JP5733719B2 - 四輪走行車両 - Google Patents

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Description

本発明は、四輪走行車両に関する。
惑星探査などの目的で、凹凸の高低差の大きい地表面を走行することが可能な高い不整地走破性を要求される走行車両において、従来、左右3個ずつ、合計6個の能動車輪(駆動輪)を有する六輪走行車両があったが、これは高コスト且つ高重量であった。
これに対し、より低コスト且つ軽量なこの種の車両として、例えば、非特許文献1及び非特許文献2に記載の四輪走行車両が公知である。
図12(a)は、非特許文献1に開示されている従来型の四輪走行車両310を模式的に示した上面図であり、図12(b)はその右側面図である。四輪走行車両310は、車両本体部311と、1つの前車輪312と、1つの左車輪313と、1つの右車輪314と、1つの後車輪315とが菱形状に配置された4個の能動車輪を有し、前車輪312と左車輪313、後車輪315と右車輪314をそれぞれ平行リンク機構316、317によって連結した構成となっている。左右の平行リンク機構316、317の一部は、車両本体部311の前側と後側に横方向に配置された回転軸318、319に連結され、各回転軸は、一側に設けられた各プーリー320、321に対してたすき掛けに配置されたタイミングベルト322によって互いに回転方向が逆になるように連動している。すなわち、障害物等の段差を乗り越える際に、前車輪312がまず段差に乗り上がって持ち上がるとそれに連動して後車輪315も上方へ引き上げられ、段差の乗り越えを助力している(図中の矢印)。
図13(a)は、非特許文献2に開示されている従来型の四輪走行車両410を模式的に示した上面図であり、図13(b)はその右側面図である。四輪走行車両410(図13)は、非特許文献1に記載のものと類似した構成であるが、能動車輪の数及び平行リンク機構の形状のみが異なっている。すなわち、当該四輪走行車両410の能動車輪は左車輪413及び右車輪414で、前車輪412及び後車輪415は駆動機構を持たない首振りの受動車輪で構成されている。また、平行リンク機構416、417は、平地走行時において、前方のリンク部材を後方のリンク部材に比べて上方に所定角度γだけ走行面に対してオフセットしている。能動車輪を少なくし前車輪412を受動車輪にした結果、段差に乗り上がり難くなるが、オフセットした平行リンク機構416、417によって、前車輪412が段差の乗り上げ時に上方へ移動しやすくなっている。
特開2007−210576号公報
S. Hirose N. Ootsukasa T. Shirasu、 H. Kuwahara and K. Yoneda、 "Fundamental Considerations for the Design of a Planetary Rover"、 Int. Conf. on Robotics and Automation、 pp.1939-1944、 1995. G. Endo、 A. Tani、 EF. Fukushima、 S. Hirose、 M. Iribe、 T. Takubo: "Study on a Practical Robotic Follower to Support Daily Life -Development of a Mobile Robot with "Hyper-Tether" for Home Oxygen Therapy Patients-"、 International Symposium on System Integration、 P01、 2009.
非特許文献1に記載の四輪走行車両は、全車輪が能動車輪であり、且つ、旋回時には前車輪又は後車輪にステアリング機構が必要であるため、機構が複雑になり、高コストであるという問題がある。また、車輪の取り付けが左右非対称の片持ち構造であるため、構造的に弱くなるという問題もある。
一方、非特許文献2に記載された四輪走行車両は、前車輪及び後車輪が首振りの受動車輪であることから、左車輪及び右車輪の回転速度を異ならせることによって旋回可能であるものの、やはり片持ち構造であるため構造的に弱いという問題がある。
本発明は、一態様において、従来よりも構造的に強く、低コスト且つ軽量化した不整地踏破性の高い四輪走行車両を提供する。
請求項1に記載の発明によれば、車両本体部と、該車両本体部の後方に配置された駆動力を有さない受動車輪である後車輪と、前方リンク及び後方リンクと、前記前方リンク及び前記後方リンクを連接する上方リンク及び下方リンクとからなり、平地走行時において、前記前方リンクが前記後方リンクよりも上方に配置されている前記車両本体部の左右に配置された一対のリンク機構と、前記車両本体部の左右側面にそれぞれ設けられ、前記各リンク機構の前記上方リンク及び前記下方リンクの各中間部分を回動可能に支持して当該リンク機構を揺動可能に構成する各一対の支持軸と、前記車両本体部の左右において対応する前記リンク機構の前記後方リンク又はその延長部に連結された駆動力を有する能動車輪である左車輪及び右車輪と、前記車両本体部の前方に配置され、前記一対のリンク機構を互いに連結する連結部材と、該連結部材に配置された駆動力を有さない受動車輪である前車輪と、を具備する四輪走行車両が提供される。
また、請求項2に記載の発明によれば請求項1に記載の発明において、前記リンク機構が、前記前方リンク及び前記後方リンクが互いに平行且つ前記上方リンク及び前記下方リンクが互いに平行に構成された平行リンク機構である四輪走行車両が提供される。
すなわち、請求項1及び2に記載の発明では、前車輪及び左車輪並びに前車輪及び右車輪が、リンク機構によって連結されることから、従来のような左右非対称の片持ち構造ではなく、左右対称の構造となるため、構造的に強化される。また、前車輪及び後車輪が首振りの受動車輪であることから、低コスト且つ軽量化した不整地踏破性の高い四輪走行車両を実現することが可能となる。
また、請求項3に記載の発明によれば請求項1又は2に記載の発明において、前記左車輪及び前記右車輪が、前記前車輪及び前記後車輪よりも大きい四輪走行車両が提供される。
すなわち、請求項3に記載の発明では、左車輪及び右車輪が、前車輪及び後車輪よりも大きいことによって、より高い段差を乗り越えることが可能となる。
各請求項に記載の発明によれば、従来よりも構造的に強く、低コスト且つ軽量化した不整地踏破性の高い四輪走行車両を提供するという共通の効果を奏する。
本発明の一態様による四輪走行車両の斜視図である。 図1に示された四輪走行車両の上面図である。 図1に示された四輪走行車両の正面図である。 図1に示された四輪走行車両の右側面図である。 図1に示された四輪走行車両の右車輪を外した状態の右側面図である。 (a)は図1に示された四輪走行車両を模式的に示した上面図であり、(b)はその右側面図である。 図1に示された四輪走行車両の前車輪が段差を乗り越える条件を計算するためのモデルを示した右側面図である。 図1に示された四輪走行車両の中車輪が段差を乗り越える条件を計算するためのモデルを示した右側面図である。 図7及び図8のモデルによる計算結果と実験結果とを比較したグラフである。 本発明の別の態様による四輪走行車両のモデルを示した右側面図である。 本発明のさらに別の態様による四輪走行車両の斜視図である。 (a)は従来型の四輪走行車両を模式的に示した上面図であり、(b)はその右側面図である。 (a)は別の従来型の四輪走行車両を模式的に示した上面図であり、(b)はその右側面図である。
以下、図面を参照しながら本発明の実施の形態を詳細に説明する。全図面に渡り、対応する構成要素には共通の参照符号を付す。
図1は、本発明の一態様による四輪走行車両10の斜視図であり、図2は、図1に示された四輪走行車両10の上面図であり、図3は、図1に示された四輪走行車両10の正面図であり、図4は、図1に示された四輪走行車両10の右側面図であり、図5は、リンク機構の構造を明確にするため、図1に示された四輪走行車両10の右車輪15を外した状態の右側面図である。
四輪走行車両10は、図示しない電源や制御機構等を内蔵した車両本体部11と、走行面に対して略垂直になるように車両本体部11の後端に取り付けられた1つの後車輪受動操舵軸12と、後車輪13とを有している。後車輪13は、後車輪受動操舵軸12の先端にその軸線周りに自在に回動可能なように、すなわち車両の旋回方向に応じて受動的に回転可能なように取り付けられている。また、後車輪13は、駆動力を有さない受動車輪である。なお、車両本体部11は、上面に載置面を有してもよく、載置面には探査目的のカメラや、四輪走行車両10を災害救助の場面等で使用する場合には、食料等の運搬物を搭載してもよい。
車両本体部11の左右側面には、左車輪14及び右車輪15が配置され、左車輪14及び右車輪15は、一対のリンク機構16、17を介して車両本体部11に連結されている。すなわち、リンク機構16は、車両の進行方向に対して、前方に配置された前方リンク16a及び後方に配置された後方リンク16bと、これら前方リンク16a及び後方リンク16bを連接し、走行面に対して、上方に配置された上方リンク16c及び下方に配置された下方リンク16dとからなる。同様に、リンク機構17は、前方リンク17a及び後方リンク17bと、これら前方リンク17a及び後方リンク17bを連接する上方リンク17c及び下方リンク17dとからなる。
本態様による四輪走行車両10のリンク機構16、17は、各リンクが直線状のロッドで構成されており、前方リンク16a、17a及び後方リンク16b、17bがそれぞれ互いに平行且つ上方リンク16c、17c及び下方リンク16d、17dがそれぞれ互いに平行であることから、それぞれ平行リンク機構を構成している。
左車輪14及び右車輪15は、対応するリンク機構16、17の後方リンク16b、17bの延長部16e(図示せず)及び延長部17e(図5参照)に対してそれぞれ連結された駆動力を有する能動車輪である。本態様において、延長部16e、17eは、後方リンク16b、17bとは別体で且つ互いに動かないように固定されているが、一体として形成してもよい。左車輪14及び右車輪15は、後方リンク16b、17bに対してそれぞれ直接連結されてもよい。
また、リンク機構16の上方リンク16c及び下方リンク16dは、それぞれ前端又は後端から等しい距離だけ離れた中間部分が、支持軸18a及び18bによってそれぞれ回動可能に支持されている。従って、リンク機構16は、2つの支持軸18a及び18bを中心に揺動運動する。同様に、リンク機構17の上方リンク17c及び下方リンク17dは、それぞれ前端又は後端から等しい距離だけ離れた中間部分が、支持軸19a及び19bによってそれぞれ回動可能に支持されている。従って、リンク機構17は、2つの支持軸19a及び19bを中心に揺動運動する。
さらに、リンク機構16の前方リンク16a及びリンク機構17の前方リンク17aは、連結部材20によって互いに連結されている。すなわち、連結部材20は、前方リンク16aから延びる第1連結部材20aと前方リンク17aから延びる第2連結部材20bとが中央で連結されている。リンク機構16及びリンク機構17は、連結部材20によって連結されることによって動きが連動し、左右対称の構造及び揺動運動が実現される。左右対称の構造であることから、構造的に強化される。なお、連結部材20は、前方リンク16a及び前方リンク17a間ではなく、各上方リンク及び/又は各下方リンクを互いに連結するように構成してもよい。
連結部材20の第1連結部材20a及び第2連結部材20bの中央での連結部には、前車輪受動操舵軸21が取り付けられ、前車輪受動操舵軸21は前車輪22を有している。前車輪22は、前車輪受動操舵軸21の先端にその軸線周りに自在に回動可能なように、すなわち車両の旋回方向に応じて受動的に回転可能なように取り付けられている。また、前車輪22は、駆動力を有さない受動車輪である。
リンク機構16、17は、平地走行時において、前方リンク16a及び17aが後方リンク16b及び17bよりも上方にオフセットして配置されるように構成されている。すなわち、リンク機構16、17がオフセットして配置されるように、前車輪受動操舵軸21の長さや、支持軸18a、18b、19a、19bの位置や各リンクの長さ等が決定される。また、リンク機構16、17は、路面の状態等に応じて動作する受動リンク機構であり、当該四輪走行車両10自体にリンク機構16、17の動作を能動的に制御する駆動力及び機構は有していない。
左車輪14及び前車輪22を連結するリンク機構16、及び、右車輪15及び前車輪22を連結するリンク機構17によって、前車輪22及び中車輪(左車輪14及び右車輪15)に対して均等に、又は意図的に不均等に荷重を分散するように構成することが可能となる。すなわち、リンク機構16、17及び前車輪受動操舵軸21を含む前車輪22及び中車輪間の連結リンク機構は、いわゆるボギー機構である。
図1に示された本発明の一態様による四輪走行車両10では、後車輪受動操舵軸12及び前車輪受動操舵軸21が走行面に対して略垂直となるように車両本体部11に取り付けられている。しかしながら、後車輪受動操舵軸12は、例えば前傾するように車両本体部11に対して取り付けてもよい。同様に、前車輪受動操舵軸21は、例えば後傾するように連結部材20に対して取り付けてもよい。
なお、図1に示された本発明の一態様による四輪走行車両10では、後車輪受動操舵軸12及び前車輪受動操舵軸21に対して、後車輪13及び前車輪22としてそれぞれ2つの車輪が取り付けられているが、これは操舵軸がそれぞれ1つであること及び車軸を共通にしていることからそれぞれ1つの車輪と見なすことができる。従って、本発明の対象は四輪走行車両である。また、当該車両は、左右の能動車輪の回転速度を相対的に異ならせることによって、左右方向へ旋回可能となっている。その旋回方向に応じて、後車輪13及び前車輪22が、対応する後車輪受動操舵軸12及び前車輪受動操舵軸21周りに受動的に回転する。
次に、本発明の一態様による四輪走行車両10について静力学的解析を行い、前車輪22が段差に乗り上がる条件及び中車輪(左車輪14及び右車輪15)が段差に乗り上がる条件を、静的力のつり合いの式から求める。その結果から、前車輪22と中車輪とを連結するリンク機構16、17を含むボギー機構である連結リンク機構の各部材の適切な寸法及び配置を決定することができる。なお、ここで変数として取り扱う設計パラメータは、図7及び図8に示されたパラメータのみとし、車軸間距離、車輪径、質量、重心位置は予め定まっているものとする。
図6(a)は図1に示された四輪走行車両を模式的に示した上面図であり、図6(b)はその右側面図である。また、図7は、図1に示された四輪走行車両の前車輪が段差を乗り越える条件を計算するためのモデルを示した右側面図であり、図8は、図1に示された四輪走行車両の中車輪が段差を乗り越える条件を計算するためのモデルを示した右側面図である。なお、これら図において、リンク機構16、17は、平行リンク機構である。
図7及び図8において、L1とL2の合計は前方リンクに相当するリンク長で、L1は下方リンクから前車輪受動操舵軸までに相当するリンク長、L3は支持軸から上方リンクの前端までのリンク長、L4は支持軸から上方リンクの後端までのリンク長、L5は上方リンクの後端から中車輪までのリンク長である。また、φ1は前方リンクの上方へのオフセット量、すなわち上方リンク又は下方リンクと走行面とが成すオフセット角(横方向オフセット角)、φ2は前方リンク又はリンク長L1の部分のリンクと走行面に対する垂線とが成すオフセット角(縦方向オフセット角)、Wは前車輪及び後車輪の車軸間距離(前車輪及び中車輪間と後車輪及び中車輪間の車軸間距離はW/2)、G1は前車輪に加わる荷重、G2は車両本体部が上方リンクに与える荷重、G3は中車輪に加わる荷重、G4は車両本体部が下方リンクに与える荷重、Fは駆動輪である中車輪の駆動力による推進力である。また、Nは中車輪が段差から受ける垂直抗力、αは垂直抗力Nの方向と走行面との成す角、ξは前車輪が持ち上がることによって連結リンク機構(ボギー機構)が傾いた角度である。
前車輪が段差から受ける反力として、一番厳しい条件を考え水平方向とする(段差高さ>車輪半径)。ここで、リンク機構の各リンクの水平方向と鉛直方向の力のつり合い・モーメントのつり合いの式に基づき、前車輪が持ち上がるために必要な推進力Fを求めると、最終的に以下の式(1)が導かれる。同様に、中車輪が持ち上がるために必要な推進力Fを求めると、最終的に以下の式(2)が導かれる。
Figure 0005733719

Figure 0005733719
図7及び式(1)から明らかなように、リンク長L4に対するリンク長L3の比及び横方向オフセット角φ1を大きく設計することによって、前車輪の段差の乗り上げに必要な推進力Fは小さくなる。すなわち、リンク長L3をより大きくし且つリンク長L4をより小さくすると前車輪が持ち上がり易くなる。同様に、横方向オフセット角φ1をより大きくすると前車輪が持ち上がり易くなる。
図8及び式(2)から明らかなように、角度αは車輪径と段差の高さ、角度ξは車軸間距離にそれぞれ依存する値なので、リンク長L4に対するリンク長L3の比及び横方向オフセット角φ1を小さく設計することによって、中車輪の段差の乗り上げに必要な推進力Fは小さくなる。すなわち、リンク長L3をより小さくし且つリンク長L4をより大きくすると中車輪が持ち上がり易くなる。同様に、横方向オフセット角φ1をより小さくすると中車輪が持ち上がり易くなる。
以上より、段差走破性、すなわち不整地踏破性に影響を与える設計パラメータはリンク長L4に対するリンク長L3の比及び横方向オフセット角φ1であることが分かる。しかしながら、式(1)及び式(2)から明らかなように、前車輪の段差の乗り上げに必要な推進力Fを小さくしようとすると、逆に、中車輪の段差の乗り上げに必要な推進力Fが大きくなり、中車輪の段差の乗り上げに必要な推進力Fを小さくしようとすると、逆に、前車輪の段差の乗り上げに必要な推進力Fが大きくなることから、これらはトレードオフの関係にある。
一方の車輪の乗り上げに必要な推進力Fが極端に大きいと、その分、必要なアクチュエータ等が大型化してしまい、高コスト且つ高重量となってしまう。そこで、式(1)及び式(2)、並びに、走行中の動力学的効果に基づき、シミュレーションを行い、その計算結果から最適なリンク長L4に対するリンク長L3の比及び横方向オフセット角φ1、すなわち、四輪走行車両が段差を乗り越えるのに必要な推進力Fが可能な限り低くなる構成を導く。
図9は、段差の乗り越えに関し、図7及び図8のモデルによる計算結果と実験結果とを比較したグラフである。横軸は時間で縦軸は中車輪を駆動するアクチュエータトルクを示す。モデルとなった四輪走行車両について、リンク長L3が105mm、リンク長L4が130mm、横方向オフセット角φ1が40°である。また、車軸間距離Wは500mmで、リンク長L2は50mmで、縦方向オフセット角φ2は40°である。図9において、破線は上記条件で求められた最適な計算結果を示し、実線はその構成における実験結果を示している。
図9を参照すると、時間0から開始し、1番目のピークは前車輪が段差を乗り上げている状態を示し、2番目のピークは中車輪が段差を乗り上げている状態を示し、3番目のピークは後車輪が段差を乗り上げている状態を示しており、実験結果は計算結果と略同様の傾向を示している。図9によれば、いずれのピーク値も同様の値を示している。すなわち、各車輪の乗り上げに必要なアクチュエータトルクが均一化されていることから、結果として必要な最大アクチュエータトルクが低くなる。従って、アクチュエータ選定において、過剰な出力を有するアクチュエータを用いる必要がないことから、低コスト且つ軽量化することができ、車両全体としても低コスト且つ軽量化することが可能となる。
図10は、本発明の別の態様による四輪走行車両110のモデルを示した右側面図である。本態様による四輪走行車両110は、最初の態様による四輪走行車両10と比べて、リンク機構の構成以外、共通である。
最初の態様による四輪走行車両10を示す図7との比較から明らかなように、本態様では、リンク機構の上方リンク及び下方リンクが支持軸を支点に上方へ屈曲している。従って、上方リンクの図7における横方向オフセット角φ1に対して、上方リンクの支持軸から前端までの部分と走行面とが成す角を横方向オフセット角φ3とし、下方リンクから支持軸の前端までの部分と走行面とが成す角を横方向オフセット角φ4とすると、各オフセット角φ1、φ3、φ4はすべて異なるように構成されている。
これに関し、図7に示されるようにリンク機構が平行リンク機構である場合は、図10に円弧Aで示される軌跡で前車輪の中心点が移動するのに対して、図10に示された態様によれば、円弧Bの軌跡で前車輪の中心点が移動する。すなわち、円弧Bは円弧Aに比べてより上方を移動する軌跡であることから、図10に示された態様による四輪走行車両110の方が、最初の態様による四輪走行車両10よりも、前車輪が上方に上がりやすくなっている。
図11は、本発明のさらに別の態様による四輪走行車両の斜視図である。本態様による四輪走行車両210は、最初の態様による四輪走行車両10と比べて、左車輪214及び右車輪215がより大きい点以外、共通である。左車輪214及び右車輪215をより大きくすることによって、より高い段差を乗り越えることが可能となる。
なお、本発明の各態様による四輪走行車両は、特許文献1記載の全方向移動体用球状車輪を受動車輪である前車輪及び後車輪に対して用いることによって、より踏破性の高い走行車両を実現することが可能となる。
10 四輪走行車両
11 車両本体部
13 後車輪
14 左車輪
15 右車輪
16、17 リンク機構
16a、17a 前方リンク
16b、17b 後方リンク
16c、17c 上方リンク
16d、17d 下方リンク
18a、18b 支持軸
19a、19b 支持軸
20 連結部材
22 前車輪

Claims (3)

  1. 車両本体部と、
    該車両本体部の後方に配置された駆動力を有さない受動車輪である後車輪と、
    前方リンク及び後方リンクと、前記前方リンク及び前記後方リンクを連接する上方リンク及び下方リンクとからなり、平地走行時において、前記前方リンクが前記後方リンクよりも上方に配置されている前記車両本体部の左右に配置された一対のリンク機構と、
    前記車両本体部の左右側面にそれぞれ設けられ、前記各リンク機構の前記上方リンク及び前記下方リンクの各中間部分を回動可能に支持して当該リンク機構を揺動可能に構成する各一対の支持軸と、
    前記車両本体部の左右において対応する前記リンク機構の前記後方リンク又はその延長部に連結された駆動力を有する能動車輪である左車輪及び右車輪と、
    前記車両本体部の前方に配置され、前記一対のリンク機構を互いに連結する連結部材と、
    該連結部材に配置された駆動力を有さない受動車輪である前車輪と、
    を具備する四輪走行車両。
  2. 前記リンク機構が、前記前方リンク及び前記後方リンクが互いに平行且つ前記上方リンク及び前記下方リンクが互いに平行に構成された平行リンク機構である請求項1に記載の四輪走行車両。
  3. 前記左車輪及び右車輪が、前記前車輪及び前記後車輪よりも大きい請求項1又は2に記載の四輪走行車両。
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