JP2015170046A - 電子機器 - Google Patents

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Abstract

【課題】表示部を本体部に対して回動させた場合に不要となる操作面の可動部材の動作を規制することにより、高い操作安定性を確保し、誤作動を防止することができる電子機器を提供する。【解決手段】電子機器10は、押圧操作によって動作する可動部材であるクリックパッド19を操作面上に設けた本体部16と、ディスプレイ18を設けた表示部14とをヒンジ機構12によって回動可能に連結しており、表示部14の本体部16に対する180度位置から360度位置までの回動動作と連動して動作するリンク機構40と、リンク機構40の動作と連動して動作し、可動部材であるクリックパッド19の動作を規制するストッパ機構24とを備える。【選択図】図6

Description

本発明は、本体部と表示部とをヒンジ機構によって回動可能に連結した電子機器に関する。
近年、タッチパネル式の液晶ディスプレイを有し、物理的なキーボードを持たないタブレット型パーソナルコンピュータ(タブレット型PC)が急速に普及している。タブレット型PCは、持ち運びが容易で入力作業もタッチパネルによって行うことができるため操作が容易である。
しかしながら、タブレット型PCは、物理的なキーボードを持たないため、例えば、長文の入力作業等に支障を生じる場合がある。そこで、ディスプレイを有する表示部をキーボードを有する本体部に対して、180度を超えて360度まで回動可能としたコンバーチブルタブレット型パーソナルコンピュータ(コンバーチブル型PC)が提案されている。コンバーチブル型PCでは、通常のノートブック型パーソナルコンピュータ(ノート型PC)とタブレット型PCの2通りの使用方法が可能であるため、使用者の利便性が非常に高いものとなっており、例えば、特許文献1にはこの構成に使用できる2軸構造のヒンジ機構が開示されている。
特開2013−155874号公報
上記のようなコンバーチブル型PCでは、表示部を360度位置まで回動させ、タブレット型PCとしての使用形態に変形させた場合、本体部のキーボードを設けた上面(操作面)がこの使用形態では下面(裏面)となる。従って、タブレット型PCとして使用する際には、ノート型PCの使用形態では操作面にあったキーボード、クリックパッド及び電源ボタン等の各種可動部材が裏面に露出することになる。このため、タブレット型PCの使用形態において、この使用形態では不要となる裏面の可動部材に指や机が当たると可動部材ががたつき、人手による筐体の把持やタッチパネル操作の安定性が損なわれることになる。さらに、意図せぬ可動部材の押圧操作を生じてしまい、思わぬ誤作動を生じる可能性もある。
本発明は、上記従来技術の課題を考慮してなされたものであり、表示部を本体部に対して回動させた場合に不要となる操作面の可動部材の動作を規制することにより、高い操作安定性を確保し、誤作動を防止することができる電子機器を提供することを目的とする。
本発明に係る電子機器は、押圧操作によって動作する可動部材を操作面上に設けた本体部と、ディスプレイを設けた表示部とをヒンジ機構によって回動可能に連結し、前記本体部と前記表示部とを、操作面とディスプレイが対面する0度位置から操作面とディスプレイが同一方向を向いて互いに平行する180度位置を経て、操作面とディスプレイの背面同士が対面する360度位置まで回動可能とした電子機器であって、前記表示部の前記本体部に対する前記180度位置から前記360度位置までの回動動作と連動して動作するリンク機構と、該リンク機構の動作と連動して動作し、前記可動部材の動作を規制するストッパ機構とを備えることを特徴とする。
このような構成によれば、表示部を360度位置まで回動させて電子機器をタブレット型PCとして使用する場合に、その裏面にあるクリックパッド等の可動部材ががたつき、人手による当該電子機器の把持やディスプレイへのタッチパネル操作の安定性が損なわれることを防止でき、高い操作安定性を確保することができる。また、タブレット型PCとして使用する場合に裏面に露出するクリックパッド等の可動部材の押圧操作を規制できるため、該可動部材が意図せずに操作され、誤作動を生じることを回避できる。一方、表示部を例えば90度位置としたノート型PCとして使用する場合には、ストッパ機構による可動部材の動作の規制が解除されるため、この場合の操作に支承が出ることはない。
前記可動部材は、タッチ操作と押下操作とを受け付けるクリック式のタッチパッドであってもよい。
前記可動部材は、所定の機能が割り当てられた機能ボタンであってもよい。この機能ボタンとしては、例えば、電源ボタン、ボリュームボタン、スピーカーミュートボタン、マイクミュートボタン等を例示できる。
前記ストッパ機構は、前記リンク機構の動作と連動して移動することで前記可動部材に係合し、その動作を規制するストッパ部材を有する構成としてもよい。そうすると、表示部を回動させるリンク機構の動作に連動させ、可動部材の動作をストッパ部材によって確実に規制することができる。
前記リンク機構は、前記表示部の前記本体部に対する前記180度位置から前記360度位置までの回動動作と連動し、該本体部の本体筐体に対して前後方向に移動する第1スライド部材を有し、前記ストッパ機構は、前記第1スライド部材の前後方向への移動と連動して前後方向に移動し、前記ストッパ部材を移動させる第2スライド部材を有する構成であってもよい。そうすると、リンク機構から離間した位置にある下動部材に対しても、第1スライド部材及び第2スライド部材を介してストッパ機構による規制を確実に行うことができる。
前記ストッパ部材は、前記本体筐体に対して回動可能に軸支されると共に、前記第2スライド部材と回転軸によって連結されており、前記前後方向に移動する第2スライド部材によって従動的に回動されるものであってもよい。そうすると、前後方向への第2スライド部材の移動力を回動方向に変更することができ、各位置にある可動部材に対してストッパ機構による規制を確実に行うことができる。
前記第1スライド部材と前記第2スライド部材との間は、前記第1スライド部材の前後方向への移動力を受けて回転することで、前記第2スライド部材を前後方向へと移動させるワイヤ部材で連結されていると、省スペースで第1スライド部材と第2スライド部材との間を連動させることができる。
前記ヒンジ機構は、第1軸が回転終点位置まで回転した後、第2軸が回転を開始する2軸構造であって、前記0度位置から前記180度位置までは前記第1軸が回転し、前記180度位置から前記360度位置までは前記第2軸が回転するものであり、前記リンク機構は、前記第2軸の回転と連動して動作するものであると、簡素な構成でありながらも、表示部を本体部に対して0度位置から360度位置まで回動可能に連結することができ、しかも、180度位置を境として、第1軸と第2軸の回転が切り替わるため、このヒンジ機構を利用してストッパ機構を円滑に動作させることが可能となる。
本発明によれば、表示部を360度位置まで回動させて電子機器をタブレット型PCとして使用する場合に、その裏面にあるクリックパッド等の可動部材の動作を規制することができ、高い操作安定性を確保することができる。さらに、タブレット型PCとして使用する場合に裏面に露出するクリックパッド等の可動部材の押圧操作を規制できるため、該可動部材が意図せずに操作され、誤作動を生じることを回避できる。
図1は、本発明の一実施形態に係る電子機器の斜視図である。 図2は、図1に示す電子機器のノート型PCでの使用形態の一例を示す側面図である。 図3は、図2に示す状態から表示部をさらに開き方向に回動させて360度位置としたタブレット型PCでの使用形態の一例を示す側面図である。 図4は、本実施形態に係る電子機器に設けられるヒンジ機構の構成を模式的に示す斜視図である。 図5は、図4に示すヒンジ機構を用いた表示部の本体部に対する回動動作を模式的に示す動作説明図であり、図5(A)は、0度位置を示す図であり、図5(B)は、45度位置を示す図であり、図5(C)は、135度位置を示す図であり、図5(D)は、180度位置を示す図であり、図5(E)は、225度位置を示す図であり、図5(F)は、315度位置を示す図であり、図5(G)は、360度位置を示す図である。 図6は、本体部の内部構造を模式的に示す平面図である。 図7は、ベゼルの上下動作を説明するための側面図であり、図7(A)は、0度位置から180度位置までの間でのベゼル及びリンク機構の状態を示す図であり、図7(B)は、360度位置でのベゼル及びリンク機構の状態を示す図である。 図8は、0度位置から180度位置までの間でのベゼル及びキーの状態を示す斜視図である。 図9は、360度位置での間でのベゼル及びキーの状態を示す斜視図である。 図10は、駆動ワイヤの動作を説明するために該駆動ワイヤの一端側を模式的に示した平面図であり、図10(A)は、0度位置から180度位置までの間での駆動ワイヤの状態を示す図であり、図10(B)は、360度位置での駆動ワイヤの状態を示す図である。 図11は、ベゼルと下カバーとの間に介在するねじりコイルばねを説明するための断面図である。 図12は、ベゼルとキーと下カバーの関係を説明するための断面図であり、図12(A)は、0度位置から180度位置までの間での状態を示す図であり、図12(B)は、360度位置での状態を示す図である。 図13は、スライドフレームがスライドした際の伝達ワイヤの状態を説明するための側面図であり、図13(A)は、0度位置から180度位置までの状態を示す図であり、図13(B)は、360度位置での状態を示す図である。 図14は、ストッパ機構の動作を説明するための側面断面図であり、図14(A)は、0度位置から180度位置までの間でのストッパ機構の状態を示す図であり、図14(B)は、360度位置でのストッパ機構の状態を示す図である。 図15は、ストッパ機構の動作を説明するための平面説明図であり、図15(A)は、0度位置から180度位置までの間でのストッパ機構の状態を示す図であり、図15(B)は、360度位置でのストッパ機構の状態を示す図である。 図16は、ストッパ機構の動作を説明するための正面断面図であり、図16(A)は、0度位置から180度位置までの間でのストッパ機構の状態を示す図であり、図16(B)は、360度位置でのストッパ機構の状態を示す図である。 図17は、伝達ワイヤの動作を模式的に示した平面図であり、図17(A)は、0度位置から180度位置までの間での伝達ワイヤの状態を示す図であり、図17(B)は、360度位置での伝達ワイヤの状態を示す図である。 図18は、機能ボタンの動作を規制する際のストッパ機構の動作を説明するための平面説明図であり、図18(A)は、0度位置から180度位置までの間でのストッパ機構の状態を示す図であり、図18(B)は、360度位置でのストッパ機構の状態を示す図である。
以下、本発明に係る電子機器について好適な実施の形態を挙げ、添付の図面を参照しながら詳細に説明する。
1.電子機器の全体構成の説明
図1は、本発明の一実施形態に係る電子機器10の斜視図であり、ヒンジ機構12L,12Rによって表示部14を本体部16から開き、両者を略直交させた状態を示す。図2は、図1に示す電子機器10のノート型PCでの使用形態の一例を示す側面図であり、図3は、図2に示す状態から表示部14を開き方向に回動させて360度位置としたタブレット型PCでの使用形態の一例を示す側面図である。
本実施形態に係る電子機器10は、表示部14を本体部16に対して90度前後の角度位置に回動させた状態ではノート型PCとして好適に使用でき(図1及び図2参照)、表示部14を本体部16に対して360度位置まで回動させた状態ではタブレット型PCとして好適に使用できる(図3参照)、いわゆるコンバーチブルタブレット型パーソナルコンピュータ(コンバーチブル型PC)である。図3中に2点鎖線で示すように、360度位置から表示部14を少し起こせば、本体部16をベースとしたスタンド型のタブレット型PCとしても使用できる。本発明は、このようなコンバーチブル型PC以外、例えば、携帯電話、スマートフォン、又は電子手帳等、表示部を本体部に対して360度位置まで回動可能な電子機器であれば好適に適用できる。
以下、図1及び図2に示すノート型PCでの使用形態を基準とし、表示部14の前面14aに設けられたディスプレイ18を視認しながら本体部16の操作面となる上面16aに設けられたポインティングスティック17、クリックパッド19及びキーボード20を操作する使用者から見た方向で、手前側を前側(前方)、奥側を後側(後方)と呼び、本体部16の厚み方向を上下方向、幅方向を左右方向と呼んで説明する。
また、説明の便宜上、ヒンジ機構12L,12Rによる本体部16と表示部14の角度位置について、表示部14を本体部16に対して完全に閉じた状態とし、ディスプレイ18と上面16aが対面した姿勢を0度位置(図示せず)と呼ぶ。そして、この0度位置を基準として、表示部14を開き方向に回動させる方向で角度を刻みながら説明するものとし、例えば、ディスプレイ18と上面16aが同一方向(上方)を向いて互いに平行した姿勢を180度位置(図2中に2点鎖線で示す表示部14参照)と呼び、ディスプレイ18と上面16aの背面同士、つまり表示部14の背面14bと本体部16の下面16bとが対面した姿勢を360度位置(図3参照)と呼ぶものとする。なお、0度位置、180度位置、及び360度位置については、本体部16、表示部14、又はヒンジ機構12L,12Rの構造により、角度数字の示す正確な角度位置から多少ずれた角度位置となることも当然生じるものであり、これらのずれた角度位置も含めて、本実施形態では0度位置等と呼んで説明している。
図1〜図3に示すように、電子機器10は、ディスプレイ18を有する表示部14と、クリックパッド19やキーボード20等の入力手段(可動部材)を有する本体部16とを備える。表示部14と本体部16とは、左右一対のヒンジ機構12L,12R(以下、まとめて「ヒンジ機構12」とも呼ぶ)によって0度位置から360度位置まで回動可能に連結されている。
表示部14は、ヒンジ機構12を通過した図示しないケーブルにより、本体部16と電気的に接続されている。ディスプレイ18は、例えば、タッチパネル式の液晶表示装置によって構成される。
本体部16は、扁平な箱状に形成された本体筐体22の後端縁部にヒンジ機構12が設けられる。本体筐体22の内部には、図示しない基板、演算装置、及びメモリ等の各種電子部品が収納されている。
本体部16の上面16aに設けられたキーボード20は、複数のキー20aと、各キー20aの周囲に設けられたベゼル20bとによって構成されている。ベゼル20bは、一枚の板状部材に各キー20aを挿通させる複数の孔部21(図8参照)が形成された枠体である。ベゼル20bは、本体部16の上面16a、具体的には本体筐体22の上カバー22aに形成されたキーボード20の配設用の開口内で上下動可能であり(図8及び図9参照)、この上下動作(進退動作)は、ヒンジ機構12による表示部14の回動動作と連動する。キーボード20の略中央には、ポインティングスティック17が配設されている。ポインティングスティック17はディスプレイ18に表示されるカーソル(図示せず)を操作するためのものであり、クリックパッド19に割り付けられたボタン機能と連係可能な入力手段である。
本体部16の上面16aの前方中央に設けられたクリックパッド19は、タッチ操作と押下操作とを受け付けるクリック式のタッチパッドである。クリックパッド19は、平板状のセンサ板(操作板)19aを指でなぞるタッチ操作をすることでカーソルを操作するポインティング機能と、センサ板19a自体を押下操作することでクリック等を行うボタン機能とを有する。クリックパッド19の構造は公知のものであり、センサ板19aの下に配設されたラバードーム19b(図16参照)を押し潰すように押下操作することにより、図示しないスイッチを接離することができる。本実施形態のクリックパッド19は、センサ板19aの上面(タッチ面)の領域分けにより5種類のボタン機能が割り付けられた構造(5ボタンクリックパッド)となっている。クリックパッド19の押下操作(ボタン機能)は、本体筐体22内に設けられたストッパ機構24により規制可能であり(図6及び図16参照)、このストッパ機構24の動作は、ヒンジ機構12による表示部14の回動動作と連動する。
2.ヒンジ機構の説明
2.1 ヒンジ機構の構成の説明
次に、ヒンジ機構12の構成例について説明する。
図4は、本実施形態に係る電子機器10に設けられるヒンジ機構12の構成を模式的に示す斜視図であり、表示部14が本体部16に対して0度位置から180度位置にある場合での左側のヒンジ機構12Lの状態を示している。以下では、ヒンジ機構12として、図4及び図5に示すように左側のヒンジ機構12Lを例示して説明するが、右側のヒンジ機構12Rは、左側のヒンジ機構12Lと左右対称構造であって、図4中に2点鎖線で示すリンクピン26の取付位置が左右反対側となる以外は基本的には同一構造のため、その詳細な説明は省略する。
図4に示すように、ヒンジ機構12L(12R)は、左右方向に延在する第1シャフト(第1軸)28と、第1シャフト28と平行して設置された第2シャフト(第2軸)30と、第1シャフト28及び第2シャフト30をそれぞれ回転可能に軸支した左右一対のガイドプレート32,32とを備える。一対のガイドプレート32,32間であって、第1シャフト28と第2シャフト30とに挟まれる位置には、第1シャフト28と第2シャフト30の間を往復移動可能且つ回転可能に支持されたフロートピン34が設けられている。
第1シャフト28は、その両端が表示部14の筐体に設けられた図示しない嵌合孔に嵌入固定されることで該表示部14に対して回転不能な状態で連結される。第2シャフト30は、その両端が本体部16の本体筐体22に設けられた図示しない嵌合孔に嵌入固定されることで該本体部16に対して回転不能な状態で連結される。
各ガイドプレート32は、両端が円弧状に形成された帯状のプレート部材であり、両端の円弧状部分にそれぞれ軸孔32a,32bが貫通形成されている。軸孔32aに第1シャフト28が回転可能に挿通され、軸孔32bに第2シャフト30が回転可能に挿通されている。これにより、表示部14は、第1シャフト28と共にガイドプレート32に対して回転可能に支持され、本体部16は、第2シャフト30と共にガイドプレート32に対して回転可能に支持される。
各ガイドプレート32の軸孔32a,32bの間となる中央部分には、軸孔32a,32bの並び方向(図4中で上下方向)に延在する長孔32cが形成されている。長孔32cには、フロートピン34両端の小径部34aが挿通される。
フロートピン34は、両端の小径部34aがそれぞれ左右のガイドプレート32の長孔32cに対して内面側から挿通されると共に、中央の大径部34bによって長孔32cからの抜け止めがなされる。これにより、フロートピン34は、左右のガイドプレート32,32間であって第1シャフト28と第2シャフト30の間となる位置で、長孔32cの長手方向に沿って移動可能、且つ長孔32cを軸受として回転可能な状態で支持される。
第1シャフト28及び第2シャフト30の左右のガイドプレート32,32間に位置する中央部分の外周面には、フロートピン34の大径部34bの一部を嵌合可能な円弧形状の溝部28a及び溝部30aが形成されている。図4に示すように、溝部28a,30aは、表示部14が本体部16に対して、0度位置から180度位置にある状態で上方を向く位置に形成されている。従って、図4に示す状態では、重力によって長孔32c内の下部に位置しているフロートピン34は、その大径部34bが第2シャフト30の溝部30aに嵌合している(図5(A)〜図5(D)参照)。
図4中に2点鎖線で示すように、ヒンジ機構12L(12R)は、箱状のヒンジ筐体36を有する。ヒンジ筐体36は、その内面に各ガイドプレート32の周端面が固定されることで該ガイドプレート32を含むヒンジ機構12L(12R)の全ての構成要素をその内部に収容する。第1シャフト28両端及び第2シャフト30両端のみがヒンジ筐体36の左右両側面から外部に突出し、それぞれ表示部14及び本体部16に連結される。
ヒンジ筐体36の一方の側面であって、第2シャフト30の前側となる位置には、リンクピン26が突設されている(図4中に2点鎖線で示すリンクピン26参照)。リンクピン26は、ヒンジ機構12とベゼル20b及びストッパ機構24とを連動させるための部品である。リンクピン26は、左右のヒンジ機構12L,12Rの内側面に設けられ、後述するリンク機構40に連結されている(図6も参照)。
ヒンジ筐体36の他方の側面であって、長孔32cの後側となる位置には、ストッパ片37が突設されている(図4中に2点鎖線で示すストッパ片37参照)。ストッパ片37は、180度位置となった表示部14と当接し、それ以上の回動を規制するための部材である(図5(D)も参照)。
2.2 ヒンジ機構による回動動作の説明
次に、ヒンジ機構12による表示部14と本体部16の回動動作について説明する。
図5は、図4に示すヒンジ機構12を用いた表示部14の本体部16に対する回動動作を模式的に示す動作説明図であり、左側のヒンジ機構12Lの動作を代表的に示している。図5(A)は、0度位置を示す図であり、図5(B)は、45度位置を示す図であり、図5(C)は、135度位置を示す図であり、図5(D)は、180度位置を示す図であり、図5(E)は、225度位置を示す図であり、図5(F)は、315度位置を示す図であり、図5(G)は、360度位置を示す図である。
表示部14を本体部16から開く方向に回動させる場合、先ず、図5(A)〜図5(D)に示す0度位置から180度位置までの間は、フロートピン34が溝部30aに嵌合している。このため第2シャフト30の回転が規制され、本体部16及び第2シャフト30とヒンジ筐体36とが一体化している。従って、これら本体部16、第2シャフト30、及びヒンジ筐体36に対して、表示部14が第1シャフト28と共に該第1シャフト28を回動軸として回動し、例えば、図2に示すようなノート型PCとしての使用が可能となる。
図5(D)に示す180度位置(図2中に2点鎖線で示す表示部14も参照)では、表示部14の背面14bがヒンジ筐体36に設けられたストッパ片37に当接し、第1シャフト28を回動軸とした回動が規制される。この状態では、第1シャフト28の溝部28aが下方を向き、フロートピン34を受け入れ可能な位置となっている。
続いて、表示部14を180度位置よりもさらに開き方向に回動させようとすると、今度は、図5(E)に示すように、ストッパ片37を介して表示部14及び第1シャフト28とヒンジ筐体36とが一体となり、第2シャフト30を回動軸として回動し始める。この回動に伴い、フロートピン34が第2シャフト30の溝部30aから離脱して第1シャフト28の溝部28aに嵌入し、本体部16及び第2シャフト30とヒンジ筐体36との一体化が解除される。これにより、図5(E)〜図5(G)に示すように、180度位置より開き方向では、表示部14、第1シャフト28、及びヒンジ筐体36とが一体となり、本体部16に対して第2シャフト30を回動軸として回動する。
最終的には、図5(G)に示すように、表示部14が本体部16の背面側に回り込み、ストッパ片37が本体部16の背面に当接すると回動が規制されて360度位置となり、例えば、図3に示すようなタブレット型PCとしての使用が可能となる。
3.ヒンジ機構による回動動作と連動する可動構造の説明
3.1 リンク機構の説明
次に、ヒンジ機構12による表示部14の回動動作とベゼル20b及びストッパ機構24とを連動させるリンク機構40について説明する。
図6は、本体部16の内部構造を模式的に示す平面図であり、本体筐体22の上カバー22aを取り外し、ヒンジ機構12と連動してベゼル20b及びストッパ機構24を動作させるリンク機構40を模式的に示している。図6では、左側のヒンジ機構12L及びこれと連動するリンク機構40は、0度位置〜180度位置での状態を示し、右側のヒンジ機構12R及びこれと連動するリンク機構40は、360度位置での状態を示している。
図6に示すように、リンク機構40は、本体部16の本体筐体22内部に収容配置されており、ヒンジ機構12と連結されるリンク部材42と、リンク部材42と緩衝部44を介して連結されるスライド部材46とを備える。
リンク部材42は、ヒンジ機構12のリンクピン26に一端が係合されるL字状の係合アーム42aと、係合アーム42aの他端から前方に向けて延在したレール42bとを備える。リンク部材42は、下カバー22bの上面(内面)上で前後方向に移動可能に設けられている。係合アーム42aの先端には、上下方向に延在し、下方が開口した係合凹部39が設けられている(図7及び図13参照)。リンクピン26に対して係合凹部39を上から係合させることにより、リンクピン26と係合アーム42a(リンク機構40)とが連結されると共に、リンクピン26は、係合凹部39内で上下方向に移動可能且つ回転可能な状態で保持される。
スライド部材46は、リンク部材42のレール42bに摺動可能に係合される前後一対のスライダ46a,46aと、ブリッジ46bによってスライダ46aと連結されるスライドフレーム(第1スライド部材)46cとを備える。スライド部材46は、下カバー22bの上面上で前後方向に移動可能に設けられている。スライダ46aの前端側と、レール42bの後端側との間には、緩衝部44を構成するコイルばね44aが架け渡されている。リンク部材42とスライド部材46とは、コイルばね44aによって連結されている。通常時、リンク部材42がヒンジ機構12の回動動作に伴って移動すると、コイルばね44aが実質的に硬質な棒体として機能し、スライド部材46もリンク部材42と共に移動する。一方、スライド部材46が外力を受けて移動不能な状態でヒンジ機構12が回動された場合には、コイルばね44aが伸張し、リンク部材42のみが移動する。緩衝部44は、コイルばね44aを用いる構成以外でもよい。
スライドフレーム46cの内側面には、スリット49が複数形成されている。前端側を除く各スリット49には、ベゼル20bの下面に軸支されて左右方向に延在した駆動ワイヤ(ワイヤ部材)48の端部が係合される。前端側のスリット49には、伝達ワイヤ(ワイヤ部材)52の一端が係合される。伝達ワイヤ52の他端は、ストッパ機構24を構成するスライドバー50のスリット50aと係合される。スライドフレーム46cは、その前後方向の長孔46dに下カバー22bから立脚したガイドピン51が挿入されることで前後方向にガイドされている(図8及び図9参照)。
3.2 ベゼルの可動構造の説明
次に、ベゼル20bの可動構造について説明する。
3.2(1) ベゼルの構成の説明
先ず、ベゼル20bの構成について説明する。図7は、ベゼル20bの上下動作を説明するための側面図であり、図7(A)は、0度位置から180度位置までの間でのベゼル20b及びリンク機構40の状態を示す図であり、図7(B)は、360度位置でのベゼル20b及びリンク機構40の状態を示す図である。図8は、0度位置から180度位置までの間でのベゼル20b及びキー20aの状態を示す斜視図であり、図9は、360度位置での間でのベゼル20b及びキー20aの状態を示す斜視図である。
ベゼル20bは、キーボード20のキー20aの周囲に配置された枠状のプレート部材であり、本体部16の上面16a側で上下動可能となっている。ベゼル20bは、その下面(内面)が駆動ワイヤ48によって押圧されることで上下動する。ベゼル20bは、その上面がキー20aの頂面よりも下にある下降位置(図7(A)及び図8参照)から、その上面がキー20aの頂面と面一又は僅かに上にある上昇位置(図7(B)、及び図9参照)まで移動することができる。
図8に示すように、ベゼル20bは、その横枠20cや縦枠20dの内部に、下カバー22bから立脚した複数のガイドピン56が適宜介在している。ガイドピン56により、ベゼル20bが左右方向及び前後方向にガイドされ、その上下動作ががたつきのない円滑なものとなっている。
3.2(2) 駆動ワイヤの構成の説明
次に、ベゼル20bを上下動作させる駆動ワイヤ48の構成及び動作について説明する。図10は、駆動ワイヤ48の動作を説明するために該駆動ワイヤ48の一端側を模式的に示した平面図であり、図10(A)は、0度位置から180度位置までの間での駆動ワイヤ48の状態を示す図であり、図10(B)は、360度位置での駆動ワイヤ48の状態を示す図である。
図6に示すように、駆動ワイヤ48は、左右のスライドフレーム46c,46cのスリット49,49間に架け渡されている。駆動ワイヤ48は、SUS材等で形成された硬質の線材であり、例えば、直径1mm程度で十分な剛性を有する。本実施形態では7本の駆動ワイヤ48を前後方向に並列している。各駆動ワイヤ48は、その端部が左右のスリット49,49にそれぞれ上下動可能に且つ回転可能に係合され、各キー20a間に形成された前後方向の間隙を埋めるように左右に延在したベゼル20bの横枠20cの下面に対し、回転可能な状態で連結されている(図7〜図10参照)。
駆動ワイヤ48の両端には、図10(A)に示す0度位置から180度位置までの姿勢で見た場合に、左右方向に延びてスリット49に係合される係合部48aと、係合部48aの基端から屈曲して上方へと延在した第1アーム部48bと、第1アーム部48bの基端から屈曲して左右方向で内方へと延在した第2アーム部48cと、第2アーム部48cの基端から屈曲して後方へと延在した第3アーム部48dとが形成されている。左右両端の第3アーム部48dから左右方向で内方へと屈曲して左右方向に延在したベース部48eがベゼル20bの横枠20cの下面に軸支される。ベース部48eには、前方に向けてV字状に屈曲された押圧部48fが形成されている。押圧部48fは、ベース部48eの左右方向に渡って複数形成され、各キー20a間に形成された左右方向の隙間を埋めるように前後に延在したベゼル20bの縦枠20dの下面位置に対応するように配置されている(図8及び図9参照)。駆動ワイヤ48の両端の構成は、左右対称形状となっている。
図7及び図10に示すように、駆動ワイヤ48のベース部48eは、壁部材60に形成された上下方向の長孔60aに挿通され、該長孔60a内で回転可能且つ上下動可能に保持されている。壁部材60は、キーボード20の外周を囲うように、本体筐体22の下カバー22bから起立したものである。なお、図8及び図9では、図面の見易さを確保するため、壁部材60を省略している。
3.2(3) ベゼルの上下動作の説明
次に、このような駆動ワイヤ48を用いたベゼル20bの上下動作について説明する。
ヒンジ機構12による表示部14の回動動作時、ヒンジ筐体36の側面から突出したリンクピン26は、図5(A)〜図5(D)に示す0度位置から180度位置までは、その位置が変化しないヒンジ筐体36と共に同一位置に保持されており、第2シャフト30の前方側となる位置に留まっている。そして、表示部14が180度位置を超えて開き方向に回動されると、今度は第2シャフト30を軸心として回動するヒンジ筐体36に伴い、リンクピン26も次第に後方へと移動し(図5(E)及び図5(F)参照)、360度位置では、第2シャフト30の後方側となる位置まで移動することになる(図5(G)参照)。
このように、ヒンジ機構12では、表示部14の回動角度が180度位置までの間は、リンクピン26の前後方向位置は変化しないが、180度位置を超えた後は、その回動角度の増加に伴って後方側へと次第に移動することになる。
従って、0度位置から180度位置までの間は、図7(A)に示すように、リンクピン26の前後方向位置は変化せずに位置P1に留まり、リンク機構40を構成するスライドフレーム46cの位置も初期位置に留まっている。この際、駆動ワイヤ48は、図7(A)及び図10(A)に示すように、ベース部48eが下カバー22b上に着地し、押圧部48fも横倒し姿勢で下カバー22b上に着地している。このため、壁部材60の長孔60a内で保持されたベース部48eから屈曲した第3アーム部48dも、下カバー22b上に着地し、図7(A)に示す水平姿勢(0度姿勢)となっている。なお、図7(A)及び図7(B)では、ベゼル20bや駆動ワイヤ48の動作を明示するため、スライド部材46(スライドフレーム46c)はその外形のみを図示している。
この状態では、駆動ワイヤ48のベース部48eが回転可能に連結されたベゼル20bもベース部48eによって引き寄せられて下降位置にあり、図8に示すように、キー20aの頂面よりもベゼル20bの上面が下にあり、キー20aを良好に操作することができる。なお、図11に示すように、ベゼル20bの下面と、下カバー22bの上面との間には、常時ベゼル20bを下方へと付勢するねじりコイルばね62が介在している。ねじりコイルばね62の付勢力により、0度位置から180度位置までの間で、ベゼル20bは確実に所定の下降位置に保持され、がたつき等を生じることがない。ねじりコイルばね62は、例えば、ベゼル20bの縦枠20dの下面側に複数設けられる。
続いて、180度位置を超えて表示部14が回動されると、リンクピン26は第2シャフト30を軸心として開き方向へと回動するヒンジ筐体36により、該第2シャフト30を回動軸として旋回動作して上方に移動しつつ、その前後方向位置が後方に移動する。例えば、270度位置では、リンクピン26はリンク部材42の係合アーム42aの係合凹部39内で上方へと移動しつつ、該リンク部材42を後方へと引き寄せ移動させる(図7(A)中の2点鎖線参照)。そうすると、図7(B)及び図10(B)に示すように、後方に移動するスライドフレーム46cにより、駆動ワイヤ48の係合部48aが後方へと移動される。このため、駆動ワイヤ48は、係合部48aがスライドフレーム46cのスリット49内で回転しつつ上昇し、ベース部48eが壁部材60の長孔60a内で回転しつつ上昇するため、ベース部48eが上方へと持ち上がり、押圧部48fはV字の頂点で下カバー22b上を摺接しつつ立ち上がる。
表示部14がさらに回動されると、リンクピン26は第2シャフト30を軸心として旋回動作して次第に下方へと移動しつつ、その前後方向位置がさらに後方に移動する。これにより、リンクピン26は、リンク部材42の係合アーム42aの係合凹部39内で今度は下方へと移動しつつ、該リンク部材42をさらに後方へと引き寄せ移動させる。
最終的に、360度位置では、リンクピン26は図7(B)に示す位置P2となり(図5(G)も参照)、スライドフレーム46cもさらに後方へと移動している。従って、図7(B)及び図10(B)に示すように、下カバー22b上に着地している第2アーム部48cの基端側から屈曲した第3アーム部48dが、下カバー22b上から起立し、図7(B)に示す略鉛直姿勢(80度姿勢)となる。なお、図10(B)では、図面の見易さを確保するため、駆動ワイヤ48を90度回転させ、第3アーム部48dを鉛直姿勢(90度姿勢)とした状態を図示しているが、実際には、図7(B)と同様な80度姿勢となっている。
この状態では、ベース部48eは下カバー22bから上昇した上昇位置にあり、このベース部48eと連結されたベゼル20bも、ねじりコイルばね62の付勢力に抗してベース部48eによって持ち上げられて上昇位置にある。このため、図9に示すように、ベゼル20bの上面がキー20aの頂面と面一又は僅かに上にあり、キーボード20の上面が略平面となる(図12(B)も参照)。つまり、各キー20aがベゼル20bによって実質的に隠された状態となるため、タブレット型PCとして使用する際、キーボード20が邪魔になることがない。
一方、360度位置にある表示部14を閉じ方向に回動動作させる場合には、上記の開き方向への回動動作と逆方向の動作が生じるため、表示部14が360度位置から180度位置へと回動されるのに伴い、リンクピン26は前方へと移動する。これにより、駆動ワイヤ48は、図7(A)及び図10(A)に示すように、ベース部48e及び押圧部48fが下カバー22b上に着地し、第3アーム部48dが下カバー22b上に着地した水平姿勢(0度姿勢)に戻るのに伴い、ベゼル20bもベース部48eによって引き寄せられて下降位置となる。この際、ねじりコイルばね62の付勢力により、ベゼル20bを確実に下降位置に戻すことができる。
図12(A)及び図12(B)に示すように、ベゼル20bのキー20aに対応した孔部21の下端部には、当該孔部21の内方へと突出したキーストッパ64が突設されている。
図12(B)に示すように、360度位置となってベゼル20bが上昇位置となった場合には、キーストッパ64がキー20aの下端を保持する位置に上昇する。これにより、ベゼル20bが上昇位置となった場合のキー20aの押下操作が阻止されるため、タブレット型PCとしての使用形態時に、誤ってキー20aが操作されること、及びキー20aがガタつきを生じることを防止できる。つまり、ベゼル20b及びこれに設けられたキーストッパ64は、リンク機構40の動作と連動して動作し、可動部材であるキー20aの動作(押下操作)を規制するストッパ機構(ストッパ部材)として機能することになる。
図12(A)に示すように、下カバー22bのキーストッパ64に対応する位置には、該キーストッパ64を挿入可能な切欠き(逃げ部)66が形成されている。これにより、0度位置から180度位置の間でベゼル20bが下降位置にある場合には、キーストッパ64をキー20aから十分に離間した位置まで退避させておくことができ、キー20aのストロークを十分に確保することが可能となっている。
3.3 ストッパ機構の可動構造の説明
次に、クリックパッド19の押下操作を規制するストッパ機構24の可動構造について説明する。
3.3(1) ストッパ機構の構成の説明
先ず、ストッパ機構24の構成について説明する。図13は、スライドフレーム46cがスライドした際の伝達ワイヤ52の状態を説明するための側面図であり、図13(A)は、0度位置から180度位置までの状態を示す図であり、図13(B)は、360度位置での状態を示す図である。図14は、ストッパ機構24の動作を説明するための側面断面図であり、図14(A)は、0度位置から180度位置までの間でのストッパ機構24の状態を示す図であり、図14(B)は、360度位置でのストッパ機構24の状態を示す図である。図15は、ストッパ機構24の動作を説明するための平面説明図であり、図15(A)は、0度位置から180度位置までの間でのストッパ機構24の状態を示す図であり、図15(B)は、360度位置でのストッパ機構24の状態を示す図である。図16は、ストッパ機構24の動作を説明するための正面断面図であり、図16(A)は、0度位置から180度位置までの間でのストッパ機構24の状態を示す図であり、図16(B)は、360度位置でのストッパ機構24の状態を示す図である。
図6に示すように、ストッパ機構24は、本体部16の本体筐体22内部に収容配置されており、クリックパッド19の左右両側部に沿って設けられた左右一対のスライドバー(第2スライド部材)50,50と、各スライドバー50にそれぞれ連結された前後一対のストッパ部材70,70とを備える。スライドバー50は、伝達ワイヤ52を介してリンク機構40のスライドフレーム46cと連動する。
各スライドバー50は、下カバー22bの上面(内面)上で前後方向に移動可能に設けられている。各スライドバー50は、後端側の外側面(スライドフレーム46c側の側面)に設けられたスリット50aと、スリット50aの前方に前後一対で設けられた連結孔50b,50bと、一対の連結孔50b,50bの内面側(クリックパッド19側)に前後一対で設けられた長孔50c,50cとを有する(図15も参照)。スライドバー50は、その前後方向の長孔50cに下カバー22bから立脚したガイドピン72が挿入されることで前後方向にガイドされている。
各ストッパ部材70は、軸孔70aに挿入されたガイドピン72により、本体筐体22(下カバー22b)に対して回動可能に軸支された平面視略L字状の板状部材であり、スライドバー50の下面側に配設されている(図6及び図14参照)。ストッパ部材70は、舌片状の突出片70bと、突出片70bと略直交方向に突出した先細り部分の先端上面から上方へと突出した連結ピン70cとを有する。軸孔70aは、L字の角部となる突出片70bと前記先細り部分の交点付近に形成されている。突出片70bは、図6のヒンジ機構12L側及び図15(A)に示す0度位置から180度位置までの姿勢で見た場合に、後方へと突出した薄板部分である。連結ピン70cは、スライドバー50の連結孔50bに対し、その下側から上方に向かって回転可能に挿入される。
従って、ストッパ機構24では、スライドバー50が前後方向に移動すると、その連結孔50bに挿入された連結ピン70cが前後方向に引き寄せられ、これによりストッパ部材70がガイドピン72を回動軸として回動動作する(図6及び図14〜図16参照)。この際、表示部14が0度位置から180度位置までの間にある場合には、図6のヒンジ機構12L側及び図15(A)に示すように、突出片70bが前後方向に沿った姿勢(初期位置)となる。また、表示部14が360度位置にある場合には、図6のヒンジ機構12R側及び図15(B)に示すように、突出片70bが左右方向に傾いた姿勢(回動位置)となってスライドバー50の側方に突出し、その先端側が平面視でクリックパッド19と重なる位置となる。
3.3(2) 伝達ワイヤの構成の説明
次に、スライドフレーム46cの駆動力をストッパ機構24に伝達する伝達ワイヤ52の構成及び動作について説明する。図17は、伝達ワイヤ52の動作を模式的に示した平面図であり、図17(A)は、0度位置から180度位置までの間での伝達ワイヤ52の状態を示す図であり、図17(B)は、360度位置での伝達ワイヤ52の状態を示す図である。
図6に示すように、伝達ワイヤ52は、ヒンジ機構12Lによって駆動されるスライドフレーム46cとクリックパッド19の左側のスライドバー50との間、及び、ヒンジ機構12Rによって駆動されるスライドフレーム46cとクリックパッド19の右側のスライドバー50との間にそれぞれ架け渡されている。伝達ワイヤ52は、上記した駆動ワイヤ48と同じくSUS材等で形成された硬質の線材であり、例えば、直径1mm程度で十分な剛性を有する。各伝達ワイヤ52は、一端がスライドフレーム46cのスリット49に上下動可能に且つ回転可能に係合され、他端がスライドバー50のスリット50aに上下動可能に且つ回転可能に係合され、下カバー22bの上面上で回転可能に保持されている(図6及び図17参照)。
伝達ワイヤ52の両端には、図17(A)に示す0度位置から180度位置までの姿勢で見た場合に、左右方向に延びてスライドフレーム46c及びスライドバー50のスリット49,50aにそれぞれ係合される係合部52a,52bと、係合部52a,52bの各基端から屈曲して後方斜め下方へと延在したアーム部52c,52d(図13(A)及び図14(A)も参照)とが形成されている。各アーム部52c,52d間には、その基端から屈曲して左右方向に延在したベース部52eが設けられている。ベース部52eは、本体筐体22の下カバー22bの上面に設けられた左右一対の軸受部74,74により、下カバー22b上で回転可能に且つ前後方向に移動不能に支承されている。ベース部52eには、前方に向けて略U字状に屈曲されたガイド部52fが形成されている。ガイド部52fは当該伝達ワイヤ52の略中央に形成されている。図17(A)に示す0度位置から180度位置までの姿勢で、ガイド部52fは、下カバー22bの上面に設けられたガイドリブ76の前端縁部の周囲をなぞりながら回り込む形状とされている。ガイドリブ76は、下カバー22bの上面から突出し、前後方向に延びた薄板部材である。伝達ワイヤ52は、左右対称形状となっている。
3.3(3) ストッパ機構の動作の説明
次に、このような伝達ワイヤ52を用いたストッパ機構24の動作について説明する。
先ず、0度位置から180度位置までの間は、図13(A)に示すように、リンクピン26の前後方向位置は変化せずに位置P1に留まり、スライドフレーム46cの位置も初期位置に留まっている。この際、伝達ワイヤ52は、図13(A)、図14(A)及び図17(A)に示すように、下カバー22b上で軸受部74によって支承されたベース部52eに対し、両側のアーム部52c,52dが前側に傾いた姿勢となっている。
この状態では、伝達ワイヤ52によってスライドフレーム46cと連結されたストッパ機構24のスライドバー50は前進位置(初期位置)にある。そのため、図6及び図15(A)に示すように、ストッパ部材70の突出片70bが前後方向に沿った姿勢(初期位置)であり、平面視でクリックパッド19のセンサ板19aと重ならない位置にある。従って、図16(A)に示すようにクリックパッド19のセンサ板19aを良好に押下操作することができる。
続いて、180度位置を超えて表示部14が回動されると、リンクピン26は第2シャフト30を軸心として旋回動作し、その前後方向位置が後方に移動する。例えば、270度位置では、リンクピン26はリンク部材42の係合アーム42aの係合凹部39内で上方へと移動しつつ、該リンク部材42を後方へと引き寄せ移動させる(図13(A)中の2点鎖線参照)。そうすると、図13(B)及び図17(B)に示すように、後方に移動するスライドフレーム46cにより、伝達ワイヤ52の一端の係合部52aが後方へと移動される。このため、伝達ワイヤ52は、係合部52aがスライドフレーム46cのスリット49内で回転しつつ、軸受部74に支承されたベース部52eが下カバー22b上で回転する。これにより、図14(B)及び図17(B)に示すように、他端の係合部52bも後方へと移動し、スライドバー50を後方に移動させる。このベース部52eの回転時、ガイド部52fがガイドリブ76に摺接しつつその上端面に乗り上げるため、伝達ワイヤ52の上下左右方向へのがたつきが防止され、回転が安定する。
ここで、ストッパ機構24では、伝達ワイヤ52の回転に伴ってスライドバー50が後方に移動すると、ストッパ部材70の連結ピン70cが連結孔50bによって後方に引き寄せられる。このため、ストッパ部材70が下カバー22bのガイドピン72を回動軸として従動的に回動動作し、突出片70bの先端側が次第にクリックパッド19のセンサ板19aの下方に潜り込むように移動する(図6及び図15(B)参照)。
最終的に、360度位置では、リンクピン26は図13(B)に示す位置P2となり(図5(G)も参照)、スライドフレーム46cもさらに後方へと移動している。従って、図13(B)、図14(B)及び図17(B)に示すように、下カバー22b上で軸受部74によって支承されたベース部52eに対し、両側のアーム部52c,52dが後側に傾いた姿勢となっている。
この状態では、伝達ワイヤ52によってスライドフレーム46cと連結されたストッパ機構24のスライドバー50も後進位置にある。そのため、図6、図15(B)及び図16(B)に示すように、ストッパ部材70の突出片70bが左右方向に傾いた姿勢(回動位置)となってスライドバー50の側方に突出し、突出部70bの先端側が平面視でクリックパッド19のセンサ板19aの下面とベース板19cの間に潜り込んだ位置となる。従って、図16(B)に示すように、突出片70bによってクリックパッド19のセンサ板19aの押下操作が規制され、センサ板19aが上下動不能な状態になる。これにより、クリックパッド19の押下操作が規制されるため、クリックパッド19が実質的に平坦面となり、タブレット型PCとして使用する際、その裏面で可動することがない。
一方、360度位置にある表示部14を閉じ方向に回動動作させる場合には、上記の開き方向への回動動作と逆方向の動作が生じるため、表示部14が360度位置から180度位置へと回動されるのに伴い、リンクピン26は前方へと移動する。これにより、伝達ワイヤ52は、図13(A)、図14(A)及び図17(A)に示すように、ベース部52eを基準として、両側のアーム部52c,52dが前側に傾いた姿勢に戻るのに伴い、スライドバー50も前進位置に戻る。このため、ストッパ機構24のストッパ部材70も突出片70bが前後方向に沿った初期位置に戻り、クリックパッド19の押下操作が可能になる。
4.緩衝部の説明
次に、緩衝部44の作用について説明する。
上記のように、電子機器10では、ヒンジ機構12の回動動作と連動するリンク機構40を設けたことにより、表示部14を180度位置から360度位置まで回動させた際、可動部材であるベゼル20b及びストッパ機構24のストッパ部材70を動作させることができる。
ところが、例えば、使用者が本体部16を手で把持し、ベゼル20b又はクリックパッド19を手で押さえた状態のまま、タブレット型PCとしての使用形態に変形すべく表示部14を360度位置まで回動させようとしたとする。この場合には、リンク部材42はリンクピン26によって後方に移動させられる力を受ける。ところが、ベゼル20bが押さえられているとその上動が阻止され、クリックパッド19が押下されているとストッパ部材70の回動が阻止されるため、スライド部材46は移動することができない。このため、表示部14、ヒンジ機構12、及びリンク機構40に大きな負担がかかり、各部に破損等を生じる懸念がある。
そこで、本実施形態に係る電子機器10では、リンク機構40に緩衝部44を設け、表示部14の回動動作とベゼル20b及びストッパ機構24の動作とのリンク機構40による連動状態を解除可能に構成している。すなわち、緩衝部44は、ヒンジ機構12と連動するリンク部材42と、ベゼル20bやストッパ機構24と連動するスライド部材46との間に介在している。
緩衝部44は、上記のようにベゼル20bやクリックパッド19が押さえられていない通常時には、コイルばね44aによってリンク部材42とスライド部材46とを一体的に動作させる(図6のヒンジ機構12R側のリンク機構40参照)。一方、人手等によりベゼル20b又はクリックパッド19が押さえられた状態で表示部14が回動させられた場合には、ヒンジ機構12のリンクピン26によって後方に移動しようとするリンク部材42と、人手による押圧力によってその場に留まろうとするスライド部材46との間で、コイルばね44aが伸張する。そうすると、リンク部材42のレール42bとスライド部材46のスライダ46aとが摺動し、レール42bのみが後方に移動する。これにより、表示部14、ヒンジ機構12、及びリンク部材42は問題なく所定の動作を行うことができるため、表示部14、ヒンジ機構12、及びリンク機構40の各部に大きな負担がかかり、各部に破損等を生じることを回避できる。
このように、緩衝部44は、リンク部材42とスライド部材46との間を接離するクラッチとして機能し、ベゼル20b又はクリックパッド19が押さえられた状態での各部の負担の発生を緩衝する機能を果たす。なお、緩衝部44のコイルばね44aが伸張したまま表示部14が360度位置等まで回動された後は、その状態からベゼル20b又はクリックパッド19への押圧力を解除すれば、コイルばね44aの弾性力によりスライド部材46がリンク部材42を追いかけるように所定位置へと移動し、ベゼル20bが上動し、或いはストッパ部材70が回動する。
5.電子機器の作用効果の説明
以上のように、本実施形態に係る電子機器10では、押圧操作によって動作する可動部材であるクリックパッド19を操作面上に設けた本体部16と、ディスプレイ18を設けた表示部14とをヒンジ機構12によって回動可能に連結している。そして、表示部14の本体部16に対する180度位置から360度位置までの回動動作と連動して動作するリンク機構40と、リンク機構40の動作と連動して動作し、可動部材であるクリックパッド19の動作を規制するストッパ機構24とを備える。
従って、表示部14を360度位置まで回動させて電子機器10をタブレット型PCとして使用する場合に、その裏面にあるクリックパッド19が上下動してがたつき、人手による当該電子機器10の把持やディスプレイ18へのタッチパネル操作の安定性が損なわれることを防止でき、高い操作安定性を確保することができる。また、裏面のクリックパッド19の押圧操作を規制できるため、裏面のクリックパッド19が意図せずに操作され、誤作動を生じることを回避できる。一方、表示部14を例えば90度位置としたノート型PCとして使用する場合には、ストッパ機構24によるクリックパッド19の動作の規制が解除されているため、クリックパッド19を用いた良好な操作が可能となる。
なお、ストッパ機構24によってその動作が規制される可動部材は、クリックパッド19以外にも、例えば、図18(A)及び図18(B)に示すような所定の機能が割り当てられた機能ボタン80であってもよい。機能ボタン80は、上下動可能なボタンであり、押下操作されることにより所定の機能を発揮するものである。機能ボタン80としては、当該電子機器10の電源をオン・オフする電源ボタン、スピーカー音量を変更するボリュームボタン、音量を消音するスピーカーミュートボタン、マイクをオフするマイクミュートボタン等、各種機能を有するものを例示できる。機能ボタン80は、本体部16の上面16a上で上下方向に押下操作されるもの以外であってもよく、例えば、上面16a上で水平方向にスライド操作されるものであってもよい。また、本実施形態に係る電子機器10では、上記したように、ベゼル20b及びこれに設けられたキーストッパ64(図12参照)も、表示部14が180度位置を超えた際に可動部材であるキー20aの動作を規制するストッパ機構(ストッパ部材)として機能する。
本実施形態では、スライドフレーム46cとスライドバー50との間を、スライドフレーム46cの前後方向への移動力を受けて回転することで、スライドバー50を前後方向へと移動させる伝達ワイヤ52で連結している。このため、スライドフレーム46cとスライドバー50との間での前後方向の動力の伝達を実質的に前後方向に移動せず、その場で回転するだけの伝達ワイヤ52で賄うことができる。これにより、伝達ワイヤ52の設置スペースを可及的に抑えることができ、例えば、クリックパッド19の側方にバッテリ(図示せず)等が配置されている場合にも邪魔になることがない。勿論、スライドフレーム46cとスライドバー50との間は、これらと一体的に移動するフレーム部材等で連結してもよい。
なお、本発明は、上記した実施形態に限定されるものではなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲で自由に変更できることは勿論である。
上記実施形態では、ストッパ機構24として、スライドバー50と、このスライドバー50の前後方向への移動によって従動的に回動するストッパ部材70とを備えた構成を例示したが、ストッパ部材を省略し或いはストッパ部材をスライドバー50と一体的に構成し、スライドバー50がストッパ部材としての機能も兼ね、直接的にクリックパッド19や機能ボタン80の下側等に係合する構成等としてもよい。さらには、スライドバー50や伝達ワイヤ52を用いず、スライドフレーム46c又はこれによって従動的に回転するストッパ部材(図示せず)をストップ機構として使用してもよい。
10 電子機器
12,12L,12R ヒンジ機構
14 表示部
16 本体部
16a 上面
16b 下面
18 ディスプレイ
19 クリックパッド
19a センサ板
20 キーボード
20a キー
20b ベゼル
22 本体筐体
22a 上カバー
22b 下カバー
24 ストッパ機構
26 リンクピン
28 第1シャフト
30 第2シャフト
39 係合凹部
40 リンク機構
42 リンク部材
44 緩衝部
46 スライド部材
46c スライドフレーム
48 駆動ワイヤ
49,50a スリット
50 スライドバー
51,56,72 ガイドピン
52 伝達ワイヤ
64 キーストッパ
70 ストッパ部材
70b 突出片
70c 連結ピン
74 軸受部
80 機能ボタン

Claims (8)

  1. 押圧操作によって動作する可動部材を操作面上に設けた本体部と、ディスプレイを設けた表示部とをヒンジ機構によって回動可能に連結し、前記本体部と前記表示部とを、操作面とディスプレイが対面する0度位置から操作面とディスプレイが同一方向を向いて互いに平行する180度位置を経て、操作面とディスプレイの背面同士が対面する360度位置まで回動可能とした電子機器であって、
    前記表示部の前記本体部に対する前記180度位置から前記360度位置までの回動動作と連動して動作するリンク機構と、
    該リンク機構の動作と連動して動作し、前記可動部材の動作を規制するストッパ機構とを備えることを特徴とする電子機器。
  2. 請求項1記載の電子機器において、
    前記可動部材は、タッチ操作と押下操作とを受け付けるクリック式のタッチパッドであることを特徴とする電子機器。
  3. 請求項1記載の電子機器において、
    前記可動部材は、所定の機能が割り当てられた機能ボタンであることを特徴とする電子機器。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項に記載の電子機器において、
    前記ストッパ機構は、前記リンク機構の動作と連動して移動することで前記可動部材に係合し、その動作を規制するストッパ部材を有することを特徴とする電子機器。
  5. 請求項4記載の電子機器において、
    前記リンク機構は、前記表示部の前記本体部に対する前記180度位置から前記360度位置までの回動動作と連動し、該本体部の本体筐体に対して前後方向に移動する第1スライド部材を有し、
    前記ストッパ機構は、前記第1スライド部材の前後方向への移動と連動して前後方向に移動し、前記ストッパ部材を移動させる第2スライド部材を有することを特徴とする電子機器。
  6. 請求項5記載の電子機器において、
    前記ストッパ部材は、前記本体筐体に対して回動可能に軸支されると共に、前記第2スライド部材と回転軸によって連結されており、前記前後方向に移動する第2スライド部材によって従動的に回動されることを特徴とする電子機器。
  7. 請求項5又は6記載の電子機器において、
    前記第1スライド部材と前記第2スライド部材との間は、前記第1スライド部材の前後方向への移動力を受けて回転することで、前記第2スライド部材を前後方向へと移動させるワイヤ部材で連結されていることを特徴とする電子機器。
  8. 請求項1〜7のいずれか1項に記載の電子機器において、
    前記ヒンジ機構は、第1軸が回転終点位置まで回転した後、第2軸が回転を開始する2軸構造であって、前記0度位置から前記180度位置までは前記第1軸が回転し、前記180度位置から前記360度位置までは前記第2軸が回転するものであり、
    前記リンク機構は、前記第2軸の回転と連動して動作することを特徴とする電子機器。
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