JP2015193114A - 積層フィルム - Google Patents

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達朗 吉田
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Abstract

【課題】高温高湿処理後の密着性とオリゴマーの発生を抑制することが両立することができる積層フィルムを提供すること。【解決手段】ポリエステルフィルムの少なくとも片面に、アクリル樹脂を含む層を積層してなるフィルムであって、前記アクリル樹脂を含む層の表面をフーリエ変換型赤外分光法(FT−IR)にて測定したとき、1650cm−1に観察されるスペクトル強度(A1650)と、1730cm−1に観察されるスペクトル強度(A1730)の比(A1650/A1730)が、0.02以上0.065以下であることを特徴とする積層フィルム。【選択図】なし

Description

本発明は、ポリエステルフィルムの少なくとも片面に、アクリル樹脂とオキサゾリン架橋剤を含む塗料組成物から形成される層を積層してなるフィルムに関するものであり、特に、高温高湿処理後の密着性とオリゴマーの発生抑制を両立することができる積層フィルムに関するものである。
ポリエステルフィルムは、寸法安定性、機械的性質、耐熱性、電気的性質などに優れた性質を有することから、VHSテープ、オーディオテープ、コンピューターデータのバックアップテープなどに代表される磁気テープ、プリペイドカード、ICカード、光記録カードなどのカード類を含めた磁気記録材料、包装材料、電気絶縁材料、各種写真材料、グラフィックアーツ材料、ラベル材料などの多くの用途の基材フィルムとして広く使用されている。
これらの種々の用途に応じて、基材フィルムの上には、種々の機能層が設けられる。この場合、その機能層と基材フィルムとの密着性を高めるべく、基材フィルムの上に、接着層が設けられることが一般的である。基材フィルムと機能層との密着性が乏しいと界面で剥離し、例えば、磁気記録材料の用途においては、磁性層が均一に設けられない結果、磁性層の読み取り欠点となったり、また、包装材料や、電気製品等の筐体に用いられる場合には、加飾層の外観を損なうことになり、従来からポリエステルフィルムの表面に種々の方法による密着性付与の検討がなされてきた。
基材フィルムと機能層の間に密着性を付与する方法としては、基材となるポリエステルフィルムの表面のコロナ放電処理、紫外線照射処理、プラズマ処理等による表面活性化法、酸、アルカリ、アミン水溶液等の薬剤による表面エッチング法、フィルム表面にアクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ウレタン樹脂等の各種樹脂をプライマ層として設ける方法(特許文献1、特許文献2、特許文献3、特許文献4)が知られており、良好な密着性が得られている。
特開昭55−15825号公報 特開昭58−78761号公報 特開昭60−248232号公報 特開2004−195775号公報
しかし、上記特許文献に開示されるような方法で得られるフィルムは、当初は良好な密着性を示すものの、高温高湿下の長期間の使用においては密着強度の低下は避けられないものであった。このような密着性の低下のため、初期の密着性能が長時間維持しないという問題があった。
また、ポリエステルフィルムを基材フィルムとして種々の用途に使用される際には、用途に応じた加工がなされるが、その加工工程において、80℃〜200℃程度の熱処理を行われることが多い。例えば、ラベル用途では、加飾を施す面とは反対の面に、色味を与えるためにインクが積層されることがあり、そのインク層の乾燥工程で高温の熱負荷が掛けられる。その該工程で加えられる熱負荷によって、インク層とは反対の機能層を設ける面に、ポリエステルフィルムの樹脂中からポリエステルの環状三量体に代表される低重合体物(以下、オリゴマーという)が析出し、後の機能層を設けた際における意匠性が著しく低下するという課題を有している。
この加熱時のオリゴマー析出を抑制する方法としては、基材となるポリエステルフィルムの表面に架橋剤を多く含有する塗料組成物から形成される接着層を設けることによりオリゴマーの析出をブロックする方法が検討されている(特許文献4)。しかしながら、特許文献に記載のこれらの方法では、オリゴマーの析出を抑制出来る一方、接着層に多量の架橋剤を入れると、接着層の樹脂の柔軟性が低下し、高温高湿下での長期間の使用において密着性を維持できないという問題があった。
すなわち、従来の技術では、高温高湿処理後の密着性とオリゴマー析出抑制性を両立するフィルムを得ることが出来ていなかった。
本発明の課題は上記した従来技術の問題点を解消することにあり、本発明は、オリゴマーの発生の抑制と高温高湿処理後の密着性を両立する積層フィルムを安価に提供することを目的とする。
上記課題を解決するため本発明の積層フィルムは、主として次の構成を有する。
すなわち、
[I]ポリエステルフィルムの少なくとも片面に、アクリル樹脂とオキサゾリン架橋剤を含む塗料組成物から形成される層を積層してなるフィルムであって、
前記アクリル樹脂とオキサゾリン架橋剤を含む塗料組成物から形成される層の表面をフーリエ変換型赤外分光法(FT−IR)にて測定したとき、1650cm−1に観察されるスペクトル強度(A1650)と、1730cm−1に観察されるスペクトル強度(A1730)の比(A1650/A1730)が、0.02以上0.065以下であることを特徴とする積層フィルム。
[II]前記塗料組成物が、塗料組成物中の固形分に対して、オキサゾリン架橋剤を5重量%以上10重量%未満、アクリル樹脂を90重量%を超えて95重量%以下含むことを特徴とする[I]に記載の積層フィルム。
[III]前記塗料組成物中に含まれるアクリル樹脂のガラス転移温度Tg(℃)と、アクリル樹脂とオキサゾリン架橋剤を含む塗料組成物から形成される層の厚みTa(nm)と、ポリエステルフィルムの結晶サイズΧc(nm)が下記式を満足する[I]または[II]に記載の積層フィルム。
100≦(Tg × Ta/Xc)≦300
[IV]前記アクリル樹脂とオキサゾリン架橋剤を含む塗料組成物から形成される層の厚みTa(nm)が20nm以上80nm以下であることを特徴とする[I]〜[III]のいずれかに記載の積層フィルム。
[V]前記塗料組成物中に含まれるアクリル樹脂のガラス転移温度Tgが10℃以上30℃以下であることを特徴とする[I]〜[IV]のいずれかに記載の積層フィルム。
[VI]前記ポリエステルフィルムの結晶サイズΧcが5.5nm以上6.5nm以下であることを特徴とする[I]〜[V]のいずれかに記載の積層フィルム。
[VII]前記積層フィルムの初期ヘイズが1.0%以下であり、かつ、積層フィルムを180℃で15分間加熱したときのヘイズ変化量Δnが8.0%以下であることを特徴とする[I]〜[VI]のいずれかに記載の積層フィルム。
[VIII]ラベル用に使用することを特徴とする[I]〜[VII]のいずれかに記載の積層フィルム。
[IX]未配向または一軸配向ポリエステルフィルムの少なくとも片面に、オキサゾリン架橋剤を5重量%以上10重量%未満、アクリル樹脂を90重量%を超えて95重量%以下含む塗料組成物を含む塗液を塗布し、その後ポリエステルフィルムを一軸または二軸に延伸する工程を含むことを特徴とする[I]〜[VIII]のいずれかに記載の積層フィルムの製造方法。
[X]下記(1)〜(4)を満たすことを特徴とする[IX]に記載の積層フィルムの製造方法。
(1)未延伸ポリエステルフィルムを、長手方向に、延伸温度70〜120℃、延伸倍率2.5〜7倍で延伸して、一軸配向ポリエステルフィルムを得る工程を含むこと。
(2)(1)の工程で得られた一軸配向ポリエステルフィルムの少なくとも片面に、前記塗液を塗布し、その後、幅方向に、延伸温度90〜150℃、延伸倍率2.5〜5倍で延伸して、二軸配向ポリエステルフィルムを得る工程を含むこと。
(3)(2)の工程で得られた二軸配向ポリエステルフィルムを、160〜250℃で熱処理する工程を含むこと。
(4)塗液を塗布した後の工程において、フィルムが100℃以上に加熱される時間が10〜120秒の範囲であること。
本発明の積層フィルムは、各種塗料やインキとの密着性に優れると同時に高温高湿下の使用条件においてもその優れた密着性を維持可能であり、更に後次加工時において熱負荷が加えられてもオリゴマーの発生を抑制出来る。そのため、ラベル用途をはじめ、種々の用途に好適に使用することができる。
以下、その詳細について述べる。
本発明の積層フィルムは、ポリエステルフィルムの少なくとも片面に、アクリル樹脂とオキサゾリン架橋剤を含む塗料組成物から形成される層(以降、該層を積層膜と称する場合がある)を積層してなるフィルムである。本発明のポリエステルフィルムに用いられる樹脂としては、エステル結合を主鎖の主要な結合鎖とする高分子の総称であって、好ましいポリエステルとしては、エチレンテレフタレート、プロピレンテレフタレート、エチレン−2,6−ナフタレート、ブチレンテレフタレート、プロピレン−2,6−ナフタレート、エチレン−α,β−ビス(2−クロロフェノキシ)エタン−4,4’−ジカルボキシレートなどから選ばれた少なくとも1種の構成成分を主要構成成分とするものが挙げられる。これら構成成分は1種のみ用いても、2種以上併用してもよいが、中でも品質、経済性などを総合的に判断すると、エチレンテレフタレートを主要構成成分とするポリエステルを用いることが特に好ましい。
また、これらポリエステルには、更に他のジカルボン酸成分やジオール成分が一部、好ましくは20モル%以下共重合されていてもよい。更に、このポリエステル中には、各種添加剤、例えば、酸化防止剤、耐熱安定剤、耐候安定剤、紫外線吸収剤、有機の易滑剤、顔料、染料、有機または無機の微粒子、充填剤、帯電防止剤、および核剤などがその特性を悪化させない程度に添加されていてもよい。
上述したポリエステルの極限粘度(25℃のo−クロロフェノール中で測定)は、0.4〜1.2dl/gの範囲が好ましく、より好ましくは0.5〜0.8dl/gの範囲にあるものが本発明を実施する上で好適である。上記ポリエステルを使用したポリエステルフィルムは、下記する積層膜が設けられた状態においては二軸配向されたものであるのが好ましい。二軸配向ポリエステルフィルムとは、一般に、未延伸状態のポリエステルシートまたはフィルムを長手方向および幅方向に各々2.5〜5倍程度延伸され、その後、熱処理が施されて、結晶配向が完了されたものであり、広角X線回折で二軸配向のパターンを示すものをいう。
ポリエステルフィルムの厚みは特に限定されるものではなく、用途に応じて適宜選択されるが、機械的強度、ハンドリング性などの点から、通常1〜500μm、好ましくは5〜300μmである。また、得られたフィルムを各種の方法で貼り合わせて用いることもできる。
本発明の積層フィルムにおいて、積層膜の構成成分として塗料組成物に含まれるアクリル樹脂とは、後述するアクリルモノマーと必要に応じて他種モノマーを、乳化重合、懸濁重合などの公知のアクリル樹脂の重合方法によって共重合させることで得られる樹脂を表す。アクリルモノマーとしては、例えば、アルキルアクリレート、アルキルメタクリレート(アルキル基としてはメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、2−エチルヘキシル基、ラウリル基、ステアリル基、シクロヘキシル基、フェニル基、ベンジル基、フェニルエチル基など)、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレートなどのヒドロキシ基含有モノマー、アクリルアミド、メタクリルアミド、N−メチルアクリルアミド、N−メチルメタクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、N−メチロールメタクリルアミド、N,N−ジメチロールアクリルアミド、N−メトキシメチルアクリルアミド、N−メトキシメチルメタクリルアミド、N−フェニルアクリルアミドなどのアミド基含有モノマー、N,N−ジエチルアミノエチルアクリレート、N,N−ジエチルアミノエチルメタクリレートなどのアミノ基含有モノマー、グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレートなどのエポキシ基含有モノマー、アクリル酸、メタクリル酸およびそれらの塩(リチウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩など)などのカルボキシル基またはその塩を含有するモノマーなどを用いることができ、これら1種もしくは2種以上のモノマーを用いて共重合される。更に、これらは他種のモノマーと共重合することができる。
他種のモノマーとしては、例えば、アリルグリシジルエーテルなどのエポキシ基含有モノマー、スチレンスルホン酸、ビニルスルホン酸およびそれらの塩(リチウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩など)などのスルホン酸基またはその塩を含有するモノマー、クロトン酸、イタコン酸、マレイン酸、フマール酸およびそれらの塩(リチウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩など)などのカルボキシル基またはその塩を含有するモノマー、無水マレイン酸、無水イタコン酸などの酸無水物を含有するモノマー、ビニルイソシアネート、アリルイソシアネート、スチレン、ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルトリスアルコキシシラン、アルキルマレイン酸モノエステル、アルキルフマール酸モノエステル、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、アルキルイタコン酸モノエステル、塩化ビニリデン、酢酸ビニル、塩化ビニルなどを用いることができる。
また、該積層膜に用いることができるアクリル樹脂としては、変性アクリル共重合体、例えば、ポリエステル、ウレタン、エポキシなどで変性したブロック共重合体、グラフト共重合体なども可能である。
また、該アクリル樹脂の分子量は10万以上が好ましく、より好ましくは30万以上とするのが密着性の点で望ましい。
好ましいアクリル樹脂としては、メチルメタクリレート、エチルアクリレート、n−ブチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、アクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、グリシジルメタクリレート、アクリル酸から選ばれる共重合体などである。
該アクリル樹脂を水に溶解、乳化、あるいは懸濁し、水系アクリル樹脂として用いることが、環境汚染や積層時の防爆性の点で必要である。このような水系アクリル樹脂は、親水性基を有するモノマー(アクリル酸、メタクリル酸、アクリルアミド、ビニルスルホン酸およびその塩など)との共重合や反応性乳化剤や界面活性剤を用いた乳化重合、懸濁重合、ソープフリー重合などの方法によって作成することができる。
また、本発明の積層フィルムは、塗料組成物にオキサゾリン系架橋剤を含むことにより、得られる樹脂層の架橋度を高めてオリゴマーの析出抑制性を向上させ、また、樹脂層の接着性を良好にできる。本発明において、用いうるオキサゾリン系架橋剤は、該化合物中に官能基としてオキサゾリン基を有するものであれば特に限定されるものではないが、オキサゾリン基を含有するモノマーを少なくとも1種以上含み、かつ、少なくとも1種の他のモノマーを共重合させて得られるオキサゾリン基含有共重合体からなるものが好ましい。オキサゾリン基を含有するモノマーとしては、2−ビニル−2−オキサゾリン、2−ビニル−4−メチル−2−オキサゾリン、2−ビニル−5−メチル−2−オキサゾリン、2−イソプロペニル−2−オキサゾリン、2−イソプロペニル−4−メチル−2−オキサゾリン、2−イソプロペニル−5−エチル−2−オキサゾリンなどを用いることができ、これらの1種または2種以上の混合物を使用することもできる。中でも、2−イソプロペニル−2−オキサゾリンが工業的にも入手しやすく好適である。
オキサゾリン系架橋剤において、オキサゾリン基を含有するモノマーに対して用いられる少なくとも1種の他のモノマーとしては、該オキサゾリン基を含有するモノマーと共重合可能なモノマーであれば、特に限定されないが、例えば、アクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、アクリル酸エチル、メタクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、メタクリル酸ブチル、アクリル酸−2−エチルヘキシル、メタクリル酸−2−エチルヘキシルなどのアクリル酸エステルあるいはメタクリル酸エステル類、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、マレイン酸などの不飽和カルボン酸類、アクリロニトリル、メタクリロニトリルなどの不飽和ニトリル類、アクリルアミド、メタクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、N−メチロールメタクリルアミドなどの不飽和アミド類、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニルなどのビニルエステル類、メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテルなどのビニルエーテル類、エチレン、プロピレンなどのオレフィン類、塩化ビニル、塩化ビニリデン、フッ化ビニルなどの含ハロゲン−α,β−不飽和モノマー類、スチレン、α−メチルスチレンなどのα,β−不飽和芳香族モノマー類などを用いることができ、これらは1種または2種以上の混合物を使用することもできる。
また、積層膜中には本発明の効果が損なわれない範囲内で、各種の添加剤、例えば、酸化防止剤、耐熱安定剤、耐候安定剤、紫外線吸収剤、赤外線吸収剤、有機の易滑剤、顔料、
染料、有機または無機の微粒子、充填剤、帯電防止剤、核剤などが配合されていてもよい。
特に、積層膜中に無機粒子を添加したものは、易滑性や耐ブロッキング性が向上するので更に好ましい。この場合、添加する無機粒子としては、シリカ、コロイダルシリカ、アルミナ、アルミナゾル、カオリン、タルク、マイカ、炭酸カルシウムなどを用いることができる。添加する粒子量としては、特に限定されないが、初期ヘイズが1.0%以下となるように添加する事が好ましい。初期ヘイズが1.0%を超えると透明性を損なうために意匠性が悪くなる可能性がある。
また、本発明の積層フィルムは、積層フィルムを180℃で15分間加熱したときのヘイズ変化量Δnが8.0%以下であると、後次加工における熱負荷で発生するオリゴマーを抑制出来、機能層を設けた際の意匠性が良くなるため、好ましい。
本発明の積層フィルムは、各種塗料やインキとの常温・高温高湿化の密着性、後次加工におけるオリゴマー抑制の観点からポリエステルフィルムの少なくとも片面に、アクリル樹脂とオキサゾリン架橋剤を含む塗料組成物から形成される層を積層してなるフィルムであって、前記アクリル樹脂を含む層の表面をフーリエ変換型赤外分光法(FT−IR)にて測定したとき、1650cm−1に観察されるスペクトル強度(A1650)と、1730cm−1に観察されるスペクトル強度(A1730)の比(A1650/A1730)が、0.02以上0.065以下である必要がある。さらに、好ましくは0.05以上0.055以下であればより好ましい。フーリエ変換型赤外分光法(FT−IR)にて測定したとき、1650cm−1に観察されるスペクトル強度(A1650)は、オキサゾリン基から特異的に得られるピークである。すなわち、積層膜中に、架橋反応せずに残存するオキサゾリン系架橋剤の含有量を表す。また、1730cm−1に観察されるスペクトル強度(A1730)は、アクリル樹脂から特異的に得られるピークである。そのため、1650cm−1に観察されるスペクトル強度(A1650)と、1730cm−1に観察されるスペクトル強度(A1730)の比(A1650/A1730)は、アクリル樹脂を含む層に残存するオキサゾリン量の指標となる。A1650/A1730の値が低いと残存オキサゾリン量が小さいことになり、架橋度が高いということになる。A1650/A1730の値が高いと残存オキサゾリン量が多く、架橋度が低いという事になる。
A1650/A1730が、高い値となると(0.065を超える)と、架橋度が低くなるため、オリゴマー抑制性能が劣る。また、積層膜中に未反応のオキサゾリン系架橋剤が多く残存するため、その後の工程において他の機能層の成分と反応し、特性に悪影響を与える場合がある。また、A1650/A1730が、低い値となると(0.02未満である)と、架橋度が高くなるため、積層膜の柔軟性が低下し、各種塗料やインキとの初期密着性や、高温高湿処理後の密着性が劣る。また、積層膜中に残存する未反応のオキサゾリン系架橋剤が少なくなるため、高温高湿処理時にオリゴマーの析出を抑制性能が劣る。
本発明の積層フィルムのA1650/A1730を0.02以上0.065以下にするための方法としては、積層フィルムを、未配向または一軸配向ポリエステルフィルムの少なくとも片面に、オキサゾリン架橋剤を5重量%以上10重量%未満、アクリル樹脂を90重量%を超えて95重量%以下含む積層膜形成塗液を塗布し、その後ポリエステルフィルムを一軸または二軸に延伸する工程により得る方法が挙げられる。このとき、低温で短時間乾燥すると、A1650/A1730の値は高くなり、高温で長時間乾燥すると、A1650/A1730は低い値となる。
ポリエステルフィルムの少なくとも片面にアクリル樹脂を含む層を積層する方法としては、(i)ポリエステルフィルムの製造の工程内で積層膜形成塗液を塗布し、積層膜を形成せしめるインラインコート法と、(ii)ポリエステルフィルムの製膜工程とは別工程で積層膜形成塗液を塗布し、積層膜を形成せしめるオフラインコート法が挙げられる。
本発明の積層フィルムは、安価に提供するためには、インラインコート法で製造されることが好ましい。インラインコート法で実施することにより、結晶配向が完了する前のポリエステルフィルムに、積層膜形成塗液を塗布し、その後の、一軸又は二軸に延伸する工程、熱処理工程において、積層膜形成塗液を乾燥させつつ積層膜を形成せしめることにより、厚みムラが小さく、密着特性にムラのない均一な特性を有するフィルムを得ることができる。また、インラインコート法は、ポリエステルフィルムの製膜と積層膜の形成を同時に行うことができるため、オフラインコート法に比べて工程を少なくでき、歩留まり良く積層フィルムが製造できるため、好ましい。
上記のインラインコート法を用いた積層フィルムの製造方法において、以下(1)〜(4)を満たすと、均一な特性を有するフィルムを、生産性良く得ることができるため好ましい。
(1)未延伸ポリエステルフィルムを、長手方向に、延伸温度70〜120℃、延伸倍率2.5〜7倍で延伸して、一軸配向ポリエステルフィルムを得る工程を含むこと。
(2)(1)の工程で得られた一軸配向ポリエステルフィルムの少なくとも片面に、前記積層膜形成塗液を塗布し、その後、幅方向に、延伸温度90〜150℃、延伸倍率2.5〜5倍で延伸して、二軸配向ポリエステルフィルムを得る工程を含むこと。
(3)(2)の工程で得られた二軸配向ポリエステルフィルムを、160〜250℃で熱処理する工程を含むこと。
(4)(2)〜(3)の工程において、フィルムが100℃以上に加熱される時間が10〜120秒の範囲であること。
積層フィルムを、(1)〜(3)を満たす条件で得ることにより、ポリエステルフィルムの結晶サイズΧcを好ましい範囲とすることでき、オリゴマー析出抑制性を良好に維持しつつ、良好な機械的特性を有するフィルムを得ることができる。
また、本発明の積層フィルムは、ポリエステルフィルムの少なくとも片面に、積層膜形成塗液を塗布した後、フィルムが100℃以上に加熱される時間が10〜120秒の範囲とすることが好ましい。積層膜形成塗液を塗布した後、フィルムが100℃以上に加熱される時間が10〜120秒の範囲となるように、ポリエステルフィルムと積層膜に与える熱負荷を制御することにより、アクリル樹脂とオキサゾリン架橋剤の架橋反応を制御することが出来るため、積層膜中の残存オキサゾリン量の指標であるA1650/A1730を上記の好ましい範囲に均一に、かつ、生産性良く得ることが調整することができるため、好ましい。フィルムが100℃以上に加熱される時間は、20〜120秒の範囲であることが、より好ましい。
また、フィルム上への積層膜形成塗液の積層方法としては、各種の積層方法、例えば、リバースコート法、グラビアコート法、ロッドコート法、バーコート法、マイヤーバーコート法、ダイコート法、およびスプレーコート法などを用いることができる。
この場合に用いる積層液は環境汚染や防爆性の点で水系のものが好ましい。
本発明においては、塗液を積層する前に、基材フィルムの表面(上記例の場合、一軸延伸フィルム)にコロナ放電処理などを施し、表面の濡れ張力を、好ましくは47mN/m以上、より好ましくは50mN/m以上とすることが、積層膜の基材フィルムとの密着性を向上させたり、積層欠点を解消することができるため好ましく採用される。
本発明の積層フィルムは、アクリル樹脂とオキサゾリン架橋剤を含む塗料組成物から形成される層の厚みTa(nm)、前記塗料組成物中に含まれるアクリル樹脂のガラス転移温度Tg、ポリエステルフィルムの結晶サイズXcの関係が下記式(1)を満足する事が好ましい。式(1)の範囲内にすることにより、各種塗料やインキとの常温・高温高湿化の密着性、後次加工におけるオリゴマー抑制を達成する事が出来る。
式(1):100≦(Tg × Ta/Xc)≦300
前記塗料組成物中に含まれるアクリル樹脂のガラス転移温度Tgは、高い方が、オリゴマー抑制に効果があるが、樹脂の柔軟性が低下し、積層膜のひび割れ等が発生し、密着性が低下する可能性がある。また、積層膜にひび割れが発生すると、オリゴマー析出抑制性や、高温高湿処理後の密着性も低下してしまう。一方、アクリル樹脂とオキサゾリン架橋剤を含む塗料組成物から形成される層の厚みTaは、薄い方が、積層膜のひび割れを抑制することが出来ると考えられる。塗料組成物中に含まれるアクリル樹脂のガラス転移温度Tgが低い場合、オリゴマー抑制効果が低下するが、アクリル樹脂とオキサゾリン架橋剤を含む塗料組成物から形成される層の厚みTaを厚くすることにより、オリゴマーを抑制出来る。ただし、アクリル樹脂とオキサゾリン架橋剤を含む塗料組成物から形成される層の厚みを厚くしすぎても、柔軟性が低下し、積層膜にひび割れ等が発生する。また、ポリエステルフィルムの結晶サイズXcは、大きくすると、ポリエステルフィルム内にあるオリゴマーが表面に析出されやすくなるため、積層フィルムのオリゴマー析出抑制性が低下する傾向にある。が、Tg・Taを大きくする事により、オリゴマーを抑制出来ると考えられる。
そのため、上記式(1)を満たす範囲とすることで、オリゴマー析出抑制性、初期密着性、高温高湿処理後の密着性を良好にすることができる。
本発明の式(1)を満足するフィルムを得るための好ましい方法は、溶融押し出しされた結晶配向前のポリエステルフィルムを長手方向に延伸温度70〜120℃で2.5〜5倍程度延伸し、一軸延伸されたフィルムに、オキサゾリン架橋剤を5重量%以上10重量%未満、アクリル樹脂を90重量%を超えて95重量%以下含む塗料組成物を含む塗液を塗布し、その後、幅方向に、延伸温度90〜150℃、延伸倍率2.5〜5倍で延伸して、二軸配向ポリエステルフィルムを得た後、得られた二軸配向ポリエステルフィルムを、160〜250℃で熱処理し、積層膜形成塗液を塗布後のフィルムが100℃以上に加熱される時間が10〜120秒の範囲である方法である。積層膜形成塗液に含有する、アクリル樹脂のガラス転移点Tgは、10〜30℃が好ましい。更により好ましくは15℃〜25℃である。Tgが低くなると高温高湿下の密着性が劣る傾向があり、逆に高すぎる場合は、積層層の樹脂の柔軟性が低下し、常温時の初期密着性・高温高湿処理後の密着性が低下する。
アクリル樹脂のTgを上記値にする好ましい方法としては、アクリル樹脂を合成する原料であるアクリルモノマーの基本骨格や官能基を変えることでアクリル樹脂中の分子運動を制御する方法が挙げられる。
また、積層膜の厚みTaとしては、10〜100nmの範囲が好ましく、好ましくは20〜80nmの範囲であり、より好ましくは20〜70nmの範囲である。積層膜の厚みが薄すぎると密着性不良となる場合があり、厚すぎると、柔軟性が低下し、積層膜にひび割れ等が発生し、密着不良となる場合がある。
積層膜の厚みの制御方法としては、特に限定されない。例えば、積層膜をバーコート法を用いてポリエステルフィルムの少なくとも片面に塗布・形成せしめるのであれば、走行するフィルムに塗液を塗布し、過剰に塗布された前記塗液をワイヤーバーを用いてかき落として塗布厚みを制御する。その際に使用するバー径を換える事により、塗布厚みを調整する事が出来、得られる積層膜の厚みを調整することができる。
ポリエステルフィルムの結晶サイズXcについては、特に限定されないが、オリゴマー抑制の観点から結晶サイズXcを5.5nm以上6.5nm以下であることが、オリゴマー析出抑制性、機械的特性の観点から好ましい。結晶サイズが6.5nmを超える場合は、ポリエステルフィルム内にあるオリゴマーが表面に析出されやすい状態となるため、オリゴマー析出抑制が劣る可能性がある。また、5.5nm未満である場合は、ポリエステルフィルムの機械的特性(強度・熱収縮率等)が十分でなく、後次加工でかかる物理的負荷・熱負荷により、不具合が発生する場合がある。
次に、本発明の積層フィルムの製造方法について、ポリエチレンテレフタレート(以下、「PET」と略称する)をポリエステルフィルムとした例について説明するが、これに限定されるものではない。本発明の上述した各種塗料やインキとの密着性に優れると同時に、高温高湿下での密着性にも優れた積層フィルムは、ポリエステルフィルムの少なくとも片面に、上記したアクリル樹脂を含む層を積層することによって製造することができる。
より具体的には、例えば極限粘度0.5〜0.8dl/gのPETペレットを真空乾燥した後、押し出し機に供給し、260〜300℃で溶融し、T字型口金よりシート状に押し出し、静電印加キャスト法を用いて表面温度10〜60℃の鏡面キャスティングドラムに巻き付けて、冷却固化せしめることにより、未延伸PETフィルムを作成する。
次に、この未延伸フィルムを70〜120℃に加熱されたロール間で縦方向(フィルムの進行方向、長手方向ともいう)に2.5〜7倍延伸する。このフィルムの少なくとも片面にコロナ放電処理を施し、ポリエステルフィルム表面の濡れ張力を47mN/m以上とし、その処理面に本発明に係る積層膜形成塗液を塗布する。
この積層膜形成塗液が塗布されたフィルムの端部をクリップで把持して90〜150℃に加熱された熱風ゾーンに導き、積層膜形成塗液の溶媒を乾燥した後、幅方向に2.5〜5倍延伸し、引き続き160〜250℃の熱処理ゾーンに導き、1〜30秒間の熱処理を行い、結晶配向を完了させる。この熱処理工程中で必要に応じて幅方向あるいは長手方向に3〜12%の弛緩処理を施してもよい。
また、ポリエステルフィルムの厚みは特に限定されるものではないが、5〜300μmが好ましく用いられる。この場合に用いられる塗液は環境汚染や防爆性の点で水系が好ましい。
このようにして得られる本発明の積層フィルムは、紫外線硬化インキといった各種機能層との初期密着性に優れると同時に、高温高湿下で使用条件下においてもその優れた密着性を維持可能であり、更に後次加工におけるオリゴマーの析出を抑制する事が出来る。したがって、本発明の積層フィルムは、高温条件下で処理する工程が含まれるラベル用途に好適に用いることができる。
なお、本発明における評価方法、評価基準は次の通りである。
(1)初期ヘイズ
スガ試験器製、ヘイズメーターを使用し、JIS−K7105(1981/03/01制定)に従って測定した。任意の6箇所について測定した平均を初期ヘイズとして求めた。
(2)加熱後のヘイズ変化量(Δn)
フィルムを15分間180℃のオーブンの中で加熱し、取り出したフィルムを冷却後、任意の6箇所について上記した(1)の方法で測定し、その平均を加熱後のヘイズとした。ヘイズ変化量Δnは加熱後のヘイズから加熱前のヘイズ(初期ヘイズ)を差し引いて求めた。
(3)密着性評価
(密着性−1:初期接着性)
紫外線硬化型インキとして下記に示す紫外線硬化樹脂を用い、これを積層フィルム上にロールコート法で積層し、積層膜上に約1.5μm厚みの塗膜を形成した。その後、照射強度80W/cmの紫外線ランプを用い、照射距離(ランプとインキ面の距離)9cmで5秒間照射し、紫外線硬化型インキを硬化させた。塗料乾燥膜に1mmのクロスカットを100個入れ、“セロテープ”(登録商標)(ニチバン(株)製CT405AP)をその上に貼り付け、ハンドローラーで1.5kg/cmの荷重で押しつけた後、90度方向に剥離した。残存したクロスカットの個数により4段階評価(◎:100個残存、○:80個以上100個未満、△:50個以上80個未満、×:0個以上50個未満)を行なった。残存したクロスカットの個数は、3回実施した平均値とし、(◎)、(○)を密着性良好とした。
(密着性−2:高温高湿処理後の接着性)
上記(3)と同様にして積層膜上に下記の紫外線硬化型インキの硬化膜を設けた後、恒温恒湿槽中で60℃、95%RHの環境下7日間(188時間)放置した。その後、上記(3)と同様の方法で紫外線硬化樹脂層とベースフィルムの密着性を求め、密着性の評価を行った。
(紫外線硬化樹脂)
東洋インキ(株)社製、FDカルトンX白
東洋インキ(株)社製、FDカルトンX黒
(株)T&KTOKA社製、UV161白
(株)T&KTOKA社製、UV161藍
(株)T&KTOKA社製、UV161黒
(4)A1650、A1730(フーリエ変換型赤外分光法(FT−IR)の測定)
積層フィルムから積層膜を分離し、分離した積層膜をフーリエ変換型吸収赤外分光法を測定し、得られたスペクトルからA1650、A1730を求めた。
積層膜の分離方法としては、光学顕微鏡による観察下で、カミソリ刃を用い、該積層フィルム表層を採取した後、該採取物をヘキサフルオロイソプロパノールに浸漬させ、ポリエステルを溶解除去し、積層膜を採取した。
フーリエ変換型赤外分光法(FT−IR)の測定は、下記に示す条件により全反射吸収赤外分光法で測定した。A1650は、1650±10cm−1の領域に吸収極大を持つ吸収ピークの高さの値(A1650)とし、A1730は、1730±10cm−1の領域に吸収極大を持つ吸収ピークの高さの値(A1730)とした。ベースラインはそれぞれの極大吸収ピークの両側の袖を結ぶ線とした。
(測定条件)
装置:IRμs.(Spectra−Tech社製)
光源:炭化ケイ素焼結体(グローバ)
検知器:Narrow・MCT
パージ:窒素ガス
分解能:8cm−1
積算回数:128回
測定方法:透過法
測定波長範囲:4000〜650cm−1
(5)積層膜の厚み
日立製作所(株)製透過型電子顕微鏡HU−12型を用い、積層膜を設けた積層ポリエステルフィルムの断面を観察した写真から求めた。厚みは測定視野内の30個の平均値とした。
(6)結晶サイズXcの測定
(100)面の結晶サイズをX線回折装置によりScherrerの式を用いて求めた。ここで、測定X線波長は0.15418nm(CuKα)であり、(100)面の回折はブラッグ角度約25.8°に観測された。測定は下記の装置を用いて実施した。
X線回折装置:スペクトリス社製X’pert Pro MPD型(PW3040/60)、
X線源:CuKα線(Niフィルター使用)、
出力:45kV 40mA、
ゴニオメータ:スペクトリス社製、
スリット:0.1mmφ−1゜−1゜、
検出器:シンチレーションカウンター、
計数記録装置:スペクトリス社製。
(7)アクリル樹脂のガラス転移点Tgの測定
アクリル樹脂のガラス転移点Tgの測定は、JIS K7121に準拠し、示差走査熱量計(セイコーインスツルメンツ株式会社製、DSC6200)を使用して、DSC曲線からガラス転移開始転移温度をTgとし、求めた。
測定条件
(a)測定温度範囲:0〜200℃
(b)昇温速度:20℃/min
(c)窒素ガスフロー有り。
実施例1
平均粒径0.4μmのコロイダルシリカを0.012重量%、および平均粒径2.0μmのコロイダルシリカを0.006重量%含有するPETペレット(極限粘度0.63dl/g)を充分に真空乾燥した後、押し出し機に供給し285℃で溶融し、T字型口金よりシート状に押し出し、静電印加キャスト法を用いて表面温度20℃の鏡面キャスティングドラムに巻き付けて冷却固化せしめた。
この未延伸フィルムを95℃に加熱して長手方向に3.5倍延伸し、一軸延伸フィルムとした。このフィルムに空気中でコロナ放電処理を施し、基材となるポリエステルフィルムの濡れ張力を52mN/mとし、その処理面に下記の積層膜形成塗液を塗布した。この積層膜形成塗料の固形分の内訳はTg27℃のアクリル樹脂90重量%、オキサゾリン系架橋剤9重量%、シリカ粒子1重量%の割合であった。アクリル樹脂としては、変性アクリル樹脂(エマルジョン粒子径10〜100nm)を使用した。オキサゾリン架橋剤は“エポクロス”(登録商標)WS−500((株))日本触媒製)を用いた。シリカ粒子は、スフェリカ(登録商標)スラリー140日揮触媒化成(株)製を用いた。
塗布された一軸延伸フィルムをクリップで把持しながら予熱ゾーンに導き、110℃で乾燥後、引き続き連続的に110℃の加熱ゾーンで幅方向に3.8倍延伸し、更に225℃の加熱ゾーンで熱処理を施し、結晶配向の完了した積層フィルムを得た。塗液を塗布してからフィルム温度が100℃以上となる時間は35秒になる。
得られた積層フィルムにおける基材PETフィルム厚みは25μm、積層膜厚みTaは60nmであった。この積層フィルムの評価結果を表1に示す。
実施例2
積層膜形成塗料に使用するアクリル樹脂のTgを30℃に変更し、更に積層膜厚みTaを25nmに調整した。それ以外は、実施例1と同様にして、積層フィルムを得た。
実施例3
積層膜形成塗料に使用するアクリル樹脂のTgを20℃に変更し、更に積層膜厚みTaを55nmに調整した。それ以外は、実施例1と同様にして、積層フィルムを得た。
実施例4
積層膜形成塗料に使用するアクリル樹脂のTgを10℃に変更した。それ以外は、実施例1と同様にして、積層フィルムを得た。
実施例5
積層膜形成塗料に使用するアクリル樹脂のTgを20℃に変更し、更に積層膜厚みTaを80nmに調整した。それ以外は、実施例1と同様にして、積層フィルムを得た。
実施例6
積層膜形成塗料に使用するアクリル樹脂のTgを7.5℃に変更し、更に積層膜厚みTaを80nmに調整した。それ以外は、実施例1と同様にして、積層フィルムを得た。
実施例7、8
塗液を塗布してからフィルム温度が100℃以上となる時間を変更した以外は、実施例1と同様にして、積層フィルムを得た。
実施例9
厚みが25μmの二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム(東レ(株)製 T60タイプ)の片面に、実施例1で使用した積層膜形成塗料をワイヤーバーで塗工し、110℃で35秒乾燥し、乾燥厚みが60nmとなるように積層したフィルムを得た。
比較例1
積層膜厚みTaを10nmに調整した。それ以外は、実施例1と同様にして、積層フィルムを得た。
比較例2
積層膜形成塗料に使用するアクリル樹脂のTgを300℃に変更し、更に積層膜厚みTaを20nmに調整した。それ以外は、実施例1と同様にして、積層フィルムを得た。
比較例3
積層膜厚みTaを95nmに調整した。それ以外は、実施例1と同様にして、積層フィルムを得た。
比較例4
塗液中のアクリル樹脂、オキサゾリン系架橋剤の量を表に記載の値に変更した以外は、実施例1と同様にして、積層フィルムを得た。
比較例5
塗液中のアクリル樹脂、オキサゾリン系架橋剤の量を表に記載の値に変更した以外は、実施例1と同様にして、積層フィルムを得た。
比較例6
積層膜形成塗料に使用する架橋剤をカルボジイミド系架橋剤に変更し、塗液中のアクリル樹脂、カルボジイミド系架橋剤の量を表に記載の値に変更し、積層膜厚みTaを95nmに変更した以外は、実施例1と同様にして、積層フィルムを得た。カルボジイミド系架橋剤として、“カルボジライト”(登録商標)V02−L2(日清紡ケミカル(株)製)を用いた。
比較例7
積層膜形成塗料に使用する架橋剤をカルボジイミド系架橋剤に変更し、塗液中のアクリル樹脂、カルボジイミド系架橋剤の量を表に記載の値に変更した以外は、実施例1と同様にして、積層フィルムを得た。
比較例8
塗液を塗布してからフィルム温度が100℃以上となる時間を変更した以外は、実施例1と同様にして、積層フィルムを得た。
Figure 2015193114
Figure 2015193114
本発明のフィルムは、高温高湿処理後の密着性とオリゴマーの発生を抑制することが両立することができるため、磁気記録材料、包装材料、電気絶縁材料、各種写真材料、グラフィックアーツ材料、ラベル材料の各用途に好ましく用いることができ、特にラベル材料に好適に用いることができる。

Claims (10)

  1. ポリエステルフィルムの少なくとも片面に、アクリル樹脂とオキサゾリン架橋剤を含む塗料組成物から形成される層を積層してなるフィルムであって、
    前記アクリル樹脂とオキサゾリン架橋剤を含む塗料組成物から形成される層の表面をフーリエ変換型赤外分光法(FT−IR)にて測定したとき、1650cm−1に観察されるスペクトル強度(A1650)と、1730cm−1に観察されるスペクトル強度(A1730)の比(A1650/A1730)が、0.02以上0.065以下であることを特徴とする積層フィルム。
  2. 前記塗料組成物が、塗料組成物中の固形分に対して、オキサゾリン架橋剤を5重量%以上10重量%未満、アクリル樹脂を90重量%を超えて95重量%以下含むことを特徴とする請求項1に記載の積層フィルム。
  3. 前記塗料組成物中に含まれるアクリル樹脂のガラス転移温度Tg(℃)と、アクリル樹脂とオキサゾリン架橋剤を含む塗料組成物から形成される層の厚みTa(nm)と、ポリエステルフィルムの結晶サイズΧc(nm)が下記式を満足する請求項1または2に記載の積層フィルム。
    100≦(Tg × Ta/Xc)≦300
  4. 前記アクリル樹脂とオキサゾリン架橋剤を含む塗料組成物から形成される層の厚みTa(nm)が20nm以上80nm以下であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の積層フィルム。
  5. 前記塗料組成物中に含まれるアクリル樹脂のガラス転移温度Tgが10℃以上30℃以下であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の積層フィルム。
  6. 前記ポリエステルフィルムの結晶サイズΧcが5.5nm以上6.5nm以下であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の積層フィルム。
  7. 前記積層フィルムの初期ヘイズが1.0%以下であり、かつ、積層フィルムを180℃で15分間加熱したときのヘイズ変化量Δnが8.0%以下であることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の積層フィルム。
  8. ラベル用に使用することを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の積層フィルム。
  9. 未配向または一軸配向ポリエステルフィルムの少なくとも片面に、オキサゾリン架橋剤を5重量%以上10重量%未満、アクリル樹脂を90重量%を超えて95重量%以下含む塗料組成物を含む塗液を塗布し、その後ポリエステルフィルムを一軸または二軸に延伸する工程を含むことを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の積層フィルムの製造方法。
  10. 下記(1)〜(4)を満たすことを特徴とする請求項9に記載の積層フィルムの製造方法。
    (1)未延伸ポリエステルフィルムを、長手方向に、延伸温度70〜120℃、延伸倍率2.5〜7倍で延伸して、一軸配向ポリエステルフィルムを得る工程を含むこと。
    (2)(1)の工程で得られた一軸配向ポリエステルフィルムの少なくとも片面に、前記塗液を塗布し、その後、幅方向に、延伸温度90〜150℃、延伸倍率2.5〜5倍で延伸して、二軸配向ポリエステルフィルムを得る工程を含むこと。
    (3)(2)の工程で得られた二軸配向ポリエステルフィルムを、160〜250℃で熱処理する工程を含むこと。
    (4)塗液を塗布した後の工程において、フィルムが100℃以上に加熱される時間が10〜120秒の範囲であること。
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