JP6406750B2 - 光ファイバ式計測方法及び光ファイバ式計測装置 - Google Patents
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Description
光源と、
その前端が光源に接続された入射用光ファイバと、
その前端が入射用光ファイバの後端に接続されるとともに、その外周面が試料Aに接触された第一導光体と、
その前端が第一導光体の後端に接続された中間用光ファイバと、
その前端が中間用光ファイバの後端に接続されるとともに、その外周面が試料Bに接触された第二導光体と、
その前端が第二導光体の後端に接続された出射用光ファイバと、
出射用光ファイバの後端に接続された検出器と、
を用い、
光源から入射用光ファイバを介して第一導光体の前端に入射された光を第一導光体内で回折させ、
その回折光を第一導光体内で全反射させながら伝搬させて干渉させ、
第一導光体内で干渉された干渉光を中間用光ファイバへ出射させ、
第一導光体から中間用光ファイバを介して第二導光体の前端に入射された光を第二導光体内で回折させ、
その回折光を第二導光体内で全反射させながら伝搬させて第一導光体における干渉波長とは異なる干渉波長で干渉させ、
第二導光体内で干渉された干渉光を出射用光ファイバへ出射させ、
出射用光ファイバを伝搬する干渉光を検出器で検出することによって、試料Aの物理量QAに加えて、物理量QAと相関関係を有する試料Bの物理量QBも測定できるようにしたことを特徴とする光ファイバ式計測方法
を提供することによって解決される。
[1] 入射用ファイバを伝搬する光は、第一導光体の前端に入射した際に回折してマルチモード光となる。
[2] 上記[1]のマルチモード光(回折光)は、それぞれのモードに応じた経路で第一導光体の内部を前端側から後端側へと伝搬する。
[3] 上記[2]の回折光は、基本モードの光を除いて、第一導光体と試料Aとの界面で全反射する。
[4] 上記[3]で全反射する際には、グースヘンシェンシフトと呼ばれる現象が生じ、前記界面へ入射する前と反射した後とで回折光の位相が変化する。
[5] 上記[4]のグースヘンシェンシフトによる位相の変化量は、前記界面の外側に配された試料Aの屈折率によって異なる。
[6] 上記[2]〜[5]を経て第一導光体の後端に達した回折光は、マルチモード干渉して干渉光となる。
[7] 上記[6]の干渉光は、第一導光体の後端に接続された中間用光ファイバへ出射される。
[8] 中間用ファイバを伝搬する光は、第二導光体の前端に入射した際に回折してマルチモード光となる。
[9] 上記[8]のマルチモード光(回折光)は、それぞれのモードに応じた経路で第二導光体の内部を前端側から後端側へと伝搬する。
[10] 上記[9]の回折光は、基本モードの光を除いて、第二導光体と試料Bとの界面で全反射する。
[11] 上記[10]で全反射する際には、グースヘンシェンシフトと呼ばれる現象が生じ、前記界面へ入射する前と反射した後とで回折光の位相が変化する。
[12] 上記[11]のグースヘンシェンシフトによる位相の変化量は、前記界面の外側に配された試料Bの屈折率によって異なる。
[13] 上記[8]〜[12]を経て第二導光体の後端に達した回折光は、マルチモード干渉して干渉光となる。
[14] 上記[13]の干渉光は、第二導光体の後端に接続された出力用光ファイバへ出射された後、検出器へ入力される。
光源と、
その前端が光源に接続された入射用光ファイバと、
その前端が入射用光ファイバの後端に接続されるとともに、その外周面が試料Aに接触された第一導光体と、
その前端が第一導光体の後端に接続された中間用光ファイバと、
その前端が中間用光ファイバの後端に接続されるとともに、その外周面が試料Bに接触された第二導光体と、
その前端が第二導光体の後端に接続された出射用光ファイバと、
出射用光ファイバの後端に接続された検出器と、
を備え、
光源から入射用光ファイバを介して第一導光体の前端に入射された光を第一導光体内で回折させ、
その回折光を第一導光体内で全反射させながら伝搬させて干渉させ、
第一導光体内で干渉された干渉光を中間用光ファイバへ出射させ、
第一導光体から中間用光ファイバを介して第二導光体の前端に入射された光を第二導光体内で回折させ、
その回折光を第二導光体内で全反射させながら伝搬させて第一導光体における干渉波長とは異なる干渉波長で干渉させ、
第二導光体内で干渉された干渉光を出射用光ファイバへ出射させ、
出射用光ファイバを伝搬する干渉光を検出器で検出することによって、試料Aの物理量QAに加えて、物理量QAと相関関係を有する試料Bの物理量QBも測定できるようにしたことを特徴とする光ファイバ式計測装置
を提供することによって解決される。
本発明に係る光ファイバ式計測方法及び光ファイバ式計測装置の好適な実施態様について、図面を用いてより具体的に説明する。図1は、本発明に係る光ファイバ式計測装置の好適な実施態様を示した構成図である。図1に示すように、本実施態様の光ファイバ式計測装置は、光源10と、その前端が光源10に接続された入射用光ファイバ20と、その前端が入射用光ファイバ20の後端に接続された第一導光体30と、その前端が第一導光体30の後端に接続された中間用光ファイバ40と、その前端が中間用光ファイバ40の後端に接続された第二導光体50と、その前端が第二導光体50の後端に接続された出射用光ファイバ60と、出射用光ファイバの後端に接続された検出器70と、検出器70に接続された解析器80とを備えたものとなっている。
光源10は、後述する第一導光体30や第二導光体50へ入射させる光を発生するためのものとなっている。本実施態様の光ファイバ式計測装置において、光源10は、レーザー光を出射するものとなっている。光源10は、単一の波長のレーザー光を出射するものであってもよいし、特定の波長帯域のレーザー光を出射するものであってもよい。後者の場合には、後述する解析器80の解析結果を反映させた光源制御信号が光源10へ入力されるようにし、当該光源制御信号に基づいて光源10から出射されるレーザー光を制御するようにしてもよい。光源10から出射させるレーザー光の波長は、特に限定されないが、通常、光ファイバを伝搬させるのに一般的に使用される400〜1620nm程度とされる。本実施対応の光ファイバ式計測装置において、光源10には、1500〜1620nmの範囲で波長を変化させることが可能な小型の波長可変光源を用いている。
入射用光ファイバ20は、光源10から出射されたレーザー光を第一導光体30の前端まで伝搬するためのものとなっている。図1に示すように、入射用光ファイバ20の前端は、光源10の発光部に接続され、入射用光ファイバ20の後端は、第一導光体30の前端面における中心部に接続されている。入射用光ファイバ20は、図2及び図3に示すように、芯を形成するコア21と、コア21の外周部に配されてコア21よりも屈折率が低く設定されたクラッド22と、クラッド22の外周面を覆う被覆(図示省略)とで構成されている。コア21とクラッド22は、通常、石英ガラスや透明樹脂等の透過率の高い材料によって形成される。
第一導光体30は、その外周部に存在する試料Aの物理量QA(本実施態様の光ファイバ式計測装置においては試料Aの屈折率)を検知するためのセンサ部として機能する部分となっている。図1に示すように、第一導光体30の前端は、入射用光ファイバ20の後端に接続され、第一導光体30の後端は、後述する中間用光ファイバ40の前端に接続されている。入射用光ファイバ20を介して光源10から第一導光体30の前端に入射したレーザー光は、回折してマルチモード光(経路の異なる複数のモードの光)となり、それぞれのモードに応じた経路で第一導光体30の内部を前端側から後端側へと伝搬する。このため、第一導光体30としては、マルチモード光ファイバ(MMF)のコア部分を好適に使用することができる。第一導光体30の後端に達したマルチモード光は、マルチモード干渉した干渉光となって中間用光ファイバ40へと出射され、第二導光体50及び出射用光ファイバ60を経て検出器70へと入射される。
中間用光ファイバ40は、第一導光体30の後端から出射されたレーザー光を第二導光体50の前端まで伝搬するためのものとなっている。図1に示すように、中間用光ファイバ40の前端は、第一導光体30の後端面の中心部に接続され、中間用光ファイバ40の後端は、第二導光体50の前端面における中心部に接続されている。中間用光ファイバ40は、図2及び図3に示すように、芯を形成するコア41と、コア41の外周部に配されてコア41よりも屈折率が低く設定されたクラッド42と、クラッド42の外周面を覆う被覆(図示省略)とで構成している。コア41とクラッド42は、入射用光ファイバ20におけるコア21やクラッド22と同様、通常、石英ガラスや透明樹脂等の透過率の高い材料によって形成される。
第二導光体50は、図2及び図3に示すように、芯を形成するコア51と、コア51の外周面を覆う被覆材52(試料B)とで構成されている。第二導光体50におけるコア51は、被覆材52(試料B)の物理量QB(本実施態様の光ファイバ式計測装置においては試料Bの温度)を検知するためのセンサ部として機能する部分となっている。上述したように、被覆材52(試料B)は、試料Aと熱的に接触されており、試料Aの温度と被覆材52(試料B)の温度とが一致するようにしているため、被覆材52(試料B)の温度は、試料Aの温度と同一とみなすことができるようになっている。換言すると、第二導光体50のコア51は、被覆材52(試料B)を介して試料Aの温度を検知するためのセンサ部として機能する部分となっている。
出射用光ファイバ60は、第二導光体50の後端から出射されたレーザー光を検出器70まで伝搬するためのものとなっている。図1に示すように、出射用光ファイバ60の前端は、第二導光体50の後端面の中心部に接続され、出射用光ファイバ60の後端は、検出器70における受光部に接続されている。出射用光ファイバ60は、図2及び図3に示すように、芯を形成するコア61と、コア61の外周部に配されてコア61よりも屈折率が低く設定されたクラッド62と、クラッド62の外周面を覆う被覆(図示省略)とで構成している。コア61とクラッド62は、入射用光ファイバ20におけるコア21やクラッド22と同様、通常、石英ガラスや透明樹脂等の透過率の高い材料によって形成される。
検出器70は、出射用光ファイバ60の後端から出射された光を検知するためのものとなっている。検出器70は、出射用光ファイバ60の後端から出射された光を受けて、光強度、すなわち透過光量に対応した信号を出力できるものであれば特に限定されないが、通常、フォトセンサ等の光電変換素子を備えたものが使用される。
解析器80には、検出器70が出力した前記信号が入力される。解析器80は、第一導光体30における干渉に起因して形成される光強度のピーク又はディップから、試料Aの屈折率を特定するためのピーク又はディップを選択し、第二導光体50における干渉に起因して形成される光強度のピーク又はディップから、被覆材52(試料B)の屈折率(間接的には試料Bの温度)を特定するためのピーク又はディップを選択するとともに、選択されたそれぞれのピーク又はディップから試料Aの屈折率と温度(本実施態様の光ファイバ式計測装置では被覆材52(試料B)の温度に一致)を算出するためのものとなっている。解析器80としては、上記の処理を行う回路が実装された電子基板や、上記の処理を行うソフトがインストールされたコンピュータ等が例示される。
本実施態様の光ファイバ式計測装置においては、図1に示すように、光源10と検出器70とを結ぶ光の経路において、光源10、入射用光ファイバ20、第一導光体30、中間用光ファイバ40、第二導光体50、出射用光ファイバ60、検出器70の順で各部が接続された構成を例に挙げて説明したが、第一導光体30と第二導光体50の配置が入れ替わった構成(前記光の経路において、光源10、入射用光ファイバ20、第二導光体50、中間用光ファイバ40、第一導光体30、出射用光ファイバ60、検出器70の順で各部が接続された構成)を採用してもよい。また、中間用光ファイバ40を十分長くし、ファイバの柔軟性を利用して途中でUターンさせ、最終的に第一導光体30と第二導光体50を近傍に配置するようにすることで、試料Aと試料Bを熱的に接触させる構成にできることも付記しておく。また、第一導光体30や第二導光体50以外の導光体を設け、3種類以上の物理量を測定できるようにしてもよい。
本発明に係る光ファイバ式計測方法及び光ファイバ式計測装置による効果を調べるために、下記実験1〜5を行った。
・実験1の方法
まず、図18及び図19に示す従来の光ファイバ式計測装置を用い、試料Aを空気とした場合と、水とした場合とのそれぞれにおいて、検出器70に入射された光の光強度を測定する実験1を行った。実験1では、入射用光ファイバ20及び出力用光ファイバ60として、コア径が約9μmでクラッド径が125μmのシングルモード光ファイバ(SMF)を用い、導光体90として、直径(コア径)が125μmで長さが100mmのマルチモード光ファイバ(MMF)を用いた。
図9は、実験1において、検出器70に入射された光の波長と光強度との関係を示したグラフである。図9を見ると、試料Aが空気である場合と水である場合とのいずれにおいても、光強度には、ある特定の波長(導光体90の後端で干渉する光の位相が揃う波長)で大きなピークP1,P2が現れていることが分かる。また、図9からは、ピークP1が形成される波長(921nm付近)と、ピークP2が形成される波長(926nm付近)とがシフトしており、試料Aの屈折率の違いによって、ピークが形成される波長に差が現れることも分かる。以上、実験1の結果から、光強度に大きなピーク(又はディップ)が現れる波長の差によって、試料Aの屈折率の微小な差を検出することが可能であることが裏付けられた。
・実験2の方法
続いて、導光体の寸法によって、ピークが形成される波長がどのように変化するのかを確かめるために、上記実験1で使用した従来の光ファイバ式計測装置(図19)における導光体90を、長さの異なるものに交換し、検出器70に入射された光の光強度を測定する実験2を行った。実験2は、試料Aが空気である場合についてのみ実施した。導光体90としては、長さが47.52mmで直径(コア径)が125μmのものと、長さが46.68mmで直径(コア径)が125μmのものとの2種類を使用した。入射用光ファイバ20及び出射用光ファイバ60は、上記実験1と同じものを使用した。
図10は、実験2において、長さが47.52mmの導光体90を空気中に配した場合に、検出器70に入射された光の波長と光強度との関係を示したグラフである。図10を見ると、導光体90の後端で干渉する光の位相が揃う波長にピークが現れ、位相が逆位相となる波長にディップが現れていることが分かる。図11は、図10のグラフにおける1520〜1620nmの波長範囲を拡大して示したグラフである。図11を見ると、波長1585nm付近に深いディップD1が現れていることが分かる。図12は、実験2において、長さが46.68mmの導光体90を空気中に配した場合に、検出器70に入射された光の波長と光強度との関係を示したグラフである。図12を見ると、図11の場合とは異なる波長1550nm付近に深いディップD2が現れていることが分かる。以上、実験2の結果から、導光体90の寸法を変化させることにより、導光体90の干渉波長を変化させることができることが分かった。
・実験3の方法
続いて、上記実験2で用いた2種類の導光体90を直列に接続した場合において、検出器70に入射された光の光強度を測定する実験3を行った。実験3は、図18及び図19に示す従来の光ファイバ式計測装置のセンサ部を、図20に示すように、導光体91と導光体92とを中間用光ファイバ40を介して直列に接続したものに交換して行った。図20は、実験3で使用した光ファイバ式計測装置におけるセンサ部の周辺をその導光体91,92の中心線を含む平面で切断して拡大した状態を示した断面図である。導光体91は、上記実験2で使用した長さが46.68mmの導光体90と同じものを使用し、導光体92は、上記実験2で使用した長さが47.52mmの導光体90と同じものを使用した。また、入射用光ファイバ20及び出射用光ファイバ60も、上記実験2で使用したものと同じものを使用し、中間用光ファイバ40は、入射用光ファイバ20及び出射用光ファイバ60と同じものを使用した。
図13は、実験3において、長さが47.52mmの導光体と、長さが46.68mmの導光体とを直列に接続して空気中に配した場合に、検出器70に入射された光の波長と光強度との関係を示したグラフである。図13を見ると、波長1550nm付近に深いディップD2’が現れ、波長1585nm付近に深いディップD1’が現れていることが分かる。図13におけるディップD1’が形成される波長は、図11におけるディップD1が形成される波長に略一致し、図13におけるディップD2’が形成される波長は、図12におけるディップD2が形成される波長に略一致している。以上、実験3の結果から、寸法等を変化することにより干渉波長の異なる2つの導光体を直列に接続すれば、それぞれの導光体における干渉波長に対応した明瞭な2つのディップ(又はピーク)を出現させることが可能であることが分かった。また、図13を見ると、ディップD1’,D2’の深さは、いずれも20dB以上となっていることも分かる。これは、導光体91における干渉波長と導光体92における干渉波長とが互いの導光体内の導光特性においてその影響が極力小さくになるように、導光体91と導光体92を設計していたためである。
・実験4の方法
続いて、本発明に係る光ファイバ式計測装置を用い、検出器70に入射された光の光強度を測定する実験4を行った。実験4は、図1〜3に示す本発明に係る光ファイバ式計測装置を用いて行った。第一導光体30は、上記実験3で使用した導光体91と同じものを用い、第二導光体50のコア51は、上記実験3で使用した導光体92と同じものを用いた。また、入射用光ファイバ20、中間用光ファイバ40及び出射用光ファイバ60も、上記実験3で使用したものと同じものを用いた。第二導光体50の被覆材52(試料B)は、第二導光体50の外周面にシリコーンゴムの膜を形成することにより設けた。シリコーンゴムの線膨張係数は、260×10−6/Kであり、その膜厚は500μm以下であった。被覆材51(試料B)の外周面は、試料Aに直接接触するようにし、被覆材51(試料B)の温度が試料Aの温度と同一であるとみなせる状況とした。実験4は、試料Aが空気である場合についてのみ行った。
図14は、実験4において、試料Aが空気である場合に、検出器70に入射された光の波長と光強度との関係を示したグラフである。図14を見ると、波長1550nm付近に深いディップDAが現れ、波長1595nm付近に深いディップDBが現れていることが分かる。図14におけるディップDAが形成される波長は、図13におけるディップD2’が形成される波長に略一致しているものの、図14におけるディップDBが形成される波長は、図13におけるディップD1’が形成される波長からシフトしている。これは、第二導光体50の外周面に接触する物質(試料B)が空気(試料A)ではなくシリコーンゴム(被覆材52)となったためである。以上、実験4の結果から、第二導光体50のコア51の外周面に被覆材52(試料B)を設けた本発明に係る構成では、第一導光体30では、試料Aの屈折率が検出され、第二導光体50では、被覆材52(試料B)の屈折率が検出されることが分かった。被覆材52(試料B)を形成するシリコーンゴムは、線膨張係数が大きく、温度変化によって屈折率が大きく変化するため、第二導光体50に起因するディップDB(又はピーク)のシフトを検出することで、被覆材52(試料B)の温度、すなわち試料Aの温度を検知することができる。また、図14を見ると、ディップDA,DBの深さは、いずれも20dB以上となっていることも分かる。これは、第一導光体30における干渉波長と第二導光体50における干渉波長とが互いの導光体内の導光特性においてその影響が極力小さくになるように、第一導光体30と第二導光体50を設計していたためである。
・実験5の方法
続いて、本発明に係る光ファイバ式計測装置を用いて、実際に試料Aの屈折率と温度を測定し得るか確認するための実験5を行った。実験5は、図1〜3に示す光ファイバ式計測装置を用いて行った。実験5で使用した光ファイバ式計測装置における、第一導光体50及び第二導光体50、並びに、入射用光ファイバ20、中間用光ファイバ40及び出射用光ファイバ60は、上記実験4で使用したものと同一である。光源10には、小型の波長可変光源を使用し、その波長分解能を一般的な値の0.001nmに設定した。実験5は、[a]試料Aが空気である場合であって、試料Bの温度を30℃から80℃まで変化させた場合と、[b]試料Aが水(純水)である場合であって、試料Bの温度を30℃から80℃まで変化させた場合と、[c]試料Bの温度を30℃で固定し、試料Aを空気と水(純水)とエタノールとで切り替えた場合と、の3通りについて行った。
図15,16は、実験5において、試料Bの温度を30℃から80℃まで変化させたときにおける、検出器70に入射された光の波長と光強度との関係を示したグラフであり、図15は、試料Aが空気である場合について、図16は、試料Aが水である場合についてそれぞれ示したものである。図15と図16を比較すると、試料Aの屈折率に起因するディップDAが形成される波長が、試料Aが空気である場合(図15)と、試料Aが水である場合(図16)とで変化していることが分かる。また、ディップDAが形成される波長は、試料Bの温度が変化しても試料Aの屈折率に変化がなければ、殆ど変化しないことも分かる。さらに、ディップDBが形成される波長は、試料Bの温度が変化すれば試料Aの屈折率に変化がなくても、その温度の変化に従って変化していくことも分かる。さらにまた、ディップDBが形成される波長は、試料Aが変化しても試料Aの温度に変化がなければ、変化しないことも分かる。例えば、試料Aが空気である場合(図15)であってその温度が30℃であるときにディップDBが形成される波長と、試料Aが水である場合(図16)であってその温度が30℃であるときにディップDBが形成される波長は一致している。
以上で述べた光ファイバ式計測方法及び光ファイバ式測定方法は、その用途を特に限定されるものではなく、産業分野や医療分野や研究分野等、様々な分野で採用することができる。特に、液体や気体の濃度を測定する用途に好適に採用することができる。なかでも、液体の濃度を測定する用途に好適に採用することができる。具体的には、ジュースやお茶等の飲料の濃度測定、調味液等の濃度測定、海水の塩分濃度測定、バイオエタノールの濃度測定、水溶性切削油の濃度測定、油脂の屈折率測定、洗浄液の濃度測定、血液等の体液に含まれる蛋白質(抗原)検出等が挙げられる。
20 入射用光ファイバ
21 コア
22 クラッド
30 第一導光体
31 コア
40 中間用光ファイバ
41 コア
42 クラッド
50 第二導光体
51 コア
52 被覆材(試料B)
60 出射用光ファイバ
61 コア
62 クラッド
70 検出器
80 解析器
90 導光体
91 導光体
92 導光体
Claims (5)
- 光源と、
その前端が光源に接続された入射用光ファイバと、
その前端が入射用光ファイバの後端に接続されるとともに、その外周面が試料Aに接触された第一導光体と、
その前端が第一導光体の後端に接続された中間用光ファイバと、
その前端が中間用光ファイバの後端に接続されるとともに、その外周面が試料Bに接触された第二導光体と、
その前端が第二導光体の後端に接続された出射用光ファイバと、
出射用光ファイバの後端に接続された検出器と、
を備え、
光源から入射用光ファイバを介して第一導光体の前端に入射された光を第一導光体内で回折させ、
その回折光を第一導光体内で全反射させながら伝搬させて干渉させ、
第一導光体内で干渉された干渉光を中間用光ファイバへ出射させ、
第一導光体から中間用光ファイバを介して第二導光体の前端に入射された光を第二導光体内で回折させ、
その回折光を第二導光体内で全反射させながら伝搬させて第一導光体における干渉波長とは異なる干渉波長で干渉させ、
第二導光体内で干渉された干渉光を出射用光ファイバへ出射させ、
出射用光ファイバを伝搬する干渉光を検出器で検出することによって、試料Aの物理量QAに加えて、物理量QAと相関関係を有する試料Bの物理量QBも測定できるようにするとともに、
複数の導光体の中から第一導光体及び/又は第二導光体として使用する導光体を選択することにより、第一導光体及び/又は第二導光体における干渉波長を切り替えることができるようにしたことを特徴とする光ファイバ式計測装置。
- 光源と、
その前端が光源に接続された入射用光ファイバと、
その前端が入射用光ファイバの後端に接続されるとともに、その外周面が試料Bに接触された第二導光体と、
その前端が第二導光体の後端に接続された中間用光ファイバと、
その前端が中間用光ファイバの後端に接続されるとともに、その外周面が試料Aに接触された第一導光体と、
その前端が第一導光体の後端に接続された出射用光ファイバと、
出射用光ファイバの後端に接続された検出器と、
を備え
光源から入射用光ファイバを介して第二導光体の前端に入射された光を第二導光体内で回折させ、
その回折光を第二導光体内で全反射させながら伝搬させて干渉させ、
第二導光体内で干渉された干渉光を中間用光ファイバへ出射させ、
第二導光体から中間用光ファイバを介して第一導光体の前端に入射された光を第一導光体内で回折させ、
その回折光を第一導光体内で全反射させながら伝搬させて第二導光体における干渉波長とは異なる干渉波長で干渉させ、
第一導光体内で干渉された干渉光を出射用光ファイバへ出射させ、
出射用光ファイバを伝搬する干渉光を検出器で検出することによって、試料Aの物理量QAに加えて、物理量QAと相関関係を有する試料Bの物理量QBも測定できるようにするとともに、
複数の導光体の中から第一導光体及び/又は第二導光体として使用する導光体を選択することにより、第一導光体及び/又は第二導光体における干渉波長を切り替えることができるようにしたことを特徴とする光ファイバ式計測装置。
- 請求項1又は2記載の光ファイバ式計測装置を用いて、試料Aの物理量Q A に加えて、物理量Q A と相関関係を有する試料Bの物理量Q B も測定する光ファイバ式計測方法。
- 試料Aと試料Bとを熱的に接触させることにより、試料Aの温度変化に応じて試料Bが温度変化するようにし、
物理量QAとして、試料Aの屈折率を測定し、
物理量QBとして、試料Bの温度を測定する請求項3記載の光ファイバ式計測方法。
- 試料Bを、線膨張係数が50×10−6/K以上の素材で形成した請求項4記載の光ファイバ式計測方法。
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