JP2015178761A - H形鋼用補強部材 - Google Patents

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秀樹 井戸田
Hideki Idota
秀樹 井戸田
勉 花井
Tsutomu Hanai
勉 花井
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EBISU KENCHIKU KENKYUSHO KK
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Abstract

【課題】補強部材を溶接しないでH形鋼に取り付ける構造にすることで、H形鋼に短時間で取り付けられ、また既存建物に使用されているH形鋼に取り付けることができ、高所においても容易に作業でき、そのH形鋼を効率よく補強することができる。【解決手段】ウェブWとフランジF1,F2から成るH形鋼Sを補強するために、H形鋼Sに集中応力が作用しないように、板材を中央部分が長手方向に沿って膨らむように曲折形成された凸条部4と、この凸条部4の両側に連続して形成された、H形鋼SのウェブWに接するように取り付けられる当接・取付部5を有する補強部材2と、当接・取付部5をウェブWに固定する締結手段3と、を備え、2枚の補強部材2を、各当接・取付部5をそれぞれ向かい合わせにして、H形鋼SのウェブWに挟むように取り付ける。【選択図】図1

Description

本発明は、鋼材の補強技術に係り、特に建物に使用されるH形鋼を補強するためのH形鋼用補強部材に関する。
従来から、形鋼の一種であるH形鋼は、建築用をはじめ橋梁・機械・車両の構造部材、トンネルの支保工・杭等の土木用と多岐にわたり使用されている。特に建築分野での使用比率は高い。H形鋼は、主に熱間圧延によって製造される断面形状がH形をした鋼材で、この断面形状により、すぐれた曲げ耐力・座屈耐力を有している。H形鋼はウェブとフランジから成る形鋼である。また、H形鋼はテーパーのない単純な面で構成されているため、切断・穴あけのような簡単な加工のみでそのまま使用できるという利点がある。
建築物に対する安全意識の向上に伴い、安全性の向上を一層促進するべく、種々の対策が求められている。例えば、H形鋼が既存建物の梁として使用されているときは、その横座屈を防止することが求められている。横座屈とは、H形鋼に曲げモーメントが作用すると、一方のフランジには圧縮力、他方のフランジには引張力が発生し、この圧縮力が所定の値を超えると座屈を起こし、片側のフランジが座屈によって曲がろうとすると、断面全体がこれに抵抗しようとする。これらの力のせめぎ合いにより、全体として断面が捩れたり、あるいは横方向にはみ出すように曲る現象をいう。
H形鋼等の鋼材の横座屈の防止に関する技術が種々提案されている。例えば、特許文献1の特開2012−52364号公報「既存鉄骨建物の耐震補強方法」のように、既存の鉄骨建物を構成している鉄骨部材に添わせて表面に帯状鋼板から成る補強鋼材を接合して鉄骨部材を補強する方法が提案されている。
また、特許文献2の特開平9−256459号公報「鉄骨梁の横座屈防止構造」のように、鉄骨大梁自体にスチフナーを取り付けた鉄骨梁の横座屈を防止する構造が提案されている。
更に、特許文献3の特開2014−43750号公報「H形鋼製鉄骨梁の補強構造」のように、梁が局部的に空き缶をつぶしたような局部座屈を防止する方法が提案されている。
特開2012−52364号公報 特開平9−256459号公報 特開2014−43750号公報
しかし、特許文献1の「既存鉄骨建物の耐震補強方法」に開示された、既存の鉄骨建物を構成している鉄骨部材に添わせて表面に帯状鋼板から成る補強鋼材を接合して鉄骨部材を補強する方法は、H形鋼に直接ボルト穴を開けることから、H形鋼自体が脆弱になる可能性があるという問題を有していた。また、H形鋼自体に施工を行うことから、さまざまな構造の既存建物のH形鋼自体に施工を行うのは複雑で高所においての作業には不向きであるという問題も有していた。
特許文献2の「鉄骨梁の横座屈防止構造」に開示された、鉄骨大梁自体にスチフナーを取り付けた鉄骨梁の横座屈防止構造は、高所においてのH形鋼への溶接が必要であるため、時間も労力もかかるという問題を有していた。また、スチフナーの寸法を正確に測定する必要があることから、作業が煩雑であるという問題も有していた。
特許文献3の「鉄骨梁の横座屈防止構造」に開示された、鉄骨梁のウェブ面に、多数の鋼製の補剛部材を鉄骨梁の塑性化領域全域に亘って設ける構造は、高所においてのH形鋼へ多数の補剛部材を取り付ける必要があるため、作業時間が長時間になりやすいという問題を有していた。
本発明は、かかる問題点を解決するために創案されたものである。すなわち、本発明の目的は、補強部材を溶接しないでH形鋼に取り付ける構造にすることで、H形鋼に短時間で取り付けられ、また既存建物に使用されているH形鋼に取り付けることができ、高所においても容易に作業でき、そのH形鋼を効率よく補強することができるH形鋼用補強部材を提供することにある。
第1の本発明は、ウェブ(W)と該ウェブ(W)の両側にフランジ(F1,F2)が形成されたH形鋼(S)を補強するために、該H形鋼(S)にその長手方向に両側から取り付けるH形鋼用補強部材(1)であって、前記H形鋼(S)に集中応力が作用しないように、板材を中央部分が長手方向に沿って膨らむように曲折形成された凸条部(4)と、該凸条部(4)の両側に連続して形成された、前記H形鋼(S)のウェブ(W)に接するように取り付けられる当接・取付部(5)を有する補強部材(2)と、前記当接・取付部(5)をウェブ(W)に固定する締結手段(3)と、を備え、2枚の前記補強部材(2)を、各当接・取付部(5)をそれぞれ向かい合わせにして、前記H形鋼(S)のウェブ(W)に挟むように取り付ける構成にした、ことを特徴とする。
前記両締結手段(3)は、前記補強部材(2)の当接・取付部(5)に開けたボルト挿通孔(8)と、前記ウェブ(W)に開けたボルト孔(9)にボルト(6)を通してナット(7)で締結する手段である。
前記締結手段(3)は、前記補強部材(2)の当接・取付部(5)と接する前記ウェブ(W)とを接着剤(12)又はマグネットのように吸着により締結する吸着締結構造である。
前記凸条部は、短手方向の断面形状が湾曲した形状の半円形凸条部(11)にすることができる。
第2の本発明は、ウェブ(W)と該ウェブ(W)の両側にフランジ(F1,F2)が形成されたH形鋼(S)を補強するために、該H形鋼(S)にその長手方向に取り付ける形鋼用補強部材(21)であって、前記H形鋼(S)に集中応力が作用しないように、板材の短手方向の両縁を共に同一面側に曲折して成り、一方の前記フランジ(F1)に当接する第1当接部(24a)と、該第1当接部(24a)に連続して曲折形成された、前記ウェブ(W)に接するように取り付けられる第1当接・取付部(25a)と、他方の前記フランジ(F2)に当接する第2当接部24bと、該第2当接部24bに連続して形成された、前記ウェブ(W)に接するように取り付けられる第2当接・取付部(25b)と、を有する曲折補強部材(22)と、前記第1当接・取付部(25a)と第2当接・取付部(25b)をウェブ(W)に固定する締結手段(23)と、を備え、2枚の前記曲折補強部材(22)を、各第1当接・取付部(25a)同士、各第2当接・取付部(25b)同士をそれぞれ向かい合わせにして、前記H形鋼(S)のウェブ(W)に挟むように取り付ける構成にした、ことを特徴とする。
前記両締結手段(23)は、前記曲折補強部材(22)の第1当接・取付部(25a)、第2当接・取付部(25b)に開けたボルト挿通孔(27)と、ウェブ(W)に開けたボルト挿通孔(27)とをボルト(6)・ナット(7)により締結する手段である。
前記締結手段(23)は、前記曲折補強部材(22)の第1当接・取付部(25a)、第2当接・取付部(25b)と接するウェブ(W)とを接着剤(29)又はマグネットのように吸着により締結させる吸着締結構造である。
前記第1当接部(24a)と第2当接部(24b)との連結面は、短手方向の断面形状が前記第1当接・取付部(25a)と第2当接・取付部(25b)との反対側へ突出するように湾曲した形状にすることができる。
第1の本発明では、H形鋼(S)のウェブ(W)の片面に、2か所の当接・取付部(5)を固定することでウェブ(W)の座屈を防止でき、H形鋼(S)のフランジ(F1,F2)も補強部材(2)の両端縁で固定することでフランジ(F1,F2)の座屈を防止できる。1枚の補強部材(2)はH形鋼(S)の片面を2か所の「面」で補強する構成になる。補強部材(2)が、向い合わせにH形鋼(S)に取り付けられているので、ウェブ(W)、フランジ(F1,F2)に集中応力が作用しないようにして、その座屈を防止できる。
第2の本発明では、H形鋼(S)に第1当接・取付部(25a)と第2当接・取付部(25b)で固定することでH形鋼(S)のウェブ(W)の片面に2か所ずつでウェブ(W)の座屈を防止でき、H形鋼(S)のフランジ(F1,F2)は第1当接部(24a)と第2当接部(24b)で片面に2か所を固定することでフランジ(F1,F2)の座屈を防止できる。第2の本発明は、1枚の曲折補強部材(22)はH形鋼(S)の片面を4か所の「面」で補強する構成になる。曲折補強部材(22)が、向い合わせにH形鋼(S)に取り付けられているので、ウェブ(W)、フランジ(F1,F2)に集中応力が作用しないようにして、その座屈を防止できる。
実施例1のH形鋼用補強部材をH型鋼に取り付ける状態を示す斜視図である。 実施例1のH形鋼用補強部材をH型鋼に取り付ける状態を示す短手方向の断面図である。 実施例1のH形鋼用補強部材をH型鋼に取り付けた状態を示す短手方向の断面図である。 実施例1のH形鋼用補強部材の凸条部の変形例を示す短手方向の断面図である。 実施例1のH形鋼用補強部材の締結手段の変形例を示す短手方向の断面図である。 実施例2のH形鋼用補強部材をH型鋼に取り付ける状態を示す斜視図である。 実施例2のH形鋼用補強部材をH型鋼に取り付ける状態を示す短手方向の断面図である。 実施例2のH形鋼用補強部材をH型鋼に取り付けた状態を示す短手方向の断面図である。 実施例2のH形鋼用補強部材の凸条部の変形例を示す短手方向の断面図である。 実施例2のH形鋼用補強部材の締結手段の変形例を示す短手方向の断面図である。
本発明のH形鋼用補強部材は、ウェブとフランジから成るH形鋼を補強するために取り付けられる補強部材である。
以下、本発明の好ましい実施の形態を図面を参照して説明する。
<H形鋼用補強部材の構成>
図1は実施例1のH形鋼用補強部材をH型鋼に取り付ける状態を示す斜視図である。図2は実施例1のH形鋼用補強部材をH型鋼に取り付ける状態を示す短手方向の断面図である。図3は実施例1のH形鋼用補強部材をH型鋼に取り付けた状態を示す短手方向の断面図である。
本発明のH形鋼用補強部材1は、H形鋼S等の形鋼にその長手方向に取り付ける補強用の部材である。H形鋼Sは、長手方向に対して直交する方向における断面形状が、「H」字形状に構成され、長い板状のウェブWの両端にフランジF1,F2がそれぞれ形成されたものである。両端に形成されたフランジF,F2は通常同一形状である。
実施例1のH形鋼用補強部材1は、2枚の補強部材2をH形鋼Sにその長手方向に両側から取り付け、H形鋼Sに固定する締結手段3とを備えた部材である。補強部材2は、板材を中央部分が長手方向に沿って膨らむように曲折形成された凸条部4と、この凸条部4の両側に連続して形成された、H形鋼SのウェブWに接するように取り付けられる当接・取付部5を有する。
補強部材2の材質は、H形鋼S及び建物が耐え得る重量の金属板である。高所にて作業を行うことが多いので、作業上簡易な比重の比較的軽い金属製であることが好ましい。
凸条部4は、板材を中央部分が長手方向に沿って断面が略コ字に曲折した部分である。この凸条部4は、補強部材2の耐曲げ応力と耐圧縮応力を向上させる部分である。更に、捩れ応力にも耐えられるようにするためである。
当接・取付部5は、凸条部4の両側に連続して形成された部分である。この位置は文字通りウェブWに当たると共に、締結手段3が講じられる部分である。例えば、図1から図3に示すように締結手段3がボルト6・ナット7で締結されるときは、この当接・取付部5にボルト挿通孔8が長手方向に複数個所開けられている。
<締結手段の構成>
実施例1の形鋼用補強部材1は、容易に施工することができるよう、2枚の補強部材2をH形鋼SのウェブWを両側から挟んで固定する構成とした。この場合、両補強部材2がより密着するようにH形鋼Sに固定する必要がある。そこで、図示するように、締結手段3により強固に締結する。図示例の締結手段3は、補強部材2の当接・取付部5に開けられたボルト挿通孔8と、H形鋼SのウェブWに開けられたボルト孔9とにボルト6を通し、更にこのウェブWの反対面に同様に取り付けられた補強部材2の当接・取付部5に開けられたボルト挿通孔8にまでこのボルト6を通してナット7で締結する。10はワッシャである。本発明のH形鋼用補強部材1は、1本のH形鋼Sにその長手方向に2枚の補強部材2を取り付ける構成になるので、ボルト6・ナット7の締結箇所は複数個所になる。
横座屈は上述したように、モーメントの作用により発生することから、補強部材2はウェブWを挟んで、H形鋼Sの長手方向に直交方向の断面視における左右が対称であることが望ましく、そのため、上述したように、同一形状の補強部材2を向かい合わせにして使用している。
<H形鋼用補強部材の長手方向の寸法構成>
図2、図3に示すように、補強部材2の当接・取付部5は、両端縁がフランジF1,F2の内面に接する程度の長さを有する。この両端縁がフランジF1,F2の内面に接することにより、H形鋼Sを補強することもできるからである。
<形鋼用補強部材の長手方向の寸法構成>
補強部材2は、H形鋼Sの長手方向の中央を中心に、少なくとも1/5以上、好ましくは1/3以上覆うことができるよう構成される。また、横座屈が防止できれば、必ずしもH形鋼S1の中央部分を覆う必要はなく、1つのH形鋼用補強部材1が用いられてもよいし、2以上のH形鋼用補強部材1が用いられても良い。
<補強部材の凸条部の変形例>
図4は実施例1のH形鋼用補強部材の凸条部の変形例を示す短手方向の断面図である。
補強部材2の凸条部4は、断面が略コ字に曲折した形状に限定されない。図示する変形例では短手方向の断面形状が湾曲した形状の半円形凸条部11になる。このような形状の半円形凸条部11であっても、補強部材2の耐曲げ応力と耐圧縮応力を向上させることができる。更に、補強部材2の耐曲げ応力と耐圧縮応力を向上させる機能を有する形状であれば略コ字形状又は半円形状に限定されない。
<補強部材の締結手段の変形例>
図5は実施例1のH形鋼用補強部材の締結手段の変形例を示す短手方向の断面図である。
締結手段3は、ボルト6とナット7よる締結に限定されない。図示するように補強部材2の当接・取付部5と接するウェブWとを接着剤12のように吸着により締結する吸着締結構造を用いることができる。この接着剤12によれば、ウェブWにボルト孔9が開けられていないので、そのH形鋼Sは脆弱にならず強度を低下させることはない。接着剤12に代えてマグネットのように吸着により締結することも可能である。更に、上述した手段以外も講ずることができる。
<H形鋼用補強部材の構成>
図6は実施例2のH形鋼用補強部材をH型鋼に取り付ける状態を示す斜視図である。図7は実施例2のH形鋼用補強部材をH型鋼に取り付ける状態を示す短手方向の断面図である。図8は実施例2のH形鋼用補強部材をH型鋼に取り付けた状態を示す短手方向の断面図である。
実施例2のH形鋼用補強部材21は、2枚の曲折補強部材22をH形鋼Sにその長手方向に両側から取り付け、H形鋼Sに固定する締結手段23と、を備えた部材である。曲折補強部材22は、H形鋼Sに集中応力が作用しないように、一方のフランジF1に当接する第1当接部24aと、この第1当接部24aに連続して曲折形成された、ウェブWに接するように取り付けられる第1当接・取付部25aと、他方のフランジF2に当接する第2当接部24bと、この第2当接部24bに連続して形成された、ウェブWに接するように取り付けられる第2当接・取付部25bとを有する。実施例2のH形鋼用補強部材21の第1当接部24aと第2当接部24bは同一形状であるため、第1と第2と称した。同じく第1当接・取付部25aと第2当接・取付部25bは同一形状であるため、第1と第2と称した。図示上の説明において区別するために便宜上使用するものであり、等級や順番を示すものではない。
曲折補強部材22の材質は、H形鋼S及び建物が耐え得る重量の金属板である。高所にて作業を行うことが多いので、作業上簡易な比重の比較的軽い金属製であることが好ましい。
第1当接部24aと第2当接部24bは、板材の短手方向の各端縁を共に同一面側に曲折して形成された部分である。この第1当接部24aは、文字通り一方のフランジF1の内面に当たり、このフランジF1に集中応力が作用しないようにしてその座屈を防止する部分である。同じく第2当接部24bは他方のフランジF2の内面に当たる部分である。
第1当接部24aと第2当接部24bを連結する連結部26は、曲折補強部材22の耐曲げ応力と耐圧縮応力を向上させる部分である。更に、捩れ応力にも耐えられるようにするためである。
第1当接・取付部25aは、第1当接部24aに連続して曲折形成された、ウェブWに接するように取り付けられると共に、締結手段23が講じられる部分である。例えば、図6から図8に示すように締結手段23がボルト6・ナット7で締結されるときは、この第1当接・取付部25aにボルト挿通孔27が長手方向に複数個所開けられている。
同じく、第2当接・取付部25bは、第2当接部24bに連続して曲折形成された、ウェブWに接するように取り付けられると共に、締結手段23が講じられる部分である。この第2当接・取付部25bにもボルト挿通孔27が長手方向に複数個所開けられている。
<締結手段の構成>
実施例2のH形鋼用補強部材21は、容易に施工することができるよう、2枚の曲折補強部材22をH形鋼SのウェブWを両側から挟んで固定する構成とした。この場合、両曲折補強部材22がより密着するようにH形鋼Sに固定する必要がある。そこで、図示するように、締結手段23により強固に締結する。図示例の締結手段23は、曲折補強部材22の第1当接・取付部25aに開けられたボルト挿通孔27と、H形鋼SのウェブWに開けられたボルト孔9とにボルト6を通し、更にこのウェブWの反対面に同様に取り付けられた曲折補強部材22の第1当接・取付部25aに開けられた各ボルト挿通孔27にまでこのボルト6を通してナット7で締結する。同様に、第2当接・取付部25bに開けられたボルト挿通孔27と、H形鋼SのウェブWのボルト孔9とにボルト6を通し、更にこのウェブWの反対面に同様に取り付けられた第2当接・取付部25bに開けられたボルト挿通孔27にまでこのボルト6を通してナット7でそれぞれ締結する。本発明のH形鋼用補強部材21は、1本のH形鋼Sにその長手方向に2枚の曲折補強部材22を取り付ける構成になるので、ボルト6・ナット7の締結箇所は複数個所になる。
ボルト6・ナット7を通すように、曲折補強部材22の連結部26に、ボルト挿通孔27の内径より大きな内径を有するボルト・ナット挿通孔28が開けられている。ここからボルト6とワッシャ10又はナット7とワッシャ10を通すようになっている。
横座屈は上述したように、モーメントの作用により発生することから、曲折補強部材22はウェブWを挟んで、H形鋼Sの長手方向に直交方向の断面視における左右が対称であることが望ましく、そのため、上述したように、同一形状の曲折補強部材22を向かい合わせにして使用している。
実施例2の本発明では、H形鋼Sに第1当接・取付部25aと第2当接・取付部25bで固定することでH形鋼SのウェブWの片面に2か所ずつでウェブWの座屈を防止でき、H形鋼SのフランジF1,F2は第1当接部24aと第2当接部24bで固定することでフランジF1,F2の座屈を防止できる。実施例2の本発明は、1枚の曲折補強部材22はH形鋼Sの片面を4か所の「面」で補強する構成になる。曲折補強部材22が、向い合わせにH形鋼Sに取り付けられているので、ウェブW、フランジF1,F2に集中応力が作用しないようにして、その座屈を防止できる。
<H形鋼用補強部材の短手方向の寸法構成>
図7、図8に示すように、曲折補強部材22の第1当接部24aと第2当接部24bは、それぞれフランジF1,F2の内面に接するようになっている。これらの第1当接部24aと第2当接部24bがフランジF1,F2の内面に接することにより、H形鋼Sを補強することもできるからである。
<形鋼用補強部材の長手方向の寸法構成>
曲折補強部材22は、H形鋼Sの長手方向の中央を中心に、少なくとも1/5以上、好ましくは1/3以上覆うことができるよう構成される。また、横座屈が防止できれば、必ずしもH形鋼Sの中央部分を覆う必要はなく、1組(2枚)のH形鋼用補強部材21が用いられてもよいし、2組(4枚)以上のH形鋼用補強部材21が用いられても良い。
<補強部材の連結部の変形例>
図9は実施例2のH形鋼用補強部材の連結部の変形例を示す短手方向の断面図である。
曲折補強部材22の連結部26は、短手方向の断面形状が湾曲した形状になる。このような形状であっても、曲折補強部材22の耐曲げ応力と耐圧縮応力を向上させることができる。更に、曲折補強部材22の耐曲げ応力と耐圧縮応力を向上させる機能を有する形状であればこの半円形状に限定されない。
<補強部材の締結手段の変形例>
図10は実施例2のH形鋼用補強部材の締結手段の変形例を示す短手方向の断面図である。
締結手段23は、ボルト6とナット7による締結に限定されない。図示するように曲折補強部材22の第1当接部24a、第2当接部24bと接するフランジF1,F2とを接着剤29のように吸着により締結する吸着締結構造を用いることができる。また、第1当接・取付部25a、第2当接・取付部25bと接するウェブWとを接着剤29のように吸着により締結する吸着締結構造を用いることができる。この接着剤29によれば、ウェブWにボルト孔9が開けられていないので、そのH形鋼Sは脆弱にならず強度を低下させることはない。更に、曲折補強部材22にも孔が開けられていないので脆弱にならない。
接着剤29に代えてマグネットのように吸着により締結することも可能である。更に、上述した手段以外も講ずることができる。
なお、本発明は、補強部材1、曲折補強部材21を溶接しないでH形鋼Sに取り付ける構造にすることで、H形鋼Sに短時間で取り付けられ、また既存建物に使用されているH形鋼に取り付けることができ、高所においても容易に作業でき、そのH形鋼Sを効率よく補強することができる構成であれば、上述した発明の実施の形態に限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変更できることは勿論である。
本発明の形鋼用補強部材は、既存建物に使用されているH形鋼に限定されず、新築建物に使用される施工前のH形鋼に取り付けることができる。また、建物用横梁に限定されず、建物用柱そのほかの構造材に使用されているH形鋼等の形鋼にも利用することができる。
1 H形鋼用補強部材
2 補強部材
3 締結手段
4 凸条部
5 当接・取付部
6 ボルト
7 ナット
8 ボルト挿通孔
9 ボルト孔
11 半円形凸条部
12 接着剤
21 H形鋼用補強部材
22 曲折補強部材
23 締結手段
24a 第1当接部
25a 第1当接・取付部
24b 第2当接部
25b 第2当接・取付部
26 連結部
27 ボルト挿通孔
29 接着剤

Claims (8)

  1. ウェブ(W)と該ウェブ(W)の両側にフランジ(F1,F2)が形成されたH形鋼(S)を補強するために、該H形鋼(S)にその長手方向に両側から取り付けるH形鋼用補強部材(1)であって、
    前記H形鋼(S)に集中応力が作用しないように、板材を中央部分が長手方向に沿って膨らむように曲折形成された凸条部(4)と、該凸条部(4)の両側に連続して形成された、前記H形鋼(S)のウェブ(W)に接するように取り付けられる当接・取付部(5)を有する補強部材(2)と、
    前記当接・取付部(5)をウェブ(W)に固定する締結手段(3)と、を備え、
    2枚の前記補強部材(2)を、各当接・取付部(5)をそれぞれ向かい合わせにして、前記H形鋼(S)のウェブ(W)に挟むように取り付ける構成にした、ことを特徴とするH形鋼用補強部材。
  2. 前記両締結手段(3)は、前記補強部材(2)の当接・取付部(5)に開けたボルト挿通孔(8)と、前記ウェブ(W)に開けたボルト孔(9)にボルト(6)を通してナット(7)で締結する、ことを特徴とする請求項1のH形鋼用補強部材。
  3. 前記締結手段(3)は、前記補強部材(2)の当接・取付部(5)と接する前記ウェブ(W)とを接着剤(12)又はマグネットのように吸着により締結する吸着締結構造である、ことを特徴とする請求項1のH形鋼用補強部材。
  4. 前記凸条部は、短手方向の断面形状が湾曲した形状の半円形凸条部(11)である、ことを特徴とする請求項1、2又は3のH形鋼用補強部材。
  5. ウェブ(W)と該ウェブ(W)の両側にフランジ(F1,F2)が形成されたH形鋼(S)を補強するために、該H形鋼(S)にその長手方向に取り付けるH形鋼用補強部材(21)であって、
    前記H形鋼(S)に集中応力が作用しないように、板材の短手方向の両縁を共に同一面側に曲折して成り、一方の前記フランジ(F1)に当接する第1当接部(24a)と、該第1当接部(24a)に連続して曲折形成された、前記ウェブ(W)に接するように取り付けられる第1当接・取付部(25a)と、他方の前記フランジ(F2)に当接する第2当接部(24b)と、該第2当接部(24b)に連続して形成された、前記ウェブ(W)に接するように取り付けられる第2当接・取付部(25b)と、を有する曲折補強部材(22)と、
    前記第1当接・取付部(25a)と第2当接・取付部(25b)をウェブ(W)に固定する締結手段(23)と、を備え、
    2枚の前記曲折補強部材(22)を、各第1当接・取付部(25a)同士、各第2当接・取付部(25b)同士をそれぞれ向かい合わせにして、前記H形鋼(S)のウェブ(W)に挟むように取り付ける構成にした、ことを特徴とするH形鋼用補強部材。
  6. 前記両締結手段(23)は、前記曲折補強部材(22)の第1当接・取付部(25a)、第2当接・取付部(25b)に開けたボルト挿通孔(27)と、ウェブ(W)に開けたボルト孔(9)とをボルト(6)・ナット(7)により締結する、ことを特徴とする請求項5のH形鋼用補強部材。
  7. 前記締結手段(23)は、前記補強部材(22)の第1当接・取付部(25a)、第2当接・取付部(25b)と接するウェブ(W)とを接着剤(29)又はマグネットのように吸着により締結させる吸着締結構造である、ことを特徴とする請求項5のH形鋼用補強部材。
  8. 前記第1当接部(24a)と第2当接部(24b)との連結部(26)は、短手方向の断面形状が前記第1当接・取付部(25a)と第2当接・取付部(25b)との反対側へ突出するように湾曲した形状になる、ことを特徴とする請求項5、6又は7のH形鋼用補強部材。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN110173074A (zh) * 2019-06-15 2019-08-27 重庆大学 一种双肢面对面c型钢腹板开孔及带有加劲肋的拼合钢构件
CN110173073A (zh) * 2019-06-15 2019-08-27 重庆大学 一种双肢背靠背c型钢腹板开孔及带有加劲肋的拼合钢构件

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