JP2015189907A - 芳香族ポリカーボネート樹脂組成物 - Google Patents
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Abstract
Description
前記難燃剤が、前記芳香族ポリカーボネート樹脂100質量部に対して0.02〜30質量部で含まれ、且つ前記環状カーボネートが、前記芳香族ポリカーボネート樹脂に対して3000ppm以下で存在する、芳香族ポリカーボネート樹脂組成物:
一般式(I):
(式中、R1及びR2は、各々独立して、ハロゲン原子、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数1〜20のアルコキシ基、炭素数6〜20のシクロアルキル基、炭素数6〜20のアリール基、炭素数6〜20のシクロアルコキシ基、又は炭素数6〜20のアリールオキシ基を表し、p及びqは、0〜4の整数を表し、Xは、単結合又は下記(Ia)の群から選択される基を表す。)
(ここで、R3及びR4は、各々独立して、水素原子、炭素数1〜10のアルキル基、又は炭素数6〜10のアリール基を表すか、あるいはR3とR4は、相互に結合して脂肪族環を形成していてもよい。)
一般式(II):
(式中、Ra及びRbは、各々独立して、水素原子、ハロゲン原子、酸素原子もしくはハロゲン原子を含んでいてもよい炭素数1〜30の直鎖もしくは分岐のアルキル基、酸素原子もしくはハロゲン原子を含んでいてもよい炭素数3〜30のシクロアルキル基、酸素原子もしくはハロゲン原子を含んでいてもよい炭素数6〜30のアリール基、又は酸素原子もしくはハロゲン原子を含んでいてもよい炭素数1〜15のアルコキシ基を表すか、あるいはRa及びRbは、相互に結合して環を形成していてもよく、R5〜R8は、各々独立して、水素原子、ハロゲン原子又は炭素数1〜5の直鎖もしくは分岐のアルキル基を表し、nは、0〜30の整数を表す)。
一般式(IIa):
(式中、Ra及びRbは、各々独立して、水素原子、ハロゲン原子、酸素原子もしくはハロゲン原子を含んでいてもよい炭素数1〜30の直鎖もしくは分岐のアルキル基、酸素原子もしくはハロゲン原子を含んでいてもよい炭素数3〜30のシクロアルキル基、酸素原子もしくはハロゲン原子を含んでいてもよい炭素数6〜30のアリール基、又は酸素原子もしくはハロゲン原子を含んでいてもよい炭素数1〜15のアルコキシ基を表すか、あるいはRa及びRbは、相互に結合して環を形成していてもよい)。
一般式(III):
(式中、Xは、<1>と同義である)。
N値=(log(Q160値)-log(Q10値))/(log160―log10) ・・・(1)
芳香族ポリカーボネートプレポリマーと、下記一般式(IV)で表されるジオール化合物とを、エステル交換触媒の存在下に反応させて高分子量化する高分子量化工程と、前記高分子量化工程で副生する環状カーボネートの一部を反応系外へ除去する環状カーボネート除去工程とを含む方法により得られる、<1>〜<7>のいずれかに記載の芳香族ポリカーボネート樹脂組成物:
一般式(IV):
(式中、Ra及びRbは、各々独立して、水素原子、ハロゲン原子、酸素原子もしくはハロゲン原子を含んでいてもよい炭素数1〜30の直鎖もしくは分岐のアルキル基、酸素原子もしくはハロゲン原子を含んでいてもよい炭素数3〜30のシクロアルキル基、酸素原子もしくはハロゲン原子を含んでいてもよい炭素数6〜30のアリール基、又は酸素原子もしくはハロゲン原子を含んでいてもよい炭素数1〜15のアルコキシ基を表すか、あるいはRa及びRbは、相互に結合して環を形成していてもよく、R5〜R8は、各々独立して、水素原子、ハロゲン原子又は炭素数1〜5の直鎖もしくは分岐のアルキル基を表し、nは、0〜30の整数を表す)。
一般式(IVa):
(式中、Ra及びRbは、各々独立して、水素原子、ハロゲン原子、酸素原子もしくはハロゲン原子を含んでいてもよい炭素数1〜30の直鎖もしくは分岐のアルキル基、酸素原子もしくはハロゲン原子を含んでいてもよい炭素数3〜30のシクロアルキル基、酸素原子もしくはハロゲン原子を含んでいてもよい炭素数6〜30のアリール基、又は酸素原子もしくはハロゲン原子を含んでいてもよい炭素数1〜15のアルコキシ基を表すか、あるいはRa及びRbは、相互に結合して環を形成していてもよい)。
本発明の芳香族ポリカーボネート樹脂組成物は、下記一般式(I)で表される構造単位を有する芳香族ポリカーボネート樹脂(以下、「芳香族ポリカーボネート樹脂」ともいう)、難燃剤、及び下記一般式(II)で表される環状カーボネート(以下、「環状カーボネート」ともいう)を必須成分として含む。
本発明の芳香族ポリカーボネート樹脂組成物は、下記一般式(I)で表される構造単位を主たる構造単位として有する、芳香族ポリカーボネート樹脂(A)を含む。ここで「主たる」とは、芳香族ポリカーボネート樹脂中の全構造単位中における一般式(I)で表される構造単位の含有率が60モル%以上であることを意味し、80モル%以上であることが好ましく、90モル%以上であることがより好ましい。
N値=(log(Q160値)-log(Q10値))/(log160―log10) ・・・(1)
本発明の芳香族ポリカーボネート樹脂組成物には、芳香族ポリカーボネート樹脂に対し、下記一般式(II)で表される環状カーボネートが3000ppm以下含まれている。下記一般式(II)で表される環状カーボネートは、公知の化合物であり、試薬供給業者より入手できるか、又は公知の方法により容易に合成することができ、そのような化合物を本発明の芳香族ポリカーボネート樹脂組成物に添加してもよい。あるいは、下記一般式(II)で表される環状カーボネートは、芳香族ポリカーボネート樹脂の製造工程で副生したものであってもよい。例えば、後述する製造方法で得られる芳香族ポリカーボネート樹脂は、製造工程で連結剤として使用するジオール化合物に対応する環状カーボネートが副生する場合があるが、これを反応系外へ除去したのちでも、少量の環状ポリカーボネートが残存し、最終的に得られる芳香族ポリカーボネート樹脂中にかかる環状ポリカーボネートが含まれることとなる。かかる環状カーボネートが3000ppm以下で存在することにより、芳香族ポリカーボネート樹脂組成物の流動性が向上する傾向がある。また、芳香族ポリカーボネート樹脂組成物を構成する各成分がより均一に混合され、成形性及び強度が向上する傾向がある。さらに、難燃剤を配合した際、従来より優れた耐衝撃性を有することが可能である。なお、環状カーボネートの含有量が3000ppmを超えると、樹脂組成物の機械的強度の低下等のデメリットがある場合がある。
本発明の芳香族ポリカーボネート樹脂組成物は、難燃剤を含むことで、優れた難燃性を実現することができる。難燃剤は、前記目的を達成するものであれば特に限定されないが、中でもスルホン酸金属塩系難燃剤、ハロゲン含有化合物系難燃剤、リン含有化合物系難燃剤及び珪素含有化合物系難燃剤からなる群より選択される少なくとも1種であることが好ましい。なお、難燃剤は、本発明の芳香族ポリカーボネート樹脂組成物において、1種単独で用いてもよいし、2種以上を混合して使用することもできる。
本発明に用いられるスルホン酸金属塩系難燃剤としては、例えば、芳香族スルホン酸金属塩、脂肪族スルホン酸金属塩等が挙げられる。これら金属塩の金属としては、アルカリ金属、アルカリ土類金属等が好ましい例として挙げられる。前記アルカリ金属及びアルカリ土類金属としては、ナトリウム、リチウム、カリウム、ルビジウム、セシウム、ベリリウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム及びバリウムがある。
本発明に用いられるハロゲン含有化合物系難燃剤としては、例えば、テトラブロモビスフェノールA、トリブロモフェノール、臭素化芳香族トリアジン、テトラブロモビスフェノールAエポキシオリゴマー、テトラブロモビスフェノールAエポキシポリマー、デカブロモジフェニルオキサイド、トリブロモアリルエーテル、テトラブロモビスフェノールAカーボネートオリゴマー、エチレンビステトラブロモフタルイミド、デカブロモジフェニルエタン、臭素化ポリスチレン等が挙げられる。
本発明に用いられるリン含有化合物系難燃剤としては、例えば、赤リン、被覆された赤リン、ポリリン酸塩系化合物、リン酸エステル系化合物、フォスファゼン系化合物等が挙げられる。リン酸エステル系化合物としては、下記一般式(VI)で示されるリン酸エステル化合物が挙げられる。
本発明に用いられる珪素含有化合物系難燃剤としては、シリコーンワニス、ケイ素原子と結合する置換基が芳香族炭化水素基と炭素数2以上の脂肪族炭化水素基とからなるシリコーン樹脂、主鎖が分岐構造でかつ含有する有機官能基中に芳香族基を持つシリコーン化合物、シリカ粉末の表面に官能基を有していてもよいポリジオルガノシロキサン重合体を担持させたシリコーン粉末、オルガノポリシロキサン−ポリカーボネート共重合体等が挙げられる。これらのうち、シリコーンワニスが好ましい。
本発明では、より高い難燃性を達成するためにポリテトラフルオロエチレンを併用するのが好ましい。ポリテトラフルオロエチレンは、滴下防止剤であり、芳香族ポリカーボネート樹脂中に容易に分散し、かつせん断力等の外的作用により樹脂同士を結合して繊維状材料を作る傾向を示すことから、接炎時の樹脂の燃え垂れを防止し、難燃性を向上させる。ポリテトラフルオロエチレンとしては、ASTM規格でタイプ3に分類されるものが挙げられ、例えば三井・デュポンフロロケミカル(株)より、テフロン6J又はテフロン30Jとして、あるいはダイキン化学工業(株)よりポリフロンF201Lとして市販されているものを用いることができる。
本発明の芳香族ポリカーボネート樹脂組成物には、本発明の効果を損なわない範囲で、ゴム性重合体、耐熱安定剤、酸化防止剤、離型剤、紫外線吸収剤、染顔料その他の添加剤を配合してもよい。
本発明の芳香族ポリカーボネート樹脂組成物には、前記必須成分に加えて、耐衝撃性を向上させる目的でゴム性重合体を配合することができる。ゴム性重合体とは、ガラス転移温度が0℃以下、中でも−20℃以下のものを示し、ゴム性重合体にこれと共重合可能な単量体成分とを共重合した重合体をも含む。本発明に用いるゴム性重合体は、一般に芳香族ポリカーボネート樹脂に配合されて、その耐衝撃性を改良し得る、従来公知の任意のものを使用できる。
耐熱安定剤としては、トリフェニルホスフィン(P-Ph3)等の公知のものを用いることができる。
酸化防止剤としては、例えば、トリス−(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト、n−オクタデシル−β−(4’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−t−ブチルフェニル)プロピオネート、ペンタエリスリチル−テトラキス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、1,6−ヘキサンジオールビス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、トリエチレングリコール−ビス−3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニルプロピオネート)、3,9−ビス[2−{3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ}−1,1−ジメチルエチル]−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカン、トリフェニルホスファイト、トリスノニルフェニルホスファイト、トリス−(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト、テトラキス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)−4,4’−ビフェニレンジホスフォナイト、トリクレジルホスファイト、2,2−メチレンビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)オクチルホスファイト等が挙げられる。これらのうち、トリス−(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト及びn−オクタデシル−β−(4’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−t−ブチルフェニル)プロピオネートが好ましい。
離型剤としては、脂肪族アルコールと脂肪族カルボン酸とのフルエステル化物が好適に用いられる。本発明で用いる脂肪族アルコールと脂肪族カルボン酸とのフルエステル化物は、特に、モノ脂肪族アルコールとモノ脂肪族カルボン酸とのフルエステル化物の1種又は2種以上と、多価脂肪族アルコールとモノ脂肪族カルボン酸とのフルエステル化物の1種又は2種以上とを含有することが好ましく、モノ脂肪族アルコールとモノ脂肪族カルボン酸とのフルエステル化物と、多価脂肪族アルコールとモノ脂肪族カルボン酸とのフルエステル化物との併用により、離型効果を向上させると共に溶融混練時のガス発生を抑制し、モールドデポジットを低減させる効果が得られる。
本発明の芳香族ポリカーボネート樹脂組成物は、所望によって紫外線吸収剤を含有することできる。紫外線吸収剤を含有することで、本発明の芳香族ポリカーボネート樹脂組成物の耐候性を向上させることができる。
本発明の芳香族ポリカーボネート樹脂組成物は、所望によって染顔料を含有していてもよい。染顔料を含有することで、本発明の芳香族ポリカーボネート樹脂組成物の隠蔽性、耐候性を向上できるほか、得られる成形品のデザイン性を向上させることができる。
本発明の芳香族ポリカーボネート樹脂組成物に含まれる、芳香族ポリカーボネート樹脂の製造方法は特に制限されるものではないが、以下に示す製造方法で得られることが好ましい。以下に示す製造方法を採ることにより、分岐化度が低く、異種構造の含有率が低く、末端水酸基濃度が低く、特定構造の環状カーボネートを所望の含有率で含む芳香族ポリカーボネート樹脂を効率的に製造することができる。
R5〜R8は、各々独立して、水素原子、ハロゲン原子又は炭素数1〜5の直鎖もしくは分岐のアルキル基を表す。前記ハロゲン原子としては、フッ素原子が好ましい。nは0〜30の整数を表す。
芳香族ポリカーボネート樹脂の製造方法で用いられる芳香族ポリカーボネートプレポリマー(以下、「プレポリマー」、「PP」ともいう)は、芳香族ポリカーボネート樹脂を構成する前記一般式(I)で表される構造を主たる繰り返し単位とする重縮合ポリマーである。
前記製造方法においては、末端封止された芳香族ポリカーボネートプレポリマーにジオール化合物をエステル交換触媒存在下、減圧条件にて作用させることにより、芳香族ポリカーボネートプレポリマーが高分子量化する。この反応は温和な条件で高速に進み、高分子量化が達成される。すなわち、ジオール化合物により芳香族ポリカーボネートプレポリマーが開裂反応を起こした後エステル交換反応により脂肪族ポリカーボネートユニットが生成する反応よりも、ジオール化合物と芳香族ポリカーボネートプレポリマーとの反応が速く進行する。
(i)ジオール化合物の添加
芳香族ポリカーボネートプレポリマーに前記一般式(IV)で表されるジオール化合物を添加混合し、高分子量化反応器内で高分子量化反応(エステル交換反応)を行う。
芳香族ポリカーボネートプレポリマーとジオール化合物とのエステル交換反応(高分子量化反応)に使用する温度としては、240℃〜320℃の範囲が好ましく、260℃〜310℃がより好ましく、280℃〜310℃がさらに好ましい。
前記高分子量化反応によって芳香族ポリカーボネートプレポリマーが高分子量化されて所望の分子量を有する芳香族ポリカーボネート樹脂が得られると同時に、該反応で副生する環状カーボネートの少なくとも一部を反応系外へ除去する。副生する環状カーボネートの少なくとも一部を反応系外へ除去することによって芳香族ポリカーボネートプレポリマーの高分子量化反応が進行する。
芳香族ポリカーボネートプレポリマーとジオール化合物とのエステル交換反応により、反応後の芳香族ポリカーボネート樹脂の重量平均分子量(Mw)が前記芳香族ポリカーボネートプレポリマーの重量平均分子量(Mw)よりも5,000以上高められることが好ましく、10,000以上高められることがより好ましく、15,000以上高められることがさらに好ましい。
芳香族ポリカーボネート樹脂組成物の製造方法は、本発明の芳香族ポリカーボネート樹脂組成物が得られる限り特に限定されない。即ち、難燃剤、前記添加剤等の混合方法、混合時期については特に制限は無い。例えば混合時期としては、芳香族ポリカーボネート樹脂の重合反応(例えば、前記高分子量化反応)の途中又は重合反応終了時、又は重合反応に使用した触媒を触媒失活剤で失活後、ペレット化する前のいずれかの時期に添加剤を添加して、芳香族ポリカーボネート樹脂に混合することで、樹脂組成物を製造することができる。なお、芳香族ポリカーボネート樹脂等の混練途中等の芳香族ポリカーボネート樹脂が溶融した状態で添加することができるが、ペレット又は粉末等の固体状態のポリカーボネートとブレンド後、押出機等で混練することも可能である。例えば、特定量の環状カーボネートを含む芳香族ポリカーボネート樹脂が溶融した状態で、難燃剤や前記添加剤等を添加、混合して調整してもよい。また、特定量の環状カーボネートを含む芳香族ポリカーボネート樹脂がペレット又は粉末等の固体状態の場合であっても、固体状態の芳香族ポリカーボネート樹脂等と、難燃剤や前記添加剤等とをブレンド後、押出機等で混練することも可能である。
本発明の芳香族ポリカーボネート樹脂組成物は、射出成形、ブロー成形、押出成形、回転成形、圧縮成形などで得られる様々な成形品、各種部材などの用途に好ましく利用することができる。これらの用途に用いるときは、本発明の樹脂組成物単独であってもさらに他のポリマーとのブレンド品であっても差し支えない。用途に応じてハードコートなどの加工も好ましく使用しうる。
(1)重量平均分子量(Mw)及び数平均分子量(Mn)
GPCを用い、クロロホルムを展開溶媒として、分子量既知(分子量分布=1)の標準ポリスチレン(東ソー株式会社製、”PStQuick MP-M”)を用いて検量線を作成した。測定した標準ポリスチレンから各ピークの溶出時間と分子量値をプロットし、3次式による近似を行い、較正曲線とした。重量平均分子量(Mw)及び数平均分子量(Mn)は、以下の計算式より、ポリスチレン換算値として求めた。
Mw=Σ(Wi×Mi)÷Σ(Wi)
Mn=Σ(Ni×Mi)÷Σ(Ni)
ここで、iは分子量Mを分割した際のi番目の分割点、Wiはi番目の重量、Niはi番目の分子数、Miはi番目の分子量を表す。また分子量Mとは、較正曲線の同溶出時間でのポリスチレン分子量値を表す。
ポリスチレン換算重量平均分子量(Mw)及びポリスチレン換算数平均分子量(Mn)より以下の計算式より求めた。
分子量分布=Mw/Mn
装置:東ソー株式会社製、HLC−8320GPC
カラム:
ガードカラム:TSKguardcolumn SuperMPHZ-M×1本
分析カラム:TSKgel SuperMultiporeHZ-M×3本
溶媒:HPLCグレードクロロホルム
注入量:10μL
試料濃度:0.2w/v% HPLCグレードクロロホルム溶液
溶媒流速:0.35ml/min
測定温度:40℃
検出器:RI
1H−NMRの解析結果から末端水酸基を観測することによって測定した。1H−NMRによるプレポリマー(PP)中の末端水酸基濃度は、樹脂サンプル0.05gを1mlの重水素置換クロロホルム(0.05w/v%TMS含有)に溶解し、23℃で1H−NMRを測定することで求めた。具体的には、4.7ppmの水酸基ピークと7.0〜7.5ppm付近のフェニル及びフェニレン基(末端フェニル基及びBPA骨格由来のフェニレン基)の積分比より、PP中の末端水酸基濃度(OH濃度)を算出した。なお、芳香族ポリカーボネート樹脂中の末端水酸基濃度も、同様に測定し、算出することができる。
装置:日本電子社製 LA−500 (500MHz)
測定核:1H
relaxation delay : 1s
x_angle : 45deg
x_90_width : 20μs
x_plus : 10μs
scan : 500times
1H−NMRの解析結果から、下記数式により求めた。
樹脂サンプル0.05gを1mlの重水素置換クロロホルム(0.05w/v%TMS含有)に溶解し、23℃で核磁気共鳴分析装置1H−NMRを用いて高分子量化されたポリカーボネート(PC)中の異種構造量を測定した。文献Polymer 42 (2001)7653-7661中のP.7659に記載されたHa及びHbの1H−NMRの帰属により、以下の異種構造量(ppm)を測定した。なお、1H−NMRの測定条件は前記と同様である。
前記異種構造ユニット中のHa(8.01ppm付近)及びHb(8.15ppm付近)のシグナルと7.0〜7.5ppm付近のフェニル及びフェニレン基(末端フェニル基及びBPA骨格由来のフェニレン基)のシグナルの積分比より、異種構造量を算出した。
高化式フローテスターCFT−500D(島津製作所(株)製)を用いて、120℃で5時間乾燥した芳香族ポリカーボネート(試料)について、穴径1.0mmφ、長さ10mmのダイを用い、280℃、荷重160kgで測定した単位時間当たりの溶融流動体積をQ160値とし、同様に280℃、荷重10kgで測定した単位時間当たりの溶融流動体積をQ10値として、これらを用いて下式(1)により求めた。
N値=(log(Q160値)-log(Q10値))/(log160―log10)・・・(1)
JIS K7210付属書Cに記載の方法にて100℃で5時間乾燥した芳香族ポリカーボネート樹脂組成物のペレットの流れ値(Q値)を評価した。測定は島津製作所社製フローテスターCFT−500Dを用いて、穴径1.0mmφ、長さ10mmのダイを用い、試験温度280℃、試験力160kg/cm2、余熱時間420secの条件で排出された溶融樹脂量(×0.01cm3/sec)を測定した。
芳香族ポリカーボネート樹脂組成物のペレットを100℃、5時間乾燥した後、射出成形機(住友重機械工業社製「SG75Mk−II」)にて、シリンダ温度260℃、金型温度80℃、成形サイクル50秒の条件で射出成形を行い、ISO多目的試験片(4mm厚)を成形し、23℃の各条件下で、ISO−179規格に基づき、シャルピー衝撃試験(ノッチ有、単位:kJ/m2)を実施した。
芳香族ポリカーボネート樹脂組成物のペレットを100℃、5時間乾燥した後、射出成形機(住友重機械工業社製「SG75Mk−II」)にて、シリンダ温度260℃、金型温度80℃、成形サイクル50秒の条件で射出成形を行い、ISO多目的試験片(3mm厚)を成形し、スチームプレッシャー試験機((株)平山製作所製「HASTEST PC−SIII型」)を使用し、100℃の水蒸気中で24時間保持して湿熱処理を行った。湿熱処理後の試験片をハサミでカットし、流れ値(Q値)を測定した。湿熱処理後のQ値と湿熱処理前の流れ値(Q値)の差をΔQとした。
芳香族ポリカーボネート樹脂組成物のペレットを120℃で5時間乾燥させた後、射出成形機(住友重機械工業製「SE100DU」)にて、シリンダ温度270℃、金型温度80℃、成形サイクル50秒の条件で射出成形を行い、長さ125mm、幅13mm、厚さ1.0mmのUL試験用試験片を成形した。得られたUL試験用試験片を、温度23℃、湿度50%の恒温槽の中で48時間調湿し、米国アンダーライターズ・ラボラトリーズ(UL)が定めているUL94試験(機器の部品用プラスチック材料の燃焼試験)に準拠して燃焼試験を行った。
サンプル樹脂10gをジクロロメタン100mlに溶解し、1000mlのメタノール中へ攪拌しながら滴下した。沈殿物を濾別し、濾液中の溶媒を除去した。得られた固体をGC−MSにより以下の測定条件で分析した。なお、この測定条件での検出限界値は0.0005ppmである。
[GC−MS測定条件]
測定装置:Agilent HP6890/5973MSD
カラム:キャピラリーカラムDB-5MS,30m×0.25mm I.D., 膜厚0.5μm
昇温条件:50℃(5min hold)−300℃(15min hold),10℃/min
注入口温度:300℃、打ち込み量:1.0μl(スプリット比25)
イオン化法:EI法
キャリアーガス:He,1.0ml/min
Aux温度:300℃
質量スキャン範囲:33−700
溶媒:HPLC用クロロホルム
内部標準物質:2,4,6−トリメチロールフェノール
(1)芳香族ポリカーボネート樹脂の製造
[ポリカーボネートの製造例1:PC−1]
(プレポリマー製造工程)
2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン66.480kg(291.209モル)、ジフェニルカーボネート70.179kg(327.610モル)及び触媒として炭酸セシウム0.17μモル/モル(2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパンに対してのモル数)を攪拌機及び留出装置付の300Lの反応器に入れ、系内を窒素雰囲気下に置換した。減圧度を0.046MPa(345torr)に調整し、160℃にて原料を加熱溶融し、1間攪拌した。
芳香族ポリカーボネートプレポリマー(PP-E)をメルター(二軸押出機)により樹脂温度を280℃にして溶融し、13300g/hrの速さで予め300℃へ加熱した回転数180rpmのニーダへ連続供給した。
2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン64.662kg(283.245モル)、ジフェニルカーボネート63.710kg(297.41モル)及び触媒として炭酸セシウム1.0μモル/モル(2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパンに対してのモル数)を攪拌機及び留出装置付の300Lの反応器に入れ、系内を窒素雰囲気下に置換した。減圧度を0.046MPa(345torr)に調整し、160℃にて原料を加熱溶融し、1間攪拌した。
[実施例1及び比較例1〜3]
前記製造例により作製したPC−1又はPC−2と各種添加剤とを、表2に示す質量比で配合し、タンブラーにて20分混合した後、1ベントを備えた日本製鋼所社製(TEX30HSST)に供給し、スクリュー回転数200rpm、吐出量20kg/時間、バレル温度280℃の条件で混練した。その後、ストランド状に押出した溶融樹脂を水槽にて急冷し、ペレタイザーを用いてペレット化して、芳香族ポリカーボネート樹脂組成物のペレットを得た。各芳香族ポリカーボネート樹脂組成物について、シャルピー衝撃試験、燃焼試験、Q値の測定(湿熱処理前後)を、上述した物性評価方法に従って行い評価した。結果を表2に示す。
・難燃剤: パーフルオロブタンスルホン酸カリウム塩(BayowetC4、ランクセス(株)製)
・エラストマー: ポリブタジエンコア/ポリメチルメタクリレートシェル系共重合体(パラロイド EXL2603、呉羽化学工業(株)製)
・PTFE: ポリテトラフルオロエチレン(テフロン 6J、三井・デュポンフロロケミカル(株)製)
・CB: カーボンブラックのポリスチレンマスターバッチ。カーボンブラック40%、
越谷化成(株)製 RB904G
・離型剤:PTS;ペンタエリスリトールテトラステアレート(ロキシオールVPG861、コグニスジャパン(株)製)
・酸化防止剤:ADK2112; トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト(アデカスタブ2112、旭電化(株)製)
・UV吸収剤:TINUVIN329; 2−(2−ヒドロキシ−5−tert−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール(TINUVIN329、チバスペシャリティケミカルズ製)
Claims (11)
- 下記一般式(I)で表される構造単位を有する芳香族ポリカーボネート樹脂、難燃剤、及び下記一般式(II)で表される環状カーボネートを含み、
前記難燃剤が、前記芳香族ポリカーボネート樹脂100質量部に対して0.02〜30質量部で含まれ、且つ前記環状カーボネートが、前記芳香族ポリカーボネート樹脂に対して3000ppm以下で存在する、芳香族ポリカーボネート樹脂組成物:
一般式(I):
(式中、R1及びR2は、各々独立して、ハロゲン原子、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数1〜20のアルコキシ基、炭素数6〜20のシクロアルキル基、炭素数6〜20のアリール基、炭素数6〜20のシクロアルコキシ基、又は炭素数6〜20のアリールオキシ基を表し、p及びqは、0〜4の整数を表し、Xは、単結合又は下記(Ia)の群から選択される基を表す)
(ここで、R3及びR4は、各々独立して、水素原子、炭素数1〜10のアルキル基、又は炭素数6〜10のアリール基を表すか、あるいはR3とR4は、相互に結合して脂肪族環を形成していてもよい)
一般式(II):
(式中、Ra及びRbは、各々独立して、水素原子、ハロゲン原子、酸素原子もしくはハロゲン原子を含んでいてもよい炭素数1〜30の直鎖もしくは分岐のアルキル基、酸素原子もしくはハロゲン原子を含んでいてもよい炭素数3〜30のシクロアルキル基、酸素原子もしくはハロゲン原子を含んでいてもよい炭素数6〜30のアリール基、又は酸素原子もしくはハロゲン原子を含んでいてもよい炭素数1〜15のアルコキシ基を表すか、あるいはRa及びRbは、相互に結合して環を形成していてもよく、R5〜R8は、各々独立して、水素原子、ハロゲン原子又は炭素数1〜5の直鎖もしくは分岐のアルキル基を表し、nは、0〜30の整数を表す)。 - 前記難燃剤が、スルホン酸金属塩系難燃剤、ハロゲン含有化合物系難燃剤、リン含有化合物系難燃剤及び珪素含有化合物系難燃剤からなる群より選択される少なくとも1種である、請求項1に記載の芳香族ポリカーボネート樹脂組成物。
- 前記芳香族ポリカーボネート樹脂100質量部に対しポリテトラフルオロエチレン0.01〜2.0質量部をさらに含む、請求項1又は2に記載の芳香族ポリカーボネート樹脂組成物。
- 前記環状カーボネートが、下記一般式(IIa)で表される化合物である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の芳香族ポリカーボネート樹脂組成物:
一般式(IIa):
(式中、Ra及びRbは、各々独立して、水素原子、ハロゲン原子、酸素原子もしくはハロゲン原子を含んでいてもよい炭素数1〜30の直鎖もしくは分岐のアルキル基、酸素原子もしくはハロゲン原子を含んでいてもよい炭素数3〜30のシクロアルキル基、酸素原子もしくはハロゲン原子を含んでいてもよい炭素数6〜30のアリール基、又は酸素原子もしくはハロゲン原子を含んでいてもよい炭素数1〜15のアルコキシ基を表すか、あるいはRa及びRbは、相互に結合して環を形成していてもよい)。 - 前記芳香族ポリカーボネート樹脂が、下記一般式(III)で表される構造単位を有し、その含有量が、一般式(I)で表される構造単位を有する芳香族ポリカーボネート樹脂中に2000ppm未満である、請求項1〜4のいずれか一項に記載の芳香族ポリカーボネート樹脂組成物:
一般式(III):
(式中、Xは、請求項1と同義である)。 - 前記芳香族ポリカーボネート樹脂のN値(構造粘性指数)を下記数式(1)で表した場合、前記N値が、1.25以下である、請求項1〜5のいずれか一項に記載の芳香族ポリカーボネート樹脂組成物。
N値=(log(Q160値)-log(Q10値))/(log160―log10) ・・・(1) - 前記芳香族ポリカーボネート樹脂の末端水酸基含有量が、1000ppm以下である、請求項1〜6のいずれか一項に記載の芳香族ポリカーボネート樹脂組成物。
- 前記芳香族ポリカーボネート樹脂及び前記環状カーボネートが、
芳香族ポリカーボネートプレポリマーと、下記一般式(IV)で表されるジオール化合物とを、エステル交換触媒の存在下に反応させて高分子量化する高分子量化工程と、前記高分子量化工程で副生する環状カーボネートの一部を反応系外へ除去する環状カーボネート除去工程とを含む方法により得られる、請求項1〜7のいずれか一項に記載の芳香族ポリカーボネート樹脂組成物:
一般式(IV):
(式中、Ra及びRbは、各々独立して、水素原子、ハロゲン原子、酸素原子もしくはハロゲン原子を含んでいてもよい炭素数1〜30の直鎖もしくは分岐のアルキル基、酸素原子もしくはハロゲン原子を含んでいてもよい炭素数3〜30のシクロアルキル基、酸素原子もしくはハロゲン原子を含んでいてもよい炭素数6〜30のアリール基、又は酸素原子もしくはハロゲン原子を含んでいてもよい炭素数1〜15のアルコキシ基を表すか、あるいはRa及びRbは、相互に結合して環を形成していてもよく、R5〜R8は、各々独立して、水素原子、ハロゲン原子又は炭素数1〜5の直鎖もしくは分岐のアルキル基を表し、nは、0〜30の整数を表す)。 - 前記ジオール化合物が、下記一般式(IVa)で表される化合物である、請求項8に記載の芳香族ポリカーボネート樹脂組成物:
一般式(IVa):
(式中、Ra及びRbは、各々独立して、水素原子、ハロゲン原子、酸素原子もしくはハロゲン原子を含んでいてもよい炭素数1〜30の直鎖もしくは分岐のアルキル基、酸素原子もしくはハロゲン原子を含んでいてもよい炭素数3〜30のシクロアルキル基、酸素原子もしくはハロゲン原子を含んでいてもよい炭素数6〜30のアリール基、又は酸素原子もしくはハロゲン原子を含んでいてもよい炭素数1〜15のアルコキシ基を表すか、あるいはRa及びRbは、相互に結合して環を形成していてもよい)。 - 前記ジオール化合物が、2−ブチル−2−エチルプロパン−1,3−ジオール、2,2−ジイソブチルプロパン−1,3−ジオール、2−エチル−2−メチルプロパン−1,3−ジオール、2,2−ジエチルプロパン−1,3−ジオール、及び2−メチル−2−プロピルプロパン−1,3−ジオールからなる群より選択される、請求項8又は9に記載の芳香族ポリカーボネート樹脂組成物。
- 請求項1〜10のいずれか一項に記載の芳香族ポリカーボネート樹脂組成物を成形してなる、成形品。
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