JP2015169166A - 内燃機関の冷却装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】シリンダヘッド内の第1冷却液通路とシリンダブロック内の第2冷却液通路とを含む冷却液循環経路、シリンダヘッド出口での冷却液温度を検出する第1温度センサとシリンダブロック出口での冷却液温度を検出する第2温度センサとを含む温度検出部、及び、各冷却液通路への冷却液の供給量を制御する電動式の流量制御弁と、を備えた冷却装置において、流量制御弁によって各冷却液通路への冷却液の供給量を所定量に制御している状態で、両温度センサの検出出力の偏差が判定値よりも大きいときに、温度検出部の故障の発生を検出する。
【選択図】図5
Description
このため、内燃機関の運転中に温度検出部(温度センサ)が故障し、しかも、故障により実際よりも低い温度を検出するようになると、この誤った検出結果に基づき冷却装置が制御されることで、冷却液の流量や冷却液からの放熱が過剰に抑えられ、内燃機関をオーバーヒートさせてしまう可能性があった。
図1は、本発明に係る内燃機関の冷却装置の一例を示す構成図である。
内燃機関10は、シリンダヘッド11及びシリンダブロック12を有してなり、内燃機関10の出力軸には、動力伝達装置の一例としての変速機20が接続され、変速機20の出力が図示省略した駆動輪に伝達される。つまり、内燃機関10は、車両を駆動する動力源として用いられる。
内燃機関10には、冷却水通路60として、シリンダヘッド11の気筒配列方向の一方端に設けた冷却水入口13と、シリンダヘッド11の気筒配列方向の他方端に設けた冷却水出口14とを接続し、シリンダヘッド11内に延設されるヘッド側冷却水通路61を設けてある。
このように、図1に例示した冷却装置において、シリンダブロック12には、シリンダヘッド11を経由して冷却水が供給され、シリンダブロック12に流れずにシリンダヘッド11を通過した冷却水は冷却水出口14から排出され、シリンダヘッド11に流入した後シリンダブロック12内を通過した冷却水は冷却水出口15から排出される。
シリンダブロック12の冷却水出口15には、第2冷却水配管72(第2冷却液ライン、ブロック冷却液ライン)の一端が接続され、第2冷却水配管72の他端は、流量制御弁30の4つの入口ポート31−34(流入側)のうちの第1入口ポート31に接続される。
また、第3冷却水配管73(第4冷却液ライン、動力伝達系冷却液ライン)は、一端が第1冷却水配管71に接続され、他端が流量制御弁30の第2入口ポート32に接続され、この第3冷却水配管73は途中には、変速機20の作動油を加熱するためのオイルウォーマー21が設けられる。
更に、第4冷却水配管74(第3冷却液ライン、ヒータコア冷却液ライン)は、一端が第1冷却水配管71に接続され、他端が流量制御弁30の第3入口ポート33に接続される。
上記の熱交換デバイスとして、上流側から順に、車両用空調装置(エアコンディショナー)において空調空気を加熱するヒータコア91、内燃機関10の排気還流装置を構成する水冷式のEGRクーラ92、同じく排気還流装置を構成する排気還流量を調整するための排気還流制御弁(EGR弁)93、内燃機関10の吸入空気量を調整するスロットルバルブ94が設けられる。
EGRクーラ92は、排気還流装置によって内燃機関10の吸気系に還流される排気と第4冷却水配管74内の冷却水との間で熱交換を行わせ、吸気系に還流させる排気の温度を低下させるデバイスである。
このように、シリンダヘッド11を通過した冷却水を分流させて、ヒータコア91、EGRクーラ92、排気還流制御弁93、スロットルバルブ94に導き、これらとの間での熱交換を行わせる。
流量制御弁30は、1つの出口ポート35を有し、この出口ポート35(流量制御弁30の流出側)には、第6冷却水配管76の一端が接続される。第6冷却水配管76の他端は、ウォータポンプ40の吸込口41に接続される。
また、第3冷却水配管73、第4冷却水配管74が接続される部分よりも下流側の第1冷却水配管71に一端が接続され、他端が第6冷却水配管76(流量制御弁30の流出側)に接続される第8冷却水配管78を設けてある。
流量制御弁30は、例えば回転式の流路切換バルブであり、複数のポート31−35が形成されたステータに、流路が設けられたロータを嵌装し、ロータを電動モータなどの電動アクチュエータで回転駆動してロータの角度位置を変更することで、ステータの各開口を接続する構成である。
上記構成において、ヘッド側冷却水通路61と第1冷却水配管71とによって、シリンダヘッド11及びラジエータ50を経由するラジエータ冷却液ライン(第1冷却液ライン)が構成され、ブロック側冷却水通路62と第2冷却水配管72とによって、シリンダブロック12を経由しラジエータ50を迂回するブロック冷却液ライン(第2冷却液ライン)が構成される。
更に、第8冷却水配管78によって、シリンダヘッド11とラジエータ50との間のラジエータ冷却液ラインから分岐し、ラジエータ50を迂回して流量制御弁30の流出側に合流するバイパスラインが構成される。
また、冷却装置は、冷却水の温度を検出する第1温度センサ81及び第2温度センサ82からなる温度検出部を備える。
第1温度センサ81の水温検出信号TW1及び第2温度センサ82の水温検出信号TW2は、マイクロコンピュータを備える電子制御装置(コントローラ、制御ユニット)100に入力される。
そして、電子制御装置100は、ウォータポンプ40及び流量制御弁30に操作信号を出力して、ウォータポンプ40の吐出量、流量制御弁30のロータ角度(各冷却液ラインへの冷却水の供給量)を制御する。
図2は、内燃機関10の始動から暖機、更に、暖機完了後の機関運転状態における、各部の温度、流量制御弁30のロータ角度、冷却水流量の相関の一例を概略的に示す図である。
なお、入口ポート31−34を全て閉じる状態は、各入口ポート31−34の開口面積を零とする状態の他、零よりも大きい最小開口面積とする状態(漏れ流量が発生する状態)を含むものとする。
第3入口ポート33が一定開度にまで開く角度から更にロータ角度を増大させると、ブロック冷却液ラインの出口が接続される第1入口ポート31が開き出し、第1入口ポート31の開口面積は、ロータ角度の増大に応じて漸増する(第3の流路切替えパターン)。
更に、第2入口ポート32が一定開度まで開く角度よりも大きな角度位置で、ラジエータ冷却液ラインの出口が接続される第4入口ポート34が開き出し、第4入口ポート34の開口面積は、ロータ角度の増大に応じて漸増する(第5の流路切替えパターン)。
そして、電子制御装置100は、第1温度センサ81、第2温度センサ82の検出出力に基づき、例えば以下のようにして流量制御弁30及びウォータポンプ40を制御する。
第1温度センサ81で検出されるシリンダヘッド11の出口温度TW1がシリンダヘッド11の暖機完了を示す温度に達すると(時刻t1)、電子制御装置100は、ヒータコア冷却液ラインが開く角度位置(第2パターン)にまでロータ角度を増加させ、ヒータコア91への冷却水の供給を開始させる。
そして、シリンダブロック12への冷却水の供給を開始してからシリンダブロック12の出口温度TW2が所定温度だけ上昇し、目標温度付近に達すると(時刻t4)、電子制御装置100は、動力伝達系冷却液ラインが開く角度位置(第4パターン)までロータ角度を増加させ、オイルウォーマー21への冷却水の供給を開始させる。
従って、内燃機関10の高負荷運転時には、シリンダヘッド11の出口での冷却水温度TW1が目標付近に維持されるものの、シリンダブロック12の出口での冷却水温度TW2が目標よりも低下する場合があり得る。
そのため、電子制御装置100は、温度検出部を構成する第1温度センサ81、第2温度センサ82の故障の有無を診断する故障診断機能を有している。
ここで、シリンダヘッド11の出口での冷却水温度TW1とシリンダブロック12の出口での冷却水温度TW2との偏差ΔTWは、内燃機関10の発熱量のうちシリンダヘッド11が受熱する熱量とシリンダブロック12が受熱する熱量との割合である受熱割合、及び、流量制御弁30による各冷却液ラインへの冷却水の供給量(供給割合)に影響されて変動する。
なお、偏差ΔTWに基づく故障診断は、温度センサ81,82の出力特性がシフトする故障などを検出するための処理であり、温度センサ81,82の検出信号の出力ラインの断線、ショートなどの故障は、偏差ΔTWに基づく故障診断に並行して実施させることができる。
図3のフローチャートに示すルーチンは、電子制御装置100によって所定時間毎に割り込み処理される、故障診断の許可判定処理の一例を示す。
電子制御装置100は、第1温度センサ81の検出出力に基づき検出した冷却水温度TW1が所定温度TWSL(例えば、80℃)を超え、かつ、第2温度センサ82の検出出力に基づき検出した冷却水温度TW2が所定温度TWSLを超えたときに暖機完了を検出し、暖機完了を検出した後は、その後の温度センサ81、82の検出出力の変化に関わらずに暖機完了の検出結果を保持する。
一方、内燃機関10の暖機が完了していれば、電子制御装置100は、ステップS502へ進む。
内燃機関10の発熱量のうちシリンダヘッド11が受熱する熱量とシリンダブロック12が受熱する熱量との割合である受熱割合は、例えば70%:30%程度であって、シリンダヘッド11が受熱する熱量は、シリンダブロック12が受熱する熱量よりも多くなる。
そこで、電子制御装置100は、所定の受熱割合であるときに、ヘッド側冷却水通路61の出口での冷却水温度TW1とブロック側冷却水通路61の出口での冷却水温度TW2とが相互に近い温度になる流量割合で、各冷却水通路61,62に冷却水を供給している状態であるか否かを、そのときの流量制御弁30のロータ角度に基づき検出する。
電子制御装置100は、ヘッド側冷却水通路61を流れる冷却水の流量とブロック側冷却水通路61を流れる冷却水の流量との割合が、実際の温度偏差ΔTWが十分に小さくなる所定割合(所定範囲内)になっていない場合、診断許可条件が成立していないことを検出し、ステップS502から本ルーチンをそのまま終了させる。
なお、電子制御装置100は、診断処理のために、実際の温度偏差ΔTWが所定値よりも小さくなるようなロータ角度に流量制御弁30を制御することができる。
負荷及び/又は回転速度が変動する内燃機関10の運転状態(過渡状態、加減速状態)では、図4に例示したように、シリンダヘッド11及びシリンダブロック12の温度が変動し、温度偏差ΔTWが変化するので、温度偏差ΔTWに基づく故障診断の精度が低下する。
電子制御装置100は、ステップS503で、内燃機関10の運転状態が、定常走行状態、アイドル運転状態、燃料カット状態のいずれでもないことを検出した場合、故障診断の許可条件が成立していないことを検出し、本ルーチンを終了させる。
つまり、ステップS503における所定時間は、過渡運転状態から定常運転への移行、若しくは、燃料供給状態から燃料カット状態への移行から、温度偏差ΔTWの変動が十分に収束するのに要する時間に基づき設定され、前記所定時間だけ経過していれば、温度偏差ΔTWの変動が故障診断を実施できる程度に小さくなっているものと推定できるように、前記所定時間は予め適合される。
そして、電子制御装置100は、ステップS504で、ウォータポンプ40の回転速度又は吐出流量が一定の状態であるか否かを検出する。
そこで、電子制御装置100は、ウォータポンプ40の回転速度(吐出流量)が一定の状態(一定値で推移している状態)でない場合、故障診断の許可条件が成立しないことを検出し、本ルーチンを終了させる。
つまり、電子制御装置100は、暖機完了状態で、かつ、シリンダヘッド11への冷却水の供給量とシリンダブロック12への冷却水の供給量との割合が所定範囲内で、かつ、内燃機関の定常状態又は燃料カット状態が所定時間以上継続していて、かつ、ウォータポンプ40の回転速度(吐出流量)が一定であることを、温度偏差ΔTWに基づく故障診断の許可条件とする。
電子制御装置100は、ステップS601において故障診断の許可条件が成立しているか否かを、前記診断許可フラグに基づいて検出する。
一方、電子制御装置100は、故障診断の許可条件が成立している場合(診断許可フラグ=1である場合)は、ステップS602へ進む。
前述のように、電子制御装置100は、所定の受熱割合に応じた流量比に冷却水流量が制御されていることを故障診断の許可条件として検出するが、受熱割合は、例えば図6に示すように、機関回転速度及び機関負荷(機関トルク)に応じて変化する。
従って、標準的な受熱割合(70:30)であるときに温度偏差ΔTWが十分に小さくなる流量比になっていることを、故障診断の許可条件としていても(ステップS502)、実際の受熱割合が標準的な割合からずれていれば、これに影響されて温度偏差ΔTWが拡大し、温度偏差ΔTWに基づく故障診断の精度が低下する。
例えば、図6に示すように、受熱割合が概ね70:30である内燃機関10において、低回転高負荷領域で、シリンダヘッド11の受熱割合が70%から減少し、シリンダブロック12の受熱割合が30%から増大する場合、電子制御装置100は、ステップS502で、受熱割合=70:30に適合する流量比であることを検出し、ステップS602では、シリンダヘッド11の受熱割合が70%から減少する低回転高負荷領域においてシリンダヘッド11の流量を減らす変更を行う。
詳細には、機関回転速度が低いほどシリンダヘッド11の受熱割合がより減少し、かつ、機関負荷が大きいほどシリンダヘッド11の受熱割合がより減少するので、電子制御装置100は、機関回転速度が低いほどシリンダヘッド11への冷却水の供給量をより減少させ、かつ、機関負荷が大きいほどシリンダヘッド11への冷却水の供給量をより減少させる。
なお、前述のステップS502で、電子制御装置100は、そのときの機関運転状態(機関負荷、機関回転速度)での受熱割合において温度偏差ΔTWが十分に小さくできる流量比となるように、流量制御弁30を制御する構成とすることができる。
また、受熱割合は、ガソリン機関とディーゼル機関との違い、気筒数の違いなどの機関仕様の違いによって変化する値であって、受熱割合=70:30は一例であり、更に、機関負荷及び機関回転速度の違いによる受熱割合の変化も機関仕様に影響されて異なる。
本実施形態の流量制御弁30は、図2に示したように、暖機後の角度制御範囲において、シリンダヘッド11に流れる冷却水の流量は、ロータ角度の増大に応じて増加する。
電子制御装置100は、ステップS603で流量制御弁30のロータ角度(シリンダヘッド11への冷却水供給量)の変更を行ったのち、係るロータ角度の変更後にシリンダヘッド11の温度が収束する時間の経過を待って、ステップS604へ進む。
ここで、電子制御装置100は、冷却水温度TW1と冷却水温度TW2とが同程度となる条件で、両温度センサ81,82の検出出力を比較するから、偏差ΔTWの絶対値が判定値SLを上回っていれば、温度検出部(第1温度センサ81と第2温度センサ82との少なくとも一方)の故障状態を検出し、偏差ΔTWの絶対値が判定値SL以下であれば温度検出部(第1温度センサ81及び第2温度センサ82)の正常状態を検出する。
電子制御装置100は、温度検出部(第1温度センサ81と第2温度センサ82との少なくとも一方)の故障状態を検出すると、所定のフェイル処理を実施する。
更に、電子制御装置100は、フェイル処理として、機関トルクの上限を正常時よりも低く制限して内燃機関10の発熱量を抑制する処理を実施する。機関トルク(機関負荷)の上限を低く変更する処理として、電子制御装置100は、例えば、スロットルバルブの開度の上限値を正常よりも小さく変更する処理などを行う。
また、上記のようにして温度検出部の故障を検出した後に内燃機関10が停止したときに、電子制御装置100は、内燃機関10の吸気温度やオイル温度の検出値と、温度センサ81,82の検出出力との相関に基づき、故障が発生しているのが両温度センサ81,82のいずれであり、正常なセンサがいずれであるかを特定することができる。
上記の故障診断処理によると、内燃機関10の運転中に温度センサ81,82(温度検出部)の故障の有無を診断できるため、内燃機関10の運転中に温度センサ81,82(温度検出部)の故障が発生した場合、係る故障の発生を検出してフェイル処理を実行し、実際とは異なる温度検出値に基づいて冷却装置(流量制御弁30、ウォータポンプ40)が制御されてしまうことを抑制でき、内燃機関10のオーバーヒートの発生を抑制することができる。
図7のフローチャートは、受熱割合の変化に応じて診断判定値SLを変更し、変更後の診断判定値SLを用いて診断を行う構成とした故障診断処理の一例を示す。この図7のフローチャートに示す診断処理ルーチンは、図5のフローチャートに示す診断処理ルーチンに代えて、電子制御装置100によって実行される。
電子制御装置100は、ステップS702で、シリンダヘッド11の受熱割合が標準値よりも減少する低回転高負荷領域で、診断判定値SLを基準値よりも増加させる。
なお、診断判定値SLの基準値とは、シリンダヘッド11の受熱割合が標準割合であるときに用いる値であり、受熱割合が標準割合よりも低下する低回転高負荷領域で、診断判定値SLを基準値よりも大きくする。
そこで、電子制御装置100は、冷却水の流量を変更して冷却水温度TW1の低下を抑制する代わりに、診断判定値SLを、故障診断され難くなる方向である増大方向に変更することで、受熱割合の変化に伴って故障の発生が誤診断されることを抑制する。
また、低回転高負荷領域で誤った故障診断結果に基づきフェイル処理が実施されることを抑制する手段として、受熱割合が標準割合からずれる低回転高負荷領域において、温度偏差ΔTWに基づく故障診断を無効化する構成とすることができる。
図8のフローチャートにおいて、電子制御装置100は、ステップS801−ステップS804の各ステップでは、前述したステップS501−ステップS504と同様な処理を行う。
ステップS805で、電子制御装置100は、内燃機関10の回転速度が所定速度以上であるか否かを検出する。
電子制御装置100は、ステップS805で、内燃機関10の回転速度が所定速度以上であることを検出すると、ステップS807へ進み、故障診断の許可条件の成立を検出し、温度偏差ΔTWに基づく故障診断を実施する。
電子制御装置100は、ステップS806で、内燃機関10の負荷(機関トルク)が所定値以下であるか否かを検出する。
電子制御装置100は、ステップS806で、内燃機関10の負荷が所定値以下であることを検出すると、ステップS807へ進み、故障診断の許可条件の成立を検出し、温度偏差ΔTWに基づく故障診断を実施する。
つまり、シリンダヘッド11の受熱割合が標準割合を下回る低回転高負荷領域で内燃機関10が運転されている場合、温度偏差ΔTWに基づく故障診断は実行されず、シリンダヘッド11の受熱割合が標準割合となる運転領域で内燃機関10が運転されている場合に、温度偏差ΔTWに基づく故障診断が実行される。
まず、電子制御装置100は、ステップS901で故障診断の許可条件が成立しているか否かを、前記診断許可フラグに基づいて検出する。
一方、電子制御装置100は、故障診断の許可条件が成立している場合(診断許可フラグ=1である場合)は、ステップS902へ進む。
ここで、シリンダヘッド11の受熱割合が標準割合を下回る低回転高負荷領域は、診断実施領域から除外されているので、電子制御装置100がステップS902の処理に進むのは、低回転高負荷領域以外のシリンダヘッド11の受熱割合が標準割合となる領域であって、冷却水温度TW1と冷却水温度TW2とが同程度となる条件の場合である。
電子制御装置100は、温度検出部(第1温度センサ81と第2温度センサ82との少なくとも一方)の故障状態を検出すると、前述したようなフェイル処理を実施する。
なお、低回転高負荷領域で故障診断を無効化する方法としては、前述のように低回転高負荷領域以外の領域に該当していることを診断許可条件とする方法の他、低回転高負荷領域で偏差ΔTWの絶対値を減少補正した上で判定値SLと比較させる方法や、低回転高負荷領域で判定値SLを故障発生が検出されない程度にまで増大方向に変更する方法や、低回転高負荷領域で故障の発生を検出しても係る診断結果の記憶や故障検出に基づくフェイル処理をキャンセルする方法などがある。
例えば、流量制御弁30は、ロータ式に限定されるものではなく、例えば、電気式アクチュエータによって弁体を直線運動させる構造の流量制御弁を用いることができる。
また、第2冷却液ライン(ブロック冷却液ライン)にオイルクーラー16が配置されない構造とすることができる。
Claims (9)
- 内燃機関のシリンダヘッド内に延設される第1冷却液通路と前記内燃機関のシリンダブロック内に延設される第2冷却液通路とを含む冷却液循環経路、及び、前記第1冷却液通路の出口での冷却液温度を検出する第1温度センサと前記第2冷却液通路の出口での冷却液温度を検出する第2温度センサとを含む温度検出部、を備えた内燃機関の冷却装置において、
前記第1温度センサの検出出力と前記第2温度センサの検出出力との相関に基づいて、前記温度検出部の故障の有無を検出する、内燃機関の冷却装置。 - 前記第1冷却液通路への冷却液の供給量と前記第2冷却液通路への冷却液の供給量とを可変に制御する電動式の流量制御弁を備え、
前記流量制御弁の制御状態、及び、前記第1温度センサの検出出力と前記第2温度センサの検出出力との相関に基づいて、前記温度検出部の故障の有無を検出する、請求項1記載の内燃機関の冷却装置。 - 前記流量制御弁が、電動式ウォータポンプの吸引側に接続される1つの出口ポートと、複数の冷却液ラインの出口がそれぞれ接続される複数の入口ポートとを有し、
前記複数の冷却液ラインとして、前記第1冷却液通路の出口と前記複数の入口ポートのうちの1つとをラジエータを迂回して接続するヘッド冷却液ラインと、前記第2冷却液通路の出口と前記複数の入口ポートのうちの1つとを前記ラジエータを迂回して接続するブロック冷却液ラインと、を含む、請求項2記載の内燃機関の冷却装置。 - 前記流量制御弁によって各冷却液通路への冷却液の供給量を所定量に制御している状態で、前記両温度センサの検出出力の偏差が判定値よりも大きいときに、前記温度検出部の故障の発生を検出する、請求項2又は3記載の内燃機関の冷却装置。
- 機関回転速度が低くなるほど前記第1冷却液通路への冷却液の供給量を減らし、機関負荷が大きくなるほど前記第1冷却液通路への冷却液の供給量を減らす、請求項4記載の内燃機関の冷却装置。
- 機関回転速度が低くなるほど前記判定値を大きくし、機関負荷が大きくなるほど前記判定値を大きくする、請求項4記載の内燃機関の冷却装置。
- 機関回転速度が所定値よりも低くかつ機関負荷が所定値よりも高い領域で、前記故障発生の検出処理を無効化する、請求項4記載の内燃機関の冷却装置。
- 前記内燃機関の負荷及び回転速度の定常状態、若しくは、燃料カット状態であるときの前記検出出力の相関に基づいて前記温度検出部の故障の有無を検出する、請求項1から7のいずれか1つに記載の内燃機関の冷却装置。
- 前記温度検出部の故障の発生を検出したときに、ラジエータを通過させる冷却液の流量を増大させる、請求項1から8のいずれか1つに記載の内燃機関の冷却装置。
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