JP2015193029A - 溶接用開先、溶接構造及びその検査方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 裏波を形成しない突合せ溶接において、溶接ビード深さが不足した溶け込み不良と、溶接ビード深さが過剰で内面への裏波の突出不良とを検出可能で、以て接合部における溶接状態の良否を判定することができる溶接用開先、溶接構造及びその検査方法を提供する。【解決手段】 一対の部材同士を突合せ溶接するための開先であって、両部材の端部には、突合されて形成される開先部とルート面とを設けるとともに、少なくとも一方の部材のルート面に第1及び第2の凹部を設け、前記第1の凹部は溶接ビードが到達する位置に形成され、前記第2の凹部は部材の裏面に隣接して形成され、前記第1及び前記第2の凹部は、ルート面間に画成された角形状の空隙からなり、前記空隙は隅部または角部を有する溶接用開先とする。【選択図】 図1

Description

本発明は、裏波を形成しない突合せ溶接による接合部における溶接状態の良否を判定するための溶接用開先、溶接構造及びその検査方法に関するものである。
一般に配管同士をアーク溶接やレーザー溶接により突合せ溶接する場合、接合部の溶接強度を高めるために、溶接ビードを配管の開先を形成した外面(表面側)から内面(裏面側)まで溶け込ませて内面に溶接ビード、いわゆる裏波と呼ばれる突出する余盛り部を形成して溶接する片面からの完全溶け込み溶接(裏波溶接)が広く採用されている。
しかし、管状部材のなかには配管の内面に裏波として突出する余盛り部が配管内を流れる流体の抵抗や乱流の原因となったり、突出した裏波が剥離、脱落して流体に混入して下流で他部材の閉塞や損傷といった不具合を招くおそれがあるため裏波を形成した溶接構造が好ましくない部材もある。例えば自動車等の内燃機関の排気系部品である排気マニホルドと過給機のハウジングなどの管状部材同士を裏波溶接した溶接構造の場合、配管の内面は高温の排気ガスの通路となるため、内面に生じた裏波が排気ガスの抵抗や乱流となって円滑な排気を妨げたり、場合によっては裏波の一部が剥離、脱落して下流に配設された過給機のタービンブレードや触媒担体を損傷するおそれがある。このように配管の内面に裏波が突出することが好ましくない管状部材の場合には、裏波を形成しない溶接構造とすることも提案されている。
例えば、特許文献1には、配管同士をアーク溶接により接続する場合に、配管の内壁面に突出する溶接垂れ(裏波)を生ずることなく、配管内において好適に流体が流れるように配管同士を接続することが可能な配管接合方法として、一方の配管の端面の内周側に、配管の軸方向外側に突出する内側環状突出部を形成し、他方の配管の端面に軸方向外側に突出する外側環状突出部を形成し、内側環状突出部に外側環状突出部を嵌め合わせて、配管の内壁面が平坦となるよう形成して溶接するようにした配管接合方法が開示されている。
ところで、突合せ溶接後に接合部における溶接状態の良否を判定する場合、完全溶け込み溶接では裏面側の溶接ビードである裏波の有無や形態を目視で確認することで溶接状態の良否を判定している。しかし、目視による裏波の確認が困難な配管、容器などの中空部を有する溶接構造物では超音波探傷試験や放射線透過試験といった非破壊検査により溶接状態の良否を判定する必要がある。裏波を形成する溶接構造においては、溶接強度を確保するために接合部に溶け込み不良を生ずることなく溶接ビードが外面から内面まで完全に溶け込んでいることを非破壊検査により判定している。
例えば、特許文献2には、超音波探傷による非破壊検査で行う溶け込み不良による溶接欠陥の検出に対応可能な突合せ溶接継手の開示がある。それによれば、被溶接材の突合せ位置の一方側から溶接する突合せ溶接継手において、少なくとも一方の被溶接材について、溶接施工側とは反対側における他方の被溶接材と対向するエッジ部に面取を施した突合せ溶接継手とすることで、溶け込み不良の場合に面取を施した部分で超音波の反射エコーが大きくなるようにして、溶け込み不良を判定するというものである。
特開2009−291828号公報 特開平6−167479号公報
しかしながら、排気系部品や特許文献1に記載された配管のように、その内面に裏波を形成させない溶接構造においては、接合部の所定の溶接強度を得るために、必要な溶け込み深さを確保しつつ、一方では流体への抵抗、乱流、その剥離、脱落といった裏波に起因する不具合を生じないように、配管の内面に裏波が突出していないことが要求される。したがって、裏波を形成させない溶接構造物の接合部の溶接状態の良否を判定する場合には、溶接ビード深さが不足した溶け込み不良と、溶接ビード深さが過剰な内面への裏波の突出不良と、の両方を判定する必要がある。特許文献2に記載の溶接継手では、溶接ビード深さが不足した溶け込み不良は判定できても、溶接ビード深さが過剰な内面への裏波の突出不良は判定できない。
本発明は、上記の従来技術の課題に鑑み、裏波を形成しない突合せ溶接において、溶接ビード深さが不足した溶け込み不良と、溶接ビード深さが過剰で内面への裏波の突出不良とを検出可能で、以て接合部における溶接状態の良否を判定することができる溶接用開先、溶接構造及びその検査方法を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明の溶接用開先は、一対の部材同士を突合せ溶接するための開先であって、両部材の端部には、突合されて形成される開先部とルート面とを設けるとともに、少なくとも一方の部材のルート面に第1及び第2の凹部を設け、前記第1の凹部は溶接ビードが到達する位置に形成され、前記第2の凹部は部材の裏面に隣接して形成され、前記第1及び前記第2の凹部は、ルート面間に画成された角形状の空隙からなり、前記空隙は隅部または角部を有していることを特徴とする。
本発明の溶接用開先において、両部材の対向する前記ルート面を凹凸形状に形成して、両部材がお互いに嵌合可能なインロー構造とすることができる。
本発明の溶接用開先において、前記ルート面間にルート間隔を設けることができる。また前記第2の凹部を部材の裏面に形成した面取とすることができる。
また、本発明の溶接構造は、前述の本発明の溶接用開先を用いて、一対の部材同士を突合せ溶接により接合した溶接構造であって、開先部とルート面とを突合して、開先部からルート面へ向けて溶け込んだ溶接ビードにより接合した溶接構造において、前記第1の凹部は到達した溶接ビードで埋められ、前記第2の凹部は溶接ビードが到達していないことを特徴とする。
また、本発明の検査方法は、前述の本発明の溶接用開先を用いて構成された溶接構造の検査方法であって、開先部とルート面とを突合せて、開先部からルート面へ向けて溶け込んだ溶接ビードにより溶接した接合部に対して、超音波探触子を部材の表面から接触させてルート面に向けて超音波を照射し、前記第1及び前記第2の凹部の有無を検出することにより、前記接合部の溶接状態の良否を判定することを特徴とする。
本発明の溶接用開先、溶接構造及びその検査方法によれば、裏波を形成しない突合せ溶接において、溶接ビード深さが不足した溶け込み不良と、溶接ビード深さが過剰で内面への裏波の突出不良とを検出可能となるので、接合部における溶接状態の良否を判定することができる。
本発明の一実施形態における突合せ溶接前の溶接用開先の断面図である。 図1の溶接用開先の破線で囲んだルート面の拡大図である。 本発明の他の実施形態における突合せ溶接前の溶接用開先のルート面を例示する断面図である。 図1の溶接用開先を用いて突合せ溶接後の接合部の断面であって、溶接ビード深さが良好で溶接状態が適正とされる場合の溶接構造とその検査の様子を示す説明図である。 図1の溶接用開先を用いて突合せ溶接後の接合部の断面であって、溶接ビード深さが不足した溶け込み不良により溶接状態が不適正とされる場合の溶接構造とその検査の様子を示す説明図である。 図1の溶接用開先を用いて突合せ溶接後の接合部の断面であって、溶接ビード深さが過剰で内面への裏波の突出不良により溶接状態が不適正とされる場合の溶接構造とその検査の様子を示す説明図である。
以下、本発発明の実施の形態を図面に基づき詳細に説明する。なお、以下の実施の形態により本発明が限定されるものではない。
[1]溶接用開先の形状
図1は本発明の一実施形態における突合せ溶接前の溶接用開先100の断面図である。図1に示すように、本発明の溶接用開先100は、一対の部材である同径の配管1、2の端部1a、2aを突合せ、突合せて形成された開先部3に対して片面よりアーク溶接やレーザー溶接を行って配管1、2を裏波を形成することなく接合するために用いられる。溶接により接合された配管1、2から構成される管状部材を、例えば自動車等の内燃機関の排気系部品とすれば、配管1、2内は排気ガスの通路となり高温の排気ガスが流れる。配管1、2は、例えば、それぞれその厚さが約5mm、内面の直径が約47mmの円筒状に形成されている。なお、図1で二点鎖線で囲んだ領域は、溶接後に溶接ビードが溶け込んだ接合部Aを示す。
図1に示すように、本実施形態の溶接用開先100は、配管1、2の端部1a、2aの径方向外側に、それぞれ傾斜部1b、2b及び平坦部1c、2cが形成されており、配管1、2が突合された状態では略V型に画成される開先部3を設けている。なお、開先部3の形状や寸法は、被溶接物の材質、肉厚、溶接方法によって適宜選択されるもので、例えばその形状は図1に図示した略V型に限定されるものではなく、片面突合せ溶接において通常用いられるI型、Y型、V型、レ型、J型、及びU型等の種々の形状を採用できる。
また配管1、2の端部1a、2aの径方向内側には、配管1、2を突合せる際に当接されるルート面10、20を設けている。さらに少なくとも一方の部材である配管1のルート面10には、開先部3の平坦部1cから裏面1eまでの区間に、第1の凹部11及び第2の凹部12を設けている。
第1の凹部11は、溶接後の検査の際に溶接ビード深さが不足した溶け込み不良を検出するために設けるもので、ルート面10、20の溶接ビードが到達する位置に形成されている。ここで溶接ビードが到達する位置とは、配管1、2の表面1d、2dから裏面1e、2eに向かって設定される接合部Aの所望の溶接ビードの長さD(以下、「溶接ビード深さ」ということがある)において、溶接ビードの最も深度の深い先端位置をいう。溶接ビードの長さDは、一対の配管1、2の接合部Aが所定の溶接強度を得るために必要な下限値となるように適宜設計により求められて設定される。そして第1の凹部11は、溶接ビードが到達するその先端位置に対応する位置に一致させて形成されている。一方、第2の凹部12は、溶接後の検査の際に溶接ビード深さが過剰で配管1、2の内面、即ち裏面1e、2eへの裏波の突出不良を検出するために設けるもので、配管1の裏面1eに隣接して形成されている。
凹部11、12の詳細について図2を参照して説明する。図2は図1の溶接用開先100の破線で囲んだルート面10、20の拡大図である。第1の凹部11及び第2の凹部12は、それら凹部11、12に溶接ビードが溶け込んで凹部11、12が溶接金属により埋められない場合に、凹部11、12に向けて照射された超音波を反射させるための空間である空隙31、32からなる。空隙31、32は、ルート面10、20間に画成された、軸方向に垂直な断面視で、角形状に形成されるとともに、超音波を効果的に反射させるための隅部31a、32aを有している。本実施形態の空隙31、32は、いずれもルート面10、20間で三角形に画成されてなる。なお、本実施形態の溶接用開先100は、一方の部材である配管1にのみ第1の凹部11及び第2の凹部12を設けた態様を例示したが、例えば第1の凹部11を一方の部材である配管1に、第2の凹部12を他方の部材である配管2に設けてもよい。
空隙31、32の軸方向の間隙の寸法X1、X2及び径方向の間隙の寸法Y1、Y2は超音波の有効な反射源とするために0.3〜1.0mmに設定することが好ましい。また、空隙31、32の斜面Z1、Z2が配管1、2が当接されるルート面10、20に対してなす角度θ1、θ2はいずれも30°〜60°に設定することが好ましく、45°とするのがより好ましい。空隙31、32に斜面Z1、Z2を形成すれば、超音波を確実に反射させるための有効な反射源となって高いレベルの反射エコーが得られるので、溶接状態の判定精度の向上に寄与して好ましい。ここで第2の凹部12は裏面1eに面取として形成されている。第2の凹部12を面取とすることで、空隙32の斜面Z2を機械加工により容易に形成することができる。本発明の溶接用開先100は、第1の凹部11及び第2の凹部12を設けているので、裏波を形成しない突合せ溶接において、接合部における溶接状態の良否を判定するために好適に構成されている。
本発明の溶接用開先は、上記した実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能であり、それらも本発明の範囲内に含まれることはいうまでもない。即ち、溶接後の検査の際に、溶接ビード深さが不足した溶け込み不良を検出するための第1の凹部と、溶接ビード深さが過剰で配管の内面への裏波の突出不良を検出するため第2の凹部とを配管のルート面に設けていれば、図1、図2に示したもの以外の形状の開先であってもよく、例えば図3(a)〜(h)に示すようなものが考えられる。図3は本発明の他の実施形態における突合せ溶接前の溶接用開先のルート面を例示する断面図である。なお、図3(a)〜(h)において図1、図2で図示した実施形態の構成と同一又は共通する構成は同一符号を付して詳細な説明は省略する。
図3(a)〜(h)に図示する態様の溶接用開先100においても、ルート面10、20には、開先部3の平坦部1cから裏面1eまでの区間に、溶け込み不良を検出するための第1の凹部11と、裏波の突出不良を検出するため第2の凹部12とを設けている。図3に示す空隙31、32の形状は、必ずしも三角形に限らず四角形や台形など角形状に形成されるとともに、超音波を効果的に反射させるために、隅部31a、32a、角部31b、32bのうちのいずれか2つを有している。図3中の空隙31、32における軸方向の間隙の寸法、径方向の間隙の寸法及び斜面がルート面10、20に対してなす角度は、図2で上述した範囲の値であることが好ましい。図3(a)〜(h)に示す溶接用開先100は、裏波を形成しない突合せ溶接において、接合部における溶接状態の良否を判定するために好適に構成されている。
図3(c)、(d)、(e)及び(h)で示す溶接用開先100は、ルート面10、20間にルート間隔40を設けている。このうち(c)、(d)、(e)に図示のものは、第1の凹部11と第2の凹部12とを画成する境界は存在せず、両者は実質的に一体のものとして設けられ、溶接後の検査の際に照射された超音波を反射させるための空隙31、32も実質的に一体のものとして画成されてなる。そして第1の凹部11の空隙31には、溶け込み不良を検出するための隅部31aが形成され、第2の凹部12の空隙32には、裏波の突出不良を検出するための角部32bが形成されている。
ルート間隔40を設けることで、溶接時の凝固収縮によってルート面10、20同士が当接することで発生する残留応力を緩和して、溶接強度を向上することができる。ルート間隔40の幅Gは、その寸法が小さすぎると、溶接時の凝固収縮によってルート間隔40が密着して残留応力の緩和効果が減少し、また検査の際に照射された超音波が透過して反射エコーが得られなくなるため、0.3mm以上とすることが好ましい。一方、その寸法が大きすぎると、溶接時に溶接金属がその隙間から溶け落ちる、いわゆる溶接垂れにより裏波を形成し易くなるため、1.0mm以下とすることが好ましい。
図3(e)〜(h)で示す溶接用開先100は、両部材である配管1、2の対向するルート面10、20を、凹凸形状に形成して、両部材である配管1、2がお互いに嵌合可能なインロー構造としている。具体的には、ルート面10、20での径方向内側において、ルート面10には軸方向に陥没する凹部50を設け、ルート面20には軸方向に突出する凸部60を設けている。凸部60を凹部50に挿入することで両部材である配管1、2がお互いに嵌合される。配管1、2の対向するルート面10、20に凹凸形状を形成し、インロー構造として嵌合することで、配管1と配管2とを突合せる際の芯出し精度が向上して芯ズレを抑えることができ、また芯出し作業を容易かつ効率的に行うことができる。図3(e)〜(h)で示す溶接用開先100では、凹部50及び凸部60からなる一組の凹凸形状によりインロー構造を構成する態様を例示したがこれに限らず、複数の凹部及び凸部を設けて、二組以上の凹凸形状によりインロー構造を構成することもできる。
[2]溶接構造
図4は図1の溶接用開先を用いて突合せ溶接後の接合部の断面であって、溶接ビード深さが良好で溶接状態が適正とされる場合の溶接構造とその検査の様子を示す説明図である。本発明の溶接構造200は、前述した本発明の溶接用開先100を用いて、一対の部材である配管1、2の端部1a、2a同士を芯出ししながら当接して、開先部3とルート面10、20とを突合せた後、開先部3に対して図視上方の片面より溶接ワイヤを供給しながらアーク発生やレーザー照射により端部1a、2aを溶融することで、突合せ溶接により一体に接合した管状部材を構成するものである。突合せ溶接を、配管1、2の端部1a、2aの円周方向に連続的に施すことで、開先部3からルート面10、20へ向けて溶け込んだ溶接金属からなる溶接ビードBによって形成された接合部(図1中の符号Aで示す)を有する配管1、2の溶接構造200が構成される。
図4に示すように、溶接ビードBは径方向(深さ方向)でその先端が開先部3に隣接する第1の凹部11に到達しているものの、配管1の裏面1eに隣接する第2の凹部12には到達していない。即ち、溶接構造200において、第1の凹部11はその空隙31が到達した溶接ビードBで埋められ、一方、第2の凹部12はその空隙32には溶接ビードBが到達していない構成からなる。
第1の凹部11は、接合部が所定の溶接強度を得るために必要な溶接ビードBの長さD(溶接ビード深さ)に対応して、溶接ビードBの先端が到達する位置に形成されている。従って第1の凹部11の空隙31が到達した溶接ビードBで埋められていることは、図4に示す溶接構造200は、接合部が溶接強度を確保して溶接されていることを意味する。一方、第2の凹部12は、溶接ビードBが到達していないので、その空隙32は溶接ビードBで埋められることなく空間が残存している。第2の凹部12には溶接ビードBが到達していないので、配管1、2の裏面1e、2eには、溶接金属からなる溶接ビードBが露出していない、即ち裏波を形成していない。
このように図4に示す溶接構造200は、溶接ビードBの長さDに過不足がなく良好で、溶接強度を確保しつつ裏波を形成しない、溶接状態が適正な構造をなしている。
[3]溶接構造の検査方法
次に、図4〜図6を参照しつつ、本実施形態に係る溶接構造の検査方法について説明する。図4は前述したように、溶接ビード深さが良好で溶接状態が適正とされる場合の溶接構造とその検査の様子を示す説明図である。ここでは本発明の検査方法として、前述の図1で示した実施形態の溶接用開先100を用いて構成された溶接構造200に対して、超音波探傷試験による非破壊検査により、溶け込み不良及び裏波の突出不良を検出して溶接状態を判定する場合について説明する。例えば、超音波探傷試験機は、日立エンジニアリング・アンド・サービス社製ES3500を、超音波探触子90は、7MHz、10mm×10mm角のアレイ探触子を、接触触媒は、グリセリンペーストを用いて検査することができる。
図4に示すように、開先部3とルート面10、20とを突合せて、開先部3からルート面10、20へ向けて溶け込んだ溶接ビードBにより溶接した接合部に対して、超音波探触子90を一方の部材である配管1の表面1dから接触触媒を介して接触させて超音波探傷試験を行う。即ち超音波探触子90から配管1、2のルート面10、20に向けて超音波Sを照射(送信)し、その超音波Sの反射エコーを超音波探触子90で受信して、図示しない超音波探傷試験機により計測する。そして第1の凹部11及び第2の凹部12から反射される超音波Sの反射エコーの有無を検出することにより、凹部11、12の有無を判断して接合部の溶接状態の良否を判定する。
なお、超音波探触子90は、第1の凹部11及び第2の凹部12に向けて超音波Sを照射可能なように配管1の軸方向に移動自在に配置されている。凹部11、12からの超音波Sの反射エコー高さが所定の基準値以上の場合は反射波が有りで、凹部11、12は溶接ビードBで埋められずに残存する(凹部有り)と判断し、反射エコー高さが所定の基準値未満の場合は反射波が無しで、凹部11、12は溶接ビードBで埋められた(凹部無し)と判断する。なお、反射エコー高さの基準値は被溶接物の材質、肉厚、超音波の出力レベル、周波数等によって適宜選択される。
図4に示す溶接構造200は、前述したように溶接ビードBの長さDが良好で溶接状態が適正な状態を示している。図4に示す溶接構造200を超音波探傷試験で検査する場合、第1の凹部11は、溶接ビードBで埋められているので超音波探触子90から照射された超音波Sは第1の凹部11で反射することなく溶接ビードBを透過(符号Sの実線の矢印で示す)する。この結果、超音波探触子90で小さな反射波しか検出されず反射エコー高さは基準値より小さくなるので、反射波が無しで第1の凹部11は無いと判断されて、溶け込み不良は生じていないと判定することができる。
一方、第2の凹部12は、溶接ビードBで埋められずに空隙32が残存しているので超音波探触子90から照射された超音波Sは第2の凹部12の空隙32が有する隅部32aで確実に反射(符号Sの一点鎖線の矢印で示す)される。この結果、超音波探触子90で大きな反射波が検出されて反射エコー高さは基準値より大きくなるので、反射波が有りで第2の凹部12は有ると判断されて、裏面1e、2eへの裏波の突出不良は生じていないと判定することができる。
超音波探触子90から照射された超音波Sが、第1の凹部11では、反射することなく溶接ビードBを透過して反射波が無く、一方、第2の凹部12では、確実に反射されて、反射波が有る場合には、第1の凹部11は無いと判断されて溶け込み不良は生じおらず、かつ第2の凹部12は有ると判断されて裏波の突出不良は生じていない、即ち溶接ビード深さが良好で溶接状態が適正と判定することができる。
次に溶接ビード深さが不足した溶け込み不良の場合について図5を用いて説明する。図5は、図1の溶接用開先100を用いて突合せ溶接後の接合部の断面であって、溶接ビード深さが不足した溶け込み不良により溶接状態が不適正とされる場合の溶接構造とその検査の様子を示す説明図である。
図5の溶接構造200では、溶接ビードBの長さDが不足した溶け込み不良の状態を示している。図5に示す溶接構造200を超音波探傷試験で検査する場合、第1の凹部11は、溶接ビードBで埋められずに空隙31が残存しているので照射された超音波Sは第1の凹部11の空隙31が有する隅部31aで確実に反射(符号Sの実線の矢印で示す)されて、反射エコー高さは基準値より大きくなる。また、第2の凹部12も溶接ビードBで埋められずに空隙32が残存しているので照射された超音波Sは空隙32が有する隅部32aで確実に反射(符号Sの一点鎖線の矢印で示す)されて、反射エコー高さは基準値より大きくなる。
超音波探触子90から照射された超音波Sが、第1の凹部11及び第2の凹部12のいずれでも反射エコー高さが基準値より大きく、反射波が有る場合には、第1の凹部11及び第2の凹部12のいずれも有ると判断されて、溶け込み不良が生じていると判定することができる。
さらに溶接ビード深さが過剰で配管の内面への裏波の突出不良の場合について図6を用いて説明する。図6は、図1の溶接用開先を用いて突合せ溶接後の接合部の断面であって、溶接ビード深さが過剰で内面への裏波の突出不良により溶接状態が不適正とされる場合の溶接構造とその検査の様子を示す説明図である。
図6の溶接構造200では、溶接ビードBの長さDが過剰で裏波の突出不良の状態を示している。図6に示す溶接構造200を超音波探傷試験で検査する場合、第1の凹部11は、溶接ビードBで埋められているので照射された超音波Sは第1の凹部11で反射することなく溶接ビードBを透過(符号Sの実線の矢印で示す)して、反射エコー高さは基準値より小さくなる。また、第2の凹部12も溶接ビードBで埋められているので照射された超音波Sは第2の凹部12で反射することなく溶接ビードBを透過(符号Sの一点鎖線の矢印で示す)して、反射エコー高さは基準値より小さくなる。
超音波探触子90から照射された超音波Sが、第1の凹部11及び第2の凹部12のいずれでも反射エコー高さが基準値より小さく、反射波が無い場合には、第1の凹部11及び第2の凹部12のいずれも無いと判断されて、裏波の突出不良が生じていると判定することができる。
図4〜図6を用いて説明したように、本発明の溶接構造200の検査方法によれば、溶接ビードBの深さが不足した溶け込み不良と、溶接ビードBの深さが過剰で内面への裏波の突出不良とを検出可能としたので、裏波を形成しない突合せ溶接において接合部における溶接状態の良否を確実に判定することができる。
1、2:配管
1a、2a:端部
1b、2b:傾斜部
1c、2c:平坦部
1d、2d:表面
1e、2e:裏面
3:開先部
10、20:ルート面
11:第1の凹部11
12:第2の凹部12
31:第1の凹部11の空隙
32:第2の凹部12の空隙
31a、32a:隅部
31b、32b:角部
40:ルート間隔
50:凹部
60:凸部
100:溶接用開先
200:溶接構造
A:接合部
B:溶接ビード
S:超音波

Claims (6)

  1. 一対の部材同士を突合せ溶接するための開先であって、両部材の端部には、突合されて形成される開先部とルート面とを設けるとともに、少なくとも一方の部材のルート面に第1及び第2の凹部を設け、前記第1の凹部は溶接ビードが到達する位置に形成され、前記第2の凹部は部材の裏面に隣接して形成され、前記第1及び前記第2の凹部は、ルート面間に画成された角形状の空隙からなり、前記空隙は隅部または角部を有していることを特徴とする溶接用開先。
  2. 請求項1に記載の溶接用開先であって、両部材の対向する前記ルート面を凹凸形状に形成して、両部材がお互いに嵌合可能なインロー構造としたことを特徴とする溶接用開先。
  3. 請求項1又は請求項2に記載の溶接用開先であって、前記ルート面間にルート間隔を設けたことを特徴とする溶接用開先。
  4. 請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の溶接用開先であって、前記第2の凹部が部材の裏面に形成した面取であることを特徴とする溶接用開先。
  5. 請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の溶接用開先を用いて、一対の部材同士を突合せ溶接により接合した溶接構造であって、開先部とルート面とを突合して、開先部からルート面へ向けて溶込んだ溶接ビードにより接合した溶接構造において、前記第1の凹部は到達した溶接ビードで埋められ、前記第2の凹部は溶接ビードが到達していないことを特徴とする溶接構造。
  6. 請求項5に記載の溶接構造の検査方法であって、開先部とルート面とを突合せて、開先部からルート面へ向けて溶け込んだ溶接ビードにより溶接した接合部に対して、超音波探触子を部材の表面から接触させてルート面に向けて超音波を照射し、前記第1及び前記第2の凹部の有無を検出することにより、前記接合部の溶接状態の良否を判定することを特徴とする溶接構造の検査方法。
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