JP2015185525A - 燃料電池システム - Google Patents

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Kazuya Yamamoto
和矢 山本
康壮 松田
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康壮 松田
武史 仲野
Takeshi Nakano
武史 仲野
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Toru Sugitani
徹 杉谷
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Takashi Suzuki
孝 鈴木
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Hiroyuki Nishii
弘之 西井
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Abstract

【課題】燃料電池の出力の低下を抑制できる、燃料電池システムを提供する。【解決手段】燃料電池システム1は、燃料電池2、燃料供給路3、空気供給路4および加湿装置5を含んでいる。燃料電池2は、電解質膜22の一方面および他方面にそれぞれアノード23およびカソード24を接合してなる膜/電極接合体を備える。燃料供給路3は、アノード23に燃料を供給する。空気供給路4は、カソード24に空気を供給する。加湿装置5は、空気供給路4を通してカソード24に供給される空気をその相対湿度が20%以上かつ60%以下の範囲内となるように加湿する。【選択図】図1

Description

本発明は、燃料電池を含む燃料電池システムに関する。
燃料電池は、たとえば、電解質膜の両側にアノード(燃料極)およびカソード(酸素極)を貼り合わせて一体化した膜/電極接合体を備えている。アノードに燃料が供給されるとともに、カソードに空気が供給されると、発電反応が生じ、アノードとカソードとの間に起電力が発生する。
たとえば、水加ヒドラジンを燃料とする燃料電池では、アノードに水加ヒドラジンが供給され、カソードにエアが供給されると、アノードでは、反応式(1)で示される反応が生じ、カソードでは、反応式(2)で示される反応が生じる。
+4OH→N+4HO+4e ・・・(1)
+2HO+4e→4OH ・・・(2)
アノードで発生する電子がアノードからマイナス配線に流出し、プラス配線からアノードに電子が流れ込むことにより、アノードとカソードとの間に起電力が発生する。
特開2006−244961号公報
ところが、本願発明者らが燃料電池を連続して運転させる試験を行ったところ、時間の経過に伴って、燃料電池の出力電力(発電効率)が低下することが判った。
本発明の目的は、燃料電池の出力電力の低下を抑制できる、燃料電池システムを提供することである。
前記の目的を達成するため、本発明に係る燃料電池システムは、電解質膜の一方面および他方面にそれぞれアノードおよびカソードを接合してなる膜/電極接合体を備える燃料電池と、アノードに燃料を供給する燃料供給路と、カソードに空気を供給する空気供給路と、空気供給路を通してカソードに供給される空気を加湿する加湿装置とを含み、加湿装置は、カソードに供給される空気をその相対湿度が20%以上かつ60%以下の範囲内となるように加湿する。
本願発明者らは、燃料電池の連続運転時に、燃料電池の出力電力が時間の経過に伴って低下する原因を探求すべく、鋭意研究を重ね、カソードの乾燥がその原因であることを究明した。
カソードが乾燥するとカソードが劣化し、その結果、燃料電池の出力電力が低下すると考えられる。
また、カソードにおける反応には、前記の反応式(2)に示されるように、水(HO)が必要となる。カソードが乾燥すると、反応に必要な水が不十分となり、十分な反応が行われず、燃料電池の出力電力が低下すると考えられる。
そして、本願発明者らは、加湿装置を設けて、空気供給路を通してカソードに供給される空気を加湿する構成に想到した。カソードに供給される空気を加湿することにより、カソードの乾燥を防止することができる。その結果、カソードの劣化およびカソードの反応に必要な水の不足を抑制でき、燃料電池の出力電力の低下を抑制することができる。
カソードの乾燥を防ぎ、カソードの劣化およびカソードの反応に必要な水の不足を抑制するためには、相対湿度が20%以上であることが好ましい。
一方、カソード付近の相対湿度が大きくなりすぎると、カソードに水が過剰に存在するフラッディングが発生し、空気がカソード触媒に十分到達できないため、燃料電池の出力電力が低下する。フラッディングの発生を抑制するためには、相対湿度が60%以下であることが好ましい。
したがって、カソードに供給される空気は、その相対湿度が20%以上かつ60%以下の範囲内となるように加湿されることが好ましい。
本発明によれば、燃料電池のカソードの乾燥を抑制することができる。その結果、燃料電池の出力電力の低下を抑制することができる。
本発明の一実施形態に係る燃料電池システムの構成図である。 IV測定およびインピーダンス測定のための試験における燃料電池の端子間電圧の変化を示すグラフである。 相対湿度が0%である空気を燃料電池のカソードに供給したときの出力密度、OCV、電解質抵抗および反応抵抗の各測定値を示す表である。 空気の相対湿度が30%である空気を燃料電池のカソードに供給したときの出力密度、OCV、電解質抵抗および反応抵抗の各測定値を示す表である。 空気の相対湿度が50%である空気を燃料電池のカソードに供給したときの出力密度、OCV、電解質抵抗および反応抵抗の各測定値を示す表である。 空気の相対湿度が100%である空気を燃料電池のカソードに供給したときの出力密度、OCV、電解質抵抗および反応抵抗の各測定値を示す表である。 図3〜6に示される出力密度の測定値の時間変化を示すグラフである。 図3〜6に示されるOCVの測定値の時間変化を示すグラフである。 図3〜6に示される電解質抵抗の測定値の時間変化を示すグラフである。 図3〜6に示される反応抵抗の測定値の時間変化を示すグラフである。
以下では、本発明の実施の形態について、添付図面を参照しつつ詳細に説明する。
<燃料電池システムの構成>
図1は、本発明の一実施形態に係る燃料電池システム1の構成図である。
燃料電池システム1は、たとえば、モータを走行用駆動源として搭載した車両(自動車)に搭載される。燃料電池システム1は、燃料電池2、燃料供給路3、空気供給路4および加湿装置5を含む。
燃料電池2は、所定数(たとえば、100〜200)のセルが一方向に積層された、いわゆるセルスタックを有している。このセルスタックは、セルの積層方向の両側から出力端子付の集電板によって挟まれ、さらにその両外側からエンドプレートに挟まれている。
各セルは、膜/電極接合体(MEA:Membrane Electrode Assembly)21、膜/電極接合体21の両側に配置されたセパレータ(図示せず)、および膜/電極接合体21と各セパレータとの間に介在されたガス拡散層(GDL:Gas Diffusion Layer)(図示せず)を備えている。膜/電極接合体21は、電解質膜22の両側にアノード(燃料極)23およびカソード(酸素極)24を貼り合わせて一体化したものである。電解質膜22は、たとえば、アニオン(OH)を透過させる性質を有する。各セルのアノード23は、集電板の一方と電気的に接続され、各セルのカソード24は、集電板の他方と電気的に接続されている。アノード23と電気的に接続された集電板には、負荷6を含む外部回路のマイナス配線7が接続され、カソードと電気的に接続された集電板の端子には、当該外部海路のプラス配線8が接続されている。
燃料供給路3は、セパレータにおけるアノード23と対向する面に形成された燃料流路と連通している。
空気供給路4は、セパレータにおけるカソード24と対向する面に形成された空気流路と連通している。
加湿装置5は、空気供給路4の途中部に介装されている。加湿装置5には、水を貯留可能な水タンクが備えられている。水タンクが所定の温度に加熱されることにより、水蒸気が発生し、その水蒸気が空気供給路4を流通する空気に混ざることにより、空気供給路4を流通する空気が加湿される。
たとえば、燃料供給路3から燃料電池2のアノード23に液体燃料である水加ヒドラジンが供給され、空気供給路4から燃料電池2のカソード24に空気が供給されると、燃料電池2において、前記の反応式(1),(2)で示される発電反応(電気化学反応)が生じ、その発電反応により、アノード23とカソード24との間に起電力が発生する。
<燃料電池の性能>
燃料電池2の性能は、主として、出力密度およびOCV(Open Circuit Voltage)で表される。
出力密度は、燃料電池2における電極の単位面積当たりの出力電力であり、その単位は、たとえば、「mW/cm」である。
OCVは、開回路電圧で、負荷が接続されていないときの燃料電池2の電圧であり、その単位は、たとえば、「V」である。
燃料電池2の内部抵抗は、燃料電池2の出力密度に影響する。燃料電池2の内部抵抗には、電解質抵抗および反応抵抗が含まれる。
電解質抵抗は、電解質膜のイオン導電性に起因する抵抗であり、その単位は、たとえば、「Ω・cm」である。
反応抵抗は、電極における触媒活性に起因する抵抗であり、その単位は、たとえば、「Ω・cm」である。
燃料電池2においては、電解質抵抗および反応抵抗を小さいほど、出力電力が増大する。
<IV測定およびインピーダンス測定>
図2は、IV測定およびインピーダンス測定のための試験における燃料電池2の端子間電圧の変化を示すグラフである。
カソード24に供給される空気の最適な湿度範囲を探索するために、空気供給路4を流通する空気の相対湿度を0%、30%、50%および100%に変化させて、各相対湿度における燃料電池2の出力密度、OCV、電解質抵抗および反応抵抗の測定値を取得する試験を行った。
具体的には、各相対湿度において、燃料電池システム1を連続運転させ、6時間ごとに、IV測定およびインピーダンス測定を行った。IV測定およびインピーダンス測定時以外の期間(6時間)においては、200mA/cmの定格電流を維持するように、負荷電流を制御した。
IV測定では、電子負荷装置を評価対象の燃料電池2のアノード23とカソード24との間に接続し、負荷電流を制御しながら、燃料電池2のアノード23とカソード24との間の電圧(以下、「端子間電圧」という。)を測定した。IV測定では、まず、負荷電流を0mA/cmに設定した。そして、端子間電圧が安定した後、端子間電圧が0.2Vに達するまで、負荷電流を増大させた。電圧が0.2Vに達すると、負荷電流を0mA/cmまで低下させた。これを1サイクルとし、これと同様の操作を3サイクル繰り返した。以下、このサイクルを順に、IV−1、IV−2、IV−3という。
出力密度の測定値には、IV−2の期間中において、出力電力(電流値と電圧値との積)が最大の値を使用する。
OCVの測定値には、IV−1とIV−2との間において負荷電流が0mA/cmである時点の電圧を使用する。
IV測定の後、負荷電流を200mA/cmに設定し、インピーダンス測定を行った。
インピーダンス測定では、燃料電池2を定負荷状態に保ち、異なる周波数の交流電流を負荷として重畳させ、その際の端子間電圧を測定した。横軸を実数部とし、縦軸を虚数部として、インピーダンスの測定値をグラフにプロット(Cole−Coleプロット)し、そのグラフから、電解質抵抗および反応抵抗を求めた。
図3は、空気供給路4を流通する空気の相対湿度が0%であるときの測定値を示す表である。図4は、空気供給路4を流通する空気の相対湿度が30%であるときの測定値を示す表である。図5は、空気供給路4を流通する空気の相対湿度が50%であるときの測定値を示す表である。図6は、空気供給路4を流通する空気の相対湿度が100%であるときの測定値を示す表である。
また、図7は、出力密度の測定値の時間変化を示すグラフである。図8は、OCVの測定値の時間変化を示すグラフである。図9は、電解質抵抗(R1)の測定値の時間変化を示すグラフである。図10は、反応抵抗(R2)の測定値の時間変化を示すグラフである。図7〜10に示される各グラフでは、縦軸に測定値がとられ、横軸に時間がとられている。
なお、空気供給路4を流通する空気の相対湿度が0%、30%および100%である場合の測定試験では、アノード23の材質がNiZnであり、カソード24に0.25重量%のアイオノマが添加され、カソード24のプレス圧力を3.25MPaとして作製された膜/電極接合体21を備える燃料電池2を使用した。また、空気供給路4を流通する空気の相対湿度が50%である場合の測定試験では、アノード23の材質がNiであり、カソード24に0.33重量%のアイオノマが添加され、カソード24のプレス圧力を13MPaとして作製された膜/電極接合体21を備える燃料電池2を使用した。
図7に示される出力密度のグラフにおいて、初期出力密度は、相対湿度が30%である場合が最も高く、相対湿度が0%および100%である場合がほぼ同じで最も低い。相対湿度が50%である場合の初期出力密度は、相対湿度が30%である場合の初期出力密度と相対湿度が0%および100%である場合の初期出力密度とのほぼ中間の値である。また、出力密度は、相対湿度にかかわらず、時間の経過とともにほぼ直線的に低下している。相対湿度が0%、30%および100%である場合のグラフの傾きは、ほぼ同じであり、相対湿度が50%である場合のグラフの傾きは、相対湿度が0%、30%および100%である場合のグラフの傾きと比較して緩やかである。
この結果から、出力密度に関しては、短時間の使用では、相対湿度が30%程度の空気がカソード24に供給されることが好ましく、長時間の使用では、相対湿度50%程度の空気がカソード24に供給されることが好ましいと言える。
相対湿度が0%である場合に好ましい測定結果が得られなかったのは、湿度が低いため、カソード24が乾燥により劣化し、発電効率が低下したこと、および、カソード24において反応に必要な水が不十分で、十分な反応が行われなかったことが原因であると考えられる。
また、相対湿度が100%である場合に好ましい測定結果が得られなかったのは、湿度が高いため、カソード24に水が過剰に存在するフラッディングが発生し、空気がカソード触媒に十分到達できなかったと考えられる。
図8に示されるOCVのグラフにおいて、初期OCVは、相対湿度が30%である場合が最も高く、相対湿度が0%および100%である場合がほぼ同じで最も低い。相対湿度が50%である場合の初期OCVは、相対湿度が30%である場合の初期OCVと相対湿度が0%および100%である場合の初期OCVとのほぼ中間の値である。また、相対湿度が0%である場合において、OCVは、燃料電池システム1の運転開始当初、急激に低下した後、ほぼ一定に保持されている。相対湿度が30%である場合において、OCVは、燃料電池システム1の運転開始当初、急激に低下し、その後、緩やかに低下した後、再び急激に低下している。相対湿度が50%である場合においては、OCVは、燃料電池システム1の運転開始当初、急激に低下し、その後、緩やかに上昇した後、ほぼ一定に保持されている。相対湿度が100%である場合においては、OCVは、燃料電池システム1の運転開始当初、急激に低下した後、ほぼ一定に保持され、再び急激に低下した後、ほぼ一定に保持されている。
この結果から、OCVに関しては、短時間の使用では、相対湿度30%程度が好ましく、長時間の使用では、相対湿度50%程度の空気がカソード24に供給されることが好ましいと言える。
図9に示される電解質抵抗のグラフにおいて、初期電解質抵抗は、相対湿度が50%および100%である場合がほぼ同じで最も低く、相対湿度が0%である場合が最も高い。相対湿度が30%である場合の初期電解質抵抗は、相対湿度が0%である場合の初期電解質抵抗と相対湿度が50%および100%である場合の初期電解質抵抗とのほぼ中間の値である。また、電解質抵抗は、相対湿度にかかわらず、時間の経過とともにほぼ直線的に上昇している。相対湿度が30%、50%および100%である場合のグラフの傾きは、ほぼ同じであり、相対湿度が0%である場合のグラフの傾きは、相対湿度が0%、50%および100%である場合と比較して急である。
この結果から、電解質抵抗に関しては、相対湿度50%以上の空気がカソード24に供給されることが好ましいと言える。
図10に示される反応抵抗のグラフにおいて、初期反応抵抗は、相対湿度が30%および100%である場合がほぼ同じで低く、相対湿度が0%および50%である場合がほぼ同じで高い。また、反応抵抗は、相対湿度にかかわらず、時間の経過とともにほぼ直線的に上昇している。相対湿度が0%、30%および50%である場合のグラフの傾きは、ほぼ同じで、相対湿度が100%である場合のグラフの傾きは、相対湿度が0%、30%および50%である場合と比較して急である。
この結果から、反応抵抗に関しては、相対湿度0%から50%程度の空気がカソード24に供給されることが好ましく、相対湿度30%程度の空気がカソード24に供給されることがより好ましいと言える。
電解質抵抗は、電解質膜22の劣化により上昇する。電解質膜22は、一度劣化すると元に戻らないため、電解質抵抗は、不可逆である。一方、反応抵抗は、一度上昇しても低下させることができる(可逆である)。そのため、電解質抵抗の上昇を抑制することを優先して、カソード24に供給される空気の適切な相対湿度を設定することが好ましい。
以上の結果を総合的に判断して、空気供給路4からカソード24に供給される空気の相対湿度は、20%以上かつ60%以下の範囲内であることが好ましく、30%以上かつ50%以下の範囲内であることがより好ましいと言える。
電解質抵抗の上昇を特に抑制したい場合には、空気供給路4からカソード24に供給される空気の相対湿度の好ましい範囲の上限を100%としてもよい。
<作用効果>
以上のように、カソード24に供給される空気を加湿することにより、カソード24の乾燥を防止することができる。その結果、カソード24の劣化およびカソード24の反応に必要な水の不足を抑制でき、燃料電池2の出力電力の低下を抑制することができる。
<変形例>
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は、他の形態で実施することもできる。
たとえば、空気供給路4からカソード24に供給される空気の相対湿度を検出するセンサが設けられて、カソード24に供給される空気の相対湿度が好適な範囲内に収まるように、加湿装置5がフィードバック制御されてもよい。
その他、前述の構成には、特許請求の範囲に記載された事項の範囲で種々の設計変更を施すことが可能である。
1 燃料電池システム
2 燃料電池
3 燃料供給路
4 空気供給路
5 加湿装置
21 膜/電極接合体
22 電解質膜
23 アノード
24 カソード

Claims (1)

  1. 電解質膜の一方面および他方面にそれぞれアノードおよびカソードを接合してなる膜/電極接合体を備える燃料電池と、
    前記アノードに燃料を供給する燃料供給路と、
    前記カソードに空気を供給する空気供給路と、
    前記空気供給路を通して前記カソードに供給される空気を加湿する加湿装置とを含み、
    前記加湿装置は、前記カソードに供給される空気をその相対湿度が20%以上かつ60%以下の範囲内となるように加湿する、燃料電池システム。
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