JP2015174840A - セラミド分散組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】高温条件下に保存した場合において従来に比して長期の保存が可能な経時安定性を有し、かつ化粧料等の皮膚外用剤への適用において優れたスキンケア効果を有するセラミド分散組成物を提供する。【解決手段】下記一般式(I)で表されるセラミドと、非イオン性の界面活性剤と、を含み、分散粒子の平均粒径が60nm未満であるセラミド分散組成物。一般式(I)中、R1は、総炭素数が40〜55であり炭素鎖中にエステル結合を含む直鎖又は分岐状の炭化水素基を表し、R1で表される炭化水素基は、多重結合、芳香環、及び芳香族複素環からなる群より選択される1又は2以上の部分構造を炭素鎖中に含んでもよく;R2は、水酸基を有してもよい炭素数11〜21のアルキル基、又は水酸基を有してもよい炭素数11〜21のアルケニル基を表す。【選択図】なし

Description

本発明は、セラミド分散組成物に関する。
セラミドは、皮膚の角質層に存在し、水分保持に必要な脂質バリアを構築し、水分を維持していくために重要な役割を果たしている。人間の皮膚には、種類の異なったタイプのセラミドが存在し、機能もそれぞれ異なっている。近年、セラミドのスキンケア効果を期待して、セラミドを配合した種々の組成物が開発されている。
セラミドを高濃度で安定に配合する技術としては、特定の比率のセラミド及びHLB9以上の界面活性剤と、25℃で液状の油性成分と、水とを50MPa以上の処理圧で乳化して得られた乳化組成物が知られている(例えば、特許文献1参照)。
また、特許文献2には、特定のセラミドを含有する油性成分を、水溶性有機溶媒に溶かして油相を調製し、得られた油相と水相とをマイクロ流路に別々に通過させた後、対向流衝突によって混合することにより得た、セラミドを高濃度で含有しながら分散安定性に優れたセラミド分散組成物が開示されている。
特開2006−335693号公報 特開2013−224314号公報
セラミドに期待されるスキンケア効果等の効果を十分に発揮させるためには、セラミドの皮膚への浸透性を高める必要がある。セラミドの皮膚への浸透性を考慮すると、セラミドの分散粒子の粒径は小さいことが望まれる。しかしながら、従来のセラミド分散組成物では、例えば夏場の高温になった室内又は屋外などの高温条件下に保存した場合において、セラミドを含有する分散粒子の微細粒径が維持できず、経時安定性が著しく損なわれるという問題があった。
本発明は、上記のような事情に鑑みてなされたものであり、高温条件下に保存した場合において従来に比して長期の保存が可能な経時安定性を有し、かつ化粧料等の皮膚外用剤への適用において優れたスキンケア効果を有するセラミド分散組成物を提供することを課題とする。
上記課題を解決するための具体的な手段は、以下の通りである。
<1> 下記一般式(I)で表されるセラミドと、非イオン性界面活性剤と、を含み、分散粒子の平均粒径が60nm未満であるセラミド分散組成物。
一般式(I)中、Rは、総炭素数が40〜55であり炭素鎖中にエステル結合を含む直鎖又は分岐状の炭化水素基を表し;Rで表される炭化水素基は、多重結合、芳香環、及び芳香族複素環からなる群より選択される1又は2以上の部分構造を炭素鎖中に含んでもよく;Rは、水酸基を有してもよい炭素数11〜21のアルキル基、又は水酸基を有してもよい炭素数11〜21のアルケニル基を表す。
<2> 非イオン性界面活性剤の含有量が、一般式(I)で表されるセラミドの質量に対して1倍量〜70倍量であり、更に、レシチンを非イオン性界面活性剤の質量に対して0.01倍量〜20倍量の含有量で含有する<1>に記載のセラミド分散組成物。
<3> 高圧乳化法を用いて調製された分散組成物である<1>又は<2>に記載のセラミド分散組成物。
<4> 更に、多価アルコールを含有する<1>〜<3>のいずれか1つに記載のセラミド分散組成物。
<5> 多価アルコールが、グリセリン及び少なくとも1種のジオール化合物である<4>に記載のセラミド分散組成物。
<6> 更に、コレステロールを含有する<1>〜<5>のいずれか1つに記載のセラミド分散組成物。
<7> 非イオン性界面活性剤が、ポリグリセリン脂肪酸エステルである<1>〜<6>のいずれか1つに記載のセラミド分散組成物。
<8> 25℃で液状の油性成分の含有量が1質量%以下であるか、又は、25℃で液状の油性成分を含有しない<1>〜<7>のいずれか1つに記載のセラミド分散組成物。
本発明によれば、高温条件下において従来に比して長期の保存が可能な経時安定性を有し、かつ化粧料等の皮膚外用剤への適用において優れたスキンケア効果を有するセラミド分散組成物を提供することができる。
以下、本発明の具体的な実施形態について詳細に説明するが、本発明は、以下の実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の目的の範囲内において、適宜変更を加えて実施することができる。
本明細書において「〜」を用いて示された数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値をそれぞれ最小値及び最大値として含む範囲を意味する。
本明細書において、組成物中の各成分の量は、各成分に該当する物質が組成物中に複数存在する場合には、特に断らない限り、組成物中に存在する複数の物質の合計量を意味する。
本明細書において「工程」との語は、独立した工程だけではなく、他の工程と明確に区別できない場合であってもその工程の所期の目的が達成されれば、本用語に含まれる。
本明細書において「(ポリ)グリセリン脂肪酸エステル」との表現には、グリセリン単位及び脂肪酸単位をそれぞれ1つずつ含むグリセリン脂肪酸エステル、いずれか一方を複数含むグリセリン脂肪酸エステル、いずれも複数含むグリセリン脂肪酸エステルの全てが包含され、これらのグリセリン脂肪酸エステルを区別せずに用いる場合に使用される。
[セラミド分散組成物]
本発明のセラミド分散組成物は、後記する一般式(I)で表されるセラミド(以下、適宜「特定セラミド」とも称する。)と、非イオン性の界面活性剤と、を含み、分散粒子の平均粒径が60nm未満であるセラミド分散組成物である。
本発明のセラミド分散組成物は、必要に応じて、特定セラミド及び非イオン性界面活性剤以外の他の成分を含んでもよい。
本発明における「分散粒子」は、構成要素として特定セラミドを少なくとも含有し、分散相として連続相に分散されるセラミド含有粒子である。本発明のセラミド分散組成物は、特定セラミドを含有する分散粒子が分散相として連続相中に分散された形態をとる。
本発明のセラミド分散組成物は、特定セラミドと非イオン性界面活性剤とを組み合わせて含有し、分散粒子の平均粒径を60nm未満とすることで、高温条件下においても長期の保存が可能な経時安定性を有し、かつ化粧料等の皮膚外用剤への適用において優れたスキンケア効果を有する。
ここで、本発明においてセラミド分散組成物を「高温条件下」に保存するとは、温度条件が40℃〜60℃となる雰囲気下にセラミド分散組成物を保存することを意味する。
本発明おいて「経時安定性」とは、セラミド分散組成物に含まれる分散粒子の粒径の経時的な変動が小さいことを意味する。
本発明のセラミド分散組成物の経時安定性は、調製直後の分散粒子の粒径と、所定期間保管した後(例えば、製品として市場に流通している状態、又は50℃の恒温槽で90日間保管したとき)の分散粒子の粒径との差を比較することにより評価できる。例えば、この粒径の差は、50nm以下であることが好ましく、より好ましくは30nm以下であり、更に好ましくは10nm以下である。
通常、セラミド分散組成物においては、分散粒子の平均粒径が小さくなるに従い、高温条件下における経時安定性は低下する傾向にある。しかしながら、本発明のセラミド分散組成物においては、所定の成分を組み合わせ、かつ分散粒子の平均粒径が60nm未満であることで高温条件下における経時安定性が向上する。更に、本発明のセラミド分散組成物においては、分散粒子の平均粒径が小さいほど経時安定性が飛躍的に向上するという顕著な効果を有する。
以下、本発明のセラミド分散組成物について詳細に説明する。
(特定セラミド)
本発明のセラミド分散組成物が含有する特定セラミドは、下記一般式(I)で表されるセラミドである。

(一般式(I)中、R及びRは、前記と同義である。)
以下、一般式(I)について説明する。
で表される炭化水素基の総炭素数は40〜55であり、42〜52が好ましく、45〜48がより好ましい。
で表される炭化水素基が炭素鎖中に含むエステル結合の数は1つ又は2つ以上であってよく、1つであることがより好ましい。
で表される炭化水素基が炭素鎖中に含んでもよい多重結合としては、炭素−炭素二重結結合又は炭素−炭素三重結合が挙げられ、炭素−炭素二重結合が好ましい。
で表される炭化水素基が炭素鎖中に含んでもよい芳香環としては、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環等が挙げられる。
で表される炭化水素基が炭素鎖中に含んでもよい芳香族複素環としては、ピリジン環、ピラジン環等が挙げられる。
で表される炭化水素基は、炭素数25〜30の飽和又は不飽和の炭化水素基が1つのエステル結合を介して16〜18の飽和又は不飽和の炭化水素と連結している構造であってもよい。
で表される好適な炭化水素基としては、総炭素数が40〜55であり、直鎖状のω−ヒドロキシ直鎖飽和脂肪酸のω末端に、リノール酸、ステアリン酸等の直鎖状の脂肪酸がエステル結合した構造を有する炭化水素基が挙げられる。
で表される炭化水素基は、置換基を更に有してもよく、置換基の例としては、カルボニル基、オキシ基、アミド基等が挙げられる。
以下に、Rの具体例を示すがこれに限定されない。

で表されるアルキル基が有する炭素数は11〜21であり、13〜21が好ましく、14〜20がより好ましい。Rで表されるアルキル基は直鎖又は分岐状であってよく、直鎖であることが好ましい。
で表されるアルケニル基が有する炭素数は11〜21であり、13〜21が好ましく、14〜20がより好ましい。Rで表されるアルケニル基は直鎖又は分岐状であってよく、直鎖であることが好ましい。
で表されるアルキル基又はアルケニル基は1つ又は2つ以上の水酸基を有してもよく、1つ又は2つの水酸基を有することが好ましい。
一般式(I)におけるR及びRの好適な組み合わせとしては、上記したR及びRの好適な態様の組み合わせが含まれる。
以下に、R2の具体例を示すがこれらに限定されない。

特定セラミドはアシルセラミドとして知られる天然型セラミドを含む。
本明細書において「天然型セラミド」とは、ヒトの皮膚の角質層に存在するものと同じ構造を有するセラミドのことを意味する。
天然型セラミドは、天然物(抽出物)、微生物発酵法で得られたものであってもよく、合成物又は動物由来のものであってもよい。
本発明における特定セラミドとしては、必要に応じて非天然型セラミドを併用してもよい。なお、本発明のセラミド分散組成物を、皮膚のエモリエント等の目的に使用する場合には、バリア効果の観点から、非天然型セラミドに比べて天然型セラミドをより多く用いることが好ましい。
本発明における特定セラミドとして使用できる天然型セラミドとしては、Ceramide 1、Ceramide 4、Ceramide 9等を挙げることができる。
このような天然型セラミドは、市販品としても入手可能であり、例えば、Ceramide I、Ceramide EOP27、Ceramide EOS27(以上、いずれも商品名、Evonik社製)等が挙げられる。
以下に、特定セラミドの具体例を挙げるが、本発明はこれらの例に限定されない。


本発明のセラミド分散組成物は、特定セラミドを1種単独で又は2種以上組み合わせて含んでもよい。
本発明のセラミド分散組成物は、本発明の効果を損ねない範囲において、特定セラミド以外の他のセラミドを併用してもよい。
特定セラミドの含有量としては、セラミド分散組成物を皮膚外用剤へ適用した場合におけるセラミドの経皮からの効率的な吸収、及びセラミドに起因するスキンケア効果の発現の観点から、分散粒子に含まれる成分の全質量に対して、0.1質量%〜80質量%であることが好ましく、1質量%〜50質量%であることがより好ましく、2質量%〜30質量%であることが更に好ましい。
また、セラミド分散組成物における特定セラミドの含有量は、皮膚外用剤へ適用した場合におけるスキンケア効果の発現の観点から、セラミド分散組成物の全質量に対して、0.00001質量%〜10質量%であることが好ましく、0.00003質量%〜5質量%であることがより好ましく、0.0001質量%〜1質量%であることが更に好ましい。
(非イオン性界面活性剤)
本発明のセラミド分散組成物は、非イオン性界面活性剤を含有する。
本発明における非イオン性界面活性剤としては、特に限定されず、公知のものを用いることができる。非イオン性界面活性剤の例としては、グリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、有機酸モノグリセリド、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル等が挙げられる。なお、これらの非イオン性界面活性剤は、蒸留等で高度に精製されたものである必要はなく、反応混合物であってもよい。
上記の例の中でも、非イオン性界面活性剤は、分散粒子の微細化及び分散安定性の観点からポリグリセリン酸脂肪酸エステルであることが好ましく、特にHLBが10以上16以下のポリグリセリン脂肪酸エステルであることがより好ましい。ポリグリセリン脂肪酸エステルは、分散相/連続相の界面張力を大きく下げることができ、その結果、分散粒子の粒径をより微細化することができる点で好ましい。
ここで、HLBは、通常、界面活性剤の分野で使用される親水性−疎水性のバランスを示すもので、通常用いる計算式、例えば川上式等を使用して計算することができる。本発明においては、下記の川上式を採用する。
HLB=7+11.7log(Mw/Mo)
ここで、Mwは親水基の分子量、Moは疎水基の分子量である。
また、カタログ等に記載されているHLBの数値を採用してもよい。また、上記の式からも分かるように、HLBの加成性を利用して、任意のHLB値の界面活性剤を得ることができる。
ポリグリセリン脂肪酸エステルとしては、その少なくとも一つが、平均重合度が10のポリグリセリンと、炭素数8〜18の脂肪酸、例えば、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、又はリノール酸とのエステルであることが好ましい。
このようなポリグリセリン脂肪酸エステルのより好ましい例としては、ヘキサグリセリンモノオレイン酸エステル、ヘキサグリセリンモノパルミチン酸エステル、ヘキサグリセリンモノミリスチン酸エステル、ヘキサグリセリンモノラウリン酸エステル、デカグリセリンモノオレイン酸エステル、デカグリセリンモノステアリン酸エステル、デカグリセリンモノパルミチン酸エステル、デカグリセリンモノミリスチン酸エステル、デカグリセリンモノラウリン酸エステル等が挙げられる。これらのHLBは、いずれも10以上16以下である。
ポリグリセリン脂肪酸エステルの中でも、更に好ましくは、デカグリセリンモノリノール酸エステル(HLB=12)、デカグリセリンモノオレイン酸エステル(HLB=12)、デカグリセリンモノステアリン酸エステル(HLB=12)、デカグリセリンモノパルミチン酸エステル(HLB=13)、デカグリセリンモノミリスチン酸エステル(HLB=14)、及びデカグリセリンモノラウリン酸エステル(HLB=16)からなる群より選択される少なくとも1種であり、特に好ましくは、デカグリセリンモノミリスチン酸エステルである。
ポリグリセリン脂肪酸エステルとしては、HLBが10以上16以下のポリグリセリン脂肪酸エステルから選択される1種と、それとは分子構造の異なるHLBが5以上15以下のポリグリセリン脂肪酸エステルから選択される1種以上とを組み合わせて用いてもよい。なお、HLBが5以上15以下のポリグリセリン脂肪酸エステルとしては、上述したポリグリセリン脂肪酸エステルに包含されるポリグリセリン脂肪酸エステルあってもよいし、それ以外のポリグリセリン脂肪酸エステルであってもよい。
ポリグリセリン脂肪酸エステルとしては、市販品を使用することもできる。
ポリグリセリン脂肪酸エステルの市販品としては、例えば、日光ケミカルズ(株)製のNIKKOL DGMS、NIKKOL DGMO−CV、NIKKOL DGMO−90V、NIKKOL DGDO、NIKKOL DGMIS、NIKKOL DGTIS、NIKKOL Tetraglyn 1−SV、NIKKOL Tetraglyn 1−O、NIKKOL Tetraglyn 3−S、NIKKOL Tetraglyn 5−S、NIKKOL Tetraglyn 5−O、NIKKOL Hexaglyn 1−L、NIKKOL Hexaglyn 1−M、NIKKOL Hexaglyn 1−SV、NIKKOL Hexaglyn 1−O、NIKKOL Hexaglyn 3−S、NIKKOL Hexaglyn 4−B、NIKKOL Hexaglyn 5−S、NIKKOL Hexaglyn 5−O、NIKKOL Hexaglyn PR−15、NIKKOL Decaglyn 1−L、NIKKOL Decaglyn 1−M、NIKKOL Decaglyn 1−SV、NIKKOL Decaglyn 1−50SV、NIKKOL Decaglyn 1−ISV、NIKKOL Decaglyn 1−O、NIKKOL Decaglyn 1−OV、NIKKOL Decaglyn 1−LN、NIKKOL Decaglyn 2−SV、NIKKOL Decaglyn 2−ISV、NIKKOL Decaglyn 3−SV、NIKKOL Decaglyn 3−OV、NIKKOL Decaglyn 5−SV、NIKKOL Decaglyn 5−HS、NIKKOL Decaglyn 5−IS、NIKKOL Decaglyn 5−OV、NIKKOL Decaglyn 5−O−R、NIKKOL Decaglyn 7−S、NIKKOL Decaglyn 7−O、NIKKOL Decaglyn 10−SV、NIKKOL Decaglyn 10−IS、NIKKOL Decaglyn 10−OV、NIKKOL Decaglyn 10−MAC、NIKKOL Decaglyn PR−20等;三菱化学フーズ(株)製のリョートーポリグリエステル L−7D、L−10D、M−10D、P−8D、SWA−10D、SWA−15D、SWA−20D、S−24D、S−28D、O−15D、O−50D、B−70D、B−100D、ER−60D、LOP−120DP、DS13W、DS3、HS11、HS9、TS4、TS2、DL15、DO13等;太陽化学(株)製のサンソフトQ−17UL、サンソフトQ−14S、サンソフトA−141C等;理研ビタミン(株)製のポエムDO−100、ポエムJ−0021等が挙げられる。
上記の中でも、ポリグリセリン脂肪酸エステルの好ましい市販品は、NIKKOL Decaglyn 1−L、NIKKOL Decaglyn 1−M、NIKKOL Decaglyn 1−SV、NIKKOL Decaglyn 1−50SV、NIKKOL Decaglyn 1−ISV、NIKKOL Decaglyn 1−O、NIKKOL Decaglyn 1−OV、NIKKOL Decaglyn 1−LN、リョートーポリグリエステル L−7D、L−10D、M−10D、P−8D、SWA−10D、SWA−15D、SWA−20D、S−24D、S−28D、O−15D、O−50D、B−70D、B−100D、ER−60D、及びLOP−120DPである。
本発明のセラミド分散組成物は、非イオン性界面活性剤を1種単独又は2種以上組み合わせて含んでもよい。
本発明のセラミド分散組成物における非イオン性界面活性剤の含有量は、分散粒子の微細化、及びセラミド分散組成物を皮膚外用剤に適用した際におけるスキンケア効果の観点から、特定セラミドの質量に対して、好ましくは1倍量〜70倍量であり、より好ましくは3倍量〜40倍量であり、更に好ましくは5倍量〜20倍量である。
(レシチン)
本発明のセラミド分散組成物は、更にレシチンを含有することが好ましい。
本発明のセラミド分散組成物は、非イオン性界面活性剤とレシチンとを含有することにより、より微細な分散粒子を含み、かつ、皮膚外用剤へ適用した場合により優れたスキンケア効果を奏することができる。
レシチンは、分子内に親水基と疎水基とを有しているため、従来から、食品、医薬品及び化粧品等の分野で、広く乳化剤として使用されている。
産業的には、レシチン純度60%以上のものがレシチンとして利用されており、本発明の製造方法においても、このようなレシチンを用いることができる。より微細な分散粒子を形成する観点から、レシチンとしては、一般に高純度レシチンと称される、レシチン純度が80%以上のものが好ましく、90%以上のものがより好ましい。
レシチンとしては、植物、動物又は微生物の生体から抽出分離された公知の各種レシチンを挙げることができる。
このようなレシチンの具体例としては、大豆、トウモロコシ、落花生、ナタネ、麦等の植物、卵黄、牛等の動物、及び大腸菌等の微生物などに由来する各種レシチンを挙げることができる。
このようなレシチンを化合物名で例示すると、ホスファチジン酸、ホスファチジルグリセリン、ホスファチジルイノシトール、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルメチルエタノールアミン、ホスファチジルコリン、ホスファチジルセリン、ビスホスファチジン酸、ジホスファチジルグリセリン(カルジオリピン)等のグリセロレシチン;スフィンゴミエリン等のスフィンゴレシチンなどが挙げられる。
また、本発明の製造方法においては、上記の高純度レシチン以外にも、水素添加レシチン、酵素分解レシチン、酵素分解水素添加レシチン、ヒドロキシレシチン等を用いることができる。本発明の製造方法で用いることができるこれらのレシチンは、単独又は複数種の混合物の形態で用いることができる。
本発明のセラミド分散組成物におけるレシチンの含有量は、分散粒子の微細化及びセラミド分散組成物を皮膚外用剤に適用した際におけるスキンケア効果の観点から、非イオン性界面活性剤の質量に対して、好ましくは0.01倍量〜20倍量であり、より好ましくは0.1倍量〜10倍量であり、更に好ましくは0.4倍量〜5倍量である。
本発明のセラミド分散組成物としては、非イオン性界面活性剤を、特定セラミドの質量に対して、好ましくは1倍量〜70倍量、より好ましくは3倍量〜40倍量、更に好ましくは5倍量〜20倍量の含有量で含有し、かつ、レシチンを非イオン性界面活性剤の質量に対して、好ましくは0.01倍量〜20倍量、より好ましくは0.1倍量〜10倍量、更に好ましくは0.4倍量〜5倍量の含有量で含有することが好ましい。
本発明のセラミド分散組成物においては、非イオン性界面活性剤及びレシチンの双方を上記範囲で含有することにより、分散粒子の微細化及びセラミド分散組成物を皮膚外用剤に適用した際におけるスキンケア効果の双方を顕著に向上させることができる。
(多価アルコール)
本発明のセラミド分散組成物は、更に多価アルコールを含有してもよい。
本発明における多価アルコールとしては、二価以上のアルコールであれば特に限定されず、公知のものを用いることができる。
多価アルコールの例としては、グリセリン、ジグリセリン、トリグリセリン、ポリグリセリン、ジオール化合物(例えば、1,3−ブチレングリコール(1,3−BG)、イソプレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,2−ペンタンジオール、1,2−ヘキサンジオール、ジプロピレングリコール、3−メチル−1,3−ブタンジオール等)、マルチトール、還元水あめ、蔗糖、ラクチトール、パラチニット、エリスリトール、ソルビトール、マンニトール、キシリトール、キシロース、グルコース、ラクトース、マンノース、マルトース、ガラクトース、フルクトース、イノシトール、ペンタエリスリトール、マルトトリオース、ソルビタン、トレハロース、澱粉分解糖、澱粉分解糖還元アルコール等が挙げられる。
上記の例の中でも、多価アルコールとしては、分散粒子の微細化及びスキンケア効果の向上の観点から、グリセリン及びジオール化合物からなる群より選択される少なくとも1種であることが好ましく、グリセリン及び少なくとも1種のジオール化合物であることがより好ましい。特に、多価アルコールとして、グリセリンと少なくとも1種のジオール化合物とを併用すると、より微細な分散粒子を含み、スキンケア効果が顕著に優れるセラミド分散組成物とすることができる。
なお、本発明において「ジオール化合物」とは、分子内にヒドロキシ基を2個含有する化合物を意味する。
グリセリン及び少なくとも1種のジオール化合物を含有する場合におけるグリセリンとのジオール化合物の含有比(グリセリン量:ジオール化合物の総量)としては、分散物の経時安定性の観点から、質量基準で、100:1〜1:1が好ましく、75:1〜5:1より好ましく、50:1〜10:1が更に好ましい。
ジオール化合物としては、分散粒子の微細化と経時安定性の観点から、1,3−ブチレングリコール、ジプロピレングリコール、1,4−ブチレングリコール、ジエチレングリコール、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,2−ペンタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,4−ペンタンジオール、2,4−ペンタンジオール、1,2、1,2−ヘキサンジオール、及び1,6−ヘキサンジオールからなる群より選択される少なくとも1種であることが好ましく、1,3−ブチレングリコール及びジプロピレングリコールからなる群より選択される少なくとも1種であることがより好ましく、1,3−ブチレングリコールが更に好ましい。
本発明のセラミド分散組成物における多価アルコールの含有量は、分散粒子の微細化と経時安定性の観点から、セラミド分散組成物全質量に対して、1質量%〜70質量%であることが好ましく、5質量%〜65質量%であることがより好ましく、10質量%〜60質量%であることが更に好ましい。
(コレステロール)
本発明のセラミド分散組成物は、更にコレステロールを含有してもよい。
コレステロールの含有は、本発明のセラミド分散組成物を皮膚外用剤に適用した際においてスキンケア効果が更に向上するため好ましい。
コレステロールとしては、ラノリンの主成分として抽出により得られる粗コレステロールを精製したものを好ましく適用しうる。コレステロールとしては市販品を用いてもよく、市販品の例としては、日本精化(株)製の「コレステロールJSQI」、クローダジャパン(株)製の「コレステロール」等が挙げられる。
本発明のセラミド分散組成物におけるコレステロールの含有量は、コレステロールを含有することで期待される効果を考慮して適宜設定しうる。コレステロールの含有量としては、セラミド分散組成物全質量に対して、0.00001質量%〜10質量%であることが好ましく、0.00003質量%〜5質量%であることがより好ましく、0.0001質量%〜1質量%であることが更に好ましい。
(水)
本発明のセラミド分散組成物は、特定セラミドを含有する分散粒子が分散相として連続相中に分散された形態をとることが好ましい。連続相は水又は水を含む組成物であることが好ましい。
本発明における水としては、純水、イオン交換水等の不純物が少ない水であることが好ましい。
本発明において「水を含む組成物」とは、組成物中に水が含まれていればよいことを意味する。組成物中に含まれる水以外の成分としては、特に限定されるものではなく、例えば、分散組成物において、連続相に通常添加され得る水溶性の公知の成分が挙げられる。
(他の成分)
本発明のセラミド分散組成物は、本発明の効果を損なわない範囲において、必要に応じて、上述した成分以外の他の成分を用いることができる。
他の成分としては、例えば、分散組成物において通常添加され得る成分、得られるセラミド分散組成物の用途に応じて必要とされる成分等が挙げられる。
セラミド分散組成物を皮膚外用剤として適用する場合の他の成分としては、例えば、種々の薬効成分、防腐剤、殺菌剤、着色剤、メントール、カンファー等の清涼剤、植物エキス、pH緩衝剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、紫外線散乱剤、香料等が挙げられる。
(25℃で液状の油性成分)
本発明のセラミド分散組成物は、25℃で液状の油性成分の含有量が1質量%以下であるか、又は、25℃で液状の油性成分を含有しないことが好ましく、25℃で液状の油性成分を含有しないことがより好ましい。
本発明のセラミド分散組成物においては、25℃で液状の油性成分の含有量が1質量%以下であるか、又は、25℃で液状の油性成分を含有しないことによて、より微細な分散粒子を含み、且つ、皮膚外用剤へ適用した場合により優れたスキンケア効果を奏するセラミド分散組成物を得ることができる。
本発明において「25℃で液状」とは、融点又は軟化点が25℃未満であることを意味する。また、本発明において「油性成分」とは、25℃における水への溶解度が0.1%未満であり、化粧品、医薬品、食品等の分野で一般に油性成分として使用される成分を意味する。
25℃で液状の油性成分としては、具体的には、スクワラン、流動パラフィン等の炭化水素油;ジメチルポリシロキサン、ジメチルシクロポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、メチルハイドロジェンポリシロキサン、高級アルコール変性オルガノポリシロキサン等のシリコーン油;フルオロポリエーテル、パーフルオロアルキルエーテルシリコーン等のフッ素油;オリーブ油、ホホバ油等の植物油;液状ラノリン等の動物油;リンゴ酸ジイソステアリル、乳酸オクチルドデシル、イソノナン酸イソトリデシル、イソステアリン酸イソプロピル、ミリスチン酸オクチルドデシル等の脂肪酸エステル;ジカプリン酸ネオペンチルグリコール等の脂肪酸と多価アルコールとからなるエステル油;グリセリン誘導体、アミノ酸誘導体等のエステル油などが挙げられる。
(分散粒子の粒径)
本発明のセラミド分散組成物に含まれる分散粒子の平均粒径は60nm未満である。分散粒子の平均粒径としては、経時安定性及びスキンケア効果の観点から、好ましくは40nm未満であり、より好ましくは30nm未満であり、更に好ましくは20nm未満である。分散粒子の平均粒径の下限値としては、特に制限はないが、例えば、1nm以上とすることができる。
本発明における分散粒子の平均粒径とは、セラミド分散組成物中に存在する分散粒子(セラミド含有粒子)の体積平均粒径を意味する。
分散粒子の体積平均粒径は、精度と測定の簡便さの観点から、動的光散乱法を用いて測定できる。
動的光散乱法を用いた市販の測定装置としては、動的光散乱式ナノトラック粒度分析計UPA(日機装(株)製)、動的光散乱式粒径分布測定装置LB−550((株)堀場製作所製)、濃厚系粒径アナライザーFPAR−1000(大塚電子(株)製)等が挙げられる。
本明細書において、分散粒子の体積平均粒径は、動的光散乱式ナノトラック粒度分析計UPA(日機装(株)製)を用いて測定した値であり、具体的には、以下のように測定する。本発明における分散粒子の平均粒径は、他の分析計を用いて測定することもできる。
分散粒子の体積平均粒径は、本発明のセラミド分散組成物から分取した試料に含まれるセラミドの濃度が0.03質量%になるように純水で希釈し、石英セルを用いて測定する。体積平均粒径は、試料屈折率として1.600、分散媒屈折率として1.333(純水)、分散媒の粘度として純水の粘度を設定した場合の体積平均粒径(Mv)として求めることができる。
なお、分散粒子の平均粒径は、組成物の成分以外に、製造方法における攪拌条件(せん断力、温度又は圧力)、油相と水相比率等の要因によって調整することができる。
分散粒子の微細化の観点からは、本発明のセラミド分散組成物は、高圧乳化法を用いて調製される分散組成物であることが好ましい。
高圧乳化法に関する事項、及び、本発明のセラミド分散組成物の調製における高圧乳化法を用いた分散処理の実施態様については、セラミド分散組成物の製造方法の項にて後記する。
(pH)
セラミド分散組成物のpHは、セラミド分散組成物の適用形態に応じて適宜設定される。例えば、セラミド分散組成物を、皮膚外用剤として使用する場合、皮膚刺激性などの観点から、セラミド分散組成物のpHは3〜10であることがより好ましく、5〜9であることが更に好ましい。pHをこの範囲に設定することで、皮膚刺激性が緩和され、好ましい使用感を得ることができる。
(セラミド分散組成物の製造方法)
本発明のセラミド分散組成物は、特定セラミドを少なくとも含む分散相成分と、連続相成分と、を混合することを含む製造方法により得ることができる。
連続相成分(水相成分)と分散相成分(油相成分)との混合には、特に制限はなく、超音波分散法、高圧乳化法、又は連続相成分に分散相成分を直接注入するジェット注入法などの公知の方法を用いてもよい。
本発明のセラミド分散組成物を得る好適な製造方法の一例としては、特定セラミドと、非イオン性界面活性剤とを組み合わせて含む分散処理前液を100℃以上に加熱した状態で分散処理し、粗分散液を得ること(以下、予備分散処理工程とも称する。)、粗分散液と水等とを混合して得られた混合液を、超音波分散法又は高圧乳化法を用いて分散処理すること(以下、本分散処理工程とも称する。)、を含み、特定セラミドを含有し平均粒径が60nm未満の微細粒径を有する分散粒子を形成する方法が挙げられる。
以下、本態様の製造方法について説明する。
<予備分散処理工程>
予備分散処理工程における粗分散液の調製では、特定セラミドと、非イオン性界面活性剤と、を含む液(分散処理前液)を100℃以上に加熱した状態で分散処理することで、加熱されて溶融状態となった特定セラミドを含む分散粒子(分散相)が連続相中に粗分散された粗分散液を得ることができる。
分散処理前液中において、特定セラミドと、非イオン性界面活性剤とは、単に混合されていればよい。特定セラミドと、非イオン性界面活性剤と、を混合する方法は特に制限されず、例えば、攪拌により混合する方法が挙げられる。
分散処理前液は、必要に応じて、特定セラミド及び非イオン性界面活性剤以外の他の成分を含んでもよい。他の成分としては、例えば、多価アルコール、コレステロール、等の成分が挙げられる。
粗分散液の調製では、セラミドを溶融させる観点から、分散処理前液を100℃以上に加熱する。100℃以上の温度は、分散処理前液を分散処理する際に達成されていればよい。予め分散処理前液を100℃以上に加熱し、その液温を100℃以上に保持した状態で分散処理してもよく、或いは分散処理前液を100℃以上に加熱しながら分散処理してもよい。
分散処理前液を100℃以上に加熱する手段としては、特に限定されるものではなく、一般的な加熱装置を用いることができる。加熱装置としては、例えば、恒温チャンバー等が挙げられる。
分散処理前液を分散処理し、粗分散液を得る手段としては、特に限定されるものではなく、一般的な攪拌装置を用いることができる。攪拌装置としては、例えば、マグネチックスターラー、家庭用ミキサー、パドルミキサー、インペラーミキサー、ホモミキサー、ディスパーミキサー、ウルトラミキサー等が挙げられる。
分散処理の時間は、特に限定されるものではなく、攪拌装置の種類、分散処理前液の組成等に応じて、適宜設定することができる。
<本分散処理工程>
本分散処理工程では、予備分散処理にて得られた粗分散液と水等とを混合した後、超音波分散法を用いた分散処理(以下、超音波分散処理と称する。)又は高圧乳化法を用いた分散処理(以下、高圧乳化処理と称する)を行うことができる。
本分散処理工程では、溶融されたセラミドを含む粗分散液と水等とを混合し、分散処理することで、特定セラミドを含有する分散粒子を含むセラミド分散組成物を得ることができる。
水等と混合する際の粗分散液の温度は、突沸を防ぐ観点から、100℃以下に設定することが好ましく、90℃〜100℃に設定することがより好ましい。
水等の温度は、特に限定されるものではないが、50℃〜90℃に設定することが好ましくい。
粗分散液と水等とは一度に混合してもよく、或いは一方に他方を少しずつ添加しながら混合してもよい。粗分散液と水等とは、単に混合すればよく、混合の方法としては、例えば、攪拌による混合が挙げられる。
粗分散液と水等との混合比率は、特に限定されるものではないが、分散粒子の微細化の観点から、粗分散液/水等比率(質量基準)として、1/20〜10/1であることが好ましく、1/10〜5/1であることがより好ましく、1/2〜2/1であることが更に好ましい。
また、粗分散液と水等とは、分散粒子の微細化と経時安定性の観点から、セラミド分散組成物中における分散相と連続相との比率が、分散相/連続相比率(質量基準)として、1/1000〜1/5となるように混合することが好ましく、1/100〜1/10となるように混合することがより好ましく、1/50〜1/10となるように混合することが更に好ましい。
本分散工程における分散処理としては高圧乳化処理が好ましい。分散粒子の微細化の観点からは、高圧乳化処理を行うことが好ましい。
高圧乳化処理とは、50MPa以上の剪断力を被分散物に付加する分散処理を意味する。分散粒子の微細化の観点から、被分散物に付加する剪断力は、100MPa以上であることが好ましく、180MPa以上であることがより好ましい。上限値は、市販の装置では、温度上昇及び耐圧性の観点から300MPa以下であることが好ましい。
高圧乳化処理の手段としては、特に限定されるものではなく、一般的な高圧乳化装置を用いることができる。高圧乳化装置としては、アルティマイザーHJP−25005((株)スギノマシン製)、マイクロフルイダイザー(マイクロフルイディスク社製)、ナノマイザー(吉田機械興業社製、ゴーリンタイプホモジナイザー(APV社製)、ラニエタイプホモジナイザー(ラニエ社製)、高圧ホモジナイザー(ニロ・ソアビ社製)、ホモゲナイザー(三和機械(株)製)、高圧ホモゲナイザー(イズミフードマシナリ(株)製)、超高圧ホモジナイザー(イカ社製)等の高圧ホモジナイザーが挙げられる。
高圧乳化処理の際の温度は、20℃〜80℃に設定することが好ましく、40℃〜70℃に設定することがより好ましい。
高圧乳化処理を行う回数は1回でもよいが、液全体の均一性を高めるためには、高圧乳化処理を2回以上行うことが好ましく、2回〜5回行うことがより好ましい。また、乳化分散された組成物である乳化液はチャンバー通過直後30秒以内、好ましくは3秒以内に何らかの冷却器を通して冷却することが、分散粒子の粒子径保持の観点から好ましい。
本分散工程における分散処理は、超音波分散処理であってもよい。また、分散効果をより高める観点から、粗分散液と水等とを混合した後、高圧乳化処理する前に、超音波分散処理を行うことが好ましい。超音波付与による分散処理には、一般的な超音波分散装置を用いることができる。
超音波分散装置としては、超音波ホモジナイザーUS−600、US−1200T、RUS−1200T、MUS−1200T(以上、(株)日本精機製作所製)、超音波プロセッサーUIP2000、UIP−4000、UIP−8000、UIP−16000(以上、ヒールッシャー社製)等が挙げられる。これらの超音波分散装置は、25kHz以下、好ましくは15kHz〜20kHzの周波数で使用することができる。
<その他の工程>
上記した予備分散処理工程及び本分散処理工程の他、必要に応じて、その他の工程を含んでもよい。その他の工程としては、加熱殺菌工程等が挙げられる。
(セラミド分散組成物の用途)
本発明のセラミド分散組成物は、例えば、医薬品(外用剤、皮膚製剤)、化粧料、洗浄剤等に、そのまま又は成分材料として広く使用することができる。ここで、医薬品としては、塗布剤等の非経口剤など、化粧料としては、化粧水、美容液、ジェル、乳液、ヘアーコンディショナー、ヘアトリートメント、リンス等、洗浄剤としては、洗顔料、ボディーソープ、シャンプー等が挙げられる。ただし、本発明は、これらに制限されるものではない。
本発明のセラミド分散組成物を、医薬品又は化粧料に使用する場合、必要に応じて、医薬品又は化粧料に添加可能な成分を適宜添加することができる。
本発明のセラミド分散組成物を化粧料に使用する場合の剤型としては、化粧水、美容液、ジェル、乳液、ヘアーコンディショナー、ヘアトリートメント、リンス等、化粧料として知られている一般的な剤型のいかなる態様であってよい。本発明のセラミド分散組成物は、分散粒子が微細であるという特徴を生かす観点からは、透明性の高い剤型にすることが好ましく、例えば、化粧水、美容液、ジェル製剤等の剤型が好ましい。
以下、本発明を実施例により更に具体的に説明するが、本発明はその主旨を越えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。なお、特に断りのない限り、「部」は質量基準である。
[実施例1]
下記組成のA液39.5gを110℃にて10分間攪拌混合し、粗分散液を得た。得られた粗分散液を100℃まで冷却し、下記組成の成分を70℃で溶解したB液を添加した後、超音波ホモジナイザーUS−600((株)日本精機製作所製)を用いて3分間分散することで予備分散物を得た。続いて、得られた予備分散物を約60℃まで冷却した後、アルティマイザーHJP−25005((株)スギノマシン製)を用いて、245MPaの圧力で高圧乳化(分散)処理を行うことで、実施例1のセラミド分散組成物を得た。
なお、A液及びB液に用いた各成分の詳細は、後述の通りである。
〔A液〕
Ceramide I 0.3部
コレステロール 0.3部
1,3−ブチレングリコール 0.9部
デカグリセリンモノミリスチン酸エステル 3.0部
グリセリン 35.0部
〔B液〕
レシチン 4.0部
ブチルカルバミン酸ヨウ化プロピニル 0.01部
水 56.5部
[実施例2〜3、7〜18、比較例1〜4、6〜9]
表1、表2及び表3に示す組成のA液及びB液を用いた以外は、実施例1と同様にして、実施例2〜3、7〜18、比較例1〜4、6〜9の各セラミド分散組成物を得た。
[実施例4]
超音波ホモジナイザーUS−600((株)日本精機製作所製)を用いた分散を20分間に変更し、高圧乳化処理を行わなかった以外は、実施例1と同様にして、実施例4のセラミド分散組成物を得た。
[実施例5]
150MPaの圧力にて高圧乳化処理を行った以外は、実施例1と同様にして、実施例5のセラミド分散組成物を得た。
[実施例6]
50MPaの圧力にて高圧乳化処理を行った以外は、実施例1と同様にして、実施例6のセラミド分散組成物を得た。
[比較例5]
超音波ホモジナイザーUS−600((株)日本精機製作所製)を用いた分散を10分間に変更し、高圧乳化処理を行わなかった以外は、実施例1と同様にして、比較例5のセラミド分散組成物を得た。
[評価]
(1)経時安定性評価
得られた実施例及び比較例の各セラミド分散組成物について、調製直後及び経時後の各セラミド分散組成物中における分散粒子の粒径を測定し、経時安定性を以下の通り評価した。結果を表1〜表3に示す。
(1−1)調製直後のセラミド分散組成物中の分散粒子の粒径
調製直後のセラミド分散組成物中における分散粒子の粒径(体積平均粒径)を、動的光散乱式ナノトラック粒度分析計UPA(日機装(株)製)を用いて測定した。体積平均粒径の測定は、セラミド分散組成物から分取した試料に含まれるセラミドの濃度が0.03質量%になるように純水で希釈して行った。体積平均粒径は、試料屈折率として1.600、分散媒屈折率として1.333(純水)、分散媒の粘度として純水の粘度を設定した場合の体積平均粒径(Mv)として求めた。
(1−2)経時後のセラミド分散組成物中の分散粒子の粒径
各セラミド分散組成物を50℃の恒温槽に90日間保管した後、25℃に戻し、調製直後のセラミド分散組成物と同様にして分散粒子の粒径を測定した。
(2)スキンケア効果
得られた実施例及び比較例の各セラミド分散組成物について、スキンケア効果を以下の通り評価した。結果を表1〜表3に示す。

冬場に手の肌荒れが顕著である被験者5名の左手甲に、セラミド分散組成物を12月に2週間、1日2回塗布した。塗布していない右手甲と比較して、「変化無し」を1、「肌荒れが認められない状態」を5とし、2週間後の改善度を5段階評価し、5名の平均評点を算出した。


表1〜表3中の「−」は、該当成分を配合していないことを意味する。また、表1〜表3に記載の各成分は、以下の通りである。
Ceramide I(商品名:Ceramide I、INCI名:Ceramide 1、Evonik社)
Ceramide EOP(商品名:Ceramide EOP27、INCI名:Ceramide EOP、Evonik社)
Ceramide EOS(商品名:Ceramide EOS27、INCI名:Ceramide EOS、Evonik社)
Ceramide II(商品名:Ceramide TIC-001、INCI名:Ceramide 2、高砂香料(株))
Ceramide III(商品名:Ceramide III、INCI名:Ceramide 3、Evonik社)
Ceramide IIIB(商品名:Ceramide IIIB、INCI名:Ceramide 3B、Evonik社)
Ceramide VI(商品名:Ceramide VI、INCI名:Ceramide 6II、Evonik社)
コレステロール(商品名:コレステロールJSQI、日本精化(株))
1,3−ブチレングリコール((株)ダイセル)
デカグリセリンモノミリスチン酸エステル(商品名:NIKKOL Decaglyn 1-M、HLB:14.0、日光ケミカルズ(株))
スクワラン(商品名:NIKKOL スクワラン、日光ケミカルズ(株))
グリセリン(化粧用濃グリセリン、花王(株))
レシチン(商品名:SLP-PC70、辻製油(株))
ブチルカルバミン酸ヨウ化プロピニル(商品名:GLYCACIL、ロンザジャパン(株))
表1〜表3中に、各セラミド分散組成物について、セラミド量に対する非イオン性界面活性剤量の含有比(非イオン性界面活性剤/セラミド)、及び、非イオン性界面活性剤量に対するレシチン量の含有比(レシチン/非イオン性界面活性剤)を、いずれも質量基準にて示す。
表1〜表3に示されるように、実施例のセラミド分散組成物は、予想外なことに、いずれも60nm未満の微細な分散粒子を含み、高温条件下における経時安定性に優れ、且つ、スキンケア効果に優れることがわかった。
したがって、本発明によれば、高温条件下に保存した場合において従来に比して長期の保存が可能な経時安定性を有し、かつ化粧料等の皮膚外用剤への適用において優れたスキンケア効果を有するセラミド分散組成物を提供することができる。

Claims (8)

  1. 下記一般式(I)で表されるセラミドと、非イオン性界面活性剤と、を含み、分散粒子の平均粒径が60nm未満であるセラミド分散組成物。

    一般式(I)中、Rは、総炭素数が40〜55であり炭素鎖中にエステル結合を含む直鎖又は分岐状の炭化水素基を表し、Rで表される炭化水素基は、多重結合、芳香環、及び芳香族複素環からなる群より選択される1又は2以上の部分構造を炭素鎖中に含んでもよく;Rは、水酸基を有してもよい炭素数11〜21のアルキル基、又は水酸基を有してもよい炭素数11〜21のアルケニル基を表す。
  2. 非イオン性界面活性剤の含有量が、一般式(I)で表されるセラミドの質量に対して1倍量〜70倍量であり、更に、レシチンを非イオン性界面活性剤の質量に対して0.01倍量〜20倍量の含有量で含有する請求項1に記載のセラミド分散組成物。
  3. 高圧乳化法を用いて調製された分散組成物である請求項1又は請求項2に記載のセラミド分散組成物。
  4. 更に、多価アルコールを含有する請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載のセラミド分散組成物。
  5. 多価アルコールが、グリセリン及び少なくとも1種のジオール化合物である請求項4に記載のセラミド分散組成物。
  6. 更に、コレステロールを含有する請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載のセラミド分散組成物。
  7. 非イオン性界面活性剤が、ポリグリセリン脂肪酸エステルである請求項1〜請求項6のいずれか1項に記載のセラミド分散組成物。
  8. 25℃で液状の油性成分の含有量が1質量%以下であるか、又は、25℃で液状の油性成分を含有しない請求項1〜請求項7のいずれか1項に記載のセラミド分散組成物。
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