JP2015165004A - 折畳み保持性、低収縮性及び透明性に優れたポリエステルフィルム - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 エチレンテレフタレートユニットを含む非晶性ポリエステルからなり、下記要件(1)から(3)を満たすポリエステルフィルム。
(1)フィルムの長手方向と幅方向の各々の引張り試験による40%伸張時応力について、長手方向の40%伸張時応力と幅方向の40%伸張時応力の平均値が40MPa以上110MPa以下
(2)80℃の温湯中で10秒間に亘って処理した場合における長手方向及び幅方向の温湯熱収縮率がいずれも-10%以上10%以下
(3)ヘイズが1%以上15%以下
【選択図】なし
Description
1. エチレンテレフタレートユニットを含む非晶性ポリエステルからなり、下記要件(1)から(3)を満たすことを特徴とするポリエステルフィルム。
(1)フィルムの長手方向と幅方向の各々の引張り試験による40%伸張時応力について、長手方向の40%伸張時応力と幅方向の40%伸張時応力の平均値が40MPa以上110MPa以下
(2)80℃の温湯中で10秒間に亘って処理した場合における長手方向及び幅方向の温湯熱収縮率がいずれも-10%以上10%以下
(3)ヘイズが1%以上15%以下
2. 折畳み保持角度が20度以上50度以下であることを特徴とする上記第1に記載のポリエステルフィルム。
3. DSC昇温プロファイルにおける融解開始温度が100℃以上180℃以下であることを特徴とする上記第1又は第2に記載のポリエステルフィルム。
4. 長手方向及び/又は幅方向の引張り破壊強さが100MPa以上300MPa以下であることを特徴とする上記第1から第3のいずれかに記載のポリエステルフィルム。
5. 上記第1から第4いずれかのポリエステルフィルムを連続的に製造する方法であって、溶融押出され、冷却固化された未延伸シートを長手方向及び/又は幅方向に延伸後、ポリエステルフィルムの融解開始温度以上240℃以下の温度で熱固定(以降、熱処理とも言う。)することを特徴とするポリエステルフィルムの製造方法。
(ここで、上記第3及び第5の融解開始温度は、完成したフィルムから測定されるが、未延伸段階のデータでも、データに特に差が生じるものでもない。)
本発明のポリエステルフィルムは、長手方向及び/又は幅方向の引張り破壊強さが100MPa以上300MPa以下であることが好ましい。100MPa以上であると、印刷等の加工時、または袋等の包装材としたとき破れの恐れが小さく好ましい。長手方向及び/又は幅方向の引張り破壊強さは120MPa以上であるとより好ましく、140MPa以上であると更に好ましい。引張り破壊強さは高ければ高いほど好ましいが、本発明では300MPaを上回ることはないので、300MPaを上限とした。100MPa以上であれば、200MPa以下であっても実用上好ましいものと言える。
測定方向をフィルム幅方向とすると、幅方向に140mm、測定方向と直交する方向(フィルム長手方向)に20mmの短冊状の試験片を作製した。万能引張試験機「DSS−100」(島津製作所製)を用いて、試験片の両端からチャックで各々20mmずつ把持(チャック間距離100mm)して、雰囲気温度23℃、引張速度200mm/min.の条件にて引張試験を行った。得られた応力−ひずみ曲線より、ひずみ40%時の応力を40%伸張時の応力とした。長手方向の測定は、前記幅方向の測定と試料片の作成方向を90度変更して実施した。尚、ひずみが40%に到達する前にフィルムが破断した場合は、応力を0MPaとした。最終的には幅方向と長手方向、それぞれから得られた応力の平均値をひずみ40%時の応力として用いた。
28℃50%RH環境の恒温室でフィルムを24時間放置する。その後直ちに、各々のフィルムを20℃65%RH環境で10cm×10cmの正方形に裁断し、4つ折にした(5cm×5cmの正方形)。フィルムを折りたたむ際、最初の2つ折りで出来た長方形の短辺が縦方向になるようにした。その後 底面の大きさが3cm×3cmの5kgの錘を20秒間、4つ折りのフィルムに乗せた。錘を外した後、4つ折りのフィルムを30分間放置した。その後、折られたフィルムが開いた角度(完全に折畳まれた状態を0度とした)を測定して求めた。また、フィルムを折りたたむときの縦方向、横方向の両方の折畳み保持角度を測定し、角度が大きい方の値を折畳み保持角度とした。
フィルムを10cm×10cmの正方形に裁断し、80±0.5℃の温水中に無荷重状態で10秒間浸漬して熱収縮させた後、25℃±0.5℃の水中に10秒間浸漬し、水中から引き出してフィルムの縦および横方向の寸法を測定し、下記式1にしたがって、それぞれ収縮率を求めた。
JIS-K-7136に準拠し、ヘイズメータ(日本電色工業株式会社製、300A)を用いて測定した。なお、測定は2回行い、その平均値を求めた。
測定方向をフィルム幅方向とすると、幅方向に140mm、測定方向と直交する方向(フィルム長手方向)に20mmの短冊状の試験片を作製した。万能引張試験機「DSS−100」(島津製作所製)を用いて、試験片の両端からチャックで各々20mmずつ把持(チャック間距離100mm)して、雰囲気温度23℃、引張速度200mm/min.の条件にて引張試験を行い、引張破壊時の応力を引張破壊強さとした。長手方向の測定は、前記幅方向の測定と試料片の作成方向を90度変更して実施した。
セイコー電子工業株式会社製の示差走査熱量計(型式:DSC220)を用いて、JIS K7121に従って求めた。未延伸フィルム10mgを、−20℃から120℃まで、昇温速度10℃/分で昇温し、昇温プロファイルを得た。得られたプロファイルの変曲点の前後に接線を引き、その交点をガラス転移点(Tg;℃)として読み取った。
セイコー電子工業株式会社製の示差走査熱量計(型式:DSC220)を用いて、JIS K7121に従って低温側の補外融解開始温度を求めた。まずフィルム10mgを20℃から300℃まで昇温速度10℃/分で昇温し、昇温プロファイルを得た。昇温プロファイルにおいて、低温側のベースラインを高温側に延長した直線と融解ピークの低温側の曲線に勾配が最大になる点で引いた接線の交点の温度を融解開始温度として読み取った。
フィルムを長さ12m×幅40mmの長尺なロール状にサンプリングし、ミクロン測定器株式会社製の連続接触式厚み計を用いて、測定速度5m/分でフィルムの長手方向に沿って連続的に厚みを測定した(測定長さは10m)。測定時の最大厚みをTmax.、最小厚みをTmin.、平均厚みをTave.とし、下式2からフィルムの長手方向の厚み斑を算出した。
厚み斑={(Tmax.−Tmin.)/Tave.}×100 (%) ・・式2
フィルムを長さ40mm×幅1.2mの幅広な帯状にサンプリングし、ミクロン測定器株式会社製の連続接触式厚み計を用いて、測定速度5m/分でフィルム試料の幅方向に沿って連続的に厚みを測定した(測定長さは500mm)。測定時の最大厚みをTmax.、最小厚みをTmin.、平均厚みをTave.とし、上式2からフィルムの幅方向の厚み斑を算出した。
・ポリエステル2:ポリエチレンテレフタレート(PET)
・ポリエステル3:ポリエステル2中にSiO2を7000ppm添加したポリエステルマスターバッチ
・ポリエステル4:ポリブチレンテレフタレート(PBT)
・ポリエステル5:ポリブチレンテレフタレート54モル%、ポリε−カプロラクトン46モル%共重合体
・ポリエステル6:エチレングリコール70モル%、1.4-シクロヘキサンジメタノール30モル%とテレフタル酸とからなる共重合ポリエステル
上記したポリエステル1とポリエステル2とポリエステル3とポリエステル4を重量比60:15:5:20で混合し、混合して押出機に投入した。この混合樹脂を270℃で溶融させてTダイから押出し、表面温度25℃に冷却された回転する金属ロールに巻き付けて急冷することにより、厚さ250μmの未延伸フィルムを得た。未延伸フィルムのガラス転移温度は65℃、融解開始温度は130℃であった。得られた未延伸フィルムを、複数のロール群を連続的に配置した縦延伸機へ導き、予熱ロールでフィルム温度が70℃になるまで予備加熱した後、表面温度80℃に設定された低速回転ロールと、表面温度80℃に設定された高速回転ロールとの間で、回転速度差を利用して、縦方向に3.5倍延伸した。 しかる後、縦延伸後のフィルムを、テンター内で幅方向の両端際をクリップによって把持した状態で、まずフィルムの表面温度が90℃になるまで予備加熱を行い、その後、85℃で横方向に4.0倍に延伸した。横延伸後のフィルムは、幅方向の両端際をクリップによって把持した状態でテンター内の熱処理ゾーンに導き、当該熱処理ゾーンにおいて、140℃の温度で10秒間に亘って熱処理を施した後に冷却した。しかる後、両縁部を裁断除去して幅400mmでロール状に巻き取ることによって、約18μmの二軸延伸フィルムを所定の長さに亘って連続的に製造した。
実施例1と同じポリエステル原料を実施例1と同様に溶融押し出しし、熱処理温度を170℃とした以外は実施例1と同様の方法・条件で製膜することによって、約18μmの二軸延伸フィルムを所定の長さに亘って連続的に製造した。そして、得られたフィルムの特性を上記した方法によって評価した。評価結果を表1に示す。実施例1と同様、良好なフィルムを得た。
上記したポリエステル1とポリエステル2とポリエステル3とポリエステル4を重量比50:35:5:10で混合後、実施例1と同様に溶融押し出しを行った。未延伸フィルムのガラス転移温度は70℃、融解開始温度は170℃であった。その後、熱処理温度を170℃とした以外は実施例1と同様の方法・条件で製膜することによって、約18μmの二軸延伸フィルムを所定の長さに亘って連続的に製造した。得られたフィルムの特性は上記した方法によって評価した。評価結果を表1に示す。実施例1と同様、良好なフィルムを得た。
上記したポリエステル1とポリエステル2とポリエステル3とポリエステル5を重量比50:35:5:10で混合後、実施例1と同様に溶融押し出しを行った。未延伸フィルムのガラス転移温度は65℃、融解開始温度は150℃であった。その後、熱処理温度を150℃とした以外は実施例1と同様の方法・条件で製膜することによって、約18μmの二軸延伸フィルムを所定の長さに亘って連続的に製造した。得られたフィルムの特性は上記した方法によって評価した。評価結果を表1に示す。実施例1と同様、良好なフィルムを得た。
上記したポリエステル1とポリエステル2とポリエステル3とポリエステル4を重量比75:10:5:10で混合後、実施例1と同様に溶融押し出しを行った。未延伸フィルムのガラス転移温度は70℃、融解開始温度は140℃であった。その後、熱処理温度を160℃とした以外は実施例1と同様の方法・条件で製膜することによって、約18μmの二軸延伸フィルムを所定の長さに亘って連続的に製造した。得られたフィルムの特性は上記した方法によって評価した。評価結果を表1に示す。実施例1と同様、良好なフィルムを得た。
実施例1と同じポリエステル原料を実施例1と同様に溶融押し出しし、厚さ70μmの未延伸フィルムを得た。この未延伸フィルムを、テンター内で幅方向の両端際をクリップによって把持した状態で、まずフィルムの表面温度が85℃になるまで予備加熱を行い、80℃で横方向に4.0倍に延伸した。横延伸後のフィルムは、幅方向の両端際をクリップによって把持した状態でテンター内の熱処理ゾーンに導き、当該熱処理ゾーンにおいて、140℃の温度で10秒間に亘って熱処理を施した後に冷却した。その後、実施例1と同様の方法で約18μmの横方向一軸延伸フィルムを所定の長さに亘って連続的に製造した。そして、得られたフィルムの特性を上記した方法によって評価した。評価結果を表1に示す。実施例1と同様、良好なフィルムを得た。
上記したポリエステル3とポリエステル4とポリエステル6を重量比5:20:75で混合後、実施例1と同様に溶融押し出しを行った。未延伸フィルムのガラス転移温度は65℃、融解開始温度は140℃であった。その後、実施例1と同様の方法・条件で製膜することによって、約18μmの二軸延伸フィルムを所定の長さに亘って連続的に製造した。得られたフィルムの特性は上記した方法によって評価した。評価結果を表1に示す。実施例1と同様、良好なフィルムを得た。
上記したポリエステル2とポリエステル3を重量比95:5で混合後、実施例1と同様に溶融押し出しを行った。未延伸フィルムのガラス転移温度は75℃、融解開始温度は200℃であった。その後、熱処理温度を200℃とした以外は実施例1と同様の方法・条件で製膜することによって、約18μmの二軸延伸フィルムを所定の長さに亘って連続的に製造した。得られたフィルムの特性は上記した方法によって評価した。評価結果を表1に示す。40%伸張時応力や折畳み保持角度が本発明の規定範囲から外れており、好ましくないフィルムとなった。
実施例1と同じポリエステル原料を、実施例1と同様の方法で溶融押出しして未延伸のフィルムを得た。その後、熱処理温度を90℃とした以外は比較例1と同様の条件で製膜することによって、約18μmの二軸延伸フィルムを所定の長さに亘って連続的に製造した。そして、得られたフィルムの特性を上記した方法によって評価した。評価結果を表1に示す。70℃の温湯熱収縮率が大きく、好ましくないフィルムとなった。
上記したポリエステル1とポリエステル2とポリエステル3を重量比25:70:5で混合後、実施例1と同様に溶融押し出しを行った。未延伸フィルムのガラス転移温度は75℃、融解開始温度は190℃であった。その後、熱処理温度を190℃とした以外は実施例1と同様の方法・条件で製膜することによって、約18μmの二軸延伸フィルムを所定の長さに亘って連続的に製造した。得られたフィルムの特性は上記した方法によって評価した。評価結果を表1に示す。折畳み角度が本発明の規定範囲から外れており、不適格なフィルムが得られた。
Claims (5)
- エチレンテレフタレートユニットを含む非晶性ポリエステルからなり、下記要件(1)から(3)を満たすことを特徴とするポリエステルフィルム。
(1)フィルムの長手方向と幅方向の各々の引張り試験による40%伸張時応力について、長手方向の40%伸張時応力と幅方向の40%伸張時応力の平均値が40MPa以上110MPa以下
(2)80℃の温湯中で10秒間に亘って処理した場合における長手方向及び幅方向の温湯熱収縮率がいずれも-10%以上10%以下
(3)ヘイズが1%以上15%以下 - 折畳み保持角度が20度以上50度以下であることを特徴とする請求項1に記載のポリエステルフィルム。
- DSC昇温プロファイルにおける融解開始温度が100℃以上180℃以下であることを特徴とする請求項1又は2に記載のポリエステルフィルム。
- 長手方向及び/又は幅方向の引張り破壊強さが100MPa以上300MPa以下であることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載のポリエステルフィルム。
- 請求項1から4いずれかのポリエステルフィルムを連続的に製造する方法であって、溶融押出され、冷却固化された未延伸シートを長手方向及び/又は幅方向に延伸後、ポリエステルフィルムの融解開始温度以上240℃以下の温度で熱固定することを特徴とするポリエステルフィルムの製造方法。
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