JP2015188364A - 栄養組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明は、経管栄養等による投与後に、胃内容物の胃から食道への逆流を防止する液状栄養組成物を提供することを目的とする。また、本発明は、液状栄養剤の存在下、胃液と均一に混合する組成物を提供することを目的とする。【解決手段】メタリン酸又はその塩、並びに1)キサンタンガム及び/又は2)アルギン酸若しくはその塩を含有し、胃液又は人工胃液と均一に混合する液状栄養組成物。【選択図】なし

Description

本発明は、経管栄養等による投与後に、胃内容物の胃から食道への逆流を防止する液状栄養組成物に関する。また、本発明は、液状栄養剤の存在下、胃液と均一に混合する組成物に関する。
経管栄養は、食事の経口摂取が困難な患者や高齢者に対して、体外から消化管内に栄養を投与する方法である。しかしながら、経管栄養の問題点として、投与した栄養を含む胃内容物の胃から食道への逆流があり、それによって食道炎や肺炎を誘発する可能性がある。
この問題点を解決する方法として、ゼリー状又はペースト状の半固形化された栄養剤がすでに製造販売されている。しかしながら、径の細いチューブを用いて半固形化栄養剤を投与することは極めて困難であり、また、手やポンプを用いて栄養剤を押し出して投与する必要があるなど、液状栄養剤と比較した場合、使用性の面において課題がある。
これら半固形化栄養剤の抱える課題を解決する方法として、投与前は液状であり、胃内で固形化又は半固形化する組成物等が報告されている(特許文献1〜10)。しかしながら、これらの方法は、投与された組成物等を含む胃内容物と胃液が分離して、胃食道逆流の一因とされるアシッドポケット(acid pocket)を形成することが示唆されている(非特許文献1)。そこで、胃に流入した際に胃液と均一に混合して増粘することで、アシッドポケット(acid pocket)の形成を抑制し、胃食道逆流を防止できる液状栄養組成物の開発が望まれている。
特表2013−525447号公報 国際公開第2012/074670号 特開2011−147444号公報 特開2011−50278号公報 特開2010−17180号公報 特開2009−153441号公報 特開2000−217544号公報 特開2000−169397号公報 特開2000−169396号公報 国際公開第2012/081725号
Fletcher J et al. Gastroenterology, 2001, 121: 775-783
本発明は、経管栄養等による投与後に、胃内容物の胃から食道への逆流を防止する液状栄養組成物を提供することを目的とする。また、本発明は、液状栄養剤の存在下、胃液と均一に混合する組成物を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、意外にもメタリン酸又はその塩と、1)キサンタンガム及び/又は2)アルギン酸若しくはその塩を含有する液状栄養剤が、胃内で胃液と均一に混合し、かつ増粘効果を有することを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は以下に関する。
[1]メタリン酸又はその塩、並びに1)キサンタンガム及び/又は2)アルギン酸若しくはその塩を含有し、胃液又は人工胃液と均一に混合する液状栄養組成物。
[2]カルシウム及び/又はマグネシウムをさらに含有する、[1]記載の液状栄養組成物。
[3]タンパク質をさらに含有する、[1]又は[2]記載の液状栄養組成物。
[4]脂質、炭水化物、ビタミン及びミネラルから選択される1以上の成分をさらに含有する、[1]〜[3]のいずれかに記載の液状栄養組成物。
[5]胃食道逆流を防止する、[1]〜[4]のいずれかに記載の液状栄養組成物。
[6]胃内におけるアシッドポケット(acid pocket)の形成を抑制する、[1]〜[4]のいずれかに記載の液状栄養組成物。
[7]液状栄養組成物、及び前記液状栄養組成物に対して体積比で等量の、胃液又は人工胃液を混合した後の粘度が、ブルックフィールド型回転粘度計による測定(25℃、回転数12rpm)で300mPa・s以上である、[1]〜[6]のいずれかに記載の液状栄養組成物。
[8]液状栄養組成物、及び前記液状栄養組成物に対して体積比で等量の、胃液又は人工胃液を混合した後の粘度が、前記液状栄養組成物の粘度の4倍以上である(前記各粘度は、ブルックフィールド型回転粘度計(25℃、回転数12rpm)で測定した粘度である)、[1]〜[7]のいずれかに記載の液状栄養組成物。
[9]メタリン酸又はその塩、並びに1)キサンタンガム及び/又は2)アルギン酸若しくはその塩を含有する組成物であって、液状栄養剤の存在下、胃液又は人工胃液と均一に混合することを特徴とする組成物。
[10]カルシウム及び/又はマグネシウムをさらに含有する、[9]記載の組成物。
本発明によれば、経管栄養等による投与後に、胃内容物の胃から食道への逆流を抑制する液状栄養組成物を提供することができる。また、本発明によれば、液状栄養剤の存在下、胃液と均一に混合する組成物を提供することができる。
図1は、ラットに試料を投与してから胃を摘出するまでの時間と各時間における胃内容物の上澄み液の重量との関係を示す。
以下に、本発明の実施の形態について説明する。
本発明の液状栄養組成物は、メタリン酸又はその塩、並びに1)キサンタンガム及び/又は2)アルギン酸若しくはその塩を含有し、胃液又は人工胃液と均一に混合する液状栄養組成物であることを特徴とする。
本発明の液状栄養組成物中におけるメタリン酸又はその塩の含有量は特に限定されないが、好ましくは液状栄養組成物全量に対して0.1〜3.0w/v%、より好ましくは0.2〜1.0w/v%である。
本発明の液状栄養組成物中におけるメタリン酸又はその塩としては、液状栄養組成物への溶解度の観点からメタリン酸の塩が好ましく、例えば、ナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩等が挙げられる。より好ましくはナトリウム塩である。
本発明の液状栄養組成物中におけるキサンタンガムの含有量は特に限定されないが、好ましくは液状栄養組成物全量に対して0.1〜2.0w/v%、より好ましくは0.2〜1.0w/v%である。
本発明の液状栄養組成物中におけるアルギン酸又はその塩の含有量は特に限定されないが、好ましくは液状栄養組成物全量に対して0.1〜3.0w/v%、より好ましくは0.2〜1.0w/v%である。
本発明の液状栄養組成物中におけるアルギン酸又はその塩としては、液状栄養組成物への溶解度の観点からアルギン酸の塩が好ましく、例えば、ナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩等が挙げられる。より好ましくはナトリウム塩である。
本明細書において「胃液」とは、生体内の胃で分泌される酸性の体液を意味する。該「胃液」は塩酸を主成分とし、通常pH約1〜1.5で、ペプシン等の消化酵素を含有する。
本明細書において「人工胃液」とは、日本薬局方に基づいて、塩化ナトリウム2.0gを塩酸7.0mL及び水に溶解して1000mLに調製した液を意味する。該「人工胃液」はpH約1.2で、ペプシン等の消化酵素を含有していてもよい。
本明細書において「胃液又は人工胃液と均一に混合する」とは、本発明の液状栄養組成物が胃液又は人工胃液と分離することなく均一に混ざり合う状態を意味する。なお、「胃液と均一に混合する」には、胃内で胃液と均一に混合する状態も含まれる。
本発明の液状栄養組成物は、好ましくはカルシウム及び/又はマグネシウムを含有する。
本明細書において「カルシウム」とは、カルシウムイオン、カルシウム塩を含む概念である。
本発明の液状栄養組成物がカルシウムを含有する場合、該液状栄養組成物中におけるカルシウムの含有量は特に限定されないが、好ましくは、液状栄養組成物全量に対して、カルシウムイオン又はカルシウム塩として0.01〜3.0w/v%である。
本発明の液状栄養組成物のカルシウム源の種類は特に限定されないが、例えば、カルシウム塩(塩化カルシウム、ケイ酸カルシウム、酸化カルシウム、水酸化カルシウム、炭酸カルシウム、乳酸カルシウム、硫酸カルシウム、クエン酸カルシウム、リン酸三カルシウム、リン酸一水素カルシウム、リン酸二水素カルシウム、グリセロリン酸カルシウム、グルコン酸カルシウム、パントテン酸カルシウム、ステアリン酸カルシウム、L-グルタミン酸カルシウム、サッカリンカルシウム等)等のカルシウムを含有する化合物が挙げられる。
本明細書において「マグネシウム」とは、マグネシウムイオン、マグネシウム塩を含む概念である。
本発明の液状栄養組成物がマグネシウムを含有する場合、該液状栄養組成物中におけるマグネシウムの含有量は特に限定されないが、好ましくは、液状栄養組成物全量に対して、マグネシウムイオン又はマグネシウム塩として0.01〜3.0w/v%である。
本発明の液状栄養組成物のマグネシウム源の種類は特に限定されないが、例えば、マグネシウム塩(塩化マグネシウム、ケイ酸マグネシウム、酸化マグネシウム、水酸化マグネシウム、炭酸マグネシウム、硫酸マグネシウム、リン酸三マグネシウム、ステアリン酸マグネシウム、L-グルタミン酸マグネシウム等)等のマグネシウムを含有する化合物が挙げられる。
本発明の液状栄養組成物は、好ましくはタンパク質を含有する。
本明細書において「タンパク質」とは、動物性タンパク質、植物性タンパク質及びそれらの分解物等を含む概念である。
本発明の液状栄養組成物がタンパク質を含有する場合、該液状栄養組成物中におけるタンパク質の含有量は特に限定されないが、液状栄養組成物全量に対して好ましくは1.0〜10.0w/v%である。
本発明の液状栄養組成物のタンパク質の種類は特に限定されないが、例えば、動物性タンパク質としては、乳原料由来のタンパク質(カゼインナトリウム、ホエイタンパク質等)、卵由来のタンパク質や、それらの分解物等が挙げられる。また、植物性タンパク質としては、大豆原料由来のタンパク質、小麦原料由来のタンパク質、エンドウ豆原料由来のタンパク質、米由来のタンパク質やそれらの分解物等が挙げられる。
本発明の液状栄養組成物は、脂質、炭水化物、ビタミン及びミネラルからなる群から選択される1以上の成分をさらに含有していてもよい。本発明の液状栄養組成物には、特定の栄養成分(例えば、タンパク質)のみを含む特定栄養組成物、上記栄養成分をすべて含有する完全栄養食のほか、総合栄養剤、経腸栄養剤、栄養補助食品、栄養治療食品、健康補助食品、保健機能食品、サプリメント等も含まれる。
本発明の液状栄養組成物が脂質を含有する場合、脂質源としては、例えば、アボカド油、アマニ油、アーモンド油、エゴマ油、オリーブ油、カカオ脂、グレープシード油、ゴマ油、コメ油、サフラワー油、シソ油、大豆油、ツバキ油、月見草油、トウモロコシ油、ナタネ油、ヌカ油、パーム油、パーム核油、ピーナッツ油、ヒマワリ油、ヘーゼルナッツ油、綿実油、ヤシ油、レタス油等の植物性油脂類;魚油、鶏油、牛脂、豚脂、羊脂等の動物性油脂類;バター油、バター、マーガリン等の乳脂や加工油脂等が挙げられる。
本発明の液状栄養組成物が炭水化物を含有する場合、炭水化物源としては、例えば、ブドウ糖、果糖等の単糖類;ショ糖、麦芽糖等の二糖類;フラクトオリゴ糖、ガラクトオリゴ糖、マンナンオリゴ糖、乳果オリゴ糖等のオリゴ糖類;デキストリン、デキストラン、デンプン、グリコーゲン等の多糖類;キシリトール、ソルビトール、還元デキストリン等の糖アルコール類等が挙げられる。
本発明の液状栄養組成物がビタミンを含有する場合、ビタミンとしては、例えば、レチノール、レチナール、レチノイン酸等のビタミンA;β−カロテン等のカロテノイド;エルゴカルシフェロール、コレカルシフェロール等のビタミンD;α−トコフェロール、γ−トコフェロール等のビタミンE;フィロキノン、メナキノン等のビタミンKといった脂溶性ビタミン類、チアミン等のビタミンB、リボフラビン等のビタミンB、ピリドキシン、ピリドキサール、ピリドキサミン等のビタミンB、シアノコバラミン等のビタミンB12、ニコチン酸、ニコチン酸アミド等のナイアシン、パントテン酸、ビオチン、葉酸等のビタミンB群;ビタミンCといった水溶性ビタミン類が挙げられる。
本発明の液状栄養組成物がミネラルを含有する場合、ミネラルとしては、例えば、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム、リン、ヨウ素、鉄、銅、マンガン、セレン、亜鉛、クロム、モリブデン等が挙げられる。
本明細書において「胃食道逆流」とは、胃内容物や胃液が食道に逆流することを意味する。
本明細書において「アシッドポケット(acid pocket)」とは、食後に胃内容物と胃液が分離することにより、胃の上部に形成される胃液の層を意味する。アシッドポケット(acid pocket)が形成されると胃上部の胃液が食道に逆流しやすい状態となり、これが胃食道逆流の一因になるものと考えられている。本発明の液状栄養組成物は、胃液と均一に混合するとともに、当該混合により増粘効果も示すため、アシッドポケット(acid pocket)の形成が抑制され、胃食道逆流を防止する効果を有する。
本発明の液状栄養組成物は、胃液又は人工胃液と混合することにより増粘する。
本発明の液状栄養組成物、及び前記液状栄養組成物と体積比で等量の、胃液又は人工胃液を混合した後の粘度は、好ましくはブルックフィールド型回転粘度計による測定(25℃、回転数12rpm)で300mPa・s以上、より好ましくは300〜20,000mPa・sである。なお、ブルックフィールド型回転粘度計はB型粘度計とも呼称され、液体中の円筒を一定の角速度で回転させたときに該円筒に作用する力を測定する粘度計である。
また、本発明の液状栄養組成物、及び前記液状栄養組成物と体積比で等量の、胃液又は人工胃液を混合した後の粘度は、本発明の液状栄養組成物の粘度の4倍以上であることが好ましい(前記各粘度は、ブルックフィールド型回転粘度計(25℃、回転数12rpm)で測定した粘度である。)。
本発明の液状栄養組成物の粘度は、経管栄養に使用されるチューブを通過できる程度の流動性を有していれば特に限定されないが、好ましくはブルックフィールド型回転粘度計による測定(25℃、回転数12rpm)で300mPa・s以下、より好ましくは1〜300mPa・s、さらに好ましくは3〜100mPa・sである。
本発明の液状栄養組成物は、経鼻、胃瘻等の経管で摂取することができるほか、経口で直接摂取することもできる。また、本発明の液状栄養組成物は、液剤、飲料、流動食等として提供され得る。
本発明の別の態様は、メタリン酸又はその塩、並びに1)キサンタンガム及び/又は2)アルギン酸若しくはその塩を含有する組成物であって、液状栄養剤の存在下、胃液又は人工胃液と均一に混合することを特徴とする組成物である。
本明細書において「液状栄養剤」とは、タンパク質、脂質、炭水化物、ビタミン及びミネラルからなる群から選択される1以上の成分を含有する液状の栄養剤を意味する。該液状栄養剤には、特定の栄養素(例えば、タンパク質)のみを含む特定栄養組成物、上記栄養素をすべて含有する完全栄養食のほか、総合栄養剤、経腸栄養剤、栄養補助食品、栄養治療食品、健康補助食品、保健機能食品、サプリメント等も含まれる。また、該液状栄養剤の形態としては、例えば、液剤、飲料、流動食等が挙げられる。
本発明の組成物中におけるメタリン酸又はその塩としては、液状栄養剤への溶解度の観点からメタリン酸の塩が好ましく、例えば、ナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩等が挙げられる。より好ましくはナトリウム塩である。
本発明の組成物中におけるアルギン酸又はその塩としては、液状栄養剤への溶解度の観点からアルギン酸の塩が好ましく、例えば、ナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩等が挙げられる。より好ましくはナトリウム塩である。
本発明の組成物は、好ましくはカルシウム及び/又はマグネシウムを含有する。
本発明の組成物のカルシウム源としては、前記カルシウムを含有する化合物が挙げられ、本発明の組成物のマグネシウム源としては、前記マグネシウムを含有する化合物が挙げられる。
本発明の液状栄養組成物の製造方法は特に限定されないが、例えば、メディエフ(登録商標)、CZ-Hi(登録商標)、メイバランス(登録商標)等の市販の液状栄養剤に、1)メタリン酸又はその塩、並びに2)キサンタンガム及び/又はアルギン酸若しくはその塩を添加、混合することにより製造することができる。
また、カルシウム及び/又はマグネシウムをさらに含有する液状栄養組成物を製造する場合、液状栄養剤に、1)メタリン酸又はその塩、2)キサンタンガム及び/又はアルギン酸若しくはその塩、及び3)前記カルシウムを含有する化合物及び/又は前記マグネシウム含有する化合物を添加、混合することにより製造することができ、あるいはカルシウム及び/又はマグネシウムを含有する液状栄養剤に1)メタリン酸又はその塩、並びに2)キサンタンガム及び/又はアルギン酸若しくはその塩を添加、混合することにより製造することもできる。
以下、実施例により、本発明を更に詳細に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
試験例1:各種添加剤を含む液状栄養剤とペプシン含有人工胃液との混合による均一性及び増粘効果の確認
液状栄養剤(メディエフ(登録商標)、味の素株式会社製、1kcal/mL;原料とその配合比を表1に示す)200mLに0.5w/v%となるようにメタリン酸ナトリウムを添加し、さらにキサンタンガム及び/又はアルギン酸ナトリウムを表2−1に示す濃度になるように添加して試料を調製した(実施例1〜3)。また、比較例として、添加剤を含まない検体(比較例1)、及び液状栄養剤に種々の添加剤を表2−1〜2−4に示す濃度になるように添加して試料を調製した(比較例2〜21)。
各試料20mLを、スクリューキャップ式の50mLチューブに取り、ペプシン含有人工胃液10mLを添加して閉栓し、上下に5回転倒させた。開栓してペプシン含有人工胃液10mLをさらに添加して閉栓した後、上下に5回転倒させ、5分間静置した後に外観を目視にて確認した。
なお、ペプシン含有人工胃液は、日本薬局方に基づいて調製した人工胃液(溶出試験第1液;塩化ナトリウム2.0g/L、塩酸7.0mL、pH1.2)に、ペプシン(1:10,000)の濃度が1.0g/Lとなるようにペプシンを溶解して調製した。
各検体の粘度は、ペプシン含有人工胃液の混合前と混合後に、ブルックフィールド型回転粘度計(RB-80L、東機産業株式会社製)を用いて測定した(25℃、回転数12rpm)。
結果を表2−1〜2−4に示す。なお、各添加剤の数値は液状栄養剤中における濃度(w/v%)を表し、粘度の単位はmPa・sである。
液状栄養剤にメタリン酸ナトリウム、並びにキサンタンガム及び/又はアルギン酸ナトリウムを含有する実施例1〜3では、いずれも人工胃液と均一に混合し、かつ混合による増粘効果が確認された。一方、比較例1〜21では、いずれも人工胃液との分離が確認された。
試験例2:動物の胃内における、液状栄養剤と胃液との混合による均一性及び増粘効果の確認
6週齢のSD系雄性ラットを12群(n=5)に分け、試験例1において調製した実施例1、実施例2又は比較例1の試料を、それぞれ4群に対して経口にて胃内に投与した。試料量は体重1kg当り10mLとした。
各試料投与群につき、投与から10分、30分、60分及び120分後に1群ずつ、イソフルラン麻酔下で胃を摘出して胃内容物を採取した。
胃内容物の粘度を測定し、3,000rpm、10分間の遠心処理後の上澄み液の重量を測定した。なお、サンプル量が少量のため、粘度測定には音叉振動式粘度計(SV-1H、株式会社エー・アンド・デイ製)を使用した(25℃、固有振動数30Hz)。
胃液との混合均一性の確認として、上澄み液の重量を測定した結果を図1に示す。
投与後10〜30分にかけて、比較例1の試料投与群では上澄み液の重量が高値であったのに対し、実施例1の試料投与群及び実施例2の試料投与群では上澄み液の重量が低値であった。これは、比較例1の試料を投与すると、試料と胃液が分離してアシッドポケット(acid pocket)が形成されたために上澄み液の重量が増加した一方、本発明の液状栄養組成物を投与すると、試料が胃液と均一に混合し、分離が生じなかったことを示唆するものである。なお、投与後10分の時点では、実施例1の試料投与群及び実施例2の試料投与群において、上澄み液は確認されなかった。
また、胃内容物の粘度測定結果を表3に示す。なお、表中の数値は粘度×密度を表し、単位はmPa・s・g/cm3である。
実施例1の試料投与群及び実施例2の試料投与群の胃内容物の粘度は、比較例1の試料投与群と比較して10倍以上高い値であり、本発明の液状栄養組成物は、動物の胃内においても増粘することが確認された(なお、投与60分以降については、胃内容物の量が微量であったため粘度を測定できなかった。)。
本発明は、経管栄養等による投与後に、胃内容物の胃から食道への逆流を防止する液状栄養組成物を提供することができる。また、本発明は、液状栄養剤の存在下、胃液と均一に混合する組成物を提供することができる。

Claims (10)

  1. メタリン酸又はその塩、並びに1)キサンタンガム及び/又は2)アルギン酸若しくはその塩を含有し、胃液又は人工胃液と均一に混合する液状栄養組成物。
  2. カルシウム及び/又はマグネシウムをさらに含有する、請求項1記載の液状栄養組成物。
  3. タンパク質をさらに含有する、請求項1又は2記載の液状栄養組成物。
  4. 脂質、炭水化物、ビタミン及びミネラルから選択される1以上の成分をさらに含有する、請求項1〜3のいずれか1項記載の液状栄養組成物。
  5. 胃食道逆流を防止する、請求項1〜4のいずれか1項記載の液状栄養組成物。
  6. 胃内におけるアシッドポケット(acid pocket)の形成を抑制する、請求項1〜4のいずれか1項記載の液状栄養組成物。
  7. 液状栄養組成物、及び前記液状栄養組成物に対して体積比で等量の、胃液又は人工胃液を混合した後の粘度が、ブルックフィールド型回転粘度計による測定(25℃、回転数12rpm)で300mPa・s以上である、請求項1〜6のいずれか1項記載の液状栄養組成物。
  8. 液状栄養組成物、及び前記液状栄養組成物に対して体積比で等量の、胃液又は人工胃液を混合した後の粘度が、前記液状栄養組成物の粘度の4倍以上である(前記各粘度は、ブルックフィールド型回転粘度計(25℃、回転数12rpm)で測定した粘度である)、請求項1〜7のいずれか1項記載の液状栄養組成物。
  9. メタリン酸又はその塩、並びに1)キサンタンガム及び/又は2)アルギン酸若しくはその塩を含有する組成物であって、液状栄養剤の存在下、胃液又は人工胃液と均一に混合することを特徴とする組成物。
  10. カルシウム及び/又はマグネシウムをさらに含有する、請求項9記載の組成物。
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