JP2015186323A - 発電デバイス - Google Patents
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Abstract
Description
このような発電デバイスを無線スイッチに利用した例としては、スイッチの内部に、一方側と他方側に反転する形態に支持した永久磁石と、コイルとを配置し、スイッチを押す操作により永久磁石が反転する際に、コイルに鎖交する磁束が変化してコイルに発生する誘起電圧を利用してスイッチ用の無線素子を駆動する構成としたものがある(特許文献1)。
しかしながら、上記発電デバイスは永久磁石を反転させて誘起電圧を発生させる構成としたために、デバイスの構造が複雑になるという問題がある。
また、前記弾性支持体として板ばねを用いることにより、ガイド機構の構成を簡素化することができ、板ばねの材質等を選択することで、可動子の移動速度等を簡単に調節できる点で有効である。
また、前記可動子は、永久磁石と該永久磁石を支持するヨーク体とからなり、該ヨーク体は前記コイルの軸線方向に長手となる形状に設けることにより、コイルに鎖交する磁束をコイルに集中させ、コイルに発生する誘起電圧を大きくすることができる。
図1は本発明に係る発電デバイスの一実施形態の構成を示す斜視図である。本実施形態の発電デバイスは、永久磁石10に対してコイル20を永久磁石10の磁束が鎖交する配置に設け、永久磁石10をコイル20の側方に配置して、永久磁石10をコイル20の軸線方向(コイルの巻線の中心軸の方向)に往復動させることにより、コイル20に誘起電圧を発生させる構成としたものである。
コイル20は支持体30上に設けた収容凹部32に嵌入して固定する。板ばね14a、14bは、ヨーク体12がコイル20の軸線方向に可動となるように支持する。永久磁石10はヨーク体12の内面に取り付けた状態でコイル20の外面から離間する。永久磁石10とヨーク体12とは、コイル20に対して可動する可動子11を構成する。
永久磁石10を厚さ方向に着磁している理由は、可動子11をコイル20の軸線方向に往復動させた際に、コイル20に鎖交する磁束の向きが可動子11の動作に伴って反転し、コイル20に正負の電圧が誘起されるようにするためである。
ヨーク体12の両端部は、それぞれ先端部が支持体30向けてL字形に曲がる折曲部12a、12bとして形成される。板ばね14a、14bの一端部(上端部)は折曲部12a、12bの外側面にねじ止め固定され、板ばね14a、14bの他端部(基端部)は支持体30の外側面にねじ止め固定されて、支持体30にヨーク体12が支持される。
支持体30に支持されたコイル20の上半部の両側面に配置されているのは軟磁性材からなるストッパヨーク16a、16bである。ストッパヨーク16a、16bは、平板体に形成され、コイル20の側面に当接して支持体30に支持されている。コイル20は芯部にヨーク22を備え、ストッパヨーク16a、16bは、コイル20のヨーク22の端面に側面が接触する。
ストッパヨーク16a、16bを軟磁性材により形成することにより、コイル20に永久磁石10の磁束を集中させ、可動子11が往復動したときにコイル20に鎖交する磁束の変化率を大きくし、コイル20に誘起される電圧を大きくすることができる。
永久磁石10にはネオジウム系焼結磁石を使用し、ヨーク体12には構造用炭素鋼S45Cを使用した。板ばね14a、14bにはステンレス鋼材SUS301Hを使用した。
また、本実施形態の発電デバイスの基本仕様は、次の通りである。
コイル20の銅線径d=0.12(mm)、巻線数N=650(turn)、コイルの占積率ζ=0.39、コイルの直流抵抗Rdc=16.8(Ω)、可動子の質量m=1.91(g)、可動子のストロークs=4(mm)。可動子11の変位は、中央位置(中立位置)に対し±2mmである。
ばね定数Kは、静推力特性に基づいて求められる磁気ばね定数Kmsと機械ばね定数Ksから次の(1)式で表される。
K=Kms+Ks(N/m)・・・(1)
本実施形態の発電デバイスは、変位が大きくなるにしたがって推力が大きくなる発散系の磁気ばね特性を備える。減衰対数Cは、次式(2)を用いて算出する。対数減衰率λは板ばね14a、14bの実測値であるλ=0.032を用いた。
C=4mλ/Tlog10e=4mλ/(log10e×2π)×(K/m)1/2 (N・s/m)・・・(2)
誘起電圧eは、コイル20に鎖交する磁束の時間あたりの変化率と可動子の速度から次式(3)によって算出する。ψはコイル20に鎖交する磁束(Wb)、xは可動子の変位(m)、tは時間(s)である。
e=−dψ/dt=−(dψ/dx)×(dx/dt) (V)・・・(3)
図4に静推力と誘起電圧を測定する測定装置のブロック図を示す。測定装置は、可動子11の変位を計測するためのレーザ変位計40と、可動子11を手動操作するハンドル42aを備える操作部42と、可動子11に作用する推力を計測するロードセル44と、コイル20の誘起電圧を計測するためのディジタルオシロスコープ46とを備える。
レーザ変位計40はヨーク体12の一端側に配置して可動子11の変位を測定し、操作部42はヨーク体12の他端側に連繋して配置し、可動子11に操作力を作用させた。操作部42として、ねじ式の送り機構を使用した。
ディジタルオシロスコープ46に、コイル20の誘起電圧e、可動子11の変位x、可動子11に作用する推力F(ロードセル44の出力)を入力し、変位xにおける推力F、変位x、推力F、誘起電圧eについての時間特性等を測定した。
本実施形態の発電デバイスの静特性を調べるため、電磁界解析ソフトを用いて静磁界解析により永久磁石10とヨークによる吸引力を算出し、ばねの応力解析を行って板ばね14a、14bによる機械的な力を算出した。静磁界解析及び応力解析は三次元直交座標系での解析を行い、静磁界解析での要素数は約5万個、応力解析の要素数は約1万個である。
なお、永久磁石10とヨークとの吸引力は、永久磁石10とヨーク22との吸引力と、ストッパヨーク16a、16bを介して作用する吸引力の双方の作用による。
永久磁石10とヨーク22による推力Fmの大きさは、可動子11がストッパヨーク16a、16bに当接する最大変位位置(停止位置)の近傍で大きく変化している。
Fm+Fsのグラフを見ると、可動子11が中央位置を超えて正の方向に移動する際には正の推力が作用し、負の方向に移動する際には負の推力が作用している。したがって、本実施形態の発電デバイスは発散的な作用をなすこと、すなわち、可動子11は正方向と負方向でストッパヨーク16a、16bに当接した状態で安定的に停止する状態になり、外力の作用によって2つの停止位置間において交互に切り替わるように移動する動作をなすことがわかる。
前述した磁気ばね定数Kmsと機械ばね定数Ksは次式から求められる。
Kms=Fm/x (N/m) Ks=Fs/x (N/m)
(1)式のばね定数Kは、K=Kms+Ks=Fm/x + Fs/xであるから、ばね定数K=384(N/m)となる。
図8に、可動子11の変位位置xにおけるdψ/dxを算出した結果を示す。図7に示した鎖交磁束数−変位特性を6次の多項式で近似し、それを微分することにより図8のグラフを求めた。変位x=±2mmのとき、dψ/dxは、4.66(Wb/m)で最大値となった。
図9に変位−時間特性(実線)と、静推力−時間特性(破線)の実測値を示す。図9は、可動子を一方側(負側)から他方側(正側)へ押動するときに、初期状態では大きな推力Fを要し、時間経過とともに徐々に推力が小さくなること、可動子の動作についてみると、推力により可動子が一方側から他方側に徐々に変位していき、可動子が中央位置(0点位置)を超えると、一気に正側に変位することを示す。グラフは、変位x=0を超えると、直線的に起立し、短時間で変位x=1.94mmまで変化している。
可動子11の変位x=1.94 mmのときの速度の実測値と計算値を比較すると、速度の実測値は0.76 m/s、計算値は0.85 m/sである。速度の計算誤差は11%である。
誘起電圧eの実測値と計算値はそれぞれ、3.66Vと3.97Vであり、誘起電圧の計算誤差は8.7%であった。
出力端を開放したときの誘起電圧は3.66 Vであるが、本発電デバイスの内部インピーダンスと同等の負荷を接続した場合の出力電圧は3.66Vの半分程度になると考えられ、その場合の出力電圧は1.83Vとみなすことができる。
上記発電デバイスの実効的な出力電圧は2V程度であるが、この出力電圧は、たとえば無線スイッチ用の素子を駆動する電圧として十分に利用できる。したがって、無線スイッチに上記の発電デバイスを組み込み、スイッチ操作により無線素子を駆動することによって室内灯のON-OFFに利用するといったことが可能である。この無線スイッチは、スイッチ操作のみによって発電するから、電池等の電源が不要であり、スイッチ用の室内配線が不要になるという利点もある。もちろん、発電デバイスは無線スイッチに使用する他に種々の装置に使用することができる。
また、ヨーク体12に設けた折曲部12a、12bは、ストッパヨーク16a、16bとの組み合わせにより可動子11の移動範囲を規制するストッパ機構を構成する。可動子11の移動範囲を規制するストッパ機構は、上記実施形態の構成に限定されるものではない。たとえば、発電デバイスを収納する筐体自体に可動子11の移動範囲を規制するストッパを設けることも可能であり、ストッパの取り付け位置も適宜選択することができる。
なお、コイル20に誘起される電圧は永久磁石10の強さや、ヨーク体12等の各部の材質、可動子11のストローク長などの種々の仕様によって変動する。したがって、発電デバイスの大きさ等の制限や、必要とする出力電圧に応じて、使用する材料、各部材の寸法等を選択する必要がある。
しかしながら、可動子11がコイル20の軸線方向に沿って往復動するように支持するガイド機構は、板ばね14a、14bを用いる方法に限るものではない。たとえば、ボールベアリングを用いたガイド機構やスライドガイド等のガイド機構を利用して可動子11の移動方向をコイル20の軸線方向に平行にガイドすることも可能である。これらのガイド機構を利用する場合も、可動子11の移動範囲を規制するストッパ機構を設け、可動子11が安定支持される2つの停止位置間で可動子11が往復動するように設ければよい。
11 可動子
12 ヨーク体
12a、12b 折曲部
14a、14b 板ばね
16a、16b ストッパヨーク
20 コイル
22 ヨーク
30 支持体
40 レーザ変位計
42 操作部
44 ロードセル
46 ディジタルオシロスコープ
Claims (6)
- ヨークを備えるコイルと、
永久磁石を備える可動子と、
前記コイルの側方位置において、前記可動子の移動方向を前記コイルの軸線方向に沿うようにガイドするガイド機構と、
前記可動子の移動範囲を規制するストッパ機構とを備え、
前記永久磁石は、前記可動子を前記コイルの軸線方向に往復動させた際に、コイルに鎖交する磁束の向きが可動子の動作に伴い反転する向きに着磁され、
前記可動子には、前記移動範囲の中央位置から可動子が変位した際に可動子を中央位置に引き戻す付勢力が付与されていることを特徴とする発電デバイス。 - 前記ガイド機構は、前記可動子の移動方向を前記コイルの軸線方向に沿うようにガイドするとともに、前記可動子が前記移動範囲の中央位置から変位した際に、可動子を前記中央位置に引き戻す付勢力を付与する弾性支持体を備えることを特徴とする請求項1記載の発電デバイス。
- 前記弾性支持体として板ばねを用いることを特徴とする請求項2記載の発電デバイス。
- 前記永久磁石は、前記コイルの軸線方向に垂直となる方向に着磁されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項記載の発電デバイス。
- 前記可動子は、永久磁石と該永久磁石を支持するヨーク体とからなり、該ヨーク体は前記コイルの軸線方向に長手となる形状に設けられていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項記載の発電デバイス。
- 前記ストッパ機構は、
前記コイルの軸線方向の両端部に配されたストッパヨークと、
前記ヨーク体の両端部に、先端が前記コイルに向けいてL字形に折曲して設けられた折曲部とを備え、
前記可動子が移動した際に、前記ストッパヨークと前記折曲部とが相互に当接する配置に設けられていることを特徴とする請求項5記載の発電デバイス。
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