以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。
図1は、本発明の第1実施形態である補助用具の斜視図である。以下、図1に示す補助用具1の、図面左斜め奥側を前側と称し、図面右斜め手前側を後側と称し、前側と後側を結ぶ方向を前後方向することがある。また、図1に示す補助用具1の、前後方向と水平方向に直交する方向を左右方向と称することがある。図2は、図1に示す補助用具の側面図である。図2では、図面左側が前側になり、図面右側が後側になり、紙面と直交する方向が左右方向になる。図2では、作業者Mを二点鎖線で示している。
図1および図2に示すように、補助用具1は、支持部材3と、緩衝部材4と、基体5と、連結体2とを備えている。支持部材3は、床に設置されるベース部31と、このベース部31から立設した、左右一対の立設部32と、左右一対の手摺部33と、左右一対の取付部材34とを有している。ベース部31は、前後方向に延在した左右一対の支持部311と、これら左右一対の支持部311における、前後方向の中央部分を連結する連結部312と、左右一対の支持部311における、前後方向の中央部分から立設した、左右一対の立上り部313を有している。立上り部313は角筒状に形成され、上下方向に所定間隔をあけて複数の立上り部孔313aが形成されている。立設部32は、上下方向に延在した垂直部321と、垂直部321の上端部分から水平に延在した水平部322を有し、垂直部321が、上方から立上り部313に挿入されている。垂直部321の下側部分には、上下方向に所定間隔をあけて複数の立設部孔32aが形成されている。複数の立上り部孔311aのうちのいずれか1つと、複数の立設部孔32aのうちのいずれか1つに、ノブ35が挿通され、一対の立上り部313それぞれの所定高さ位置に、一対の立設部32それぞれが取り付けられている。手摺部33は、立設部32の水平部322上に取り付けられている。取付部材34は、角柱状に形成され、その後側の面における下側部分が、接着や溶接、あるいは図示しないボルトやナット等の適宜の固定手段によって、水平部322に固定されるとともに、その左右両側面における一方側の面が、適宜の固定手段によって手摺部33に固定されている。
基体5は、角柱状に形成され、左右方向に延在したものである。また、基体5には、その上面から所定の深さを有するバネ体差込穴5aが、左右方向に所定間隔をあけて複数形成されている。基体5は、その後側の面における左右両端部分が、左右一対の取付部材34における前側の面に、適宜の固定手段によってそれぞれ固定されているとともに、その左右両側面が、左右一対の手摺部33に、適宜の固定手段によってそれぞれ固定されている。すなわち、基体5は、支持部材3によって所定に高さに支持されている。なお、基体5は、その上面が、取付部材34の上端よりも所定寸法低い位置に固定されている。また、支持部材3は、ノブ35を挿通する、立上り部孔311aと立設部孔32aを変更し、一対の立上り部313それぞれに対する、一対の立設部32の高さ位置それぞれを変更することができる。これにより、基体5の高さ位置を調整することができる。
図3も参照しつつ、連結体2について説明する。図3は、図1に示す連結体を後側から見た図である。
図1〜図3に示すように、連結体2は、当接体7と、この当接体7を基体5に連結するバネ体9を備えている。当接体7は、角柱状に形成され左右方向に延在した複数の第1棒状部材71と、丸パイプ状に形成され左右方向に延在した複数の第2棒状部材72とを有している。なお、第1棒状部材71は、角パイプ状に形成されたものであってもよく、第2棒状部材72は、円柱状に形成されたものであってもよい。また、第1棒状部材71と第2棒状部材72は、樹脂や金属を用いて形成したものであってもよく、木製であってもよい。また、ゴム等の高弾性の素材を用いて形成されたものであってもよい。さらに、第1棒状部材71と第2棒状部材72は、図4を用いて後述するように、作業者Mが当接する後側の部分に緩衝部材を設けたものであってもよい。
複数の第1棒状部材71は、当接体7の下側部分を構成するものであり、上下方向に重ねられた状態で配置されている。また、複数の第2棒状部材72は、複数の第1棒状部材71の上側に上下方向に重ねられた状態で配置されている。図3に示すように、複数の第1棒状部材71と複数の第2棒状部材72それぞれには、上下方向に貫通する貫通孔71a,72aが、左右方向に所定間隔をあけて複数形成されている。これら貫通孔71a,72aは、複数の第1棒状部材71と複数の第2棒状部材72が上下方向に重ねられた状態で、上下方向に揃う位置に形成されている。
バネ体9は、ピアノ線等を用いて形成され、所定のバネ性を備えた長尺状のものである。図1および図2に示すように、複数のバネ体9は、それぞれの下端部分が基体5のバネ体差込穴5aに差し込まれている。図1〜図3に示すように、複数の第1棒状部材71の貫通孔71aと複数の第2棒状部材72の貫通孔72aには、バネ体9がそれぞれ挿通され、複数の第1棒状部材71と複数の第2棒状部材72が、上下方向に重ねられた状態で連結されている。これらによって、図1および図2に示すように、連結体2が、前側にやや傾いた姿勢で基体5に取り付けられている。なお、図1〜図3に示すように、複数のバネ体9における、当接体7から上方に突出した部分には、キャップ91がそれぞれ取り付けられている。
図3に示すように、上下方向に重ねられた、複数の第1棒状部材71間それぞれには、バネ体9が挿通された、リング状の隙間形成部材92が複数配置されている。これら隙間形成部材92によって、複数の第1棒状部材71間それぞれに、所定の隙間が形成されている。これらの隙間によって、上下方向に重ねられた複数の第1棒状部材71は、互いに前後方向に傾動することが可能になる。なお、上下方向に重ねられた複数の第2棒状部材72は、丸パイプ状に形成されているため、複数の第2棒状部材72間それぞれに隙間がなくても、互いに前後方向に傾動することができる。当接体7は、第1棒状部材71の数と第2棒状部材72の数を、それぞれ変更することができ、例えば、第1棒状部材71と第2棒状部材72の数をそれぞれ減らし、当接体7の高さ寸法を小さくすることができる。また、当接体7を全て第1棒状部材71で構成してもよく、反対に、当接体7を全て第2棒状部材72で構成してもよい。さらに、当接体7の下側部分を複数の第2棒状部材72で構成し、これらの第2棒状部材72上に複数の第1棒状部材71を配置してもよく、第1棒状部材71と第2棒状部材72とを、上下方向に順番に重ねてもよい。
図4を用いて後述するように、作業者Mが腰を前方に曲げて当接体7にもたれかかると、複数のバネ体9それぞれが、腰を前方に曲げる腰曲げ方向にしなり、複数の第1棒状部材71と複数の第2棒状部材72が、腰曲げ方向にそれぞれ傾動する。バネ体9が腰曲げ方向にしなると、複数のバネ体9それぞれには、腰曲げ方向とは反対方向における反腰曲げ方向の所定の付勢力が生じ、この付勢力が、複数の第1棒状部材71と複数の第2棒状部材72とを介して、作業者Mに付与される。すなわち、バネ体9は、当接体7が腰曲げ方向に傾動すると、当接体7に、1つ当り所定の付勢力を反腰曲げ方向に付与するものである。図3においては、5つのバネ体9を示しているが、バネ体9は、キャップ91を外して連結体2から抜き取ることができ、本実施形態においては、1〜5つの範囲でバネ体9の数を増減させることができる。また、基体5のバネ体差込穴5a、第1棒状部材71の貫通孔71a、および第2棒状部材72の貫通孔72aの数をそれぞれ増やし、6つ以上のバネ体9を用いる構成としてもよい。さらに、バネ体9は、付勢力が異なるバネ体9と交換することもできる。これらのように、バネ体9の数を変更すること、またはバネ体9を付勢力が異なるものへ交換することによって、作業者Mに付与する付勢力を調整することができる。なお、バネ体9は、全体が同じバネ性を有するものである必要はなく、例えば、バネ体9の上側部分を下側部分に比べて曲がり難くする等、部分的にバネ性を異ならせてもよい。また、上下方向に重ねられた複数の第1棒状部材71それぞれを、腰曲げ方向に傾動可能に連結するヒンジ部材を取り付け、このヒンジ部材に、第1棒状部材71が腰曲げ方向に傾動した場合に反腰曲げ方向の付勢力を付与するコイルバネを設けてもよい。このコイルバネを、付勢力の異なるコイルバネと交換することによっても、作業者Mに付与する反腰曲げ方向の付勢力を調整することができる。
緩衝部材4は、ポリウレタンやゴム等の高弾性の素材で形成され、図1および図2に示すように、基体5上であって、基体5に取り付けられた連結体2と取付部材34との間に、左右方向に延在した状態で配置されている。なお、柔らかい素材のマット状のものを丸めて、緩衝部材4として用いてもよい。また、緩衝部材4も、第1棒状部材71や第2棒状部材72と同様にバネ体9を挿通させ、上下方向に重ねられた複数の第1棒状部材71の下側や中間の部分に配置してもよい。さらに、基体5を高弾性の素材で形成することによって基体5に緩衝部材の機能を付与し、緩衝部材4を省略してもよい。
次いで、図2および図4を用いて、作業者Mが補助用具1を用いて作業する態様を説明する。図4は、図2に示す作業者が腰を前方に曲げて連結体に支持された状態を示す側面図である。
予め、作業者Mの身長に合わせて、前述した、基体5の高さ位置を調整する操作を行う。基体5の高さは、作業者Mが連結体2にもたれかかった場合に、作業者Mの下腹部が緩衝部材4に当接する位置に調整するとよい。図2に示すように、まず、作業者Mは、図1に示す、支持部材3の連結部312を後側から跨いで立ち、緩衝部材4の後側に下腹部が位置する姿勢をとる。作業者Mが、腰を前方に曲げていくと、作業者Mの下腹部が緩衝部材4に当接し、作業者の、腹部から胸部にかかる部位が当接体7に当接する。この段階では、作業者の、腹部から胸部にかかる部位が当接体7に当接しただけであって、バネ体9は、まだ図2に示す状態にある。作業者Mが、さらに腰を前方に曲げていくと、作業者Mの荷重によってバネ体9が前側に徐々にしなり、作業者Mの腹部から胸部にかかる部位に当接体7が接触したまま、複数の第1棒状部材71と複数の第2棒状部材72それぞれが腰曲げ方向に徐々に傾動し、バネ体9の反腰曲げ方向の付勢力が作業者Mに付与される。作業者Mは、付勢力に抗して、図4に示す自分の望む角度まで腰を前方に曲げる。図4に示す作業者Mは、腰を自分の望む角度まで曲げた姿勢を維持するため、付勢力とのバランスをとって、連結体2と緩衝部材4にもたれかかった状態で作業を行うことができる。作業者Mが図4に示す状態から腰を伸ばしていくと、バネ体9のしなりが徐々に小さくなり、作業者Mの腹部から胸部にかかる部位に当接体7が接触したまま、複数の第1棒状部材71と複数の第2棒状部材72それぞれが反腰曲げ方向に徐々に傾動し、バネ体9の反腰曲げ方向の付勢力が作業者Mに付与される。作業者Mが腰を伸ばしきって連結体2から離れると、連結体2は、図2に示す元の状態に戻る。
作業者Mには、腰を前方に曲げていく際と、腰を伸ばす際に、バネ体9によって反腰曲げ方向の付勢力が付与される。このため、作業者Mが腰を前方に曲げていく際と、腰を伸ばす際の、作業者Mの腰にかかる負荷を軽減することができる。作業者Mに付与される付勢力は、バネ体9の数を変更することや、バネ体9を付勢力が異なるものに変更することによって変えることができる。これにより、作業者Mの好みや作業内容等に応じて、作業者Mに付与される付勢力を好適な強さに調整することができる。作業者Mが腰を前方に曲げた状態においても、作業者Mに、反腰曲げ方向の付勢力が付与される。このため、作業者Mは、連結体2にもたれかかった状態で作業することができ、作業者Mの腰にかかる負荷が軽減される。さらに、作業者Mが腰を前方に曲げた際に、複数の第1棒状部材71と複数の第2棒状部材72それぞれが、作業者Mの腹部や胸部などの曲がり具合に応じて傾動し、作業者Mの腹部や胸部などに均等に当接しやすくなる。この結果、作業者Mの腹部や胸部などに付与される付勢力も分散され、作業者Mの腹部や胸部などにおいて局部的に強い力がかかることがなくなり、作業者Mの不快感等を抑えることができる。また、作業者Mの下腹部は、緩衝部材4に支持され作業者Mの腰が安定するため、これによっても作業者Mの腰にかかる負荷を軽減することができる。なお、緩衝部材4は、高弾性の素材で形成されているため、作業者Mの下腹部が緩衝部材4に当接したときの痛み等を抑えることができる。
次に、第1実施形態の補助用具1の変形例について、これまで説明した構成とは異なる点を中心に説明する。また、これまで説明した構成要素と同じ名称の構成要素には、これまで付した符号を付して説明し、また、説明を省略することがある。
図5(a)は、第1変形例の補助用具における連結体を後側から見た図である。本変形例では、連結体2が、長さが短いバネ体と、貫通していない差込穴が形成された第1棒状部材とを有している点等が、主に第1実施形態と異なる。
図5(a)に示すように、当接体7は、第1棒状部材71に形成された5つの貫通孔71aのうちの2つが差込穴71bに置き換えられた、第1棒状部材71’を1つ有している。本変形例では、第1実施形態の連結体2において上下方向に重ねられた6つの第1棒状部材71のうち、上から3番目の第1棒状部材71が、第1棒状部材71’に置き換えられている。
また、連結体2は、長さが短い短寸バネ体9’を有している。本変形例では、第1実施形態の連結体2において左右方向に配置された5つのバネ体のうち、内側の3つを短寸バネ体9’に置き換えている。3つの短寸バネ体9’のうち、真中の短寸バネ体9’は、下端部分が当接体7の下方から突出し、上端が、上下方向に重ねられた第2棒状部材72のうち、上下方向の中間付近に配置された第2棒状部材72の貫通孔72a内に位置している。このため、複数の第2棒状部材72のうち、中央のバネ体9が挿通されていない第2棒状部材72には、中央の短寸バネ体9’による付勢力が付与されない。両側の2つの短寸バネ体9’は、下端部分が第1棒状部材71’の差込穴71b内に差し込まれている。このため、第1棒状部材71’よりも下側に配置された第1棒状部材71には、両側の2つの短寸バネ体9’による付勢力は付与されない。これらのため、本変形例では、当接体7の上側部分は、4つのバネ体9,9’の付勢力が付与され、当接体7の上下方向における中央部分は、5つのバネ体9,9’の付勢力が付与され、当接体7の下側部分は、3つのバネ体9,9’の付勢力が付与される。このように、長さが短い短寸バネ体9’を用い、また、差込穴71bが形成された第1棒状部材71’を用いることによって、当接体7に付与される付勢力を部分的に調整することができる。この結果、作業者Mに付与する付勢力も、部分的に調整することができる。
差込穴71bが形成された第1棒状部材71’は、第1棒状部材71と入れ替えることによって、配置位置を変更することができる。第1棒状部材71’を下側の第1棒状部材71と入れ替えれば、当接体7に挿通される短寸バネ体9’の位置を下側に移動することができる。一方、第1棒状部材71’を上側の第1棒状部材71と入れ替えれば、当接体7に挿通される短寸バネ体9’の位置を上側に移動することができる。なお、貫通孔72aの一部を貫通しない差込穴に置き換えた第2棒状部材を用いてもよい。
図5(b)は、第2変形例の補助用具における連結部材を示す斜視図である。
図5(b)に示すように、連結体2は、当接体7と、バネ体9と、環状のバンド部材8とを備えている。当接体7は、上側当接部材73と、下側当接部材74と、移動当接部材75とを有している。これら、当接部材73〜75は、3つのバネ体9によって連結されている。
上側当接部材73は、バネ体9が貫通した状態でバネ体9の上端部分に取り付けられ、下側当接部材74は、バネ体9が貫通した状態で、バネ体9の、下端よりもやや上側部分に取り付けられている。上側当接部材73と下側当接部材74は、3つのバネ体9のうちの少なくとも1つと接着等によって固定されている。移動当接部材75は、上側当接部材73と下側当接部材74との間に、バネ体9が貫通した状態で取り付けられている。移動当接部材75は、バネ体9に固定されておらず、上側当接部材73と下側当接部材74との間で上下方向に移動させることができる。3つのバネ体9のうち、上側当接部材73および下側当接部材74と固定されていないバネ体9は取り外すことができる。このため、バネ体9の数を変更することができ、また、バネ体9を付勢力が異なるものに交換することができる。バンド部材8は、ゴム等の伸縮性に優れた素材で形成され、上側当接部材73と下側当接部材74とに架け渡されている。
本変形例の補助用具1は、一対の連結体2を備えるものであり、これら連結体2は、バネ体9の下端部分が、図1に示す基体5のバネ体差込穴5aに差し込まれ、基体5に取り付けられる。本変形例の基体5には、左右方向に所定の間隔を開けて複数のバネ体差込穴5aが形成されている。一対の連結体2は、複数のバネ体差込穴5aのうちから選択したバネ体差込穴5aに支持部材3の下端部分を差し込むことによって、左右方向に所定の間隔をあけて基体5に取り付けられる。連結体2は、バネ体9を差し込むバネ体差込穴5aを変更することによって、基体5に取り付けられる左右方向の位置を変更することができる。一対の連結体2の間隔は、作業者Mの肩幅よりも少し狭い程度に調整すると好適である。
一対の連結体2を基体5に取り付けた状態で、作業者Mが腰を前方に曲げると、それぞれの上側当接部材73が、作業者Mの胸部、または肩に当接し、バネ体9によって反腰曲げ方向の付勢力が作業者Mに付与される。すなわち、上側当接部材73は、本発明にいう、胸部当接部または肩当接部に相当する。移動当接部材75は、上側当接部材73と下側当接部材74との間で好適な位置に移動させることができる。例えば、上側当接部材73が、作業者Mの肩に当接する場合には、移動当接部材75を、作業者Mの胸部に当接させる位置にしてもよい。また、バネ体9のうち、移動当接部材75に挿通された部分は曲がり難くなるため、移動当接部材75の上下方向の位置を変更することによって、バネ体9がしなる度合いを調整することもできる。なお、上側当接部材73と下側当接部材74との間において、移動当接部材75が位置していない部分は、バンド部材8によって、ある程度、作業者Mが支持される。
本変形例の補助用具1においても、バネ体9の数を変更することや、バネ体9を付勢力が異なるものに変更することによって、作業者Mに付与される付勢力を調整することができる。また、作業者Mの胸部や肩に当接する上側当接部材73によって、作業者Mに反腰曲げ方向の付勢力を付与し、作業者Mの腹部やみぞおちに当接する当接部材を用いていない。これにより、腹部やみぞおち部分が押されることによる作業者の不快感をなくすことができる。さらに、一対の連結体2は、所定の間隔をあけて基体5に取り付けられているため、作業者Mの、胸部の中央部位に当接体7が当接することがなくなり、胸部の中央部位が押されることによる息苦しさ等もなくすことができる。また、作業者Mは、2つの連結体2によって支えられるため、作業者Mは、2つの連結体2に加える荷重の強さを異ならせることによって、胴の向きを前側から傾いた方向に向けることができる。
なお、連結体2は2つに限られるものではなく、3つ以上設けてもよく、1つ設けてもよい。また、連結体2は、2つまたは4つ以上のバネ体9を有するものであってもよく、付勢力が異なるバネ体9に変更可能な1つのバネ体9を有するものであってもよい。さらに、連結体2は、バネ体9をバネ体差込穴5aに嵌合させ、下側当接部材74を省略してもよい。また、連結体2は、下側当接部材74を、適宜の固定手段を用いて基体5に固定するものであってもよい。さらに、移動当接部材75は1つに限られるものではなく、2つ以上設けてもよい。
図6は、第3変形例の補助用具を示す側面図である。本変形例では、支持部材3に固定される基体5の位置と、バネ体9の形状および長さと、第1棒状部材71の数と、緩衝部材4を備えていない点等が、主に第1実施形態と異なる。
図6に示すように、第3変形例の補助用具1は、基体5が、取付部材34の前側の面における下側部分に固定されている。バネ体9は、第1実施形態のバネ体9よりも長さが長いものであり、バネ体9の長さが長い分、連結体2は、第1実施形態の第1棒状部材71よりも多数の第1棒状部材71を有している。また、バネ体9は、下側部分が、後側に向けて円弧状に湾曲し、これに伴い、バネ体9の湾曲した部分が挿通された複数の第1棒状部材71も、バネ体9の形状と同様に円弧状に連結されている。これらによって、連結体2には、後側に向けて円弧状に湾曲した湾曲部2aが形成されている。
本変形例の補助用具1を用いて作業者Mが作業を行う場合には、予め、第1実施形態と同様の操作を行い、連結体2の湾曲部2aが作業者Mの下腹部に当接可能な高さに、基体5の高さ位置を調整する。作業者Mが、腰を前方に曲げると、連結体2の湾曲部2aが作業者Mの下腹部に当接するため、第1実施形態の補助用具1が備えている緩衝部材4がなくても、作業者Mの腰を安定させ腰にかかる負荷を軽減することができる。また、本変形例においても、バネ体9の数を変更することや、バネ体9を付勢力が異なるものに変更することによって、作業者Mに付与される付勢力を調整することができる。
図7(a)は、第4変形例の補助用具を示す側面図であり、図7(b)は、第5変形例の補助用具を示す側面図である。図7(a)および同図(b)では、図の左右方向が前後方向になり、紙面と直交する方向が左右方向になる。
図7(a)に示す補助用具1は、支持部材3と、基体5と、第1クッション部材76と、第2クッション部材77を有するものである。支持部材3は、左右一対の立上り部313を備えたベース部31と、左右一対の立設部32と、水平部材36と、左右一対の取付部材34を有している。左右一対の立設部32それぞれは、左右一対の立上り部313の上端側から図の両矢印で示すように高さ調整自在に挿入されている。水平部材36は、左右方向に延在したものであり、左右一対の立設部32の上端部分に固定されている。左右一対の取付部材34それぞれは、前後方向に延在したものであり、前側の端部が水平部材36に固定されている。基体5は、水平部材36と同様に左右方向に延在したものであり、左右一対の取付部材34における後側の端部に固定されている。基体5は、作業者Mの下腹部等の高さに合わせて、高さ調整自在なものである。また、基体5の外周には、ロール状の第1クッション部材76が設けられ、この第1クッション部材76の外周には第2クッション部材77が設けられている。これら、第1クッション部材76および第2クッション部材77は、例えば、ゴムやウレタン発泡体で構成された着脱自在なものであり、それぞれ硬さや反発力が異なるものである。また、第2クッション部材77は、一部が切欠かれたものであり、図では一点鎖線の円で囲んで示すように、その切欠き部から第1クッション部材76の外周部分に取り付けられる。作業者Mは、例えば、下腹部を基体5の第2クッション部材77に当接させた状態で基体5にもたれかかることによって、腰にかかる負荷を軽減することができる。また、作業者Mは、第2クッション部材77を取り外し、第1クッション部材76に下腹部を当接させた状態で基体5にもたれかかることもできる。さらに、第1クッション部材76や第2クッション部材77について、硬さや反発力が異なるものに差し替えてもよいし、第2クッション部材77の外周に、さらに別の1または複数のクッション部材を取り付けてもよい。これらクッション部材は、本発明における当接体の一例に相当し、上述したクッション部材の差し替えや削除、追加によって、作業者Mの好みや作業内容等に応じて、作業者Mにとって好適な反腰曲げ方向の付勢力を作業者に付与することができる。なお、基体5のクッション部材51を省略し、作業者Mが、下腹部を基体5に当接させた状態で基体5にもたれかかる構成を採用してもよい。
図7(b)に示すように、第5変形例の補助用具1は、図7(a)の補助用具20に対して、当接体7と、1または複数のバネ体9を追加したものである。また、本変形例では、基体5には、図7(a)に示す第1クッション部材76や第2クッション部材77は設けられていないが、図7(a)に示す補助用具20と同様に、基体5に第1クッション部材76や第2クッション部材77を設けてもよい。当接体7は、左右方向に延在した板状のものであり、図の円弧状の矢印で示すように、基体5に対して回動自在に取り付けられている。バネ体9は、水平部材36に取り付けられ、当接体7に反腰曲げ方向の付勢力を付与するものである。作業者Mが、例えば下腹部を基体5に当接させた状態で腰を前方に曲げていくと、作業者Mの腹部から胸部にかかる部位が当接体7に当接し、作業者Mが、さらに腰を前方に曲げていくと、作業者Mの荷重によって当接体7が腰曲げ方向に徐々に傾動し、バネ体9の反腰曲げ方向の付勢力が作業者Mに付与される。また、作業者Mが腰を伸ばしていくと、作業者Mの腹部から胸部にかかる部位に当接体7が接触したまま、当接体7が反腰曲げ方向に徐々に傾動し、バネ体9の反腰曲げ方向の付勢力が作業者Mに付与される。この結果、作業者Mが腰を前方に曲げていく際と、腰を伸ばす際の、作業者Mの腰にかかる負荷を軽減することができる。
また、1または複数のバネ体9は、その一部あるいは全部について付勢力が異なる他のバネ体に変更することができる。さらに、1または複数のバネ体9は、その個数を増減させることもできる。これらにより、作業者Mの好みや作業内容等に応じて、作業者Mに付与される付勢力を好適な強さに調整することができる。
次いで、本発明の第2実施形態である補助用具10について説明する。図8は、本発明の第2実施形態である補助用具を概念的に示す図である。図8では、紙面手前側が前側になり、紙面奥側が後側になる。
図8に示すように、補助用具10は、エプロン16と、2つの連結体12と、ベルト部材13とを備えている。エプロン16は、一対の首装着部161を有し、作業者の体の前側を覆う布状のものである。連結体2は、基体15と、当接体17と、バネ体19とを有している。当接体17は、上側当接体171と下側当接体172を有し、これら上側当接体171および下側当接体172と、基体15は、樹脂等によって形成された円盤状のものである。なお、上側当接体171、下側当接体172、および基体15の後側に、ゴム等で形成された緩衝部材を設けてもよい。バネ体19は、所定のバネ性を備え上下方向に延在した長尺状のものであり、上下方向の中央部分が基体15に着脱自在に取り付けられている。上側当接体171は、バネ体19の上端部分に、着脱自在に、かつ上下方向の位置を調整自在に取り付けられている。下側当接体172は、バネ体19の下端部分に、着脱自在に、かつ上下方向の位置を調整自在に取り付けられている。
ベルト部材13は、水平方向に延在する姿勢でエプロン16の後側に取り付けられている。ベルト部材13には、長手方向に複数のポケット部131が形成されている。また、エプロン16の一端側部分には、面ファスナ132が設けられている。
連結体12は、基体15がポケット部131に収容されることによって、ベルト部材13に取り付けられている。ベルト部材13に連結体12を取り付ける位置は、別のポケット部131に基体15を収容させることによって、ベルト部材13の長手方向に変更することができる。なお、バネ体19は、ポケット部131の底部分に形成された、図示しない孔から下方に突出している。
次いで、作業者が、補助用具10を用いて作業を行う態様について説明する。作業者が補助用具10を装着する場合は、まず、ベルト部材13の、長手方向の中央部分を下腹部付近にあてた状態で、ベルト部材13の一端側部分に設けられた面ファスナ132を、ベルト部材13の他端側部分に接続することによって、ベルト部材13を腰に巻く。次いで、エプロン16の首装着部161を首の後側で結ぶことによって、作業者Mに補助用具10が装着される。次に、上側当接体171と下側当接体172の上下方向の位置を、上側当接体171が作業者の胸部に当接し、下側当接体172が作業者の大腿部に当接するように調整する。なお、上側当接体171は、作業者Mの肩に当接させてもよい。
作業者が腰を前方に曲げると、上側当接体171が作業者の胸部に接触したまま、バネ体19における基体15よりも上側の部分が、基体15を支点として腰曲げ方向にしなり、上側当接体171を介して作業者に反腰曲げ方向の付勢力が付与される。また、下側当接体172が作業者の大腿部に接触したまま、バネ体19における基体15よりも下側の部分が、下側当接体172を支点として腰曲げ方向にしなり、基体5を作業者の腰に押し付ける反腰曲げ方向の付勢力が基体5に付与される。このように、基体5が作業者の腰に押し付けられることによって基体15の位置を安定させることができる。
バネ体19は、基体15から取り外して、付勢力の異なるバネ体と交換することができる。また、他のバネ体19を基体15に取り付けて、バネ体19の数を2つ以上に変更することもできる。これらによって、作業者に付与する反腰曲げ方向の付勢力の強さを好適に調整することができる。なお、連結体12は、2つに限られるものではなく、1つであってもよく、3つ以上であってもよい。このように、連結体12の数を変更することによっても、作業者に付与する反腰曲げ方向の付勢力を調整することができる。さらに、本実施形態の補助用具1は、作業者Mに装着するものであるため、作業者Mが場所を移動して作業する場合であっても、好適に使用することができる。
なお、連結体12は、基体15から上方に延在したバネ体と、基体15から下方に延在した別のバネ体とを備えたものであってもよく、また、基体15から下方に延在したバネ体と下側当接体172を備えていないものであってもよい。さらに、連結体12に代えて、図1〜図6に示す、第1実施形態、およびその変形例1〜3の連結体2を用い、この連結体2をベルト部材13またはエプロン16に取り付ける構成としてもよい。
図9は、本発明における第2実施形態の変形例を示す図である。図9では、紙面手前側が後側になり、紙面奥側が前側になる。
図9に示すように、本変形例の補助用具10は、エプロン16と、2つの連結体12とを備えている。2つの連結体12は、エプロン16の後側(裏側)に、左右方向に間隔をあけ上下方向に延在した姿勢で取り付けられている。また、連結体12それぞれは、板状の基体15と、板状の当接体17と、基体15と当接体17を接続するバネ体19とを有している。基体15は、基体取付部材151によってエプロン16の下側部分に取り付けられており、当接体17は、当接体取付部材173によってエプロン16の上側部分に取り付けられている。
次いで、作業者が、本変形例の補助用具10を用いて作業を行う態様について説明する。本変形例の補助用具10は、まず、エプロン16の首装着部161を首の後側で結び、次いで、紐162を腰の後ろ側で結ぶことによって作業者に装着される。作業者に補助用具10が装着されると、基体15が作業者の大腿部に当接し、当接体17が作業者の腹部から胸部にかかる部位に当接する。
作業者が腰を前方に曲げると、基体15が作業者の大腿部に当接し、当接体17が作業者の腹部から胸部にかかる部位に接触したまま、バネ体19が基体15を起点として腰曲げ方向にしなり、当接体17を介して作業者に反腰曲げ方向の付勢力が付与される。バネ体19は、基体15から取り外して、付勢力の異なるバネ体と交換することができ、また、他のバネ体19を基体15と当接体17に取り付けて、バネ体19の数を変更することもできる。これらによって、作業者に付与する反腰曲げ方向の付勢力の強さを好適に調整することができる。本変形例の補助用具10も、作業者が場所を移動して作業する場合に好適に使用することができる。
以上説明したように、上記実施形態の補助用具によれば、作業者にとって好適な反腰曲げ方向の付勢力を作業者に付与することができる。
本発明は上述の実施の形態に限られることなく特許請求の範囲に記載した範囲で種々の変更を行うことが出来る。例えば、上記実施の形態では、当接体7を、複数の第1棒状部材71と複数の第2棒状部材72によって構成しているが、作業者Mがもたれかかった場合に、腰曲げ方向に変形可能な一枚の板状部材を当接体に用いてもよい。
なお、以上説明した各実施形態や各変形例の記載それぞれにのみ含まれている構成要件であっても、その構成要件を他の変形例に適用してもよい。