JP2015187753A - 光学装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】反射防止処理のためのめっき処理を内壁面に容易に施すことができる鏡筒基体及びそれを用いた鏡筒の製造方法を提供する。【解決手段】内壁面に反射防止面が形成された鏡筒の製造に用いる鏡筒基体であって、鏡筒基体の内壁面のうち、鏡筒の反射防止面に相当する部分がめっき処理が可能な樹脂により形成されており、その他の部分がめっき処理ができない樹脂により形成されていることを特徴とする鏡筒基体。【選択図】図1

Description

本発明は、カメラ、顕微鏡等の光学装置において、内部にレンズやプリズム等の光学素子を観察光学系や撮像光学系等の光学系として保持するのに好適な鏡筒の製造に用いる鏡筒基体、及びかかる鏡筒基体を用いて鏡筒を製造する方法に関する。
カメラ、顕微鏡等の光学装置の撮影レンズ、プリズム等の光学素子を保持するための鏡筒は、光学系の光路から外れた光の反射を抑えるために、その内壁面に反射防止加工を施すのが一般的である。それにより、鏡筒内でのゴーストやフレアの発生を抑えることができる。
特許文献1は、鏡筒内壁面に波状形状を有する遮光線が形成するとともに、上記遮光線の頭頂部を光線の入射側から出射側にいくにしたがって高くなるように形成されたプラスチック鏡筒を開示している。しかし、ピッチが小さく、高さが一定でない波状形状が密集しているため、成形時に樹脂が充填しきれなかったり、金型に張り付いたりするという問題がある。また鏡筒の長さが長くなると、高さが一定でない波状形状を作るための厚さ必要となるため、鏡筒の内径が大きくなる。
特許文献2は、レンズを保持するために必要な複数のレンズ胴付部以外の胴付部を無くし、残った胴付部の一部を肉抜きした鏡筒を開示している。しかし、肉抜きした部分以外の鏡筒内壁面で反射が生じるとともに、レンズ保持の部分以外肉抜きをしているため強度が低下する。
特許文献3は、内部表面に接着剤の層を介して反射防止用繊維パイルが植毛されたカメラその他の光学機器を開示している。しかし、繊維パイルを鏡筒内壁面に貼り付けるのは手間が掛かりすぎる上に、繊維パイルが倒れたり、埋もれたりして、十分な反射防止効果が得られない。
特許文献4は、レンズ鏡枠の内壁面にリソグラフィー技術により微細凹凸構造を形成する方法や、アルミニウム薄膜を形成した後、アルミニウム薄膜を陽極酸化することにより、微細凹凸構造を形成する方法を開示している。また特許文献4はさらに、ブラックアルマイト処理を施した上で、内壁面に微細凹凸構造を備えるシートを貼り付ける方法を開示している。
特許文献5では、レンズ鏡枠の内壁面にアレイ状の微細凹凸構造を備えるシートを貼り付けたり、成形型を利用した射出成形によりレンズ鏡枠の内壁面にアレイ状の微細凹凸構造を一体成形したりしてなる反射防止構造体を備えた鏡筒を開示している。
しかし、特許文献4及び特許文献5のようにリソグラフィー技術、陽極酸化法又は射出成形により微細凹凸構造をレンズ鏡枠の内壁面に形成したり、微細凹凸構造を備えるシートをレンズ鏡枠の内壁面に貼り付けたりするのは容易ではない。特に複数のレンズ群を備えるズームレンズ系のレンズ鏡枠等は内部構造が複雑であり、上記方法により微細凹凸構造を設けるのは困難である。さらに、特許文献4において陽極酸化法を利用する場合はレンズ鏡枠の内壁面にアルミニウム製薄膜を形成する必要があるが、アルミニウム製薄膜を形成すること自体が困難である。
また特許文献4及び特許文献5のような微細凹凸構造の反射防止機能は十分とは言えず、ゴーストやフレアの発生を抑制するのが難しい。またブラックアルマイト処理を施すとレンズ鏡枠の内壁面は黒くなるが、黒さとして十分ではないので、この部分における反射防止機能は高くない。
特許文献6は、鏡筒部材内に反射防止加工として微粒子を分散した電着塗装を施した鏡筒ユニットを開示している。しかし、特許文献6のような反射防止加工は反射防止機能として不十分であるため、ゴーストやフレアを効果的に抑制するのが難しい。しかも、塗装が剥げ落ちやすいので、反射機能の低下、ゴミの発生などの問題が生じ易い。
特許文献7は、鏡筒部材内に反射防止加工としてニッケル系めっき処理後エッチング処理をすることによって、高さが0.5〜5μm、ピッチが0.1〜10μmの微小突起を多数、ランダムに形成した鏡筒部材が開示されている。しかし、特許文献7においても、複雑な形状のレンズ鏡筒内部に、微細突起が必要な部分と微細突起が存在してはならない部分(例えば、ネジ穴や、レンズと接する部分)とを分けて、必要な部分のみに微細突起を形成するには、後者の部分を精密にマスキングしてめっき処理後マスキングを剥離しなければならず、作業性が良くない。
特開平7−27960号公報 特開平3−271708号公報 特公昭62−11905号公報 特開2005−156989号公報 特開2006−293093号公報 特開平11−64703号公報 特開2010−186157号公報
従って本発明の目的は、反射防止処理のためのめっき処理を内壁面に容易に施すことができる鏡筒基体を提供することである。
本発明の別の目的は、かかる鏡筒基体を用いて鏡筒を製造する方法を提供することである。
上記課題に鑑み鋭意研究の結果、本発明者らは、基体の内壁面に金属付加処理を施し、多数の微小突起を有する反射防止面が形成された光学装置において、
光学装置の製造に用いる基体の内壁面のうち、光学装置の反射防止面に相当する部分をめっき処理が可能な樹脂により形成し、その他の部分をめっき処理ができない樹脂により形成することにより、優れた反射防止効果を有する反射防止面を内壁面の必要な部分のみに形成された光学装置が得られることを発見し、本発明に想到した。
即ち、本発明の光学素子は以下の特徴を有している。
(1) 内壁面にめっき処理を施し、又は前記めっき処理を施した後にエッチング処理することにより多数の微小突起を有する反射防止面が形成された鏡筒を製造するのに用いる鏡筒基体であって、前記鏡筒基体は、めっき処理ができない樹脂からなる鏡筒基体本体と、前記鏡筒基体本体の前記鏡筒の反射防止面に相当する面に設けられた、前記鏡筒基体本体よりも薄いめっき処理が可能な樹脂層とからなり、もって前記鏡筒基体の内壁面のうち、前記鏡筒の反射防止面に相当する部分がめっき処理が可能な樹脂により形成されており、その他の部分がめっき処理ができない樹脂により形成されていることを特徴とする鏡筒基体。
(2) 上記(1) に記載の鏡筒基体において、前記めっき処理はニッケルめっき処理又はニッケル合金めっき処理であることを特徴とする鏡筒基体。
(3) 上記(1)又は(2) に記載の鏡筒基体において、前記めっき処理が可能な樹脂はABS樹脂であり、前記めっき処理ができない樹脂はポリカーボネートであることを特徴とする鏡筒基体。
(4) 上記(1)〜(3) のいずれかに記載の鏡筒基体において、前記鏡筒基体は光学素子支持枠、間隔環及び押さえ環を有することを特徴とする鏡筒基体。
(5) 上記(4) に記載の鏡筒基体において、前記鏡筒基体の内壁面のうち、光学素子と嵌合する面と、前記光学素子支持枠、前記間隔環及び前記押さえ環が互いに嵌合する面とを除く面が前記めっき処理が可能な樹脂により形成されていることを特徴とする鏡筒基体。
(6) 上記(1)〜(5) のいずれかに記載の鏡筒基体において、前記鏡筒基体は二色成形又はインサート成形により形成されたことを特徴とする鏡筒基体。
(7) 上記(1)〜(6) のいずれかに記載の鏡筒基体を用いて前記鏡筒を製造する方法であって、前記鏡筒基体の前記内壁面のうち前記鏡筒の反射防止面に相当する部分に前記めっき処理を施し、又は前記めっき処理を施した後にエッチング処理することにより前記反射防止面を形成することを特徴とする鏡筒の製造方法。
(8) 上記(7) に記載の鏡筒の製造方法において、前記反射防止面は0.1〜30μmのピッチでランダムに形成された高さ0.5〜20μmの多数の微小突起を有することを特徴とする鏡筒の製造方法。
本発明によれば、鏡筒の製造に用いる鏡筒基体の内壁面のうち、鏡筒の反射防止面に相当する部分をめっき処理が可能な樹脂により形成し、その他の部分をめっき処理ができない樹脂により形成しているので、優れた反射防止効果を有する反射防止面を内壁面の必要な部分のみに有する鏡筒を容易に形成することができる。
本発明の一実施例による第一の鏡筒基体を示す縦断側面図である。 本発明の一実施例による第一の鏡筒基体を示す分解縦断側面図である。 本発明の他の実施例による第二の鏡筒基体を示す縦断側面図である。 本発明の他の実施例による第二の鏡筒基体を示す分解縦断側面図である。 反射防止面の形成方法の一例を示す工程図である。
[1] 第一の鏡筒基体
本発明の一実施例による第一の鏡筒基体10を図1及び図2に示す。図1には説明のために、鏡筒により支持されるレンズを記載している。以下の説明では図1の左側を「前方」とし図1の右側を「後方」とする。
第一の鏡筒基体10は反射防止面を有する交換式レンズ鏡筒を製造するために用いる基体であり、前後方向の中間部に径方向内向きに突出した内方フランジ12を一体的に備え、前方の内周面に雌ねじ部110が形成され、後方の内周面に雌ねじ部111が形成された光学素子支持枠11と、光学素子支持枠11の雌ねじ部110と螺合する雄ねじ部150を外周面に備える押さえ環15と、外周面が光学素子支持枠11の内周面に接触する間隔環16と、光学素子支持枠11の雌ねじ部111と螺合する雄ねじ部170を外周面に備える押さえ環17とを備える。光学素子支持枠11、内方フランジ12、押さえ環15、間隔環16及び押さえ環17は光軸Oを中心とする同心をなしている。
図1に示すように、第一の鏡筒基体10の内部に、樹脂製又はガラス製で無色透明かつ光軸Oを中心とする回転対称形状の第一のレンズL1、第二のレンズL2及び第三のレンズL3を設置することができる。第一の鏡筒基体10に反射防止面を形成するためのめっき処理を施すことにより、交換式レンズ鏡筒が得られるが、かかる鏡筒と第一の鏡筒基体10とは各部材の基本的構造は同じである。そのため、第一の鏡筒基体10を用いて得られる鏡筒への第一のレンズL1、第二のレンズL2及び第三のレンズL3の設置については、第一の鏡筒基体10の場合と同様に行われる。
第一のレンズL1は内方フランジ12の前方に位置しており、その後端縁は内方フランジ12の前面に当接している。第一のレンズL1の直前に押さえ環15が位置しており、押さえ環15の雄ねじ部150と光学素子支持枠11の雌ねじ部110とが螺合している。そのため、第一のレンズL1は押さえ環15と内方フランジ12により前後から挟持される。
第二のレンズL2及び第三のレンズL3は内方フランジ12の後方に位置している。第二のレンズL2の前端縁は、内方フランジ12の後面に当接している。第二のレンズL2の直後には間隔環16が位置している。そのため、第二のレンズL2は、内方フランジ12と間隔環16により前後から挟持される。
間隔環16の直後に第三のレンズL3が位置しており、第三のレンズL3の直後には押さえ環17が位置しており、押さえ環17の雄ねじ部170と光学素子支持枠11の雌ねじ部111とが螺合している。そのため、第三のレンズL3は、間隔環16と押さえ環17により前後から挟持される。
第一の鏡筒基体10の光学素子支持枠11、押さえ環15、間隔環16及び押さえ環17の各部材は、全体的にめっき処理ができない樹脂(以下、「めっき不可能樹脂」と呼ぶ。)により形成されており、第一の鏡筒基体10の内壁面のうち、鏡筒の反射防止面に相当する部分についてはめっき処理が可能な樹脂(以下、「めっき可能樹脂」と呼ぶ。)により形成されている。そのため、第一の鏡筒基体10の内壁面に反射防止面を形成するためのめっき処理を施すことにより、めっき可能樹脂からなる面にのみ選択的に反射防止面を形成することができる。従って、めっき処理においてマスキングが不要である。
鏡筒の反射防止面は、レンズと嵌合する面や、各部材が嵌合する面を除く部分に形成されているのが望ましい。そのため、第一の鏡筒基体10において、めっき可能樹脂がレンズと嵌合する面や、各部材が嵌合する面を除く部分に形成されているのが好ましい。本発明の一実施例による第一の鏡筒基体10では、図1に示すように、内方フランジ12の内周面にめっき可能樹脂12aが形成され、押さえ環15の前面及び内周面に可能樹脂15aが一体的に形成され、間隔環16の内周面に可能樹脂16aが一体的に形成され、押さえ環17の内周面及び後面に可能樹脂17aが一体的に形成されている。各めっき可能樹脂の厚さは、表面にめっき層を形成でき、第一の鏡筒基体10が十分な強度を有する程度であれば特に限定されないが、0.5〜3 mmであるのが好ましい。
めっき不可能樹脂の具体例は、メタクリル樹脂、ポリカーボネイト(又はフィラー入ポリカーボネート)等が挙げられるが、第一の鏡筒の反射防止面以外の大部分はめっき不可能樹脂により形成されるため、耐衝撃性、耐熱性及び難燃性に優れたポリカーボネートが好ましい。めっき可能樹脂の金属めっきが可能な樹脂であり、例えば、PBT,PET,PP,PEEK,液晶ポリマー等が挙げられるが、ABS樹脂が好ましい。
鏡筒の反射防止面は、例えば、第一の鏡筒基体10にニッケルめっき処理、ニッケル合金めっき処理、又はこれらいずれかのめっき処理後にエッチング処理することにより多数の微小突起がランダムな配列で形成された微細凹凸構造を有するものが挙げられる。従って、上記めっき処理はニッケルめっき処理又はニッケル合金めっき処理であるのが好ましい。上記反射防止面の構造及び反射防止特性に関する説明については、本発明者の先願である特願2009-187782明細書を参照されたい。
第一の鏡筒基体10の製造方法は、特に限定されないが、二色成形、インサート成形等が挙げられる。例えばインサート成形により光学素子支持枠11を形成する場合、中子の内方フランジ12に対応する外周面にめっき可能樹脂12aを取り付け、その中子を金型にセットし、めっき不可能樹脂を射出成形して光学素子支持枠11を形成する。中子へのめっき可能樹脂12aの取り付け方法は、円環状のめっき可能樹脂12aを中子の内方フランジ12に対応する外周面に取り付けても良く、内方フランジ12に対応する外周面にテープ状のめっき可能樹脂12aを巻き付けても良い。また中子については、前後方向の中間部に位置する内方フランジ12に対応する部分の外径が小さく、一体的な中子では成型後に取り外しが困難なため、内方フランジ12に対応する部分とその前方部分に対応する中子と、その後方部分に対応する中子とを組み合わせて用いても良い。他の部材については同様の方法により製造することができる。
めっき可能樹脂を形成する箇所は、内方フランジ12、押さえ環15、間隔環16及び押さえ環17に限定されず、あらゆる鏡枠部材に適用することができる。例えば、鏡筒の光路が通過する部材であればいずれにも適用可能であるし、鏡筒でなくとも、カメラボディ内において光路が通過する周囲の壁面、例えばミラーボックス内の壁面や、ファインダー光路の壁面にも応用可能である。さらに顕微鏡内の光路の壁面にも適用することができる。
めっき可能樹脂を形成しない領域、すなわちめっき処理を施さない領域は上記の部分には限定されず、隣接する部材と接触する部分であればどの部分であってもよく、間隔環16の内周面のみにめっき可能樹脂で形成したり、押さえ環15と押さえ環17の内壁面のみにめっき可能樹脂で形成してもよい。さらに、例えば押さえ環15の前面や押さえ環17の後面のように、他の部材と接触しない部分のうち光路(光軸O)と対向しない箇所についてはめっき可能樹脂で形成しないようにしてもよい。
[2] 第二の鏡筒基体
本発明の他の実施例による第二の鏡筒基体20を図3及び図4に示す。図3には説明のために、鏡筒により支持されるレンズを記載している。第一の鏡筒基体10と同じ部材には同じ符号を付しており、その詳細な説明は省略する。第二の鏡筒基体20は、前後方向の中間部に径方向内向きに突出した内方フランジ12を一体的に備え、前方の内周面に雌ねじ部110が形成され、後方の外周面に雄ねじ部210が形成された第1光学素子支持枠21と、前方径部30の内周面に雄ねじ部210に螺合する雌ねじ部250を備え、第1光学素子支持枠21の後端部に接続する第2光学素子支持枠25と、光学素子支持枠21の雌ねじ部110と螺合する雄ねじ部150を外周面に備える押さえ環15と、外周面が光学素子支持枠11の内周面に接触する移動レンズ枠24とを備える。第1光学素子支持枠21、第2光学素子支持枠25、押さえ環15、移動レンズ枠24は光軸Oを中心とする同心をなしている。
移動レンズ枠24は、光学素子支持枠11の内周面にモータ(図示せず)及び連動機構(図示せず)を介して光軸O方向にスライド可能に支持されている。
第2光学素子支持枠25は、後方に内径の小さい後方径部29と、その前方に内径の大きい中間径部28とを備え、中間径部28には周方向にねじ穴27が穿設されている。ねじ穴27にボルト(図示せず)を貫通させて第2光学素子支持枠25を第二の鏡筒基体20の固定部材(図示せず)に固定する。
図3に示すように、第二の鏡筒基体20の内部に、樹脂製又はガラス製で無色透明かつ光軸Oを中心とする回転対称形状の第一のレンズL1、第二のレンズL2’及び第三のレンズL3’を設置することができる。第一のレンズL1は内方フランジ12の前方に位置しており、その後端縁は内方フランジ12の前面に当接している。第一のレンズL1の直前に押さえ環15が位置しており、押さえ環15の雄ねじ部150と第1光学素子支持枠21の雌ねじ部110とが螺合している。そのため、第一のレンズL1は押さえ環15と内方フランジ12により前後から挟持される。第二のレンズL2’は移動レンズ枠24の内周面に嵌合固定され、第三のレンズL3’は第2光学素子支持枠25の後方径部29の内周面に嵌合固定される。
第二の鏡筒基体20では、図3に示すように、内方フランジ12の前面及び内周面にめっき可能樹脂12aが一体的に形成され、押さえ環15の前面及び内周面にめっき可能樹脂15aが一体的に形成され、移動レンズ枠24の第二のレンズL2’と嵌合する面以外の面、すなわち後面にめっき可能樹脂24aが形成され、移動レンズ枠24の前方に径方向内向きに突出して設けられた内方フランジ240の前面及び内周面にめっき可能樹脂240aが形成され、第2光学素子支持枠25の中間径部28の内周面と後方径部29の前面に、ねじ穴27の周辺を除いて、めっき可能樹脂25aが一体的に形成されている。
[3] 鏡筒の製造方法
図5を参照し、本発明の一実施例である第一の鏡筒基体10を用いて鏡筒を製造する方法を以下詳細に説明する。
光学素子支持枠11をニッケルめっき処理又はニッケル合金めっき処理等のめっき処理を行うことにより、図5(a) 及び(b) に示すように、めっき可能樹脂12aの表面のみにめっき層40を選択的に形成する。めっき層40の厚みは3〜90μmであるのが好ましい。めっき処理は例えばめっき浸漬により行うことができる。内方フランジ12、押さえ環15、間隔環16及び押さえ環17についても同様にめっき処理を行う。
図5(c) に示すように、光学素子支持枠11にエッチング処理を施す。これにより、光学素子支持枠11の、めっき可能樹脂12aの表面に形成されためっき層40に多数の微小突起がランダムに形成される。微小突起の高さは0.5〜20μmであるのが好ましく、ピッチが0.1〜30μmであるのが好ましい。このエッチング処理は、例えば、硝酸エッチングにより行う。またエッチング処理前のめっき層40の微小突起の高さ及びピッチが上記数値範囲に含まれる場合、このエッチング工程を省略しても良い。このように反射防止面に対応する面をめっき可能樹脂で形成した鏡筒基体を用いて鏡筒を製造することにより、めっき処理においてマスキングが不要となり、マスキング処理が困難な複雑な内壁形状を有する鏡筒においても反射防止面を容易に形成することができる。
10・・・第一の鏡筒基体
11・・・光学素子支持枠
110,111・・・雌ねじ部
12・・・内方フランジ
15,17・・・押さえ環
150,170・・・雄ねじ部
16・・・間隔環
12a,15a,16a,17a,24a,240a,25a・・・めっき可能樹脂
20・・・第二の鏡筒基体
21・・・第1光学素子支持枠
210・・・雄ねじ部
25・・・第2光学素子支持枠
27・・・ねじ穴
28・・・中間径部
29・・・後方径部
30・・・前方径部
250・・・雌ねじ部
24・・・移動レンズ枠
本発明は、カメラ、顕微鏡等の光学装置関する。
カメラ、顕微鏡等の光学装置の撮影レンズ、プリズム等の光学素子を保持するための鏡筒は、光学系の光路から外れた光の反射を抑えるために、その内壁面に反射防止加工を施すのが一般的である。それにより、鏡筒内でのゴーストやフレアの発生を抑えることができる。
特許文献1は、鏡筒内壁面に波状形状を有する遮光線が形成するとともに、上記遮光線の頭頂部を光線の入射側から出射側にいくにしたがって高くなるように形成されたプラスチック鏡筒を開示している。しかし、ピッチが小さく、高さが一定でない波状形状が密集しているため、成形時に樹脂が充填しきれなかったり、金型に張り付いたりするという問題がある。また鏡筒の長さが長くなると、高さが一定でない波状形状を作るための厚さ必要となるため、鏡筒の内径が大きくなる。
特許文献2は、レンズを保持するために必要な複数のレンズ胴付部以外の胴付部を無くし、残った胴付部の一部を肉抜きした鏡筒を開示している。しかし、肉抜きした部分以外の鏡筒内壁面で反射が生じるとともに、レンズ保持の部分以外肉抜きをしているため強度が低下する。
特許文献3は、内部表面に接着剤の層を介して反射防止用繊維パイルが植毛されたカメラその他の光学機器を開示している。しかし、繊維パイルを鏡筒内壁面に貼り付けるのは手間が掛かりすぎる上に、繊維パイルが倒れたり、埋もれたりして、十分な反射防止効果が得られない。
特許文献4は、レンズ鏡枠の内壁面にリソグラフィー技術により微細凹凸構造を形成する方法や、アルミニウム薄膜を形成した後、アルミニウム薄膜を陽極酸化することにより、微細凹凸構造を形成する方法を開示している。また特許文献4はさらに、ブラックアルマイト処理を施した上で、内壁面に微細凹凸構造を備えるシートを貼り付ける方法を開示している。
特許文献5では、レンズ鏡枠の内壁面にアレイ状の微細凹凸構造を備えるシートを貼り付けたり、成形型を利用した射出成形によりレンズ鏡枠の内壁面にアレイ状の微細凹凸構造を一体成形したりしてなる反射防止構造体を備えた鏡筒を開示している。
しかし、特許文献4及び特許文献5のようにリソグラフィー技術、陽極酸化法又は射出成形により微細凹凸構造をレンズ鏡枠の内壁面に形成したり、微細凹凸構造を備えるシートをレンズ鏡枠の内壁面に貼り付けたりするのは容易ではない。特に複数のレンズ群を備えるズームレンズ系のレンズ鏡枠等は内部構造が複雑であり、上記方法により微細凹凸構造を設けるのは困難である。さらに、特許文献4において陽極酸化法を利用する場合はレンズ鏡枠の内壁面にアルミニウム製薄膜を形成する必要があるが、アルミニウム製薄膜を形成すること自体が困難である。
また特許文献4及び特許文献5のような微細凹凸構造の反射防止機能は十分とは言えず、ゴーストやフレアの発生を抑制するのが難しい。またブラックアルマイト処理を施すとレンズ鏡枠の内壁面は黒くなるが、黒さとして十分ではないので、この部分における反射防止機能は高くない。
特許文献6は、鏡筒部材内に反射防止加工として微粒子を分散した電着塗装を施した鏡筒ユニットを開示している。しかし、特許文献6のような反射防止加工は反射防止機能として不十分であるため、ゴーストやフレアを効果的に抑制するのが難しい。しかも、塗装が剥げ落ちやすいので、反射機能の低下、ゴミの発生などの問題が生じ易い。
特許文献7は、鏡筒部材内に反射防止加工としてニッケル系めっき処理後エッチング処理をすることによって、高さが0.5〜5μm、ピッチが0.1〜10μmの微小突起を多数、ランダムに形成した鏡筒部材が開示されている。しかし、特許文献7においても、複雑な形状のレンズ鏡筒内部に、微細突起が必要な部分と微細突起が存在してはならない部分(例えば、ネジ穴や、レンズと接する部分)とを分けて、必要な部分のみに微細突起を形成するには、後者の部分を精密にマスキングしてめっき処理後マスキングを剥離しなければならず、作業性が良くない。
特開平7−27960号公報 特開平3−271708号公報 特公昭62−11905号公報 特開2005−156989号公報 特開2006−293093号公報 特開平11−64703号公報 特開2010−186157号公報
従って本発明の目的は、反射防止処理のための金属付加処理を施した光学装置を提供することである。
上記課題に鑑み鋭意研究の結果、本発明者は、基体の内壁面に金属付加処理を施し反射防止面が形成された光学装置において、光学装置の製造に用いる基体の内壁面のうち、光学装置の反射防止面に相当する部分を金属付加処理が可能な樹脂により形成し、その他の部分を金属付加処理ができない樹脂により形成することにより、優れた反射防止効果を有する反射防止面を内壁面の必要な部分のみに形成された光学装置が得られることを発見し、本発明に想到した。
即ち、本発明の光学素子は以下の特徴を有している。
(1) 基体の内壁面に金属付加処理を施し、多数の微小突起を有する反射防止面が形成された光学装置であって、前記基体は、金属付加処理ができない第1の樹脂からなる基体本体と、前記基体本体の前記反射防止面に相当する面に設けられた、前記基体本体よりも薄い金属付加処理が可能な第2の樹脂からなる樹脂部とを有し、もって前記基体の内壁面のうち、前記反射防止面に相当する部分が前記第2の樹脂により形成されており、その他の部分が前記第1の樹脂により形成されていることを特徴とする光学装置
(2) 上記(1) に記載の鏡筒基体において、前記金属付加処理はニッケルめっき処理又はニッケル合金めっき処理であることを特徴とする光学装置
(3) 上記(1)又は(2) に記載の鏡筒基体において、前記第2の樹脂はABS樹脂であり、前記第1の樹脂はポリカーボネートであることを特徴とする光学装置
(4) 上記(1)〜(3) のいずれかに記載の鏡筒基体において、前記基体が鏡筒を備えることを特徴とする光学装置
(5) 上記(4) に記載の鏡筒基体において、前記鏡筒は光学素子支持枠、間隔環及び押さえ環の少なくとも1つを有することを特徴とする光学装置
(6) 上記(5) に記載の鏡筒基体において、前記鏡筒の内壁面のうち、光学素子と嵌合する面と、前記光学素子支持枠、前記間隔環及び前記押さえ環が互いに嵌合する面とを除く面が前記第2の樹脂により形成されていることを特徴とする光学装置
(7) 上記(1)〜(6) のいずれかに記載の鏡筒基体において、前記基体は二色成形又はインサート成形により形成されたことを特徴とする光学装置
本発明の光学装置は、基体の内壁面のうち、反射防止面に相当する部分を金属付加処理が可能な樹脂により形成し、その他の部分を金属付加処理ができない樹脂により形成しているので、優れた反射防止効果を有する反射防止面を内壁面の必要な部分のみに有する
本発明の一実施例による第一の鏡筒基体を示す縦断側面図である。 本発明の一実施例による第一の鏡筒基体を示す分解縦断側面図である。 本発明の他の実施例による第二の鏡筒基体を示す縦断側面図である。 本発明の他の実施例による第二の鏡筒基体を示す分解縦断側面図である。 反射防止面の形成方法の一例を示す工程図である。
[1] 第一の鏡筒基体
本発明の一実施例による第一の鏡筒基体10を図1及び図2に示す。図1には説明のために、鏡筒により支持されるレンズを記載している。以下の説明では図1の左側を「前方」とし図1の右側を「後方」とする。
第一の鏡筒基体10は反射防止面を有する交換式レンズ鏡筒を製造するために用いる基体であり、前後方向の中間部に径方向内向きに突出した内方フランジ12を一体的に備え、前方の内周面に雌ねじ部110が形成され、後方の内周面に雌ねじ部111が形成された光学素子支持枠11と、光学素子支持枠11の雌ねじ部110と螺合する雄ねじ部150を外周面に備える押さえ環15と、外周面が光学素子支持枠11の内周面に接触する間隔環16と、光学素子支持枠11の雌ねじ部111と螺合する雄ねじ部170を外周面に備える押さえ環17とを備える。光学素子支持枠11、内方フランジ12、押さえ環15、間隔環16及び押さえ環17は光軸Oを中心とする同心をなしている。
図1に示すように、第一の鏡筒基体10の内部に、樹脂製又はガラス製で無色透明かつ光軸Oを中心とする回転対称形状の第一のレンズL1、第二のレンズL2及び第三のレンズL3を設置することができる。第一の鏡筒基体10に反射防止面を形成するためのめっき処理を施すことにより、交換式レンズ鏡筒が得られるが、かかる鏡筒と第一の鏡筒基体10とは各部材の基本的構造は同じである。そのため、第一の鏡筒基体10を用いて得られる鏡筒への第一のレンズL1、第二のレンズL2及び第三のレンズL3の設置については、第一の鏡筒基体10の場合と同様に行われる。
第一のレンズL1は内方フランジ12の前方に位置しており、その後端縁は内方フランジ12の前面に当接している。第一のレンズL1の直前に押さえ環15が位置しており、押さえ環15の雄ねじ部150と光学素子支持枠11の雌ねじ部110とが螺合している。そのため、第一のレンズL1は押さえ環15と内方フランジ12により前後から挟持される。
第二のレンズL2及び第三のレンズL3は内方フランジ12の後方に位置している。第二のレンズL2の前端縁は、内方フランジ12の後面に当接している。第二のレンズL2の直後には間隔環16が位置している。そのため、第二のレンズL2は、内方フランジ12と間隔環16により前後から挟持される。
間隔環16の直後に第三のレンズL3が位置しており、第三のレンズL3の直後には押さえ環17が位置しており、押さえ環17の雄ねじ部170と光学素子支持枠11の雌ねじ部111とが螺合している。そのため、第三のレンズL3は、間隔環16と押さえ環17により前後から挟持される。
第一の鏡筒基体10の光学素子支持枠11、押さえ環15、間隔環16及び押さえ環17の各部材は、全体的にめっき処理ができない樹脂(以下、「めっき不可能樹脂」と呼ぶ。)により形成されており、第一の鏡筒基体10の内壁面のうち、鏡筒の反射防止面に相当する部分についてはめっき処理が可能な樹脂(以下、「めっき可能樹脂」と呼ぶ。)により形成されている。そのため、第一の鏡筒基体10の内壁面に反射防止面を形成するためのめっき処理を施すことにより、めっき可能樹脂からなる面にのみ選択的に反射防止面を形成することができる。従って、めっき処理においてマスキングが不要である。
鏡筒の反射防止面は、レンズと嵌合する面や、各部材が嵌合する面を除く部分に形成されているのが望ましい。そのため、第一の鏡筒基体10において、めっき可能樹脂がレンズと嵌合する面や、各部材が嵌合する面を除く部分に形成されているのが好ましい。本発明の一実施例による第一の鏡筒基体10では、図1に示すように、内方フランジ12の内周面にめっき可能樹脂12aが形成され、押さえ環15の前面及び内周面に可能樹脂15aが一体的に形成され、間隔環16の内周面に可能樹脂16aが一体的に形成され、押さえ環17の内周面及び後面に可能樹脂17aが一体的に形成されている。各めっき可能樹脂の厚さは、表面にめっき層を形成でき、第一の鏡筒基体10が十分な強度を有する程度であれば特に限定されないが、0.5〜3 mmであるのが好ましい。
めっき不可能樹脂の具体例は、メタクリル樹脂、ポリカーボネイト(又はフィラー入ポリカーボネート)等が挙げられるが、第一の鏡筒の反射防止面以外の大部分はめっき不可能樹脂により形成されるため、耐衝撃性、耐熱性及び難燃性に優れたポリカーボネートが好ましい。めっき可能樹脂の金属めっきが可能な樹脂であり、例えば、PBT,PET,PP,PEEK,液晶ポリマー等が挙げられるが、ABS樹脂が好ましい。
鏡筒の反射防止面は、例えば、第一の鏡筒基体10にニッケルめっき処理、ニッケル合金めっき処理、又はこれらいずれかのめっき処理後にエッチング処理することにより多数の微小突起がランダムな配列で形成された微細凹凸構造を有するものが挙げられる。従って、上記めっき処理はニッケルめっき処理又はニッケル合金めっき処理であるのが好ましい。上記反射防止面の構造及び反射防止特性に関する説明については、本発明者の先願である特願2009-187782明細書を参照されたい。
第一の鏡筒基体10の製造方法は、特に限定されないが、二色成形、インサート成形等が挙げられる。例えばインサート成形により光学素子支持枠11を形成する場合、中子の内方フランジ12に対応する外周面にめっき可能樹脂12aを取り付け、その中子を金型にセットし、めっき不可能樹脂を射出成形して光学素子支持枠11を形成する。中子へのめっき可能樹脂12aの取り付け方法は、円環状のめっき可能樹脂12aを中子の内方フランジ12に対応する外周面に取り付けても良く、内方フランジ12に対応する外周面にテープ状のめっき可能樹脂12aを巻き付けても良い。また中子については、前後方向の中間部に位置する内方フランジ12に対応する部分の外径が小さく、一体的な中子では成型後に取り外しが困難なため、内方フランジ12に対応する部分とその前方部分に対応する中子と、その後方部分に対応する中子とを組み合わせて用いても良い。他の部材については同様の方法により製造することができる。
めっき可能樹脂を形成する箇所は、内方フランジ12、押さえ環15、間隔環16及び押さえ環17に限定されず、あらゆる鏡枠部材に適用することができる。例えば、鏡筒の光路が通過する部材であればいずれにも適用可能であるし、鏡筒でなくとも、カメラボディ内において光路が通過する周囲の壁面、例えばミラーボックス内の壁面や、ファインダー光路の壁面にも応用可能である。さらに顕微鏡内の光路の壁面にも適用することができる。
めっき可能樹脂を形成しない領域、すなわちめっき処理を施さない領域は上記の部分には限定されず、隣接する部材と接触する部分であればどの部分であってもよく、間隔環16の内周面のみにめっき可能樹脂で形成したり、押さえ環15と押さえ環17の内壁面のみにめっき可能樹脂で形成してもよい。さらに、例えば押さえ環15の前面や押さえ環17の後面のように、他の部材と接触しない部分のうち光路(光軸O)と対向しない箇所についてはめっき可能樹脂で形成しないようにしてもよい。
[2] 第二の鏡筒基体
本発明の他の実施例による第二の鏡筒基体20を図3及び図4に示す。図3には説明のために、鏡筒により支持されるレンズを記載している。第一の鏡筒基体10と同じ部材には同じ符号を付しており、その詳細な説明は省略する。第二の鏡筒基体20は、前後方向の中間部に径方向内向きに突出した内方フランジ12を一体的に備え、前方の内周面に雌ねじ部110が形成され、後方の外周面に雄ねじ部210が形成された第1光学素子支持枠21と、前方径部30の内周面に雄ねじ部210に螺合する雌ねじ部250を備え、第1光学素子支持枠21の後端部に接続する第2光学素子支持枠25と、光学素子支持枠21の雌ねじ部110と螺合する雄ねじ部150を外周面に備える押さえ環15と、外周面が光学素子支持枠11の内周面に接触する移動レンズ枠24とを備える。第1光学素子支持枠21、第2光学素子支持枠25、押さえ環15、移動レンズ枠24は光軸Oを中心とする同心をなしている。
移動レンズ枠24は、光学素子支持枠11の内周面にモータ(図示せず)及び連動機構(図示せず)を介して光軸O方向にスライド可能に支持されている。
第2光学素子支持枠25は、後方に内径の小さい後方径部29と、その前方に内径の大きい中間径部28とを備え、中間径部28には周方向にねじ穴27が穿設されている。ねじ穴27にボルト(図示せず)を貫通させて第2光学素子支持枠25を第二の鏡筒基体20の固定部材(図示せず)に固定する。
図3に示すように、第二の鏡筒基体20の内部に、樹脂製又はガラス製で無色透明かつ光軸Oを中心とする回転対称形状の第一のレンズL1、第二のレンズL2’及び第三のレンズL3’を設置することができる。第一のレンズL1は内方フランジ12の前方に位置しており、その後端縁は内方フランジ12の前面に当接している。第一のレンズL1の直前に押さえ環15が位置しており、押さえ環15の雄ねじ部150と第1光学素子支持枠21の雌ねじ部110とが螺合している。そのため、第一のレンズL1は押さえ環15と内方フランジ12により前後から挟持される。第二のレンズL2’は移動レンズ枠24の内周面に嵌合固定され、第三のレンズL3’は第2光学素子支持枠25の後方径部29の内周面に嵌合固定される。
第二の鏡筒基体20では、図3に示すように、内方フランジ12の前面及び内周面にめっき可能樹脂12aが一体的に形成され、押さえ環15の前面及び内周面にめっき可能樹脂15aが一体的に形成され、移動レンズ枠24の第二のレンズL2’と嵌合する面以外の面、すなわち後面にめっき可能樹脂24aが形成され、移動レンズ枠24の前方に径方向内向きに突出して設けられた内方フランジ240の前面及び内周面にめっき可能樹脂240aが形成され、第2光学素子支持枠25の中間径部28の内周面と後方径部29の前面に、ねじ穴27の周辺を除いて、めっき可能樹脂25aが一体的に形成されている。
[3] 鏡筒の製造方法
図5を参照し、本発明の一実施例である第一の鏡筒基体10を用いて鏡筒を製造する方法を以下詳細に説明する。
光学素子支持枠11をニッケルめっき処理又はニッケル合金めっき処理等のめっき処理を行うことにより、図5(a) 及び(b) に示すように、めっき可能樹脂12aの表面のみにめっき層40を選択的に形成する。めっき層40の厚みは3〜90μmであるのが好ましい。めっき処理は例えばめっき浸漬により行うことができる。内方フランジ12、押さえ環15、間隔環16及び押さえ環17についても同様にめっき処理を行う。
図5(c) に示すように、光学素子支持枠11にエッチング処理を施す。これにより、光学素子支持枠11の、めっき可能樹脂12aの表面に形成されためっき層40に多数の微小突起がランダムに形成される。微小突起の高さは0.5〜20μmであるのが好ましく、ピッチが0.1〜30μmであるのが好ましい。このエッチング処理は、例えば、硝酸エッチングにより行う。またエッチング処理前のめっき層40の微小突起の高さ及びピッチが上記数値範囲に含まれる場合、このエッチング工程を省略しても良い。このように反射防止面に対応する面をめっき可能樹脂で形成した鏡筒基体を用いて鏡筒を製造することにより、めっき処理においてマスキングが不要となり、マスキング処理が困難な複雑な内壁形状を有する鏡筒においても反射防止面を容易に形成することができる。
10・・・第一の鏡筒基体
11・・・光学素子支持枠
110,111・・・雌ねじ部
12・・・内方フランジ
15,17・・・押さえ環
150,170・・・雄ねじ部
16・・・間隔環
12a,15a,16a,17a,24a,240a,25a・・・めっき可能樹脂
20・・・第二の鏡筒基体
21・・・第1光学素子支持枠
210・・・雄ねじ部
25・・・第2光学素子支持枠
27・・・ねじ穴
28・・・中間径部
29・・・後方径部
30・・・前方径部
250・・・雌ねじ部
24・・・移動レンズ枠

Claims (8)

  1. 内壁面にめっき処理を施し、又は前記めっき処理を施した後にエッチング処理することにより多数の微小突起を有する反射防止面が形成された鏡筒を製造するのに用いる鏡筒基体であって、前記鏡筒基体は、めっき処理ができない樹脂からなる鏡筒基体本体と、前記鏡筒基体本体の前記鏡筒の反射防止面に相当する面に設けられた、前記鏡筒基体本体よりも薄いめっき処理が可能な樹脂層とからなり、もって前記鏡筒基体の内壁面のうち、前記鏡筒の反射防止面に相当する部分がめっき処理が可能な樹脂により形成されており、その他の部分がめっき処理ができない樹脂により形成されていることを特徴とする鏡筒基体。
  2. 請求項1に記載の鏡筒基体において、前記めっき処理はニッケルめっき処理又はニッケル合金めっき処理であることを特徴とする鏡筒基体。
  3. 請求項1又は2に記載の鏡筒基体において、前記めっき処理が可能な樹脂はABS樹脂であり、前記めっき処理ができない樹脂はポリカーボネートであることを特徴とする鏡筒基体。
  4. 請求項1〜3のいずれかに記載の鏡筒基体において、前記鏡筒基体は光学素子支持枠、間隔環及び押さえ環を有することを特徴とする鏡筒基体。
  5. 請求項4に記載の鏡筒基体において、前記鏡筒基体の内壁面のうち、光学素子と嵌合する面と、前記光学素子支持枠、前記間隔環及び前記押さえ環が互いに嵌合する面とを除く面が前記めっき処理が可能な樹脂により形成されていることを特徴とする鏡筒基体。
  6. 請求項1〜5のいずれかに記載の鏡筒基体において、前記鏡筒基体は二色成形又はインサート成形により形成されたことを特徴とする鏡筒基体。
  7. 請求項1〜6のいずれかに記載の鏡筒基体を用いて前記鏡筒を製造する方法であって、前記鏡筒基体の前記内壁面のうち前記鏡筒の反射防止面に相当する部分に前記めっき処理を施し、又は前記めっき処理を施した後にエッチング処理することにより前記反射防止面を形成することを特徴とする鏡筒の製造方法。
  8. 請求項7に記載の鏡筒の製造方法において、前記反射防止面は0.1〜30μmのピッチでランダムに形成された高さ0.5〜20μmの多数の微小突起を有することを特徴とする鏡筒の製造方法。
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