JP2015183206A - 金属ナノ粒子の製造方法及び金属ナノ粒子被覆基材の製造方法 - Google Patents

金属ナノ粒子の製造方法及び金属ナノ粒子被覆基材の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】溶液中での金属イオンの還元反応の反応速度を改善して、金属ナノ粒子の生産性を高めた金属ナノ粒子の製造方法、並びに基材表面の酸化を抑制しながらその基材表面に金属ナノ粒子を付着させて薄膜化する金属ナノ粒子被覆基材の製造方法を提供する。【解決手段】本発明に係る金属ナノ粒子の製造方法は、金属塩を溶媒に溶解させて金属塩溶液を作成する工程と、アルゴンガスを用いて金属塩溶液に溶存する酸素ガス及び窒素ガスをパージすると共に、アルゴンガスを金属塩溶液に溶存させる工程と、アルゴンガスが溶存した金属塩溶液に前記アルコールを添加する工程と、アルゴンガス及びアルコールが溶存する金属塩溶液に超音波照射を行うことにより、金属ナノ粒子を析出させる工程と、を有する。【選択図】図1

Description

本発明は、析出速度を改善した金属ナノ粒子の製造方法及びこの製造方法を利用した金属ナノ粒子被覆基材の製造方法に関するものである。
数nmから数十nmの粒径を有する金属ナノ粒子は、極めて大きな比表面積を有するのみならず、量子サイズ効果等のサブミクロン径の金属粒子にはない特有の特性を示す。これらの特性を利用した用途が様々に開発されており、金属ナノ粒子の工業材料としての重要性が近年益々高まっている。
金属ナノ粒子の製造方法として、金属塩溶液に還元剤を添加して超音波照射を行う製造方法が知られていた(特許文献1〜3)。
また、金属塩溶液への超音波照射によって発生する硝酸が金属ナノ粒子の生成を阻害することを防止するため、アルゴンガスを用いて溶存する酸素ガス及び窒素ガスをパージした機能水を予め作成して、この機能水を金属塩溶液と混合して溶液中の金属イオンを還元する金属ナノ粒子の製造方法も知られている(特許文献4)。
特開2007−31799号公報 特開2012−87398号公報 特開2012−184506号公報 特開2013−36114号公報
しかしながら、上記の機能水を用いた金属ナノ粒子の製造方法では、金属イオンの還元反応の反応速度が遅く、金属ナノ粒子の生産性が低いという課題があった。
本発明は、上記の課題に着目して完成されたものである。その目的とするところは、溶液中での金属イオンの還元反応の反応速度を改善して、金属ナノ粒子の生産性を高めた金属ナノ粒子の製造方法、並びに金属ナノ粒子を基材表面の酸化を抑制しながら付着させて薄膜化する金属ナノ粒子被覆基材の製造方法を提供することにある。
上記の課題を解決するための第一の手段は、金属塩、アルゴンガス、及びアルコールを含有する溶液に超音波照射を行い、前記金属塩の金属をナノ粒子として析出させることである。
第二の手段は、前記金属塩を溶媒に溶解させて金属塩溶液を作成する工程と、
前記アルゴンガスを用いて、前記金属塩溶液に溶存する酸素ガス及び窒素ガスをパージすると共に、前記アルゴンガスを前記金属塩溶液に溶存させる工程と、
前記アルゴンガスが溶存した金属塩溶液に前記アルコールを添加する工程と、
前記アルゴンガス及びアルコールが溶存する金属塩溶液に前記超音波照射を行うことにより、前記金属ナノ粒子を析出させる工程と、を有することである。
第三の手段は、前記アルコールがプロパノールであることである。
第四の手段は、金属塩、アルゴンガス、アルコール、及び基材を含有する溶液に超音波照射を行い、前記金属塩の金属をナノ粒子として析出させて前記基材の表面に付着させることである。
第五の手段は、前記基材が粉末であることである。
第六の手段は、前記基材が酸化を嫌う材料を含むことである。
第七の手段は、前記酸化を嫌う材料が二価の鉄であることである。
本発明によれば、金属イオン、アルゴンガス、及びアルコールを含有する溶液に超音波照射を行うことから、この超音波照射によって発生したアルゴンガスの微小気泡の圧壊による溶液温度の上昇によって水素ラジカル(・H)及びアルコール由来の炭化水素ラジカル(・R)の生成量が増大し、溶液中の金属イオンの還元反応の反応速度を改善することができる。このことにより、金属ナノ粒子の析出速度が改善されて、金属ナノ粒子の生産性が向上すると共に、溶液中に基材を予め浸漬しておいた場合には、大量に析出した金属ナノ粒子が基材表面に付着するため、金属ナノ粒子被覆基材を容易に製造することができる。
超音波照射後の水溶液の紫外可視分光光度計による測定結果を示す図である(実施例1及び2、比較例1)。 金ナノ粒子のSEM写真である(実施例1)。 超音波照射時間毎の水溶液の紫外可視分光光度計による測定結果を示す図である(実施例3)。 パラジウムナノ粒子のSEM写真である(実施例3)。 パラジウムナノ粒子が表面に付着したFePO・2HO粉末のTEM写真である(実施例4)。 パラジウムナノ粒子が表面に付着したFePO・2HO粉末のXRD測定結果を示す図である(実施例4及び5)。 超音波照射による還元で増加したFe2+濃度を示す図である。 超音波照射による酸化で減少したFe2+濃度を示す図である。
以下、本発明の実施形態について詳細に説明する。下記の実施形態1では、金属ナノ粒子の製造方法を、また実施形態2では、実施形態1の製造方法で得られた金属ナノ粒子を基材表面に付着させる金属ナノ粒子被覆基材の製造方法を説明する。
(実施形態1)
金属塩、アルゴンガス、及びアルコールを含有する水溶液に超音波照射を行うと、下記の反応式1に示す水のラジカル化反応によって水素ラジカル(・H)及びヒドロキシラジカル(・OH)が生成する。
O → ・H + ・OH (反応式1)
この超音波照射による水のラジカル化反応は吸熱反応であるから、超音波の照射出力が大きいほど又は水溶液の温度が高いほど、水溶液中で生成する水素ラジカル及びヒドロキシラジカルの量が増えることになる。また、水溶液中の溶存気体の種類によっても水のラジカル化反応の反応速度は影響を受ける。すなわち、水溶液中に溶存する気体の比熱比が高いほど、水溶液への超音波照射によって発生する微小気泡の圧壊による気泡周囲の温度上昇幅が大きくなるため、水のラジカル化反応が生じ易くなり、水溶液中の水素ラジカル及びヒドロキシラジカルの生成量が増大する。
ここで、水溶液に溶存する気体の種類によって水素ラジカル及びヒドロキシラジカルの生成量が変化することについて具体的に説明する。超音波照射により水溶液中に発生した微小気泡の圧壊は断熱圧縮変化とみなすことができる。断熱変化の場合、ポアソンの法則:PVγ=一定(γ=Cp/Cv、γ:比熱比、Cp:定圧比熱、定積比熱)より、状態1(P1、V1、T1)から状態2(P2、V2、T2)への断熱圧縮変化について、P2/P1=(V1/V2)γ→T2/T1=(V1/V2)γ−1の関係式がほぼ成り立つ。断熱圧縮変化の場合は、(V1/V2)>1であるから、水溶液中に溶存する気体の比熱比γが大きいほど、断熱圧縮変化後の温度T2が高くなる。換言すれば、水溶液中に溶存する気体の比熱比γが大きいほど、水溶液中に発生した微小気泡の圧壊による水溶液の温度上昇幅が大きくなるので、水のラジカル化反応による水素ラジカル及びヒドロキシラジカルの生成量が増大することになる。ここで、酸素ガス、窒素ガス、大気、及びアルゴンガスの比熱比はそれぞれ、酸素ガス(O)=1.396、窒素ガス(N)=1.401、大気(Air)=1.4017、アルゴンガス(Ar)=1.670である(日本化学会編 化学便覧基礎編II 5訂 242頁 丸善 2004年発行)。したがって、これらの溶存気体を比熱比γの大きさの順に並べると、Ar>Air>N>Oとなり、溶存気体の種類以外の超音波照射条件が全く同じ場合は、水溶液中での水素ラジカル及びヒドロキシラジカルの生成量は前記の順となる。なお、溶存気体の量やその蒸気圧によっても水溶液中での水素ラジカル及びヒドロキシラジカルの生成量は影響を受けるが、室温大気中では、その生成量はやはりAr>Air>N>Oの順となる。
このように、水溶液中の溶存気体がアルゴンガスであれば、その比熱比が大気、窒素ガス、及び酸素ガスよりも高いため、これらの他の気体を使用した場合よりも超音波照射による水素ラジカル及びヒドロキシラジカルの生成量を増大させることができる。そのため、金属塩が溶解した水溶液にアルゴンガスを用いたバブリング等を行うことにより、超音波照射前に水溶液に溶存している酸素ガスや窒素ガス等をパージしておくことが好ましい。また、水溶液中に溶存する酸素ガス及び窒素ガスを不活性ガスであるアルゴンガスで予めパージしておくことにより、超音波照射によって水溶液中で硝酸や亜硝酸が生成して金属陽イオンと反応してしまうことを防止できる。なお、超音波照射によって水溶液中のアルゴンガス濃度は低下していくため、水溶液に超音波照射を行いながらアルゴンガスのバブリング等も行うことが好ましい。
水溶液中のアルゴンガスの濃度は、特に限定されるものではないが、標準状態:STP(0℃、10Pa)で1.2〜2.3mmol/Lであることが好ましい。1.2mmol/L以上であれば、水溶液中の溶存酸素ガス及び窒素ガスがほぼ完全にパージできるからである。また、水溶液中の溶存酸素ガス及び窒素ガスをパージする態様としては、アルゴンガスのバブリングを行うことが簡便で好ましい。また、水溶液中におけるアルゴンガスの溶解度を高めるため、アルゴンガスをバブリングする際に、水溶液を30℃以下まで冷却することが好ましい。同様に、水溶液中におけるアルゴンガスの溶解度を高めるため、アルゴンガスをバブリングする際における雰囲気中のアルゴンガス分圧を、1.1atm以上とすることが好ましい。さらに、一旦減圧により水溶液中の酸素ガスと窒素ガスの脱気を行った後に、アルゴンガスをバブリングすることが好適である。
上記の反応式1に示す水のラジカル化反応によって生成したヒドロキシラジカルは、反応性が極めて高いため、下記の反応式2に示すように過酸化水素(H)に変化したり、下記の反応式3に示すようにアルコールの炭化水素部分から水素を奪取して炭化水素ラジカル(・R)を生成させたりする。
2(・OH) → H (反応式2)
R−H + ・OH → ・R+ HO (反応式3)
一方で、水のラジカル化反応によって生成した水素ラジカルは、水溶液中では電子供与体すなわち一種の還元剤として機能することができる。そして、水溶液中では金属塩がイオン化して金属原子が陽イオンとなっているため、水溶液中に溶存する水素ラジカルは、この金属陽イオンに電子を供与して金属陽イオンを還元し金属ナノ粒子として析出させる。金イオンAu3+が水素ラジカルから電子を供与されて金に還元される態様を下記の反応式4に示す。
Au3+ + 3(・H) → Au (反応式4)
また、水のラジカル化によって生成した水素ラジカルの一部は、下記反応式5に示すように、ヒドロキシルラジカルと結合して水に戻ってしまう。
・H + ・OH → HO (反応式5)
また、水溶液中にアルコールが存在する場合は、反応式3に示すように、ヒドロキシルラジカルがアルコールの炭化水素部分から水素を奪取することに消費されるため、上記反応式5に示す水素ラジカルの消費が抑制される。
本発明では、水のラジカル化反応によって生成した水素ラジカルのみならず、上記の反応式3に示すアルコール由来の炭化水素ラジカルも水溶液中で電子供与体として機能して、金属陽イオンを還元する。本発明では、金属含有水溶液にアルコールを添加することにより、超音波照射によって水のラジカル化反応で生成したヒドロキシラジカルの一部がアルコール由来の炭化水素ラジカルを生じさせる。そして、上記の反応式3に示す炭化水素ラジカルが生成すると、水溶液中における金属陽イオンを還元する還元剤の濃度が高まることから、金属ナノ粒子の析出速度も高まり、その生産性が改善する。金イオンAu3+が炭化水素ラジカルから電子を供与されて金に還元される態様を下記の反応式6に示す。
Au3+ + 3(・R) → Au (反応式6)
このように、金属陽イオンの溶存する水溶液にアルゴンガスを用いて溶存酸素ガス及び溶存窒素ガスをパージすることにより、溶存気体が比熱比の高いアルゴンガスで置換され、超音波照射によって発生したアルゴンガスの微小気泡の圧壊後の水溶液温度が高くなって水のラジカル化反応が生じ易くなる。さらに、この金属陽イオンの溶存する水溶液中にアルコールが存在することにより、水のラジカル化反応で生成したヒドロキシラジカルが速やかにアルコールの炭化水素部分の水素を奪取して炭化水素ラジカルを生成させる。そして、水のラジカル化反応で生成した水素ラジカル及び前記反応を経て生成した炭化水素ラジカルが共に、金属陽イオンに電子を供与して金属陽イオンを速やかに還元し、金属ナノ粒子を迅速、かつ、大量に析出させる。
金属塩、アルゴンガス、及びアルコールを含有する水溶液を製造する手順としては、先ずは金属塩を水溶媒に溶解させて金属塩水溶液を作成し、次いでこの金属塩水溶液にアルゴンガスのバブリング等を行って水溶液中の酸素ガス及び窒素ガス等をパージすると共にアルゴンガスを水溶液に溶存させ、次いでこの水溶液にアルコールを添加することが好ましい。ただし、金属塩水溶液にアルコールを添加した後に、アルゴンガスを用いたバブリング等を行ってもよい。
金属塩は、金、銀、白金、又はパラジウム等の貴金属の金属塩が好ましい。例えば、金属塩としては、銅、鉄、コバルト、ニッケル、亜鉛、クロミウム、マンガン、マグネシウム、カドミウム、アルミニウム、錫、又はタングステンを含む金属塩、水溶液中でイオン(Ag,Ag(CN) ,AlCl ,Au ,AuCl ,AuBr ,PtCl 2−,Mg2+,Mn2+,Co2+,Ni2+,Cu2+,Zn2+,Cd2+,Fe3+,Al3+,Pd2+,PdCl 2−,Sn2+,SnO 2−,Ga3+,WO 2−)となる金属塩、AgAsF,AgBF,AgBr,AgCl,AgClO,AgClO,AgF,AgF,AgFP,AgFSb,AgI,AgIO,AgMnO,AgNO,AgNO,AgOV,AgORe,AgCrO,AgO,AgS,AgS,AgS,AgSe,AgTe,AgAsO,AgAsO,AgAsO,AgP,Ag16,KAg(CN),CHCOAg,AgCN,AgCNO,AgCNS,AgCO,AlCl12,AlClCs,AlClK,AlClLi,AlClNa,AlC1Ti,AlCsOSi,AlCsOSi,AlCsO,AlFK,AlFNa,AlKO,AlLiO,AlN,AlOP,AlO,AlBaO,AlMgO,AlTi,Al12,AlBi12,Al13Si,HAlLi,HAlNO,AuBr,KAuBr,NaAuBr,AuCl,KAuCl,NaAuCl,HAuCl,AuI,Au,HAuClN,AuCN,CoF,CoF,CoI,CoLiO,CoN,CoNNa12,CoO,CoOS,CoSe,Co,Co,CoSm,CoSm,HCoN,H12CoN,H15ClCoN,CoCO、CdCl,CdCl,CdF,CdI,CdMoO,CdN,CdOZr,CdOS,CdOW,CuF,CuI,CuMoO,CuN,CuNb,CuO,CuOSe,CuOS,CuOW,CuS,CuSe,CuTe,CuHgI,CuO,Cu,CuS,CuSe,CuTe,HClCuN,H12CuNS,CuCN,CuCNS、MgMn,MgMoO,MgN,MgO,MgOTi,MgOZr,MgOS,MgOW,Mg,Mg,HMgNOP,MnMoO,MnN,MnNoO,MnOS,HMnO,NiO,NiOTi,NiOS,HNiO,HPtCl,HClPt,HClPt,HPt,HNaPt,HBrPt,HClPt,HClPt,HPt,H12ClPt,H12ClPt,H12Pt,H14Pt,CPt,HBrPd,HClPd,HPd,HPd,HClPd,HClPd,H12BrPd,H12ClPd,H12ClPd,H12Pd,CPd,Pd(OAc),Pd(NO,HFeNO,HFeN,FeCl,CZn,HSnO,NaSnO,SnCl2HO,SnO,SnSO,SnO,GaBr,GaCl,GaI,Ga(NO・HO,Ga(SO・HO,Ga(SO,GaAs,GaN,GaP,GaS,Ga,GaSe,GaSe,GaSe,GaTe,GaTe,GaOH,HWO,及びPdCl・2NaCl・3HO等が好適である。これらのうち、AgNO,KAuCl,NaAuCl,HAuCl,HPtCl,Pd(OAc),Pd(NO,Ga(NO・HO,及びPdCl・2NaCl・3HO等が特に好ましい。
金属塩水溶液に添加するアルコールは、水と相溶性を示すものであれば、メタノール、エタノール、又はプロパノールに限らず、どのようなアルコールでもよい。しかし、エタノールとプロパノールの比較実験の結果では、プロパノールを使用した場合の方が金属陽イオンの還元反応の反応速度が早かったことから、水溶液に添加するアルコールとしては炭化水素部分の炭素数が大きいものが好ましいと考えられる。ただし、水との相溶性及び炭化水素ラジカルの反応性の高さを考慮すれば、プロパノール、ブタノール、ペンタノール、及びヘキサノールが適当である。
水溶液におけるアルコールの濃度は、0.5mmol/L〜10mol/L(0.5mM〜10M)が好ましく、さらには1mmol/L〜6.5mol/Lが好適である。0.5mmol/L未満であれば、アルコールの濃度が低過ぎて、上記の反応式3に示す炭化水素ラジカルを生成する効果及び反応式5に示す水素ラジカルの消費を抑制する効果が殆ど得られない。また、水溶液中のアルコール濃度が0.5mmol/L未満であれば、基材表面が超音波照射により生成したヒドロキシルラジカルによって酸化される恐れがある。一方で、水溶液のアルコール濃度が6.5mol/Lを超えるあたりから金属ナノ粒子の析出量が減少し始め、10mol/Lを超えると、アルコールの濃度が高過ぎて、上記の反応式1の水のラジカル化反応の反応速度が著しく低下して金属ナノ粒子の析出が困難になる。
水溶液における金属塩の濃度は、0.5〜1000mmol/Lが好ましい。金属塩の濃度が0.5mmol/L未満であれば、その濃度が低過ぎるため、従来技術と比較して金属ナノ粒子の生産性が十分改善されたとは言い難い。一方で、1000mmol/Lを超えると、金属塩の濃度が高すぎるため、粒子サイズにばらつきが生じるおそれがある。
金属塩、アルゴンガス、及びアルコールを含有する水溶液に超音波照射を行う際の水溶液温度は、5〜40℃が好ましい。水溶液の温度が5℃未満であれば、金属塩の溶解が不十分となり、金属ナノ粒子の生産性を改善することが難しくなる。一方で、40℃を超えると、水溶液中のアルゴンガスとアルコールが脱気及び揮発し易くなるため、やはり金属ナノ粒子の生産性を改善することが難しくなる。
金属塩、アルゴンガス、及びアルコールを含有する水溶液には、析出する金属ナノ粒子の凝集を防止するため、分散剤や保護剤を添加してもよい。分散剤としては、ポリビニルピロリドンが好ましい。保護剤としては、硫酸ドデシルナトリウムが好ましい。
水溶液への超音波照射の条件は、周波数が0.1〜10MHz、出力が10〜1000Wであることが好ましい。周波数が0.1〜10MHzであれば、水をラジカル化しやすいという利点がある。また、出力が10〜1000Wであれば、処理する時間を短縮できるという利点がある。
本発明の実施形態1で示した金属ナノ粒子の製造方法によれば、従来の製造方法で製造した金属ナノ粒子と比較して粒径のばらつき等の品質が同等以上である、平均粒径が数nmから数十nmの金属ナノ粒子の生産性を高めることができる。
(実施形態2)
実施形態2では、実施形態1の製造方法で得られた金属ナノ粒子を基材表面に付着させて金属ナノ粒子被覆基材を製造する方法を説明する。
金属塩、アルゴンガス、及びアルコールを含有する水溶液に超音波照射を行う際に、水溶液中に基材を浸漬しておくことにより、超音波照射によって水溶液中に析出してくる金属ナノ粒子を基材表面に直接付着させることができる。この製造方法であれば、基材表面に金属ナノ粒子を付着させるための専用工程を設ける必要がなく、製造工程を簡略化できる。また、この製造方法によれば、金属ナノ粒子が水溶液中で堆積して凝集する前に基材表面に付着するため、金属ナノ粒子が基材表面に沿って配列して薄膜が形成された後に積層化が進行していくことから、ナノメートルオーダーの極めて薄く、かつ、均質な薄膜を基材上に容易に成形できる。また、この製造方法であれば、超音波照射時間等の変更により、金属ナノ粒子の付着量を容易に調整することができる。例えば、超音波照射時間を短くすれば、目的とする基材表面に金属ナノ粒子をまばらに担持させることができる。一方で、超音波照射時間を延長する又は超音波照射回数を増やすことで、金属ナノ粒子からなる薄膜を均等に、かつ、厚くすることが可能である。また、水溶液中のアルコール含有量を調整することにより、基材表面の酸化を抑制できるため、酸化され易い基材表面にも金属ナノ粒子を付着させることができる。例えば、基材表面が二価の鉄のように酸化される金属を含む場合、水溶液中のアルコール濃度は、鉄のモル濃度の3〜3000倍であることが好ましい。水溶液中のアルコール濃度が鉄のモル濃度の3〜3000倍であれば、基材表面の鉄の酸化を抑制しながら、基材表面に金属ナノ粒子を付着させることができる。また、この金属ナノ粒子被覆基材の製造方法であれば、金属ナノ粒子の凝集を防止するために水溶液に添加される分散剤や保護剤が本質的に必要ないことから、金属ナノ粒子からなる薄膜および基材の特性や品質を分散剤等によって劣化させることがない。
基材の形状や材質は、特に限定されるものではない。実施形態2の製造方法では、水溶液中で析出した金属ナノ粒子と基材表面が直接接触できれば、基材表面に金属ナノ粒子からなる薄膜が形成されるため、基材の形状は板状、球状、又は粉末状等であってもよい。ただし、粉末状の基材を使用する場合は、粉末状基材が水溶液中で重なり合って金属ナノ粒子と接触できなくなることを防止するために、粉末状基材を水溶液中に撹拌する装置を設置することが好ましい。また、基材が低密度の粉末である場合は、基材が水溶液の水面に浮いてしまい、基材表面に金属ナノ粒子からなる薄膜が均一に形成されないおそれがある。そこで、基材が低密度の粉末である場合は、基材が水面に常時浮遊した状態にならないように、水面付近の水溶液を水溶液が入った容器の底面付近に噴射する循環ポンプを用いることが好ましい。また、基材の材質が金属、ガラス、又は樹脂であっても、これらの基材の表面に金属ナノ粒子を付着させることができる。
粉末状基材の種類としては、銅や銀等の金属粉末、合金粉末、又はFePO、FePO・2HO、Fe、LiFePO、LiCoO、LiMn、LiNiO、Li(PO、LiFeSiO 等の酸化物粉末等が挙げられる。また、粉末状基材の大きさは、平均粒径10nm〜10mmが好ましい。
(実施例1)Auナノ粒子の製造
平底フラスコに金属塩としてテトラクロロ金(III)酸水溶液(HAuCl・4HO、和光純薬工業社製、0.1mM)を50ml入れた。この水溶液に溶存している酸素ガスや窒素ガスを除去するために、水溶液中にArガスを100ml/minで30分間流し、アルゴンガス置換を行った。アルゴンガス置換直後の溶存酸素が84%減少しており、推測される水溶液中のアルゴンガスの濃度は標準状態:STP(0℃、10Pa)で1.9mmol/Lである。
その後、水溶液にアルコールとしてエタノールを1mM(mmol/L)となるように添加した。平底フラスコを10℃に設定した恒温槽に入れ、平底フラスコの下に超音波装置を置いて、200kHz、10Wの条件で8分間、超音波を照射した。フラスコ内の色の変化を観察し、紫外可視分光光度計により、金ナノ粒子の生成を確認した。この紫外可視分光光度計の測定結果を図1に示す。また、得られた金ナノ粒子を走査型電子顕微鏡:SEM(日立ハイテクノロジーズ社製、SU−700)により観察した。このSEM写真を図2に示す。
(実施例2)
水溶液に添加するアルコールをエタノールから2−プロパノールに変更した以外は、実施例1と同様にして金ナノ粒子を製造し、超音波照射後の水溶液を紫外可視分光光度計により測定した。この紫外可視分光光度計の測定結果を図1に示す。
(比較例1)
水溶液にアルコールを添加しなかった以外は、実施例1と同様にして金ナノ粒子を製造し、超音波照射後の水溶液を紫外可視分光光度計により測定した。この紫外可視分光光度計の測定結果を図1に示す。
〔実施例1、2及び比較例1の比較と考察〕
図2に示すSEM写真から、実施例1では直径5〜50nm程度の金ナノ粒子が得られたことが分かった。また、図1では、波長200nm付近のピークはテトラクロロ金(III)酸イオン(〔AuCl)による吸光を示し、波長550nm付近のピークは金(Au)による吸光を示す。図1に示す実施例1、2及び比較例1の紫外可視分光光度計の測定結果から、波長200nm付近のピークの大きさは、比較例1(アルコールなし)>実施例1(エタノール)>実施例2(2−プロパノール)であり、一方で波長550nm付近のピークの大きさは、実施例2(2−プロパノール)>実施例1(エタノール)>比較例1(アルコールなし)であることが分かる。したがって、アルコールを添加しない場合に比べて、アルコールを添加した場合の方が〔AuClのピークが下がり、かつ、Auのピークが上昇することから、アルコールを添加することによって、水溶液中の金イオンの還元反応の反応速度が速くなり、金ナノ粒子の生産性が改善することが分かる。特に、実施例1(エタノール)と実施例2(2−プロパノール)との結果を比較すると、2−プロパノールの方がエタノールよりも金イオンの還元反応を促進できることが分かる。
(実施例3)Pdナノ粒子の製造
平底フラスコに、金属塩として塩化パラジウム(II)水溶液(PdCl・2NaCl・3HO、和光純薬工業社製、1mM)を50ml入れた。この水溶液に溶存している酸素ガスや窒素ガスを除去するために、水溶液中にArガスを100ml/minで30分間流し、アルゴンガス置換を行った。アルゴンガス置換直後の水溶液中のアルゴンガスの濃度は、標準状態:STP(0℃、10Pa)で1.9mmol/Lである。その後、水溶液にエタノールを1mMとなるように添加した。平底フラスコを10℃に設定した恒温槽に入れ、平底フラスコの下に超音波装置を置いて、200kHz、10Wの条件で12分間超音波を照射した。超音波の照射時間が0分、3分、5分、8分、12分の各時間において、フラスコ内の色の変化を目視観察した。フラスコ内の色は、超音波照射前は薄い黄色であったが、3分間照射後は薄い茶色に、5分間照射後はこげ茶色になり、そして8分間及び12分間照射後はほぼ黒色となった。
また、上記の目視検査と共に、超音波の照射時間が0分、3分、5分、8分、12分の各時間において、紫外可視分光光度計を用いて水溶液中におけるパラジウムナノ粒子の生成を確認した。この紫外可視分光光度計による測定結果を図3に示す。なお、図3(B)は、図3(A)における波長190nm〜500nmの範囲を抜粋したものである。図3において、波長200nm付近のピークは、塩化パラジウム(II)のイオン(〔PdCl)による吸光を示す。一方で、図3には、金属パラジウムによる吸光の明確なピークは現れていないが、金属パラジウムによる吸光は約300〜700nmの波長範囲から確認できる。図3に示すように、波長200nm付近のピークの大きさは、0分>3分>5分>8分>12分の順できれいに並んでおり、超音波照射時間が長くなるほど小さくなっていくことが分かる。一方で、図3における波長250〜400nmの吸光の大きさは、0分<3分<5分<8分<12分の順に並んでおり、超音波照射時間が長くなるほど大きくなっていくことが分かる。すなわち、図3から塩化パラジウム(II)、アルゴンガス、及びエタノールを含有する水溶液に超音波照射を行うと、超音波の照射時間に応じてパラジウムナノ粒子の生成量が増加することが分かる。
また、超音波を12分間照射した後の水溶液からパラジウムナノ粒子を採取してSEM(日立ハイテクノロジーズ社製、SU−700)により観察した。このSEM写真を図4に示す。その結果、直径5〜10nm程度のパラジウムナノ粒子が得られたことが分かった。
(実施例4)Pdナノ粒子被覆粉末の製造
超音波照射前の塩化パラジウム(II)水溶液に、FePO・2HO粉末(平均粒径100nm)を0.1g添加した以外は、実施例3と同様にして(12分間超音波照射)、パラジウムナノ粒子を生成すると共に、FePO・2HO粉末の表面にパラジウムナノ粒子を付着させた。塩化パラジウム(II)、FePO・2HO粉末、アルゴンガス、及びエタノールを含有する水溶液の色は、超音波照射前は白濁した茶色であったが、超音波を12分間照射した後にはほぼ黒色となった。超音波照射前と12分間照射後の粉末をろ過により採取した後、TEM像の撮影と、XRD測定を行った。このTEM写真を図5に、XRD測定結果を図6に示す。
(実施例5)Pdナノ粒子被覆粉末の製造(3層薄膜)
実施例4の超音波照射後のFePO・2HO粉末0.1gに対して、実施例4のパラジウムナノ粒子を付着させる工程を更に2度繰り返し、FePO・2HO粉末の表面にパラジウムナノ粒子を計3回付着させた。得られたFePO・2HO粉末についてXRD測定を行った。このXRD測定結果を図6に示す。
図6に示すXRD測定結果において、超音波照射前(未処理)にはPdのピーク(2θ=約40°、約47°、約68°)は現れていないが、超音波照射後はPdのピークが読み取れる。特に、実施例5のようにパラジウムナノ粒子の付着工程を3回繰り返すと、Pdのピークが明確に読み取れるようになる。これは、パラジウムナノ粒子の付着工程を繰り返すことにより、FePO・2HO粉末表面に形成されるパラジウムナノ粒子からなる薄膜が厚くなったからであると考えられる。なお、FePO・2HOの鉄は三価である。
(金属塩溶液中でのアルコールの機能:基材表面の酸化抑制機能)
本発明では、超音波を用いてPd2+又はAu3+等の金属イオンを含む金属塩溶液から前記金属イオンを還元して金属ナノ粒子を析出させ、析出した金属ナノ粒子を基材表面に付着させる。この基材が電極活物質等の電極構成材料である場合は、LiFePOやLiCoOなど酸化を嫌うものが多い。そのため、これらの材料は超音波の影響(生成したヒドロキシルラジカルや過酸化水素)で電極構成材料が酸化されると、その性能は著しく低下する。本発明では、超音波を用いた金属ナノ粒子の析出及び基材表面への金属ナノ粒子の付着の際に、金属塩溶液にアルコールを添加する。本発明者らは、超音波を用いた金属ナノ粒子の析出及び基材表面への金属ナノ粒子の付着の際に、金属塩溶液中のアルコールが基材表面の酸化又は還元に与える影響を調査した。具体的には、Fe2+含有溶液及びFe3+含有溶液にそれぞれ超音波を照射して、これらの溶液中にアルコールが存在することにより、Fe2+からFe3+への酸化及びFe3+からFe2+への還元にどのような影響が生じるかをFe2+濃度の定量分析により評価した。
<Fe3+からFe2+への還元にアルコールが与える影響>
Fe3+濃度が100ppm(0.00179mol/L)のFe3+含有溶液を作成した。このFe3+含有溶液にアルゴンガスを30分間バブリングして、この溶液中の溶存ガスをアルゴンガスでパージした。次いで、この溶液を3つのビーカーに50mLずつ採り分け、その中の一つのビーカーにはエタノールを20mmol添加してエタノール濃度400mmol/Lとし、もう一つのビーカーには2−プロパノールを20mmol添加して2−プロパノール濃度400mmol/Lとし、最後の一つのビーカーには何も添加しなかった(以下、「還元剤なし」と標記する)。このようにして作成した3つのビーカーに入った100ppmのFe3+含有溶液にそれぞれ、超音波を10℃で12分間照射した。超音波照射後に、これらのFe3+含有溶液中のFe2+濃度を、紫外可視分光光度計を用いて定量した。その結果、エタノールを添加した場合のFe2+濃度は1.19ppmであり、2−プロパノールを添加した場合のFe2+濃度は1.10ppmであり、還元剤なしの場合のFe2+濃度は0.09ppmであった。これらの定量分析結果を図7に示す。
<Fe2+からFe3+への酸化にアルコールが与える影響>
FeSO・7HO(硫酸鉄(II)七水和物)を純水で希釈して、Fe2+濃度が21.33ppm(0.00036mol/L)のFe2+含有溶液を作成した。このFe2+含有溶液にアルゴンガスを30分間バブリングして、この溶液中の溶存ガスをアルゴンガスでパージした。次いで、この溶液を3つのビーカーに50mLずつ採り分け、その中の一つのビーカーにはエタノールを20mmol添加してエタノール濃度400mmol/Lとし、もう一つのビーカーには2−プロパノールを20mmol添加して2−プロパノール濃度400mmol/Lとし、最後の一つのビーカーには何も添加しなかった(以下、「還元剤なし」と標記する)。このようにして作成した3つのビーカーに入った20ppmのFe2+含有溶液にそれぞれ、超音波を10℃で12分間照射した。超音波照射後に、Fe2+含有溶液中のFe2+濃度を、紫外可視分光光度計を用いて定量した。その結果、エタノールを添加した場合のFe2+濃度は20.61ppmであり、2−プロパノールを添加した場合のFe2+濃度は20.48ppmであり、還元剤なしの場合のFe2+濃度は16.09ppmであった。これらの定量分析結果を図8に示す。
<考察>
図7から、Fe3+濃度100ppmのFe3+含有溶液にアルコールを添加することにより、Fe3+含有溶液中のFe2+濃度が1ppm程度上昇することが分かる。Fe3+濃度が100ppmであるのに対してアルコール添加によるFe2+濃度の上昇幅は1ppm程度であるから、Fe3+含有溶液にアルコールを添加しても、Fe3+の1%程度が余分に還元されるに過ぎない。つまり、Fe3+含有溶液にアルコールを添加しても、Fe3+からFe2+への還元促進効果は1%程度と極めて小さいことから、アルコール添加による基材表面の還元という悪影響は小さいと言える。
一方で、図8から、Fe2+初期濃度21.33ppmのFe2+含有溶液にアルコールを添加した場合における超音波照射によるFe2+濃度の減少量は1ppm未満であるのに対し、還元剤なしの場合における超音波照射によるFe2+濃度の減少量は5ppmを超えている。すなわち、図8から、Fe2+含有溶液にアルコールを添加することにより、超音波照射によるFe2+からFe3+への酸化を1/5未満に抑制できることが分かる。換言すれば、Fe2+初期濃度21.33ppmに対してアルコール添加によるFe2+濃度の減少量抑制幅は4ppm以上であるから、Fe2+含有溶液にアルコールを添加することにより、Fe2+含有溶液中のFe2+の1/5程度が超音波照射による酸化を免れたことになる。つまり、Fe2+含有溶液にアルコールを添加することにより、超音波照射によるFe2+からFe3+への酸化が1/5未満にまで抑制されることから、アルコール添加による基材表面の酸化抑制効果は極めて大きいと言える。この効果は、電極構成材料にとって非常に好ましい効果である。特に、金属塩溶液のアルコール濃度を400mmol/L以上とすれば、基材表面の酸化抑制効果をより大きくすることができる。このことから、金属及び金属の酸化物からなる基材に対しても、超音波照射による金属ナノ粒子生成過程における基材表面の酸化を抑制しながら、金属コーティングが行える。
このように、金属塩溶液にアルコールを添加した場合は、超音波照射による基材表面の還元をわずかに促進してしまうものの、超音波照射による基材表面の酸化を著しく抑制できる。すなわちアルコール添加量を調整することにより、金属ナノ粒子を生成させながら基材表面へ付着させる過程において、その基材表面の酸化を抑制することができる。そのため、本発明は、基材自体の酸化や基材表面の酸化を嫌う材料(Fe2+,Co2+,Mn3+,V3+,Ni2+等を含む化合物やAu,Cuなどの金属)に対しても適用できる。
本発明は、様々な基材の表面に数nm以上の厚さの金属ナノ粒子からなる薄膜を簡便な手法により形成できる製造方法であるので、化粧用材料、電子回路基板、電極材料等の製造にも適用できる。

Claims (7)

  1. 金属塩、アルゴンガス、及びアルコールを含有する溶液に超音波照射を行い、前記金属塩の金属をナノ粒子として析出させることを特徴とする金属ナノ粒子の製造方法。
  2. 前記金属塩を溶媒に溶解させて金属塩溶液を作成する工程と、
    前記アルゴンガスを用いて、前記金属塩溶液に溶存する酸素ガス及び窒素ガスをパージすると共に、前記アルゴンガスを前記金属塩溶液に溶存させる工程と、
    前記アルゴンガスが溶存した金属塩溶液に前記アルコールを添加する工程と、
    前記アルゴンガス及びアルコールが溶存する金属塩溶液に前記超音波照射を行うことにより、前記金属ナノ粒子を析出させる工程と、を有することを特徴とする請求項1に記載の金属ナノ粒子の製造方法。
  3. 前記アルコールは、プロパノールであることを特徴とする請求項1又は2に記載の金属ナノ粒子の製造方法。
  4. 金属塩、アルゴンガス、アルコール、及び基材を含有する溶液に超音波照射を行い、前記金属塩の金属をナノ粒子として析出させて前記基材の表面に付着させることを特徴とする金属ナノ粒子被覆基材の製造方法。
  5. 前記基材は粉末であることを特徴とする請求項4に記載の金属ナノ粒子被覆基材の製造方法。
  6. 前記基材は、酸化を嫌う材料を含むことを特徴とする請求項4に記載の金属ナノ粒子被覆基材の製造方法。
  7. 前記酸化を嫌う材料は、二価の鉄であることを特徴とする請求項6に記載の金属ナノ粒子被覆基材の製造方法。
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