JP2015178424A - セラミックス回路基板の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】セラミックス基板が露出した表面に付着した炭素を主成分とする付着物を除去又は低減するセラミックス回路基板の製造方法を提供する。【解決手段】セラミックス基板Sにろう材粉末と有機バインダとを含むろう材領域C1を形成するろう材領域形成工程と、前記セラミックス基板に前記形成したろう材領域を介して金属基板M1を配置し、前記セラミックス基板、前記ろう材領域、及び前記金属基板を加熱し、前記セラミックス基板と前記金属基板とを、前記ろう材からなるろう材層を介して接合して接合体を形成する接合工程と、前記接合体を酸素を含む雰囲気中で250〜500℃に加熱する加熱工程と、前記加熱工程を経た接合体を薬剤に浸漬して洗浄する洗浄工程とを有するセラミックス回路基板の製造方法。【選択図】図1(a)

Description

本発明は、セラミックス基板と、セラミックス基板に形成されたろう材層と、前記ろう材層を介し接合された金属基板とを有するセラミックス回路基板の製造方法に関する。
ろう材接合法を用いたセラミックス回路基板(以下、単に回路基板と言う場合がある。)の製造方法が、例えば、特開2003-110222号に開示されている。特開2003-110222号に記載の回路基板の製造方法は、セラミックス基板の少なくとも一方の面にろう材を介して金属基板を接合し、前記金属基板の表面の所定の部分にレジストを塗布して金属基板の不要部分をエッチングすることにより金属回路部を形成し、レジストを維持したまま、不要なろう材及びろう材とセラミックス基板との反応生成物を除去し、その後、レジストを剥離することにより回路パターンを形成する方法である。
特開2003-110222号に開示された回路基板の製造方法は、より具体的には、Ag,Cu等を所定の組成で含むろう材粉末及び有機バインダ(アクリル系ビヒクル)を含むペースト状のろう材をセラミックス基板の両面にスクリーン印刷で塗布し、塗布されたろう材に接するように金属基板(Cu板)を配置し、所定の温度で加熱してろう材を介しセラミックス基板と金属基板を接合し、その後、金属基板の表面の所定の部分にUV硬化アルカリ剥離型レジストを塗布し、塩化銅、過酸化水素水及び塩酸からなるエッチング液で金属基板の不要部分をエッチングすることにより金属回路部を形成し、上記レジストを維持したまま、30%チオ硫酸ナトリウム水溶液に浸漬した後、EDTA及び過酸化水素水を含むろう材除去液に所定時間浸漬し、不要なろう材及びろう材とセラミックス基板との反応生成物を除去し、その後、レジストを剥離するという方法である。
前述したように、ろう材接合法を用いて回路基板を製造するにあたっては、ろう材粉末と有機バインダとを含むろう材ペーストをセラミックス基板に塗布し、塗布されたろう材ペーストに接するように金属基板を配置してセラミックス基板、ろう材ペースト及び金属基板からなる被接合体を形成し、真空又は非酸化状態においてろう材が溶融する温度で被接合体を加熱し、ろう材を介して金属基板をセラミックス基板に接合する接合工程を含む方法が汎用的に行われている。ここで、ろう材ペーストに含まれる有機バインダは、被接合体の加熱過程においてガス化してろう材ペーストから除去されるが、ガス化した有機バインダの一部が、セラミックス基板の金属基板で覆われていない表面、すなわち露出した表面に炭素を主成分とする付着物として再付着する場合がある。また、接合体を加熱する際に、加熱炉の雰囲気等から接合体に付着物が形成される場合もある。
セラミックス基板の表面に形成された、このような付着物は、黒色又は灰色であり、セラミックス基板と明らかに色調が異なるため外観的な不良となる。また前記付着物の多くは良導体であるため、金属回路板を構成する二の金属基板の間隙に露出するセラミックス基板の表面に多量の付着物が付着すると、二の金属基板の間の電気的絶縁性が確保できず、回路基板が絶縁抵抗の面で不良となる場合がある。セラミックス基板の表面に強固に付着した前記絶縁抵抗を低下させる付着物は、特開2003-110222号に開示されたエッチング液やろう材除去液で除去することが極めて困難であり、付着物を完全に除去するためこれらに長時間浸漬した場合には、レジストや金属基板を侵食し、その結果、金属基板を腐食して損傷を与える場合がある。セラミックス基板が窒化珪素質セラミックスからなる場合は、基板表面の表面形態が、窒化珪素柱状粒子の影響により基板表面の凹凸が大きくなりやすいため、付着物の除去がさらに難しい。
特開2003-110222号公報
従って本発明の目的は、セラミックス基板が露出した表面に付着した絶縁抵抗を低下させる付着物が除去又は低減されたセラミックス回路基板の製造方法を提供することにある。
上記目的に鑑み鋭意研究の結果、セラミックス基板と金属基板とをろう材を介して加熱接合した後、前記接合体を酸素を含む雰囲気中で250〜500℃に加熱することにより、ろう材ペースト等に起因する絶縁抵抗を低下させる付着物が除去又は低減されたセラミックス回路基板が得られることを見出し、本発明に想到した。
すなわち、本発明のセラミックス回路基板の製造方法は、
セラミックス基板に、ろう材粉末と有機バインダとを含むろう材領域を形成するろう材領域形成工程と、
前記セラミックス基板に、前記形成したろう材領域を介して金属基板を配置し、前記セラミックス基板、前記ろう材領域、及び前記金属基板を加熱し、前記セラミックス基板と前記金属基板とを、前記ろう材からなるろう材層を介して接合して接合体を形成する接合工程と、
前記接合体を酸素を含む雰囲気中で250〜500℃に加熱する加熱工程と、
前記加熱工程を経た接合体を薬剤に浸漬して洗浄する洗浄工程と
を有することを特徴とする。
前記加熱工程で300〜500℃に加熱するのが好ましい。
前記接合工程後及び前記加熱工程前に、前記金属基板の表面にレジスト膜を形成した後、前記金属基板をエッチングして回路パターンを形成する回路パターン形成工程と、前記回路パターン形成工程の後に、不要な前記ろう材層を除去するろう材層除去工程とを有することが好ましい。
前記洗浄工程で使用する薬剤は、過酸化水素、硫酸、塩酸、塩化アンモニウムから選ばれる少なくとも1種を含むことが好ましい。
本発明のセラミックス回路基板の製造方法により、ろう材ペースト等に起因する付着物が除去又は低減されるので、金属基板の間の電気的絶縁性に優れ、外観の良好なセラミックス回路基板を製造することができる。
セラミックス回路基板を模式的に示す正面図である。 図1(a)を上方から見た平面図である。 図1(a)のセラミックス回路基板の製造方法を説明する第1の平面図である。 図1(a)のセラミックス回路基板の製造方法を説明する第2の平面図である。 図1(a)のセラミックス回路基板の製造方法を説明する第3の平面図である。 図1(a)のセラミックス回路基板の製造方法を説明する第4の平面図である。
[1] セラミックス回路基板の製造方法
本発明のセラミックス回路基板の製造方法は、(a)セラミックス基板に、ろう材粉末と有機バインダとを含むろう材領域を形成するろう材領域形成工程と、(b)前記セラミックス基板に、前記形成したろう材領域を介して金属基板を配置し、前記セラミックス基板、前記ろう材領域、及び前記金属基板を加熱し、前記セラミックス基板と前記金属基板とを、前記ろう材からなるろう材層を介して接合して接合体を形成する接合工程と、(c) 前記接合体を酸素を含む雰囲気中で250〜500℃に加熱する加熱工程と、(d)前記加熱工程を経た接合体を薬剤に浸漬して洗浄する洗浄工程を有する。以下、前記(a)〜(d)の工程、および工程に関係する要素について説明する。
この本発明のセラミックス回路基板の製造方法は、図1(a)及び図1(b)のセラミックス回路基板Wを製造する方法である。前記セラミックス回路基板Wは、セラミックス基板Sと、セラミックス基板Sの上面(一面)に間隙Gを介して形成された二のろう材層C1,C2(以下、第1のろう材層C1及び第2のろう材層C2と言う場合がある。)と、セラミックス基板Sの上面側に前記二のろう材層C1,C2を介し各々接合された、半導体素子等が搭載される回路板として機能する二の金属基板M1,M2(以下、第1の金属基板M1及び第2の金属基板M2と言う場合がある。)とを基本的な構成として有している。前記二の金属基板M1,M2の表面には、Ni、Au等のメッキ層が必要に応じ形成される。図1(a)及び図1(b)に示すセラミックス回路基板Wは、セラミックス基板Sの下面(他面)にろう材層C3を介し接合された、放熱板として機能する金属基板M3を有する。なお、金属基板はM1,M2の二つに限定されず、上面側に三つ以上の金属基板を有してもよい。
前記セラミックス基板は、その種類は特に限定されず、アルミナ、炭化珪素などを用いることができるが、高熱伝導率を有するという観点から、窒化珪素又は窒化アルミニウムが好ましい。セラミックス基板の表面に存在する空孔の最大径を15μmとするのが好ましい。前記空孔の最大径が15μmを超える場合、セラミックス基板の強度が低下し、例えば冷熱サイクル下におけるセラミックス回路基板の信頼性を劣化させる。特に強度及び破壊靭性など機械的強度の面で優れた窒化珪素質焼結体で構成するのがより好ましい。
前記セラミックス基板に用いる前記窒化珪素質焼結体は、例えば90〜97質量%の窒化珪素、及び0.5〜10質量%の焼結助剤(Mg又はY及びその他希土類元素を含む)を含む原料粉末を用いて作製する。焼結助剤が10質量%を超えると、セラミックス基板と金属基板を接合する特性が十分でなくなることがある為である。また、焼結助剤が0.5質量%未満であると、窒化珪素粒子の焼結が十分でなくなる為である。高い熱伝導率及び高強度を得るには、焼結助剤として、マグネシウム(Mg)を酸化マグネシウム換算で2〜4質量%、イットリウム(Y)を酸化イットリウム換算で2〜5質量%含有するのが更に好ましい。前記原料粉末に適量の有機バインダ、可塑剤、分散剤及び有機溶剤を添加し、ボールミル等で混合し、スラリーを形成し、このスラリーをドクターブレード法やカレンダーロール法で薄板状に成形し、セラミックスグリーンシートを得る。得られたセラミックスグリーンシートを、所望の形状となるよう打ち抜き又は裁断し、1700〜1900℃の温度で焼結することにより、窒化珪素質焼結体を得ることができる。
前記金属基板は、その材質や個数は特に限定されず、ろう材で接合でき、且つ融点がろう材よりも高ければ特に制約はない。例えば、銅、銅合金、アルミニウム、アルミニウム合金、銀、銀合金、ニッケル、ニッケル合金、ニッケルメッキを施したモリブデン、ニッケルメッキを施したタングステン、ニッケルメッキを施した鉄合金を前記金属基板として用いることが可能である。これらの中でも銅又は銅を含む合金が、電気的抵抗及び延伸性、高熱伝導性(低熱抵抗性)、マイグレーションが少ない等の点から最も好ましい。アルミニウム又はアルミニウムを含む合金は、電気的抵抗、高熱伝導性(低熱抵抗性)は、銅に劣るものの、その塑性変形性を利用して、冷熱サイクルに対する実装信頼性を有する点で好ましい。
(a) ろう材領域形成工程
図2(a)に示すように、セラミックス基板Sに、間隙Gをおいて、ろう材粉末と有機バインダとを含むろう材領域c1,c2を形成する。前記ろう材粉末としては、Ag,Cu等を所定の組成で含むろう材粉末が挙げられ、前記有機バインダとしては、様々な有機系樹脂を使用することができる。ろう材領域の形成は、ろう材粉末と有機バインダとを含むろう材ペーストを、スクリーン印刷等の方法でセラミックス基板上に塗布し行う。
(b) 接合工程
図2(b)に示すように、(i)セラミックス基板S、(ii)前記セラミックス基板に形成された、ろう材粉末と有機バインダとを含むろう材領域C1,C2、及び(iii)前記ろう材領域を介して載置された金属基板Mを加熱することで、セラミックス基板Sと金属基板Mとがろう材層を介して接合され、接合体が形成される。接合する為の加熱は、真空中又は還元雰囲気中で行うのが好ましく、昇温過程でろう材ペースト中の有機成分を除去するため、有機バインダの揮発温度近傍(たとえば400℃付近)で一旦保持し(保持工程)、その後ろう付け温度で10分以上保持して行う(ろう付け工程)。ろう付け温度とは、適切にろう材層を形成できる温度、すなわちろう材の融点以上の温度である必要がある。ろう付け温度は、通常は前記昇温過程の最高温度である。
接合工程中の保持工程では、有機バインダを除去するための保持温度が低いと、有機バインダ成分が揮発することが出来ず、有機バインダの残渣が残る恐れがある。従って、有機バインダを除去するための保持温度は300℃以上とするのが好ましい。例えばアクリル樹脂を含む有機バインダの場合、この保持温度は360℃以上とするのが好ましい。有機バインダ中の樹脂等に含まれる酸素によってろう材中の活性金属が酸化されることを避けるために、有機バインダを除去するための保持温度は、ろう付け工程のろう付け温度よりも低くする。
前記接合工程に用いるろう材は、その材質は特段限定されないが、代表的には、高強度、高封着性等が得られる、共晶組成であるAg及びCuを主体としTi,Zr,Hf等の活性金属を添加したAg-Cu系活性ろう材が好ましい。さらにセラミックス基板Sと金属基板M1〜M3の接合強度の観点から、前記Ag-Cu系活性ろう材にInが添加された三元系のAg-Cu-In系活性ろう材がより好ましい。セラミックス基板Sと金属基板との接合は、前述したように、前記ろう材粉末と有機バインダとを含むろう材ペーストを用いて行う。ろう材は、たとえば770〜880℃の融点を有するAg-Cu系活性ろう材を使用し、ろう付け温度を770〜880℃とするのが好ましい。770℃以上にするとろう材の溶融が十分になり、ボイドの形成を抑える。より好ましくは790℃以上にする。880℃以下にすると、ろう材が濡れ広がり過ぎることがない。さらに好ましくはろう付け温度を830〜870℃とする。ろう付け温度で保持する時間は、接合用加熱炉に投入する量に依存するが、通常の生産性を考慮すると5時間以内であるのが好ましく、2時間以内であるのがさらに好ましい。ろう付け温度で保持する時間は、投入する試料の枚数によって、また例えば真空雰囲気にする場合には接合用加熱炉の容積や真空ポンプの排気量に応じて適宜調節して設定する。金属基板とセラミックスとがボイドなしで接合できるように、荷重印加して加熱するのが好ましい。
(c) 加熱工程
加熱工程において、接合工程で得られた接合体を酸素を含む雰囲気中で250〜500℃に加熱する。好ましくは、350〜490℃に加熱する。付着物は二酸化炭素や水分などとして雰囲気中に放出されると考えられる。なお、加熱時間及び加熱温度のプロファイルにおいて、所定の温度で一定時間加熱する最高温度の領域を保持帯と呼ぶ。
加熱工程において、酸素を含む雰囲気は、窒素などの不活性のガスに酸素が混合されていればよい(たとえば、通常の大気中の雰囲気を使用できる)。加熱温度は、炭素を主成分とする付着物を除去する温度以上、且つ前記(b)接合工程におけるろう付けの温度未満とする。更に加熱温度の上限は、金属基板に悪影響を与えない温度以下とするのが好ましい。本発明のセラミックス回路基板の製造方法では、ドライな加熱工程で前記炭素を主成分とする付着物を除去するため、薬液を使って炭素を主成分とする付着物をウェットエッチングする場合に比べて、セラミックス基板にダメージをほとんど与えない。
(d) 洗浄工程
洗浄工程において、前記加熱工程を経た接合体を薬剤に浸漬して洗浄する。前記加熱工程で金属基板の表面が酸化して電気伝導性の低下やはんだ付け性の低下を招くことがあるので好ましくない。そこで、加熱工程後の接合体を過酸化水素、硫酸、塩酸、塩化アンモニウムから選ばれる少なくとも1種を含む薬剤に浸漬して洗浄することにより、金属基板表面の酸化物を除去する。前記薬剤として硫酸を用いることが好ましい。
上記(a)〜(d)の工程の後、金属基板間の絶縁抵抗を低下させる付着物は除去或いは低減されており、且つ金属基板表面の酸化が防止できるため、課題は解消される。
ろう材ペーストに含まれる有機バインダとしてアクリル樹脂を使用した場合、ろう材を介して金属基板をセラミックス基板に接合する加熱過程において、ガス化したアクリル樹脂に起因する付着物がセラミックス基板表面に特に付着しやすい。従って、前記有機バインダとしてアクリル樹脂を使用した場合に、本発明のセラミックス回路基板の製造方法によって得られる、炭素を主成分とする付着物の除去又は低減効果をより発揮することができる。アクリル樹脂としては、たとえばポリアクリル酸エステル、ポリメタクリル酸エステルが挙げられる。好ましくはメタクリル酸エステルを用いる。
(e) その他の工程
前記接合工程後及び加熱工程前に、さらに、図2(c)に示すように(e1)接合工程で形成されたろう材層の外縁に沿うパターンで金属基板Mの表面にレジスト膜R1,R2を形成し、エッチングして金属基板Mを分割し、図2(d)に示すように回路パターンM1,M2を形成する回路パターン形成工程と、(e2)回路パターン形成工程の後に、不要なろう材層を除去するろう材層除去工程とを有するのが好ましい。回路パターン形成工程及びろう材層除去工程の後に前記加熱工程を設ける。このように前記加熱工程を回路パターン形成工程及びろう材層除去工程の後で実施することにより、付着物の発生を考慮せずに、回路パターン形成及びろう材層除去の処理を最適な条件で実施することができるため、レジスト膜及び金属基板が両工程で受ける損傷をより低減することが可能となる。前記レジスト膜は、前記接合工程で形成された前記ろう材層の外縁に沿うパターンで形成することが好ましい。
このような理由により回路パターン形成工程で形成するレジスト膜は、その厚みを10〜80μm、好ましくは30〜70μmと比較的薄くすることができる。前記レジスト膜は紫外線硬化型レジスト剤で形成するのが望ましい。
例えばろう材除去液として過酸化水素と酸性フッ化アンモニウムとを含む薬液を使用する場合には、10〜40質量%(2.9〜8.8mol/L)の過酸化水素と、1〜8質量%(0.7〜2.1mol/L)の酸性フッ化アンモニウムとを含む水溶液を使用することができる。過酸化水素が10質量%未満の場合には、ろう材を除去する能力が不十分であり、40質量%超の場合には金属基板が過度に腐食され、金属基板の寸法精度が悪化する。酸性フッ化アンモニウムが1質量%未満の場合には、ろう材層とセラミックス基板の接合界面に生じる活性金属を含む反応層の除去能が低下し、一方で8質量%を超える場合には、セラミックス基板を構成する結晶粒子を溶解し、セラミックス基板に求められる電気的な絶縁性や強度を低下させる。
その他の工程として、洗浄工程の後、金属基板の表面にNi、Au等のメッキ層を形成する(e3)メッキ工程を有していても良い。例えはNiメッキを施す場合、ニッケル(Ni)を主成分としリン(P)の濃度が8質量%に調整された無電解メッキ液(85℃)中に20〜30分間浸漬することにより、金属基板の表面に厚みが5μm程度のNiメッキ層を形成することができる。
本発明のセラミックス回路基板の製造方法によって、炭素を主成分とする付着物を除去すると、セラミックス回路基板上で二の金属基板間の絶縁抵抗は500 MΩ/mm以上にできる。
実施例
本発明を以下の実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
(1) 実施例1〜5のセラミックス回路基板の作製
(a)実施例1
図1(a)及び図1(b)に示すような、セラミックス回路基板Wを以下に記載する方法に従って作製した。
前記セラミックス基板Sとしては、全原料粉100質量部においてSi3N4を93質量%、Mgを酸化物換算で4質量%、Yを酸化物換算で3質量%含む窒化珪素基板(図1(b)に示す紙面において縦横の大きさがそれぞれ30mm及び40mm、並びに厚みが0.32mm)を使用した。
以下、セラミックス回路基板Sの製造方法について、その各工程を示す平面図である図2(a)〜図2(d)を参照しつつ説明する。なお、以下述べるセラミックス回路基板Sの製造工程において、回路板である金属基板M1,M2及び放熱板である金属基板M3を形成するための各工程の内容は基本的に同一であるので、金属基板M1,M2についてのみ詳述し、金属基板M3については省略する。
[ろう材領域形成工程]
70.6質量%のAg、2.9質量%のIn、1.9質量%のTi、残部Cu及び微量の不純物の構成となるよう調整されたろう材粉末100質量部に対し、有機バインダとして5.3質量部のポリアクリル酸エステル、有機溶剤として19.1質量部のα-テルピネオール、分散剤として0.5質量部のポリオキシアルキレンアルキルエーテル及びアルキルベンゼンスルホンサン塩を混合してなるろう材ペーストを使用して、図2(a)に示すように、セラミックス基板Sの上面(一面)に、厚みがいずれも40μmの二のろう材領域c1,c2を、平面方向において間隙Gを介してスクリーン印刷法で形成した。図2(a)に示す紙面において、第1のろう材領域c1の大きさは縦横が各々27.6mm及び11.6mm、第2のろう材領域c2の大きさは縦横が各々27.6mm及び23.6mmであり、間隙Gのろう材領域c1,c2間の距離は1.0mmであった。
[接合工程]
前記ろう材領域形成工程の後、図2(b)に示す接合工程において、ろう材領域c1,c2にろう材領域c1,c2を覆う大きさの厚みが0.5mmの無酸素銅基板C1020H材(JIS規格 H3100)からなる一枚の金属基板Mを配置した後、セラミックス基板S、ろう材領域c1,c2及び金属基板Mを一組とした被接合体を加熱炉に挿入し、真空雰囲気下で加熱し、ろう材層C1,C2を介しセラミックス基板Sと金属基板Mとを接合して接合体を形成した。なお、接合工程における金属基板Mの熱膨張を考慮し、図2(b)に示す紙面における金属基板Mの縦横の大きさは、各々29.5mm及び39.5mmであり、セラミックス基板Sの大きさより小さいものを使用した。
前記被接合体の加熱は、有機バインダであるアクリル系樹脂の除去温度である400℃で10時間保持する保持工程P1と、前記保持工程P1から一定の昇温速度で加熱する昇温工程P2を経た後に配置される、ろう材の溶融温度である765℃で1時間保持するろう付け工程P3とを有する温度パターンで行った。
[回路パターン形成工程]
接合工程の後、図2(c)に示すように、前記接合体を構成する金属基板Mの表面に所望のパターンで二のレジスト膜R1,R2を形成し、その後エッチング処理を施して金属基板Mの不要部を除去し、図2(d)に示すように、平面方向において間隙Gを挟む状態で、回路パターンである二の金属基板M1,M2を形成した。具体的には、紫外線硬化型エッチングレジストを、下記の第1の金属基板M1及び第2の金属基板M2の寸法に対応したパターンで金属基板Mの表面にスクリーン印刷法で塗布した接合体を、液温50℃でエッチング液[塩化第2鉄(FeCl3)溶液(46.5Be)]に浸漬し、金属基板M1,M2を形成した。なお、図2(d)に示す紙面において、第1の金属基板M1の縦横の大きさは各々28mm及び12mm、及び第2の金属基板M2の縦横の大きさは各々28mm及び24mmとした。
[ろう材層除去工程]
図2(d)に示すように、金属基板M1,M2の表面に形成したレジスト膜を除去した後、金属基板M1,M2の外縁からはみ出した不要なろう材層を、過酸化水素7.6mol/L及び酸性フッ化アンモニウムを含むろう材除去液で液温40℃及び処理時間40分で除去した。
[加熱工程]
ろう材層除去工程を経た接合体を大気中で、温度260℃及び時間5分という表1に示す条件で加熱した。室温から一定の昇温速度で加熱して、260℃で5分保持する保持帯を経たのちに降温するという温度パターンで行った。加熱後に、炭素を主成分とする付着物はセラミックス基板上において目視ではほとんど観察されなくなり、金属基板の表面の色は黒色となった。
[洗浄工程]
前記加熱工程の後、セラミックス回路基板を濃度1mol/L、温度50℃の硫酸に10分間浸漬して洗浄したところ、金属基板(銅)の表面の色は黒色から銅色に変化した。
[Niメッキ工程]
洗浄工程を経た接合体を、ニッケル(Ni)を主成分としリン(P)の濃度が8質量%に調整された無電解メッキ液(85℃)中に20〜30分間浸漬することにより、金属(銅)基板の表面に厚みが5μmのNiメッキ層を形成したセラミックス回路基板を得た。
(b)実施例2〜5
加熱工程で保持帯の温度及び時間を表1に示すように変更した以外は実施例1と同様にしてセラミックス回路基板を作製した。
(c)比較例1、2及び3
比較例1は、ろう材領域形成工程、接合工程、回路パターン形成工程及びろう材層除去工程を実施例1と同様に行った後、加熱工程を行わず、ついで洗浄工程及びNiメッキ工程を行ってセラミックス回路基板を作製した例である。比較例2は、加熱工程で保持帯の温度を650℃、時間を0.5分とした以外は、実施例1と同様にしてセラミックス回路基板を作製した例である。比較例3は、加熱工程で保持帯の温度を100℃、時間を10分とした以外は実施例1と同様にしてセラミックス回路基板を作製した例である。
(d)比較例4
比較例4は、洗浄工程を行わなかったこと以外は、実施例1と同様にしてセラミックス回路基板を作製した例である。
(2) 観察及び測定
実施例1〜5、比較例1〜4のセラミックス回路基板の外観観察及び絶縁抵抗の測定を行った。
(a) 外観観察は、セラミックス回路基板の表面を目視観察で行った。
(b) 絶縁抵抗
絶縁抵抗は、図1(a)に示すように、第1の金属基板M1の任意の箇所及び第2の金属基板M2の任意の箇所に接するように、それぞれ絶縁抵抗試験用の球形電極A、Bを配置し、第1の金属基板M1と第2の金属基板M2との間に1000 Vの直流電圧を印圧し、30秒後の抵抗値を絶縁抵抗値とした。絶縁抵抗は、各実施例及び比較例ともに10枚のセラミックス回路基板について求めた抵抗値の最小値で評価した。
(3) 結果
実施例1〜5の製造方法で作製したセラミックス回路基板は外観検査の結果は良好であり、高い絶縁抵抗を得た。これに対して、加熱工程を設けない比較例1の製造方法で作製したセラミックス回路基板は外観検査の結果は良好であったが、低い絶縁抵抗となった。比較例2の製造方法では、高い絶縁抵抗を得たが、金属基板の端部に剥がれを生じたことが外観検査で判った。比較例3の製造方法で作製したセラミックス回路基板は外観検査の結果は良好であったが、低い絶縁抵抗となった。比較例4の製造方法で作製したセラミックス回路基板は高い絶縁抵抗を得たが、金属基板表面が黒色を生じたことが外観検査で判った。黒色を生じた金属基板は半導体素子のろう付けやボンディングワイヤーの接合には適さなかった。
Figure 2015178424
A,B:球形電極、
C1,C2,C3:ろう材層、
c1,c2:ろう材領域、
G:間隙、
M1,M2,M3:金属基板、
M:金属基板、
R1,R2:レジスト膜、
S:セラミックス基板、
W:セラミックス回路基板

Claims (4)

  1. セラミックス基板に、ろう材粉末と有機バインダとを含むろう材領域を形成するろう材領域形成工程と、
    前記セラミックス基板に、前記形成したろう材領域を介して金属基板を配置し、前記セラミックス基板、前記ろう材領域、及び前記金属基板を加熱し、前記セラミックス基板と前記金属基板とを、前記ろう材からなるろう材層を介して接合して接合体を形成する接合工程と、
    前記接合体を酸素を含む雰囲気中で250〜500℃に加熱する加熱工程と、
    前記加熱工程を経た接合体を薬剤に浸漬して洗浄する洗浄工程とを有することを特徴とするセラミックス回路基板の製造方法。
  2. 前記加熱工程で300〜500℃に加熱することを特徴とする請求項1に記載のセラミックス回路基板の製造方法。
  3. 前記接合工程後及び前記加熱工程前に、前記金属基板の表面にレジスト膜を形成した後、前記金属基板をエッチングして回路パターンを形成する回路パターン形成工程と、前記回路パターン形成工程の後に、不要な前記ろう材層を除去するろう材層除去工程とを有することを特徴とする請求項1又は2に記載のセラミックス回路基板の製造方法。
  4. 前記洗浄工程で使用する薬剤は、過酸化水素、硫酸、塩酸、塩化アンモニウムから選ばれる少なくとも1種を含むことを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載のセラミックス回路基板の製造方法。
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