JP2015181521A - 弁尖形成用テンプレート - Google Patents

Abstract

【課題】弁尖にかかるストレスを分散し，より耐性のある弁尖を形成するための弁尖素材を得るためのテンプレートを提供する。
【解決手段】弁尖基部に相当する形状を有する弁尖基部形成部１１を有するテンプレート１３。このテンプレートは，弁尖基部形成部１１の外部に設けられたウイング部に対応したウイング形成部１５をさらに有する。ウイング形成部の例は，ウイングの輪郭に相当する部位に設けられた１又は複数の穴であるか，ウイングの輪郭に相当する部位に設けられたガイド部である。
【選択図】図１

Description

本発明は，例えば大動脈弁形成術や大動脈弁再建術を施術する際に，人工膜又は生体膜から弁尖素材を形成するために用いられる弁尖形成用テンプレートに関する。

特許第５１０６０１９号公報（下記特許文献１）には，弁尖形成用テンプレートが開示されている。この文献におけるテンプレートは，呼び径（切除した弁尖の双方の交連部と一致したサイズのサイザーブロックの円弧面を形成する円柱の径）と縫い代の和を径とする略半円状の弁尖基部形成部と，弁尖基部形成部に連続するコアプテーションゾーン形成部からなる線引部を有する。このテンプレートを用いて膜に線を引き，その線にそって膜を切除する。すると，弁尖形成用の弁尖素材を得ることができる。

特許第５１０６０１９号公報

上記の特許文献１のテンプレートは，弁尖の大きさと縫い代とを含めた大きさの弁尖素材が得られる。弁尖にかかるストレスを分散し，より耐性のある弁尖を形成することが望まれる。このため，そのような弁尖素材を得るためのテンプレートが望まれる。

本発明は，弁尖形成用テンプレートに関する。この弁尖形成用テンプレートは，弁尖形成部を形成した上で，ウイングを描画するためのウイング形成部を設けたものである。膜から弁尖素材を切り出すためには，ウイング形成部によって描画された線（又は点）を目安に，膜を切り出して弁尖素材を形成できる。また，例えば大動脈弁形成術を施術する際には，弁尖形成部により描画された弁尖の形状が弁尖を作成する際に役立つこととなる。

本発明は，弁尖形成用テンプレートに関する。この弁尖形成用テンプレートは，例えば，大動脈弁形成術や大動脈弁再建術に用いられる。そして，このテンプレートは，弁尖基部に相当する形状を有する弁尖基部形成部１１を有する。この弁尖形成用テンプレートは，弁尖基部形成部１１の外部に設けられたウイング部に対応したウイング形成部１５をさらに有する。

ウイング形成部の例は，ウイングの輪郭に相当する部位に設けられた１又は複数の穴である。また，ウイング形成部の他の例は，ウイングの輪郭に相当する部位に設けられたガイド部である。ウイング形成部は，例えば，弁尖基部形成部１１の側面上端から弁尖基部形成部１１の側面の４０％以上８０％以下の部位に設けられることが好ましい。

弁尖基部形成部１１には，施術の際に縫う箇所を示す目盛りが設けられていることが好ましい。この目盛りは，等間隔であってもよいし，実際に縫う箇所に対応させたものであってもよい。

本発明のテンプレートに基づいて弁尖素材を得た場合，弁尖形成部の側面にウイング部が形成されている。例えば，このウイング部を折り返して動脈と縫い合わせることで，縫い合わせ部に係るストレスを分散させることができ，弁尖に耐性をもたらすことができる。

図１は，弁尖形成用テンプレートの例を示す図である。 図２は，図１のテンプレートの参考斜視図である。 図３は，弁尖基部形成部とウイング形成部の例を示す図である。 図４は，図３Ｄに示される弁尖基部形成及びウイング形成部を有するテンプレートの参考斜視図である。 図５は，テンプレートを用いて切り出される弁尖素材の例を示す図である。 図６は，血管に，弁尖素材を縫合する様子を示す概念図である。 図７は，本発明のテンプレートを用いて大動脈弁再建術を施術した際の新たな弁尖が形成された動脈を示す図面に替わる写真である。

以下，図面を用いて本発明を実施するための形態について説明する。本発明は，以下に説明する形態に限定されるものではなく，以下の形態から当業者が自明な範囲で適宜修正したものも含む。

本発明は，弁尖形成用テンプレートに関する。図１は，弁尖形成用テンプレートの例を示す図である。図２は，図１のテンプレートの参考斜視図である。この弁尖形成用テンプレートは，例えば大動脈弁形成術に用いられるテンプレートである。そして，図１に示されるように，このテンプレート１３は，弁尖基部に相当する形状を有する弁尖基部形成部１１を有する。この弁尖形成用テンプレートは，弁尖基部形成部１１の外部に設けられたウイング部に対応したウイング形成部１５をさらに有する。図１における数字は，対応するサイザーにも振られている数字である。

図３は，弁尖基部形成部とウイング形成部の例を示す図である。図３Ａに示されるように，弁尖基部形成部１１の横上方端部が交連部に相当する位置に存在する例を示す。図において，弁尖基部形成部１１の縁と点線とで囲まれた部分が縫い代である。点線は，弁尖の形状を示す。この場合，弁尖基部形成部１１の下方端部を含む領域において縫い代１９が設けられている。弁尖基部形成部１１の両方の側面には，ウイング形成部１５としての複数の穴が設けられている。

弁尖基部形成部１１の上方部分は，先に挙げた特許第５１０６０１９号公報と同様に長方形形状であってもよいし，逆さ台形形状であってもよい。また，この上方部分は，長方形や逆さ台形形状に加えて，上方中心に向かって斜めの傾斜が設けられてもよい。これらの上方部分は，先に挙げた特許第５１０６０１９号公報にいうコアプテーションゾーンを構成する部位である。

弁尖基部形成部１１は，先に挙げた特許第５１０６０１９号公報と同様の形状のものを用いてもよい。図３Ｂは，弁尖基部形成部が，縫い代の大きさと弁尖の大きさとを合わせた大きさを有するテンプレートの例を示すものである。この場合，弁尖基部形成部１１により形成される弁尖基部は，実際の弁尖の大きさの他，縫い代を考慮した形状を有する。

ウイング形成部１５は，図３Ｃに示されるように１ヶ所の穴により構成されていてもよい。この穴が存在するので，穴を目安として膜を切除することにより，施術の際に適切な大きさのウイングを形成することができる。

ウイング形成部１５は，図３Ｄに示されるように溝形状を有していてもよい。この溝に沿って筆記具を移動させると膜にウイング部にそって膜を切除する際の目安となる線を描画できることとなる。図４は，図３Ｄに示される弁尖基部形成部及びウイング形成部を有するテンプレートの参考斜視図である。

図５は，テンプレートを用いて切り出される弁尖素材の例を示す図である。図５に示されるように，この弁尖素材は，弁尖基部２１と，ウイング部２５とを有する。そして，弁尖基部２１には，目盛り２７が描画されるとともに，弁尖基部２１の下端には指標２８が描画される。

ウイング部２５は，施術の際に折りたたまれて弁尖基部２１と重ねられた状態で動脈などに固定される部位である。その意味では，ウイング部は折り代を提供する部位であるといえる。ウイング部は，折りたたまれる部位である。このため，ウイング形成部は，特許第５１０６０１９号公報の縫い代のように弁尖基部形成部１１の上面以外の周全体に存在するのではなく，例えば，弁尖基部形成部１１の側面上端から弁尖基部形成部１１の側面の４０％以上８０％以下（又は５０％以上７０％以下）の部位に設けられることが好ましい。この範囲は，２つの弁尖基部形成部１１の側面上端を結ぶ線の中点から垂線を下ろし，弁尖基部形成部１１の下方端までの距離を１００％としたときの範囲である。

ウイング形成部の例は，ウイング部の輪郭に相当する部位の一部（又は全体）に設けられた１又は複数の穴である。また，ウイング形成部の他の例は，ウイングの輪郭に相当する部位に設けられたガイド部である。ガイド部は，例えば，ウイングに相当する線を描画するための溝である。この溝を用いることで，ウイング部の目安となる点や線を描画できる。

弁尖基部形成部１１には，大動脈弁形成術や大動脈弁再建術といった弁を形成する手術を施術する際に縫う箇所を示す目盛り２７が設けられていることが好ましい。この目盛りは，等間隔であってもよいし，実際に縫う箇所に対応させたものであってもよい。この目盛りは，例えば，弁尖基部形成部１１の縁部分に設けられている。大動脈弁再建術は，３つの弁線を全て新しい弁尖に置き換えるもので，大動脈弁形成術はもともとの弁線を少なくとも一つ残したうえで，新しい弁尖に置き換えるものである。

次に，患者の自己の心膜で形成した弁尖素材を用いて大動脈弁を形成する大動脈再建術の例を説明する。この場合，胸骨を露出させた後，胸骨正中切開を行う。その後，心膜を切開する。心臓を露出させた状態で人工心肺による体外循環を行い，心拍を停止させた後大動脈弁を露出させる。一方，先に取得した心膜を糸により拡張し，固定させた状態で，組織固定溶液（例えば，グルタールアルデヒドを含む液）に漬ける。

次に，大動脈弁の三枚の弁尖のうち除去するものを切除する。切除した部位に，弁尖サイザーを順次当て，切除した弁尖の大きさ（交連部間の距離に基づく）を測定する。組織固定溶液から心膜を取り出す。そして，テンプレートのうち，弁尖サイザー（切除した弁尖の交連部に対応した大きさのもの）に対応した部位の弁尖基部形成部１１に沿って，心膜に線を描画する。具体的には，弁尖基部形成部１１は，その内部が空間になっているため，弁尖基部形成部１１の縁に沿って筆記具を沿わせることで，弁尖基部用の線を心膜に描画できる。この心膜に描画された弁尖基部用の線は，施術の際に目安となればよいので，連続した線であってもよいし，弁線の主要な外形を示す線又は点であっても構わない。この後，ウイング形成部１５を用いて，ウイング形成部に対応した目印を描画する。ウイング形成部に対応した目印の形状は，テンプレートの種類によって様々である。ウイング形成部に対応した目印の例は，上記したとおり，線であってもよいし，１又は複数個所の点であってもよい。弁尖基部形成部１１に目盛りが設けられているテンプレートを用いる場合は，目盛りを目安として，心膜に施術の際に縫う箇所を示す目印を適宜描画してもよい。

次に，ウイング形成部に対応した目印を目安として，心膜を裁断し，弁尖素材を得る。弁尖素材は，例えば生理食塩水に浸しておく。

図６は，大動脈などの血管に，弁尖素材を縫合する様子を示す概念図である。図６Ａに示されるように弁尖素材のウイング部２５は，ウイング部２５が内側になるようにおられる（すなわち，山折される）。具体的な施術方法の基本作業は，特許第５１０６０１９号公報と同様である。すなわち，弁尖の中心点と対応する位置に形成されている指標２８を山王にして，その指標２８が指し示す位置に糸をかけ，弁尖基部２５の中心点を縫合する。この中心点を基準として，交連部に向けて縫い進める。弁尖基部２５の下端領域においては，針の間隔を細かくすることが好ましい。具体的には，弁尖基部２５の下端領域においては，弁尖基部２５の側面領域に比べて針のピッチを１／３にすることが好ましい。

交連部付近まで縫い進めたら，最上部の目盛り部分を残して，血管外に針を突き出す。そして，隣接する弁尖基部も同様に縫い進め，最上部の目盛り部分を残して，血管外に針を突き出す。一方の弁尖素材のウイング部における最上部の目盛り部分に血管外部から血管内部に向けて両端に針の付いた先に用いたものとは別の糸を貫通させる。具体的に説明すると図６ＡにおけるＡ点からＢ点に向けて糸を通す。そして，Ｂ点からの糸はＤ点を通って，フェルト側に出る。一方Ａ点付近の針も，Ｃ点を通ってフェルト側に出される。すると，４つの針が血管外部に向けられている状態となる（図６Ａ）。この４つの針で１つのフェルトを貫通させる（図６Ｂ）。４つの針は，ある弁尖素材の下端から縫い上げられてきた針，ある弁尖素材に隣接する弁尖素材の下端から縫い上げられてきた針，及び最上部に存在する糸の両端に設けられた２つの針である。そして，フェルトを貫通した状態で，糸を結ぶ（図６Ｃ）。このようにして，弁尖素材を血管に固定することができる。上記は医療用の糸を用いて弁尖素材を血管に固定したものである。しかし，例えば医療用ホチキスといった糸以外の手段を用いて弁尖素材を血管に固定してもよい。

図７は，本発明のテンプレートを用いて大動脈弁再建術を施術した際の新たな弁尖が形成された動脈を示す図面に替わる写真である。

本発明は，医療機器の分野で好適に利用されうる。

１１・・弁尖基部形成部 １３・・テンプレート １５・・ウイング形成部
１７・・目盛り

Claims (6)

1. 弁尖基部に相当する形状を有する弁尖基部形成部（１１）を有するテンプレート（１３）であって，
   前記弁尖基部形成部（１１）の外部に設けられたウイング部に対応したウイング形成部（１５）をさらに有する，
   テンプレート。
2. 請求項１に記載のテンプレートであって，
   前記ウイング形成部は，ウイングの輪郭に相当する部位に設けられた１又は複数の穴を有するテンプレート。
3. 請求項１に記載のテンプレートであって，
   前記ウイング形成部は，ウイングの輪郭に相当する部位に設けられたガイド部を有するテンプレート。
4. 請求項１に記載のテンプレートであって，
   前記ウイング形成部は，前記弁尖基部形成部（１１）の側面上端から弁尖基部形成部（１１）の側面の４０％以上８０％以下の部位に設けられるテンプレート。
5. 請求項１に記載のテンプレートであって，
   前記弁尖基部形成部（１１）は，施術の際に縫う箇所を示す目盛り（１７）が設けられているテンプレート。
6. 請求項１に記載のテンプレートであって，
   前記弁尖基部形成部（１１）は，等間隔の目盛り（１７）が設けられているテンプレート。
   

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