JP2015175780A - センサ装置および測定方法 - Google Patents

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Takaaki Takeishi
貴明 武石
野崎 孝明
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Abstract

【課題】光源強度、光結合度、外的環境などの変動による影響を受けずに局在表面プラズモン共鳴による光の強度変化を検出可能なセンサ装置および測定方法を提供する。【解決手段】センサ装置(1)は、LED光源(5)と、LED光源からの光を導波する光導波路(3)と、光導波路のコアに接するように配置され、LED光源からの光により局在表面プラズモン共鳴が生じる金属層(40)と、金属層の表面に形成され、被測定物質を含む溶液が滴下されて被測定物質と特異的に結合するセンサ膜(41)と、光導波路からの出射光強度を検知する光センサ(6)と、LED光源の駆動電流を変化させ、複数の駆動電流値について光センサにより検知された出射光強度の測定値を取得し、駆動電流値と出射光強度の測定値の対応関係に基づいて、センサ膜に滴下された溶液中の被測定物質を定量する制御部(8)とを有する。【選択図】図1

Description

本発明は、センサ装置および測定方法に関する。
多重反射を用いる光導波路型のSPRセンサが知られている(例えば、特許文献1を参照)。SPRセンサは、表面プラズモン共鳴(Surface Plasmon Resonance)現象を利用して、例えばサンプル溶液の濃度、屈折率などを測定する。表面プラズモン共鳴は、サンプル溶液に接触している金属層の内表面に全反射角度以上で光が入射したときに、サンプル溶液の屈折率に応じた波長の光が吸収される現象である。また、SPRセンサは、局在表面プラズモン共鳴(Localized Surface Plasmon Resonance)現象を利用しても実現できる。局在表面プラズモン共鳴現象は、金属層の金属の粒径が入射光の波長より十分小さい場合、金属の粒径や金属の材質などによって決まる特定の波長の光が吸収される現象である。
図9は、従来の光導波路型のSPRセンサ100の模式図である。SPRセンサ100は、光導波路103、金属層140およびセンサ膜141を含むセンサチップと、光源107と、光センサ108とを有する。光導波路103は、例えば円形断面を有する光ファイバであり、コア130とクラッド131を有する。金属層140とセンサ膜141は、例えばコア130の一部の表面を取り囲むように重ねて形成される。光導波路103の周囲に、センサ膜141に接触するようにサンプル溶液106が滴下される。
測定時には、光源107から光導波路103に光を入射させる。入射光が光導波路103内で全反射を繰り返しながら伝搬するときに、特定の波長の光により金属層140において局在表面プラズモン共鳴が発生する。センサ膜141は、サンプル溶液106に含まれる被測定物質を抗原として認識する抗体膜であり、被測定物質と特異的に結合する性質を有し、金属層表面のエバネッセント波が染み出した領域での屈折率を変化させる。このとき、金属層140では、金属層140の材質および構造、コア130の屈折率、ならびにサンプル溶液106の屈折率および光の波長で決まる量の光吸収が生じる。光導波路103を通る光は、金属層140でSPR吸収により減衰し、最終的に出射面から出射され、光センサ108で検知される。
図10(A)は、センサチップの透過スペクトルを示すグラフである。局在表面プラズモン共鳴により吸収される波長のピークは、サンプル溶液の屈折率によって異なる。図10(A)に示すように、サンプル溶液の屈折率nが増加すると、SPR吸収のピーク波長が長波長側にシフトする。
図10(B)は、波長660nmの入射光で測定されたサンプル溶液の屈折率nと透過率Tとの関係を示すグラフである。図10(A)に示すように、波長660nmは、SPR吸収のピーク波長より短波長の光である。SPR吸収のピーク波長より短波長の光を光導波路に入射させた場合、サンプル溶液の屈折率nが増加すると、透過率Tが増加し、光導波路からの出射光強度が強くなる。
このため、光導波路からの出射光を光センサで検知し、透過光量と入射光に対する出射光のスペクトル変化を見ることにより、サンプル溶液による屈折率変化が求められる。さらに、サンプル溶液の屈折率はその濃度に依存するため、サンプル溶液の屈折率からサンプル溶液の濃度が求められる。実際の測定では、まずセンサ膜にサンプル溶液を滴下する前の出射光強度をリファレンスとして測定した後で、サンプル溶液が滴下された状態での出射光強度を測定する。そして、サンプル溶液の測定値とリファレンスとの差からサンプル溶液に基づくSPR吸収量を求め、サンプル溶液中の被測定物質の量とSPR吸収量の関係を示す検量線を用いて被測定物質を定量する。
光導波路型のSPRセンサでは、光源強度の変動、光源と光導波路と光センサの間における光結合度の変動(アライメントのズレ)、温度および湿度といった外的環境の変化などによって出射光強度が変化し、それが測定誤差となる。そこで、測定精度を向上させるために、複数の光源からの光を用いて測定することで、光源強度、光結合度、外的環境などの変動による影響を取り除くSPRセンサが提案されている。例えば、特許文献2,3には、互いに異なる波長の光を発光する2つの光源を有し、各波長の光についてセンサチップの透過率を測定し、これらの透過率の差を検量線と比較してサンプル溶液の屈折率を特定するSPRセンサが記載されている。
特開2012−122915号公報 特開2002−340790号公報 特許第4173628号公報
図9に示した従来のSPRセンサ100では、サンプル溶液を測定するたびにリファレンスを測定する必要があるため、測定の手順が煩雑になり時間がかかる。また、本来、リファレンスの測定とサンプルの測定は同時刻に行う必要があるが、実際には異なる時刻に行われるため、リファレンスを測定してからサンプルを測定するまでの間に生じた変動、サンプルの測定中に生じた変動などが測定誤差となる。センサチップの光導波路を分岐させてリファレンスとサンプルを同時に測定することも考えられるが、分岐導波路を精度よく作製するのは難しく、2つの光導波路上の金属膜が同じ状態であるとは限らないため、結局は測定精度が低くなる。
一方、特許文献2,3のSPRセンサでは、図9のSPRセンサ100よりは測定精度の向上が望めるものの、光源を2つ設ける必要があるため、装置の製造コストが高くなる。安価で小型のSPRセンサを実現するためには、光源を多重化することなく測定精度を向上させることが課題となる。
本発明の目的は、光源強度、光結合度、外的環境などの変動による影響を受けずに局在表面プラズモン共鳴による光の強度変化を検出可能なセンサ装置および測定方法を提供することである。また、本発明の目的は、より低コストかつ小型のセンサ装置を提供することである。
本発明のセンサ装置は、LED光源と、LED光源からの光を導波する光導波路と、光導波路のコアに接するように配置され、LED光源からの光により局在表面プラズモン共鳴が生じる金属層と、金属層の表面に形成され、被測定物質を含む溶液が滴下されて被測定物質と特異的に結合するセンサ膜と、光導波路からの出射光強度を検知する光センサと、LED光源の駆動電流を変化させ、複数の駆動電流値について光センサにより検知された出射光強度の測定値を取得し、駆動電流値と出射光強度の測定値の対応関係に基づいて、センサ膜に滴下された溶液中の被測定物質を定量する制御部とを有する。
上記のセンサ装置では、制御部は、互いに異なる複数の駆動電流値について光センサにより検知された出射光強度の測定値から、駆動電流と出射光強度の関係を記述する理論式のパラメータを決定することにより、センサ膜に滴下された溶液中の被測定物質を定量することが好ましい。
上記のセンサ装置では、制御部は、駆動電流と出射光強度の関係を記述する2次関数のパラメータを決定し、2次関数の係数の比に基づいて、センサ膜に滴下された溶液の濃度を決定することが好ましい。
また、本発明の測定方法は、LED光源と、LED光源からの光を導波する光導波路と、光導波路のコアに接するように配置され、LED光源からの光により局在表面プラズモン共鳴が生じる金属層と、金属層の表面に形成され、被測定物質を含む溶液が滴下されて被測定物質と特異的に結合するセンサ膜とを有するセンサ装置を用いた測定方法であって、LED光源の駆動電流を変化させてLED光源から光導波路に光を入射させるステップと、光導波路からの出射光強度を検知するステップと、LED光源の複数の駆動電流値について検知された出射光強度の測定値を取得し、駆動電流値と出射光強度の測定値の対応関係に基づいて、センサ膜に滴下された溶液中の被測定物質を定量するステップとを有する。
上記のセンサ装置および測定方法によれば、光源強度、光結合度、外的環境などの変動による影響を受けずに局在表面プラズモン共鳴による光の強度変化を検出することが可能になる。また、本発明によれば、より低コストかつ小型のセンサ装置を提供することが可能になる。
センサ装置1の模式図である。 センサチップ2の模式図である。 LEDの発光強度PLED(i)と駆動電流iの関係を示すグラフである。 駆動電流iに応じたLEDのピーク波長の変化を示すグラフである。 センサチップ2の透過スペクトルを示すグラフである。 サンプル溶液としてエチレングリコール溶液を使用したときのセンサチップ2の透過スペクトル、およびエチレングリコールの濃度cとSPR吸収のピーク波長λSPR(c)の関係を示すグラフである。 サンプル溶液の検量線の例を示すグラフである。 図7(A)の検量線作成に使用したフィルタの透過スペクトルとLED光源の発光スペクトルを示すグラフである。 従来の光導波路型のSPRセンサ100の模式図である。 センサチップの透過スペクトルを示すグラフ、および波長660nmの入射光で測定されたサンプル溶液の屈折率nと透過率Tとの関係を示すグラフである。
以下、図面を参照しつつ、センサ装置および測定方法について説明する。ただし、本発明は図面または以下に記載される実施形態に限定されないことに留意されたい。
図1は、センサ装置1の模式図である。センサ装置1は、例えば、局在表面プラズモン共鳴を利用して被測定物質を定量するSPRセンサである。センサ装置1は、センサチップ2と、LED光源5と、光センサ6と、光源駆動回路7と、制御部8とを有する。以下では、LED光源5から光センサ6に向かう方向をy方向とし、図1に示すようにx,y,z軸を定義する。
図2は、センサチップ2の模式図である。センサチップ2は、光導波路3と、検出部4とを有する。
光導波路3は、コア30と、クラッド31と、ベース基板32とを有する。クラッド31はベース基板32の上に形成され、コア30はクラッド31の中に埋め込まれるように形成されている。コア30の一部の上面は、クラッド31の一部を取り除いて形成された凹部により露出している。コア30は、クラッド31の幅方向(x方向)の中央でクラッド31の長手方向(y方向)に平行に配置されている。また、コア30は、zx面に沿った断面が例えば長方形状を有する。
検出部4は、クラッド31の一部を取り除いて形成されており、クラッド31の凹部の上面と、コア30の一部の上面とを覆うように配置されている。検出部4には、金属層40とセンサ膜41が形成されている。
金属層40は、光が入射することで局在表面プラズモン共鳴が生じる層であり、エッチングなどにより形成されたクラッド31の凹部において、露出したコア30とクラッド31の上に形成されている。金属層40は、例えば、金、銀、白金、銅、アルミニウム、またはこれらの合金などの金属粒子により構成された層(金属粒子層)あるいは微細構造である。センサ膜41は、被測定物質と特異的に結合する抗原、抗体、レセプターなどで形成された膜であり、金属層40を構成する金属粒子の表面に形成される。検出部4では、金属層40に含まれる微細な金属粒子や微細構造にて局在表面プラズモン共鳴が生じる。
なお、センサチップは、図9に示したような光ファイバを光導波路として用いたものでもよい。また、センサチップは、流入口および流出口付きのサンプル溶液保持部を有するフローセル型のものでもよい。
LED光源5は、例えば、波長が約650nmの光を出射する発光ダイオードである。LED光源5には、複数個のLEDを含める必要はなく、1個のLEDでよい。LED光源5と光導波路3は、光の利用効率を上げるために間隔をできるだけ接近させることが好ましく、必要に応じて接触させてもよい。また、発光特性の安定のために、LED光源5は、例えばペルチェ素子で温調されていることが好ましい。また、LED光源の代わりにレーザダイオード光源を使用してもよい。
光センサ6は、例えばフォトダイオード(PD)であり、光導波路3からの出射光強度を(すなわち、センサチップ2の透過率を)測定する。光センサ6としては、CCDまたはCMOSセンサなどのイメージセンサを使用してもよい。
光源駆動回路7は、制御部8による制御の下でLED光源5を駆動する。
制御部8は、CPU、RAM、ROMなどを有し、センサ装置1の動作を制御する。制御部8は、光センサ6により測定された光導波路3からの出射光強度に基づいて、後述する手順により、サンプル溶液中の被測定物質を定量する。定量とは、例えば、サンプル溶液中の被測定物質の濃度または屈折率を求めることである。制御部8で得られた測定結果は、例えば外部の表示装置に出力されて表示される。
以下では、センサ装置1を用いた測定方法の原理を説明する。
この測定方法では、制御部8が光源駆動回路7を制御して、LED光源5の駆動電流を変化させる。一般に、LEDの発光スペクトルは、駆動電流の大きさに応じてわずかに変化する。LEDのスペクトル幅を0に近似すると、LED光源5の波長がSPR吸収のピーク波長に対して変化したときに、センサチップ2の透過率はその変化量の1次関数で変化する。したがって、LED光源5の駆動電流の変化に起因するピーク波長の変化と、センサチップ2の透過率の変化との関係は、1次関数として表される。そこで、この測定方法では、LED光源5の駆動電流を変化させてセンサチップ2からの出射光強度を光センサ6で検知し、駆動電流と出射光強度の関係を表す理論式に測定値をフィッティングすることで、サンプル溶液中の被測定物質を定量する。これにより、リファレンスを測定することなく、LED1個で測定精度を向上させる。
駆動電流がi[mA]のときのLED光源5の発光強度をPLED(i)[μW]、センサチップ2の透過スペクトルをT(λ)とおくと、光センサ6で検知される検知光強度PPD(i)[μW]は、次の(1)式で表される。
PD(i)=αT(λ)PLED(i) ・・・(1)
ここで、αはセンサ装置1の結合効率である。LED光源5からのセンサチップ2への結合効率をα、センサチップ2内での光損失をα、センサチップ2からの光センサ6への結合効率をαとおく(0<α,α,α<1)と、αは次の(2)式で表される。
α=αα(1−α) ・・・(2)
すなわち、LED光源5からの光は、結合効率αでセンサチップ2に入射され、センサチップ2内でSPR吸収などによりα倍に減衰した後、結合効率αで光センサ6に結合されて検知される。
図3は、LEDの発光強度PLED(i)と駆動電流iの関係を示すグラフである。図3に示すように、発光強度PLED(i)は、駆動電流iに比例して増加するため、次の(3)式で表される。
LED(i)=βi ・・・(3)
ここで、β[μW/mA]はLEDの発光効率であり、例えば図3の場合は、β=4.3482[μW/mA]である。発光効率βは、LEDのI−Lカーブを1次関数で近似したときの傾きとして求められる。
図4(A)および図4(B)は、駆動電流iに応じたLEDのピーク波長(発光強度が最大になる波長)の変化を示すグラフである。図4(A)は、異なる駆動電流についてのLEDの発光スペクトルを示し、図4(B)は、LEDのピーク波長λLED(i)と駆動電流iの関係を示す。
図3〜図4(B)に示すように、LEDの駆動電流iを増加させると、発光強度PLED(i)が増加するとともに、ピーク波長λLED(i)(発光強度が最大になる波長)がわずかに長波長側にシフトする(図4(A)の矢印を参照)。LEDが単波長光源であると仮定すると、駆動電流iに対するピーク波長λLED(i)は、次の(4)式で表される。
λLED(i)=λ+γi ・・・(4)
ここで、λ[nm]は駆動電流iを0mAに外挿したときのピーク波長であり、γ[nm/mA]は波長変化率である。
波長変化率γを求めるには、まず、駆動電流iを変化させて図4(A)に示すLEDの発光スペクトルを測定し、それぞれのピーク波長λLED(i)を求める。γは、図4(B)に示すように横軸を駆動電流i、縦軸をピーク波長λLED(i)として各測定値をプロットしたときの傾きとして求められる。例えば、図4の場合はγ=0.126[nm/mA]であり、LEDのピーク波長は10mAで約1nmとわずかに変化する。
図5は、センサチップ2の透過スペクトルを示すグラフである。SPR吸収による透過率の変化量が微小であれば、センサチップ2の透過スペクトルT(λ)は、次の(5)式のように1次関数で近似される。
T(λ)=T+δλ ・・・(5)
ここで、Tはλを0に外挿したときの透過率であり、δ=dT(λ)/dλ|λ=λ0は透過率変化の傾きである。
透過率変化の傾きδを求めるには、まず、図4(B)のグラフから、適当な駆動電流の範囲(例えば4〜15mA)における波長変化を求める。δは、図5に部分拡大図で示すように、その波長範囲における透過スペクトルを1次関数で近似したときの傾きとして求められる。例えば、図5の場合はδ=0.0187[1/nm]である。
簡単のため、次の(6)式のように、駆動電流iが0mAのときのピーク波長λからの波長変化をΔλとする。
Δλ=λLED(i)−λ=γi ・・(6)
Δλの関数として透過率を表すと、(5)式のT(λ)は次の(7)式のようになる。
T(Δλ)=T’+δΔλ=T’+δγi ・・(7)
ここで、T’は、Δλ=0(すなわちi=0)のときの透過率である。T’は、i=0のときのピーク波長λにおける透過率T(λ)として、図5の透過スペクトルから求められる。
LED光源5を単波長光源と仮定すれば、(7)式により1次関数として透過率T(Δλ)を求めることができる。したがって、LED光源5としては、スペクトル幅が狭いLEDを使用することが好ましい。あるいは、波長カットフィルタを用いてスペクトル幅を強制的に狭くしてもよい。
(3)〜(7)式から、(1)式の検知光強度PPD(i)は次の(8)式で表される。
PD(i)=α(T’+δγi)βi
=αT’βi+αδγβi ・・・(8)
図6(A)は、サンプル溶液としてエチレングリコール溶液を使用したときのセンサチップ2の透過スペクトルを示すグラフである。また、図6(B)は、エチレングリコールの濃度cとSPR吸収のピーク波長λSPR(c)の関係を示すグラフである。ここで、サンプル溶液として例えばエチレングリコール溶液をセンサチップ2に滴下した場合を考える。
サンプル溶液をセンサチップ2に滴下すると、図6(A)および図6(B)に示すように、サンプル溶液の濃度cに比例して、SPR吸収のピーク波長λSPR(c)が長波長側にシフトする(図6(A)の矢印を参照)。このときの波長シフトΔλsampleは、次の(9)式で表される。
Δλsample=εc ・・・(9)
ここで、εは、濃度cに対するSPR吸収のピーク波長λSPR(c)の変化率である。
(9)式より、(8)式の検知光強度PPD(i)は次の(10)式で表される。
PD(i)=α(T’+δ(γi−Δλsample))βi
=α(T’+δ(γi−εc))βi
=α(T’−δεc)βi+αδγβi ・・・(10)
SPR吸収のピーク波長が長波長側にシフトすることは、LED光源5の波長が短くなることに相当するため、(10)式において、δεcの項の符号は負になっている。
(10)式において、駆動電流iの1次の項は、サンプル溶液の濃度cに依存する(センサチップに起因する変化を表す)項であるのに対し、駆動電流iの2次の項は、濃度cに依存しない(センサ装置1の光学系とLED光源5に起因する変化を表す)項である。そこで、以下では、iの1次の項をサンプル項、iの2次の項をLED項と呼び、それぞれの係数をTsample、TLEDと書く。すると、(10)式は、次の(11)〜(13)式で表される。
PD(i)=Tsamplei+TLED ・・・(11)
sample=α(T’−δεc)β ・・・(12)
LED=αδγβ ・・・(13)
上記の通り、(11)式により、センサチップ2からの出射光強度は、LED光源5の駆動電流iの2次関数で表される。したがって、LED光源5の駆動電流iを少なくとも3通りに変化させて光センサ6でセンサチップ2からの出射光強度を測定し、測定されたPPD(i)のカーブを(11)式にフィッティングすれば、TsampleとTLEDの係数が求められる。そして、α,β,γ,δ,ε,T’の各パラメータの値が予めわかっていれば、これらの係数からサンプル溶液の濃度cが求められる。実際の測定では、制御部8による制御の下で、光源駆動回路7により駆動電流を変化させてLED光源5を発光させる。そして、それぞれの駆動電流について、センサチップ2からの出射光強度を光センサ6で測定し、制御部8が各駆動電流値とそのときの出射光強度の測定値を検量線にフィッティングして、濃度cを求めればよい。なお、濃度cと屈折率nには既知の対応関係があるため、同様の方法でサンプル溶液の屈折率nを求めることも可能である。
図7(A)および図7(B)は、サンプル溶液の検量線の例を示すグラフである。図7(A)は、異なる濃度cについて光センサ6での検知光強度PPD(i)と駆動電流iの関係を示したグラフであり、図7(B)は、図7(A)の結果を濃度cと検知光強度PPD(i)の関係として書き直したグラフである。
図8は、図7(A)の検量線作成に使用したフィルタの透過スペクトルとLED光源の発光スペクトルを示すグラフである。図7(A)の検量線は、図8に示す透過スペクトルをもつフィルタで図1のセンサチップ2を置き換えた光学系について作成した。その際、サンプル溶液の濃度cに応じて、図8に矢印で示すようにフィルタの透過スペクトルが長波長側にシフトするものと仮定した。また、(11)〜(13)式の各パラメータとして、以下の値を使用した。
α=1(α=0,α=1,α=1)
β=4.3482[μW/mA]
γ=0.126[nm/mA]
δ=0.0187[1/nm]
ε=6[nm/%]
’=0.035557
なお、結合効率αについては、反射などによる影響を無視し、フィルタ以外での損失はないと仮定した。
図7(A)に示すように、検知光強度PPD(i)は、サンプル溶液の濃度cに応じて変化する。そこで、互いに異なる既知の濃度cのサンプル溶液を用意し、それぞれのサンプル溶液について、駆動電流iと検知光強度PPD(i)の関係を予め測定して、それらの結果を図7(A)のようにプロットする。そして、実際の測定に使用する複数の駆動電流iの値について、図7(A)の結果から、図7(B)のような濃度cと検知光強度PPD(i)の関係を示す検量線を作成しておく。図7(B)では、i=5,10,15,20mAの4通りについての検量線を示している。実際の測定時には、複数の駆動電流iの値について、測定により得られた検知光強度PPD(i)の値を図7(B)の検量線と比較することにより、サンプル溶液の濃度cが求められる。このように、測定値を複数の検量線と照らし合わせることで、測定精度を高めることが可能である。
なお、次の(14)式のようにTsampleとTLEDの比Y(c)を計算すると、結合効率αとLED光源5の発光効率βの変動が打ち消される。
Y(c)=Tsample/TLED
=(T’−δεc)/δγ ・・・(14)
’,γ,δ,εは定数なので、T’/δγ=A、ε/γ=Bとおくと、(14)式は次の(15)式で表される。
sample/TLED=A−Bc ・・・(15)
Aはセンサチップによって決まるパラメータであるのに対し、Bはサンプル溶液の濃度依存性を表すパラメータである。これらのパラメータの値がわかっていれば、サンプル溶液の濃度cは、サンプル項とLED項の測定値の比Y(c)から、次の(16)式で求められる。
c=(A−Y(c))/B ・・・(16)
以上説明したように、センサ装置1では、LED光源5の駆動電流を変化させてセンサチップ2からの出射光強度を光センサ6で検知し、駆動電流と出射光強度の関係を表す(11)式に測定値をフィッティングすることで、サンプル溶液中の被測定物質を定量する。その際、サンプル溶液の濃度に応じた光センサ6での検知光強度の変化を示す検量線と測定値を比較すれば、サンプル溶液を滴下する前の出射光強度をリファレンスとして測定しなくても、サンプル溶液の濃度を求めることができる。この検量線は、装置ごと、およびサンプル溶液の種類ごとに予め1回測定して用意しておけばよいため、センサ装置1を用いれば、測定のたびにリファレンスを測定する必要がなくなり、測定の手順が単純化される。また、センサ装置1では、光学系の結合効率、LED光源5の発光効率などによる影響が打ち消された測定結果が得られるため、測定精度を向上させることができる。さらに、センサ装置1には光源として1個のLEDがあればよいため、複数のLED光源を設ける必要がなく、装置の低コスト化と小型化を実現することも可能になる。
なお、光導波路3の長手方向(図1のy方向)に沿って光センサアレイを配置し、その光センサアレイで光導波路3からの散乱光を測定してもよい。この散乱光強度をリファレンスとして使用することで、さらに精度を向上させることも可能である。
1 センサ装置
2 センサチップ
3 光導波路
4 検出部
40 金属層
41 センサ膜
5 LED光源
6 光センサ
7 光源駆動回路
8 制御部

Claims (4)

  1. LED光源と、
    前記LED光源からの光を導波する光導波路と、
    前記光導波路のコアに接するように配置され、前記LED光源からの光により局在表面プラズモン共鳴が生じる金属層と、
    前記金属層の表面に形成され、被測定物質を含む溶液が滴下されて被測定物質と特異的に結合するセンサ膜と、
    前記光導波路からの出射光強度を検知する光センサと、
    前記LED光源の駆動電流を変化させ、複数の駆動電流値について前記光センサにより検知された出射光強度の測定値を取得し、当該駆動電流値と当該出射光強度の測定値の対応関係に基づいて、前記センサ膜に滴下された溶液中の被測定物質を定量する制御部と、
    を有するセンサ装置。
  2. 前記制御部は、互いに異なる複数の駆動電流値について前記光センサにより検知された出射光強度の測定値から、前記駆動電流と前記出射光強度の関係を記述する理論式のパラメータを決定することにより、前記センサ膜に滴下された溶液中の被測定物質を定量する、請求項1に記載のセンサ装置。
  3. 前記制御部は、前記駆動電流と前記出射光強度の関係を記述する2次関数のパラメータを決定し、当該2次関数の係数の比に基づいて、前記センサ膜に滴下された溶液の濃度を決定する、請求項2に記載のセンサ装置。
  4. LED光源と、前記LED光源からの光を導波する光導波路と、前記光導波路のコアに接するように配置され、前記LED光源からの光により局在表面プラズモン共鳴が生じる金属層と、前記金属層の表面に形成され、被測定物質を含む溶液が滴下されて被測定物質と特異的に結合するセンサ膜とを有するセンサ装置を用いた測定方法であって、
    前記LED光源の駆動電流を変化させて前記LED光源から前記光導波路に光を入射させるステップと、
    前記光導波路からの出射光強度を検知するステップと、
    前記LED光源の複数の駆動電流値について検知された出射光強度の測定値を取得し、当該駆動電流値と当該出射光強度の測定値の対応関係に基づいて、前記センサ膜に滴下された溶液中の被測定物質を定量するステップと、
    を有する測定方法。
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