本発明の実施の形態について添付の図面を参照しながら説明すると、先ず図1において、この減圧装置は、たとえば高圧の天然ガス燃料を減圧してエンジン(図示せず)に供給するためにガス燃料車両のエンジンルームに搭載されるものであり、ボディ5に、ダイヤフラム8に連結される減圧用弁体10を有する減圧弁6と、ソレノイド9で駆動される遮断用弁体78を有する遮断弁7とが配設されて成る。
前記ボディ5は、第1ボディ部材12と、第1ボディ部材12の上方に配置される第2ボディ部材13とが相互に結合されて成るものである。第1ボディ部材12は、上下に延びる外筒部12aと、この外筒部12aの下部から半径方向内方に張り出す第1内向き鍔部12bと、前記外筒部12aと同軸にして第1内向き鍔部12bの中間部から上方に延びる内筒部12cと、この内筒部12cと同軸にして第1内向き鍔部12bの内周からわずかに上方に延びる短筒部12dとを一体に有しており、第1内向き鍔部12bの中央部および前記短筒部12dには、前記外筒部12aおよび前記内筒部12cと同軸である横断面円形の摺動支持孔14が形成される。
また第2ボディ部材13は、前記内筒部12cの第2ボディ部材13側端部に嵌合する嵌合筒部13aを一体に有しており、この嵌合筒部13a内に一部が形成される収容孔15が第2ボディ部材13に設けられる。また前記収容孔15の前記ダイヤフラム8側の端部、すなわち前記嵌合筒部13aの先端部から半径方向内方に張り出す第2内向き鍔部13bが第2ボディ部材13に一体に設けられる。しかも前記収容孔15は、前記ダイヤフラム8とは反対側に開放したねじ孔部15aと、このねじ孔部15aよりも小径にして第2内向き鍔部13b側に配置される嵌合孔部15bとが同軸に連設されて成る。
第1ボディ部材12の外筒部12aおよび第2ボディ5間には環状の第1シール部材16が介装され、第1ボディ部材12の内筒部12c内に嵌合した第2ボディ部材13の嵌合筒部13aおよび前記内筒部12c間には環状の第2シール部材17が介装される。
第1および第2ボディ部材12,13間には、第1ボディ部材12の前記内筒部12cで外周が規定されるようにして減圧室18が形成され、この減圧室18に通じる出口通路19が、第1ボディ部材12の側面から突出する接続管20に接続される。また第1ボディ部材12の前記外筒部12aおよび前記内筒部12cで外周および内周が規定される環状通路21が第1および第2ボディ部材12,13間に形成され、前記減圧室18内を加熱するための温水等の加熱媒体が前記環状通路21内を流通する。
図2を併せて参照して、前記減圧弁6は、前記減圧室18に通じる弁孔24を中央部に開口させる減圧用弁座25を内周に有してリング状に形成されるとともに前記収容孔15の嵌合孔部15b内に固定配置される弁座部材26と、第2内向き鍔部13bの内方および前記弁孔24を緩く貫通する弁軸27と、前記減圧用弁座25に着座することを可能として前記弁軸27の外周に嵌装される合成樹脂製の減圧用弁体10とを有する。
前記収容孔15の嵌合孔部15b内には、第2内向き鍔部13b側に向けて開放した皿状の保持部28aと、この保持部28aの中央部に同軸に連なって第2内向き鍔部13bとは反対側に延びる大径円筒部28bと、大径円筒部28bよりも小径に形成されて大径円筒部28bに同軸に連なる小径円筒部28cと、小径円筒部28cの第2内向き鍔部13bとは反対側の端部を閉じる端壁部28dを一体に有するハウジング28が挿入、固定されるものであり、前記弁座部材26は、前記ハウジング28の前記保持部28aに圧入、固定される。
前記弁座部材26の第2内向き鍔部13bに対向する面には前記弁孔24と同軸である環状の第3シール部材29が装着され、前記弁座部材26の前記ハウジング28に対向する面には第3シール部材29と同軸である環状の第4シール部材30が装着される。
前記ハウジング28内には前記減圧用弁体10を収容する弁室31が形成されており、前記減圧用弁座25は、前記弁室31に臨むようにして前記弁座部材26の内周縁にテーパ状に形成され、前記減圧用弁体10の前記減圧用弁座25に着座する部分もテーパ状に形成される。
前記減圧用弁体10は、前記ハウジング28の大径円筒部28bおよび小径円筒部28cで摺動可能に支持されるものであり、前記大径円筒部28bおよび前記減圧用弁体10間には、減圧用弁体10の外周に摺接してこの減圧用弁体10の移動をガイドする環状の第5シール部材32が介装される。また前記大径円筒部28bおよび前記小径円筒部28c間の段部と、第5シール部材32との間には第1バックアップリング33が配設され、第5シール部材32を第1バックアップリング33との間に挟む籠状の支持部材34が前記大径円筒部28bと弁座部材26との間に挟持される。
ところで前記減圧用弁体10は、前記減圧用弁座25から前記減圧用弁体10が上方へ離座した開弁位置(図2の実線で示す位置)と、前記減圧用弁座25に前記減圧用弁体10が着座した閉弁位置との間で移動可能である。前記ハウジング28の小径円筒部28cおよび端壁部28dと、前記弁軸27および前記減圧用弁体10との間には、前記弁室31との間が第5シール部材32でシールされるようにして背圧室35が形成され、この背圧室35は前記弁軸27に設けられる連通路36を介して前記減圧室18に連通する。
第1ボディ部材12の中央部の前記短筒部12d内に形成される摺動支持孔14には、この摺動支持孔14の内周に弾発的に摺接する環状の第6シール部材37を外周に有するダイヤフラムロッド38が摺動可能に嵌合される。
図3を併せて参照して、前記ダイヤフラムロッド38には、前記減圧用弁体10側に開放した有底の連結孔40が同軸に設けられる。一方、前記弁孔24を貫通してダイヤフラムロッド38側へ延びる弁軸27の前記ダイヤフラムロッド38側の端部には、縮径軸部27aと、この縮径軸部27aよりも大径で、その軸方向両側に配置される第1および第2拡径軸部27b,27cとが設けられ、第1拡径軸部27bは減圧用弁体10側に配置され、第2拡径軸部27cはダイヤフラム8側に配置される。
前記連結孔40には保持プレート41が嵌装され、この保持プレート41は、前記減圧用弁体10側に配置される大径部41aと、前記連結孔40の閉塞端側に配置される小径部41bとを有する。
前記保持プレート41は、前記弁軸27に取付けられるものであり、前記縮径軸部27aを緩く貫通させて第1および第2拡径軸部27b,27cの前記縮径軸部27a側の端面を係合させるようにして一側方に開口した係止凹部42が前記保持プレート41に設けられる。
前記保持プレート41の外周には、前記大径部41aおよび前記小径部41b間に配置される第1係止溝47が設けられる。一方、前記連結孔40の内周には、第1係止溝47に対応した環状の第2係止溝48が設けられ、断面形状を円形としつつ一つの開口を有した略C字状の弾性リングである係止リング49が、前記弁軸27の半径方向に沿う拡縮を可能として第1および第2係止溝47,48に係合される。すなわち第1の部材である保持プレート41と、第2の部材であるダイヤフラムロッド38とが前記係止リング49を介して連結される。
前記連結孔40は、該連結孔40への前記保持リング41の挿入方向43に沿って前記弁座部材26側に向かっての開放端側から順に、外方に向かってテーパ状に拡径したテーパ状のガイド孔部40aと、該ガイド孔部40aの小径端に一端が連なるとともに前記挿入方向43に沿って前記第2係止溝48の手前側に隣接配置される縮径ガイド孔部40bとを有し、前記連結孔40の一部を構成する前記縮径ガイド孔部40bは、前記第1係止溝47に前記係止リング49が係合された状態の前記保持プレート41を前記連結孔40に挿入する際に、前記係止リング49を縮径しつつ第2係止溝48側にガイドする。
無負荷状態での前記係止リング49の内径αは、前記第1係止溝47に隣接する部位での保持プレート41の外径A,B未満に設定される。しかも第1係止溝47に前記挿入方向43に沿う後方側で隣接する部位の保持プレート41の外径すなわち前記大径部41aの外径Aは、前記第1係止溝47に前記挿入方向43に沿う前方側で隣接する部位の前記保持プレート41の外径すなわち前記小径部41bの外径Bよりも大きく設定される。
図4を併せて参照して、前記係止リング49が第1係止溝47に係合された状態の前記保持プレート41を前記ダイヤフラムロッド38と同芯状に配置して前記連結孔40に挿入する際に、前記係止リング49が前記ガイド孔部40aに接触する前に無負荷状態の前記係止リング49の中心軸線C3が同軸である前記保持プレート41および前連結孔40の中心軸線C1,C2から側方にずれる場合があり、図4で示すようにそのずれが最大となった状態で、前記連結孔40の中心軸線C2に直交する平面への投影図上で、前記ガイド孔部40a内に前記係止リング49の円形断面の中心Cが在るように前記ガイド孔部40aの大径端開口部が形成される。
ところで前記係止リング49は、その無負荷状態でその円形断面の中心Cが仮想円上にあるようにして略C字状に形成されるものであり、その仮想円の直径βは、前記保持プレート41のうち前記第1係止溝47に前記挿入方向43に沿う後方側で隣接する部位の外径すんわち大径部41aの外径Aよりも小さく設定される。
また前記第1係止溝47の前記挿入方向43に沿う後方側の端面47aは前記保持プレート41の中心軸線C1に対して直交する平面に沿うように形成される。
前記連結孔40の閉塞端および前記保持プレート41間には、この保持プレート41を前記減圧用弁体10の開弁側に付勢するセットばね50が縮設される。その結果、第1係止溝47のセットばね50側の内側面と係止リング49とが当接状態に保持されるとともに、係止リング49と第2係止溝48の減圧用弁体10側の内側面とが当接状態に保持される。
再び図1において、第2ボディ部材13とは反対側で第1ボディ部材12には、第1ボディ部材12とは反対側に端壁55aを有して有底円筒状に形成されるダイヤフラムカバー55が、前記ダイヤフラム8の周縁部を第1ボディ部材12との間に挟持するようにして締結されており、前記ダイヤフラムロッド38は、ダイヤフラム8の中央部に連結される。すなわち前記ダイヤフラムロッド38は、前記連結孔40の開放方向と反対側に延びる軸部38aを同軸にかつ一体に有しており、この軸部38aは、前記ダイヤフラムロッド38およびダイヤフラム8の中央部間に挟まれるリング状の第1リテーナ56と、第1リテーナ56との間に前記ダイヤフラム8の中央部を挟むリング状の第2リテーナ57とに挿通され、第2リテーナ57からの突出部で前記軸部38aの外周の一部をかしめて第2リテーナ57に係合することで前記軸部38aに前記ダイヤフラム8の中央部が連結される。また前記ダイヤフラムロッド38および第1リテーナ56間には環状の第7シール部材58が介装される。
ダイヤフラム8および第1ボディ部材12間には、ダイヤフラム8の一面を臨ませる圧力作用室59が形成され、ダイヤフラム8およびダイヤフラムカバー55間には、ダイヤフラム8の他面を臨ませる制御圧力室60が形成され、減圧室18に通じる出口通路19を前記圧力作用室59に通じさせる連通路61が第1ボディ部材12に設けられる。しかも制御圧力室60に収容されるコイル状のダイヤフラムばね62がダイヤフラムカバー55およびダイヤフラム8間に縮設される。またダイヤフラムカバー55には、制御圧力室60に通じる負圧導入管63が接続されており、この負圧導入管63はエンジンに接続され、前記制御圧力室60にエンジンの吸気負圧を導入するようになっている。
前記ダイヤフラムカバー55における前記端壁55aの中央部には、制御圧力室60側に突出する支持筒64が一体に設けられており、ダイヤフラムカバー55の外方から回転操作することを可能とした調整ねじ65が、その一端を制御圧力室60内に突入せしめるようにして前記支持筒64に螺合されており、支持筒64および前記調整ねじ65間に環状の第8シール部材66が介装される。また前記制御圧力室60内には、前記調整ねじ65の一端部を閉塞端中央部に当接させて前記支持筒64を覆う有底円筒状のばね座部材67が収容されており、前記ダイヤフラムばね62は、そのばね座部材67と、前記ダイヤフラム8に中央部に固定される第2リテーナ57との間に縮設される。そして前記調整ねじ65の回転操作によってばね座部材67を進退作動せしめることができ、それによってダイヤフラムばね62のばね荷重を調整することができる。
このような減圧弁6においては、ダイヤフラム8が、圧力作用室59の圧力、すなわち減圧室18の圧力によりダイヤフラムばね62のばね力に抗して制御圧力室60側に撓むと、ダイヤフラムロッド38が保持プレート41を介して弁軸27を引くことで、減圧用弁体10が減圧用弁座25に着座して閉弁し、また前記圧力作用室59の圧力低下によってダイヤフラム8が圧力作用室59側に撓むと、ダイヤフラムロッド38が保持プレート41を介して弁軸27を押すことで、減圧用弁体10が減圧用弁座25から離座して開弁し、このような減圧用弁体10の減圧用弁座25に対する着座及び離座が繰り返されることにより、減圧室18には、弁室31からの高圧のガス燃料が減圧されて導かれることになる。
ところで、前述のように、ダイヤフラムロッド38の連結孔40には、前記保持プレート41を減圧用弁体10の開弁側に付勢するセットばね50が縮設されている。これにより、保持プレート41の第1係止溝47のセットばね50側の内側面と係止リング49、係止リング49とダイヤフラムロッド38の第2係止溝48の減圧用弁体10側の内側面がそれぞれ当接状態に保持されるので、ダイヤフラム8の弁軸27に対する押し引き時、上記当接状態を維持することができ、したがって異音の原因となる当接部の離間・当接の繰り返しの現象を防ぐことができる。しかもダイヤフラム8の動きに対する減圧用弁体10の応答遅れがないので、調圧性能の向上にも寄与し得る。
前記遮断弁7におけるソレノイド9のソレノイドハウジング68は、前記ボディ5の第2ボディ部材13とは反対側を閉じた有底円筒状に形成されており、このソレノイドハウジング68の前記第2ボディ部材13側の開放端には、第2ボディ部材13における収容孔15のねじ孔部15aに螺合される雄ねじが外周に刻設される円筒部69aを一体に有するホルダ69が固定され、前記円筒部69aの雄ねじを前記ねじ孔部15aに螺合することで前記ソレノイドハウジング68が前記ボディ5の第2ボディ部材13に固定される。
また前記ソレノイド9は、可動コア70と、該可動コア70を軸方向移動可能に挿入させた非磁性材料製のガイド筒71とを有しており、前記ガイド筒71の一端部は、前記ホルダ69を貫通して第2ボディ部材13における前記収容孔15内に突入される。このガイド筒71は、前記ホルダ69を貫通する小径部71aと、この小径部71aよりも大径に形成されるとともに前記収容孔15の嵌合孔部15b内に嵌合されるようにして前記小径部71aの一端に同軸に連なる大径部71bとを一体に有して、第2ボディ部材13に固定される。
前記ガイド筒71には、前記可動コア70を同軸に挿入せしめる小径孔74と、その小径孔74よりも大径に形成されて前記大径部71bの一端に開口する大径孔75とが、前記大径部71bの軸方向中間部で同軸に連なるようにして形成される。
しかも前記大径部71bの一端は、前記ハウジング28における保持部28aに第2内向き鍔部13bとは反対側から当接するものであり、ガイド筒71は第2内向き鍔部13bとの間に前記ハウジング28を挟持するようにして第2ボディ部材13に固定されることになり、前記嵌合孔部15bの内周に弾発的に接触する環状の第9シール部材76および第2バクアップリング77が、前記大径部71bの外周に装着される。
また前記ガイド筒71には、前記小径部71aおよび前記大径部71bの連設部で第2内向き鍔部13bとは反対側に臨む環状の段部71cが形成されており、前記収容孔15のねじ孔部15aに螺合されるホルダ69における前記円筒部69aの一端は前記段部71cに当接する。したがって前記ホルダ69は、前記ガイド筒71の大径部71bおよび前記ハウジング28の保持部28aを第2内向き鍔部13bとの間に挟持するようにして、前記収容孔15の前記ダイヤフラム8とは反対側の端部のねじ孔部15aに螺合されることになる。
前記遮断弁7は、パイロットポート80を有する主弁体78と、その主弁体78との所定範囲での相対移動によって前記パイロットポート80を開閉するようにして前記主弁体78との所定範囲での相対移動を可能として前記主弁体78に組付けられる副弁体79とを有し、パイロット機能付き弁として構成されるものであり、前記副弁体79は前記可動コア70の端部に形成される。また前記主弁体78は、第2ボディ部材13の前記収容孔15における嵌合孔部15b内に挿入され、この主弁体78内に前記減圧弁6の前記ハウジング28が同軸に収容される。
前記主弁体78は、前記ハウジング28の大径円筒部28bおよび小径円筒部28cを同軸に覆う段付き円筒部78aと、この段付き円筒部78aの一端から半径方向外方に張り出して前記ハウジング28の前記保持部28aに第2内向き鍔部13bとは反対側から対向する鍔部78bと、中央部に前記段付き円筒部78aの中心軸線と同軸のパイロットポート80を有して前記段付き円筒部78aの他端部を閉じる端壁部78cとを一体に有して有底円筒状に形成されるものであり、この主弁体78における前記端壁部78cの中央部外面には前記パイロットポート80の一部を形成する突部78dが前記可動コア70側に向けて一体に突設される。この主弁体78の前記段付き円筒部78aは、前記ガイド筒71の小径孔74に同軸に挿入されており、前記鍔部78bは前記ガイド筒71の大径孔75内に同軸に配置される。
前記主弁体78における前記鍔部78bには、前記ハウジング28における保持部28aの第2内向き鍔部13bとは反対側の面に対向するように環状の第1ゴムシール81が埋設され、その第1ゴムシール81を着座可能とした遮断用弁座82が前記ハウジング28に形成されるものであり、ハウジング28の前記保持部28aに第1ゴムシール81を着座させるようにして環状に突出した遮断用弁座82が形成される。
ところで、第9シール部材76およびハウジング28の前記保持部28a間でガイド筒71における大径部71bの外周には環状凹部83が設けられており、この環状凹部83に通じる入口通路84が第2ボディ部材13に設けられ、高圧のガス燃料を導く管路を接続して前記入口通路84に通じさせるための接続部材85が第2ボディ部材13の側面に取付けられる。
前記ガイド筒71の大径部71bには前記環状凹部83を大径孔75に通じさせる複数の第1連通孔86が設けられ、前記ハウジング28における大径円筒部28bには前記減圧弁6の前記弁室31に通じる複数の第2連通孔87が設けられる。而して前記入口通路84、前記環状凹部83、第1連通孔86および第2連通孔87は、高圧のガス燃料を前記減圧弁6側に導く高圧通路88を構成するものであり、遮断弁7の前記主弁体78および前記遮断用弁座82は、前記高圧通路88の途中である第1および第2連通孔86,87間に介在して配置される。
前記副弁体79は、前記主弁体78に設けられる挿入部91を挿入させる有底の連結孔90を形成するようにして前記可動コア70の端部に一体に形成されており、前記挿入部91は、主弁体78の段付き円筒部78aの一部および前記端壁部78cで前記挿入部91が構成される。前記副弁体79および前記主弁体78間にはパイロット弁室92が形成され、前記入口通路84に前記環状凹部93を介して通じている第1連通孔86を前記パイロット弁室92に通じさせる第1通路93が前記ガイド筒71および前記主弁体78間に形成され、ハウジング28および前記主弁体78間には、前記弁室31に通じる第2連通孔87を前記パイロットポート80に通じさせる第2通路94が形成される。
前記連結孔90の閉塞端中央部には、第2ゴムシール95が埋設されており、前記主弁体78の前記挿入部91における前記突部78dに第2ゴムシール95が当接して前記パイロットポート80を閉じる状態(図1の状態)と、第2ゴムシール95が前記突部78dから離隔して前記パイロットポート80を開く状態とを、前記ソレノイド9の非通電および通電に応じて切り換えるようにして前記可動コア70すなわち副弁体79が作動する。
ところで第1の部材としての前記主弁体78と、第2の部材としての前記副弁体79とは、所定範囲での軸方向相対移動を可能として連結されるものであり、前記主弁体78における前記挿入部91の外周には環状の第1係止溝96が形成され、外力の作用に応じて拡縮するように弾性変形し得るC形の係止リング98が第1係止溝96に係合される。また前記副弁体79には、前記連結孔90の内周に開口する環状の第2係止溝97が前記係止リング98を係合させるようにして形成されており、この第2係止溝97は、前記主弁体78および前記副弁体79の所定範囲での軸方向相対移動を可能とするために軸方向に長く形成される。
このような主弁体78および副弁体79の連結構造は、詳細には説明しないが、前記減圧弁6における保持プレート41およびダイヤフラムロッド38の連結構造と同様に構成される。
しかも前記ソレノイド9が非通電状態にあって非作動状態にある前記副弁体79が図1で示すように前記パイロットポート80を閉じた状態では、前記主弁体78および前記副弁体79の移動方向に沿う隙間を第2係止溝97の軸方向両側側面のうち前記副弁体79の開放端側の側面および前記係止リング98間に生じているが、前記ソレノイド9が通電状態にあって前記パイロットポート80を開く側に前記副弁体79が移動したときには、前記パイロットポート80が開いた後で、前記第2係止溝97の軸方向両側側面のうち前記副弁体79の開放端側の側面が前記係止リング98に係合して前記主弁体78が開弁位置側に駆動される。
このような遮断弁7では、エンジンの停止時にはソレノイド9を非通電状態とすることによって可動コア70が主弁体78側に移動し、図2で示すように、主弁体78の第1ゴムシール81が遮断用弁座82に着座して第1および第2連通孔86,87間が遮断されるとともに、副弁体79の第2ゴムシール95が突部78dに当接してパイロットポート80を閉じることでパイロット弁室92および第2通路94間も遮断され、高圧のガス燃料の弁室31側への供給が停止される。
一方、エンジンの運転開始時にソレノイド9を通電状態とすると、先ず可動コア70が、パイロットポート80を形成する突部78dから副弁体79の第2ゴムシール95を離隔させ方向に移動し、第2連通孔87を介して弁室31に通じている第2通路94がパイロットポート80を介してパイロット弁室92に連通することになる。これにより、入口通路84から環状凹部83、第1連通孔86、第1通路93およびパイロット弁室92を経てパイロットポート80に高圧のガス燃料が徐々に流れることになる。この結果、主弁体78に両側から作用している圧力の差が小さくなる。
前記ソレノイド9の駆動力が前記主弁体78に作用している差圧に基づく閉弁方向の力に打ち勝ったときに、前記副弁体79を前記リング98に係合することで前記主弁体78に連結される副弁体79すなわち可動コア70がさらに移動して、主弁体78の第1ゴムシール81が遮断用弁座82から離座し、高圧通路88から弁室31側にガス燃料が流れることになる。
次にこの実施の形態の作用について説明すると、ダイヤフラム8の作動に伴う減圧用弁体10の移動によって開閉する減圧弁6の一部を構成して前記減圧用弁体10側に連結される保持プレート41の外周に第1係止溝47が形成され、前記保持プレート41を挿入可能とした連結孔40を有するとともにその連結孔40の内周に開口する第2係止溝48が設けられるようにして前記ダイヤフラム8側に連結されるダイヤフラムロッド38と、前記保持プレート41とが断面形状を円形としつつ略C字状に形成されるとともに第1および第2係止溝47,48に係合する係止リング49を介して連結されるのであるが、無負荷状態での前記係止リング49の内径αが前記第1係止溝47に隣接する部位での前記保持プレート41の外径A,B未満に設定され、第1係止溝47に前記係止リング49が係合された状態の前記保持プレート41を前記連結孔40に挿入する際に、前記係止リング49を縮径しつつ第2係止溝48側にガイドする縮径ガイド孔部40bが、前記連結孔40の一部を構成しつつ前記保持プレート41の前記連結孔40への挿入方向43に沿って前記第2係止溝48の手前側に隣接配置され、前記第1係止溝47に前記挿入方向43に沿う後方側で隣接する部位の保持プレート41の外径すなわち大径部41aの外径Aが、前記第1係止溝47に前記挿入方向43に沿う前方側で隣接する部位の前記保持プレート41の外径すなわち小径部41bの外径Bよりも大きく設定される。
したがって保持プレート41を連結孔40に挿入する際に係止リング49には挿入方向43に沿う後方側に向けての力が作用するが、その際の係止リング49の第1係止溝47への係合量を大きくすることができ、保持プレート41およびダイヤフラムロッド38を連結するにあたって係止リング49の第1係止溝47からの脱落を抑止することができる。しかも係止リング49を拡径して第1係止溝47に係合する際に、前記挿入方向43に沿う第1係止溝の前方側で保持プレート41の一部を構成する小径部41bの外径Bが比較的小さく設定されているので、その外径Bの比較的小さな小径部41b側から保持プレート41に係止リング49を被せるようにして係止リング49の拡径量を比較的小さく抑えることができ、それによって係止リング49を保持プレート41に拡径して組付ける際の力を小さくし、組付け性の向上を図ることができる。また係止リング49の変形量を抑えることによって係止リング49の塑性変形による係合不良が発生することを防止することができる。この結果、減圧弁6のダイヤフラム8および減圧用弁体10間の連結構造の組立性および信頼性を高めることができる。
また前記連結孔40は、前記縮径ガイド孔部40bと、該縮径ガイド孔部40bの前記第2係止溝48とは反対側の端部に小径端が連なるようにして前記挿入方向43に沿う後方側に向けて拡径するテーパ状のガイド孔部40aとを備え、前記係止リング49が第1係止溝47に係合された状態の前記保持プレート41を前記連結孔40に同芯に挿入する際に、前記係止リング49が前記ガイド孔部40aに接触する前に無負荷状態の前記係止リング49の中心軸線C3が前記保持プレート41および前記連結孔40の中心軸線C1,C2から最大にずれた状態で、前記連結孔40の中心軸線C2に直交する平面への投影図上で、前記ガイド孔部40a内に前記係止リング49の円形断面の中心Cが在るように前記ガイド孔部40aの大径端開口部が形成されるので、係止リング49は、ガイド孔部40aに確実に接触して縮径ガイド孔部40b側に導かれる際にガイド孔部40a内で調芯されることになり、第1係止溝47から脱落するがことはない。
また第1係止溝47の前記挿入方向43に沿う後方側の端面47aが前記保持プレート41の中心軸線C1に対して直交する平面に沿うように形成され、無負荷状態での前記係止リング49の円形断面の中心Cが配置される仮想円の直径βが、前記保持プレート41のうち前記第1係止溝47に前記挿入方向43に沿う後方側で隣接する部位の外径すなわち大径部41aの外径Aよりも小さく設定されるので、第1係止溝47に係止リング49が係合された状態の保持プレート41を連結孔40に挿入する際に、係止リング49が保持プレート41と同芯であれば第1係止溝47の前記端面47aが係止リング49に確実に接触し、係止リング49の前記挿入方向43と反対方向の移動が規制され、係止リング49の第1係止溝47からの脱落が阻止されることになる。
またパイロットポート80を有する主弁体78と、その主弁体78との所定範囲での相対移動によって前記パイロットポート80を開閉するようにして前記主弁体78とともにパイロット機能付きの遮断弁7の一部を構成する副弁体79とが、前記減圧弁6における保持プレート41およびダイヤフラムロッド38の連結構造と同様の連結構造で連結されるので、パイロット機能付きの遮断弁7における主弁体78および副弁体79間の連結構造の組立性および信頼性を高めることができる。
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明を逸脱することなく種々の設計変更を行うことが可能である。