JP2015178285A - 移動体支持構造、及びそれを有する移動体 - Google Patents

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Abstract

【課題】地面の凹凸などの外乱によって生じる移動体の複数の脚部にかかる力の不均衡を低減し,物体の姿勢を外乱に対して一定に保つ移動体支持構造を提供する。【解決手段】本発明の移動体支持構造は、移動体の主要部の下部に取り付けられた3つ以上の脚支持部と、そのそれぞれに対して設けられ、脚支持部に対して少なくとも上下方向に変位可能である脚部と、を有し、当該脚部のそれぞれは、1つの脚部の変位の変化を、他の脚部に逆方向の変位の変化をもたらす力によって他の脚部に伝達する荷重分配手段でお互いに接続されている。荷重分配手段は、脚部のそれぞれに対して取り付けられた動滑車と、脚支持部のそれぞれに対して取り付けられた固定滑車と、固定滑車及び動滑車で保持された共通のワイヤとから構成される。【選択図】図1

Description

本発明は移動体支持構造に関し、具体的には、地面の凹凸などの外乱によって生じる移動体の複数の支持部にかかる力の不均衡を低減し,物体の姿勢を外乱に対して一定に保つ機構を有する移動体支持構造に関する。また本発明は、そのような移動体支持構造を有する移動体に関する。
車両のような移動体の支持部にかかる力の不均衡を抑制する機構として、ロッカーボギー機構が知られている。それは、6つの車輪を左右3輪ずつに配置し、その前2輪と後1輪を長さが1対2のリンクでつないだ機構である(特許文献1)。図11は、ロッカーボギー機構を横から見た概略構造図である。この構造により、片側の3つの車輪のいずれかに大きい力がかかると、それを他の2輪に伝達することができ、力の不均衡を抑制することができる。しかしこのロッカーボギー機構は、6輪構成となっているため、例えば4輪などの、それ以下の車輪数または脚数で物体を支えたい場合には適用することが出来ないという問題点を有している。また,進行方向前後(ピッチ方向)に対する力の平衡は実現されているが,左右(ロール方向)の力の平衡を取る働きは持たないものである。
また、自動車用接地荷重制御装置として、車両がある旋回状態かつ加速操作を行われている時にスタビライザのねじり剛性を調整する方法が知られている(特許文献2)。しかしそれは、旋回、加速操作中などのように物体が動的な状態にある場合にしか使用できないという問題点を有している。また、車両専用であり,左右(ロール方向)の力の平衡を取る働きしか持たず,路面によってはロール方向の振動を発生してしまうという問題もあった。
さらに、車両用スタビライザ装置として、左右1輪ずつを1対のトーションバーで接続する方式が知られている(特許文献3)。しかしそれは、進行方向左右(ロール方向)に対する安定化は実現されているが,前後(ピッチ方向)の安定を取る働きは持たないものであり、また,この装置の搭載により,路面に応じてロール方向の振動を発生することにつながるという問題点を有している。
さらに、独立懸架式サスペンション装置として、自動車の各1輪ずつが独立して上下に動き路面等の凹凸を車体に伝えないようにすることで,車体面の姿勢を安定化し乗り心地または操縦性を向上させる装置が知られている(特許文献4)。しかしそれは、各サスペンションには急激な変化を避けるダンパが取り付けられており,宇宙の環境では使用するのが困難で,ダンパのメンテナンスが必要,重量が大きい等の問題を有するものであり、また、各車輪にかかる力の全体のバランスを調整する機構は有しないものである。
また、アクティブ制御脚として、脚にアクチュエータを取り付けて制御を行い転倒防止する方法が知られている(非特許文献1)。しかしそれは、複雑な制御が必要かつ制御装置を動かすための電源が必要となるものであり、また、アクチュエータや電源装置の取り付けにより重量が増加してしまう、という問題点を有している。
米国特許第4840394号公報 国際公開WO2010/134251号公報 国際公開WO2010/116485号公報 特開2013−209076号公報
田口勝也、橋本樹明、大槻真嗣、"アクティブ着陸脚を用いた高精度・高安全な着陸のための動的タッチダウン制御"、宇宙科学技術連合講演会講演会講演集、2009、JSASS-2009-4250
移動体を支える複数の支持部にかかる力の不均衡が生み出す副次効果、すなわち車両であれば,空転や砂地での沈み込み増加や姿勢変化に伴う転倒の防止方法が望まれているところ、従来の技術では、以下のような課題がある。
すなわち、前後方向だけでなく左右方向も含む、すべての支持部にかかる荷重が等しいか、それに近い状態とする機構が必要とされている。また、支持される移動体の姿勢変化が可能な限り小さくなるような機構が必要とされている。またさらに、移動体の支持部の数にかかわらず、適用できるような機構が必要とされている。またさらに、支持部の平面配置に依存しないような支持機構が必要とされている。またさらに、物体が動的な状態か静的な状態かにかかわらず使用できるような機構が必要とされている。またさらに、制御等の複雑な計算や操作や動力が不要である機構が必要とされている。またさらに、単純で軽量を実現できるような機構が必要とされている。
本発明は、移動体の主要部の下部に取り付けられた3つ以上の脚支持部と、そのそれぞれに対して設けられ、脚支持部に対して少なくとも上下方向に変位可能である脚部と、を有し、当該脚部のそれぞれは、1つの脚部の変位の変化を、他の脚部に逆方向の変位の変化をもたらす力によって他の脚部に伝達する荷重分配手段でお互いに接続されていることを特徴とする。
本発明においては、荷重分配手段を、脚部のそれぞれに対して取り付けられた動滑車と、脚支持部のそれぞれに対して取り付けられた固定滑車と、固定滑車及び動滑車で保持された共通のワイヤと、から構成することができる。
本発明は、脚部と脚支持部の間に取り付けられた、脚部を所定の原点に復帰させるような力を与えるための原点復帰バネを有する構成とすることができる。
本発明は、荷重分配手段と脚部の間に、変位の方向を変化させるリンクが接続された構成とすることができる。
本発明は、ワイヤの所定の張力を保持するためのバネを取り付けた構成とすることができる。
本発明は、ワイヤに振動を吸収するためのダンパ要素が取り付けた構成とすることができる。
本発明は、荷重分配手段が共通の流体を有する流体圧装置である構成とすることができる。
本発明は、上記の特徴を有する移動体支持構造を有し、脚部のそれぞれに対して地面と接する車輪をさらに有する移動体とすることができる。ここで本発明は、車輪の一部又は全部の近傍の脚部に取り付けられた車輪の一部又は全部を駆動する電動機をさらに有する構成とすることができる。
本発明は、移動体の主要部の下部に取り付けられた3つ以上の脚支持部と、そのそれぞれに対して設けられ、脚支持部に対して少なくとも上下方向に変位可能である脚部と、を有し、当該脚部のそれぞれは、1つの脚部の変位の変化を、他の脚部に逆方向の変位の変化をもたらす力によって他の脚部に伝達する荷重分配手段でお互いに接続されているため、移動体が凹凸面を有する地面を移動したときに、前後方向や左右方向だけでなく、すべての支持部にかかる荷重をほぼ均一に分配することができ、それによって、移動体の姿勢をほぼ一定に保つことができ、路面の状態にほぼ不感とすることができるという効果を有する。また、移動体の脚部の数や平面配置を任意に設定することができるという効果を有する。
本発明は、荷重分配手段を、脚部のそれぞれに対して取り付けられた動滑車と、脚支持部のそれぞれに対して取り付けられた固定滑車と、固定滑車及び動滑車で保持された共通のワイヤと、から構成することにより、複雑な計算による制御や制御装置を動作させるために電源などの動力が必要なく、また、単純で軽量な機構によって、移動体の姿勢をほぼ一定に保つことができるという効果を有する。この場合、荷重分配機構の動作原理に動的な運動を引き起こす要素が含まれておらず,力の作用反作用のみで動作するため,物体が動的な状態か静的な状態かにかかわらず使用することができる。また、受動的な機構を用いているため、制御等の複雑な計算・操作が必要なく、それに必要な計算機や動力源も搭載する必要がない。また、計算機・電源装置等を搭載する必要がないことに伴い構造が単純となり,軽量かつ故障もしにくい。
本発明は、脚部と脚支持部の間に取り付けられた、脚部を所定の原点に復帰させるような力を与えるための原点復帰バネを有することにより、脚部を所定の原点位置に保つことができ、また、ワイヤに適切の張力を与えることにより、安定した動作を行うことができるという効果を有する。
本発明は、荷重分配手段と脚部の間に、変位の方向を変化させるリンクが接続された構成とすることによって、荷重分配手段を例えば平面内に構成することができるという効果を有する。
本発明は、ワイヤの所定の張力を保持するためのバネを取り付けた構成とすることにより、ワイヤに加えられる衝撃や振動をワイヤの長さを伸ばすことにより軽減できるという効果を有する。また本発明は、ワイヤに振動を吸収するためのダンパ要素が取り付けた構成とすることにより、ワイヤに加えられる衝撃や振動を吸収できるという効果を有する。
本発明は、荷重分配手段が共通の流体を有する流体圧装置である構成とした場合、原点復帰バネが必ずしも必要なく、また、流体圧装置内部に流体の流れを制限するオリフィス等を設けることにより、ダンパ要素の機能を含ませることができるという効果を有する。
本発明は、上記の特徴を有する移動体支持構造を有し、脚部のそれぞれに対して地面と接する車輪をさらに有する移動体とすることにより、上述の特徴を有するサスペンションを有する、車両、航空機、惑星着陸機などの高機能な移動体を構成することができるという効果を有する。本発明は、車輪の一部又は全部の近傍の脚部に取り付けられた車輪の一部又は全部を駆動する電動機をさらに有する構成とすることにより、上述の特徴を有するサスペンションを有する、自立走行可能な移動体を構成することができるという効果を有する。
本発明の第1の実施形態に係る移動体支持構造100の側面図である。 本発明の第1の実施形態に係る移動体支持構造100を下面から見た図である。 本発明の第2の実施形態に係る車両110の側面図である。 滑車を用いた荷重分配方法の概念図である。 流体圧装置を用いた荷重分配方法の概念図である。 本発明の動作の概念図であり、初期状態を示す図である。 本発明の動作の概念図であり、荷重分配後の状態を示す図である。 本発明の第3の実施形態に係る移動体支持構造120の側面図である。 本発明の第3の実施形態に係る移動体支持構造120を下面から見た図である。 本発明による路面粘着性の改善結果を表わす図である。 従来のロッカーボギー構造の概念図である。
これから本発明を適用する実施形態を図面に基づいて説明する。本発明の第1の実施形態は荷重分配手段として滑車装置を用いるものであり、4つの支持手段を持つ移動体支持構造である。まず、移動体支持構造100の構成について説明する。
移動体支持構造100は、大きく、脚支持部10、脚部11、動滑車12、固定滑車13、ワイヤ14から構成される。脚支持部10は、移動体主要部20の下部に取り付けられている。脚支持部10は、移動体主要部20が自立するように3つ以上必要であるが、ここでは4つ設けられている。図1では、移動体主要部20は板状の構成として示されているが、実際には各種機器を搭載した車両、航空機、惑星着陸機などの主要部(全体からサスペンションを除く部分)である。
脚支持部10と脚部11の間に、それらの間を広げる方向の力を加えることによって、脚部を所定の原点に復帰させるような力を与える原点復帰バネ15が取り付けられる。脚保持バネ15は、移動体の重量を支え、ワイヤ14に所定の張力を与えることができる反発力を有するものである。脚支持部10は4つの支持手段のそれぞれに対して設けられた脚支持部10A、10B、10C、及び10Dを含むものを総称したものであり、脚部11はそれぞれの脚支持部10に対して設けられた脚部11A、11B、11C、及び11Dをまとめて総称したものであり、動滑車12はそれぞれの脚部11に対して設けられた動滑車12A、12B、12C、12Dをまとめて総称したものであり、固定滑車13はそれぞれの脚支持部10の両側に対して設けられた13A1、13A2、13B1、13B2、13C1、13C2、13D1及び13D2をまとめて総称したものであり、脚保持バネ15はそれぞれの脚部11に対して設けられた脚保持バネ15A、15B、15C、15Dをまとめて総称したものである。
脚部は移動体主要部20の重量を地面に伝達して支えるための支持部である。1つの脚部10は、対応する脚支持部に対して少なくとも上下方向に変位可能に取り付けられる。変位の方法としては、脚支持部と脚部がそれぞれの摺動面で接しており、その摺動面で摺動する直動機構を用いる方法が好適である。他には、支持部と脚部が半径の違う筒状構造を組み合わせたテレスコピック状の直動機構や、脚部の一方が脚支持部に回転可能に保持されたスイングアーム等のリンク機構なども可能である。
前記脚部11のそれぞれは、1つの脚部11の変位の変化を、他の脚部11に逆方向の変位の変化をもたらす力によって前記他の脚部11に伝達する荷重分配手段でお互いに接続されている。ここでは、それぞれの脚部は、動滑車12及び固定滑車13によって支持された共通のワイヤ14で連結されている。動滑車12は脚部11に固定されており、脚部11の変位に合わせて変位する。ワイヤ14の長さは一定であるため、ある脚部11及び動滑車12におけるワイヤ14を縮める方向の変位は、他の脚部11及び動滑車12においてワイヤ14を伸ばす方向の変位として伝達される。例えばある動滑車12Aの上向きの変位は、固定滑車13を介して、他の動滑車12B、12C、及び12Dに逆方向の下向きの変位をするような力としてそれらに伝達される。固定滑車13は、動滑車12による上下方向のワイヤ14の動きを他の脚部11に効率的に伝達することができるように、動滑車12からの上下方向のワイヤ14を支えると共に、ワイヤ14の方向を水平方向に変換するように配置されると好適である。このような構成によると、動滑車12の移動と脚部11の移動を一致させることができるため,機器の省スペース化が可能となる。
次に、移動体支持構造100の動作について説明する。まず、荷重分配機構の動作原理について説明する。図4は、滑車を用いた荷重分配方法の概念図である。図4においては3つの固定滑車と2つの固定滑車で保持されたワイヤが示されている。ワイヤの張力をFaとし、固定滑車にかかる力をF1、F2とする。この場合、ワイヤの重量を考慮しなければ、理想的にはF1=F2=2×Faの関係が成立する。そして、釣り合い状態において、何らかの原因によって左側の動滑車に上向きの力が加わると、F1が小さくなることにより、その動滑車を持ち上げようとするワイヤによる張力が2×Fa(=F2)がF1より大きくなるため、左側の動滑車は上向きの力を受けて上側に移動する。それによって右側の動滑車は下側に移動するが、右側の動滑車が地面に接触するなどの原因によって上向きの力を受けると2×Fa=F2が小さくなり、F1=F2=2×Faとなるところでバランスして移動が止まることになる。これは、左側の動滑車にかかった荷重の変化が右側の動滑車に分配されたことによるものと理解することができる。
また、荷重分配機構は、流体圧装置を用いて実現することもできる。図5は、流体圧装置を用いた荷重分配方法の概念図である。図5においては共通の流体を有する4つのピストンを有する流体圧装置が示されている。F1とF2の力がかかるピストンだけが移動することができるものとする。この場合、ピストンの断面積が同じであり、流体の重量を考慮しなければ、理想的にはF1=F2=Faの関係が成立する。そして、釣り合い状態において、何らかの原因によって左側のピストンに下向きの力が加わると、F1が大きくなることにより、右側のピストンに係る力F2が釣り合い状態より大きくなることにより右側のピストンは上向きに移動し、左側のピストンは下向きに移動する。ここで、右側のピストンが何かと接触するなどの原因によって下向きの力を受けるとF2が大きくなり、F1=F2=Faとなるところでバランスして移動が止まることになる。これは、左側のピストンにかかった荷重の変化が右側のピストンに分配されたことによるものと理解することができる。
次に、移動体支持構造100の具体的な動作について説明する。脚部11A、11B、11C、及び11Dが地面を押す力(すなわち、各脚部11に分散された移動体主要部20の重量)を、それぞれF1、F2、F3、F4とし、この状態で釣り合っており、移動体主要部20は水平であるとする。また、ワイヤ14の張力をFaとする。この場合、F1=F2=F3=F4=2×Faが成り立つ。また、初期状態において、すべての脚部11の変位の量は同じであるとする。図6は、本発明の動作の概念図であり、初期状態を示す図である。
次に、凹凸のある地面で、移動体主要部20が車輪によって移動した場合を考える。脚部11Aの車輪が地面の凸部に乗り上げたとすると、脚部11A及び動滑車12Aが上向きに変位しようとし、脚部11Aが支える移動体主要部20の重量に対して上向きの加速度を発生させるための力が発生する。脚部11Aを縮めようとするこの上昇分の力をαとすると、F1がF1+αに増加することになる。このため脚支持部12Aは上向きに移動する力を受け、移動体主要部20を上に押し上げる。このとき、ワイヤ14の張力はFa+α/2に増加し、それがほぼ瞬時に他のすべての動滑車12B、12C、12Dに伝達される。そのため、他の脚部11B、11C、及び11Dが地面を押す力も、F2+α、F3+α、F4+αにそれぞれ同様に増加して下向きに変位しようとする力αがそれぞれに加えられ、脚部11B、11C、及び11Dが伸びて移動体主要部20をさらに上に押し上げる。ここで、移動体主要部20の重量が各脚部11に均等に分散されているとすると、各脚部11は同じ上向きの加速度を移動体主要部20に与えることになるため、移動体主要部20は水平を保ったまま上向きに移動する。移動体主要部20の上昇が終了すると、αはゼロに戻ることになる。このように、1つの脚部11Aの車輪が地面の凸部に乗り上げたにもかかわらず、移動体主要部20は水平を保ったまま上昇する。図7は本発明の動作の概念図であり、荷重分配後の状態を示す図である。ここには、F1のF1+αへの増加により脚部11Aが上向きに移動すると共に、他の脚部11B、11C、11DがF2+α、F3+α、F4+αの地面を押す力の増加によって等しく下方に移動することが示されている。重要な点は、荷重分配機構により、ある脚部11Aにかかった力の変化αがほぼ瞬時に他の脚部11B、11C、11Dに同じ力の変化αとして伝達されることであり、これによって各脚部11に支えられている移動体主要部20は水平を保ったまま上下動することができる。
脚部11Aの車輪が地面の凹部に落ち込んだ場合は、上記の説明においてαの符号を反対にし、移動する方向を下向きにすると同じである。すなわち、ある脚部11Aにかかった力の減少方向の変化αが、ワイヤ14の張力の絶対値αの減少を通じてほぼ瞬時に他の脚部11B、11C、11Dに同じ力の減少方向の変化αとして伝達される。この場合も、移動体主要部20は水平を保ったまま下降する。従って、凹部の場合も同様に水平を保ったままである。
また、各脚部11に対応する各動滑車12の上下動によってもたらされるワイヤ14の張力の変化は単純に合成することができるものである。従って、各脚部11に対応する車輪が別々の凹凸の上を走行する場合でも、すべての脚部11A、11B、11C、11Dにかかる力は変化しつつも同じ値に保たれるため、常に移動体主要部20は水平を保ったままである。
なお、実際には、ワイヤ14の張力の変化の伝達が完全には瞬時でないこと(ワイヤ14の軸方向の基本固有振動周期以上の時間がかかる)、移動体主要部20の重量が完全に均等に各脚部11に分散されているとは限らないこと、脚部11に質量があることなどの不均衡を生じる要因により、水平が保たれにくい場合もある。このような場合は、脚部11の数を多くすることにより、より水平を保ちやすいようにすることができる。
また、ワイヤ14の適切な張力を保持するための張力保持バネ16を取り付けることも可能である。好適には、ワイヤ14に直列に1つの張力保持バネ16を取り付ける。このようにすると、脚部11からワイヤ14に伝達された衝撃や振動をワイヤ14がそれに応じて伸びることにより軽減することができる。
また、ワイヤ14に振動を吸収するためのダンパ要素17を取り付けることも可能である。ダンパ要素17は、例えばガスやオイルを封入したショックアブソーバなどを使用することができ、そこに加えられた衝撃や振動を吸収して、脚部11の衝撃や振動を減衰させることにより、移動体主要部20の不要な振動を防止することができる。なお、本発明によれば、脚部11のそれぞれにダンパ要素17を取り付ける必要がなく、ワイヤ14に取り付けられた1箇所のダンパ要素17によりすべての脚部11の衝撃や振動をまとめて吸収させることができる。ダンパ要素は、図示のように、張力保持バネ16と並列に取り付けることができる。また、張力保持バネ16を置換して取り付けることや、張力保持バネ16と直列に取り付けることも可能である。
また、荷重分配機構として流体圧装置を用いた場合も、同様に、ある脚部11Aにかかった力の変化αがほぼ瞬時に他の脚部11B、11C、11Dに同じ力の変化αとして伝達されるため、地面の凹凸にかかわらず、移動体主要部20は水平を保ったまま上下動することができる。流体圧装置の場合、内部に適切なオリフィスを設けることにより、ダンパ要素17の機能を含ませることもできる。また流体圧装置の場合、一定以上の気圧のある環境では、流体圧に気圧が加えられるため、流体によって押す力だけでなく引く力も伝達できることとなり、脚保持バネ15を使用しない構成も可能となる。
図3に、本発明の第2の実施形態に係る移動体110を示す。この実施形態では、それぞれの脚部11の先端に、地面と接する車輪18を回転可能に軸支させることにより、移動体支持構造100をサスペンションとし、車輪18によって伝達される駆動力によって地面を移動することができる移動体110が構成されている。車輪18は、脚部11A、11B、11C、及び11Dの先端にそれぞれ取り付けられた、車輪18A、18B、18C、及び18Dをまとめて総称したものである。また好適には、車輪18の一部あるいはすべてには、車輪18を回転させる動力が伝達されており、車輪18の回転を制御することによって、移動体110を所望の速度で移動させることや方向を制御することができる。車輪18を回転させる動力は、それぞれの車輪18の近傍に電動機を設けることによって供給すると好適である。電動機の動力は、好適には減速ギヤ等を介して適切なトルクに変換されて車輪18に伝達される。電動機としては、直流電動機、交流電動機、ステップモータなどの各種の電動機を用いることができる。なお、車輪の動力を、ワイヤ、ベルト、チェーン、シャフトなどで移動体主要部20側に設けられた動力源から伝達するようにすることも可能である。また、車輪18の一部あるいはすべてをステアリング可能にし、ステアリング角度を制御することによって所望の方向に移動させるようにすることも可能である。車輪18は、その車輪18と脚部11とをお互いに回転可能な軸で連結し、電動機などからの制御された動力を減速ギヤ等を介して車輪18のステアリング方向に伝達することにより、ステアリング可能とすることができる。具体的な移動体110としては、車両、車両型ロボット、航空機、惑星着陸機などを使用することができる。
図8、図9に、本発明の第3の実施形態に係る移動体支持構造120を示す。この実施形態は、荷重分配手段と脚部11の間に、変位の方向を変化させるリンク19を接続したものである。なお、リンク19は、脚部11A、11B、11C、及び11Dにそれぞれ取り付けられた、リンク19A、19B、19C、19Dをまとめて総称したものである。このようにすると、荷重分配手段を水平面だけで構成することが可能である。
本発明に係る荷重分配機構により、路面粘着性の顕著な改善効果が得られた。図10は本発明による路面粘着性の改善結果を表わす図である。ここでは、図8、図9に示す、本発明の第3の実施形態に係る移動体支持構造120を使用した結果が示されている。図においては、おもりが無い場合(図の「おもり無し」)、おもりを移動体の中心部においた場合(図の「おもり中心」)、おもりを移動体の前部においた場合(図の「おもり中心」)のそれぞれの移動体の状態に対して、地面が平坦である場合(図の「平坦」)、地面の凸部を1脚で乗り越えた場合(図の「1脚段差上」)、地面の凸部を2脚で乗り越えた場合(図の「2脚段差上」)、のそれぞれの地面の状態を組み合わせた場合の、従来技術における路面粘着性と本発明を採用した場合の路面粘着性の結果が示されている。ここで、路面粘着性という指標は、荷重平均値と各接地点における実荷重,これらの差分の二乗の総和の平方根であり、これが0に近いほど、各接地点における荷重のばらつきが小さいことになる。図より、本発明に係る荷重分配機構により、物体の質量・重心位置・路面の凹凸に関わらず、路面粘着性能(荷重の平均値からのばらつきの少なさ)が向上することがわかる。その結果,支持部にかかる力の不均衡が抑制され,対象となる物体への副次効果も抑制されることとなる。なお、図10の結果において,荷重が完全に平均化されていないのは、移動体支持構造120においてはリンク19が使用されているために、荷重を完全に直動の動作フリーの方向に伝達することができず、その直交方向に力がかかって摩擦が発生しているためである。図1、図2に示す、本発明の第1の実施形態に係る移動体支持構造100を使用した場合は、荷重をほぼ完全に直動の方向に伝達することができるため、より高い効果が得られることとなる。
本発明の方法を用いることで、3以上の数の支持部に働く荷重をすべてほぼ等しくする事ができるため、一部の支持部に強い荷重がかかることにより発生する副次効果(例えば,移動体の地面等への沈み込みや転倒)を防止する必要がある様々な用途に適用することができる。また、移動体が接地面と離れた状態から,地面等へ接地する際にも効果を有する。例えば,いずれかの支持部が先に接地してもほとんど力を受けることなく縮み,他の支持部は伸びるため、すべての支持部がほぼ同時に接地することができる。このため、地面の凹凸にかかわらず、空中の姿勢を保ったまま地面に接地できる。このような特徴を有するため、本発明は、例えば以下のような用途に適用することができる。惑星探査用移動機構付ロボットのサスペンション機構として利用することができ、それにより,障害物乗り越え性能の向上,姿勢変化の低減,軟弱地における粘着力増加に伴う走破性の向上ができる。また、砂漠等のもろい地盤を走る車両のサスペンション機構として利用することにより、車輪の沈み込みによるスタックを防止できる。また、自動車やバギーなど地上の車輪移動体におけるアクスルアーティキュレーションの性能を維持しつつ,ワイヤ端にばねダンパを取り付けるもしくは油圧システムを使用することで,乗り心地等を悪化させる高周波振動も同時に抑制することのできる機構として使用できる。また、惑星探査用着陸機の脚に採用して斜面等の悪条件で着陸するための転倒防止装置として利用できる。また、熱気球のかごの下面やヘリコプターの着陸構造に複数の脚とともに搭載し、斜面や凹凸地面上への不時着を安全に行うことができる。
10、10A、10B、10C、10D 脚支持部
11、11A、11B、11C、11D 脚部
12、12A、12B、12C、12D 動滑車
13、13A1、13A2、13B1、13B2、13C1、13C2、13D1、13D2 固定滑車
14 ワイヤ
15、15A、15B、15C、15D 原点復帰バネ
16 張力保持バネ
17 ダンパ要素
18、18A、18B、18C、18D 車輪
19、19A、19B、19C、19D リンク
20 移動体主要部
100、120 移動体支持構造
110 移動体

Claims (9)

  1. 移動体の主要部の下部に取り付けられた、3つ以上の脚支持部と、
    前記脚支持部のそれぞれに対して設けられ、前記脚支持部に対して少なくとも上下方向に変位可能である脚部と、
    を有する移動体支持構造であって、
    前記脚部のそれぞれは、
    1つの脚部の変位の変化を、他の脚部に逆方向の変位の変化をもたらす力によって前記他の脚部に伝達する荷重分配手段でお互いに接続されていることを特徴とする移動体支持構造。
  2. 前記荷重分配手段は、
    前記脚部のそれぞれに対して取り付けられた動滑車と、
    前記脚支持部のそれぞれに対して取り付けられた固定滑車と、
    前記固定滑車及び前記動滑車で保持された共通のワイヤと、から構成される請求項1に記載の移動体支持構造。
  3. 前記脚部と前記脚支持部の間に取り付けられた、前記脚部を所定の原点に復帰させるような力を与えるための原点復帰バネを有する請求項2に記載の移動体支持構造。
  4. 前記荷重分配手段と前記脚部の間に、変位の方向を変化させるリンクが接続された請求項1に記載の移動体支持構造。
  5. 前記ワイヤには、所定の張力を印加するためのバネが取り付けられている請求項2又は3に記載の移動体支持構造。
  6. 前記ワイヤには振動を吸収するためのダンパ要素が取り付けられている請求項2から4のいずれか1項に記載の移動体支持構造。
  7. 前記荷重分配手段は、共通の流体を有する流体圧装置である請求項1に記載の移動体支持構造。
  8. 請求項1から7のいずれか1項に記載の移動体支持構造を有し、
    前記脚部のそれぞれに対して地面と接する車輪をさらに有する移動体。
  9. 前記車輪の一部又は全部の近傍の前記脚部に取り付けられた前記車輪の一部又は全部を駆動する電動機をさらに有する請求項8に記載の移動体。
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