JP2015184632A - エレクトロクロミック素子及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明の課題は、応答速度、発色コントラスト及び耐久性に優れたエレクトロクロミック素子及びその製造方法を提供することである。
【解決手段】少なくとも、第1支持基板11、第1電極12及びエレクトロクロミック重合体を含有する多孔質半導体層13を有する第1電極構造体10と、少なくとも、第2支持基板22及び第2電極21を有する第2電極構造体20と、前記第1電極構造体10及び第2電極構造体20の間に挟持された電解質層2と、が備えられたエレクトロクロミック素子であって、前記エレクトロクロミック重合体が、前記多孔質半導体層13の細孔内部にあらかじめ導入された前駆体の重合反応により当該細孔内部で形成された重合体であることを特徴とする。
【選択図】図1

Description

本発明は、エレクトロクロミック素子及びその製造方法に関する。より詳しくは、応答速度、発色コントラスト及び耐久性に優れたエレクトロクロミック素子及びその製造方法に関する。
エレクトロクロミックとは、電圧を印加した際における、電界方向の違いによって可逆的に色(光吸収スペクトル)が変化する現象を指す。このようなエレクトロクロミックは、エレクトロクロミック材料によって引き起こされる。エレクトロクロミック材料とは、電気化学的酸化及び還元反応によって材料の光物性、特に光吸収スペクトルが可逆的に変化する物質である。
エレクトロクロミック材料は、このような特性を利用して、電圧によって光吸収スペクトルなどの光透過特性が変化するエレクトロクロミック素子に採用されている。エレクトロクロミック素子の応用例としては、スマートウィンドウや防眩ミラーのような調光装置や、電子ペーパーなどの表示装置を挙げることができる。
主なエレクトロクロミック材料としては、酸化タングステン、酸化バナジウム、酸化ニオブ及び酸化ニッケルなどの無機材料、ビオロゲン及びジメチルフェナジンなどの有機低分子材料並びにポリチオフェン、ポリピロール、ポリアニリン及びポリカルバゾールなどの有機高分子材料(エレクトロクロミック重合体)の三種類の材料を挙げることができる。
なお、有機高分子材料は、いずれもπ共役系高分子であり、いずれも高い電子伝導性を示すことが知られている。
上述の三種類の材料のうち、有機高分子材料は、無機材料に比べ塗布形成が可能な点で生産性に優れ、また、有機低分子材料と比較しても耐久性や低毒性といった点で優れている。
また、無機材料は、発色過程において、電気伝導度の低いイオン移動を伴う。このため、無機材料を採用したエレクトロクロミック素子には、応答速度が低いという問題がある。
しかし、有機高分子材料は、発色過程において、イオン移動を伴わず、電気伝導度の高い電子移動しか伴わない。このため、有機高分子材料を採用したエレクトロクロミック素子には、応答速度が高いという利点がある。
一方で、透明電極に有機高分子材料を直接塗布して形成すると、透明電極との接着強度に問題があり、耐久性の点で不安があった。
そこで、接着強度を上げるために、透明電極と有機高分子材料の間に細孔を有する多孔質半導体層を導入して、当該多孔質半導体層内部の細孔表面と、有機高分子材料との有効界面接触面積(細孔表面のうち、有機高分子材料で覆われている半導体の面積)を増大させるのが有効な手段として提案されている(例えば、特許文献1から特許文献6まで参照。)。加えて、上記有効界面接触面積の増大に伴い応答速度が更に増加することが予想される。
しかしながら、従来の多孔質半導体層と導電性高分子との複合体を形成する方法では、細孔の表面と導電性高分子との界面接触率が低いままで、耐久性の高さと応答速度の速さを両立するエレクトロクロミック素子は得ることができなかった。
特開昭58−38929号公報 特表平8−504968号公報 特開2009−192985号公報 特開2003−270670号公報 特開2007−10975号公報 国際公開第09/099185号
本発明は、前記問題・状況に鑑みてなされたものであり、その解決課題は、応答速度、発色コントラスト及び耐久性に優れたエレクトロクロミック素子及びその製造方法を提供することである。
本発明者は、前記課題を解決すべく、前記問題の原因等について検討する過程において、エレクトロクロミック重合体が、前記多孔質半導体層の細孔内部にあらかじめ導入された前駆体の重合反応により、当該細孔内部(in situ)に重合体を形成することで、応答速度、コントラスト及び耐久性に優れるエレクトロクロミック素子を提供できることを見いだし、本発明に至った。
すなわち、本発明に係る前記課題は、以下の手段により解決される。
1.少なくとも、第1支持基板、第1電極及びエレクトロクロミック重合体を含有する多孔質半導体層を有する第1電極構造体と、
少なくとも、第2支持基板及び第2電極を有する第2電極構造体と、
前記第1電極構造体及び前記第2電極構造体の間に挟持された電解質層と、
が備えられたエレクトロクロミック素子であって、
前記エレクトロクロミック重合体が、前記多孔質半導体層の細孔内部にあらかじめ導入された前駆体の重合反応により当該細孔内部(in situ)で形成された重合体であることを特徴とするエレクトロクロミック素子。
2.前記エレクトロクロミック重合体が、π共役系ポリマーを含有することを特徴とする第1項に記載のエレクトロクロミック素子。
3.前記エレクトロクロミック重合体が、ポリチオフェン、ポリピロール、ポリアニリン及びポリカルバゾールのうち少なくとも一種を含有することを特徴とする第1項又は第2項に記載のエレクトロクロミック素子。
4.前記エレクトロクロミック重合体が、少なくとも、3,4−ジオキシチオフェン誘導体の重合体を含有することを特徴とする第1項から第3項までのいずれか一項に記載のエレクトロクロミック素子。
5.前記エレクトロクロミック重合体が、前記前駆体の化学重合又は電解重合により形成されたことを特徴とする第1項から第4項までのいずれか一項に記載のエレクトロクロミック素子。
6.前記エレクトロクロミック重合体が、光化学反応を利用した重合反応により形成されたことを特徴とする第1項から第5項までのいずれか一項に記載のエレクトロクロミック素子。
7.前記多孔質半導体層が、半導体微粒子を含有し、
当該半導体微粒子の平均粒径が、10〜100nmの範囲内であることを特徴とする第1項から第6項までのいずれか一項に記載のエレクトロクロミック素子。
8.前記多孔質半導体層が、酸化チタン微粒子を含有することを特徴とする第1項から第7項までのいずれか一項に記載のエレクトロクロミック素子。
9.第1項から第8項までのいずれか一項に記載のエレクトロクロミック素子を製造するエレクトロクロミック素子の製造方法であって、
(A)前記多孔質半導体層を前記第1電極上に形成する工程と、
(B)前記前駆体を、前記多孔質半導体層の前記細孔内部に導入する工程と、
(C)前記前駆体を、前記多孔質半導体層の前記細孔内部に含有させた状態で、当該前駆体の重合反応を行うことで前記エレクトロクロミック重合体を形成する工程と、
を有することを特徴とするエレクトロクロミック素子の製造方法。
10.前記エレクトロクロミック重合体を、前記前駆体の化学重合又は電解重合により形成することを特徴とする第9項に記載のエレクトロクロミック素子の製造方法。
11.前記エレクトロクロミック重合体を、光化学反応を利用した重合反応により形成することを特徴とする第9項又は第10項に記載のエレクトロクロミック素子の製造方法。
12.前記多孔質半導体層に、可視光域の光を吸収する増感色素を導入する工程を更に有し、
前記工程(B)が、前記前駆体を、酸化剤の存在下で前記多孔質半導体層の前記細孔内部に導入する工程であり、
前記工程(C)が、前記増感色素に光を照射することによって前記前駆体の重合反応を行うことで前記重合体を形成する工程であること
を特徴とする第9項に記載のエレクトロクロミック素子の製造方法。
13.前記工程(C)の後に、前記増感色素を前記多孔質半導体層から除去する工程を更に有することを特徴とする第12項に記載のエレクトロクロミック素子の製造方法。
14.前記増感色素が、1個のカルボキシ基を有する化合物であることを特徴とする第12項又は第13項に記載のエレクトロクロミック素子の製造方法。
本発明の前記手段により、応答速度、発色コントラスト及び耐久性に優れたエレクトロクロミック素子及びその製造方法を提供することができる。
本発明の効果の発現機構ないし作用機構については、明確にはなっていないが、以下のように推察している。
本発明者は、多孔質半導体層と導電性高分子の複合体を用いたエレクトロクロミック(以下、「EC」ともいう。)素子において、耐久性の高さと応答速度の速さを両立する素子は得るには、多孔質半導体層の細孔内部にEC重合体を形成していることが必要であることを突き止めた。
そこで、EC重合体の前駆体を多孔質半導体層の細孔内部にあらかじめ導入し、当該前駆体を重合すれば、当該細孔内部でEC重合体に形成することができることを見いだし本発明に至った。
エレクトロクロミック素子の概略的な構成の一例を示す断面図
本発明のエレクトロクロミック素子は、少なくとも、第1支持基板、第1電極及びエレクトロクロミック重合体を含有する多孔質半導体層を有する第1電極構造体と、少なくとも、第2支持基板及び第2電極を有する第2電極構造体と、前記第1電極構造体及び第2電極構造体の間に挟持された電解質層と、が備えられたエレクトロクロミック素子であって、前記エレクトロクロミック重合体が、前記多孔質半導体層の細孔内部にあらかじめ導入された前駆体の重合反応により当該細孔内部(in situ)で形成された重合体であることを特徴とする。
この特徴は、請求項1から請求項14までの請求項に係る発明に共通する技術的特徴である。
本発明の実施態様としては、本発明の効果発現の観点から、EC重合体が、π共役系ポリマーを含有することが、EC素子として発色できるため、好ましい。
また、本発明においては、EC重合体が、ポリチオフェン、ポリピロール、ポリアニリン、ポリカルバゾールのうち少なくとも一種を含有することが、EC素子の応答速度が向上するため好ましい。これは、これらのEC重合体の電子伝導度が高いためであると推察する。
また、本発明においては、EC重合体が、少なくとも、3,4−ジオキシチオフェン誘導体の重合体を含有することが好ましい。当該重合体は、電子伝導度が特に高いため、EC素子の応答速度を向上できる。
また、本発明においては、EC重合体が、前記前駆体の化学重合又は電解重合により形成されたものであることが好ましい。
また、本発明においては、EC重合体が、エレクトロクロミック重合体が、光化学反応を利用した重合反応により形成されたことが好ましい。
また、本発明においては、多孔質半導体層が、半導体微粒子を含有し、当該半導体微粒子の平均粒径が、10〜100nmの範囲内であることが好ましい。これにより、応答速度をより向上させつつ、π共役系高分子の重合反応が途中で止まる懸念を回避できる。
また、本発明においては、多孔質半導体層が、酸化チタン微粒子を含有することが好ましい。これにより、酸化チタンの電荷輸送性能が高いのでより応答速度が向上する。さらには、光化学重合法で前記前駆体を重合する場合において、LUMO軌道に励起した電子が多孔質半導体層に注入しやすくなるので、重合媒体となる色素カチオンの生成率が高まり好ましい。
さらに、本発明のエレクトロクロミック素子の製造方法としては、前記工程(A)から工程(C)までの工程を有する態様の製造方法であることが、応答速度、コントラスト及び耐久性に優れるエレクトロクロミック素子を製造できるため好ましい。
また、本発明のエレクトロクロミック素子の製造方法においては、エレクトロクロミック重合体を、前記前駆体の化学重合、電解重合又は光化学反応を利用した重合反応により形成することが、好ましい。
また、本発明のエレクトロクロミック素子の製造方法においては、前記多孔質半導体層に、可視光域の光を吸収する増感色素を導入する工程を更に有し、前記工程(B)が、前記前駆体を、酸化剤の存在下で前記多孔質半導体層の前記細孔内部に導入する工程であり、前記工程(C)が、前記増感色素に光を照射することによって前記前駆体の重合反応を行うことで前記重合体を形成する工程であることが、好ましい。
これにより、多孔質半導体層表面とEC重合体との接触性が特に向上するため、応答速度に優れたEC素子の製造方法を得ることができる。
また、本発明のエレクトロクロミック素子の製造方法においては、工程(C)の後に、前記増感色素を前記多孔質半導体層から除去する工程を更に有することが好ましい。
これにより、増感色素の可視光吸収がバックグラウンド吸収として生じる懸念を回避でき、この結果、コントラストのより優れたEC素子を製造する方法を提供できる。
また、本発明のエレクトロクロミック素子の製造方法においては、増感色素が、1個のカルボキシ基を有する化合物であることが好ましい。このような増感色素は、多孔質半導体層表面と配位結合する構造となり、かつ、塩基存在下で除去しやすいため、ひいてはコントラストが向上したEC素子を製造する方法を提供できるため好ましい。
以下、本発明とその構成要素及び本発明を実施するための形態・態様について詳細な説明をする。なお、本願において、「〜」は、その前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む意味で使用する。
≪エレクトロクロミック素子の概要≫
本発明のエレクトロクロミック素子は、少なくとも、第1支持基板、第1電極及びエレクトロクロミック重合体を含有する多孔質半導体層を有する第1電極構造体と、少なくとも、第2支持基板及び第2電極を有する第2電極構造体と、前記第1電極構造体及び第2電極構造体の間に挟持された電解質層と、が備えられたエレクトロクロミック素子であって、前記エレクトロクロミック重合体が、前記多孔質半導体層の細孔内部にあらかじめ導入された前駆体の重合反応により当該細孔内部(in situ)で形成された重合体であることを特徴とする。
図1は、エレクトロクロミック素子の概略的な構成の一例を示す断面図である。
以下、本発明のエレクトロクロミック素子1の例について、図1を用いて説明する。
[第1電極構造体10]
本発明に係る第1電極構造体10は、少なくとも、第1支持基板11、第1電極12及びエレクトロクロミック重合体を含有する多孔質半導体層13を有する。
<第1支持基板11>
本発明に係る第1支持基板11及び第2支持基板22の少なくとも一つは透明基板であり、スマートウィンドウや防眩ミラーのような調光装置に応用する際には、双方ともに透明基板であることが好ましい。第1支持基板11の光透過率は、10%以上であることが好ましく、より好ましくは50%以上であり、特に80〜100%の範囲内であることが更に好ましい。
この光透過率とは、JIS K 7361−1:1997(ISO 13468−1:1996に対応)の「プラスチック−透明材料の全光線透過率の試験方法」に準拠した方法で測定した可視光波長領域における全光線透過率をいう。
当該第1支持基板11としては、その材料、形状、構造、硬度等については公知のものの中から適宜選択することができるが、上記の範囲内の光透過性を有していることが好ましい。
第1支持基板11としては、例えば、ガラス板、アクリル板等の剛性を有する基板や、フィルム基板のような可撓性を有する基板を使用することができる。
剛性を有する基板のうち、耐熱性の点でガラス板を、第1支持基板11として好ましく採用できる。第1支持基板11に採用できるガラスは、特に限定されず、公知のガラスを使用することができる。
上述の剛性を有する基板を第1支持基板11に採用した場合、当該第1支持基板11の厚さは、0.1〜100mmが好ましく、さらに0.5〜10mmであることが好ましい。
可撓性を有する基板としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート、変性ポリエステル等のポリエステル系樹脂フィルム、ポリエチレン(PE)樹脂フィルム、ポリプロピレン(PP)樹脂フィルム、ポリスチレン樹脂フィルム、環状オレフィン系樹脂等のポリオレフィン類樹脂フィルム、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン等のビニル系樹脂フィルム、ポリビニルブチラール(PVB)等のポリビニルアセタール樹脂フィルム、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)樹脂フィルム、ポリサルホン(PSF)樹脂フィルム、ポリエーテルサルホン(PES)樹脂フィルム、ポリカーボネート(PC)樹脂フィルム、ポリアミド樹脂フィルム、ポリイミド樹脂フィルム、アクリル樹脂フィルム、トリアセチルセルロース(TAC)樹脂フィルム等を挙げることができる。これらの樹脂フィルムの他に無機ガラスフィルムを第1支持基板11として用いてもよい。
上述の可撓性を有する基板を第1支持基板11に採用した場合、当該第1支持基板11の厚さは、1〜1000μmが好ましく、さらに10〜100μmであることが好ましい。
可視域の波長(400〜700nm)における透過率が80%以上である樹脂フィルムであれば、本願発明に係る第1支持基板11に特に好ましく適用することができる。
中でも透明性、耐熱性、取り扱いやすさ、強度及びコストの点から、二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム、二軸延伸ポリエチレンナフタレートフィルム、ポリエーテルサルホンフィルム、ポリカーボネートフィルムであることが好ましく、二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム、二軸延伸ポリエチレンナフタレートフィルムであることがより好ましい。
これらの第1支持基板11には、塗布液の濡れ性や接着性を確保するために、表面処理を施すことや易接着層を設けることができる。
表面処理や易接着層については従来公知の技術を使用できる。例えば、表面処理としては、コロナ放電処理、火炎処理、紫外線処理、高周波処理、グロー放電処理、活性プラズマ処理及びレーザー処理等の表面活性化処理を挙げることができる。
また、易接着層としては、ポリエステル、ポリアミド、ポリウレタン、ビニル系共重合体、ブタジエン系共重合体、アクリル系共重合体、ビニリデン系共重合体及びエポキシ系共重合体等を挙げることができる。
<第1電極12>
本発明に係る第1電極12は、第1支持基板11上に配置される。ここで、第1電極12及び後述の第2電極21は、それぞれ電極面同士が対向するように設けられる。第1電極12及び第2電極21はとしては、その光透過率が80%以上、さらに90%以上(上限:100%)のものが好ましく用いられる。光透過率は、上述の第1支持基板11と同様のものである。
第1電極12を形成する材料は、特に限定されず、公知の材料が使用できる。例えば、金属としては、白金、金、銀、銅、アルミニウム、ロジウム及びインジウム等の金属が挙げられ、好ましくは、銀が用いられる。
なお、第1電極12には、光透過性を持たせるために、グリッドパターニングされた膜が好ましく用いられ、更に好ましくは開口部を持つグリッドパターニングされた膜が用いられる。また、同様の理由から、上記金属からなる微粒子又はナノワイヤーを分散し塗布した膜も第1電極12に好ましく用いられる。
第1電極12を形成する材料としては、上記の他に、SnO、CdO、ZnO、CTO系(CdSnO、CdSnO、CdSnO)、In及びCdIn等の金属酸化物なども使用できる。また、第1電極12を形成する材料として、金属酸化物を使用する場合、上記の金属酸化物に、スズ(Sn)、アンチモン(Sb)、フッ素(F)及びアルミニウム(Al)から選ばれる一種又は二種以上を添加した複合(ドープ)材料が挙げられる。より好ましくは、SnをドープしたIn(ITO)、SbをドープしたSnO、FをドープしたSnO(FTO)等の導電性金属酸化物が好ましく用いられ、耐熱性の点からFTOが最も好ましい。第1電極12を形成する材料の第1支持基板11への塗布量は、特に限定されないが、第1支持基板1m当たり、1〜100g程度であることが好ましい。
なお、本発明に係る第1電極12は、第1支持基板11である透明基板の表面に設けられた透明導電性基板であることが好ましく、第1電極12が表面に形成された第1支持基板11を、ここでは透明導電性基板とも称する。
透明導電性基板の平均厚さとしては、特に限定されないが、0.1〜5mmの範囲が好ましい。また、透明導電性基板のシート抵抗値は、50Ω/□以下であることが好ましく、更に好ましくは、10Ω/□以下である。なお、透明導電性基板のシート抵抗値は、可能な限り低いことが好ましいため、特に下限を規定する必要はないが、0.01Ω/□以上であれば十分である。透明導電性基板の光透過率の好ましい範囲は、上記基板の光透過率の好ましい範囲と同様である。
<多孔質半導体層13>
本発明に係る多孔質半導体層13は、半導体を含有する多孔質の層である。また、多孔質半導体層13は、エレクトロクロミック重合体を含有する。
本発明に係る多孔質半導体層13に含有される化合物(半導体)としては、シリコン、ゲルマニウムのような単体、周期表(元素周期表ともいう。)の第3族〜第5族、第13族〜第15族系の元素を有する化合物、金属酸化物、金属硫化物、金属セレン化物又は金属窒化物等を使用することができる。
好ましい多孔質半導体層13に含有される化合物として、チタンの酸化物(酸化チタン)、スズの酸化物、亜鉛の酸化物、鉄の酸化物、タングステンの酸化物、ジルコニウムの酸化物、ハフニウムの酸化物、ストロンチウムの酸化物、インジウム、セリウム、イットリウム、ランタン、バナジウム、ニオブの酸化物又はタンタルの酸化物、カドミウムの硫化物、亜鉛の硫化物、鉛の硫化物、銀の硫化物、アンチモン又はビスマスの硫化物、カドミウム又は鉛のセレン化物、カドミウムのテルル化物等が挙げられる。また、他の化合物(半導体)としては亜鉛、ガリウム、インジウム、カドミウム等のリン化物、ガリウム−ヒ素又は銅−インジウムのセレン化物、銅−インジウムの硫化物、チタンの窒化物等が挙げられる。より詳細には、当該半導体の具体例としては、TiO、SnO、Fe、WO、ZnO、Nb、CdS、ZnS、PbS、Bi、CdSe、CdTe、GaP、InP、GaAs、CuInS、CuInSe、Ti等が挙げられる。中でも、TiO、ZnO、SnO、Fe、WO、Nb、CdS、PbSは好ましく用いられ、TiO又はNbはより好ましく用いられ、TiOがより更に好ましく用いられる。
上述した半導体は、単独で使用されてもよく、また、複数種類の半導体を併用して使用されてもよい。例えば、上述した金属酸化物若しくは金属硫化物の数種類を併用することもできるし、また、酸化チタンに20質量%の窒化チタン(Ti)を混合して使用してもよい。さらに、J.Chem.Soc.,Chem.Commun.,15(1999)記載の酸化亜鉛と酸化スズとの複合体としてもよい。このとき、半導体として金属酸化物若しくは金属硫化物以外に成分を加える場合、追加成分の金属酸化物若しくは金属硫化物に対する質量比率は30%以下であることが好ましい。
本発明に係る半導体は、フィラー状、粒子状、円錐状、柱状、管状、平板状など挙げられ特に限定されることはない。また、本発明に係る多孔質半導体層13としては、これらフィラー状、粒子状、円錐状、柱状、管状等の半導体が凝集して形成された膜状のものを使用してもよい。また、この場合、あらかじめ増感色素が表面に被覆した半導体を使用しても、半導体からなる層を形成した後に増感色素を被覆してもよい。
なお、本発明に係る多孔質半導体層13は、半導体微粒子を含有していることが好ましい。このように、本発明に係る多孔質半導体層13が半導体微粒子を含有している、すなわち、半導体が粒子状(半導体微粒子)の場合は、当該半導体微粒子は1次粒子であって、かつ平均粒子径が1〜5000nmであることが好ましく、10〜100nmであることがより好ましい。
平均粒子径が100nm以下だと、多孔質半導体層13が十分な比表面積が得られ、応答速度をより向上できる。
一方、平均粒子径が10nm以上であると、π共役系高分子の重合反応が不十分な状態で止まってしまう懸念を回避できる。
なお、上記半導体微粒子の「平均粒径」は、半導体微粒子そのものあるいは多孔質半導体層13の断面や表面に現れた粒子を電子顕微鏡で観察し、無作為に抽出した100個の半導体微粒子の1次粒子直径を測定し、その単純平均値(個数平均)として求められる。ここで個々の粒子の1次粒子直径は、その投影面積に等しい円を仮定したときの直径で表したものである。
なお、多孔質半導体層13が、半導体微粒子として、酸化チタン微粒子を含有することが好ましい。
多孔質半導体層13に酸化チタン微粒子を用いることにより、光化学重合法においてLUMO軌道に励起した電子を多孔質半導体層13に注入しやすくなるので、重合媒体となる色素カチオンの生成率が高まり好ましい。また、酸化チタンは、電荷輸送性能が高いため、EC素子の応答速度向上にもつながり好ましい。
また、本発明に係る半導体は、有機塩基を用いて表面処理してもよい。前記有機塩基としては、ジアリールアミン、トリアリールアミン、ピリジン、4−t−ブチルピリジン、ポリビニルピリジン、キノリン、ピペリジン、アミジン等が挙げられるが、中でもピリジン、4−t−ブチルピリジン、ポリビニルピリジンが好ましい。この際の半導体の表面処理方法は特に限定されず、公知の方法がそのままあるいは適宜修飾して適用できる。例えば、上記有機塩基が液体の場合はそのまま、固体の場合は有機溶媒に溶解した溶液(有機塩基溶液)を準備し、本願発明に係る半導体を上記液体(有機塩基又は有機塩基溶液)に0〜80℃で1分〜24時間浸漬することで、半導体の表面処理を実施できる。
(エレクトロクロミック重合体)
本発明に係るエレクトロクロミック重合体(以下、単に「EC重合体」ともいう。)とは、電圧を印加した時に電界方向の違いによって可逆的に色が変化する重合体を指す。すなわち、電気化学的酸化及び還元反応によってEC重合体の光物性、特に光吸収スペクトルが可逆的に変化する。EC重合体において、変化前又は変化後の少なくとも一方の光吸収帯は、波長400〜700nmの可視領域内に含まれる。
なお、本発明に係るエレクトロクロミック重合体は、多孔質半導体層13の細孔内部にあらかじめ導入された前駆体の重合反応により当該細孔内部(in situ)で形成された重合体である。
EC重合体のうち、主鎖にπ共役系を含有する化合物(π共役系ポリマー)、すなわち、ポリチオフェン、ポリピロール、ポリアニリン、ポリカルバゾール、ポリアセチレン、ポリパラフェニレンビニレン、ポリフェニレンオキシド、ポリフルオレン、ポリアルキレンジオキシベンゼン、ポリチエニレンビニレン、ポリフェニレンビニレン、ポリチエニレンフェニレン、ポリチエニレンピロール、ポリチエニレンフラン、ポリチエニレンピロール、ポリチエニレンフルオレン、ポリチエニレンカルバゾール、ポリチエニレンベンゾジチアゾール及びポリチエニレンキノザリン等は、一般にエレクトロクロミック重合体に含有されることが好ましい。この中で、ポリチオフェン、ポリピロール、ポリアニリン、ポリカルバゾールは、電子伝導性が高くエレクトロクロミック素子1としての応答速度が速いため、少なくともこの中のうち一種がエレクトロクロミック重合体に含有されることがより好ましい。さらには、前記EC重合体が、少なくとも、3,4−ジオキシチオフェン誘導体を含有すると、より一層電子伝導性が高なり、ひいては、EC素子の応答速度がより一層速くなるため、特に好ましい。前記EC重合体は同一の単量体が結合しているホモポリマーであってもよく、異なる単量体が結合しているヘテロポリマーであってもよい。
以下に本発明に好ましく用いられるEC重合体の具体例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
Figure 2015184632
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なお、前記EC重合体が多孔質半導体層13内に形成されたことは、多孔質半導体層13の断面SEM観測及び蛍光X線分析、多孔質半導体層13全体の可視・赤外吸収スペクトルの観測等の手段を組み合わせることで検出できる。特に、電子伝導性の高いπ共役系重合体は、波長1000〜2500nmにかけてバイポーラロンによる幅広い吸収帯を有するので、EC重合体の検出に用いることができる。
また、上記EC重合体の重合度は、6〜1000の範囲内であることが好ましい。
なお、テトラヒドロフランやクロロホルム等の有機溶媒に可溶である重合体に対しては、ゲル濾過クロマトグラフィー(GPC)によって重合度の確認を行うことができる。有機溶媒に不溶である重合体に対しては、MALDI−TOF型質量分析計を用いることにより重合度の確認を行うことができる。
[第2電極構造体20]
本発明に係る第2電極構造体20は、少なくとも、第2支持基板22及び第2電極21を有する。
第2電極構造体20における第2支持基板22及び第2電極21は、上述の第1電極構造体10における第1支持基板11及び第1電極12と同様のものが使用できる。
なお、第2電極構造体20は、例えば、第2電極21上に多孔質半導体層を有する構成であってもよい。
[電解質層2]
電解質層2は、溶媒に後述の支持電解質が溶解された構成を有している。この電解質層2は、第1電極構造体10及び第2電極構造体20の間に挟持されている。
支持電解質としては、例えば、LiCl、LiBr、LiI、LiBF、LiClO、LiPF、LiCFSO等のリチウム塩や、例えば、KCl、KI、KBr等のカリウム塩や、例えば、NaCl、NaI、NaBr等のナトリウム塩や、例えば、ホウフッ化テトラエチルアンモニウム、過塩素酸テトラエチルアンモニウム、ホウフッ化テトラブチルアンモニウム、過塩素酸テトラブチルアンモニウム、テトラブチルアンモニウムハライド、ヘキサフルオロリン酸テトラブチルアンモニウム(TBA・PF)等のテトラアルキルアンモニウム塩が挙げられる。
電解質層2には、必要に応じて公知の酸化還元化合物を添加してもよい。酸化還元物質としては、例えば、フェロセン誘導体、テトラシアノキノジメタン誘導体、ベンゾキノン誘導体、フェニレンジアミン誘導体等が適用できる。
上記の溶媒としては、支持電解質を溶解し、上述した有機EC色素を溶解しないものを選択する。例えば、水、アセトニトリル、ジメチルホルムアミド、プロピレンカーボネート、ジメチルスルホキシド、炭酸プロピレン等から適宜選定する。
また、電解質層2には、いわゆる、マトリックス材を適用してもよい。マトリックス材は、目的に応じて適宜選択でき、例えば、骨格ユニットがそれぞれ、−(C−C−O)−、−(CC(CH)−O)−、−(C−C−N)−、若しくは、−(C−C−S)−によって表されるポリエチレンオキサイド、ポリプロピレンオキサイド、ポリエチレンイミン、ポリエチレンスルフィドが挙げられる。なお、これら骨格ユニットを主鎖構造として、適宜枝分かれ構造を有していてもよい。また、ポリメチルメタクリレート、ポリフッ化ビニリデン、ポリ塩化ビニリデン、ポリカーボネート及びポリメタクリル酸メチル等も好適である。
電解質層2は、高分子固体電解質層としてもよい。なお、この場合、マトリックス材のポリマーに所定の可塑剤を添加することが好ましい。可塑剤としては、マトリックスポリマーが親水性の場合には、水、エチルアルコール、イソプロピルアルコール及びこれらの混合物が好適であり、疎水性の場合には、プロピレンカーボネート、ジメチルカーボネート、エチレンカーボネート、γ−ブチロラクトン、アセトニトリル、スルフォラン、ジメトキシエタン、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、ジメチルアセトアミド、n−メチルピロリドン及びこれらの混合物が好適である。
[エレクトロクロミック素子1の製造方法に関する詳細な説明]
本発明のエレクトロクロミック素子1を製造するエレクトロクロミック素子1の製造方法としては、
(A)前記多孔質半導体層を前記第1電極上に形成する工程と、
(B)前記前駆体を、前記多孔質半導体層の前記細孔内部に導入する工程と、
(C)前記前駆体を、前記多孔質半導体層の前記細孔内部に含有させた状態で、当該前駆体の重合反応を行うことで前記エレクトロクロミック重合体を形成する工程と、
を有する態様の製造方法であることが、応答速度、コントラスト及び耐久性に優れるEC素子を製造できるため好ましい。
本発明のEC素子の製造方法の一例を以下に示す。
(i)第1電極を形成する工程
(ii)多孔質半導体層を第1電極上に形成する工程(上記工程(A))
(iii)前駆体を、多孔質半導体層の細孔内部に導入する工程(上記工程(B))
(iv)エレクトロクロミック重合体を形成する工程(上記工程(C))
(v)電解質層の調製・塗布工程
(vi)第2電極構造体を形成し、張り合わせる工程
<(i)第1電極を形成する工程>
第1支持基板11として上述の基板を用い、上述の第1電極12を形成する材料を当該基板の片面にスパッタリングするなどして、第1電極12を第1支持基板11の上に形成する。
なお、第1電極12を形成する方法は、特に限定されず、スパッタ法の他、蒸着法など公知の方法を用いることができる。
<(ii)多孔質半導体層を第1電極上に形成する工程>
本工程では、多孔質半導体層13を第1電極12上に形成する(工程(A))。
なお、多孔質半導体層13は第1電極12上には必ず形成されていなければならないが、第2電極21上には形成されていても形成されていなくてもよい。
多孔質半導体層13に含有される半導体が粒子状の場合には、当該多孔質半導体層13の形成方法として、(1)半導体の分散液又はコロイド溶液(半導体含有塗布液)を第1電極12上に塗布あるいは吹き付けて、半導体層を作製する方法;(2)半導体微粒子の前駆体を第1電極12上に塗布し、水分(例えば、空気中の水分)によって加水分解後、縮合を行う方法(ゾル−ゲル法)などが使用できる。本発明に係るエレクトロクロミック素子1の製造方法では、(1)又は(2)のいずれかを採用できるが、上記(1)の方法が好ましい。また、本発明に係る半導体が膜状であって、第1電極12上に保持されていない場合には、半導体を第1電極12上に貼合して多孔質半導体層13を作製することが好ましい。
本発明に係る多孔質半導体層13の作製方法の好ましい態様としては、上記第1電極12上に半導体微粒子を配置した後、焼成により形成する方法が挙げられる。
本発明に係る多孔質半導体層13が焼成により作製される場合には、色素を用いての該半導体の増感(吸着、多孔質半導体層13への充填等)処理は、焼成後に実施することが好ましい。焼成後、半導体に水が吸着する前に素早く化合物の吸着処理を実施することが特に好ましい。
以下、本願発明に好ましく用いられる多孔質半導体層13を、焼成により形成する方法について詳細に説明する。
(半導体含有塗布液の調製)
まず、半導体、好ましくは半導体の微粉末を含む塗布液(半導体含有塗布液)を調製する。この半導体微粉末はその1次粒子径が微細な程好ましく、その1次粒子径は1〜5000nmが好ましく、更に好ましくは2〜100nmである。半導体微粉末を含む塗布液は、半導体微粉末を溶媒中に分散させることによって調製することができる。
溶媒中に分散された半導体微粉末は、その1次粒子状で分散する。溶媒としては半導体微粉末を分散し得るものであればよく、特に限定されない。前記溶媒としては、水、有機溶媒、水と有機溶媒との混合液が包含される。有機溶媒としては、メタノール、エタノール、イソプロパノール等のアルコール、メチルエチルケトン、アセトン、アセチルアセトン等のケトン、ヘキサン、シクロヘキサン等の炭化水素等、アセチルセルロース、ニトロセルロース、アセチルブチルセルロース、エチルセルロース、メチルセルロース等のセルロース誘導体などが用いられる。塗布液中には、必要に応じ、界面活性剤、酸(酢酸、硝酸など)、粘度調節剤(ポリエチレングリコール等の多価アルコール等)、キレート剤(アセチルアセトンなど)を加えることができる。溶媒中の半導体微粉末濃度の範囲は0.1〜70質量%が好ましく、更に好ましくは0.1〜30質量%である。
電極上に半導体含有塗布液を塗布、乾燥して得られる皮膜は、半導体微粒子の集合体からなるもので、その半導体微粒子の粒径は使用した半導体微粉末の1次粒子径に対応するものである。
このようにして電極上に形成された半導体層(半導体微粒子層)は、一般的に、電極との結合力や微粒子相互の結合力が弱く、機械的強度が弱い。このため、機械的強度を高め、基板に強く固着した半導体層とするために、下記に説明する半導体層(半導体微粒子層)の焼成処理を行い多孔質半導体層とする。
(半導体含有塗布液の塗布と形成された半導体層の焼成処理)
まず、上記のようにして得られた半導体含有塗布液を、電極上に塗布又は吹き付けた後、乾燥を行う。次いで、空気中又は不活性ガス中で焼成することで、電極上に半導体層(半導体膜ともいう。)を形成することができる。ここで、塗布方法としては、特に限定されないが、ドクターブレード法、スキージ法、スピンコート法、スクリーン印刷法など公知の方法が挙げられる。
多孔質半導体層13の空隙率は、特に限定されないが、1〜90体積%が好ましく、更に好ましくは10〜80体積%であり、特に好ましくは20〜70体積%である。なお、多孔質半導体層13の空隙率は誘電体の厚さ方向に貫通性のある空隙率を意味し、水銀ポロシメーター(島津ポアサイザー9220型)等の市販の装置を用いて測定することができる。また、焼成物層になった多孔質半導体層13の厚さは、特に限定されないが、少なくとも1μm以上が好ましく、更に好ましくは2〜30μmである。このような範囲であれば、応答速度、コントラストなどの特性に優れた多孔質半導体層13となりうる。なお、多孔質半導体層13は、平均粒径がほぼ同じ半導体微粒子により形成された単層であっても、あるいは平均粒径や種類の異なる半導体微粒子を含む半導体層からなる多層膜(層状構造)であってもよい。
また、焼成温度等の焼成条件は、特に限定されないが、焼成処理の際に、焼成膜の実表面積を適切に調整し、上記の空隙率を有する焼成膜を得る観点から、焼成温度は、900℃より低いことが好ましく、更に好ましくは400℃〜850℃の範囲内であり、特に好ましくは450℃〜800℃の範囲内である。また、第1支持基板11又は第2支持基板22(以下、特に区別の必要がないときは、単に、「支持基板」ともいう。)がプラスチック等で耐熱性に劣る場合には、250℃以上の焼成処理を行わずに、加圧により微粒子どうし及び微粒子と支持基板との間を固着させることもできる。また、マイクロ波により、支持基板を加熱せずに、半導体層のみを加熱処理することもできる。また、上記観点から、焼成時間は、10秒〜12時間であることが好ましく、1〜240分であることがより好ましく、特に好ましくは10〜120分の範囲である。また、焼成雰囲気についても、特に限定されないが、通常、焼成工程は、大気中又は不活性ガス(例えば、アルゴン、ヘリウム、窒素など)雰囲気中で行われる。
なお、上記焼成は、単一の温度で1回のみ行われても、温度又は時間を変化させて2回以上繰り返してもよい。
また、見かけ表面積に対する実表面積の比は、半導体微粒子の粒径及び比表面積や焼成温度等によりコントロールすることができる。また、加熱処理後、半導体粒子の表面積を増大させたり、半導体粒子近傍の純度を高めたりして、増感色素から半導体粒子への電子注入効率を高める目的で、例えば、四塩化チタン水溶液を用いた化学メッキや三塩化チタン水溶液を用いた電気化学的メッキ処理を行ってもよい。
<(iii)前駆体を、多孔質半導体層の細孔内部に導入する工程>
本工程では、前駆体を、多孔質半導体層13の細孔内部に導入する(工程(B))。
具体的には、多孔質半導体層13が焼成された電極を、少なくとも後述の前駆体を含有する溶液に浸漬することで、前駆体を、前記多孔質半導体層13の前記細孔内部に導入する。
上記溶液は、下記EC重合体を形成する工程において、前駆体からEC重合体を形成する際の反応によって異なり、詳細については、下記エレクトロクロミック重合体を形成する工程にて説明する。
なお、第2電極上にも多孔質半導体層が形成されている場合、当該第2電極上に形成された多孔質半導体層の細孔内部には、EC重合体が含有されていてもよく、含有されていなくてもよい。
<(iv)エレクトロクロミック重合体を形成する工程>
本工程では、前駆体を、多孔質半導体層13の細孔内部に含有させた状態で、当該前駆体の重合反応を行うことでエレクトロクロミック重合体を形成する(工程(C))。
多孔質半導体層13の細孔内部において、EC重合体を形成する手段としては、前駆体を原料として多孔質半導体層13の細孔内部で重合反応を進行させて当該細孔内部にEC重合体を形成する反応がある。ここでの前駆体とは、単量体、二量体及び三量体のことであり、重合体とは、複数の単量体が結合して鎖状や網状になることによってできた化合物のことであり、一般的には高分子の有機化合物を指す。このような反応としては、電解重合及び化学重合が知られており、本発明においては、エレクトロクロミック重合体を、前記前駆体の化学重合又は電解重合により形成することができる。なお、電解重合よりも化学重合の方が、比較的短時間で重合反応が進行するため、生産性が高く好ましい。
(電解重合)
本発明に係る電解重合とは、前駆体及び支持電解質を溶解した溶液に、上述の多孔質半導体層13が焼成された電極を浸漬し、この電極に所定の電位を印加することにより電極表面上で前駆体の電子移動反応が起こり、この電子移動反応で生じた前駆体の活性化学種が重合反応を繰り返して成長し重合体を得る反応のことである。
電解重合の一例としては、前駆体と支持電解質とを溶解して溶液を調製した後、例えば、第1電極構造体10を作用極、白金線を対極、Ag/Agを参照電極として、参照電極に対して作用極に一定電位を印加した状態を保持しながら、キセノンランプから520nm以下の波長をカットした光を照射する、光電解重合が挙げられる。なお、電解重合は、これに限定されず、例えば、光を照射しないものであってもよい。
(化学重合)
本発明に係る化学重合とは、前駆体の溶液に、酸化剤、還元剤、酸及び塩基といった反応開始剤を作用させることにより前駆体の活性化学種が発生し、この活性化学種が重合反応を繰り返して成長し重合体を得る反応のことである。この化学重合により、EC重合体を形成する場合は、一般に重合反応は短時間で進行し、比較的単純な装置で実施可能であり大面積のエレクトロクロミック素子の作製も容易に実施できるなど、生産性が高く好ましい。
化学重合の一例としては、酸化剤として、例えば、p−トルエンスルホン酸鉄(III)のエタノール溶液に第1電極構造体10を浸漬して酸化剤を吸着させ、その後、前駆体の溶液に、第1電極構造体10を暗所で浸漬させて行うことが挙げられる。
(前駆体)
なお、本発明に係る前駆体としては、チオフェン、ピロール、アニリン、カルバゾール、パラジブロモベンゼン、フルオレン、フラン、セレノフェン、ベンゾジチアゾール、キノザリン等の単量体、二量体及び三量体が挙げられ、いずれも置換基を有していても構わない。二量体及び三量体は同一単量体から構成されていてもよく、異なる単量体から構成されていてもよい。
以下に本発明実施形態に好ましく採用される前駆体の具体例を示すが、本発明に係る前駆体は、これらに限定されるものではない。
Figure 2015184632
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(酸化剤)
重合反応開始剤として酸化剤を用いる場合は、過酸化物又は金属塩であることが好ましい。
上記過酸化物としては、過マンガン酸又はその塩、クロム酸又はその塩、ペルオキソ酸又はその塩、酸素酸又はその塩、硝酸類、硫酸類等が挙げられ、具体的には、過酸化水素、過酸化水素水、過酸化ナトリウム、過酸化バリウム、過マンガン酸カリウム、過マンガン酸ナトリウム、クロム酸金属塩、重クロム酸金属塩、クメンヒドロペルオキシド、ペルオキソ二硫酸、ペルオキソ二硫酸アンモニウム、ペルオキソ二硫酸金属塩、ペルオキソリン酸、ペルオキソ硫酸、ペルオキソホウ酸ナトリウム、過ギ酸、過酢酸、過安息香酸、過フタル酸、次亜塩素酸、次亜臭素酸、次亜ヨウ素酸、塩素酸、臭素酸、ヨウ素酸、次亜塩素酸ナトリウム、次亜塩素酸カルシウム等が挙げられる。
上記金属塩としては、塩化鉄(III)、硫酸鉄(III)、硝酸鉄(III)、クエン酸鉄(III)、硫酸アンモニウム鉄(III)、p−トルエンスルホン酸鉄(III)等が挙げられる。
(還元剤)
還元剤としては、モール塩に代表されるような鉄(II)、スズ(II)、チタン(III)、クロム(II)、バナジウム(II)及び銅(II)等の低原子価状態にある金属の塩類;モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ヒドロキシルアミン、塩酸ヒドロキシルアミン及びヒドラジン等のアミン化合物若しくはその塩;亜硫酸ナトリウム、亜硫酸水素ナトリウム及びメタ二亜硫酸塩等のアルカリ金属亜硫酸塩;次亜リン酸、次亜リン酸ナトリウム、ヒドロ亜硫酸ナトリウム及び亜二チオン酸ナトリウム等の低級酸化物若しくはその塩;ホルムアルデヒドナトリウムスルホキシラート及びヒドロキシメタンスルフィン酸ナトリウム二水和物等の−SH基、−SOH基、−NHNH基及び−COCH(OH)−基等の基を有する有機系化合物若しくはその塩;D−フルクトース、D−グルコース等の転化糖;チオウレア及び二酸化チオウレア等のチオウレア化合物;L−アスコルビン酸、L−アスコルビン酸ナトリウム、L−アスコルビン酸エステル、エリソルビン酸、エリソルビン酸ナトリウム及びエリソルビン酸エステルなどが挙げられる。
本発明においては、特に有機系還元剤を使用することが好ましく、有機系還元剤の中でも特に好ましくはL−アスコルビン酸である。なお、上記還元剤の使用に際してアミン化合物等の促進剤を併用することもできる。
(酸)
重合反応を開始させる酸としては、塩酸、硫酸、p−トルエンスルホン酸及びリン酸等のブレンステッド酸、三フッ化ホウ素錯体、三塩化アルミニウム、エチルアルムニウムジクロリド、四塩化チタン、チタンテトライソプロポキシド及び塩化タングステン等のルイス酸が挙げられる。
(塩基)
重合反応を開始させる塩基(塩基性化合物)としては、ブチルリチウム及びフェニルリチウム等の有機リチウム類;リチウムアミド及びナトリウムアミド等の金属アミド類;エチルマグネシウムブロマイド及びフェニルマグネシウムクロライド等のグリニャール試薬;ナトリウムメトキシド及びナトリウムエトキシド等の金属アルコキシド等が挙げられる。
この化学重合反応により細孔内部にEC重合体を形成する手段の一例としては、第1電極構造体10を上記反応開始剤の溶液を、あらかじめ浸漬して細孔内部に担持させてから、前記前駆体の溶液に改めて浸漬する方法が挙げられる。
なお、重合開始剤の量としては、質量比で、重合開始剤:前駆体=20:100〜0.01:100の範囲内で含有することが好ましい。
(光化学重合)
前記の化学重合によってエレクトロクロミック重合体を形成する工程においては、エレクトロクロミック重合体を、光化学反応を利用した重合反応(光化学重合)により形成することとしてもよい。
この場合、工程(B)が、前記前駆体を、酸化剤の存在下で前記多孔質半導体層13の前記細孔内部に導入する工程であり、さらに、多孔質半導体層13に、可視光域の光を吸収する増感色素を導入する工程を更に有し、かつ、工程(C)が前記増感色素に光を照射することによって前記前駆体の重合反応を行うことで前記EC重合体を形成する工程であることが好ましい。
上述の工程を経ることで、酸化剤存在下において多孔質半導体層13に前駆体を導入し、半導体微粒子に当該前駆体を接触させた後、増感色素に光を照射し、前記前駆体の重合反応を行うため、細孔内部にEC重合体を形成することができる。この方法で形成した内部にエレクトロクロミック重合体を含有する多孔質半導体層13は、半導体粒子表面とEC重合体との界面接触率が高く良好な電気的接触が得られるので、より優れた応答速度及びコントラストを示すエレクトロクロミック素子1を製造できるため、当該方法は、より好ましいEC重合体の形成方法である。
(増感色素)
本発明に係る可視光域の光を吸収する増感色素は、下記の半導体の増感処理により、半導体に担持されており、光照射時、光励起され起電力を生じ得るものである。増感色素としては、光電変換素子に用いられる公知の増感色素を用いることができる。
以下に、可視光域の光を吸収する増感色素の具体例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
Figure 2015184632
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(多孔質半導体層の増感処理)
多孔質半導体層1m当たりの本発明に係る増感色素の総担持量は0.01〜100ミリモルの範囲が好ましく、更に好ましくは0.1〜50ミリモルであり、特に好ましくは0.5〜20ミリモルである。
増感処理を行う場合、増感色素(以下、単に「色素」ともいう。)を単独で用いてもよいし、複数を併用してもよく、また他の化合物(例えば、米国特許第4684537号明細書、同4927721号明細書、同5084365号明細書、同5350644号明細書、同5463057号明細書、同5525440号明細書、特開平7−249790号公報、特開2000−150007号公報等に記載の化合物)と混合して用いることもできる。
多孔質半導体層13に増感色素を導入し、半導体に当該増感色素を担持させるには、適切な溶媒(エタノール等)に溶解し、その溶液中によく乾燥した多孔質半導体層13を長時間浸漬する方法が一般的である。
増感色素を複数種併用したり、その他の色素を併用したりして増感処理する際には、各々の色素の混合溶液を調製して用いてもよいし、それぞれの色素について別々の溶液を用意して、各溶液に順に浸漬して作製することもできる。
各増感色素について別々の溶液を用意し、各溶液に順に浸漬して作製する場合は、浸漬する順序については特に限定されない。
また、前記色素を単独で吸着させた半導体の微粒子を混合する等することにより作製してもよい。
また、空隙率の高い多孔質半導体層13の場合には、空隙(細孔)に水分、水蒸気等により水が多孔質半導体層13上、並びに多孔質半導体層13内部の空隙に吸着する前に、増感色素等の吸着処理を完了することが好ましい。
多孔質半導体層13内の増感色素に光を照射すると、当該増感色素において励起された電子が酸化剤(例えば過酸化水素水など)により消費される。そのため増感色素はカチオン状態となり、カチオン状態の色素は前駆体から電子を抜き取り、前駆体がカチオン状態となる。このカチオン状態となった前駆体は、それがトリガーとなることで重合が開始される。前駆体が比較的低分子量の単量体、二量体又は三量体であるため、多孔質半導体層13内部にまで侵入しやすく、かつ増感色素が開始剤となり重合反応の起点としての役割も担うため、重合反応により生じたEC重合体は半導体粒子表面付近で選択的に形成するので、半導体粒子表面とEC重合体との界面接触率が高い複合体膜を得ることができる。
また、以上のプロセスは電解重合のプロセスに比べ非常に早く進行するため重合時間を短くすることが可能であり、製造プロセスの簡略化に対して非常に有利である。
なお、増感色素に光を照射する条件は、波長400nm以上の光源を用いることが好ましく、400〜1100nmの光源を用いることがより好ましい。また、光の強度は、10〜150mW/cmであることが好ましく、20〜80mW/cmであることがより好ましい。増感色素に光を照射する時間は、0.1〜30分間が好ましく、0.5〜15分間がより好ましい。400nm以上の波長の光を選択的に照射すると、それ以下の波長の光で生じる酸化チタン光触媒作用が抑制され、色素を分解の懸念がなくなるため好ましい。
さらに、1100nmよりも長波の赤外光の照射を抑制することは、過剰照射による加熱抑制を図れ、各層が剥離することを抑制でき、また、逆に増感色素の吸収がなくなるおそれを回避できる。
増感色素に光を照射する波長を、400nm以上の波長を用いると酸化チタンを励起する懸念を回避でき、光触媒作用が働くことを抑えることができ、ひいては、増感色素を分解することを防ぐことができる。さらに、増感色素によって若干の差があるが、長波長の光の方がより多孔質半導体層13の奥まで光を透過するため、より均一に重合が進む。また、光量については、上記範囲であると、光を多孔質半導体層13の奥まで透過させることができ好ましい。照射時間については、上記範囲内であれば十分な重合ができるため好ましい。
なお、本発明に係る光源としてはキセノンランプ、ハロゲンランプ及びLEDなどが挙げられる。
また、増感色素が残った状態でもエレクトロクロミック素子を提供することは可能であるが、色素の可視光吸収がバックグラウンド吸収として生じてしまう。このため、増感色素が残った状態のエレクトロクロミック素子は、コントラストが低下する。このため、本発明のエレクトロクロミック素子の製造方法においては、前記工程(C)の後に、増感色素を多孔質半導体層から除去する工程(以下、「増感色素除去工程」ともいう。)を有することが、コントラストを向上させることができるため好ましい。
増感色素の具体的な除去方法としては、適切な塩基溶液に浸漬する手段などがある。塩基としては、公知の物質を用いることができるが、脂肪族アミン類などの揮発性を有する塩基を用いることが好ましい。溶媒は、前記塩基を溶解可能なものであれば特に種類は問わないが、増感色素に対する溶解性が高く、かつEC重合体は不溶であることが好ましい。
このように、色素は、最終的には除去されることが好ましいため、1個のカルボキシ基を有する化合物であることが好ましい。このような色素は、多孔質半導体層13表面と配位結合する構造となり、かつ、半導体に強く吸着しすぎないことから塩基存在下で除去しやすいため比較的容易に除去することができる。
<(v)電解質層の調製・塗布工程>
本工程では、例えば、電解質層2に採用可能な上記材料を用い、ゲル状の電解質を調製し、多孔質半導体層13上に塗布することで、電解質層2の調製・塗布し、電解質層2を得る。
<(vi)第2電極構造体を形成し、張り合わせる工程>
第2支持基板22として上述の基板を用い、上述の第2電極21を形成する材料を当該基板の片面にスパッタリングするなどして、少なくとも、第2電極21を第2支持基板22の上に形成し、第2電極構造体20とする。
上述のようにして作製した電解質層2と第2電極構造体20とを第1電極構造体10及び第2電極構造体20の間に電解質層2を挟持させた。具体的には、例えば、アイオノマー樹脂フィルム(三井・デュポン製:ハイミラン)などを用いて、電解質層2及び第2電極21の周縁部を貼り合わせて、接着することでエレクトロクロミック素子1を得ることができる。
なお、第2電極21を形成する方法は、特に限定されず、スパッタ法の他、蒸着法など公知の方法を用いることができる。
なお、本発明を適用可能な実施形態は、上述した実施形態に限定されることなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれにより限定されるものではない。なお、実施例において「%」の表示を用いるが、特に断りがない限り「質量%」を表す。
[実施例1]
(第1電極を形成する工程)
第1支持基板(表1記載の基板)として厚さ1.1mmのガラス基板を用い、シート抵抗値20Ω/□のフッ素ドープ酸化スズ(FTO)をこのガラス基板の片面にスパッタリングして第1電極としての透明導電層(FTO)を形成した。
(多孔質半導体層を第1電極上に形成する工程)
上記第1電極上に、酸化チタン(半導体微粒子)ペースト(アナターゼ型、1次平均粒径(顕微鏡観察平均)18nm、エチルセルロースを10%アセチルアセトン水に分散)を、スクリーン印刷法(塗布領域:10mm角の正方形)により塗布した。得られた塗膜を200℃で10分間焼成した後、500℃で15分間焼成して厚さ10μmの空隙率が60体積%の酸化チタンの多孔質半導体層を形成した。
なお、多孔質半導体層の空隙率は、水銀ポロシメーター(島津ポアサイザー9220型)を用いて測定した。
(増感色素を導入する工程)
増感色素としてD−1(コニカミノルタ社製)をアセトニトリル:t−ブチルアルコール=1:1の混合溶媒に溶解し、5×10−4mol/lの溶液を調製した。この溶液に、上記酸化チタンの多孔質半導体層を形成したFTOガラス基板を室温(25℃)で3時間浸漬して、多孔質半導体層に増感色素を導入し、半導体微粒子に当該増感色素を吸着(担持)させた。
(前駆体を、多孔質半導体層の細孔内部に導入する工程)
一方、重合反応の前駆体としてM−1を1×10−3(mol/l)、アニオンドーパントとしてLi[(CFSON]を0.1(mol/l)の割合でアセトニトリルに溶解して溶液を調製した後、30質量%の過酸化水素水を1v/v%となるように当該溶液に加え、上記処理を行った前記FTOガラス基板を浸漬させ、前駆体を、多孔質半導体層の細孔内部に導入した。
(エレクトロクロミック重合体を形成する工程)
次いで、前記FTOガラス基板の外側から、キセノンランプから520nm以下の波長をカットするシャープカットフィルター(HOYA製:S−L52)を通した光を2分間照射し、光化学重合を行った。
当該光照射の条件は、光強度22mW/cmとした。この条件で、光を照射したところ、600〜1100nmに新たな吸収が現れ、前記前駆体が重合してEC重合体を形成していることを確認した。その後、前記FTOガラス基板ごとアセトニトリルで洗浄した後、乾燥させた。得られたEC重合体は、塩基性溶液には不溶の重合膜である。同様にして作製した多孔質半導体層の断面SEM観測により多孔質半導体層内部の細孔内にEC重合体(P−1)が形成していることを確認した。
(増感色素除去工程)
第1電極構造体を1質量%トリエチルアミンのエタノール溶液に室温(25℃)で30分間浸漬し、増感色素D−1を溶出除去した。その後、前記FTOガラス基板ごとエタノールで洗浄した後、乾燥させることにより第1電極構造体を得た。
(電解質層の調製・塗布)
TBA・PF、ポリメタクリル酸メチル、炭酸プロピレンをそれぞれ3:7:90の質量比で混合し、ゲル状の電解質を調製した。前記多孔質半導体層上に20μmの厚さで前記電解質を塗布することにより電解質層を得た。
(第2電極構造体の作製)
第2電極構造体は、前述の第1電極構造体の作製における第1支持基板及び第1電極と同様のものを使用して、第2支持基板上に第2電極を形成することで作製した。
(電極構造体の貼合わせ)
上述のようにして作製した電解質層と第2電極構造体とを、多孔質半導体層及び第2電極が対向するようにして電解質層を挟持させた。具体的には、厚さ30μmのアイオノマー樹脂フィルム(三井・デュポン製:ハイミラン)を用いて、電解質層及び第2電極の周縁部を貼り合わせて、120℃で3分間加熱することにより接着して、エレクトロクロミック素子EC−1を得た。
[実施例2]
実施例1において、増感色素の多孔質半導体層への導入、並びに重合反応後の増感色素の溶出除去(増感色素除去工程)は実施せず、替わりに酸化剤としてp−トルエンスルホン酸鉄(III)の1質量%エタノール溶液に上記酸化チタンの多孔質半導体層を形成したFTOガラス基板を室温(25℃)で30分間浸漬して、多孔質半導体層に酸化剤を導入し、半導体に当該酸化剤を吸着させた。
一方、前駆体としてM−1を1×10−3(mol/l)、アニオンドーパントとしてLi[(CFSON]を0.1(mol/l)の割合でアセトニトリルに溶解して溶液を調製した後、上記FTOガラス基板を暗所で3分間浸漬させて化学重合を行った。
上記以外は実施例1と同様にして作製しエレクトロクロミック素子EC−2を得た。
[実施例3]
重合反応後の増感色素の溶出除去を実施しなかった他は、実施例1と同様にして作製しエレクトロクロミック素子EC−3を得た。
[実施例4]
増感色素としてD−2を用いた他は、実施例1と同様にして作製しエレクトロクロミック素子EC−4を得た。
[実施例5]
増感色素としてD−3を用いた他は、実施例1と同様にして作製しエレクトロクロミック素子EC−5を得た。
[実施例6]
増感色素としてD−4を用いた他は、実施例1と同様にして作製しエレクトロクロミック素子EC−6を得た。
[実施例7]
酸化チタンペーストの替わりに酸化亜鉛ペースト(平均粒径20nm)を用いた他は、実施例1と同様にして作製しエレクトロクロミック素子EC−7を得た。
[実施例8]
平均粒径7nmの酸化チタンペーストを用いた他は、実施例1と同様にして作製しエレクトロクロミック素子EC−8を得た。
[実施例9]
平均粒径10nmの酸化チタンペーストを用いた他は、実施例1と同様にして作製しエレクトロクロミック素子EC−9を得た。
[実施例10]
平均粒径100nmの酸化チタンペーストを用いた他は、実施例1と同様にして作製しエレクトロクロミック素子EC−10を得た。
[実施例11]
平均粒径150nmの酸化チタンペーストを用いた他は、実施例1と同様にして作製しエレクトロクロミック素子EC−11を得た。
[実施例12]
前駆体としてM−2を用いた他は、実施例1と同様にして作製しエレクトロクロミック素子EC−12を得た。
[実施例13]
前駆体としてM−3を用いた他は、実施例1と同様にして作製しエレクトロクロミック素子EC−13を得た。
[実施例14]
前駆体としてM−4を用いた他は、実施例1と同様にして作製しエレクトロクロミック素子EC−14を得た。
[実施例15]
前駆体としてM−5を用いた他は、実施例1と同様にして作製しエレクトロクロミック素子EC−15を得た。
[実施例16]
前駆体としてM−11を用いた他は、実施例1と同様にして作製しエレクトロクロミック素子EC−16を得た。
[実施例17]
増感色素としてD−5、前駆体としてM−6を用いた他は、実施例1と同様にして作製しエレクトロクロミック素子EC−17を得た。
[実施例18]
前駆体としてM−7を用いた他は、実施例1と同様にして作製しエレクトロクロミック素子EC−18を得た。
[実施例19]
前駆体としてM−8を用いた他は、実施例1と同様にして作製しエレクトロクロミック素子EC−19を得た。
[実施例20]
前駆体としてM−9を用いた他は、実施例1と同様にして作製しエレクトロクロミック素子EC−20を得た。
[実施例21]
前駆体としてM−10を用いた他は、実施例1と同様にして作製しエレクトロクロミック素子EC−21を得た。
[実施例22]
第1支持基板及び第1電極として、片面にシート抵抗値20Ω/□のインジウムスズ酸化物(ITO)がスパッタリング形成されたPETフィルム(厚さ100μm:尾池工業製)を用いた。酸化チタンペーストとして低温焼結型の市販品(平均粒径50nm:ペクセルテクノロジーズ社製)を用い、150℃で5分間焼成した。
上記以外は実施例1と同様にして作製しエレクトロクロミック素子EC−22を得た。
[実施例23]
実施例1における、エレクトロクロミック重合体を形成する工程の替わりに、以下に記載する電解重合を実施した。前駆体としてM−1を1×10−3(mol/l)、支持電解質としてLi[(CFSON]を0.1(mol/l)の割合でアセトニトリルに溶解して溶液を調製した後、FTOガラス基板を作用極として、白金線を対極として、参照電極をAg/Ag(AgNO 0.01Mアセトニトリル溶液中)として、前記参照電極に対して作用極に−0.16Vの電位を印加した状態を保持しながら、キセノンランプから520nm以下の波長をカットするシャープカットフィルター(HOYA製:S−L52)を通した光を15分間照射し、光電解重合を行った。
上記以外は実施例1と同様にして作製しエレクトロクロミック素子EC−23を得た。
[実施例24]
実施例23において、増感色素の多孔質半導体層への導入、重合反応後の増感色素の溶出除去及び光の照射は実施せず、作用極への印加電位を+0.60Vにした他は、実施例23と同様にして作製しエレクトロクロミック素子EC−24を得た。
[比較例1]
実施例1において、重合反応により多孔質半導体層にEC重合体を導入する工程の替わりに、市販のPEDOT:PSS水分散液(商品名Clevios、ヘレウス社製、PEDOT:PSSの平均粒径50nm)をスピンコート法(1000rpm)で多孔質半導体層に塗布した。なお、増感色素の多孔質半導体層への導入、並びに重合反応後の増感色素の溶出除去は実施していない。
上記以外は実施例1と同様にして作製しエレクトロクロミック素子EC−R1を得た。
(平均粒径の確認)
上記各半導体微粒子の「平均粒径」は、半導体微粒子そのものあるいは多孔質半導体層の断面や表面に現れた粒子を電子顕微鏡で観察し、無作為に抽出した100個の半導体微粒子の1次粒子直径を測定し、その単純平均値(個数平均)として求めた。ここで個々の粒子の1次粒子直径は、その投影面積に等しい円を仮定したときの直径で表したものである。
(多孔質層中のEC重合体の確認)
多孔質層中のEC重合体の確認は、第1電極構造体を割ることにより露出した断面を電子線マイクロアナライザ(日本電子製JXA−8621)で観測することにより実施した。EC重合体と半導体微粒子は、特性X線の波長と強度により識別することができ、例えば、実施例1のEC重合体P−1に対しては硫黄原子の特性X線により識別することができ、酸化チタン微粒子に対してはチタン原子の特性X線により識別することができる。
EC重合体の重合度の確認は、EC重合体が有機溶媒に可溶である場合、例えば実施例2のEC重合体P−2に対してはテトラヒドロフランに溶解した試料をゲル濾過クロマトグラフィー(東ソー製HLC−8220)を用いて分析することにより実施し、平均重合度が180であるとの結果を得た。一方、EC重合体が有機溶媒に不溶である場合、例えばP−1に対しては、固体試料のまま質量分析器(島津製作所 KOMPACT MULDI II)を用いて分析し、平均重合度が12であるとの結果を得た。
なお、実施例2〜実施例24及び比較例1(EC重合体P−3〜P−5及びP−8〜P11)についても、同様の測定を行い、平均重合度が6〜1000の範囲内にあることを確認した。
(応答速度の評価)
応答速度は、印加電圧の変化に伴う光学透過率の変化が完了するまでの時間(msec)で定義した。
応答速度は、300msec以下を合格とする。結果は表1に示す。
(コントラストの評価)
上述したエレクトロクロミック装置の第1電極と第2電極の間に電圧を印加して、電圧−光学特性、すなわち印加電圧の変化による550nmに光学透過率の変化を、分光光度計(日本分光製V−630)を用いて測定した。なお、電極間の印加電圧はポテンショスタット(北斗電工製VMP3)を用いて制御した。第2電極に対する第1電圧の電位差が+1.0Vであるときの光学透過率をT1(%)、電位差が−1.0Vであるときの光学透過率をT2(%)であるときに、エレクトロクロミック素子のコントラストをT1とT2の差の絶対値(表1に記載のコントラスト値)で定義した。
なお、コントラスト値は、30%以上を合格とする。結果は表1に示す。
(耐久性の評価)
第2電極に対する第1電圧の電位差が+1.0V及び−1.0Vとなるように、1秒ごとに交互に電圧印加を繰り返すことにより耐久性の評価を行った。このサイクルを10万回繰り返し、繰り返し試験前のコントラスト値と繰り返し試験後のコントラスト値を前記の方法で光学透過率から導出し、繰り返し試験後の値を繰り返し試験前の値で除した値を耐久性の指標とした。この値が1に近いほど耐久性が高いことを示す。
なお、耐久性は、0.5以上を合格とする。結果は表1に示す。
Figure 2015184632
(まとめ)
表1から、本発明は、比較例に比べ、応答速度、発色コントラスト及び耐久性に優れたエレクトロクロミック素子及びその製造方法を提供できることが示された。
具体的には、多孔質半導体層が、エレクトロクロミック材料であるEC重合体を細孔内部に含有しているEC−1〜EC−24は、当該EC重合体を細孔内部に含有にしていないEC−R1に比べ、応答速度、発色コントラスト及び耐久性に優れることが示された。
また、EC−12〜EC−16とEC−1及びEC−17〜EC−21との比較から、EC重合体が、少なくとも、3,4−ジオキシチオフェン誘導体の重合体を含有すると、EC素子の応答速度がより向上できることが示された。
また、EC−8とEC−9との比較から、半導体微粒子の平均粒径が、10nm以上であると、π共役系高分子の重合反応が途中で止まる懸念を回避でき、ひいてはコントラストがより向上することが示された。
さらに、EC−10とEC−11との比較から、100nmの範囲内であることと、応答速度がより向上したEC素子を提供できることが示された。
なお、EC−1とEC−7との比較から、多孔質半導体層が、酸化チタン微粒子を含有すると、より応答速度が向上するEC素子を得られることが示された。これは、酸化チタンの電荷輸送性能が高いためであると推察される。
また、EC−1とEC−2、EC−23及びEC−24との比較から、光化学重合法によりπ共役系高分子を形成することにより、応答速度に優れたEC素子を得ることができることが示された。これは、光化学重合法によりπ共役系高分子を形成することで、形成された重合体(π共役系高分子)と多孔質層表面との接触性が向上したためと推察される。
なお、EC−1とEC−3との比較から、増感色素を除去した方が、より発色コントラストに優れたEC素子を得られることが示された。
EC−1、EC−5及びEC−6とEC−4との比較から、増感色素が1個のカルボキシ基を有する化合物であると、コントラストが向上したEC素子が製造できることが示された。これは、増感色素が、1個のカルボキシ基を有する化合物であると、塩基存在下で除去しやすいためであると推察される。
1 エレクトロクロミック素子
2 電解質層
10 第1電極構造体
11 第1支持基板
12 第1電極
13 多孔質半導体層
20 第2電極構造体
21 第2電極
22 第2支持基板

Claims (14)

  1. 少なくとも、第1支持基板、第1電極及びエレクトロクロミック重合体を含有する多孔質半導体層を有する第1電極構造体と、
    少なくとも、第2支持基板及び第2電極を有する第2電極構造体と、
    前記第1電極構造体及び前記第2電極構造体の間に挟持された電解質層と、
    が備えられたエレクトロクロミック素子であって、
    前記エレクトロクロミック重合体が、前記多孔質半導体層の細孔内部にあらかじめ導入された前駆体の重合反応により当該細孔内部で形成された重合体であることを特徴とするエレクトロクロミック素子。
  2. 前記エレクトロクロミック重合体が、π共役系ポリマーを含有することを特徴とする請求項1に記載のエレクトロクロミック素子。
  3. 前記エレクトロクロミック重合体が、ポリチオフェン、ポリピロール、ポリアニリン及びポリカルバゾールのうち少なくとも一種を含有することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のエレクトロクロミック素子。
  4. 前記エレクトロクロミック重合体が、少なくとも、3,4−ジオキシチオフェン誘導体の重合体を含有することを特徴とする請求項1から請求項3までのいずれか一項に記載のエレクトロクロミック素子。
  5. 前記エレクトロクロミック重合体が、前記前駆体の化学重合又は電解重合により形成されたことを特徴とする請求項1から請求項4までのいずれか一項に記載のエレクトロクロミック素子。
  6. 前記エレクトロクロミック重合体が、光化学反応を利用した重合反応により形成されたことを特徴とする請求項1から請求項5までのいずれか一項に記載のエレクトロクロミック素子。
  7. 前記多孔質半導体層が、半導体微粒子を含有し、
    当該半導体微粒子の平均粒径が、10〜100nmの範囲内であることを特徴とする請求項1から請求項6までのいずれか一項に記載のエレクトロクロミック素子。
  8. 前記多孔質半導体層が、酸化チタン微粒子を含有することを特徴とする請求項1から請求項7までのいずれか一項に記載のエレクトロクロミック素子。
  9. 請求項1から請求項8までのいずれか一項に記載のエレクトロクロミック素子を製造するエレクトロクロミック素子の製造方法であって、
    (A)前記多孔質半導体層を前記第1電極上に形成する工程と、
    (B)前記前駆体を、前記多孔質半導体層の前記細孔内部に導入する工程と、
    (C)前記前駆体を、前記多孔質半導体層の前記細孔内部に含有させた状態で、当該前駆体の重合反応を行うことで前記エレクトロクロミック重合体を形成する工程と、
    を有することを特徴とするエレクトロクロミック素子の製造方法。
  10. 前記エレクトロクロミック重合体を、前記前駆体の化学重合又は電解重合により形成することを特徴とする請求項9に記載のエレクトロクロミック素子の製造方法。
  11. 前記エレクトロクロミック重合体を、光化学反応を利用した重合反応により形成することを特徴とする請求項9又は請求項10に記載のエレクトロクロミック素子の製造方法。
  12. 前記多孔質半導体層に、可視光域の光を吸収する増感色素を導入する工程を更に有し、
    前記工程(B)が、前記前駆体を、酸化剤の存在下で前記多孔質半導体層の前記細孔内部に導入する工程であり、
    前記工程(C)が、前記増感色素に光を照射することによって前記前駆体の重合反応を行うことで前記重合体を形成する工程であること
    を特徴とする請求項9に記載のエレクトロクロミック素子の製造方法。
  13. 前記工程(C)の後に、前記増感色素を前記多孔質半導体層から除去する工程を更に有することを特徴とする請求項12に記載のエレクトロクロミック素子の製造方法。
  14. 前記増感色素が、1個のカルボキシ基を有する化合物であることを特徴とする請求項12又は請求項13に記載のエレクトロクロミック素子の製造方法。
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