JP6484040B2 - 精製油脂の製造方法及び精製油脂の製造管理方法 - Google Patents

精製油脂の製造方法及び精製油脂の製造管理方法 Download PDF

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Description

本発明は、精製油脂の製造方法及び精製油脂の製造管理方法に関する。
油脂中には生理活性に関係すると考えられる微量成分が存在する。このような微量成分としては、例えば、3−クロロプロパン−1,2−ジオール及びその脂肪酸エステル(以下、3−クロロプロパン−1,2−ジオールを「3−MCPD」ともいう。)等が挙げられる。上記成分については、栄養学上の問題がある可能性が指摘されているが、長年にわたって食事等から摂取されてきた植物油等の油脂中に存在するレベルであれば、健康に直ちに影響を及ぼすとは考えられず、摂取基準等も定められていない。しかし、より安全性の高い油脂に対するニーズがあるため、油脂中の上記成分の含有量を低減する方法が各種提案されている。
油脂中の3−MCPD及びその脂肪酸エステル等の含有量を低減する方法としては、脱臭工程の温度条件を調整する方法(特許文献1)、油脂とアルカリ白土とを接触させる方法(特許文献2)、トレイ式脱臭装置において油脂と水蒸気とを接触させる方法(特許文献3)が挙げられる。
特開2011−074358号公報 日本特許第5216942号明細書 特開2013−112761号公報
上記の方法により、油脂中の3−MCPD及びその脂肪酸エステルの含有量は低減できるものの、得られる最終製品である精製油脂中において一定範囲の含有量となることはほぼなく、原料ロットごとに含有量にバラツキがある。精製油脂中の3−MCPD及びその脂肪酸エステルの含有量を一定範囲に揃えるためには、ロットごとに精製油脂中の3−MCPD及びその脂肪酸エステルの含有量を測定し、異なるロットから得られた精製油脂をブレンド等することで含有量を調整する必要がある。
精製された油脂中の3−MCPD及びその脂肪酸エステルの含有量は、アメリカ油化学会公定法(AOCS Official Methods Cd 29c−13)等に基づき特定されるが、この方法によれば、油脂中の3−MCPD及びその脂肪酸エステルの含有量を求めることはできるものの、精製前又は精製途中の段階において、最終製品である精製油脂中の含有量を予測する方法としては有益ではなかった。
精製が完了する前に精製油脂中の3−MCPD及びその脂肪酸エステルの含有量を正確に予測できれば、得られた精製油脂の詳細な分析が不要となるので、異なる原料ロットから得られた精製油脂であっても、3−MCPD及びその脂肪酸エステルの含有量ごとに同一のタンクに導入できる。これにより、タンク数を減少させることができるので、より効率的に精製油脂を製造することが可能となる。また、精製前又は精製途中において、精製油脂中の3−MCPD及びその脂肪酸エステルの含有量を予測できると、その後の精製条件をコントロールし、3−MCPD及びその脂肪酸エステルの含有量が所望の範囲である精製油脂を得やすくなる。
上記の事情を踏まえ、精製前又は精製途中の油脂を分析することで、精製油脂中の3−MCPD及びその脂肪酸エステルの含有量を正確かつ簡便に予測できる方法が求められていた。特に、3−MCPD及びその脂肪酸エステルは、精製の最終段階で行われる、加熱を要する工程(脱臭工程等)において油脂中に生成する可能性が高いため、加熱前の油脂において、加熱後の該油脂中の3−MCPD及びその脂肪酸エステルの含有量を正確に予測できる方法が求められていた。
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、加熱前の油脂において、加熱後の該油脂中の3−MCPD及びその脂肪酸エステルの含有量を正確に予測できる方法、及び該方法に基づく、3−MCPD及びその脂肪酸エステルの含有量が低減された精製油脂の製造方法を提供することを目的とする。
本発明者は、180℃以上の加熱処理を経ていない原料油脂に対して、アルカリ脱酸工程、及び、水又は酸による脱ガム工程からなる群から選択される1種以上を行うことで得られた処理済み油脂について、その総塩素量に基づき、該処理済み油脂を180℃以上で加熱した場合に該油脂中に含まれる3−MCPD及びその脂肪酸エステルの量を正確に予測できることを見出し、本発明を完成するに至った。具体的には、本発明は下記のものを提供する。
(1) 180℃以上の加熱処理を経ていない原料油脂に対して、アルカリ脱酸工程、及び、水又は酸による脱ガム工程からなる群から選択される1種以上を行い、処理済み油脂を得る処理工程と、
前記処理済み油脂中の総塩素量を測定し、前記処理済み油脂を180℃以上で加熱処理した場合に油脂中に含まれる3−クロロプロパン−1,2−ジオール及びその脂肪酸エステルの量の予測値を得る予測工程と、
前記予測値が所定の値以下である処理済み油脂を選別する選別工程と、
を含む精製油脂の製造方法。
(2) 前記予測工程後かつ前記選別工程の前に、前記処理済み油脂を180℃以上で加熱処理する加熱工程を含む、(1)に記載の精製油脂の製造方法。
(3) 前記脱ガム工程は、水による脱ガム工程である、(1)又は(2)に記載の精製油脂の製造方法。
(4) 前記処理工程において、アルカリ脱酸工程、及び、酸による脱ガム工程をこの順序で行う、(1)から(3)のいずれかに記載の精製油脂の製造方法。
(5) 前記原料油脂は粗パーム油である、(1)から(4)のいずれかに記載の精製油脂の製造方法。
(6) 前記所定の値は、1ppmである、(1)から(5)のいずれかに記載の精製油脂の製造方法。
(7) 前記加熱処理が脱臭工程である、(1)から(6)のいずれかに記載の精製油脂の製造方法。
(8) 180℃以上の加熱処理を経ていない原料油脂に対して、アルカリ脱酸工程、及び、水又は酸による脱ガム工程からなる群から選択される1種以上の工程を行い、得られた処理済み油脂中の総塩素量を測定することで、前記処理済み油脂を180℃以上で加熱処理した場合に油脂中に含まれる3−クロロプロパン−1,2−ジオール及びその脂肪酸エステルの量を予測することを特徴とする精製油脂の製造管理方法。
本発明によれば、加熱前の油脂において、加熱後の該油脂中の3−MCPD及びその脂肪酸エステルの含有量を正確に予測できる方法、及び該方法に基づく、3−MCPD及びその脂肪酸エステルの含有量が低減された精製油脂の製造方法が提供される。
以下、本発明の実施形態について説明するが、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。なお、本発明における「油脂」とは、グリセリンと、1〜3個の脂肪酸とがエステル結合したグリセリドを含む物質であり、油脂の主要成分であるトリグリセリド(トリアシルグリセロール)のほか、ジグリセリド(ジアシルグリセロール)及びモノグリセリド(モノアシルグリセロール)を含みうる。また、本発明における油脂には、原料油脂由来のグリセリド以外の成分(例えば、植物ステロール、レシチン、抗酸化成分、色素成分等)が含まれてもよいが、油脂を構成する成分のうち95質量%以上はグリセリドであることが好ましい。
[本発明の精製油脂の製造方法]
本発明の精製油脂の製造方法(以下、「本発明の製造方法」ともいう。)は、所定の処理工程、予測工程、及び選別工程を少なくとも含む。本発明は、下記処理工程を経た処理済み油脂について、該処理済み油脂を180℃以上で加熱処理した場合に油脂中に含まれる3−MCPD及びその脂肪酸エステルの量を正確に予測できる点に特徴がある。なお、「処理済み油脂を180℃以上で加熱処理した場合に油脂中に含まれる3−MCPD及びその脂肪酸エステルの量」を、「加熱後の3−MCPD等の量」ともいう。以下、各工程について説明する。
(処理済み油脂)
本発明における処理済み油脂は、180℃以上の加熱処理を経ていない原料油脂に対して、アルカリ脱酸工程、及び、水又は酸による脱ガム工程からなる群から選択される1種以上を行い、処理済み油脂を得る処理工程を経た油脂である。なお、本発明において、「原料油脂」とは、本発明における処理工程に供される油脂を指し、「精製油脂」とは、180℃以上で油脂を加熱処理する加熱工程を経た油脂(例えば、脱臭油)を指し、「処理工程」とは、アルカリ脱酸工程、及び、水又は酸による脱ガム工程からなる群から選択される1種以上の工程を指す。本発明によれば、180℃以上の加熱処理を経ていない原料油脂、例えば、精製の最終段階を経ていない油脂について、最終精製後の油脂中の3−MCPD及びその脂肪酸エステルの含有量を予測できる。なお、「精製の最終段階」とは、油脂の加熱を要する工程(脱臭工程等)を含む段階を指す。したがって、「加熱処理」とは脱臭工程であり得る。また、「180℃以上の加熱処理」とは、180℃で合計30分以上加熱する工程であり得る。
〔原料油脂〕
本発明における原料油脂としては、180℃以上の加熱処理を経ていない油脂であれば特に限定されない。通常、油脂が高温下(例えば、180℃以上)の加熱処理にさらされると、油脂中に3−MCPD及びその脂肪酸エステルが生成し始めてしまう。そのため、このような加熱処理に供されていない原料油脂を使用することで、加熱処理後の油脂中の3−MCPD及びその脂肪酸エステルの含有量を正確に予測できる。
原料油脂としては、脱酸工程、脱ガム工程等の精製工程に一切供されていない未精製の油脂(例えば、粗パーム油等の粗油)が好ましい。原料油脂としては植物油等を使用でき、特に限定されないが、パーム油、パーム核油、ヤシ油、大豆油、菜種油、亜麻仁油、ひまわり油、綿実油、ベニバナ油、ゴマ油、トウモロコシ油、米油、落花生油、オリーブ油及びこれらの組み合わせ等を使用できる。
原料油脂には、本発明の効果を阻害しない範囲で、抗酸化物質、乳化剤等の添加剤等が含まれていてもよい。
〔脱ガム工程〕
脱ガム工程の条件は、水又は酸を使用するものであれば特に限定されず、通常の精製油脂の製造方法で使用される条件であってもよい。例えば、水又は酸性物質(リン酸水溶液、クエン酸等の有機酸水溶液等)を、原料油脂に、対油脂0.01〜0.20質量%加えてもよい。次いで、70〜100℃の温度条件下で、1分間〜30分間撹拌し、その後、適宜静置又は遠心分離することによって油脂中の不純物(リン脂質、ガム質等)を除去することにより、脱ガム工程を経た処理済み油脂が得られる。また、必要に応じて、不純物を除去した後に、添加した酸性物質を除去するために水洗を行ってもよい。
脱ガム工程としては、水による脱ガム工程を行うことが、加熱後の3−MCPD等の量をより正確に予測しやすい点で好ましい。その理由は、水によって、3−MCPDの生成にあまり関与しない水溶性の塩素を油脂から除去できるためであると推察される。
〔アルカリ脱酸工程〕
アルカリ脱酸工程の条件としては、特に限定されず、従来公知の条件を適用できる。例えば、アルカリ溶液(水酸化ナトリウム水溶液、炭酸ナトリウム水溶液、水酸化カリウム水溶液、炭酸カリウム水溶液等)を、原料油脂に、油脂の酸価に対して50〜150モル%加えてもよく、好ましくは100〜150モル%加えてもよい。アルカリ脱酸工程は、アルカリ溶液添加後、30〜95℃の温度条件下で、1分間〜30分間撹拌し、その後、遠心分離でアルカリ相を除去することによって行ってもよい。アルカリ相を除去した後、油脂を水洗してもよい。上記工程後、アルカリ脱酸工程を経た処理済み油脂が得られる。なお、添加するアルカリ溶液中のアルカリ性物質の濃度は、ボーメ度10〜30であってもよい。
処理済み油脂は、アルカリ脱酸工程及び脱ガム工程のうちいずれかのみを行って得られたものでもよいが、両方行って得られたものでもよい。処理済み油脂が、アルカリ脱酸工程及び脱ガム工程の両方を行って得られたものである場合、工程の順序は特に限定されない。一般的には、脱ガム工程、アルカリ脱酸工程の順に行われることが多いが、アルカリ脱酸工程、脱ガム工程の順序で行うことが、加熱後の3−MCPD等の量をより正確に予測しやすい点で好ましい。特に、脱ガム工程が酸による脱ガム工程である場合は、アルカリ脱酸工程、及び、酸による脱ガム工程の順序で行うと、加熱後の3−MCPD等の量の予測精度が高まりやすい。その理由は、油脂を早い段階で酸性条件にさらすと、180℃未満での加熱処理においても3−MCPD等が生成しやすくなる結果、加熱後の3−MCPD等の量の予測値と実測値との誤差が若干大きくなるところ、酸による脱ガム工程の前にアルカリ脱酸工程を行うことで、かかる誤差を小さくできるためであると推察される。
処理済み油脂が、アルカリ脱酸工程及び脱ガム工程の両方を行って得られたものである場合、これらの工程の間に、水洗等の工程(ただし、180℃以上の加熱を行わない工程)が含まれていてもよい。
アルカリ脱酸工程、及び、水又は酸による脱ガム工程からなる群から選択される1種以上の工程を経た処理済み油脂は、そのまま予測工程に供してもよいが、脱色等の別工程(ただし、180℃以上の加熱を行わない工程)に供した後に予測工程に供してもよい。
(予測工程)
本発明における予測工程は、処理工程によって得られた処理済み油脂の総塩素量を測定し、該処理済み油脂を180℃以上で加熱処理した場合に油脂中に含まれる3−MCPD及びその脂肪酸エステルの含有量を予測する工程である。予測工程により、油脂の精製の最終段階の前に、最終精製後の油脂中の3−MCPD及びその脂肪酸エステルの含有量を把握することができる。
本発明において、「総塩素量」とは、遊離塩素と結合塩素(有機塩素及び無機塩素)の合計量を指し、市販の塩素分析装置によって特定できる。
本発明者の検討の結果、アルカリ脱酸工程、及び、水又は酸による脱ガム工程を経た処理済み油脂中の総塩素量は、加熱後の3−MCPD等の量と相関することが見出された。したがって、処理済み油脂中の総塩素量が多ければ、加熱後の3−MCPD等の量も多いと予測できる。なお、上記のような相関は、アルカリ脱酸工程や脱ガム工程等の処理工程に一切供されていない未精製の油脂中の総塩素量においては見出されなかった。この理由は、処理工程によって生じる有機塩素と無機塩素との構成比の変化や、処理工程の有無による、有機塩素及び無機塩素が3−MCPDへ変換される割合の違いにあると推察される。
処理済み油脂中の総塩素量と、加熱後の3−MCPD等の量との相関は、例えば、下式によって表される。なお、3−MCPDの分子量は110.5であり、塩素の原子量は35.5である。
(加熱後の3−MCPD等の量)=(総塩素量)×(3−MCPDの分子量)÷(塩素の原子量)×F
=(総塩素量)×3.1×F
F:係数
さらに、本発明者の検討の結果、上記総塩素量だけではなく、アルカリ脱酸工程及び/又は脱ガム工程後に行われる180℃以上の加熱を要する工程(以下、アルカリ脱酸工程及び/又は脱ガム工程後に行われる加熱を要する工程を、「加熱工程」ともいう。)の温度条件、アルカリ脱酸工程の有無、酸による脱ガム工程の有無が、加熱後の3−MCPD等の量と相関することが見出された。これらの要素を加味することで、加熱後の3−MCPD等の量をより正確に予測することが可能となる。なお、「180℃以上の加熱工程」は、例えば脱臭工程であり得る。
具体的には、加熱工程の温度条件が180℃以上であると、温度にほぼ比例して加熱後の3−MCPD等の量が増加する。処理工程においてアルカリ脱酸工程を行うと、加熱後の3−MCPD等の量が低下する。処理工程において酸による脱ガム工程を行うと、加熱後の3−MCPD等の量が増加する。これらの知見を踏まえると、加熱後の3−MCPD等の量は、例えば、下記の算出式によって予測できる。
〔加熱後の3−MCPD等の量の予測値の算出式〕
(加熱後の3−MCPD等の量の予測値(ppm))=(総塩素量(ppm))×t×a×b×c
t:加熱工程の温度(℃:ただし、180℃以上)
a:酸係数(酸による脱ガム工程を実施した場合a=1.5(ただし、酸による脱ガム工程を実施する前にアルカリ脱酸を実施した場合はa=3.0とする)、酸による脱ガム工程を実施しない場合a=1.0)
b:アルカリ係数(アルカリ脱酸工程を実施しない場合b=1.0、アルカリ脱酸工程を実施する場合b=0.5)
c:0.0045(複数の実験データに基づいて特定した係数である。)
また、例えば下記のように上記算出式を変形させることで、最終製品である精製油脂中の3−MCPD等の含有量をコントロールするための、加熱工程(脱臭工程等)の上限温度を求めることができる。
t=(加熱後の3−MCPD等の量(ppm))÷(総塩素量(ppm)×a×b×c)
t:加熱工程の温度(℃:ただし、180℃以上)
a:酸係数(酸による脱ガム工程を実施した場合a=1.5(ただし、酸による脱ガム工程を実施する前にアルカリ脱酸を実施した場合はa=3.0とする)、酸による脱ガム工程を実施しない場合a=1.0)
b:アルカリ係数(アルカリ脱酸工程を実施しない場合b=1.0、アルカリ脱酸工程を実施する場合b=0.5)
c:0.0045(複数の実験データに基づいて特定した係数である。)
(選別工程)
本発明における選別工程は、予測工程において、加熱後の3−MCPD等の量の予測値が所定の値以下である処理済み油脂を選別する工程である。本発明においては、加熱後の3−MCPD等の量の予測値が低い処理済み油脂を選別することで、3−MCPD及びその脂肪酸エステルの含有量が低い精製油脂を効率的に製造できる。
選別工程における処理済み油脂の選別は、予測工程において特定した予測値が所定の値以下である油脂を選別することで実施できる。なお、「所定の値」とは、油脂を選別するための、油脂中の3−MCPD及びその脂肪酸エステルの含有量に関する基準値であり、適宜設定される値である。「所定の値」は、通常は低い値であるほど好ましく、例えば、1ppmであってもよい。
予測値が所定の値よりも高い値である処理済み油脂は、再度処理工程に供した後、油脂中の総塩素量を低減させ、再度選別工程に供することができる。このような工程により、予測値が所定の値よりも高い値である処理済み油脂であっても、所定の値以下に調整できる。さらに、予測値が所定の値よりも高い値である処理済み油脂は、予測値が低い値の処理済み油脂とブレンドしたり、最終精製後に、3−MCPD等の量が十分低い油脂とブレンドしたりすることで、3−MCPD等の量が低い油脂として調製できる。
予測工程後かつ選別工程の前に、処理済み油脂を180℃以上で加熱処理する加熱工程を行ってもよい。かかる加熱工程により、最終製品である精製油脂そのものか、又は最終製品に近い精製油脂が得られる。そのため、該加熱工程を行う場合、選別工程に供される処理済み油脂は精製油脂に相当する。
選別工程において選別された油脂は、その後、脱色工程、脱臭工程、分別工程、ブレンド等の各種工程に供することができる。これらの各種工程の順序は特に限定されないが、脱臭工程は、通常、精製の最終段階において行われる。脱臭工程は、油脂中に3−MCPD及びその脂肪酸エステルを生成させやすい工程として知られるが、本発明によれば、脱臭工程の前に、脱臭工程後の精製油脂中の3−MCPD及びその脂肪酸エステルの含有量を把握することができる。
脱色工程の条件は特に限定されず、通常の精製油脂の製造方法で使用される条件であってもよい。例えば、油脂に白土(酸性白土、活性白土、アルカリ白土、中性白土等)を対油脂0.2〜3.0質量%加えて、減圧下、80〜150℃で5〜60分間、加熱させることで行ってもよい。また、ろ過器やカラムの中に白土を充填し、油脂を通液させてもよい。脱色工程の後、ろ過等により白土を油脂から除去することで、脱色工程を経た油脂を得ることができる。また、必要に応じて、白土とともに活性炭を用いることができる。
脱臭工程の条件は特に限定されず、通常の精製油脂の製造方法で使用される条件であってもよい。例えば、減圧下(例えば、150〜700Pa)、180〜270℃で30〜180分間、油脂と水蒸気とを接触させることで行ってもよい。脱臭時間は、連続していてもよく、不連続であってもよい。
分別工程における油脂の分別方法は特に限定されず、油脂を分別するために通常使用される分別方法を適用できる。具体的な分別方法としては、自然分別法、溶剤分別法、界面活性剤分別法等が挙げられる。
[精製油脂中の3−MCPD及びその脂肪酸エステルの含有量の特定]
本発明の製造方法によれば、加熱前の処理済み油脂において、加熱後の3−MCPD等の量を予測できるので、3−MCPD及びその脂肪酸エステルの含有量が低減された精製油脂を効率的に得ることができる。油脂中の3−MCPD及びその脂肪酸エステルの実際の含有量は実施例に記載された方法(AOCS公定法)で特定できる。
[精製油脂の製造管理方法]
本発明における予測工程によれば、精製の最終段階(脱臭工程等)よりも前に、最終精製後の油脂中の3−MCPD及びその脂肪酸エステルの含有量を予測できる。したがって、本発明における予測工程を含む方法は、3−MCPD及びその脂肪酸エステルの含有量が低減された精製油脂を得るための製造管理方法として好適である。
以下、実施例を示し、本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
[アルカリ脱酸工程及び脱ガム工程が加熱後の3−MCPD等の量に及ぼす影響]
本発明者は、加熱工程前に実施するアルカリ脱酸工程及び脱ガム工程が、加熱後の3−MCPD等の量に及ぼす影響を下記のとおり検討した。
180℃以上の加熱処理を経ていない粗パーム油に対して、表1に示す7とおりの条件で、アルカリ脱酸工程及び/又は脱ガム工程、並びに加熱工程をこの順序で行った。各工程の詳細な条件は下記のとおりである。
(アルカリ脱酸工程)
アルカリ溶液として11質量%水酸化ナトリウム水溶液、又は8.0質量%炭酸水素ナトリウム水溶液を使用した。添加量はパーム油の酸価に対して10.0モル%、又は110モル%である。粗パーム油(酸価7.0)を、アルカリ溶液が水酸化ナトリウムである場合は80℃に加熱しながら、アルカリ溶液が炭酸水素ナトリウムである場合は60℃の温度に加熱しながら、アルカリ溶液を添加し、20分間撹拌した。次いで、遠心分離を行い、上清を熱水で中性となるまで洗浄し、アルカリ脱酸工程を経たパーム油を得た。
(脱ガム工程)
粗パーム油(試験1乃至4)又はアルカリ脱酸工程を経たパーム油(試験5乃至7)を、80℃で加熱しながら、リン酸又は水を添加し、20分間撹拌した。リン酸の添加量は対油脂0.05質量%又は対油脂0.5質量%である。水の添加量は、パーム油と同量である。次いで、遠心分離を行い、脱ガム工程を経たパーム油を得た。
(加熱工程)
粗パーム油(試験1)又は脱ガム工程を経たパーム油(試験2乃至7)を、それぞれ120℃、150℃、180℃、210℃、250℃にて1時間ずつ加熱した。
(加熱後の3−MCPD等の量の測定)
加熱工程において、各温度条件にて1時間加熱した後、温度条件ごとにパーム油を回収し、パーム油中の3−MCPD値(加熱後の3−MCPD等の量に相当)を、AOCS公定法Cd29c−13に従い、3−MCPD値として定量した。なお、「3−MCPD値」とは、3−MCPD及びその脂肪酸エステルの総量を3−MCPD遊離体量として定量した値を指す。得られた結果を表2に示す。表2の値の単位は、「ppm」である。
Figure 0006484040
Figure 0006484040
表2の「試験2」乃至「試験7」に示されるとおり、アルカリ脱酸工程及び/又は脱ガム工程を経たパーム油については、180℃以上の加熱条件下では、加熱温度にほぼ比例して3−MCPD値が増加した。
表2「試験3」と「試験5」との比較から理解されるとおり、アルカリ脱酸工程を行うと、3−MCPD値が低下した。
表2「試験2」と、「試験3」及び「試験4」との比較から理解されるとおり、リン酸による脱ガム工程を行うと、3−MCPD値が増加した。
以上の結果から、加熱工程の温度条件、アルカリ脱酸工程の有無、酸による脱ガム工程の有無が、加熱後の3−MCPD等の量と相関することが見出された。本発明者の検討の結果、アルカリ脱酸工程及び/又は脱ガム工程後の処理済み油脂中の総塩素量及び上記の要素を加味した下記「加熱後の3−MCPD等の量の予測値の算出式」に基づけば、加熱後の3−MCPD等の量を簡便かつ正確に予測できることが見出された。
(総塩素量の測定)
なお、本実施例において総塩素量は下記の方法で特定した。すなわち、塩素分析装置(商品名NSX−2100H:株式会社三菱化学アナリテック社製)を使用し、油脂を酸化分解及び電量測定することにより総塩素量を測定する。該装置は、油脂を燃焼させることで発生するHClを検出部に送る。検出部の硝酸銀溶液にHClが入り、塩化銀の沈殿が生じ、失われた銀イオンを補うために銀電極から銀イオンが溶出し、電子が発生する。該電子の量が総塩素量として特定される。
(加熱後の3−MCPD等の量の予測値の算出式)
(加熱後の3−MCPD等の量の予測値(ppm))=(総塩素量(ppm))×t×a×b×c
t:加熱工程の温度(℃:ただし、180℃以上)
a:酸係数(酸による脱ガム工程を実施した場合a=1.5(ただし、酸による脱ガム工程を実施する前にアルカリ脱酸を実施した場合はa=3.0とする)、酸による脱ガム工程を実施しない場合a=1.0)
b:アルカリ係数(アルカリ脱酸工程を実施しない場合b=1.0、アルカリ脱酸工程を実施する場合b=0.5)
c:0.0045(複数の実験データに基づいて特定した係数である。)
以下、上記の「加熱後の3−MCPD等の量の予測値の算出式」の妥当性を検討すべく、粗パーム油に対して各種処理を行い、各パーム油における、加熱後の3−MCPD等の量の予測値(以下、「3−MCPD予測値」ともいう。)、及び、加熱後の3−MCPD等の量の実測値(以下、「3−MCPD実測値」ともいう。)を特定し、これらの値の比較を行った。
[加熱後の3−MCPD等の量の予測値の算出式の妥当性の検討−1]
180℃以上の加熱処理を経ていない粗パーム油A(CPO−A)に対し、アルカリ脱酸工程及び/又は脱ガム工程を行い、総塩素量を上記の方法で特定し、加熱後の3−MCPD等の量の予測値の算出式に基づき、3−MCPD予測値を算出した。次いで、各パーム油に対して210℃又は250℃で60分加熱工程を行い、上記AOCS公定法に基づき3−MCPD実測値を求めた。得られた結果を表3に示す。
アルカリ脱酸工程及び脱ガム工程の条件は下記のとおりである。
アルカリ脱酸工程:CPO−Aの酸価を中和するのに必要なNaOHの110モル%量を、80℃に加熱したCPO−Aに加え、そのまま20分撹拌した。遠心分離によって水相を除去し、湯を加えて80℃で撹拌した後に再度水相を除去し、この操作を水相がアルカリ性を示さなくなるまで繰り返した。
水による脱ガム工程:パーム油に、パーム油と同量の湯を加え、80℃で20分撹拌した後、遠心分離によって油相(脱ガム油)を得た。
リン酸による脱ガム工程:対パーム油0.05質量%のリン酸を、80℃に加熱したパーム油に加え、そのまま20分撹拌後、遠心分離によって脱ガム油を得た。
Figure 0006484040
表3の各実施例に示されるとおり、アルカリ脱酸工程及び/又は脱ガム工程後の処理済み油脂においては、加熱工程前における油脂中の総塩素量と、加熱工程後の3−MCPD実測値とが相関していた。
表3の各実施例に示されるとおり、アルカリ脱酸工程及び/又は脱ガム工程後の処理済み油脂においては、加熱後の3−MCPD等の量の予測値の算出式に基づき、加熱後の3−MCPD等の量を正確に予測できた。加熱工程の温度が低い方が、予測精度が高い傾向にあった。脱ガム工程をリン酸ではなく水によって行うと、予測精度が特に高かった。また、該算出式を変形させることで、所望の3−MCPD等の量に調整できる加熱温度を求めることもできた。
[加熱後の3−MCPD等の量の予測値の算出式の妥当性の検討−2]
粗パーム油Aとは異なるロットの、180℃以上の加熱処理を経ていない粗パーム油B(CPO−B)に対し、アルカリ脱酸工程及び/又は脱ガム工程を行い、総塩素量を上記の方法で特定し、加熱後の3−MCPD等の量の予測値の算出式に基づき、3−MCPD予測値を算出した。次いで、各パーム油に対して210℃又は250℃で60分加熱工程を行い、上記AOCS公定法に基づき3−MCPD実測値を求めた。得られた結果を表4に示す。
アルカリ脱酸工程及び脱ガム工程の条件は下記のとおりである。
アルカリ脱酸工程:CPO−Bの酸価を中和するのに必要なNaOHの110モル%量を、80℃に加熱したCPO−Bに加え、そのまま20分撹拌した。遠心分離によって水相を除去し、湯を加えて80℃で撹拌した後に再度水相を除去し、この操作を水相がアルカリ性を示さなくなるまで繰り返した。
水による脱ガム工程:パーム油に、パーム油と同量の湯を加え、80℃で20分撹拌した後、遠心分離によって油相(脱ガム油)を得た。
リン酸による脱ガム工程:対パーム油0.05質量%のリン酸を、80℃に加熱したパーム油に加え、そのまま20分撹拌後、遠心分離によって脱ガム油を得た。
なお、表4中、「アルカリ脱酸工程−1」とは、脱ガム工程の前に実施したアルカリ脱酸工程を指し、「アルカリ脱酸工程−2」とは、脱ガム工程の後に実施したアルカリ脱酸工程を指す。
Figure 0006484040
表4の各実施例に示されるとおり、アルカリ脱酸工程及び/又は脱ガム工程後の処理済み油脂においては、加熱工程前における油脂中の総塩素量と、加熱工程後の3−MCPD実測値とが相関していた。
表4の各実施例に示されるとおり、アルカリ脱酸工程及び/又は脱ガム工程後の処理済み油脂においては、加熱後の3−MCPD等の量の予測値の算出式に基づき、加熱後の3−MCPD等の量を正確に予測できた。加熱工程の温度が低い方が、予測精度が高い傾向にあった。また、該算定式を変形させることで、所望の3−MCPD等の量に調整できる加熱温度を求めることもできた。
「B−1」と「B−2」との比較から理解されるとおり、脱ガム工程をリン酸ではなく水によって行うと、予測精度が特に高かった。ただし、「B−4」と「B−5」との比較から理解されるとおり、アルカリ脱酸工程及び脱ガム工程をこの順序で行うと、脱ガム工程がリン酸による脱ガム工程であっても予測精度が高かった。
[加熱後の3−MCPD等の量の予測値の算出式の妥当性の検討−3]
粗パーム油A及びBとは異なるロットの、180℃以上の加熱処理を経ていない粗パーム油Cを、4回分取し、各パーム油を60℃で0時間(C−1)、24時間(C−2)、48時間(C−3)、96時間(C−4)放置して酸化させた後、AOCS Official Method Cd 8b−90に基づき、各パーム油の過酸化物価(POV、単位:meq/kg)を測定した。さらに、80℃でパーム油と同量の水を加え、20分撹拌後、遠心分離によって脱ガム油を得た。得られた各パーム油の総塩素量を上記の方法で特定し、加熱後の3−MCPD等の量の予測値の算出式に基づき、3−MCPD予測値を算出した。次いで、各パーム油に対して250℃で60分加熱工程を行い、上記AOCS公定法に基づき3−MCPD実測値を求めた。得られた結果を表5に示す。
Figure 0006484040
表5の各実施例に示されるとおり、水による脱ガム工程を行った油脂においては、加熱工程前における油脂中の総塩素量と、加熱工程後の3−MCPD実測値とが相関していた。
表5の各実施例に示されるとおり、水による脱ガム工程を行った油脂においては、加熱後の3−MCPD等の量の予測値の算出式に基づき、加熱後の3−MCPD等の量を正確に予測できた。
通常、過酸化物価が高いと、油脂中の3−MCPD及びその脂肪酸エステルの含有量も増加すると考えられているが、本発明によれば、過酸化物価の値に関わらず、油脂中の3−MCPD及びその脂肪酸エステルの含有量を正確に予測できた。

Claims (10)

  1. 180℃以上の加熱処理を経ていない原料油脂に対して、アルカリ脱酸工程、及び、水又は酸による脱ガム工程からなる群から選択される1種以上を行い、処理済み油脂を得る処理工程と、
    前記処理済み油脂中の総塩素量を測定し、前記処理済み油脂を180℃以上で加熱処理した場合に油脂中に含まれる3−クロロプロパン−1,2−ジオール及びその脂肪酸エステルの量の予測値を得る予測工程と、
    前記予測値が所定の値以下である処理済み油脂を選別する選別工程と、
    を含む精製油脂の製造方法。
  2. 前記予測工程において、下記算出式1又は算出式2を用いて前記予測値を得る、請求項1に記載の精製油脂の製造方法。
    [算出式1]
    (加熱後の3−クロロプロパン−1,2−ジオール及びその脂肪酸エステルの量の予測値(ppm))=(総塩素量(ppm))×3.1×F
    F:係数
    [算出式2]
    (加熱後の3−クロロプロパン−1,2−ジオール及びその脂肪酸エステルの量の予測値(ppm))=(総塩素量(ppm))×t×a×b×c
    t:加熱工程の温度(℃:ただし、180℃以上)
    a:酸係数(酸による脱ガム工程の実施の有無に応じた係数)
    b:アルカリ係数(アルカリ脱酸工程の実施の有無に応じた係数)
    c:複数の実験データに基づいて特定した係数
  3. 前記予測工程後かつ前記選別工程の前に、前記処理済み油脂を180℃以上で加熱処理する加熱工程を含む、請求項1又は2に記載の精製油脂の製造方法。
  4. 前記脱ガム工程は、水による脱ガム工程である、請求項1から3のいずれかに記載の精製油脂の製造方法。
  5. 前記処理工程において、アルカリ脱酸工程、及び、酸による脱ガム工程をこの順序で行う、請求項1からのいずれかに記載の精製油脂の製造方法。
  6. 前記原料油脂は粗パーム油である、請求項1からのいずれかに記載の精製油脂の製造方法。
  7. 前記所定の値は、1ppmである、請求項1からのいずれかに記載の精製油脂の製造方法。
  8. 前記加熱処理が脱臭工程である、請求項1からのいずれかに記載の精製油脂の製造方法。
  9. 180℃以上の加熱処理を経ていない原料油脂に対して、アルカリ脱酸工程、及び、水又は酸による脱ガム工程からなる群から選択される1種以上の工程を行い、得られた処理済み油脂中の総塩素量を測定することで、前記処理済み油脂を180℃以上で加熱処理した場合に油脂中に含まれる3−クロロプロパン−1,2−ジオール及びその脂肪酸エステルの量を予測することを特徴とする精製油脂の製造管理方法。
  10. 前記予測において、下記算出式1又は算出式2を用いて前記3−クロロプロパン−1,2−ジオール及びその脂肪酸エステルの量を予測する、請求項9に記載の精製油脂の製造管理方法。
    [算出式1]
    (加熱後の3−クロロプロパン−1,2−ジオール及びその脂肪酸エステルの量の予測値(ppm))=(総塩素量(ppm))×3.1×F
    F:係数
    [算出式2]
    (加熱後の3−クロロプロパン−1,2−ジオール及びその脂肪酸エステルの量の予測値(ppm))=(総塩素量(ppm))×t×a×b×c
    t:加熱工程の温度(℃:ただし、180℃以上)
    a:酸係数(酸による脱ガム工程の実施の有無に応じた係数)
    b:アルカリ係数(アルカリ脱酸工程の実施の有無に応じた係数)
    c:複数の実験データに基づいて特定した係数
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