JP2009154256A - 車輪付脚式移動装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】車輪走行時に脚が仮想的なバネおよびダンパとなるように制御する。
【選択図】図1
Description
図15は,従来の車輪付脚式移動装置で,脚式歩行時の制御ブロック図である。車輪付脚式移動装置であっても,車輪を停止させておけば従来の二足歩行ロボットなどの脚式移動装置と同様の制御により歩行動作をすることができる。以下では,図15を用いて従来の二足歩行ロボットの制御装置の全体構成を説明する。図15において,100は歩容生成装置であり,上位コンピュータまたは操作者から歩行指令を受け取り,歩行指令の要求を満たすように歩容を生成する。本従来例では,歩行指令とは要求される歩幅と旋回角の組であり,歩容とは上体位置姿勢軌道,足平位置姿勢軌道,ZMP軌道の組である。101は安定化制御器であり,予測しなかった外乱により歩行ロボットが転倒するのを防ぐため,各種センサ情報を用いて歩容生成装置100が生成した歩容を修正する。102は逆キネマティクス演算器であり,安定化制御器101が生成した修正歩容を,逆キネマティクス演算により各関節の関節モータ位置指令に変換する。103は関節モータ位置制御器であり,エンコーダ105からの関節モータ位置情報を用いて,逆キネマティクス演算器102が生成した関節モータ位置指令どおりの位置に動作させるように関節モータのトルクを制御する。ロボットの関節の角度と関節モータの回転量は一対一に対応する。107は関節モータ電流制御器であり,関節モータ位置制御器103が生成した関節モータトルク指令通りのトルクが生じるように関節モータに流す電流を制御する。104は関節モータおよび脚構造であり,関節モータ電流制御器107によって電流を操作される関節モータと脚構造である。脚構造は地面等と接触することにより二足歩行ロボットを移動させる力を発生する。105はエンコーダであり,関節モータ位置を検出し,関節モータ位置制御器103へフィードバックする。関節モータおよび脚構造104が動作した結果,各種状態量が変化する。106は各種センサであり,各種状態量を検出して安定化制御器101にフィードバックする。具体的には,各種状態量とは二足歩行ロボットの上体の傾き,向き,またはそれらの速度,足裏に受ける圧力であり,各種センサ106は,傾斜センサ,ジャイロセンサ,加速度センサ,地磁気センサ,圧力センサ,6軸力センサ,カメラなどが用いられる例が多い。脚式歩行時の歩容生成装置100や安定化制御器101などの演算の詳細は従来の脚式移動装置と同様であり,本発明の本質とは関係ないため省略する。従来の車輪付脚式移動装置では,車輪走行時には歩容生成装置で生成される歩容は,通常,ある足先位置で停止状態とした歩容である。特許文献2では,2脚の受動車輪付脚式移動装置で,足先をハの字として左右に開いたり閉じたりするいわゆるスウィズル動作により走行するというアイデアも示されている。この場合,歩容はそのスウィズル動作になる。このように車輪走行時に脚を動作させる場合でも,鉛直方向の足先位置は固定としていた。
図16は,従来の車輪付脚式移動装置を右から見た側面図と正面図である。図16において,1は胴体部であり,制御装置やバッテリなどをここに固定する。人や荷物を搬送する場合はここに載せる。本従来例では,脚は胴体の左右に1本ずつの2脚の構成となっている。2,5,9,12はロール軸,3,10はピッチ軸,6,13はヨー軸であり,ここにはモータなどのアクチュエータを備え,それぞれの軸まわりに脚を回転させることができる。4はボールねじであり,脚を伸縮できる。7,8,14,15は車輪であり,2本の脚にそれぞれ2つずつ車輪が配置されている。このような構成にすることによって,路面と各脚がそれぞれ2点で接地するため,脚を前後に開いた両脚支持のときには,支持多角形が四角形となり制御なしでも直立を維持できる。また,両脚の計4つの車輪はそれぞれ独立に動作できるようになっているため,片脚支持のときには,その場での旋回も可能である。また,特許文献2の構成では,さらに受動的に回転する車輪を追加し,各脚がそれぞれ3点以上で接地するようにし,片脚のみで支持多角形を構成できるようにしている。このような構成とすることにより,脚式歩行時に片脚支持の状態でもゼロモーメントポイントの位置を変化させることができ,安定化制御が容易になる。
このように,従来の車輪付脚式移動装置は,車輪走行時には脚は動作させず,脚先端の位置を固定としているのである。
本発明はこのような問題点に鑑みてなされたものであり,車輪走行時に路面の凹凸があっても胴体部に衝撃が伝わらないようにするとともに脚制御時にも容易に安定化制御をすることができ,加減速時や旋回時にも横方向の力を受けないようにすることができ,その結果,人や荷物の搬送用途にも使用できる車輪付脚式移動装置を提供することを目的とする。
請求項1に記載の発明は,胴体部と,前記胴体部に配置され先端に車輪を備えた車輪付脚と,前記車輪付脚の脚部の動作を制御する脚制御装置と,前記車輪の動作を制御する車輪制御装置とを備え,脚式歩行と車輪走行を切り替えて動作する車輪付脚式移動装置において,前記脚制御装置は,前記車輪走行時に前記車輪付脚が仮想的なバネおよびダンパとなるように制御するとするものである。
また,請求項2に記載の発明は,前記脚制御装置は,前記車輪走行時に前記車輪付脚の足先位置が前後方向に整列したバイク型動作をするとするものである。
また,請求項3に記載の発明は,前記脚制御装置は,前記車輪走行時に前記車輪付脚の足先位置が横方向に整列した倒立振子型動作をするとするものである。
また,請求項4に記載の発明は,前記脚制御装置は,ロール角を検出する傾斜センサを備え,前記バイク型動作をする際に,旋回による遠心加速度ベクトルと重力ベクトルとの和で表される見かけの重力方向に対して前記胴体部のロール角が水平となる状態を偏差零として前記車輪付脚のうち少なくとも1つの足先ヨー角を操作してフィードバック安定化制御するとするものである。
また,請求項5に記載の発明は,前記脚制御装置は,ピッチ角を検出する傾斜センサを備え,前記倒立振子型動作をする際に,前後方向加速度ベクトルと重力ベクトルとの和で表される見かけの重力方向に対して前記胴体部のピッチ角が水平となる状態を偏差零として前記車輪のうち少なくとも1つのトルクを操作してフィードバック安定化制御するとするものである。
また,請求項6に記載の発明は,前記脚制御装置は,前記車輪走行時に前後方向加速度ベクトルと重力ベクトルとの和で表される見かけの重力方向に対して前記胴体部のピッチ角が水平となるように前記車輪付脚の足先位置を制御するとするものである。
また,請求項7に記載の発明は,前記脚制御装置は,前記車輪走行時に旋回による遠心加速度ベクトルと重力ベクトルとの和で表される見かけの重力方向に対して前記胴体部のロール角が水平となるように前記車輪付脚の足先位置を制御するとするものである。
また,請求項8に記載の発明は,前記脚制御装置は,関節角のフィードバックから足先位置を算出する順キネマティクス演算器を備え,足先位置の並進方向3自由度と姿勢角3自由度との計6自由度のうちの1つ以上についてについてそれぞれ独立に制御するとするものである。
また,請求項9に記載の発明は,前記脚制御装置は,前記車輪走行時に前記車輪付脚が足先位置の並進方向3自由度と姿勢角3自由度との計6自由度のうちの1つ以上についてそれぞれ独立に設定されたバネ定数およびダンピング定数の仮想的なバネおよびダンパとなるように制御するとするものである。
また,請求項10に記載の発明は,前記脚制御装置は,関節モータに受けている外乱を推定する外乱オブザーバと,前記外乱を床反力推定値に換算する外乱変換演算器を備え,算出された床反力推定値を用いて前記車輪付脚が仮想的なバネおよびダンパとなるように制御するとするものである。
また,請求項11に記載の発明は,前記脚制御装置は,前記胴体部に操作者が乗るための座席と,旋回半径を操作するためのハンドルとを備え,前記ハンドルの操作量に応じて前記車輪付脚のうち少なくとも1つの足先ヨー角を決定するとするものである。
また,請求項12に記載の発明は,前記脚制御装置は,前記胴体部に操作者が乗るための座席と,旋回半径を操作するためのハンドルとを備え,前記ハンドルの操作量に応じて複数の前記車輪の回転速度またはトルクを決定するとするものである。
また,請求項13に記載の発明は,前記脚制御装置は,前記胴体部に操作者が乗るための座席と,アクセルとを備え,前記アクセルの操作量に応じて前記車輪のうち少なくとも1つの回転速度またはトルクを決定するとするものである。
また,請求項2に記載の発明によると,高速走行時にも安定して走行することができる。
また,請求項3に記載の発明によると,少ないコストでその場での停止や旋回ができる装置が構成できる。
また,請求項4に記載の発明によると,高速走行時にも安定して自律動作により走行することができる。
また,請求項5に記載の発明によると,少ないコストで自律動作によりその場での停止や旋回ができる装置が構成できる。
また,請求項6に記載の発明によると,加減速時に胴体部に横方向の力を受けないようにすることができ,物を搬送する際には搬送物の落下などを避けることができ,人を搬送する際には乗り心地を良くすることができる。
また,請求項7に記載の発明によると,旋回時に胴体部に横方向の力を受けないようにすることができ,物を搬送する際には搬送物の落下などを避けることができ,人を搬送する際には乗り心地を良くすることができる。
また,請求項8に記載の発明によると,脚の制御則を関節ごとではなく足先位置の並進方向と姿勢角ごとにそれぞれ設定することができ,剛性や応答性をより適した設定にすることができる。
また,請求項9に記載の発明によると,バネ定数やダンピング定数を足先位置の並進方向と姿勢角ごとにそれぞれ設定することができ,より衝撃吸収性に優れた設定にすることができる。
また,請求項10に記載の発明によると,床反力センサなしにバネダンパ制御をすることができ,コストを安くすることができる。
また,請求項11に記載の発明によると,人が乗ってステアリングを操作して運転することができる。
また,請求項12に記載の発明によると,人が乗って旋回量を操作して運転することができる。
また,請求項13に記載の発明によると,人が乗って速度を操作して運転することができる。
本実施例では,各脚につきそれぞれロール軸関節モータを1つ,ピッチ軸関節モータを2つ備えており,前脚にはさらにヨー軸関節モータを1つ備えている。これらの関節モータにより,後脚の足先位置は並進方向3自由度の動作が可能であり,前脚はさらにヨー軸を加えた計4自由度の動作が可能である。本実施例では,足先の位置を3自由度と4自由度としているが,後脚にもヨー軸を加えたり,さらに足首付近などにロール方向のモータを追加して足先のロール方向の姿勢を制御できるようにしても良い。また,特許文献2にあるように,片脚のみでも車輪が3点以上で接地するような構造とした場合には,さらにモータを1つ追加して足先のピッチ方向の姿勢を制御できるようにしても良い。各足先の位置3自由度,姿勢3自由度の計6自由度を制御可能とした方が,脚式歩行動作時に制御が容易となり,歩行速度なども高められるが,その分コストがかかるためアプリケーションに応じて自由度を決定するべきであろう。また,人間の膝関節に相当するピッチ軸関節モータ57および67は,図ではどちらも前方に曲げているが,例えばピッチ軸関節モータ67のみを逆に曲げ,両方の膝が内側に折り曲げられるようにしてもよく,こうした方が占有スペースが小さくなる利点があるが,脚の取り付け位置が近いと両方の膝が干渉しやすくなる欠点があるので注意が必要になる。また,本実施例では車輪モータは後脚にのみ設置しているが,各脚につきそれぞれ車輪モータを1つ備え,各脚で独立に車輪を駆動できるようにしてもよい。図では簡単のため車輪の軸と車輪モータの軸を直結したように描いているが,実際には車輪モータ60は路面との干渉を避けるため,車輪59より上方の脚構造58付近などに固定し,ベルトなどで動力を伝達する方が現実的である。バイク型動作では,胴体部のピッチ姿勢を制御できるため,加減速時に見かけの重力方向に対して水平になるようにピッチ姿勢を制御しても良い。車輪モータにもエンコーダまたはタコジェネレータを備え,位置または速度フィードバックを用いてフィードバック制御をしてもよいが,車輪と路面との間で滑りが発生したり,車輪の空気圧や負荷の重さ等によって車輪の直径が変化したりするため,フィードバックのためのセンサを用いて車輪モータの位置や速度を正確に検出しても,実際の車体の位置や速度は正確には求められず,さほど性能が向上しない場合が多いため,コストを下げるために車輪モータには位置や速度センサを使用せずにフィードフォワード的な制御としても問題ない。
次に,図2を用いて本発明の車輪付脚式移動装置の制御装置について説明する。車輪式脚式移動装置の最大の利点は,階段や凹凸の激しい路面では脚式歩行動作,比較的平坦な路面では安定性が高くエネルギー効率の良い車輪走行動作,という切替ができる点にある。本発明は脚式歩行動作については従来技術と同様であり,車輪走行動作時の制御に関する部分が特徴であるため,以下では車輪走行動作時の制御についてのみ説明する。制御装置は、図示しない上位の指令生成装置から速度・旋回半径指令を受け取る。指令生成装置は本発明の車輪付脚式移動装置とともに移動するようにしてもよいが、別の場所に設置された計算機や他のロボットから無線通信等で受け取るようにしても良い。指令は様々な与え方が考えられるが、本実施例では、胴体部50の前進方向の速度vと旋回半径rとして与えるものとする。10は車輪モータ指令生成器であり、速度指令から車輪モータ60の速度指令を算出する。滑りなどを無視すれば,胴体部50の速度と車輪モータ60の回転速度は単純な比例の関係にあり,速度指令は車輪59の直径とギヤ比から容易に車輪モータ速度指令に換算できる。11は車輪モータ電流制御器であり,車輪モータ指令生成器10から与えられた車輪モータ速度指令どおりの速度となるように車輪モータ60の電流を制御する。12は車輪モータおよび車輪であり,車輪モータ電流制御器11によって車輪モータの電流が制御され,車輪が回転することにより推進力を得て走行する。13は傾斜指令生成器であり、速度指令と旋回半径指令をもとに胴体部50のピッチ角とロール角の指令値を決定する。ピッチ角とロール角は,実際の(すなわち胴体部の並進加速度を含まない)重力に対して水平の状態を0と定義する。傾斜指令生成器13では,まず次式により前進方向の加速度指令ax,および左右方向の遠心加速度指令ayを算出する。
上記以外の足先位置指令はデフォルト足先位置とすればよい。
15はバネダンパ制御器であり,足先位置指令と床反力情報をもとに,脚がバネとダンパを並列に備えたのと等価に動作するように足先位置指令を修正する。床反力情報とは,床反力センサ16によって検出された床反力であり,本実施例では,床反力情報として,各脚のz方向床反力が得られているものとする。実際,このような情報を得るには,各足先の車輪の軸受などに圧力センサを設置すればよい。本実施例では,次式により前脚の足先位置指令pz1を修正してp’z1を,後脚の足先位置指令pz2を修正してp’z2を算出する。各足先に受けている床反力をf1,f2,各脚に設定する仮想的なバネ定数をそれぞれk1,k2,仮想的なダンピング係数をそれぞれd1,d2とする。
102は逆キネマティクス演算器であり,バネダンパ制御器101が生成した修正足先位置指令を,逆キネマティクス演算により各関節の関節モータ位置指令に変換する。103は関節モータ位置制御器であり,エンコーダ105からの関節モータ位置情報を用いて,逆キネマティクス演算器102が生成した関節モータ位置指令どおりの位置に動作させるように関節モータのトルクを制御する。107は関節モータ電流制御器であり,関節モータ位置制御器103が生成した関節モータトルク指令通りのトルクが生じるようにモータに流す電流を制御する。104は関節モータおよび脚構造であり,関節モータ電流制御器107によって電流を操作される関節モータと脚構造である。105はエンコーダであり,関節モータ位置を検出し,関節モータ位置制御器103へフィードバックする。関節モータおよび脚構造104が動作した結果,床から受ける反力が変化する。16は床反力センサであり,この床反力を検出してバネダンパ制御器15にフィードバックする。以上のような動作により,脚が仮想的なバネとダンパの役割を果たす。図14に加速時の胴体の傾斜の状態とバネダンパ制御の方向を示す。本実施例ではバネダンパ制御の方向は図のように胴体に対して垂直な方向であるが,路面と垂直な方向としてもよい。
次に,図3を用いて本実施例の車輪付脚式移動装置の制御装置について説明する。本実施例でも実施例1と同様に、胴体部50の前進方向の速度vと旋回半径rを指令として与える。10は車輪モータ指令生成器であり、本実施例では,速度指令,旋回半径指令,ピッチ角情報,車輪モータ位置情報から車輪モータトルク指令を生成する。車輪モータ位置情報とは,車輪モータエンコーダ18によって検出された車輪モータ60および70の回転速度である。ピッチ角を維持したまま速度vで走行するには,胴体速度とピッチ角とピッチ角の微分値を状態変数として状態フィードバックし,モータトルクを操作量として倒立振子の制御をすればよい。胴体速度は,車輪モータ位置情報を微分して車輪モータの回転速度を求め,それを換算して得る。あるいはオブザーバにより推定しても良い。車輪モータエンコーダ18の代わりにタコジェネレータを用いて車輪モータの回転速度を直接検出し,胴体速度に換算しても良い。次に,胴体速度v’と旋回半径指令rを次式により車輪59および車輪69の並進速度指令v1,v2に換算する。
11は車輪モータ電流制御器であり,車輪モータ指令生成器10から車輪モータ指令として与えられたトルク指令どおりのトルクとなるように車輪モータ60および70の電流を制御する。
12は車輪モータおよび車輪であり,車輪モータ電流制御器11によって車輪モータの電流が制御され,車輪が回転することにより推進力を得て走行する。
13は傾斜指令生成器であり、胴体速度と旋回半径指令をもとに胴体部50のロール角の指令値を決定する。まず(1)式により左右方向の遠心加速度指令ayを算出し,(2)式によりロール角指令θxrefを算出する。
14は足先位置指令生成器であり,ロール角指令をもとに足先位置指令を算出する。指令のロール角を実現するための足先位置は以下のように計算する。ロール角をθxrefとするためには,以下の関係を満たすように足先位置指令を決定すればよい。ただし,本実施例では添え字の1は左脚,2は右脚を意味する。
次に,図4を用いて本発明の車輪付脚式移動装置の制御装置について説明する。10は車輪モータ指令生成器であり、速度指令から車輪モータ60および車輪モータ80の速度指令を算出する。まず,速度指令vと旋回半径指令rを次式により車輪59および車輪79の並進速度指令v1,v2に換算する。
11は車輪モータ電流制御器であり,車輪モータ指令生成器10から与えられた車輪モータ速度指令どおりの速度となるように車輪モータ60および80の電流を制御する。12は車輪モータおよび車輪であり,車輪モータ電流制御器11によって車輪モータの電流が制御され,車輪が回転することにより推進力を得て走行する。13は傾斜指令生成器であり、速度指令と旋回半径指令をもとに胴体部50のピッチ角とロール角の指令値を決定する。まず(1)式により前進方向の加速度指令ax,および左右方向の遠心加速度指令ayを算出し,(2)式によりピッチ角指令値θyrefおよびロール角指令θxrefを算出する。
14は足先位置指令生成器であり,ピッチ角・ロール角指令と旋回半径指令をもとに足先位置指令を算出する。ピッチ角指令θyrefとロール角指令θxrefを実現するための足先指令の与え方として,例えば次式のように与えればよい。次式は,簡単のため,指令のピッチ角とロール角を近似的に実現しているが,必要であればロールピッチヨーの定義から厳密に算出しても良い。
また,旋回半径指令rを実現するために,前脚の足先位置のヨー角指令pθz1refを決定する。
次に,図4を用いて本発明の車輪付脚式移動装置の制御装置について説明する。10は車輪モータ指令生成器であり、速度指令から車輪モータ60および車輪モータ80の速度指令を算出する。まず,速度指令vと旋回半径指令rを次式により車輪59および車輪79の並進速度指令v1,v2に換算する。
11は車輪モータ電流制御器であり,車輪モータ指令生成器10から与えられた車輪モータ速度指令どおりの速度となるように車輪モータ60および80の電流を制御する。12は車輪モータおよび車輪であり,車輪モータ電流制御器11によって車輪モータの電流が制御され,車輪が回転することにより推進力を得て走行する。13は傾斜指令生成器であり、速度指令と旋回半径指令をもとに胴体部50のピッチ角とロール角の指令値を決定する。まず(1)式により前進方向の加速度指令ax,および左右方向の遠心加速度指令ayを算出し,(2)式によりピッチ角指令値θyrefおよびロール角指令θxrefを算出する。
14は足先位置指令生成器であり,ピッチ角・ロール角指令と旋回半径指令をもとに足先位置指令を算出する。ピッチ角指令θyrefとロール角指令θxrefを実現するための足先指令の与え方として,例えば次式のように与えればよい。次式は,簡単のため,指令のピッチ角とロール角を近似的に実現しているが,必要であればロールピッチヨーの定義から厳密に算出しても良い。
また,旋回半径指令rを実現するために,前脚の足先位置のヨー角指令pθz1ref,pθz2refを決定する。
次に,図5を用いて本実施例の車輪付脚式移動装置の制御装置について説明する。本実施例でも、胴体部50の前進方向の速度vと旋回半径rを指令として与える。10は車輪モータ指令生成器であり、本実施例では,速度指令,ピッチ角情報,車輪モータ位置情報から車輪モータトルク指令を生成する。ピッチ角を維持したまま速度vで走行するには,胴体速度とピッチ角とピッチ角の微分値を状態変数として状態フィードバックし,モータトルクを操作量として倒立振子の制御をすればよい。胴体速度は,車輪モータ位置情報を微分して車輪モータの回転速度を求め,それを換算して得る。胴体速度は車輪モータ60の回転速度と比例関係にあるため,車輪の直径とギヤ比から車輪モータ60の回転速度指令w1が容易に算出できる。
11は車輪モータ電流制御器であり,車輪モータ指令生成器10から車輪モータ指令として与えられたトルク指令どおりのトルクとなるように車輪モータ60の電流を制御する。
12は車輪モータおよび車輪であり,車輪モータ電流制御器11によって車輪モータの電流が制御され,車輪が回転することにより推進力を得て走行する。
13は傾斜指令生成器であり、胴体速度と旋回半径指令をもとに胴体部50のロール角の指令値を決定する。まず(1)式により左右方向の遠心加速度指令ayを算出し,(2)式によりロール角指令θxrefを算出する。
14は足先位置指令生成器であり,旋回半径指令r,ロール角指令θxref,胴体のヨー角情報θxから足先位置のヨー角指令pθz1refを決定する。ヨー角情報は傾斜・方角センサ19によって検出された胴体部50のヨー角であり,傾斜・方角センサ19は例えば地磁気センサやジャイロセンサにより実現できる。まず,胴体のヨー角指令θzrefを次式のように与える。
その他の足先位置指令はデフォルト足先位置とすればよい。以下の脚の制御は実施例1と同様であるので省略する。以上のような動作により,脚が仮想的なバネとダンパの役割を果たす。
以上,実施例1乃至5に述べた制御装置を一般化して表せば図1のようになる。一般化のために,ブロック間で無駄または冗長な情報の伝達があったり,用語を一般化したりしている。例えば,実施例1および実施例3では,車輪モータ指令生成器10の出力する胴体速度は速度指令そのままである。
22は推力変換器であり,足先推力指令を各関節モータのトルクに換算する。以降の演算については実施例1と同様であるので省略する。
このように,車輪走行時に脚が仮想的なバネ・ダンパとして動作するように制御するようにし,さらに胴体部が見かけの重力に対して水平になるように制御しているので,車輪走行時に路面の凹凸があっても胴体部に衝撃が伝わらないようにでき,脚制御時にも容易に安定化制御をすることができ,胴体部に横方向の力を受けないようにできる。
112 ロール軸
113 ピッチ軸
114 ボールねじ
115 ロール軸
116 ヨー軸
117 車輪
118 車輪
119 ロール軸
120 ピッチ軸
121 ボールねじ
122 ロール軸
123 ヨー軸
124 車輪
125 車輪
100 歩容生成装置
101 安定化制御器
102 逆キネマティクス演算器
103 関節モータ位置制御器
107 関節モータ電流制御器
104 関節モータおよび脚構造
105 エンコーダ
106 各種センサ
10 車輪モータ指令生成器
11 車輪モータ電流制御器
12 車輪モータおよび車輪
13 傾斜指令生成器
14 足先位置指令生成器
15 バネダンパ制御器
16 床反力センサ
17 傾斜センサ
18 車輪モータエンコーダ
19 傾斜・方角センサ
21 足先位置制御器
22 推力変換器
23 順キネマティクス演算器
30 外乱オブザーバ
31 外乱変換演算器
50 胴体部
51 ヨー軸関節モータ
52 脚構造
53 脚構造
54 ロール軸関節モータ
55 ピッチ軸関節モータ
56 脚構造
57 ピッチ軸関節モータ
58 脚構造
59 車輪
60 車輪モータ
61 ヨー軸関節モータ
62 脚構造
63 脚構造
64 ロール軸関節モータ
65 ピッチ軸関節モータ
66 脚構造
67 ピッチ軸関節モータ
68 脚構造
69 車輪
70 車輪モータ
71 ヨー軸関節モータ
72 脚構造
73 脚構造
74 ロール軸関節モータ
75 ピッチ軸関節モータ
76 脚構造
77 ピッチ軸関節モータ
78 脚構造
79 車輪
80 車輪モータ
Claims (13)
- 胴体部と,前記胴体部に配置され先端に車輪を備えた車輪付脚と,前記車輪付脚の脚部の動作を制御する脚制御装置と,前記車輪の動作を制御する車輪制御装置とを備え,脚式歩行と車輪走行を切り替えて動作する車輪付脚式移動装置において,
前記脚制御装置は,前記車輪走行時に前記車輪付脚が仮想的なバネおよびダンパとなるように制御することを特徴とする車輪付脚式移動装置。 - 前記脚制御装置は,前記車輪走行時に前記車輪付脚の足先位置が前後方向に整列したバイク型動作をすることを特徴とする請求項1記載の車輪付脚式移動装置。
- 前記脚制御装置は,前記車輪走行時に前記車輪付脚の足先位置が横方向に整列した倒立振子型動作をすることを特徴とする請求項1記載の車輪付脚式移動装置。
- 前記脚制御装置は,ロール角を検出する傾斜センサを備え,前記バイク型動作をする際に,旋回による遠心加速度ベクトルと重力ベクトルとの和で表される見かけの重力方向に対して前記胴体部のロール角が水平となる状態を偏差零として前記車輪付脚のうち少なくとも1つの足先ヨー角を操作してフィードバック安定化制御することを特徴とする請求項1または2記載の車輪付脚式移動装置。
- 前記脚制御装置は,ピッチ角を検出する傾斜センサを備え,前記倒立振子型動作をする際に,前後方向加速度ベクトルと重力ベクトルとの和で表される見かけの重力方向に対して前記胴体部のピッチ角が水平となる状態を偏差零として前記車輪のうち少なくとも1つのトルクを操作してフィードバック安定化制御することを特徴とする請求項1または3記載の車輪付脚式移動装置。
- 前記脚制御装置は,前記車輪走行時に前後方向加速度ベクトルと重力ベクトルとの和で表される見かけの重力方向に対して前記胴体部のピッチ角が水平となるように前記車輪付脚の足先位置を制御することを特徴とする請求項1記載の車輪付脚式移動装置。
- 前記脚制御装置は,前記車輪走行時に旋回による遠心加速度ベクトルと重力ベクトルとの和で表される見かけの重力方向に対して前記胴体部のロール角が水平となるように前記車輪付脚の足先位置を制御することを特徴とする請求項1記載の車輪付脚式移動装置。
- 前記脚制御装置は,関節角のフィードバックから足先位置を算出する順キネマティクス演算器を備え,
足先位置の並進方向3自由度と姿勢角3自由度との計6自由度のうちの1つ以上についてについてそれぞれ独立に制御することを特徴とする請求項1記載の車輪付脚式移動装置。 - 前記脚制御装置は,前記車輪走行時に前記車輪付脚が足先位置の並進方向3自由度と姿勢角3自由度との計6自由度のうちの1つ以上についてそれぞれ独立に設定されたバネ定数およびダンピング定数の仮想的なバネおよびダンパとなるように制御することを特徴とする請求項1記載の車輪付脚式移動装置。
- 前記脚制御装置は,関節モータに受けている外乱を推定する外乱オブザーバと,前記外乱を床反力推定値に換算する外乱変換演算器を備え,
算出された床反力推定値を用いて前記車輪付脚が仮想的なバネおよびダンパとなるように制御することを特徴とする請求項1記載の車輪付脚式移動装置。 - 前記脚制御装置は,前記胴体部に操作者が乗るための座席と,旋回半径を操作するためのハンドルとを備え,前記ハンドルの操作量に応じて前記車輪付脚のうち少なくとも1つの足先ヨー角を決定することを特徴とする請求項1記載の車輪付脚式移動装置。
- 前記脚制御装置は,前記胴体部に操作者が乗るための座席と,旋回半径を操作するためのハンドルとを備え,
前記ハンドルの操作量に応じて複数の前記車輪の回転速度またはトルクを決定することを特徴とする請求項1記載の車輪付脚式移動装置。 - 前記脚制御装置は,前記胴体部に操作者が乗るための座席と,アクセルとを備え,前記アクセルの操作量に応じて前記車輪のうち少なくとも1つの回転速度またはトルクを決定することを特徴とする請求項1記載の車輪付脚式移動装置。
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