JP5311852B2 - センシング装置 - Google Patents
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Description
本発明は、環境変化に応じた誘電応答の変化、または抗原抗体反応などの表面状態をモニタすることに用いられる金属の周期構造を用いたセンシング装置に関する。
プラズモン共鳴(SPR:Surface Plasmon Resonance)を利用したセンサは、金属と誘電体界面に存在する表面プラズモン・ポラリトン(SPPs:Surface Plasmon Polaritons)を利用している。
平面界面におけるSPPsは表面近傍の〜数100nmの空間に電界分布をもつため、表面近傍に敏感な屈折率センサとして応用されている。通常SPPsを励起するためには、入射光とSPPsの位相整合を達成する必要があり、Kretchmann配置など、プリズムを介した斜入射構成がとられる。一方、金属平面の代わりに、この界面に金属からなる周期的微細構造を設けることで、入射光とSPPsの位相整合を達成させる手段も広く知られている。
1次元の系ではグレーティングSPR(特開2005-257458号公報)、2次元の系では特開2005-016963号公報に記載されたものがこれに当てはまる。
これらの素子は、従来の平面SPRに比べて、入射角度条件が緩和され、光学システムとしての精度達成要因が緩和されるだけでなく、多様なプラズモンの形態を励起させて利用できる点で、プラズモンベースのセンサの感度向上に寄与するものと期待されている。
特開2005-257458号公報
特開2005-016963号公報
プラズモン共鳴は金属表面の屈折率に応じて敏感に応答するので、一般にプラズモンセンサはその共鳴プロファイルの変化を測定している。そのため、ある摂動に対して、応答が同量である限り、原理的にはこの共鳴プロファイルは急峻であればあるほど高感度なセンサを作ることができる。
ところが、SPPsの実効屈折率は大きな虚部をもつため、その損失自身によって共鳴プロファイルを広げてしまう。これがプラズモンセンサの感度の上限を与える原因であった。
特に、2次元プロファイルの周期構造をもつセンサにおいては、界面へのプラズモンの局在そのものによってプロファイルがさらに広がってしまうという問題があった。
一方、従来のプラズモンセンサは、検出距離が短いため、表面への吸着反応のモニタに適する。この検出距離は一般に界面における電界の分布のみで決まり、表面電界が表面に垂直な方向に指数関数的に減少することから、検出感度は表面に集中するという特徴がある。しかし、分子の多層吸着などにおいて例えば表面20nm付近を高感度検出したい場合、検出感度の高い領域を自由に設定することは困難であった。
よって、本発明の目的は、共鳴吸収スペクトルの急峻化が可能なプラズモンセンサを備えるセンシング装置を提供することにある。
また、本発明の他の目的は、検出感度の高い領域を制御することで、検出距離を調整できるプラズモンセンサを備えるセンシング装置を提供することにある。
本発明により提供されるセンシング装置は、基板上に、周期構造を有する金属部材、を備えたセンシング素子と、該センシング素子に光を照射する光源と、前記センシング素子を介して得られる光を検出する光検出器と、を有するセンシング装置であって、
前記センシング素子は、前記基板と前記金属部材との間に光導波路層を有し、前記光源より照射され前記光導波路層内を伝搬する光と、前記金属部材により生ずるレイリーモードの光と、の位相整合がとられていることを特徴とする。
前記センシング素子は、前記基板と前記金属部材との間に光導波路層を有し、前記光源より照射され前記光導波路層内を伝搬する光と、前記金属部材により生ずるレイリーモードの光と、の位相整合がとられていることを特徴とする。
本発明にかかるセンシング装置によれば、金属の周期構造と基板の間に導波路層を設け、その層を伝搬する光(電磁界モード(以下、導波路モードとも表現する))と、金属周期構造により生ずる電磁界モード(レイリーモード)と、が位相整合する。これによって量子干渉を生じ、ファノ型の共鳴プロファイルを形成することが可能となる。その結果、介在する諸モードの位相整合条件を制御することで、共鳴吸収スペクトルのプロファイルは、非常に急峻にでき、また吸光度も大きくできる。従って、ある一定の光照射量に対して、表面近傍の被検出物質はより強い電界にさらされるため、その応答も大きくなりセンサ感度が向上する。
また、本発明にかかるセンシング装置においては、基板および導波路層の屈折率などを制御することで、基板のレイリー波長(入射光が導波路層に平行に回折される波長)近傍に位相整合の結果として生じる量子干渉プロファイルのバランスを制御できる。
このため、被検出物質を金属微小周期構造に吸着させて、これを検出する場合には、被検出物質の吸着によって、量子干渉プロファイルの急峻さは改善される方向に向かうようにできる。すなわち、一定の吸着物質が既にセンシング素子に存在するときにも、センサの高感度化が可能となる。
また、本発明のセンサ装置においては、金属周期構造を構成する金属のフィリングファクターを制御することで、金属周期構造と導波路構造が結合系であることによって、放射モードを閉じ込める(漏れ損を補償する)効果が得られる。そのため、緻密な位相整合条件を満たさない場合でも、金属周期構造とセンシング媒質界面のSPPsの強度を増強し、センサ感度を上げることができる。
本発明のセンサ装置においては、位相整合条件を制御することによって、レイリーモードと導波路モードの結合状態における電磁界モードと、金属周期構造との空間的重なりを制御することができる。本発明ではこの金属周期構造との空間的な重なりを抑制することで、Q値の高い共鳴プロファイルが得られることが示されている。このような場合、数nmの検出物質の吸着によるスペクトルシフト量は、共鳴プロファイルのスペクトル幅に比べて大きくすることができる。このため、異なる波長で吸着量に対する差分信号を観測すると、ある膜厚を中心としたファノ型のプロファイルが得られ、そのピーク位置は観測波長に依存する。そこで、入射光に複数の波長を用いた場合でも、複数の波長で反射率変化を差分信号として捕らえることによって、それぞれの波長が異なる検出距離レンジに対応することができる。また、これは所望の検出距離レンジに対応して差分信号のSNR最大化するために最適波長を選択できることも意味するので、従来技術にはない高機能化につながる。
吸収プロファイルが非常に急峻になると、わずかな構造的な作製誤差によってセンシング素子毎に吸収ピーク波長がばらつくという新たな課題が登場する可能性がある。そこで、本発明のセンシング装置の有する光導波路として、紫外線照射や温度調整によって屈折率を制御することにより、入射光波長に対して吸収ピーク波長を揃えることが必要な場合においても、導波路層の屈折率を調整することによって、波長を合わせこむことが可能となる。すなわち、照明光学系とは独立にセンサの最適応答波長を調整することができる。
また、量子干渉は光導波路層におけるモードと、金属周期構造のモードの結合に依存する。そこで、本発明のセンシング装置の光導波路層に屈折率/構造周期構造を、必要に応じて設けることによって、量子干渉における結合の度合いをセンサとして最適になるように制御することができるようになる。
本発明にかかるセンシング装置は、基板上に、周期構造を有する金属部材、を備えたセンシング素子と、該センシング素子に光を照射する光源と、前記センシング素子を介して得られる光を検出する光検出器を有するセンシング装置である。
そして、本発明のセンシング装置においては、前記センシング素子が、前記基板と前記金属部材との間に光導波路層を有し、前記光源より照射され前記光導波路層内を伝搬する光と、前記光源から光が照射された前記金属部材により生ずるレイリーモードの光と、の位相整合がとられていることを特徴とする。
本発明においては、センシング素子が、単一モード光導波路層を用いたものを包含する。
本発明のセンシング装置は、センシング素子を構成する基板の下面側から入射光を照射する光源を備えたものを包含する。基板は入射光が透過する材料からなる。
本発明の装置におけるセンシング素子は、基板の上面に金属周期構造を有し、金属周期構造の周辺での環境変化をセンシングする機能を有するように構成することができる。本発明にいう金属周期構造とは、光源からの入射光の波長よりも小さい1次元、または2次元の大きさの金属部材からなる周期的な構造をいう。
この環境変化は、金属周期構造が設けられた部分またはその周辺でのセンシング可能な環境の変化をいい、金属周期構造が設けられた部分への吸着物質の吸着もこれに含まれる。
従って、一例として、金属周期構造が設けられた部分に抗体を固定しておくことで、抗体への抗原(被検出対象物質)のこの部分への吸着をセンシングすることが可能となる。
本発明の装置における金属周期構造は、ドットやワイヤーなど所定の形状の微小金属構造体が、周期的に1次元または2次元に配列された構造であり、プラズモン共鳴を利用したセンシング素子用として各種の形態のものが知られている。従って、金属構造体の大きさは、入射光の波長と同等またはそれよりも小さく設定される。
本発明の装置に用いるセンシング素子では、基板と金属周期構造との間に単一モード光導波路層を設けることができ、更に、金属周期構造は光導波路に接着層により固定することができる。
金属周期構造は、その構造によって、入射光(照射光)の1次回折波が、光導波路のモードとの位相整合条件を満たすように構成されることが好ましい。金属周期構造によって、基板と金属部材との間で、または金属と検出媒質の界面(検出媒質側界面とも記す)で生じるプラズモン・ポラリトンが、前記光導波路のモード(光導波路層内を伝搬する光)との位相整合条件を満たすことが好ましい。また、プラズモン・ポラリトン、金属微小周期構造内のレイリーモード、および光導波路のモードの3者が位相整合条件を満たすことが更に好ましい。
本発明のセンシング装置では、上述の位相整合の結果として生じる量子干渉のスペクトルプロファイル変化を、光検出器を介して観測することによって、金属周期構造周辺の環境変化を検出する装置とすることが好ましい。
一方、基板の屈折率は、金属−検出媒質界面のプラズモン・ポラリトンに位相整合する光導波路での光伝播モードの実効屈折率よりも小さいか、あるいは金属周期構造に吸着した物質の屈折率よりも低い、ものとすることが好ましい。
一方、基板の屈折率が金属−検出媒質界面のプラズモン・ポラリトンに位相整合する光導波路のモードの実効屈折率よりも大きい場合においては、金属周期構造を構成する金属のフィリングファクターが80%以上であることが好ましい。
また、本発明の装置は、複数の照射光波長に対する反射率変化を同時計測する手段を有することができる。また、光導波路層は、その屈折率が、紫外線照射または温度調節によって制御された値とすることができる。また、光導波路層が、構造または屈折率分布の周期的な変化を有していてもよい。
プラズモンセンサの応答は一般に波長、または角度に対するプロファイルの変化として観測される。波長λに対する依存性を例に考えてみると、摂動量Δsに対する反射率変化ΔRは
である。ここで
はプロファイルの急峻さを示す量であり、
は、摂動に対するシフト量を示している。白色光源や波長掃引光源を用いてシフトのみを観測するのであれば、
のみに注目することも可能である。しかし、狭帯域線幅を有するレーザなどの単色光を光源として用いる場合は、一般にこのふたつの係数の積が感度を決める。本発明は、主として前者のプロファイルの急峻さを示す量を大きくすることによってセンサ感度を向上させようとするものである。
以下では、1次元金属周期構造を例に、その位相整合条件考える。ここでは1次元の系を例として述べるが、2次元金属周期構造においても考え方は同じである。
光照射手段としての照明光学系からの光はTM偏光で基板側から入射され、金属周期構造の周期をΛとすると、1次回折波は以下の式に従う。
ここで、nはグレーティング構造に隣接する媒質の屈折率、
(φin/out)はそれぞれ入射/出射角度である。サブスクリプトのinは入射側を意味し(in=medium 1(図1参照))、iはm次回折波の出射側に対応する媒質に対応する(i=medium1,2)。一般にφout=π/2となる波長をレイリー波長と呼び、周期構造内を伝搬する波をレイリーモードと呼ぶ。一方、伝搬型表面プラズモンの波数kspは
で示される。
ここで、εmは金属の誘電率、εiはSPPsの励起される界面を形成する媒質の誘電率
ここで、εmは金属の誘電率、εiはSPPsの励起される界面を形成する媒質の誘電率
である。従って(2)式右辺と(3)式が等しくなる波長において、照明光が金属周期構造によって散乱され、回折光(入射光)が伝搬型SPPsと位相整合する。以上、レイリーモード、SPPsの各々に対してそれぞれ基板とセンシング媒質界面の屈折率に依存した4つのモードが存在することを示した。
特に、直入射(φin=0)においては、レイリー波長は
となり、周期構造ベクトルに対して正と負の方向に伝搬するレイリーモードの波長が一致し、定在波を形成する。このとき、SPPsが周期構造ベクトルの方向に定在波を生じる条件は
で与えられる。ここで、m=2q(qは整数)である。
次に光導波路(以下、導波路という)をセンシング素子の構造に導入し、導波路モードに対する位相整合条件を考える。以下では、導波路層が十分薄いと仮定して摂動論的な説明を行うが、これは本発明を何ら限定するものではない。
図1(a)は、媒体(Medium 2)に接している1次元の金属微小周期構造、単一モード導波路層、および基板からなる構造を有するセンシング素子107の例である。
周期構造のパラメータは周期Λ、リッジ100の幅d、リッジ100の高さhgで特徴付けられる。導波路層101の膜厚はhwである。
入射光106は光源110(図1(b)を参照)より基板102(Medium 1)側から角度φinで入射され、金属微小周期構造において散乱されることにより、SPP103、レイリーモード104、導波路モード105の各モードが励振される。照明光106をセンシング素子107に照射することで生じる反射光108、または透過光109を検出器111(図1(b)を参照)で検出する。良好なSNRを得るために、金属のフィリングファクターが大きい場合は反射光を、小さいときは透過光を観測することが望ましい。
図1(a)に示したセンシング素子107の構造において、導波路を伝搬するモードは実効屈折率neffで規定することができる。この値は、ある波長において、膜厚などの導波路の構造パラメータによって大きく変化させることができる。
この実効屈折率neffは導波路モードの伝搬定数βとneff=β/k0=βλ/2π(λ:波長)の関係にある。そこで(2)式において界面iに対して定義される波数kRが導波路モードの伝搬定数βと等しければ、レイリーモード、SPPsと導波路モードの間に強い結合が生じ、SPPsに起因する吸収が強くなる。
なお、このときレイリーモードは(2)式において厳密にφout=π/2を満たす必要はない。なぜなら、導波路層の付加によって界面の屈折率もレイリーモードの体積平均となっているからである。
上述の結合状態は固有モードと連続モード(導波路モード)の結合となり、観測するにあたってその光子がどちらの状態からの寄与であるかの区別がつかない。そのため、その反射、透過スペクトルには、両者の結合度合いに依存した量子干渉プロファイルが生じる。すなわち、結合による吸収の増加と量子干渉による非対称なプロファイルの生成によって反射率/透過率プロファイルの急峻さ((1)式参照)を大きくすることができる。
なお、上記の(2)、(3)式から、導波路層が無い場合においても、ある界面の組み合わせに対して、適当なLおよびφinを選べば、レイリーモードとSPPsへの位相整合を同時に達成できるある波長が存在することがわかる。しかし、その組み合わせは限られており、またレイリーモードの伝搬損失が大きいことによって、急峻なスペクトルプロファイルは得られにくい。しかし、導波路構造を用いることによって、レイリーモードは導波路モードと結合するため、伝搬損失を小さくでき、スペクトルプロファイルの急峻さを確保できる。
また、あるΛの値に対して、例えば導波路膜厚hwを調整することによって位相整合条件を調節できるというメリットも生まれる。
図8は、(2)、(3)式をより図解的に示すために、金属をAuとしたときに、種々の材料界面に対するレイリーモード(R)とプラズモンモード(P)の分散関係を示したグラフである。横軸は金属周期構造のピッチL、縦軸は波長である。長波長側ではRとPが漸近するため、同じ界面に対してはPとRが位相整合し易くなることがわかる。一方、ピッチLが500nm以下に注目すると、Pの分散曲線が歪むため、異なる界面に起因するRの分散曲線と交わる。例えば、H2O(水)界面のプラズモンモードはSiO2(ガラス)界面で定義されるレイリーモードと位相整合でき、それに必要なピッチは~430nmであることがわかる。 導波路が付加される場合、その屈折率は基板のそれよりも大きい。従って、実際に位相整合が生じるピッチLは上述の値よりも大きくなる。
例えば、金属としてAu、基板としてSiO2を選び、金属微小周期構造(Λ=500nm)を仮定すると、基板−金属界面において(5)式が満たされる波長は762.5nmである。
このとき(2)式が満たされる屈折率niは1.525である。neff=1.525の導波路モードが存在するための導波路層の屈折率nwに対する条件はnw >neffである。そこで、そのような材料を用い、平面導波路モードの固有方程式(K.Okamoto, Optical waveguide theory, Springer (2003) を参照)を解いて、膜厚hwを決定すればよい。例としてAl2O3を導波路材料としたときの、モード屈折率の膜厚依存性を図9に示す(波長は762.5nmに固定)。図9の横軸は導波路の膜厚を、縦軸はモード屈折率を示す。これから、neff=1.525となる膜厚hwは~190nmであることがわかる(実際には金属の存在によってモードがより導波層に閉じ込められるため、モードの実効屈折率は上がるので、この膜厚値は大きめに見積もられている)。また、膜厚が厚ければ、高次のモードが位相整合できることもわかるが、そのときにはモードによって位相整合できる波長が異なる。この場合、複数の波長において量子干渉プロファイルが得られるため、波長多重センシングに適する。
センサ感度は、モードの空間的な重なり、分散曲線の傾きなどに依存する。一般には十分に膜厚を薄くして、金属構造と導波路モードの空間的な重なりを大きくすることで高感度化できるため、導波路としてはシングルモード動作が望ましい。
上述のように、別の界面のモード間で位相整合するようにするためには、金属周期構造のピッチと導波路膜厚によって調整することが可能である。しかし、上述のシングルモード動作に対する要請に鑑みるとピッチは導波路を無視した時の見積もり値の30%以内の値であればよいといえる。先の例では、金属の周期構造のピッチに対して光の波長をプロットしたグラフ(図8)において、金属周期構造が接する検出媒質(例えば、水)側界面のプラズモン・ポラリトン(P)と、金属周期構造が設けられる基板(例えば、SiO2(ガラス))側界面のレイリーモード(R)と、の交点として得られるピッチの1.0倍以上1.3倍以下ということである。更に、別の表現をするならば、金属の周期構造のピッチは、導波路を考慮しない場合の基板側界面のレイリーモードと、媒質側界面のプラズモン・ポラリトンとの位相整合する波長が一致するピッチの1.0倍以上1.3倍以下の範囲のピッチということになる。先の図8のグラフの例で具体的に言うと、ピッチ430nmから560nmの範囲である。
また、導波路の膜厚の精度としては、同様に見積もられるモード屈折率が3%以内で実現されるように導波路膜厚を設定することが好ましい。このような設計指針によって所定の波長近傍に量子干渉プロファイルを生じさせることができる。実際にはプラズモン・ポラリトンの損失のために、位相整合条件は緩和されている。導波路モードの存在による強い結合が生じる波長がプラズモンのブロードなスペクトルの中に含まれていれば、センサーとして高感度にすることができる。
以上に述べた数値的見積もりは1次近似的な予測を与える考え方の例である。センサ感度を含めてより正確な議論をするためには、結合モード理論による解析が必要である。そこで、以下ではフーリエモード展開法( M.G.Moharam, et al. J.Opt.Soc.Am. A Vol.12, p.1069 (1995) を参照)を用いた計算による結果を示す。
(実施例1)基板側の定在波SPPsへの位相整合
本実施例では図1のセンシング素子の構造において、基板102はSiO2、センシング媒質は水であり、金属微小周期構造100はΛ=500nm、d/Λ=0.2、hg=20nmとなっている。
本実施例では図1のセンシング素子の構造において、基板102はSiO2、センシング媒質は水であり、金属微小周期構造100はΛ=500nm、d/Λ=0.2、hg=20nmとなっている。
図2(a),(b)は直入射においてそれぞれ導波路層101が無い場合とある場合とで、透過光の回折効率を比較したものである。なお、図2の横軸は波長、縦軸は回折効率を示す。
図2(a),(b)を比較すると、導波路層を導入することによって量子干渉に起因する非対称なピークが760nm付近に現れることがわかる。
導波路層の屈折率と膜厚に依存して、導波路モードとレイリーモードの結合度合いは変化するため、導波路モードの局在度が十分でないと、顕著な量子干渉の効果は得られない。このことは、与えられたピッチに対する(導波路層の存在を無視した)レイリー波長よりも長波長に、顕著な量子干渉効果が得られることに対応している。
この例では、導波路層をITO(n〜1.7)として十分な量子干渉を得るための導波路層膜厚は150nm程度であった。
導波路層を付加したことにより、基板の実効屈折率は高くなっているので、共鳴波長は導波路層が無いときと比べ、わずかに長波長側にシフトする。このとき、共鳴プロファイルの傾き、すなわち(1)式における
は、導波路層が無いときの〜4.3倍となっている。
従って、センサ感度の指標のひとつである(1)式のΔRは、
が主にこの波長におけるSPPの空間的な局在度によって決まると仮定する(導波路の付加によって顕著な変化はない)と、増加する。従ってセンサ装置としての感度が改善される。
図2より導波路層がなくても水側のレイリー波長では吸収が顕著であるが、この理由はこのレイリーモード定在波と水−金属微小周期構造界面のSPPsの空間的な重なりがよいことによる。
金属微小周期構造内において、短波長側のレイリーモード定在波はその電磁界分布の腹がリッジ部分にくるため、長波長側のレイリーモード定在波よりも金属との空間的な重なりがよくなるためである。
この吸収ピークもセンシング対象として有効であるが、これら二つのモードはエネルギー固有状態であり、連続モードとの結合が無視できるほど小さいため、プロファイルは本質的にローレンツ型のままであり、プロファイルの非対称性の出現に起因する
の増加による恩恵は顕著に受けていない。
(実施例2)センシング媒質側の定在波SPPsへの位相整合
本実施例では水−金属微小周期構造界面のSPPsへの位相整合の例を示す。先に示した(4)および(5)式において水−金属微小周期構造界面の定在波SPPsに位相整合するために必要な導波路モードの実効屈折率はneff〜1.4である。従って基板の屈折率を1.4以下の素材にすればよいことがわかる。LiFやフッ素系ポリマーが適当な材料である。一方、導波路層の材料としては低損失なSiO2を用いることができるため、共鳴スペクトル構造の狭帯域化が可能である。
本実施例では水−金属微小周期構造界面のSPPsへの位相整合の例を示す。先に示した(4)および(5)式において水−金属微小周期構造界面の定在波SPPsに位相整合するために必要な導波路モードの実効屈折率はneff〜1.4である。従って基板の屈折率を1.4以下の素材にすればよいことがわかる。LiFやフッ素系ポリマーが適当な材料である。一方、導波路層の材料としては低損失なSiO2を用いることができるため、共鳴スペクトル構造の狭帯域化が可能である。
本実施例では、基板としてフッ素化ポリマーであるcytop(旭硝子製)を基板に用い、導波路層としてSiO2を用いる。金属周期構造のピッチはL=500nm、d/L=0.2である。図10は導波路膜厚を変化させたときの透過率スペクトルをプロットしたものである(横軸は波長を、縦軸は導波路膜厚をそれぞれ示す)。なお、各プロットは、水側界面(Rayleigh @H2O/Au)、基板側界面(Rayleigh@Substrate/Au)のプラズモンとレイリーモードによる結合のピークをそれぞれ示す(プラズモンに起因するスペクトル構造は波長650〜800nmに広く分布していることに注意されたい)。この場合、基板側と水側の屈折率差が小さいため、それぞれの界面でプラズモンとレイリーモードによる結合のピークが近接しており、基板側のピークが水側のピークと交差する(膜厚〜120nm)。十分な振幅変調を得るためにはこの交点よりも数10nm厚い膜厚にするとよい。例として膜厚〜140nmのときの透過率スペクトルを図11に示す。図11において、実線は強度透過率、破線は強度反射率をそれぞれ示している。なお、図11の横軸は波長、縦軸は回折効率を示す。EIT(電磁誘導透過)に見られるような急峻な量子干渉プロファイルが得られることがわかる。
一方、センサーの感度はスペクトルプロファイルだけでは評価できないことは既に述べた。そこで、屈折率1.56の仮想的な誘電体膜10nmを水側の界面に置いたときのスペクトル変化を計算し、感度に対する構造パラメータ(導波路膜厚と金属周期構造の膜厚)依存性を調べた。これを図12に示す。図12の横軸は導波路膜厚を、縦軸は金属周期構造の膜厚をそれぞれ示す。また、図12において右側に示してあるのは差分値を色調で示したものであり、0.3側の色調が最も感度が低く、0.7側が最も感度が高い。膜厚が薄いときには系としての損失が小さいために、感度が高くできるが、15nm以下では、センサ性能としては飽和することがわかる。また、最適な導波路膜厚は金属周期構造の膜厚に依存することもわかる。この図から、導波路膜厚を〜150nm、金属周期構造の膜厚を〜14nmとするケースを最適な組み合わせのひとつとして選択して、先に述べたn=1.56の誘電体膜の付着に対する膜厚依存性を示したものが図13である。図13の横軸は誘電体膜の厚さを、縦軸は差分値をそれぞれ示す。傾きから〜0.125/nmとなり、1nmの膜厚変化に対して信号値は12.5%変化すると予測できる。これは通常のプラズモンセンサよりも〜1桁高感度であるといえる。
実施例1と比較して、本実施例のように水−金属微小周期構造界面のSPPsを用いて位相整合する方が、センサとしての感度が向上する。これはこのSPPsと被検出物質の空間的な重なりが大きいのに加え、量子干渉によって共鳴スペクトルのプロファイルが急峻になるからである。
(実施例3)表面に敏感なセンサ:直入射の場合
本実施例ではSiO2基板(n〜1.458)を用いて、水−金属微小周期構造界面のSPPsを用いたセンシングを考える。図3(a)に、センシング素子107としてフィリングファクターを大きくした構造(Λ=450nm, d/Λ=0.9, hg=150nm, 導波路材料Al2O3 (n〜1.76), hw=0/180nm)を採用したときの、反射光のスペクトルを示す。導波路層が存在することで、水側のレイリー波長(λ〜610nm)において吸収が強くできることがわかる。この理由は、本実施例の条件下では水側のレイリーモードは導波路に結合しないものの、導波路の放射モードとみなすことができ、フィリングファクターの大きい金属微小周期構造によって反射されるので、定在波SPPsとの結合が結果的に増強されることによる。量子干渉による非対称性の出現は実施例1のそれに比べてわずかであるが、センサ感度として改善されることを以下に示す。なお、図3(a)の図の横軸は波長を、縦軸は強度反射を示す。
本実施例ではSiO2基板(n〜1.458)を用いて、水−金属微小周期構造界面のSPPsを用いたセンシングを考える。図3(a)に、センシング素子107としてフィリングファクターを大きくした構造(Λ=450nm, d/Λ=0.9, hg=150nm, 導波路材料Al2O3 (n〜1.76), hw=0/180nm)を採用したときの、反射光のスペクトルを示す。導波路層が存在することで、水側のレイリー波長(λ〜610nm)において吸収が強くできることがわかる。この理由は、本実施例の条件下では水側のレイリーモードは導波路に結合しないものの、導波路の放射モードとみなすことができ、フィリングファクターの大きい金属微小周期構造によって反射されるので、定在波SPPsとの結合が結果的に増強されることによる。量子干渉による非対称性の出現は実施例1のそれに比べてわずかであるが、センサ感度として改善されることを以下に示す。なお、図3(a)の図の横軸は波長を、縦軸は強度反射を示す。
表面近傍のセンサ応答を調べるために、被検出物質の吸着を模してn=1.57の誘電体膜を金属微小周期構造の表面に堆積することを考える。
導波路層が有る場合と無い場合で、膜厚0nmのときの反射率に対する差分値の最大値((1)式に対応)を求め、その最大値をプロットしたものが図3(b)である(差分スペクトルは図3(b)のinsetに示す通りである)。
膜厚が増えるに従って、もとのスペクトルからの差が大きくなると同時に、50nm程度まで堆積すると信号変化は飽和してくる。これは導波路の有無に左右されない。
一方、導波路層が存在するときには、差分の最大値は〜30%ほど大きくなっており、(1)式から信号変化量は大きくなることがわかる。
すなわち、導波路層を設けることで、表面からの検出距離を保ちつつ、換言すれば表面に敏感であるという性質を保ったまま、センサ感度を改善することができる。
上述のようにして水−金属微小周期構造界面の定在波SPPsを利用した吸着センシングを行う場合、堆積膜の吸着によって長波長側にシフトするため、導波路モードに対してより位相整合をしやすくなる。
従って基板の屈折率は吸着膜のそれよりも低いことが望ましい。
(実施例4)表面に敏感なセンサ:斜入射の場合
次に斜入射の(図1(a)のφinが非零の)場合を考える。この場合一般にレイリーモード、SPPsの両方が伝搬型となる。
次に斜入射の(図1(a)のφinが非零の)場合を考える。この場合一般にレイリーモード、SPPsの両方が伝搬型となる。
レイリー波長より長波長においては、一般に入射角度が大きくなるにつれて、(2),(3)式で示されるレイリーモードとSPPsの波数の値は近くなり、導波路が無くても位相整合しやすくなるが、導波路層を付加することによって任意の角度で位相整合がとれる。
伝搬型のSPPsは、金属微小周期構造を十分薄くすることで、金属との空間的な重なりは下がり、損失が低くなるため、共鳴のQ値は大きくできる。
センシング素子107としてΛ=500nm, d/Λ=0.2, hg=20nm, 導波路材料Al2O3, hw=180nmの構造を採用し、照明光106をφin=45°で入射する。
実施例3と同様に被検出物質の吸着を模して、n=1.57の誘電体膜を堆積するときの、膜厚と共鳴ピーク波長の関係を図4(a)に示す。
図4(c)に示すように共鳴幅が〜0.1nmであるのに対して図4(a)では20nmの堆積でピーク波長は〜0.35nmシフトするため、膜厚0nm時の反射率に対する差分値はすぐに飽和してしまう。しかしながら、もとの共鳴波長(1195.0nm)からある程度のオフセット(ここでは〜0.4nmと〜0.8nm)をもたせた波長で膜厚0nm時の反射率に対する差分値を観測すると、幅〜10nm程度のファノ型のプロファイルとなる(図4(b)参照)。
従って、複数の固定波長で差分値を観測すれば、既に一定の膜厚が堆積されている場合においても高感度に検出できる。これは差分値がその膜厚で最大化されていることから明らかである。また、図5にこの45°入射での屈折率応答性を示す。図5(a)の横軸は屈折率を、縦軸は差分を、図5(b)の横軸は波長を、縦軸は強度反射/透過率を示す。
吸着膜厚が大きくなると、これが導波路の一部のように振る舞い、吸着膜側へのモードの空間的な染み出しが大きくなる。そのため、金属との空間的な重なりが増加し、導波路モードの伝搬損失が大きくなるため、共鳴ピークのQ値は下がる。これは直ちに図4(b)に示すような膜厚プロファイルにも反映される。そこで以下のような状況を考えてみる。例えば界面から100nm離れたところに、誘電応答をもつ物質が浮遊しているとする。
このとき、吸着膜側へのモードの染み出しはより大きくなるため、図4(b)におけるプロファイルはブロードになり、その傾向はオフセットが大きくなるほど顕著になる。
従って、有限なオフセットを有する複数の波長で差分信号値をモニタすることによって、浮遊物質の有無を判別できることがわかる。
図4(b)の例に倣う、より具体的な実施形態としては、波長1195.79nmと1195.38nmに発振波長をもつレーザの出力をファイバーカップラーで結合し、それを図1(b)の光源110として用いる。例えば、液層吸着をモニタすることを想定する。
第1に、ある吸着物質を含んだバッファー溶液を例えば流路を介して金属界面上に流し、ある一定量の吸着物質の吸着をさせた後に吸着物質を含まないバッファー溶液を流す。
このときの両波長における差分信号値の比を参照信号のひとつとして検量線にとっておく。第2に吸着物質を含むバッファー溶液を流し、1195.38nmと1195.79nmのそれぞれの波長における差分信号値と、その比を測定する。
後者が参照値と大きく異なっていれば、浮遊物質の効果であるとみなせるため、例えばエラー出力を出しても良いし、その比が参照値と同程度であるという基準範囲内に収まるまで、吸着反応中として計測を続行してもよい。
この手法はDWDM(Dense Wavelength Division Multiplexing:高密度光波長多重)光源のような光源を用いてより多くの波長でモニタすることで、より精度を上げることができることは言うまでも無い。
本実施例で示したような系が実質的となるのはシフト量>共鳴幅の条件を満たす範囲においてである。
従って、より広い範囲(空間、屈折率の双方に対して)において、浮遊物質の有無判別の機能を得るためには、導波路層の伝搬(吸収、散乱)損失は直接的に共鳴幅の広げる原因となるため、導波路を低損失にすることが特に重要である。
(実施例5)屈折率センサ
本実施例は、光源としてある波長の狭帯域光源を選択し、実施例4で示した構造に対して、均一媒質へのセンサ応答として、水の屈折率に対しての微小屈折率変化に対する応答を示すものである。プロファイルのQ値が非常に大きくなっているため、Δn〜10-6の屈折率変化に対しても0.1%以上の反射率変化が得られることがわかる。
本実施例は、光源としてある波長の狭帯域光源を選択し、実施例4で示した構造に対して、均一媒質へのセンサ応答として、水の屈折率に対しての微小屈折率変化に対する応答を示すものである。プロファイルのQ値が非常に大きくなっているため、Δn〜10-6の屈折率変化に対しても0.1%以上の反射率変化が得られることがわかる。
(実施例6)共鳴ピーク波長の制御
図4に示したように共鳴プロファイルの幅は〜0.1nmのオーダーとなる。このような系に対してレーザ計測を行うことを考慮した際、これはDFBレーザ光源の線幅よりも広いものの、作製誤差を考えると、波長可変光源が必要となってしまう。
図4に示したように共鳴プロファイルの幅は〜0.1nmのオーダーとなる。このような系に対してレーザ計測を行うことを考慮した際、これはDFBレーザ光源の線幅よりも広いものの、作製誤差を考えると、波長可変光源が必要となってしまう。
そこで、導波路層に光感受性(photo-sensitive)の膜、例えばGe添加SiO2やITOを採用して、紫外線を照射することにより、紫外線照射量に応じて屈折率を制御しながら変化させる。
図6に示すように、屈折率として10-3オーダーの変化をさせれば、共鳴ピーク波長を0.1 nm程度の可変にできることがわかる。また、別のアプローチとして、無機酸化物材料の屈折率温度依存性は10-5/K程度であるので、〜100°Cの温度調節で〜0.1nmの波長可変性が得られることがわかる。
一般に不可逆変化であるが紫外線照射による屈折率変化は10-3よりも大きいオーダーにできる( S.Pissadakis, et al. Applied Physics A Vol.69(3) pp.333-336 (1999); R.Kashyap, Fiber Bragg Gratings, Chapter.2, Academic Press, London (1999) を参照)。そこで、紫外線照射によるアプローチはより広い範囲の波長チューニングを達成する手段として有効である。
本実施例によれば、アサーマルな構造を有する固定波長光源に対してセンシング素子の波長を可変できるので、コストメリットが生まれる。
(実施例7)
これまでの例では均一な導波路層を例に述べたが、本実施例では構造的な摂動を加えることを考える。
これまでの例では均一な導波路層を例に述べたが、本実施例では構造的な摂動を加えることを考える。
例を、図7に示す。図7(a)に示すように、基板603上の金属微小周期構造601の溝部分(グルーブ部分)と導波路層602を一体にすることで、レイリーモードと導波路の空間的な重なりをよりよくし、これらの結合を強めることができる。
同様の構成として金属微小周期構造が導波路層よりも突出している例を図7(b)に示す。一方、図7(c)に示すように、金属構造体と接する導波路の厚みを周期的に小さくする。
このことによって、この部分における導波路モードの空間閉じ込めを低下させ、導波路モードと金属―センシング媒質界面のSPPsの空間的な重なりをよくすることができる。その結果として、これらの結合をより強くすることができる。
更に、金属微小周期構造の溝部分の導波路層に紫外線照射などにより誘起された屈折率変化を有した層604を設けることもできる。上記の理由により、これらの場合においても、金属―センシング媒質界面のSPPsの電界強度を増強することができるため、結果としてセンサ感度が向上する。
100: 金属周期構造
101: 導波路層
102: 基板
103: SPPs
104: レイリーモード
105: 導波路モード
106: 入射光
107: センシング素子
108: 反射光
109: 透過光
110: 光源
111: 検出器
601: 金属構造
602: 導波路層
603: 基板
604: 紫外線照射などにより誘起された屈折率変化を有した層
101: 導波路層
102: 基板
103: SPPs
104: レイリーモード
105: 導波路モード
106: 入射光
107: センシング素子
108: 反射光
109: 透過光
110: 光源
111: 検出器
601: 金属構造
602: 導波路層
603: 基板
604: 紫外線照射などにより誘起された屈折率変化を有した層
Claims (10)
- 基板上に、周期構造を有する金属部材、を備えたセンシング素子と、該センシング素子に光を照射する光源と、前記センシング素子を介して得られる光を検出する光検出器と、を有するセンシング装置であって、
前記センシング素子は、前記基板と前記金属部材との間に光導波路層を有し、前記光源より照射され前記光導波路層内を伝搬する光と、前記金属部材により生ずるレイリーモードの光と、の位相整合がとられていることを特徴とするセンシング装置。 - 前記導波路層は、単一モードをとる請求項1に記載のセンシング装置。
- 前記レイリーモードの光は、前記光源より照射される光の1次回折波である請求項1に記載のセンシング装置。
- 前記周期構造によって、生じるプラズモン・ポラリトンが、前記光導波路層内を伝搬する光のモードとの位相整合条件を満たすことを特徴とする請求項1に記載のセンシング装置。
- 上記位相整合の結果として生じる量子干渉のスペクトルプロファイル変化を、前記光検出器を介して観測することによって、前記周期構造周辺の環境変化を検出する請求項1に記載のセンシング装置。
- 前記基板の屈折率が、前記金属部材の検出媒質側界面のプラズモン・ポラリトンに位相整合する光導波路での光伝播モードの実効屈折率よりも小さいか、あるいは前記金属部材の周期構造に吸着した物質の屈折率よりも小さい請求項4に記載のセンシング装置。
- 前記基板の屈折率が、前記金属部材の検出媒質側界面のプラズモン・ポラリトンに位相整合する光導波路での光伝播モードの実効屈折率よりも大きく、前記金属部材のフィリングファクターが80%以上であることを特徴とする請求項4に記載のセンシング装置。
- 複数の照射光波長に対する反射率変化を同時計測する手段を有する請求項1に記載のセンシング装置。
- 前記光導波路層の屈折率が、紫外線照射または温度調節によって制御された値である請求項1に記載のセンシング装置。
- 前記金属部材の周期構造のピッチは、前記金属部材の基板側界面のレイリーモードと、前記金属部材の媒質側界面のプラズモン・ポラリトンとの位相整合する波長が一致するピッチの1.0倍以上1.3倍以下の範囲にあることを特徴とする請求項1に記載のセンシング装置。
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