JP2015174944A - 水性ボールペン用インク組成物 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】ポリオキシプロピレンアルキルエーテルのリン酸モノエステルとポリオキシプロピレンアルキルエーテルのリン酸ジエステルの少なくとも1種を含有することを特徴とする水性ボールペン用インク組成物。
【選択図】なし
Description
例えば、染料3〜10重量%、保湿湿潤剤10〜40重量%、架橋型アクリル酸重合体からなるチクソトロピック性付与剤0.6〜1.0重量%、リン酸エステル系界面活性剤などの防錆潤滑剤0.2〜2.0重量%、水残部とからなるペン体に直接供給する水性ボールペン用インク(例えば、特許文献1参照)や、必須成分として、水、及び着色剤として着色顔料を含み、さらにポリオキシエチレンアルキルエーテルのリン酸モノエステルのアルカリ金属塩などのリン酸エステルと平均分子量200〜1000のポリエチレングリコールを含有してなるボールペン用水性インク組成物(例えば、特許文献2参照)などが知られている。
上記の課題等は、樹脂粒子を塩基性染料で染着した色材(蛍光顔料)を用いたインクにおいて発生しやすいことがわかっている。
なお、本発明において、上記nが5〜20の範囲外や、RがCH3〜C5H11までのアルキル基の範囲外では、十分な発明の効果が得られず、好ましくない。
上記式(I)及び(II)で示されるリン酸エステルは、既知の方法において製造することができ、例えば、一般式R−〔−O−CH(CH)3−CH2−〕n−OHのアルコールをリン酸または五酸化リンによってエステル化することにより製造することができる。
また、エステル化の過程において形成された水を結合することができるポリリン酸を使用することも可能である。この製造方法では、一般的に、モノエステルとジエステルの混合物が生成され、その一方で、トリエステルは一般的に形成されない。
この含有量が0.01質量%未満では、本発明の効果を発揮することができず、一方、5質量%を越えると、不溶解物が発生することがあり、好ましくない。
染料としては、例えば、エオシン、フオキシン、ウォーターイエロー#6−C、アシッドレッド、ウォーターブルー#105、ブリリアントブルーFCF、ニグロシンNB等の酸性染料;ダイレクトブラック154、ダイレクトスカイブルー5B、バイオレットB00B等の直接染料;ローダミン、メチルバイオレット等の塩基性染料などが挙げられる。
これらの色材は、単独で、又は2種以上を混合して用いることができる。
これらの色材の含有量は、水性ボールペン用インク組成物全量に対して、0.1〜40質量%に範囲で適宜調整することが可能である。
これらの水溶性有機溶剤の含有量は、水性ボールペン用インク組成物全量に対して、好ましくは、3〜30質量%とすることが望ましい。
潤滑剤としては、顔料の表面処理剤にも用いられる多価アルコールの脂肪酸エステル、糖の高級脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレン高級脂肪酸エステル、アルキル燐酸エステルなどのノニオン系や、リン酸エステル、高級脂肪酸アミドのアルキルスルホン酸塩、アルキルアリルスルホン酸塩などのアニオン系、ポリアルキレングリコールの誘導体やフッ素系界面活性剤、ポリエーテル変性シリコーンなどが挙げられる。
また、防錆剤としては、ベンゾトリアゾール、トリルトリアゾール、ジシクロへキシルアンモニウムナイトライト、サポニン類など、防腐剤もしくは防菌剤としては、フェノール、ナトリウムオマジン、安息香酸ナトリウム、ベンズイミダゾール系化合物などが挙げられる。
pH調整剤としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム等のアルカリ金属の水酸化物、トリエタノールアミン、ジエタノールアミン、モノエタノールアミン、ジメチルエタノールアミン、モルホリン、トリエチルアミン等のアミン化合物、アンモニア等が挙げられる。
用いることができる水性ボールペンは、上記組成となる水性ボールペン用インク組成物を搭載したものであり、好ましくは、金属ボール等を回転自在に抱持したボールペンチップを直接又は中継部材を介して挿着したパイプ又はパイプ形状の成形物等からなるインク収容管内に上記特性のインク組成物を充填し、かつ、該インク組成物後端面にインク追従体を配設してなる構成となるものが望ましい。インク追従体としては、インク収容管内に収容された水性ボールペン用インク組成物とは相溶性がなく、かつ、該水性ボールペン用インク組成物に対して比重が小さい物質、例えば、ポリブテン、シリコーンオイル、鉱油等が挙げられる。
なお、ボールペンの構造は、特に限定されず、例えば、軸筒自体をインク収容体として該軸筒内に上記構成の水性ボールペン用インク組成物を充填したコレクター構造(インキ保持機構)を備えた直液式のボールペンであってもよいものである。
下記に示す各リン酸エステル1〜3を用いると共に、下記表1に示す配合処方にしたがって、常法により各水性ボールペン用インク組成物を調製した。
得られた各水性ボールペン用インク組成物(全量100質量%)について、下記方法により水性ボールペンを作製し、下記腐食試験、摩耗試験を行い評価した。
これらの結果を下記表1に示す。
1) 実施例1及び6で用いたリン酸エステル1は、上記式(I)、(II)中のRがメチル基であり、n=18であるリン酸ポリオキシアルキレンエステルのモノエステル、ジエステルの混合物である。
2) 実施例2、4、5及び7で用いたリン酸エステル2は、上記式(I)、(II)中のRがエチル基であり、n=13であるリン酸ポリオキシアルキレンエステルのモノエステル、ジエステルの混合物である。
3) 実施例3及び8で用いたリン酸エステル3は、上記式(I)、(II)中のRがn−プロピル基であり、n=7であるリン酸ポリオキシアルキレンエステルのモノエステル、ジエステルの混合物である。
4) 比較例1及び4のリン酸エステルは、プライサーフA208F〔ポリオキシエチレンアルキル(C8)エーテルリン酸エステル、HLB:8.7、第一工業製薬社製〕を用いた。
5) 比較例2及び3のリン酸エステルは、プライサーフA219B〔ポリオキシエチレンラウリルエーテルリン酸エステル、HLB:16.2、第一工業製薬社製〕を用いた。
ボールペン〔三菱鉛筆株式会社製、商品名:シグノUM−151〕の軸を使用し、内径3.8mm、長さ113mmのポリプロピレン製インク収容管とボールペンチップ(ホルダー:ステンレス製、ボール:超硬合金ボール、ボール径0.7mm)及び該収容管と該チップを連結する継手からなるリフィールに上記各インクを充填し、インク後端にポリブテンからなるインク追従体を充填し、遠心処理(500G、5分)にて脱泡し、水性ボールペン(各5本)を作製した。
上記のようにして作製したボールペンを50℃、80%の恒温槽中に放置した。3ヶ月後、恒温槽からボールペンを取り出し、室温で1日放置した。次いで、この室温で1日放置したボールペンについて、ボール表面の観察行い、下記評価基準で評価した。
評価基準:
〇:良好な金属光沢を有し、全く腐食は見られない。
△:金属光沢は弱くなっていて、わずかに腐食が見られる。
△△:金属光沢は更に弱くなっていて、一部に腐食が見られる。
×:金属光沢はなく、金属表面全体に腐食が認められる。
機械筆記試験にて1000m(終筆)螺旋筆記させ、下記評価基準にて評価した。
筆記条件:100gf、筆記角度75度、筆記速度4.5mm/min
評価基準:
○:全て問題なく筆記可能。
△:カスレあるが終筆まで筆記可能。
×:著しく摩耗し全て途中で筆記不能。
これに対して、本発明の上記式(I)及び(II)で示されるリン酸エステルを用いた実施例1〜8の組成では、比較例1〜4に見られる問題もなく、十分な潤滑性を有し、ボールの腐食や摩耗の発生がない水性ボールペン用インク組成物となることが判明した。
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