JP2015193578A - 皮膚表面に接触させて使用される組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】皮膚表皮のHDC(L−ヒスチジン脱炭酸酵素)に着目した有用な発明の提供。
【解決手段】(B)成分が接触する皮膚表面に接触させて使用される、(A)成分が配合された組成物。また、(A)成分及び(B)成分が配合され、皮膚表面に接触させて使用される組成物。(A)プロアントシアニジン、並びに、その配糖体、アミノ酸修飾体、溶媒和物及び/又は塩からなる群から選ばれる1種以上。(B)アニオン性界面活性剤及び両性界面活性剤から選ばれる1種以上。
【選択図】なし

Description

本発明は皮膚表皮のHDC(L−ヒスチジン脱炭酸酵素)に着目した発明である。
痒みは皮膚および粘膜でのみ感じる感覚であるが、非常に不快な感覚であり、生活の質(QOL:Quality of Life)の低下をもたらす。更に、痒みは引っ掻き反射を引き起こすため、いわゆるitch−scratchサイクルを介して皮疹の発生等の皮膚症状の悪化をもたらす。「itch−scratchサイクル」とは次のような悪循環をいう。即ち、痒みを感じる部分を掻くことで皮膚を傷つけ、時に皮膚に炎症を生じさせる。炎症が生じると炎症部位やその近傍から炎症性サイトカインなどの起痒因子が放出され、それらが原因で再び痒みを感じることになる。そして、再び皮膚を引っ掻き、それが原因で皮膚症状が悪化する。
従来より、クロルフェニラミン、ジフェンヒドラミン、下記特許文献1に記載の果実ポリフェノールを含有するもの等の多くの痒み抑制剤が開発されているが、これらの痒み抑制剤では必ずしも満足できる痒み抑制効果は得られていない。その背景として、痒み抑制剤の客観的かつ十分な評価方法が未だ提供されていないことがある。この点は、痒みの発症原因が多様で、痒みのメカニズムには不明な点が多いことと関連している。
一般論として、ヒスタミンが痒みに関連していること、ヒスタミンがHDCによってL-ヒスチジンから生成されることは周知である。更に、肥満細胞の細胞内には高活性型のHDCが存在していることも周知である。
そして従来、ヒトや動物体における痒み発生メカニズムについては、下記特許文献2〜5においても直接的又は間接的に示唆されているように、「皮膚の真皮に存在する肥満細胞に対する一定の刺激により、当該肥満細胞中の高活性型HDCによりヒスタミン生成が促進され、ヒスタミンが肥満細胞の脱顆粒によって細胞外へ放出され、知覚神経上に存在するヒスタミン受容体に結合して痒みシグナルを中枢に伝達する(以下、従来の痒みメカニズムとも称する)」とする周知の見解が支配的である。
下記の特許文献2〜5に開示された方法はこの考え方に基づいており、従ってその評価は、肥満細胞、より具体的には肥満細胞内に高活性型として存在しているHDCの活性の阻害に着目したものとなる。このようにして評価・選抜されるHDC活性阻害剤の痒み抑制剤としての使用は、一概に否定されるものではなく、痒みに対する有効性を一応は推定できる。
次に、ポリフェノールの1種であるプロアントシアニジンについて述べる。プロアントシアニジンとは、フラバン−3−オール及び/又はフラバン−3,4−ジオールを構成単位とし重合度が2以上のものからなる化合物群である。プロアントシアニジンは多くの植物に存在し、その利用について種々の検討がなされている。例えば、プロアントシアニジンについては、セラミド・コラーゲン合成促進効果(下記特許文献6)や抗酸化作用(下記特許文献7)が知られている。
特開2003−313138号公報 特開平8−217674号公報 特開平9−110857号公報 特開平10−059956号公報 特開2006−176480号公報 国際公開WO 01/32131号公報 特開2007−215492号公報
上述のとおり、「肥満細胞内に高活性型として存在しているHDCの活性の阻害」に着目した痒み抑制剤では、必ずしも満足できる痒み抑制効果は得られていない。しかし、本願発明者の研究により、従来の痒みメカニズムでは説明できない新たな痒みの存在が判明した。即ち、「一定の刺激性物質の作用により皮膚の表皮に存在するケラチノサイト(角化細胞)内の低活性型HDC(HDC前駆体)の活性化が誘導され、その結果としてケラチノサイトでヒスタミンが産生(生成及び細胞外放出)されて、これが皮膚に痒みを生じる(以下、「新たな痒み」とも称する。)」という、今まで知られていなかった痒み発生機序の知見を得た。なお、表皮を構成する細胞の90%以上がケラチノサイトである。
従来の痒みメカニズムを前提とする評価方法でスクリーニングされた痒み抑制剤では、上記の新たな痒みに対して有効に作用しない可能性がある。よって、上記新たな痒みに対して有効な痒み抑制剤の実現が望まれており、また、上記新たな痒みに与える影響を解析するためのデータ蓄積も望まれている。
本願発明者は自ら見出した上記新たな痒みに作用する素材を鋭意検討し、プロアントシアニジン及びその一定の誘導体が有効であることを見出した。更には、プロアントシアニジン及びその一定の誘導体が、一定の界面活性剤が誘発する皮膚表皮でのHDCの活性化抑制に有効であることを見出した。本発明は、これらの知見に基づき完成された。
よって、皮膚表皮のHDCに着目した有用な発明の提供が、本願が解決すべき課題である。
以下に説明する本発明において、剤、組成物及び方法について「HDC抑制」とは、「皮膚表皮のケラチノサイトに存在する低活性型HDCの高活性型への活性化を阻害する」という意味である。なお、従来から知られている皮膚真皮の肥満細胞に存在するHDCについては、「HDC抑制」という語を用いない。
(第1発明)
上記課題を解決するための本願第1発明は、下記(B)成分が接触する皮膚表面に接触させて使用される、下記(A)成分が配合された組成物である。但し、ヒトに経口で摂取されるものを除く。
(A)プロアントシアニジン、並びに、その配糖体、アミノ酸修飾体、溶媒和物及び/又は塩からなる群から選ばれる1種以上。
(B)アニオン性界面活性剤及び両性界面活性剤から選ばれる1種以上。
上記した「その配糖体、アミノ酸修飾体、溶媒和物及び/又は塩」は、プロアントシアニジンの配糖体、プロアントシアニジンのアミノ酸修飾体、プロアントシアニジンの溶媒和物、プロアントシアニジンの塩の他に、例えば、アミノ酸修飾を受け、かつ、配糖体化されるというような複数の構成を備えるプロアントシアニジンも含む意味である。第2発明以降でも同様の意味である。
第1発明の組成物は(A)成分が配合され、「(B)成分が接触する皮膚表面に接触させて使用される」。例えば、(1)(B)成分が接触する前に皮膚表面におけるその予定箇所に使用されてよく、(2)(B)成分と同時に皮膚表面に使用されてよく、(3)(B)成分が接触した後に皮膚表面におけるその箇所に使用されてよい。
上記(1)及び(2)の場合では、(B)成分が皮膚表皮における低活性型HDCの活性化を促そうとするが、(A)成分がこれを抑制すると考えられる。
一方、上記(3)の場合では、(B)成分が先に皮膚表面に接触するため低活性型HDCの活性化が先行し、かつ、高活性型HDCは再度低活性型HDCに変換されないため、痒みが続くとも考えられる。しかし、先行して生成した高活性型HDCは代謝により分解されていくと考えられ、痒みは消えていく。一方、後から使用された(A)成分は新たに生成する低活性型HDCの活性化を抑制すると考えられる。
第1発明、第2発明及び第5発明において、(A)成分及び(B)成分は皮膚表面に外用される。
(第2発明)
上記課題を解決するための本願第2発明は、下記(A)成分及び(B)成分が配合され、皮膚表面に接触させて使用される組成物である。但し、ヒトに経口で摂取されるものを除く。
(A)プロアントシアニジン、並びに、その配糖体、アミノ酸修飾体、溶媒和物及び/又は塩からなる群から選ばれる1種以上。
(B)アニオン性界面活性剤及び両性界面活性剤から選ばれる1種以上。
(第3発明)
上記課題を解決するための本願第3発明は、前記(A)成分の分子量が3000以下である、第1発明又は第2発明に記載の組成物である。
(第4発明)
上記課題を解決するための本願第4発明は、洗浄用組成物として使用される、第2発明に記載の組成物である。
(第5発明)
上記課題を解決するための本願第5発明は、(B)成分が接触する皮膚表面に(A)成分を接触させる工程を含む方法である。
(A)プロアントシアニジン、並びに、その配糖体、アミノ酸修飾体、溶媒和物及び/又は塩からなる群から選ばれる1種以上。
(B)アニオン性界面活性剤及び両性界面活性剤から選ばれる1種以上。
(A)成分は、例えば、(1)(B)成分が接触する前に皮膚表面におけるその予定箇所に接触させてよく、(2)(B)成分と同時に皮膚表面に接触させてよく、(3)(B)成分が接触した後に皮膚表面におけるその箇所に接触させてよい。(A)成分及び(B)成分について、第1発明での説明と同様の作用がある。
(第6発明)
上記課題を解決するための本願第6発明は、(A)成分が配合されたHDC抑制剤である。
(A)プロアントシアニジン、並びに、その配糖体、アミノ酸修飾体、溶媒和物及び/又は塩からなる群から選ばれる1種以上。
(第7発明)
上記課題を解決するための本願第7発明は、(A)成分を使用するHDC抑制方法である。
(A)プロアントシアニジン、並びに、その配糖体、アミノ酸修飾体、溶媒和物及び/又は塩からなる群から選ばれる1種以上。
(第1発明、第2発明及び第5発明の効果)
上記第1発明及び第2発明により、皮膚表皮のHDCに作用する組成物が提供される。上記第5発明により、皮膚表皮のHDC抑制に有用な方法が提供される。
上記(A)成分は、皮膚表皮のHDC抑制に有用であると考えられる。また、上記(A)成分は、本願発明者が見出した上記新たな痒みの発生機序に作用し、低活性型のHDCの活性化を阻害して、痒みの発生を抑制できると考えられる。
(A)成分を先塗りし又は(A)成分及び(B)成分を同時に使用して(B)成分の影響を緩和することができるし、一方で痒みを感じる箇所に(A)成分を後塗りすることもできる。
また、例えば洗浄用組成物はその洗浄の対象や方法が多様であり、それぞれの目的に沿って優先する効果を確保できるように組成が細部まで工夫されていることが多い。一方、(A)成分は単独で上記新たな痒みに作用可能と考えられる。よって、当該洗浄用組成物の組成内容の大枠を維持したまま、言いかえれば痒み抑制のために大幅に組成内容を変更することなく、(A)成分の添加によりHDC抑制効果等を更に発揮可能と考えられる。即ち、本発明の組成物は添加剤としても優れている。
(第3発明の効果)
上記第3発明は、本発明の好適な実施形態である。
(第4発明の効果)
(B)成分は洗浄力を発揮する一方で刺激性物質でもあり、皮膚表面に接触すると痒みを誘起するおそれがある。上記第4発明は洗浄力を確保し、かつ、皮膚表皮のHDCを抑制した好適な実施形態である。
(第6発明及び第7発明)
上記第6発明及び第7発明により、HDC抑制に着目した、有用な用途剤及び方法が提供される。
本発明に係る被験物質のHDC抑制効果評価方法の一実施例を示す。 実施例1のHDC活性化率(X)についてのグラフである。
以下、本発明の実施形態をその最良の形態を含めて説明する。
〔皮膚表皮におけるHDC〕
本発明は皮膚表皮に存在するHDC(L−ヒスチジン脱炭酸酵素)に着目している。より具体的には、皮膚表皮におけるケラチノサイトに存在するHDCに着目している。
皮膚表皮に存在するHDCには低活性型と高活性型とが存在する。後述する実施例に記載のとおり、(A)成分にはHDC抑制効果があると考えられる。このことから、(A)成分には皮膚表皮におけるHDCの活性化阻害効果があると考えられる。
〔皮膚表面に接触させて使用される組成物〕
本願は、(B)成分が接触する皮膚表面に接触させて使用される、(A)成分が配合された組成物を開示する。また、(A)成分及び(B)成分が配合され、皮膚表面に接触させて使用される組成物を開示する。
これら皮膚表面に接触させて使用される組成物の剤型は特に限定されない。これらの剤型として、例えば、粉剤、スティック状を含む固形剤、軟膏剤、ローション状や乳液状あるいはエアゾール状を含む液剤、泡剤、ゲル剤、クリーム剤、パック状を含む貼付剤等とすることができる。特に粉剤、固形剤、軟膏剤、液剤、ゲル剤、クリーム剤が好ましい。
皮膚表面に接触させて使用される組成物は、(A)成分が配合される。更に(B)成分が配合されても良い。これらの他、皮膚表面に接触させて使用される組成物は適宜任意成分が配合されて良い。前記(A)成分は、(B)成分が接触する皮膚表面に接触させる成分である。
皮膚表面に接触させて使用される組成物は周知の方法により調製可能である。1剤式としてもよいし、2剤式以上の複数剤式としてもよい。(B)成分が配合され複数剤式である場合、(A)成分及び(B)成分は同一の剤に配合されても良く、それぞれ異なる剤に配合されてもよい。
皮膚表面に接触させて使用される組成物は適宜使用可能である。当該組成物は使用後に皮膚表面から洗い流されても良いし、そのまま皮膚表面上に放置されてもよい。
皮膚表面に接触させて使用される組成物に(B)成分が配合される場合は、通常、(B)成分は使用後に洗い流される。次に、複数剤式の場合、(A)成分が配合された剤は使用後に皮膚表面から洗い流されても良いし、皮膚表面から洗い流されなくてもよい。
より具体的に例示すると、(A)成分が配合された剤を皮膚表面に接触させてから(B)成分を当該皮膚表面に接触させても良い。また、(B)成分を皮膚表面から洗い流した後に(A)成分が配合された剤を当該皮膚表面に接触させ、そのまま放置してもよい。また、(A)成分及び(B)成分を同時に皮膚表面に接触させ、その後洗い流してもよい。
なお、皮膚表面に接触させて使用される組成物は、ヒトに経口で摂取されるものではない。
本発明の組成物は皮膚表面に接触して使用される。本発明の組成物を皮膚表面に接触させる態様は適宜選択可能である。容器から直接皮膚表面に接触させても良いし、手で組成物を皮膚表面に接触させても良いし、ブラシや布等の用具を用いて組成物を皮膚表面に接触させても良い。また、皮膚表面が洗浄対象ではない洗浄用組成物として使用する場合に組成物が皮膚表面に接触しやすいこともあるが、この場合でも組成物は有用である。
皮膚表面はヒトを含む動物の皮膚表面が好ましく、ヒトの皮膚表面がより好ましい。本願発明者の知見によれば脚は痒みを感じやすいので、脚の皮膚表面も好ましい。ヒトの皮膚表面は、炎症等痒みについての疾患を有しない健常者の皮膚表面としてよい。
皮膚表面に接触させて使用される組成物における(A)成分の配合量は、本発明の効果を奏する範囲で適宜選択可能である。痒み抑制の観点から、(A)成分の配合量は0.001質量%以上が好ましく、0.1質量%以上がより好ましく、1質量%以上が更に好ましい。(A)成分が植物等生物由来の抽出物に含まれている場合は当該抽出物が着色している場合がある。よって、着色抑制の観点から、(A)成分の配合量は20質量%以下が好ましく、10質量%以下がより好ましく、5質量%以下が更に好ましい。
皮膚表面に接触させて使用される組成物における(B)成分の配合量は特に限定されない。泡立ち、洗浄性または乳化力等の観点から、(B)成分の配合量は0.1質量%以上が好ましく、1質量%以上がより好ましい。また、肌の荒れ抑制等の観点から、(B)成分の配合量は20質量%以下が好ましく、10質量%以下がより好ましく、5質量%以下が更に好ましい。
皮膚表面に接触させて使用される組成物は、(B)成分が誘起する痒みを緩和するために用いることができる。また、皮膚表面に接触させて使用される組成物は、医薬品、医薬部外品又は化粧品として用いることができる。一方、皮膚表面に接触させて使用される組成物は、医療行為に用いないものとして良い。
皮膚表面に接触させて使用される組成物は、添加剤、洗浄用組成物、寝癖直し用組成物、美容液等とすることができる。好ましくは、添加剤、洗浄用組成物である。
皮膚表面に接触させて使用される組成物を洗浄用組成物とする場合、当該洗浄用組成物は(A)成分及び(B)成分が配合される。
洗浄用組成物に配合された界面活性剤の洗浄力を良好に発揮する観点から、好ましくは、(B)成分を配合した剤は泡状で使用される。また、洗浄用組成物は泡状で使用されることも好ましい。
洗浄用組成物が洗浄する対象は特に限定されない。例えば、皮膚表面、毛髪等の体毛、食器、衣服や靴等の衣類、メガネやコンタクトレンズ等のレンズ類、家屋等の建物及びその備品、自動車や自転車等の乗り物等がある。好ましくは、皮膚表面、体毛、食器、衣類であり、より好ましくは皮膚表面である。皮膚表面の洗浄を目的としない洗浄用組成物が皮膚表面に接触してしまった場合でも、有効に痒みを緩和できると考えられる。
洗浄用組成物の具体例として、例えば、ボディシャンプー、手洗い用洗浄組成物、顔洗い用洗浄組成物、毛髪用シャンプー(通常、組成物が頭皮に接触する。)、食器洗浄組成物、衣類洗浄組成物、レンズクリーン組成物、石鹸組成物等がある。好ましくは、ボディシャンプー、手洗い用洗浄組成物、顔洗い用洗浄組成物、毛髪用シャンプー、石鹸組成物である。
以上の実施形態の開示から明らかであるが、皮膚表面に接触させて使用される組成物を製造するための(A)成分の使用をも本願は開示する。
〔皮膚表面に着目した方法の発明〕
本願は、(B)成分が接触する皮膚表面に(A)成分を接触させる工程を含む方法を開示する。
上記方法において、(A)成分と(B)成分は皮膚表面に同時に接触して良い。また、いずれか一方が先に皮膚表面に接触しても良い。
上記方法は、(B)成分が誘起する痒みを緩和する方法等としてよい。なお、上記方法は非治療的な方法としても良い。
(B)成分は洗浄力を発揮するので、上記方法は、(A)成分及び(B)成分が皮膚表面に接触して使用される洗浄方法としてもよい。
上記方法において、(A)成分及び(B)成分が使用される形態は適宜選択可能である。例えば、上記皮膚表面に接触させて使用される組成物を使用して上記方法を実施してもよい。
上記皮膚表面に接触させて使用される組成物の実施形態を参照して上記方法を実施できる。
〔HDC抑制剤〕
本願は、(A)成分が配合されたHDC抑制剤を開示する。
HDC抑制剤の実施に関して、上記皮膚表面に接触させて使用される組成物の実施形態を参照できる。この場合、皮膚表面に接触させて使用される組成物の説明において、(A)成分をHDC抑制剤と解釈して参照しても良い。
更に、以下では、HDC抑制剤に特徴的な事項を個別に説明する。
HDC抑制剤が使用される対象は適宜選択可能である。当該対象としてヒトを含む動物が好ましく、ヒトがより好ましい。また、当該対象としてヒトを含む動物の皮膚表面が好ましく、ヒトの皮膚表面がより好ましい。
HDC抑制剤の使用形態は適宜選択可能である。例えば、経口投与、経皮投与、皮膚表面への接触等がある。好ましくは、皮膚表面への接触である。
HDC抑制剤は医薬品、医薬部外品又は化粧品として、痒みを伴う様々な症状の治療・予防のために用いることが好ましい。特に好ましいものの1例としては皮膚外用剤が挙げられるが、その他にも、内服薬、注射剤等として好ましく用いられる。一方、HDC抑制剤は医療行為に用いないものとしても良い。
HDC抑制剤は、皮膚表皮の痒みを緩和するために用いることができる。好ましくは、(B)成分が誘起する皮膚表皮の痒みを緩和するために用いる。また、HDC抑制剤は(B)成分が接触する皮膚表面において使用、外用されることが好ましい。
また、HDC抑制剤は、他用途の組成物に配合するための添加剤等としても使用できる。例えば、上述の洗浄用組成物に配合するための添加剤として使用できる。
以上の実施形態の開示から明らかであるが、HDC抑制剤を製造するための(A)成分の使用をも本願は開示する。
〔HDC抑制方法〕
本願は、(A)成分を使用するHDC抑制方法を開示する。
HDC抑制方法は、(B)成分が接触する皮膚表面に(A)成分を接触させる工程を含んでも良い。この場合、(A)成分と(B)成分は皮膚表面に同時に接触して良い。また、いずれか一方が先に皮膚表面に接触しても良い。
また、HDC抑制方法は、(A)成分及び(B)成分を使用し、HDCを抑制した洗浄方法とすることも好ましい。
上記皮膚表面に接触させて使用される組成物、HDC抑制剤の実施形態を参照してHDC抑制方法を実施できる。上記HDC抑制剤を使用してHDC抑制方法を実施してもよい。HDC抑制方法は非治療的な方法としても良い。
〔(A)成分〕
本発明の(A)成分は、プロアントシアニジン、並びに、その配糖体、アミノ酸修飾体、溶媒和物及び/又は塩からなる群から選ばれる1種以上である。好ましくは、プロアントシアニジン及びそのアミノ酸修飾体からなる群から選ばれる1種以上である。
上記配糖体を形成する糖として6炭糖(ヘキソース)を含むことが好ましい。当該6炭糖として、例えば、グルコース、ガラクトース等がある。これらの糖は(A)成分に1つ又は2つ以上結合していてよい。
上記アミノ酸修飾体は、α−アミノ酸の修飾体である。当該α−アミノ酸として、例えば、システイン、メチオニン等がある。好ましくはシステインである。システイン修飾されたプロアントシアニジンは「システイニル化プロアントシアニジン」である。
上記溶媒和物として、例えば、水和物、エタノール溶媒和物、メタノール溶媒和物、アセトニトリル溶媒和物等がある。プロアントシアニジンは種々の植物等から抽出可能であり、当該抽出作業で用いた抽出溶媒の溶媒和物であってもよい。
上記塩として、例えば、有機塩基(例えば、メチルアミン、トリエチルアミン、トリエタノールアミン)との塩、無機塩基との塩(例えばアンモニウム塩、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩)等がある。
(A)成分の由来は特に限定されない。生物由来のものであっても良いし、化学的に合成、処理されたものでも良いし、生物由来のものを化学的に処理したものでもよい。また、(A)成分を含む市販品を使用しても良い。上記(A)成分の由来生物として植物が好ましい。当該植物として、ライチ(ライチとして好ましくはライチ果実)、松(松として好ましくは松樹皮)、カカオ、ブドウ(ブドウとして好ましくはブドウ種子)、ソバ(ソバとして好ましくはソバの実)、アズキが好ましい。当該植物として、ライチ、ブドウ、松がより好ましい。
(A)成分の分子量は特に限定されない。例えば、分子量3000以下としてよく、分子量1500以下としてよい。また、例えば、分子量300以上としてよく、分子量500以上としてよい。
〔(B)成分〕
本発明の(B)成分はアニオン性界面活性剤及び両性界面活性剤から選ばれる1種以上である。本願発明者の知見によれば、(B)成分は皮膚表皮において低活性型のHDCを活性化し、痒みを誘起するおそれがある。
一方で、界面活性剤は洗浄力を発揮する。よって、通常、界面活性剤は洗浄用組成物の必須成分であり、洗浄方法においても使用される。洗浄用組成物の洗浄対象、並びに、洗浄方法の洗浄対象を考慮して、界面活性剤を適宜選択できる。
上記(B)成分は、発泡性、洗浄性の観点から、好ましくはアニオン性界面活性剤から選ばれる1種以上である。
上記アニオン性界面活性剤として、例えば、ラウリン酸ナトリウム等の脂肪酸塩型、サルコシン塩型、ラウリル硫酸ナトリウム等の硫酸エステル塩型、リン酸エステル塩型、カルボン酸エステル塩型、スルホン酸塩型、アミノ酸エステル塩型等のアニオン性界面活性剤がある。好ましくは、脂肪酸塩型、硫酸エステル塩型であり、より好ましくは脂肪酸塩型である。
上記両性界面活性剤として、例えば、ベタイン型、スルホベタイン型、アミノカルボン酸型等の両性界面活性剤がある。
〔その他の成分〕
本発明における上記(A)成分及び(B)成分に該当しないその他の成分として、例えば、上記(A)成分に該当しない植物由来の成分、カチオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、炭化水素、高級アルコール、脂肪酸と高級アルコールとのエステル、多価アルコール、シリコーン類、増粘剤、保存剤、pH調整剤、安定化剤、刺激軽減剤、防腐剤、着色剤、分散剤、香料、美白剤、保湿剤、収斂剤、抗酸化剤、抗シワ剤等がある。
また、本発明は、従来の痒みメカニズムである肥満細胞をターゲットとした公知の痒み抑制剤を併用しても良い。当該公知の痒み抑制剤として、例えば、クロルフェニラミン、ジフェンヒドラミン、リドカイン、ジブカイン、アミノ安息香酸エチル、シプロヘプタジン、ジフェニルピラリン、トリプロリジン、プロメタジン、ホモクロルシクリジン、アンモニア、カプサイシン、ノニル酸ワニリルアミド、サリチル酸、サリチル酸メチル、サリチル酸グリコール、アリメマジン、クレマスチン、メキタジン、デキサメタゾン、ベタメタゾン、吉草酸酢酸デキサメタゾン、吉草酸酢酸プレドニゾロン、酪酸ヒドロコルチゾン、酢酸プレドニゾロン、プレドニゾロン、酢酸ヒドロコルチゾン、ヒドロコルチゾン、酢酸コルチゾン、酪酸クロベタゾン、トリアムシノロンアセトニド、クロタミトン、チモール、オイゲノール、メントール、カンフル、ヒノキチオール、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、コンフリーエキス、シソエキス、セージエキス、ボタンピエキス、ボダイジュエキス等が挙げられ、これらの薬理学的に(製薬上)又は生理学的に許容される塩も挙げられる。
本発明の任意成分は、本発明の用途等に応じて適宜選択できる。
以下に本発明の実施例を記載する。本発明の技術的範囲は以下の実施例に限定されない。
〔実施例1〕HDC活性化率を用いた評価
(ヒト3次元培養皮膚)
ヒト3次元培養皮膚(以下、単に「培養皮膚」という)とは、ヒトの正常表皮細胞を用いて培養し重層化した培養皮膚(培養表皮)であって、形態的にヒト表皮に類似した構造(角質層、顆粒層、有棘層、基底層)を有しているため、実験動物による皮膚刺激性試験の代替材料として有用である。従って、この培養皮膚は、正確には「ヒト3次元培養表皮」であって、皮膚の真皮層を含んでいない。
本実施例では、培養皮膚としてジャパン・ティッシュ・エンジニアリング社のヒト三次元培養皮膚「LabCyte EPI-MODEL」を用い、図1に示す装置によって評価を行った。実施例、コントロール等では、それぞれ同一のサイズ(同一の角質層表面積)の培養皮膚を用いた。図1に示す装置と、これを用いた評価方法を以下に説明する。
(評価装置と評価方法)
図1に示す装置において、上端が開口した容器1には、培養カップ2のメンブランフィルター3を含む部分が浸漬される水位まで、予め、アッセイ培地4(上記LabCyte EPI-MODEL に付属のもの。)を充填した。次に培養カップ2のメンブランフィルター3上に、角質層5と層状部分6(顆粒層、有棘層及び基底層からなる)とを備える培養皮膚をセットしてから、培養カップ2を容器1に嵌め込んだ。
この状態で、まずインキュベーターを用いて、培養皮膚を37℃、5%COで1〜2時間のプレインキュベーションし培養皮膚を安定化させた。
次に、活性化誘導プロセスを実行した。具体的には、適宜な滴下用器具7を用い、培養皮膚の角質層5側に、活性化誘導物質(低活性型HDCの活性化を誘導する刺激性物質)であるラウリン酸ナトリウム(以下「SL」という。)の1(w/v)%水溶液100μlを滴下して培養皮膚に1分間刺激を加え、HDCの活性化誘導を促した。ここに、「(w/v)」のwはグラム(g)単位、vはml単位である(以下、同様)。
次いで1%SL水溶液を取り除き、蒸留水で3回培養皮膚を洗浄した。続いてインキュベーター内で37℃、5%COで3時間のポストインキュベーションを行った。
次に、前記滴下用器具7とは別の滴下用器具7を用い、下記の各被験物質の溶液である評価液8の200μlを角質層5上に滴下して暴露し(活性化阻害プロセス)、更に2時間ポストインキュベーションを実施した。
上記被験物質として、以下の4つエキスを使用した。
ライチエキス:製品名LFP(低分子化前ライチ由来プロアントシアニジンを含有する。アミノアップ化学社製)。
低分子化かつシステイニル化されたライチエキス:製品名オリゴノールCS(ライチ由来で、分子量が3000以下であるシステイニル化されたプロアントシアニジンを少なくとも30質量%以上、並びに、アスコルビン酸5質量%を含有する。アミノアップ化学社製)。
ブドウエキス:製品名グラヴィノール(プロアントシアニジンを約83質量%含有する。キッコーマン社製)。
松樹皮エキス:製品名ピクノジェノール(プロアントシアニジンを約60質量%含有する。DKSHジャパン社製)。
又、被験物質を含まない溶媒で処理した群を溶媒対照とし、比較に用いた。その他、上記プレインキュベーション及びポストインキュベーションと同様にインキュベーターにてインキュベーションは行ったが、SL刺激及び溶媒処理をしていない群を無処置とした。
なお、評価液8の調製にあたり、溶媒はDMSO及び水を用い、水:DMSO=99:1の体積混合比となるようにした。かつ、各被験物質の濃度を0.25(w/v)%にして評価液8とした。各評価液8に含まれるプロアントシアニジン量(オリゴノールCSではシステイニル化されたプロアントシアニジンを含んだ量。以下同様。)は約0.10〜0.22質量%とした。
上記エキスに含有されるプロアントシアニジン量の測定方法は以下の通り。上記各エキス20mgにメタノール100mlを加えて溶かし、この液1mlに、バニリンのメタノール溶液2ml及び硫酸/メタノール混液(1:4)2mlを加えると、液は橙色〜赤褐色を呈し、当該液の吸光度を測定してプロアントシアニジン量を求めた。また、各エキスについてMSDSにその量の記載がある場合は、当該測定に代えた。
上記ポストインキュベーション後、培養皮膚を回収し、タンパク抽出液であるSigma社製の Mammalian cell lysis kit (MCL1) で培養皮膚タンパクを抽出した。
このタンパク抽出液を遠心分離し上清をタンパク溶液とした。このタンパク溶液中のタンパク量を、タンパク定量キットであるGEヘルスケアバイオサイエンス社製の 2-D Quant Kit を用いて定量後、一定量のタンパクを還元剤である2−メルカプトエタノールを含むサンプルバッファーを加えて95℃で反応にかけることで、タンパク構造中のジスルフィド結合を切断した。これによって、高活性型HDC(53kDa)と低活性型HDC(74kDa)の分子量を反映した電気泳動が可能となる。
これらの処置を施したタンパク溶液をウエスタンブロッティングに供した。即ち、電気泳動用ゲル(インビトロジェン社製の NuPAGE 4%-12% Bis-tris gels)を用いて、200V、約100分で電気泳動を行った。その結果、分子量に応じてタンパクが分離された。次に、分離したタンパクをメンブレンに転写した。このメンブレンを免疫染色することで、HDC、β−actin(ハウスキーピングプロテインの1種)を検出した。β−actinはHDCの補正となる。
免疫染色時に使用する1次抗体としては抗HDC抗体rabbit polyclonal antibody against HDC(Progen Biotechnik GmbH, Heiderberg, Germany)を、2次抗体としては抗ウサギIgG抗体fluorophore-labeled donkey anti-rabbit IgG (H+L) antibody(Invitrogen Corp., Carlsbad, CA, USA)をそれぞれ用いた。
検出したHDCのバンドを画像解析ソフトScion Image(Scion. Corp., Frederick, MD, USA)を用いて数値化した。Scion Imageは、数値化したいタンパクのバンドを選択し、バンドの面積及び色調の濃さを読み取り、これに基づき当該タンパクの発現量に相当する数値を検出するソフトである。検出した数値に基づいて、下記の計算式によりHDC活性化率(X)を算出した。HDCと同様にβ−actinも検出した。その際に使用した1次抗体は抗β−actin抗体(rabbit polyclonal antibody against β−actin(Abcam, Tokyo, Japan))であり、2次抗体は前記の抗ウサギIgG抗体である。
X=〔(a1-53e/a1-74e)/(a2-53c/a2-74c)〕・・・(計算式)
上記の計算式において、「a1-53e」は1%SL水溶液でHDC活性化誘導を促した後に被験物質溶液を暴露した際の高活性型(53kDa)HDCのバンド数値(Scion Imageを用いたバンドの画像解析から得られた数値)であり、「a1-74e」は1%SL水溶液でHDC活性化誘導を促した後に被験物質溶液を暴露した際の低活性型(74kDa)HDCのバンド数値である。なお、無処置群では上述の通りSL刺激をしていないが、「a1-53e」及び「a1-74e」を求めた。一方、「a2-53c」は1%SL水溶液でHDC活性化誘導を促した後に、上記被験物質溶液に用いた溶媒のみを暴露した際の高活性型(53kDa)HDCのバンド数値であり、「a2-74c」は1%SL水溶液でHDC活性化誘導を促した後に上記被験物質溶液に用いた溶媒のみを暴露した際の低活性型(74kDa)HDCのバンド数値である。即ち、「a2-53c」及び「a2-74c」は溶媒対照群の平均値を使用した。
上記各被験物質、溶媒対照及び無処置について試験はそれぞれn=6とし、HDC活性化率(X)の平均値を求めた。溶媒対照のHDC活性化率(X)を1として対比すると、無処置は0.52であり、ライチエキスは0.93であり、低分子化かつシステイニル化されたライチエキスは0.74であり、ブドウエキスは0.49であり、松樹皮エキスは0.59であった。これらの結果を図2に示す。図2において、破線は無処置の値を示している。
溶媒対照に比べて、各被験物質はHDC活性化率が低かった。よって、プロアントシアニジン及びその一定の誘導体にはHDC抑制効果があると考えられた。
(MTT試験)
上記「評価装置と評価方法」において、タンパク抽出操作の前まで処理した培養皮膚を用いてMTTアッセイにより細胞生存率を求めた。MTTとは、3-(4,5-dimethythiazol-2-yl)-2,5-diphenyl tetrazolium bromideである。その結果、上記各被験物質、溶媒対照及び無処置の試験について細胞毒性は確認されなかった。
〔実施例2〕培養皮膚中及びアッセイ培地中のヒスタミン量の評価
前記培養皮膚を用いて、培養皮膚中及びアッセイ培地中のヒスタミン量、即ちケラチノサイト中に残留するヒスタミン量及びケラチノサイトからアッセイ培地に放出されたヒスタミン量を測定した。
1.0(w/v)%(pH=9.8)のSL水溶液を角質層5上に滴下し、1分後にSL水溶液を角質層5上から回収し、蒸留水で洗浄した後に3時間培養した。即ち、培養皮膚をSLで1分間刺激した。
次に、上記実施例1で使用した低分子化かつシステイニル化されたライチエキスの溶液(0.05(w/v)%溶液及び0.25(w/v)%溶液)である評価液8の200μlを角質層5上に滴下して暴露し(活性化阻害プロセス)、更に2時間ポストインキュベーションを実施した。
その後に培養皮膚及びアッセイ培地を回収し、培養皮膚中及びアッセイ培地中のヒスタミン量を測定キット(histamine enzyme immunoassay kit (Immunotech, Marseilles, France))を用いて測定した。
なお、無処置及び溶媒対照は実施例1と同様の条件とした。各試験はn=3とし、ヒスタミン量の平均値を求めた。
その結果、溶媒対照は3.84nMであり、無処置は0.73nMであり、上記被験物質の0.05(w/v)%溶液は1.49nMで溶媒対照と比べて61%の抑制率であり、上記被験物質の0.25(w/v)%溶液は0.72nMで溶媒対照と比べて81%の抑制率であった。
〔実施例3〕マウスの掻き行動の抑制効果
被験物質の痒み抑制効果を、SLの刺激により引き起こされるマウスの掻き行動に対する抑制効果によって評価した。被験物質は上記実施例1で使用した低分子化かつシステイニル化されたライチエキスであり、10(w/v)%で用いた。
方法:試験動物として7〜8週齢の雄性ICRマウスを用いた。試験を実施する少なくとも3日前にマウスの吻側背部の6cm(2×3cm)を剃毛した。以降、実施例3では剃毛した箇所を「吻側背部」として説明する。
−無処置の計測−
SL水溶液の塗布前2時間の時点で、被験物質塗布群(n=4)及び溶媒対照群(n=3)のマウスを4区画されたアクリル製ケージ(26×18×30cm)に1匹ずつ入れた。無人環境下で30分以上馴化した後、マウスの行動をビデオカメラにて30分間記録した。ビデオテープの再生により、記録されたマウスの掻き行動を観察し、後肢で吻側背部を掻き、後肢を降ろすという一連の掻き行動の回数を目視にて計測した。
−被験物質の評価−
被験物質塗布群及び溶媒対照群の各マウスの吻側背部に10%SL水溶液を50μl塗布して掻き行動を誘発した。
SL水溶液の塗布から90分後に、(1)被験物質塗布群には被験物質が10(w/v)%になるように50%エタノールにて調製した溶液を、(2)溶媒対照群には50%エタノールを、それぞれ吻側背部に50μl塗布した。その後、無人環境下で少なくとも30分以上馴化した後、マウスの行動をビデオカメラにて30分間記録した。ビデオテープの再生により掻き行動の回数を目視にて計測した。
−結果−
各群において、(a)30分間の掻き回数の平均値±標準誤差、(b)溶媒対照群における30分間の掻き回数を100%とした場合の百分率の平均値、の2項目を以下に示す。標準誤差については、マイクロソフトエクセルを使用してSEを求めた。
無処置群:(a)18±5 (b)なし。
溶媒対照群:(a)49±25 (b)100%
被験物質塗布群:(a)30±17 (b)61.2%
溶媒対照群と被験物質塗布群との対比から、被験物質の塗布により掻き回数が減少したと考えられた。被験物質は皮膚表皮におけるHDC抑制効果及びヒスタミン産生抑制効果が確認されている。よって、HDC抑制効果が確認された被験物質は痒み抑制効果があると考えられた。
〔実施例4〕
30〜45歳の健常な男女5名の協力により、以下の試験を行った。
−試験の各期間の説明−
馴化期間(試験開始〜7日まで):試験部位である両脚の脛部分においてボディソープ等の界面活性剤の使用を中止した期間。
界面活性剤使用期間(上記馴化期間後〜21日まで):両脚の試験部位を10(w/v)%SL水溶液で1日1回洗浄した期間。
界面活性剤・エキス併用期間(上記界面活性剤使用期間後〜35日まで):(i)両脚の試験部位を10(w/v)%SL水溶液で1日1回洗浄し、並びに、(ii)朝及び晩(風呂上り後)の1日2回、一方の脚の試験部位に下記表1のX液(コントロール)を塗布し、他方の脚の試験部位に下記表1のY液(上記実施例1で使用した低分子化かつシステイニル化されたライチエキスを含有)を塗布した期間。X液及びY液を左右いずれの脚にそれぞれ塗布し続けるかは、各員がランダムに決定した。以後、X液塗布群をプラセボ群と称し、Y液塗布群をサンプル群と称する。
〔表1〕
なお、上記表1において、各成分の含有量を示す数値の単位は質量%である。
−界面活性剤及び試験液の使用方法−
10(w/v)%SL水溶液:泡状にしてから試験部位に塗布し、試験部位を洗浄した。その後、38〜40℃程度の湯で試験部位から泡を十分に洗い流し、タオルドライした。なお、この処理は浴室内にて行った。
試験液(X液及びY液):試験液は試験部位に手で塗り広げ、その後、試験液は試験部位に塗ったままとした。
〔VAS(Visual Analog Scale)試験の説明〕
現在の痒みが10cmの直線上のどの位置にあるかを被験者に記入してもらった。「0」を「痒みはない」状態、「100」を「これ以上の痒みはないくらい痒い(これまで経験した一番強い痒み)」状態とした。この測定は、測定日の午前9:00頃に行った。
実施例4において、測定結果の値は、中央値(被験者5名のうちVASの値が上から3番目の人の値。)を採用した。
〔角層水分量測定の説明〕
角層水分量の測定には、高感度角層膜厚・水分計 ASA−MX(アサヒバイオメット社製)を使用した。
試験部位において、2cm(横)×2cm(縦)の四角の四隅に印をつけて測定部位を特定し、試験期間中に同じ部位を測定できるようにした。角層水分量は、2cm(横)×2cm(縦)の枠内の同一位置を3回測定し、その平均値を各被験者の角層水分量とした。角層水分量の測定結果は、被験者の角層水分量の平均値を採用した。なお、測定値の単位はμS(マイクロコンダクタンス)である。
測定は、温度20℃、湿度50%の恒温恒湿室内にておこなった。被験者は入室後、水で湿らせた脱脂綿にて測定部位を軽く拭き、その20分後に角層水分量を測定した。なお、測定は測定日の午前9:20頃に行った。
−試験及び結果−
(1)馴化期間の最終日にVAS試験と角層水分量測定を行い、それぞれ測定値を得た。
プラセボ(予定)群:VAS=0、角層水分量=4.1μS。
サンプル(予定)群:VAS=0、角層水分量=4.2μS。
(2)次に、界面活性剤使用期間の最終日にVAS試験及び角層水分量測定を行った。
プラセボ(予定)群 VAS=40、角層水分量=4.6μS。
サンプル(予定)群 VAS=40、角層水分量=4.6μS。
(3)次に、界面活性剤・エキス併用期間の開始後1週間でVAS試験及び角層水分量測定を行った。
プラセボ群 VAS=70、角層水分量=3.1μS。
サンプル群 VAS=40、角層水分量=3.3μS。
(4)次に、界面活性剤・エキス併用期間の最終日にVAS試験及び角層水分量測定を行った。
プラセボ群 VAS=50、角層水分量=2.6μS。
サンプル群 VAS=40、角層水分量=1.7μS。
−考察−
界面活性剤使用期間までは、プラセボ群及びサンプル群で測定結果に有意な差は認められなかった。
しかし、界面活性剤・エキス併用期間では、プラセボ群とサンプル群との間でVAS試験の結果において大きな差が認められた。一方で、角層水分量は有意な差が認められず、プラセボ群とサンプル群とで目視の肌状態は同等程度であった。
上記実施例1〜3の結果も考慮すると、プロアントシアニジン及びその一定の誘導体は皮膚表皮におけるHDC抑制により痒みを抑制していると考えられた。
〔実施例5〕
26〜32歳の健常な男女5名の協力により、以下の試験を行った。
−試験の各期間の説明−
馴化期間(試験開始〜7日まで):試験部位である両脚の脛部分においてボディソープ等の界面活性剤の使用を中止した期間。
界面活性剤・エキス併用期間(上記馴化期間後〜21日まで):下記表2のX液(コントロール)及びY液(上記実施例1で使用した低分子化かつシステイニル化されたライチエキスを含有)を用いて、1日1回、試験部位を洗浄した期間。なお、X液及びY液を左右いずれの脚にそれぞれ使用し続けるかは、各員がランダムに決定した。
〔表2〕
なお、上記表2において、各成分の含有量を示す数値の単位は質量%である。
−試験液(X液及びY液)の使用方法−
各液は泡状にしてから試験部位に塗布し、試験部位を洗浄した。その後、38〜40℃程度の湯で試験部位から泡を十分に洗い流し、タオルドライした。なお、この処理は浴室内にて行った。
−試験及び結果−
界面活性剤・エキス併用期間の最終日に、上記実施例4に記載のVAS試験を行った。
被験者のうち1名はX液の使用でも痒みを生じなかったため評価から除外した。このため、実施例5では中央値を採用した評価は行わなかった。界面活性剤・エキス併用期間最終日には、4人中2人がX液よりもY液を使用したほうが痒みが抑えられたと評価した。これら2人の被験者の評価を平均すると、X液と対比してY液でのVAS値が27低かった。
本願により、皮膚表皮のHDCに着目した有用な発明が提供される。
1 容器
2 培養カップ
3 メンブランフィルター
4 アッセイ培地
5 角質層
6 層状部分
7 滴下用器具
8 評価液

Claims (2)

  1. 下記(B)成分が接触する皮膚表面に接触させて使用される、下記(A)成分が配合された組成物。但し、ヒトに経口で摂取されるものを除く。
    (A)プロアントシアニジン、並びに、その配糖体、アミノ酸修飾体、溶媒和物及び/又は塩からなる群から選ばれる1種以上。
    (B)アニオン性界面活性剤及び両性界面活性剤から選ばれる1種以上。
  2. 下記(A)成分及び(B)成分が配合され、皮膚表面に接触させて使用される組成物。但し、ヒトに経口で摂取されるものを除く。
    (A)プロアントシアニジン、並びに、その配糖体、アミノ酸修飾体、溶媒和物及び/又は塩からなる群から選ばれる1種以上。
    (B)アニオン性界面活性剤及び両性界面活性剤から選ばれる1種以上。
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