詳細に説明したが、本開示の技術的範囲はかかる例に限定されない。本開示の技術分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本開示の技術的範囲に属するものと了解される。
また、本明細書に記載された効果は、あくまで説明的または例示的なものであって限定的ではない。つまり、本開示に係る技術は、上記の効果とともに、または上記の効果に代えて、本明細書の記載から当業者には明らかな他の効果を奏しうる。
なお、以下のような構成も本開示の技術的範囲に属する。
(1)シート状の操作部材上に設けられる複数のキー領域の各々に対する操作入力が、当該キー領域と、当該キー領域の各々に対応して設けられる容量素子と、の距離の変化に応じた前記容量素子の容量変化量として検出される入力装置の周辺温度に基づいて、前記キー領域に対する操作入力を表す操作入力値を補正する温度補償部、を備える、情報処理装置。
(2)前記温度補償部は、前記入力装置に設けられる温度検出素子の出力値に基づいて、前記周辺温度を検出する温度検出部と、検出された温度に基づいて、前記操作入力値に対する補正量を決定する補正量決定部と、決定された補正量を用いて前記操作入力値を補正する操作入力値補正部と、を有する、前記(1)に記載の情報処理装置。
(3)前記温度検出素子は、温度検出用に前記キー領域とは異なる領域に設けられる前記容量素子である、温度検出用容量素子であり、前記温度検出部は、前記温度検出用容量素子の容量値の温度依存性に基づいて、前記周辺温度を検出する、前記(2)に記載の情報処理装置。
(4)前記温度検出用容量素子は、前記入力装置において、前記キー領域に対して操作入力を行うユーザから見て奥側の端に対応する領域に設けられる、前記(3)に記載の情報処理装置。
(5)前記温度検出用容量素子は、前記入力装置とともに設けられる素子の発熱の影響を受けない領域に設けられる、前記(3)又は(4)に記載の情報処理装置。
(6)前記温度検出用容量素子は複数設けられ、前記温度検出部は、複数の前記温度検出用容量素子の容量値の統計値に基づいて、前記周辺温度を検出する、前記(3)〜(5)のいずれか1項に記載の情報処理装置。
(7)前記温度検出用容量素子は複数設けられ、前記温度検出部は、複数の前記温度検出用容量素子の容量値のうち、他の容量値との差分が所定のしきい値よりも大きい容量値を除外し、当該他の容量値に基づいて、前記周辺温度を検出する、前記(3)〜(5)のいずれか1項に記載の情報処理装置。
(8)前記温度検出用容量素子が設けられる領域では、前記温度検出用容量素子と前記操作部材との間の空間が、他の部材によって埋め込まれる、前記(3)〜(7)のいずれか1項に記載の情報処理装置。
(9)前記温度検出素子は、サーミスタ素子が搭載された温度検出用ICである、前記(2)に記載の情報処理装置。
(10)前記補正量は、検出された前記周辺温度に応じて設定される温度補償エリアごとに設定され、前記周辺温度に対して段階的に変化するように設定される、前記(2)〜(9)のいずれか1項に記載の情報処理装置。
(11)前記補正量は、補正後の前記操作入力値が、基準となる温度での操作入力値を超えないように設定される、前記(2)〜(10)のいずれか1項に記載の情報処理装置。
(12)前記補正量は、前記キー領域に対する前記操作入力が終了した時点から所定の時間内における補正後の前記操作入力値が、所定のしきい値を超えないように設定される、前記(2)〜(10)のいずれか1項に記載の情報処理装置。
(13)前記補正量は、隣接する前記温度補償エリア間での前記補正量の差分が所定のしきい値を超えないように設定される、前記(10)に記載の情報処理装置。
(14)複数のキー領域を有し、当該キー領域への操作入力に応じて変形可能なシート状の操作部材と、前記キー領域の各々に対応する位置に少なくとも1つの容量素子を有し、前記操作入力に応じた前記キー領域と前記容量素子との距離の変化量を、前記容量素子の容量変化量として検出可能な電極基板と、周辺温度に基づいて、前記キー領域に対する操作入力を表す操作入力値を補正する制御部と、を備える、入力装置。
(15)プロセッサが、シート状の操作部材上に設けられる複数のキー領域の各々に対する操作入力が、当該キー領域と、当該キー領域の各々に対応して設けられる容量素子と、の距離の変化に応じた前記容量素子の容量変化量として検出される入力装置の周辺温度に基づいて、前記キー領域に対する操作入力を表す操作入力値を補正すること、を含む、情報処理方法。
(16)コンピュータのプロセッサに、シート状の操作部材上に設けられる複数のキー領域の各々に対する操作入力が、当該キー領域と、当該キー領域の各々に対応して設けられる容量素子と、の距離の変化に応じた前記容量素子の容量変化量として検出される入力装置の周辺温度に基づいて、前記キー領域に対する操作入力を表す操作入力値を補正する機能、を実現させる、プログラム。
1 入力装置
10 操作部材
10a キー領域
10d ダミー領域
20 電極基板
30 第1の支持体
40 シールド層
50 接着層
60 第1の支持体
110 コントローラIC
111 静電容量検出部
112、112a 温度補償部
113 キー特定部
114 入力状態判定部
115 入力状態設定部
120 メインMCU
121、121a 温度検出部
122 補正量決定部
123 デルタ値補正部
130 インターフェースIC
140 コネクタ
150、150a 制御部
160 温度検出用IC


Claims (16)

  1. シート状の操作部材上に設けられる複数のキー領域の各々に対する操作入力が、当該キー領域と、当該キー領域の各々に対応して設けられる容量素子と、の距離の変化に応じた前記容量素子の容量変化量として検出される入力装置の周辺温度に基づいて、前記キー領域に対する操作入力を表す操作入力値を補正する温度補償部、
    を備える、情報処理装置。
  2. 前記温度補償部は、
    前記入力装置に設けられる温度検出素子の出力値に基づいて、前記周辺温度を検出する温度検出部と、
    検出された温度に基づいて、前記操作入力値に対する補正量を決定する補正量決定部と、
    決定された補正量を用いて前記操作入力値を補正する操作入力値補正部と、
    を有する、請求項1に記載の情報処理装置。
  3. 前記温度検出素子は、温度検出用に前記キー領域とは異なる領域に設けられる前記容量素子である、温度検出用容量素子であり、
    前記温度検出部は、前記温度検出用容量素子の容量値の温度依存性に基づいて、前記周辺温度を検出する、
    請求項2に記載の情報処理装置。
  4. 前記温度検出用容量素子は、前記入力装置において、前記キー領域に対して操作入力を行うユーザから見て奥側の端に対応する領域に設けられる、
    請求項3に記載の情報処理装置。
  5. 前記温度検出用容量素子は、前記入力装置とともに設けられる素子の発熱の影響を受けない領域に設けられる、
    請求項3に記載の情報処理装置。
  6. 前記温度検出用容量素子は複数設けられ、
    前記温度検出部は、複数の前記温度検出用容量素子の容量値の統計値に基づいて、前記周辺温度を検出する、
    請求項3に記載の情報処理装置。
  7. 前記温度検出用容量素子は複数設けられ、
    前記温度検出部は、複数の前記温度検出用容量素子の容量値のうち、他の容量値との差分が所定のしきい値よりも大きい容量値を除外し、当該他の容量値に基づいて、前記周辺温度を検出する、
    請求項3に記載の情報処理装置。
  8. 前記温度検出用容量素子が設けられる領域では、前記温度検出用容量素子と前記操作部材との間の空間が、他の部材によって埋め込まれる、
    請求項3に記載の情報処理装置。
  9. 前記温度検出素子は、サーミスタ素子が搭載された温度検出用ICである、
    請求項2に記載の情報処理装置。
  10. 前記補正量は、検出された前記周辺温度に応じて設定される温度補償エリアごとに設定され、前記周辺温度に対して段階的に変化するように設定される、
    請求項2に記載の情報処理装置。
  11. 前記補正量は、補正後の前記操作入力値が、基準となる温度での操作入力値を超えないように設定される、
    請求項2に記載の情報処理装置。
  12. 前記補正量は、前記キー領域に対する前記操作入力が終了した時点から所定の時間内における補正後の前記操作入力値が、所定のしきい値を超えないように設定される、
    請求項2に記載の情報処理装置。
  13. 前記補正量は、隣接する前記温度補償エリア間での前記補正量の差分が所定のしきい値を超えないように設定される、
    請求項10に記載の情報処理装置。
  14. 複数のキー領域を有し、当該キー領域への操作入力に応じて変形可能なシート状の操作部材と、
    前記キー領域の各々に対応する位置に少なくとも1つの容量素子を有し、前記操作入力に応じた前記キー領域と前記容量素子との距離の変化量を、前記容量素子の容量変化量として検出可能な電極基板と、
    周辺温度に基づいて、前記キー領域に対する操作入力を表す操作入力値を補正する制御部と、
    を備える、入力装置。
  15. プロセッサが、シート状の操作部材上に設けられる複数のキー領域の各々に対する操作入力が、当該キー領域と、当該キー領域の各々に対応して設けられる容量素子と、の距離の変化に応じた前記容量素子の容量変化量として検出される入力装置の周辺温度に基づいて、前記キー領域に対する操作入力を表す操作入力値を補正すること、
    を含む、情報処理方法。
  16. コンピュータのプロセッサに、
    シート状の操作部材上に設けられる複数のキー領域の各々に対する操作入力が、当該キー領域と、当該キー領域の各々に対応して設けられる容量素子と、の距離の変化に応じた前記容量素子の容量変化量として検出される入力装置の周辺温度に基づいて、前記キー領域に対する操作入力を表す操作入力値を補正する機能、
    を実現させる、プログラム。


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