JP2015174187A - 減速比を変更可能な回転テーブル - Google Patents
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Abstract
【解決手段】ボデー1と、第1の駆動源10と、この第1の駆動源からの駆動力を減速して伝達する第1の伝達機構11と、この第1の伝達機構に固定される第1のリングギア12と、第2の駆動源20と、この第2の駆動源からの駆動力を減速して伝達する第2の伝達機構21と、この第2の伝達機構に固定される第2のリングギア22と、第1のリングギアと第2のリングギアに噛合する遊星減速機構30と、この遊星減速機構によって駆動力を更に減速して伝達されるスピンドル2とを備えるものとした。
【選択図】図1
Description
このような加工工程の中で、回転テーブルは、このマシニングセンタ等に搭載されており、回転テーブルの使用としては、取り付けられたワークを切削力に耐えうる回転速度(低速)で連続回転させる用途もあるが、一般的には取り付けられたワークを任意の角度に割出して固定保持する用途として使用されている。
切削加工工程では、回転テーブルは高い割出し精度と切削力に耐えうるだけの大きな回転トルクが必要とされる。そのため、回転テーブルはウォームとウォームホイールを組み合せたウォームギヤ機構を用いたウォーム減速機や、ローラギヤと出力軸に放射状に配置された複数のカムフォロアを噛合せたローラギヤカム機構を用いたローラギヤ減速機などの減速機構を組み込むことで高い割出し精度と大きな回転トルクを可能としている(例えば、特許文献1等)。
また、これらの減速機構の分解能は、サーボモータなどに付随しているエンコーダの分解能よりも出力軸側で高くすることができるのである。つまり、ワークに近いところの回転位置精度を高くすることができるため、昨今では、これらの減速機構は一般的となっており、広く採用されている。
つまり、従来の回転テーブルは一系統の駆動力(モータなど)から一つの出力軸に高い割出し精度と大きな回転トルクを出力しているのである。
また、工作機械業界では、タクトタイム(製造における、生産工程の均等なタイミングを図るための工程作業時間のこと。)を如何に短縮するかが問われおり、そのため、回転テーブルはタクトタイムをコンマ数秒でも短縮できるように、様々な技術を用いて開発なされている。
つまり、回転トルクと高速回転には、P(モータの容量)=t(回転トルク)×n(回転速度)/9549という関係式より、一つの入力軸(ここでいうP)が一定の場合、回転トルクtを上げると回転速度nは下がり、逆に回転トルクtを下げると回転速度nは上がるのである。
よって、回転速度を上げて更に、トルクも上げたい場合は、モータの容量Pを上げるしか方法はないのである。すなわち、回転速度を上げるということは減速比を小さくするということになるのである。
しかしながら、モータの容量を上げたからといって、ウォーム減速機を使用している以上、高速で回すには限界がある。
そこで、本発明は、回転テーブルに二系統の駆動力を搭載し、夫々の駆動力から異なった減速比を共通の出力軸に出力する構成とすることを目的とする。
具体的には、第一の発明は、ボデーと、第1の駆動源と、この第1の駆動源からの駆動力を減速して伝達する第1の伝達機構と、この第1の伝達機構に固定される第1のリングギアと、第2の駆動源と、この第2の駆動源からの駆動力を減速して伝達する第2の伝達機構と、この第2の伝達機構に固定される第2のリングギアと、第1のリングギアと第2のリングギアに噛合する遊星減速機構と、この遊星減速機構によって駆動力を更に減速して伝達されるスピンドルとを備える減速比を変更可能な回転テーブルである。
上記構成によれば、第1の駆動源からの駆動力を減速し、遊星減速機構によって更に減速してスピンドルに出力することができる。
また、第2の駆動源からの駆動力を減速し、遊星減速機構によって更に減速してスピンドルに出力することができる。
このため、第1の駆動源と第2の駆動源とを切り替えることで、各々の駆動源を減速する減速機構を介すことで減速比が変更可能となる。
第二の発明は、第1のリングギアは、現在位置を固定保持する第1のブレーキ機構を備え、第2のリングギアは、現在位置を固定保持する第2のブレーキ機構を備えている回転テーブルである。
上記構成によれば、第1の駆動源からの駆動力が伝達されているときは、第2のブレーキ機構を働かせることでスピンドルに出力することができる。
また、第2の駆動源からの駆動力が伝達されているときは、第1のブレーキ機構を働かせることでスピンドルに出力することができる。
また、割出し角度で加工する場合は、第1のブレーキ機構と第2のブレーキ機構を働かせることでワークを固定保持したまま加工することができる。
第三の発明は、遊星減速機構は、少なくとも二つ以上の遊星ギアと該遊星ギアと同数のギアシャフトと一つのシャフトロックとを備えている回転テーブルである。
上記構成によれば、ギアシャフトを固定するボルトが必要でないため、省スペース化にすることができる。
第四の発明は、第1のリングギアと第2のリングギアは、夫々遊星ギアと噛合する噛合部を備えている回転テーブルである。
上記構成によれば、第1の駆動源からの駆動力が第1のリングギアの噛合部に伝達され、この噛合部が遊星減速機構と噛合うことで遊星減速機構をスピンドルの軸周りに回転させることができる。
また、第2の駆動源からの駆動力が第2のリングギアの噛合部に伝達され、この噛合部が遊星減速機構と噛合うことで遊星減速機構をスピンドルの軸周りに回転させることができる。
第五の発明は、噛合部が少なくとも一つ以上のカムフォロアを備えている回転テーブルである。
上記構成によれば、噛合部にカムフォロアを備えることで遊星減速機構が効率良くスピンドルの軸周りに回転させることができる。
第六の発明は、第1のリングギアに備えられている噛合部と遊星ギアとの噛合度合を高める第1の予圧機構と、第2のリングギアに備えられている噛合部と遊星ギアとの噛合度合を高める第2の予圧機構とを備えている回転テーブルである。
上記構成によれば、第1の予圧機構によって、第1のリングギアに備えられている噛合部を回転軸方向に予圧することで噛合部と遊星ギアとの噛合度合を高めることができ、バックラッシをゼロとすることができる。同様に第2の予圧機構によって、第2のリングギアに備えられている噛合部を回転軸方向に予圧することで噛合部と遊星ギアとの噛合度合いを高めることができ、バックラッシをゼロとすることができる。
すなわち、バックラッシをゼロにすることができるため、精度を良くすることが可能となる。
また、1台2役のため、旋盤からマシニングセンタ、またはマシニングセンタから旋盤への段取り替えが不要となり、タクトタイムの大幅削減やタクトタイムの測定が正確にできる。
また、工程が1つ減ることで機械の故障時のラインへの影響が削減される。
また、従来の回転テーブルでは、リード切削加工等で丸物加工をすると加工面がうろこ状になっていたが、高速回転旋削時は旋削面がうろこ状にならないような面粗度の良い丸物加工をすることができる。
また、予圧機構により均等に圧力をかけると同時にバックラッシを除去でき、噛合度合いが高められ割出し高精度や切削加工時に高剛性に保持が可能となる。つまり、遊星ギアとカムフォロアの噛合でバックラッシを無くすことで各サーボモータの原点がずれない。などの効果を奏する。
ここで、便宜上、軸方向のテーブル面3側を「左側」、テーブル面3と反対側を「右側」と、第2の駆動源20側を「上側」、第1の駆動源10側を「下側」と定義する。
また、ウォームホイール11aは、ボデー1の内方とスピンドル2の外方との間にベアリング13を介して回転軸Jを中心に回転可能に軸支されている第1のリングギア12とボルト14で回転軸Jの軸方向に固定されている。
遊星ギア31は、中心に貫通穴を有しており、スピンドル2の外方に回転軸Jに対して放射線状に等間隔で少なくとも二つ以上備えられている。また、複数の遊星ギア31は、回転軸方向に対しては同位置に配置されている。
ギアシャフト32は、遊星ギア31の貫通穴にベアリングを介して軸支されており、一端側はスピンドル2に嵌合されており、他端側は後述のシャフトロック33によって係合されている。すなわち、ギアシャフト32はスピンドル2に固定されているが、遊星ギア31はギアシャフト32を軸に自転可能となっている。
シャフトロック33は、少なくとも二つ以上の遊星ギア31と遊星ギア31と同数のギアシャフト32を覆うようにギアシャフト32の外周に備えられている。また、シャフトロック33には、ギアシャフト32と同数の貫通されたタップ穴35が設けられており、そのタップ穴35に外方から止めねじ34が螺合され、螺合された止めねじ34がギアシャフト32に設けられている係止溝36と係止されている。このように係止されることで、遊星減速機構30はスピンドル2に固定されている。なお、本実施形態では径方向および軸方向のスペース縮小のために、このような固定を採用しているが、これに限らず、例えば、ボルトでギアシャフト32とスピンドル2を固定しても構わないし、他の固定をしても構わない。
駆動側プーリ21aはモータ20aのシャフト20bに固定されており、モータ20aの回転と追従して回転可能となっている。駆動側プーリ21aの外周にはベルト21bが収まる溝21dが設けられている。
従動側プーリ21cは、中空円形断面形状をしており、スピンドル2の外方に備えられており、第2のリングギア22にボルト23で第2のリングギア22と同軸になるように固定されている。従動側プーリ21cの外周にはベルト21bが収まる溝21eが設けられている。
なお、本実施形態では、第2のブレーキ機構26は省スペース化のために、このような構成にしているが、これに限らず、第1のブレーキ機構16などの構成にしても良い。
第1の予圧機構19は、スピンドル2の端面に設けられた軸方向のタップ穴と、タップ穴に固定された止めねじ19aとベアリングプッシュプレート19bとで構成されている。
このベアリングプッシュプレート19bは、止めねじ19aで予圧を与えるように、備えており、止めねじ19aの調整でベアリングを介して第1のリングギア12に回転軸方向の予圧がかけられている。
これら第1の予圧機構19と第1のリングギア12に備えられているカムフォロア12bが遊星ギア31に押圧することで、噛合度合いが高まりバックラッシゼロが可能となる。
同様に第2の予圧機構29により第2のリングギア22に備えられているカムフォロア22bが遊星ギア31に押圧することで、噛合度合いが高まりバックラッシゼロが可能となる。
本実施形態の回転テーブル100には、第1の駆動源10と第2の駆動源20との2つの駆動源が備えられている。つまり、駆動源ごとに使用用途を変更可能なため、ユーザの要求に合わせて様々な使用をすることが可能である。本実施形態では、一例として、「高精度割出加工用」と「高速回転旋削用」とに使い分け可能な構成としている。
この状態で、マシニングセンタなどの上位装置より、回転指令がなされると、第1のブレーキ機構16は、ブレーキを解除し、第1のリングギア12は回転可能な状態となる。その状態を確認した後、モータ10aが回転し、モータ10に取り付けられたカップリング18を介してウォームシャフト11bが回転される。ウォームシャフト11bが回転すると、ウォームシャフト11bと噛合されているウォームホイール11aが回転する。この時、ウォームホイール11aの減速比を大きくとることが可能であり、ウォーム特有の高精度な割出しも可能となる。ウォームホイール11aが回転すると、ウォームホイール11aと同軸に固定されている第1のリングギア12が連動して回転する。第1のリングギア12が回転すると、第1のリングギア12に取り付けられているカムフォロア12bによって、遊星ギア31はギアシャフト32を中心に自転する。また、遊星ギア31は、第2のリングギア22に固定しているカムフォロア22bとも噛合している。つまり、第2のリングギア22は、第2のブレーキ機構26で固定されているため、遊星ギア31はギアシャフト32を中心として自転すると、スピンドル2の軸を中心とした公転を行うようになる。また、ギアシャフト32はスピンドル2に固定されているため、遊星ギア31が公転すると、ギアシャフト32を介してスピンドル2が回転可能となり、回転指令の割出し位置まで回転した後、停止する。スピンドル2が停止すると、第1のブレーキ機構16がブレーキする。
以上が、「高精度割出加工用」の使用動作となる。実際には、この後、上位装置による加工がなされ、加工が完了すると、上述の動作に戻り、その後、加工という繰り返し作業となる。
つまり、第1の駆動源10と第2の駆動源20とを切り替えることで、各々の駆動源を減速する伝達機構を介すことで減速比が変更可能となる。
回転テーブルが1台2役を担うことで、従来課題となっている旋盤からマシニングへの段取り替えが必要でなくなり、段取り替えによって発生するタクトタイムを大幅に短縮することが可能となる。
また、予圧機構により均等に圧力をかけると同時にバックラッシを除去できるため、噛合度合いが高められ割出し高精度や切削加工時に高剛性に保持することが可能となる。
以上のように、本実施形態を説明したが、その目的の範囲を逸脱しない限りにおいて、適宜、変更をしてもよく、この実施形態に限定されるものではない。
例えば、2つの駆動源によって、高精度割出用と高速回転旋削用とで構成したが、これに限らず、高精度割出用と高クランプ用にしても良いし、高速回転旋削用と高クランプ用にしても良いし、特に制限するものでもない。
また、モータ10aおよびモータ10bは、夫々サーボモータを用いているが、これに限らず、ステッピングモータなど他のモータであっても構わないし、また、他の駆動手段であっても良い。
また、第1の伝達機構11は、ウォームホイール11aとウォームシャフト11bとで構成されており、第2の伝達機構21は、駆動側プーリ21aとベルト21bと従動側プーリ21cとで構成されているが、これに限らず、平行軸歯車減速機や遊星減速機構やウォーム減速機、ベルトで減速するものなどを使用しても良い。
また、第1のリングギア12と第2のリングギア22を夫々固定することでスピンドル2を固定しているが、例えば、スピンドル自体にブレーキ機構を追加しても良い。
また、第1のブレーキ機構16と第2のブレーキ機構26についても、例えば、第1のブレーキ機構16と第2のブレーキ機構26が入れ替わっても良いし、ブレーキ機構を制限するものではなく、他のブレーキ機構であっても良い。
また、第1のブレーキ機構16は、エアの供給をとめるとリターンスプリング16eによってピストン16bが戻されることで固定を解除する単動シリンダ構造としているが、例えば、ピストン16bの動作をエアのみで行う複動シリンダでも良い。
また、噛合部22aにカムフォロア22bが備えられているが、例えば、噛合部22aに固定された円柱部材などであっても良いし、これに限定するものではない。また、カムフォロア22bは第2のリングギア22の外周に備えられているが、内周でも良く、遊星ギア31と噛合う位置に配置されていれば良い。また、噛合部22aに備えられたカムフォロア22bが遊星ギア31と噛合うようになされているが、直接、噛合部22aが遊星ギア31と噛合可能な形状になされていても良い。
2 スピンドル
10 第1の駆動源
11 第1の伝達機構
12 第1のリングギア
12a、22a 噛合部
12b、22b カムフォロア
16 第1のブレーキ機構
19 第1の予圧機構
20 第2の駆動源
21 第2の伝達機構
22 第2のリングギア
26 第2のブレーキ機構
29 第2の予圧機構
30 遊星減速機構
31 遊星ギア
32 ギアシャフト
33 シャフトロック
100 回転テーブル
Claims (6)
- ボデーと、第1の駆動源と、該第1の駆動源からの駆動力を減速して伝達する第1の伝達機構と、該第1の伝達機構に固定される第1のリングギアと、
第2の駆動源と、該第2の駆動源からの駆動力を減速して伝達する第2の伝達機構と、該第2の伝達機構に固定される第2のリングギアと、
前記第1のリングギアと前記第2のリングギアに噛合する遊星減速機構と、該遊星減速機構によって駆動力を更に減速して伝達されるスピンドルと、を備える減速比を変更可能な回転テーブル。 - 前記第1のリングギアは、現在位置を固定保持する第1のブレーキ機構を備え、前記第2のリングギアは、現在位置を固定保持する第2のブレーキ機構を備えている請求項1に記載の回転テーブル。
- 前記遊星減速機構は、少なくとも二つ以上の遊星ギアと該遊星ギアと同数のギアシャフトと一つのシャフトロックとを備えている請求項1又は2に記載の回転テーブル。
- 前記第1のリングギアと第2のリングギアは、夫々前記遊星ギアと噛合する噛合部を備えている請求項3に記載の回転テーブル。
- 前記噛合部が少なくとも一つ以上のカムフォロアを備えている請求項4に記載の回転テーブル。
- 前記第1のリングギアに備えられている前記噛合部と前記遊星ギアとの噛合度合を高める第1の予圧機構と、前記第2のリングギアに備えられている前記噛合部と前記遊星ギアとの噛合度合を高める第2の予圧機構とを備えている請求項4又は5に記載の回転テーブル。
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