JP2015187201A - 精製パーム系油脂の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】3−クロロプロパン−1,2−ジオール及びその脂肪酸エステルの含有量が低減された精製パーム系油脂の製造方法を提供すること。
【解決手段】本発明は、パーム粗油をアルカリ脱酸するアルカリ脱酸工程を含む、精製パーム系油脂の製造方法を提供する。前記アルカリ脱酸工程の後には、脱ガム工程、脱色工程及び脱臭工程のうちの1以上が含まれていてもよい。前記脱ガム工程の後には前記脱色工程が含まれ、前記脱色工程の後には前記脱臭工程が含まれていてもよい。
【選択図】なし
【解決手段】本発明は、パーム粗油をアルカリ脱酸するアルカリ脱酸工程を含む、精製パーム系油脂の製造方法を提供する。前記アルカリ脱酸工程の後には、脱ガム工程、脱色工程及び脱臭工程のうちの1以上が含まれていてもよい。前記脱ガム工程の後には前記脱色工程が含まれ、前記脱色工程の後には前記脱臭工程が含まれていてもよい。
【選択図】なし
Description
本発明は、精製パーム系油脂の製造方法に関する。
油脂中には生理活性に関係すると考えられる微量成分が存在する。このような微量成分としては、例えば、3−クロロプロパン−1,2−ジオール、グリシドール、及びこれらの脂肪酸エステル等が挙げられる。上記成分については、栄養学上の問題がある可能性が指摘されているが、長年にわたって食事等から摂取されてきた植物油等の油脂中に存在するレベルであれば、健康に直ちに影響を及ぼすとは考えられず、摂取基準等も定められていない。しかし、より安全性の高い油脂に対するニーズがあるため、油脂中の上記成分の含有量を低減する方法が各種提案されている。
油脂中の3−クロロプロパン−1,2−ジオール、グリシドール等の含有量を低減する方法としては、脱臭工程の温度条件を調整する方法(特許文献1)、油脂とアルカリ白土とを接触させる方法(特許文献2)、トレイ式脱臭装置において油脂と水蒸気とを接触させる方法(特許文献3)が挙げられる。
しかし、従来の技術を使用しても、3−クロロプロパン−1,2−ジオール及びその脂肪酸エステルの含有量を十分に低減できない可能性があった。油脂のなかでも、消費量の多いパーム系油脂においては、3−クロロプロパン−1,2−ジオール及びその脂肪酸エステルの含有量を低減することが特に要求され得る。
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、3−クロロプロパン−1,2−ジオール及びその脂肪酸エステルの含有量が低減された精製パーム系油脂の製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、原料油脂であるパーム粗油に対してアルカリ脱酸する工程を含む精製パーム系油脂の製造方法によれば、上記課題を解決できる点を見出し、本発明を完成するに至った。具体的には、本発明は下記のものを提供する。
(1) パーム粗油をアルカリ脱酸するアルカリ脱酸工程を含む、精製パーム系油脂の製造方法。
(2) 前記アルカリ脱酸工程の後に、脱ガム工程、脱色工程及び脱臭工程のうちの1以上を含む、(1)に記載の精製パーム系油脂の製造方法。
(3) 前記脱ガム工程の後に前記脱色工程を含み、前記脱色工程の後に前記脱臭工程を含む、(2)に記載の精製パーム系油脂の製造方法。
(4) 前記脱臭工程の後に分別工程を含む、(3)に記載の精製パーム系油脂の製造方法。
本発明によれば、3−クロロプロパン−1,2−ジオール及びその脂肪酸エステルの含有量が低減された精製パーム系油脂の製造方法が提供される。
以下、本発明の実施形態について説明するが、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。なお、本発明における「油脂」とは、グリセリンと、1〜3個の脂肪酸とがエステル結合したグリセリドを含む物質であり、油脂の主要成分であるトリグリセリド(トリアシルグリセロール)のほか、ジグリセリド(ジアシルグリセロール)及びモノグリセリド(モノアシルグリセロール)を含み得る。また、本発明における油脂には、原料油脂由来のグリセリド以外の成分(例えば、植物ステロール、レシチン、抗酸化成分、色素成分等)が含まれてもよいが、油脂を構成する成分のうち95質量%以上はグリセリドであることが好ましい。
[本発明の精製パーム系油脂の製造方法]
本発明の精製パーム系油脂の製造方法(以下、「本発明の製造方法」という。)は、パーム粗油をアルカリ脱酸する工程(アルカリ脱酸工程)を含む。
本発明の精製パーム系油脂の製造方法(以下、「本発明の製造方法」という。)は、パーム粗油をアルカリ脱酸する工程(アルカリ脱酸工程)を含む。
(パーム粗油)
本発明における「パーム粗油」とは、アブラヤシ(パーム椰子)から、抽出法、圧搾法、又は圧抽法等の公知の方法によって採油された未精製の油脂を指す。パーム粗油は、不純物(微量金属、色素、におい成分等)を多く含んでいるため、精製工程(通常は、脱ガム工程、アルカリ脱酸工程、脱色工程、及び脱臭工程の順)に供されて精製され、精製パーム系油脂が得られる。なお、一般的に、「パーム原油」と呼ばれる油脂は、パーム粗油を少なくとも脱ガム工程に供することで得られるパーム油脂を指し、脱ガム工程等の精製工程に一切供されていない未精製の油脂である「パーム粗油」とは明確に異なる。なお、本発明における「精製パーム系油脂」とは、パーム油、又は、その分別油(パームオレイン、パームステアリン、パームスーパーオレイン、パームダブルオレイン、パームミッドフラクション等)を指す。本発明における「パーム油脂」とは、パーム油、及び、その分別油の総称である。本発明における「パーム油」とは、パーム粗油に対して少なくともアルカリ脱酸工程を行って得られたパーム油を指す。
本発明における「パーム粗油」とは、アブラヤシ(パーム椰子)から、抽出法、圧搾法、又は圧抽法等の公知の方法によって採油された未精製の油脂を指す。パーム粗油は、不純物(微量金属、色素、におい成分等)を多く含んでいるため、精製工程(通常は、脱ガム工程、アルカリ脱酸工程、脱色工程、及び脱臭工程の順)に供されて精製され、精製パーム系油脂が得られる。なお、一般的に、「パーム原油」と呼ばれる油脂は、パーム粗油を少なくとも脱ガム工程に供することで得られるパーム油脂を指し、脱ガム工程等の精製工程に一切供されていない未精製の油脂である「パーム粗油」とは明確に異なる。なお、本発明における「精製パーム系油脂」とは、パーム油、又は、その分別油(パームオレイン、パームステアリン、パームスーパーオレイン、パームダブルオレイン、パームミッドフラクション等)を指す。本発明における「パーム油脂」とは、パーム油、及び、その分別油の総称である。本発明における「パーム油」とは、パーム粗油に対して少なくともアルカリ脱酸工程を行って得られたパーム油を指す。
パーム粗油には、本発明の効果を阻害しない範囲で、抗酸化物質、乳化剤等の添加剤等が含まれていてもよい。
(アルカリ脱酸工程)
通常、パーム粗油の精製においては、最初に、パーム粗油を脱ガム工程に供し、次いで、アルカリ脱酸工程等の工程に供する。他方、本発明の製造方法においては、最初に、パーム粗油をアルカリ脱酸工程に供する。つまり、本発明の製造方法においては、精製工程のうち、アルカリ脱酸工程が最初に行われる。
通常、パーム粗油の精製においては、最初に、パーム粗油を脱ガム工程に供し、次いで、アルカリ脱酸工程等の工程に供する。他方、本発明の製造方法においては、最初に、パーム粗油をアルカリ脱酸工程に供する。つまり、本発明の製造方法においては、精製工程のうち、アルカリ脱酸工程が最初に行われる。
油脂中の3−クロロプロパン−1,2−ジオール(以下、3−クロロプロパン−1,2−ジオールを「3−MCPD」ともいう。)及びその脂肪酸エステルは、一般的に下記の作用によって増加すると考えられる。すなわち、各精製工程において油脂が加熱されると、油脂の原料(アブラヤシ等)にもともと含まれる塩素が、いわゆる塩素ドナーとして作用し、3−MCPD及びその脂肪酸エステルが油脂中に生成され得る。
従来は、パーム粗油を脱ガム工程に供した後に、アルカリ脱酸工程を経たパーム油(NBDパーム油等)においては、パーム油中の塩素の含有量が十分に低減されていると考えられていた。脱ガム工程においては、油脂を酸処理することによって不純物(リン脂質、ガム質等)を除去するが、脱ガム工程の後にアルカリ脱酸工程を行うことで、脱ガム工程の後に残存する酸を除去しつつ、さらには、アルカリと反応しやすい塩素をも除去できると期待されていたからである。また、油脂中の塩素の含有量を補強的に低減させる方法として、パーム粗油を水洗することによって油脂中の塩素の含有量を低減した後に脱ガム工程等の精製工程に供する方法が提案されていた。
しかし、本発明者による検討の結果、脱ガム工程の後に、アルカリ脱酸工程を行っても、油脂中の塩素の含有量を十分に低減できないことが見出された。また、パーム粗油を水洗しても、油脂中の遊離塩素量を低減できるが、結合塩素(有機塩素及び無機塩素)の含有量は低減できないことが見出された。3−MCPD及びその脂肪酸エステルは、主に、油脂中の有機塩素が塩素ドナーとして作用することで生成されると考えられるため、油脂中の3−MCPD及びその脂肪酸エステルの含有量を低減させるためには、遊離塩素だけではなく、結合塩素の含有量をも低減させる必要がある。
そこで、本発明者が鋭意検討した結果、意外にも、精製工程のうち、アルカリ脱酸工程を最初に行うと、油脂中の総塩素量(遊離塩素と結合塩素(有機塩素及び無機塩素)の合計量)を効果的に低減でき、その結果、3−MCPD及びその脂肪酸エステルの含有量を低減できることが見出された。パーム粗油をアルカリ脱酸工程に供した後に、適宜、精製工程(脱ガム工程、脱色工程、脱臭工程等)及び/又は分別工程を行うことで、従来の精製方法によって得られた精製パーム系油脂と同等の風味や外観等を備えながら、3−MCPD及びその脂肪酸エステルの含有量が低減された精製パーム系油脂を得ることができる。
アルカリ脱酸工程の条件としては、特に限定されず、従来公知の条件を適用できる。例えば、アルカリ溶液(水酸化ナトリウム水溶液、炭酸ナトリウム水溶液、水酸化カリウム水溶液、炭酸カリウム水溶液等)をパーム粗油に、油脂の酸価に対して50〜150モル%加えてもよく、好ましくは100〜150モル%加えてもよい。アルカリ脱酸工程は、30〜95℃の温度条件下で、1分間〜30分間撹拌し、その後、遠心分離でアルカリ相を除去することによって行ってもよい。アルカリ相を除去した後、油脂を水洗してもよい。なお、添加するアルカリ溶液中のアルカリ性物質の濃度は、ボーメ度10〜30であってもよい。
本発明におけるアルカリ脱酸工程を行うことで、パーム粗油から、3−MCPD及びその脂肪酸エステルの含有量が低減された精製パーム系油脂が得られる。
(脱ガム工程、脱色工程及び脱臭工程)
アルカリ脱酸工程の後には、油脂の精製において通常適用される各精製工程(例えば、脱ガム工程、脱色工程及び脱臭工程のうちの1以上)を行ってもよい。かかる精製工程を経ることで、3−MCPD及びその脂肪酸エステルの含有量が低減されていながら、風味や外観等に優れる精製パーム系油脂を得ることができる。
アルカリ脱酸工程の後には、油脂の精製において通常適用される各精製工程(例えば、脱ガム工程、脱色工程及び脱臭工程のうちの1以上)を行ってもよい。かかる精製工程を経ることで、3−MCPD及びその脂肪酸エステルの含有量が低減されていながら、風味や外観等に優れる精製パーム系油脂を得ることができる。
例えば、アルカリ脱酸工程の後には、脱ガム工程を行ってもよい。脱ガム工程を行うことにより、不純物(リン脂質、ガム質等)の含有量が低減された精製パーム系油脂が得られる。
脱ガム工程の条件は特に限定されず、通常の精製油脂の製造方法で使用される条件であってもよい。例えば、酸性物質(リン酸、有機酸水溶液等)を、パーム油に、対油0.01〜0.20質量%加えてもよい。かかる工程は、70〜100℃の温度条件下で、1分間〜30分間撹拌し、その後、静置又は遠心分離することによって油脂中のガム質を除去することにより、脱ガム工程を経たパーム油が得られる。
アルカリ脱酸工程の後には、脱色工程及び脱臭工程のうちの1以上を行うことが好ましい。脱色工程及び脱臭工程のうちの1以上を行うことで、3−MCPD及びその脂肪酸エステルだけではなく、グリシドール及びその脂肪酸エステルの含有量が低減された精製パーム系油脂が得られる。
脱色工程の条件は特に限定されず、通常の精製油脂の製造方法で使用される条件であってもよい。例えば、パーム油に白土(活性白土等)を対油0.2〜3.0質量%加えて、減圧下、80〜150℃で5〜60分間、加熱させることで行ってもよい。また、ろ過器やカラムの中に白土を充填し、パーム油を通液させてもよい。脱色工程の後、ろ過等により白土を油脂から除去することで、脱色工程を経たパーム油を得ることができる。
脱臭工程の条件は特に限定されず、通常の精製油脂の製造方法で使用される条件であってもよい。例えば、減圧下(例えば、150〜700Pa)、160〜270℃で30〜180分間、パーム油と水蒸気とを接触させることで行ってもよい。脱臭時間は、連続していてもよく、不連続であってもよい。脱臭工程を終えた後の油は、そのまま脱臭工程を経たパーム油として扱うことができる。
アルカリ脱酸工程の後に、脱ガム工程、脱色工程及び脱臭工程のうちの2以上を行う場合、その先後は特に限定されないが、精製効率が良好であるという点で、脱ガム工程を最初に行い、次いで脱色工程及び/又は脱臭工程を行うことが好ましい。パーム油の風味を損なわず、かつ酸価及び/又は色度の上昇を抑えられるという点で、脱ガム工程、脱色工程及び脱臭工程の順で行うことが最も好ましい。
アルカリ脱酸工程の後に、脱ガム工程、脱色工程及び脱臭工程のうちの1以上を行う場合、脱ガム工程、脱色工程及び脱臭工程の各工程の前後においては、パーム油を水洗してもよい。油脂の水洗工程を行うことにより、パーム油中の塩素含量をより低減できるので、3−MCPD及びその脂肪酸エステルの含有量をより低減できる。
水洗工程の条件は、特に限定されず、例えば、パーム油に、70〜100℃の水を対油3.0〜50質量%加えてもよい。パーム油に水を加えた後、適宜撹拌、分離、乾燥等を行うことによって水洗工程を経たパーム油を得ることができる。
アルカリ脱酸工程の後、各精製工程間においては、適宜パーム油を冷却する工程を設けてもよい。
(分別工程)
上記の工程(つまり、アルカリ脱酸、並びに、脱ガム工程、脱色工程及び脱臭工程のうちの1以上)を行った後には、パーム油を分別工程に供してもよい。分別工程を行うことにより、パーム油から分別油脂(パームオレイン、パームステアリン、パームスーパーオレイン、パームダブルオレイン、パームミッドフラクション等)が得られる。
上記の工程(つまり、アルカリ脱酸、並びに、脱ガム工程、脱色工程及び脱臭工程のうちの1以上)を行った後には、パーム油を分別工程に供してもよい。分別工程を行うことにより、パーム油から分別油脂(パームオレイン、パームステアリン、パームスーパーオレイン、パームダブルオレイン、パームミッドフラクション等)が得られる。
分別工程におけるパーム油の分別方法は特に限定されず、精製油脂を分別するために通常使用される分別方法を適用できる。具体的な分別方法としては、自然分別法、溶剤分別法、界面活性剤分別法等が挙げられる。
[精製パーム系油脂中の3−MCPD及びその脂肪酸エステルの含有量の特定]
本発明の製造方法によれば、3−MCPD及びその脂肪酸エステルの含有量が低減された精製パーム系油脂を得ることができる。精製パーム系油脂中の3−MCPD及びその脂肪酸エステルの含有量は下記の方法で特定する。
本発明の製造方法によれば、3−MCPD及びその脂肪酸エステルの含有量が低減された精製パーム系油脂を得ることができる。精製パーム系油脂中の3−MCPD及びその脂肪酸エステルの含有量は下記の方法で特定する。
すなわち、精製パーム系油脂中の3−MCPD及びその脂肪酸エステルの含有量は、ドイツ公定法(DGF Standard Methods C−III 18(09))の変法であるNaBr法(詳細は、下記実施例に示されるとおりである。)に従って、精製パーム系油脂のTrue MCPD値として特定される。
以下、実施例を示し、本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
[試験1:パーム粗油の精製]
パーム粗油(ISF社製)を1700g使用して、表1記載の精製工程で精製し、各精製油脂(「NRBD without acid パーム油」、「NRBDパーム油」、「RBDパーム油」、「NBDパーム油」、「RwBDパーム油」、及び「wRBDパーム油」)を製造した。以下、得られた各精製油脂は、単に、「NBD without acid」、「NRBD」等ともいう。NBD without acid パーム油、及びNRBDパーム油が、本発明の製造方法によって得られる精製パーム系油脂に相当する。
パーム粗油(ISF社製)を1700g使用して、表1記載の精製工程で精製し、各精製油脂(「NRBD without acid パーム油」、「NRBDパーム油」、「RBDパーム油」、「NBDパーム油」、「RwBDパーム油」、及び「wRBDパーム油」)を製造した。以下、得られた各精製油脂は、単に、「NBD without acid」、「NRBD」等ともいう。NBD without acid パーム油、及びNRBDパーム油が、本発明の製造方法によって得られる精製パーム系油脂に相当する。
なお、NRBD without acid パーム油、RBDパーム油、NBDパーム油、RwBDパーム油は、同一ロットのパーム粗油を使用し、wRBDパーム油は、該ロットとは別ロットのパーム粗油を使用した。NRBDパーム油については、異なる2つのロットのパーム粗油を使用して精製を行い、一方のロット(表2中の「実施例2(NRBD−1)」)は、NBD without acid パーム油と同じロットを使用した。得られた2つのNRBDパーム油のうち一方(表2中の「実施例3(NRBD−2)」)については、脱臭工程後に分別を行い、パームオレイン(ヨウ素価56)、及びパームステアリンを得た。
なお、表1中に記載された各精製工程名は、左から右へ時系列順に並べた。例えば、「NRBD without acid パーム油」は、パーム粗油に対して、「アルカリ脱酸工程−1」、「脱色工程」及び「脱臭工程」の順で処理を行って得られた精製パーム系油脂である。
表1中の各精製工程の条件は下記のとおりである。なお、「アルカリ脱酸工程−1」が、パーム粗油をアルカリ脱酸工程する工程に相当する。
アルカリ脱酸工程−1:水酸化ナトリウム水溶液(ボーメ度:20)を油脂の酸価に対して10モル%過剰量添加した後、中性になるまで油脂を水洗した。
水洗工程−1:90℃の湯(対油10質量%)で油脂を水洗した。
脱ガム工程:90〜95℃の温度条件下で、リン酸(対油0.05質量%)を油脂に添加した。
アルカリ脱酸工程−2:水酸化ナトリウム水溶液(ボーメ度:20)を酸価に対して10モル%過剰量添加した後、中性になるまで油脂を水洗した。
水洗工程−2:90℃の湯(対油10質量%)で油脂を水洗した。
脱色工程:90〜95℃の温度条件下で、油脂を、白土(対油2質量%)と30分間接触させた。
脱臭工程:230〜235℃の温度条件下で、油脂を1時間加熱した。
アルカリ脱酸工程−1:水酸化ナトリウム水溶液(ボーメ度:20)を油脂の酸価に対して10モル%過剰量添加した後、中性になるまで油脂を水洗した。
水洗工程−1:90℃の湯(対油10質量%)で油脂を水洗した。
脱ガム工程:90〜95℃の温度条件下で、リン酸(対油0.05質量%)を油脂に添加した。
アルカリ脱酸工程−2:水酸化ナトリウム水溶液(ボーメ度:20)を酸価に対して10モル%過剰量添加した後、中性になるまで油脂を水洗した。
水洗工程−2:90℃の湯(対油10質量%)で油脂を水洗した。
脱色工程:90〜95℃の温度条件下で、油脂を、白土(対油2質量%)と30分間接触させた。
脱臭工程:230〜235℃の温度条件下で、油脂を1時間加熱した。
[試験2:油脂の分析]
上記試験1において、各精製工程後の油脂中のMCPD−FS値、True MCPD値、及びCl量を下記の方法で算出した。
上記試験1において、各精製工程後の油脂中のMCPD−FS値、True MCPD値、及びCl量を下記の方法で算出した。
(MCPD−FS値の定量)
ドイツ公定法 DGF Standard Methods C−III 18(09)に準じて、油脂のMCPD−FS値を定量した。MCPD−FS値とは、グリシドール及び3−MCPD、並びにそれらの脂肪酸エステルの総量を3−MCPD遊離体量として定量した値を指す。得られた結果を、表2及び3の「FS(ppm)」の項に示す。
ドイツ公定法 DGF Standard Methods C−III 18(09)に準じて、油脂のMCPD−FS値を定量した。MCPD−FS値とは、グリシドール及び3−MCPD、並びにそれらの脂肪酸エステルの総量を3−MCPD遊離体量として定量した値を指す。得られた結果を、表2及び3の「FS(ppm)」の項に示す。
(True MCPD値の定量)
ドイツ公定法(DGF Standard Methods C−III 18(09))の変法である、下記NaBr法に従って、油脂のTrue MCPD値を定量した。True MCPD値とは、3−MCPD及びその脂肪酸エステルの総量を3−MCPD遊離体量として定量した値を指す。得られた結果を、表2及び3の「MCPD(ppm)」の項に示す。
ドイツ公定法(DGF Standard Methods C−III 18(09))の変法である、下記NaBr法に従って、油脂のTrue MCPD値を定量した。True MCPD値とは、3−MCPD及びその脂肪酸エステルの総量を3−MCPD遊離体量として定量した値を指す。得られた結果を、表2及び3の「MCPD(ppm)」の項に示す。
〔NaBr法〕
油脂100mgに、50μLの内部標準物質(3−MCPD−d5 20μg/mL溶液)を加えた後、1mLのナトリウムメトキシド溶液(0.5mol/L メタノール)を加え、室温にて反応させ、エステルのけん化分解を行った。次いで、得られた反応物に酢酸を微量に含んだ3mLの臭化ナトリウム水溶液(50%)と3mLのヘキサンとを加えて混合した後、ヘキサンを除去した。なお、この際に3−MCPD及び3−MCPD脂肪酸エステルが、全て3−MCPD遊離体に変換される。その後、500μLのフェニルホウ酸水溶液(12.5%)により誘導体化し、2mLのヘキサンにて抽出し、ガスクロマトグラフ質量分析(GC−MS)装置を使用して測定を行った。当該測定によって得られたクロマトグラムを用い、内部標準である3−MCPD−d5と、3−MCPDのイオン強度を比較することで、油脂中の3−MCPD及び3−MCPD脂肪酸エステルの総量を3−MCPD遊離体換算量として算出した。
油脂100mgに、50μLの内部標準物質(3−MCPD−d5 20μg/mL溶液)を加えた後、1mLのナトリウムメトキシド溶液(0.5mol/L メタノール)を加え、室温にて反応させ、エステルのけん化分解を行った。次いで、得られた反応物に酢酸を微量に含んだ3mLの臭化ナトリウム水溶液(50%)と3mLのヘキサンとを加えて混合した後、ヘキサンを除去した。なお、この際に3−MCPD及び3−MCPD脂肪酸エステルが、全て3−MCPD遊離体に変換される。その後、500μLのフェニルホウ酸水溶液(12.5%)により誘導体化し、2mLのヘキサンにて抽出し、ガスクロマトグラフ質量分析(GC−MS)装置を使用して測定を行った。当該測定によって得られたクロマトグラムを用い、内部標準である3−MCPD−d5と、3−MCPDのイオン強度を比較することで、油脂中の3−MCPD及び3−MCPD脂肪酸エステルの総量を3−MCPD遊離体換算量として算出した。
NaBr法におけるGC−MS分析条件は下記のとおりである。
分析装置:島津製作所株式会社製、機種名:QP−2010
カラム:製品名:HP−5MS、Agilent Technology社製(長さ30m、径0.25mm)
カラム温度:60℃(1分)〜120℃(昇温速度10℃/分)〜190℃(昇温速度6℃/分)〜280℃(昇温速度20℃/分)
検出器:MS(EI,SIMモード)
スプリットレス:1μL注入
キャリアガス:He
分析装置:島津製作所株式会社製、機種名:QP−2010
カラム:製品名:HP−5MS、Agilent Technology社製(長さ30m、径0.25mm)
カラム温度:60℃(1分)〜120℃(昇温速度10℃/分)〜190℃(昇温速度6℃/分)〜280℃(昇温速度20℃/分)
検出器:MS(EI,SIMモード)
スプリットレス:1μL注入
キャリアガス:He
(Cl量の定量)
油脂中のCl量(総塩素含量)を、塩素分析装置(NSX−2100H、株式会社三菱化学アナリテック製)によって測定した。この方法では、油脂中に含まれる総塩素量(遊離塩素と結合塩素(有機塩素及び無機塩素)の合計量)が算出される。得られた結果を、表2及び3の「Cl(ppm)」の項に示す。
油脂中のCl量(総塩素含量)を、塩素分析装置(NSX−2100H、株式会社三菱化学アナリテック製)によって測定した。この方法では、油脂中に含まれる総塩素量(遊離塩素と結合塩素(有機塩素及び無機塩素)の合計量)が算出される。得られた結果を、表2及び3の「Cl(ppm)」の項に示す。
表2に示されるとおり、パーム粗油をアルカリ脱酸する工程(アルカリ脱酸工程−1)を含む本発明の製造方法によれば、3−MCPD及びその脂肪酸エステルの含有量が低減された精製パーム系油脂が得られる(各実施例の「MCPD(ppm)」の項を参照。)。通常、脱臭工程を経ると、True MCPD値が増加することが知られるが、本発明によれば、脱臭工程後であっても、True MCPD値の増加が抑制されている(各実施例の「脱臭工程の後」の項を参照。)。3−MCPD及びその脂肪酸エステルの総量の低減効果は、脱臭工程後に分別工程を行っても損なわれなかった(実施例3の「分別後」の項を参照。)。
他方、表3に示されるとおり、パーム粗油をアルカリ脱酸する工程を含まない製造方法においては、精製油脂中の3−MCPD及びその脂肪酸エステルの総量が高かった(各比較例の「MCPD(ppm)」の項を参照。)。
表3中の比較例2に示されるとおり、パーム粗油を脱ガム工程に供した後にアルカリ脱酸工程(アルカリ脱酸工程−2)を行っても、油脂中の3−MCPD及びその脂肪酸エステルの含有量が低減しなかった。
表3中の比較例3及び4に示されるとおり、アルカリ脱酸工程の代わりに水洗工程を行っても、油脂中の3−MCPD及びその脂肪酸エステルの含有量が十分に低減しなかった。
Claims (4)
- パーム粗油をアルカリ脱酸するアルカリ脱酸工程を含む、精製パーム系油脂の製造方法。
- 前記アルカリ脱酸工程の後に、脱ガム工程、脱色工程及び脱臭工程のうちの1以上を含む、請求項1に記載の精製パーム系油脂の製造方法。
- 前記脱ガム工程の後に前記脱色工程を含み、前記脱色工程の後に前記脱臭工程を含む、請求項2に記載の精製パーム系油脂の製造方法。
- 前記脱臭工程の後に分別工程を含む、請求項3に記載の精製パーム系油脂の製造方法。
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