JP2015165004A - 折畳み保持性、低収縮性及び透明性に優れたポリエステルフィルム - Google Patents

折畳み保持性、低収縮性及び透明性に優れたポリエステルフィルム Download PDF

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Abstract

【課題】優れた折畳み保持性を有し、高温環境下での熱収縮性が極めて小さく、透明性に優れたポリエステルフィルムを提供すること。
【解決手段】 エチレンテレフタレートユニットを含む非晶性ポリエステルからなり、下記要件(1)から(3)を満たすポリエステルフィルム。
(1)フィルムの長手方向と幅方向の各々の引張り試験による40%伸張時応力について、長手方向の40%伸張時応力と幅方向の40%伸張時応力の平均値が40MPa以上110MPa以下
(2)80℃の温湯中で10秒間に亘って処理した場合における長手方向及び幅方向の温湯熱収縮率がいずれも-10%以上10%以下
(3)ヘイズが1%以上15%以下
【選択図】なし

Description

本発明は包装紙、手提げ袋、折り紙等として使用可能な折畳み保持性に優れたポリエステルフィルムに関するものであり、耐水性、高温環境下での低収縮性、透明性に優れたポリエステルフィルムに関する。
紙は優れた折畳み保持性を有することにより、各種包装紙、手提げ袋、折り紙等、幅広く使用されている。しかし、紙は耐水性に劣り、雨等で濡れた場合に破れが生じたり印刷が変色したりすることがある。また、紙には透明性がないため、袋等の包装用に供した場合には中身が見えないという問題もあった。そのため、紙の代替としてプラスチックフィルムが過去より検討されてきた。
折畳み保持性の優れたフィルムとして、過去には透明性のあるセロハンが使用されてきた。しかしながら、セロハンは吸湿性を有するため特性が季節により変動し、製品の品質を一定に維持しながら供給することが困難であり、かつ厚みの不均一性に起因する加工性の悪さが欠点とされてきた。
一方、ポリエチレンテレフタレートフィルムは強靱性、耐水性、透明性等の優れた特性の良さがある反面、折畳み保持性が劣るという欠点があった。
かかる欠点を解消する方法として、フィルムの密度を低下させることで折畳み保持性を良好に保つことの出来るポリエチレンテレフタレートフィルムが開示されている(例えば、特許文献1参照)。
しかしながら、特許文献1のポリエチレンテレフタレートフィルムでは、熱収縮性が大きいことが課題として挙げられる。このようなフィルムを用いた袋等を真夏の車中や温調管理の無い倉庫内等に放置しておくと、フィルムが収縮・変形して使用できなくなる点が指摘される。また、フィルムへの印刷工程等の高温を要する加工工程においては、フィルムの収縮によって加工できなくなる問題もあった。
特許第4308662号公報(請求項1など)
本発明は前記従来技術の問題点を解消することを目的とするものである。即ち、優れた折畳み保持性を有し、高温環境下での熱収縮性が極めて小さく、透明性に優れたポリエステルフィルムを提供しようとするものである。
本発明は、以下の構成よりなる。
1. エチレンテレフタレートユニットを含む非晶性ポリエステルからなり、下記要件(1)から(3)を満たすことを特徴とするポリエステルフィルム。
(1)フィルムの長手方向と幅方向の各々の引張り試験による40%伸張時応力について、長手方向の40%伸張時応力と幅方向の40%伸張時応力の平均値が40MPa以上110MPa以下
(2)80℃の温湯中で10秒間に亘って処理した場合における長手方向及び幅方向の温湯熱収縮率がいずれも-10%以上10%以下
(3)ヘイズが1%以上15%以下
2. 折畳み保持角度が20度以上50度以下であることを特徴とする上記第1に記載のポリエステルフィルム。
3. DSC昇温プロファイルにおける融解開始温度が100℃以上180℃以下であることを特徴とする上記第1又は第2に記載のポリエステルフィルム。
4. 長手方向及び/又は幅方向の引張り破壊強さが100MPa以上300MPa以下であることを特徴とする上記第1から第3のいずれかに記載のポリエステルフィルム。
5. 上記第1から第4いずれかのポリエステルフィルムを連続的に製造する方法であって、溶融押出され、冷却固化された未延伸シートを長手方向及び/又は幅方向に延伸後、ポリエステルフィルムの融解開始温度以上240℃以下の温度で熱固定(以降、熱処理とも言う。)することを特徴とするポリエステルフィルムの製造方法。
(ここで、上記第3及び第5の融解開始温度は、完成したフィルムから測定されるが、未延伸段階のデータでも、データに特に差が生じるものでもない。)
本発明のポリエステルフィルムは、優れた折畳み保持性を有しているうえ、高温環境下での熱収縮性が小さく、さらに耐水性、透明性、印刷適性にも優れているため、折り紙、手提げ袋、本のカバー、包装紙等の紙代替用途に好適に使用することが可能である。
折畳み保持角度の測定方法の模式図である。 40%伸張時応力を評価するための引張り試験における応力−ひずみ曲線の一例である。
本発明のポリエステルフィルムは、折り紙、紙製の手提げ袋、本のカバー、包装紙等の折畳み保持性が必要とされる紙の代替用途に使用することが可能なフィルムである。印刷はされていても、されていなくても構わない。また、他に折畳み保持性が優れたフィルムとラミネートして積層させて使用しても構わない。以下、ポリエステルフィルムについて説明する。
本発明のポリエステルフィルムを構成するポリエステル組成物は、エチレンテレフタレートユニットを主たる構成成分として有するものである。エチレンテレフタレートユニットは、ポリエステル組成物のポリエステル構成ユニット100モル%中、40モル%以上が好ましく、50モル%以上がより好ましく、55モル%以上がさらに好ましい。ポリエステル組成物を構成する他のジカルボン酸成分としては、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、オルトフタル酸等の芳香族ジカルボン酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、デカンジカルボン酸等の脂肪族ジカルボン酸、および脂環式ジカルボン酸等を挙げることができる。
ポリエステルを構成する他のジオール成分としては、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、ヘキサンジオール等の脂肪族ジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール等の脂環式ジオール、ビスフェノールA等の芳香族系ジオール等を挙げることができる。
また、フィルムを構成しているポリエステル組成物は非晶性ポリエステルであり、ポリエステル中における多価アルコール成分100モル%中あるいは多価カルボン酸成分100モル%中の非晶質成分となり得る1種以上のモノマー成分の合計が13モル%以上、好ましくは14モル%以上、より好ましくは15モル%以上、特に好ましくは16モル%以上である。また非晶質成分となり得るモノマー成分の合計の上限は特に限定されないが、上限は30モル%が好ましい。
本発明において、非晶質成分となり得るモノマーの具体例としては、ネオペンチルグリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、イソフタル酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、1,3−プロパンジオール、2,2−ジエチル−1,3−プロパンジオール、2−n−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール、2,2−イソプロピル−1,3−プロパンジオール、2,2−ジ−n−ブチル−1,3−プロパンジオール、ヘキサンジオールを挙げることができる。これらの中でも、ネオペンチルグリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、イソフタル酸が好ましい。
また本発明においては、1,4−シクロヘキサンジメタノール等の環状ジオールや、炭素数3〜6個を有するジオール(例えば、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、ヘキサンジオール等)、ε−カプロラクトンやテトラメチレングリコール等を含むポリエステルエラストマーを含有させることにより、融解開始温度を低下させることができるため、少なくとも1種以上使用することが好ましい。
例えば、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、ε−カプロラクトンやテトラメチレングリコール等を含むポリエステルエラストマーを含ませて融解開始温度を低下させる場合、フィルムを構成するポリエステル組成物に対して、1モル%以上含有されていることが好ましく、より好ましくは5モル%以上、更に好ましくは10モル%以上、最も好ましくは15モル%以上含有されていることが好ましい。但し、あまりにも多くの前記の融解開始温度を低下させる成分が含有されていると、物理的強度を担うエチレンテレフタレートユニットが相対的に少なくなるため、フィルム強度、耐熱性等が不充分となる恐れを生じるので、フィルムを構成するポリエステル組成物の全ポリエステルユニットに対し30モル%以下としておくことが好ましく、より好ましくは25モル%以下である。
本発明のポリエステルフィルムを形成する樹脂の中には、必要に応じて各種の添加剤、例えば、ワックス類、酸化防止剤、帯電防止剤、結晶核剤、減粘剤、熱安定剤、着色用顔料、着色防止剤、紫外線吸収剤等を添加することができる。
本発明のポリエステルフィルムを形成する樹脂の中には、フィルムの作業性(滑り性)を良好にする滑剤としての微粒子を添加することが好ましい。微粒子としては、任意のものを選択することができるが、例えば、無機系微粒子としては、シリカ、アルミナ、二酸化チタン、炭酸カルシウム、カオリン、硫酸バリウム等、有機系微粒子としては、例えば、アクリル系樹脂粒子、メラミン樹脂粒子、シリコーン樹脂粒子、架橋ポリスチレン粒子等を挙げることができる。微粒子の平均粒径は、0.05〜3.0μmの範囲内(コールターカウンタにて測定した場合)で、必要に応じて適宜選択することができる。滑剤としての微粒子は、フィルム全体重量に対して、50ppm以上含有されていることが好ましく、より好ましくは100ppm以上である。しかしながら、あまりにも滑剤の含有量が多いと、フィルム表面凹凸が大きくなる場合があるので、3000ppm以下としておくことが好ましく、より好ましくは1000ppm以下である。
ポリエステルフィルムを形成する樹脂の中に上記粒子を配合する方法としては、例えば、ポリエステル樹脂を製造する任意の段階において添加することができるが、エステル化の段階、もしくはエステル交換反応終了後、重縮合反応開始前の段階でエチレングリコール等に分散させたスラリーとして添加し、重縮合反応を進めるのが好ましい。また、ベント付き混練押出し機を用いてエチレングリコールまたは水等に分散させた粒子のスラリーとポリエステル系樹脂原料とをブレンドする方法、または混練押出し機を用いて、乾燥させた粒子とポリエステル原料とをブレンドする方法等によって行うのも好ましい。
本発明のポリエステルフィルムには、フィルム表面の接着性を良好にするためにコロナ処理、コーティング処理や火炎処理等を施したりすることも可能である。
次に本発明のポリエステルフィルムの諸特性を説明する。
まず、本発明のポリエステルフィルムは、フィルムの長手方向と幅方向の各々の引張り試験による40%伸張時応力について、長手方向の40%伸張時応力と幅方向の40%伸張時応力の平均値が40MPa以上110MPa以下であることが好ましい。フィルムを折りたたんだとき、折り目の谷側は局所的な圧縮やフィルム自身の摩擦による破壊が生じると同時に、折り目の山側は局所的な伸張による塑性変形が生じると考えられる。折り目山側の塑性変形ひずみは、フィルムの厚みや折り畳み度合いによって変化するが、20%以上60%以下の間に収まると考えられる。この平均値である40%を塑性変形ひずみとした場合、40%伸張(変形)時の応力が高いほどフィルムを折り畳んだときの復元力、すなわち反発が大きくなり、折畳み性が低下すると考えられる。逆に、40%伸張時の応力が低いと容易にフィルムが降伏しやすい、すなわち折り目が付きやすいと考えられる。
フィルムの長手方向と幅方向の各々の引張り試験による40%伸張時の応力を低下させるには、上記記載のように、フィルムを構成しているポリエステル組成物が非晶性ポリエステルであることが好ましく、ポリエステル中における多価アルコール成分100モル%中あるいは多価カルボン酸成分100モル%中の非晶質成分となり得る1種以上のモノマー成分の合計が13モル%以上、好ましくは14モル%以上、より好ましくは15モル%以上、特に好ましくは16モル%以上である。また非晶質成分となり得るモノマー成分の合計の上限は特に限定されないが、上限は30モル%が好ましい。また、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、ε−カプロラクトンやテトラメチレングリコール等を含むポリエステルエラストマーを含ませて融解開始温度を低下させると、40%伸張時の応力が更に低下してより好ましい。また、後述するフィルムの製膜工程中の最終熱処理工程において、ポリエステル樹脂の融解開始温度以上240℃以下の温度で熱処理することが必要となる。この熱処理工程を経ることでフィルムの分子配向を部分的に崩壊させ、40%伸張時の応力を低下させることができる。
フィルムの長手方向と幅方向の各々の引張り試験による40%伸張時応力について、長手方向の40%伸張時応力と幅方向の40%伸張時応力の平均値が110MPaを超えると、折り紙や包装等で折った際に折り目が開き、きれいな美観を得られなくなるので好ましくない。105MPa以下が好ましく、100MPa以下がより好ましい。40%伸張時の応力は低いほどフィルムの力学的破壊・変形を起こしやすく、折畳み性が良好となり好ましいが、現状の技術水準では40MPaが下限である。
フィルムの融解開始温度を100℃から180℃に調整するためには、上記記載のように、非晶質のポリエステル樹脂を原料として用いることが好ましい。非晶質成分となり得るモノマーの具体例としては、ネオペンチルグリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、イソフタル酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、1,3−プロパンジオール、2,2−ジエチル−1,3−プロパンジオール、2−n−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール、2,2−イソプロピル−1,3−プロパンジオール、2,2−ジ−n−ブチル−1,3−プロパンジオール、ヘキサンジオールを挙げることができる。これらの中でも、ネオペンチルグリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、イソフタル酸が好ましい。非晶質成分となり得る1種以上のモノマー成分の合計が13モル%以上、好ましくは14モル%以上、より好ましくは15モル%以上、特に好ましくは16モル%以上である。非晶質成分となり得るモノマー成分の合計の上限は特に限定されないが、上限は30モル%が好ましい。また、1,4−シクロヘキサンジメタノール等の環状ジオールや、炭素数3〜6個を有するジオール(例えば、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、ヘキサンジオール等)、ε−カプロラクトンやテトラメチレングリコール等を含むポリエステルエラストマーを含有させることにより、融解開始温度を低下させることができるため、少なくとも1種以上使用することが好ましい。例えば、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、ε−カプロラクトンやテトラメチレングリコール等を含むポリエステルエラストマーを含ませて融解開始温度を低下させる場合、フィルムを構成するポリエステル組成物に対して、1モル%以上含有されていることが好ましく、より好ましくは5モル%以上、更に好ましくは10モル%以上、最も好ましくは15モル%以上含有されていることが好ましい。但し、あまりにも多くの前記の融解開始温度を低下させる成分が含有されていると、物理的強度を担うエチレンテレフタレートユニットが相対的に少なくなり、フィルム強度、耐熱性等が不充分となる恐れを生じるので、フィルムを構成するポリエステル組成物の全ポリエステルユニットに対し30モル%以下としておくことが好ましく、より好ましくは25モル%以下である。
また、本発明のポリエステルフィルムは、80℃の温湯中で10秒間に亘って処理した場合における幅方向、長手方向の温湯熱収縮率がいずれも-10%以上10%以下であることが好ましい。10%を超えると、例えば真夏の車中や温調管理の無い倉庫内といった高温環境下ではフィルムが収縮・変形してしまい好ましくない。温湯熱収縮率の上限は8%以下であるとより好ましく、6.5%以下であると更に好ましい。一方、温湯熱収縮率が-10%を下回ると、収縮率が高い場合と同様にフィルムが元の形状を維持できづらくなり好ましくない。温湯熱収縮率の下限値は-5%以上であるとより好ましく、-2%以上であると更に好ましい。
温湯熱収縮率を-10%以上10%以下の範囲にするためには、後述するフィルムの製膜工程中の最終熱処理工程において、ポリエステル樹脂の融解開始温度以上240℃以下の温度で熱処理することが好ましい。熱処理温度が融解開始温度以下であると、収縮率が10%を超えて好ましくない。さらに、上記の非晶質成分となり得るモノマーの含有量がフィルムを構成するポリエステル組成物の全ポリエステルユニットに対し30モル%以下としておくことが好ましく、より好ましくは25モル%以下である。30モル%を超えると、融解開始温度以上の熱処理でも収縮率が高くなりすぎてしまい好ましくない。
本発明のポリエステルフィルムは、ヘイズが1%以上15%以下であることが好ましい。15%を超えると、フィルムの透明性が悪くなるため、袋等の包装材とした場合に中身の視認性が劣ることになる。ヘイズの上限は13%以下であるとより好ましく、10%以下であると更に好ましく、7%以下であると特に好ましく、3%以下であると最も好ましい。ヘイズは低いほど透明性が高くなり好ましいが、現状の技術水準では1%が下限であり、2%以上であっても実用上十分と言える。
本発明のポリエステルフィルムを形成する樹脂の中には、上述のように滑剤としての微粒子を添加することが好ましいが、あまりにも滑剤の含有量が多いと、フィルム表面凹凸が大きくなる場合があるので、3000ppm以下としておくことが好ましく、より好ましくは1000ppm以下である。さらに、最終熱処理工程での熱処理温度が240℃を超えると、フィルム表面が熱によって粗くなりヘイズが高くなるため好ましくない。
本発明のポリエステルフィルムは、後述する方法で測定される折畳み保持角度が20度以上50度以下であることが好ましい。50度以下であると、折り紙や包装等で折った際に折り目が開き、きれいな美観を得られ、好ましい。折畳み保持角度はより好ましくは45度以下であり、40度以下が更に好ましい。また折畳み保持角度は小さいほど好ましいが、本発明の範囲は20度が下限であり、25度以上であっても実用上好ましいものと言える。
折り畳み保持角度は、40%伸張時の応力が低いほど低下するため、上述のように非晶質成分となり得る1種以上のモノマー成分の合計が13モル%以上、好ましくは14モル%以上、より好ましくは15モル%以上、特に好ましくは16モル%以上となるようなポリエステル樹脂を用い、かつ、製膜工程中の最終熱処理工程において、ポリエステル樹脂の融解開始温度以上240℃以下の温度で熱処理することが好ましい。これらの条件によって40%伸張時応力を40MPa以上110MPa以下に調整することができ、折り畳み角度を20度以上50度以下に調整することができる。
本発明のポリエステルフィルムは、DSCの昇温プロファイルから得られる融解開始温度が100℃以上180℃以下であることが好ましい。融解開始温度は更に好ましくは175℃以下である。後述するフィルムの熱処理工程において、フィルムを部分的に融解できることが好ましく、この際に融解開始温度が影響する。融解開始温度が180℃以下であると、ポリエステル樹脂の結晶性が高過ぎないため、熱処理時に結晶化が促進されにくく部分的に融解しやすいので好ましい。結晶化が促進されず非晶部の多いポリエステル組成物からなるフィルムは折畳み時の反発が小さく、折畳み保持性が良好に維持されるので好ましい。融解開始温度が100℃以上であると、フィルムを高温環境下に放置した際にも耐熱性が十分であり、好ましい。融解開始温度は120℃以上であることが更に好ましい。
本発明のポリエステルフィルムは、長手方向及び/又は幅方向の引張り破壊強さが100MPa以上300MPa以下であることが好ましい。100MPa以上であると、印刷等の加工時、または袋等の包装材としたとき破れの恐れが小さく好ましい。長手方向及び/又は幅方向の引張り破壊強さは120MPa以上であるとより好ましく、140MPa以上であると更に好ましい。引張り破壊強さは高ければ高いほど好ましいが、本発明では300MPaを上回ることはないので、300MPaを上限とした。100MPa以上であれば、200MPa以下であっても実用上好ましいものと言える。
引張破壊強さは、非晶性ポリエステル樹脂を用いることで低下するため、非晶質成分となり得るモノマーの含有量がフィルムを構成するポリエステル組成物の全ポリエステルユニットに対し30モル%以下としておくことが好ましく、より好ましくは25モル%以下である。また、製膜工程中の延伸倍率が大きくなるほど引張破壊強さは大きくなる傾向がある。縦方向、横方向いずれかの引張破壊強度100MPa以上を得るためには、該当方向の延伸倍率は2.0倍以上が好ましく、2.5倍以上がより好ましい。延伸倍率は大きければ大きいほど引張破壊強度が大きくなって好ましいが、現実的にはフィルムの破断が懸念されるので、5.5倍以下としておくことが好ましい。また、引張破壊強度は、最終熱処理工程において融解開始温度以上で熱処理することで分子配向性が乱されることに関連するようであるが、結果として低下する。上記の40%伸張時の応力や収縮率を考慮すると、融解開始温度以上で熱処理することが好ましく、過剰な熱処理は引張破壊強度を極端に低下させるため好ましくなく、上限は240℃としておくことが好ましい。
本発明のポリエステルフィルムにおいてフィルムの厚みは特に限定されないが、3μm以上100μm以下が好ましい。フィルムの厚みが3μmより薄いと印刷等の加工が困難になるおそれがある。またフィルム厚みが100μmより厚いと折畳み性が低下し、さらにフィルムの使用重量が増えてコストが高くなるので好ましくない。フィルムの厚みは5μm以上90m以下であるとより好ましく、7μm以上80μm以下であるとさらに好ましい。
上述した本発明のポリエステルフィルムは、フィルムを構成する上記のポリエステル組成物とすべく、単一又は複数のポリエステル原料を押出機により溶融押し出しして未延伸フィルムを形成し、その未延伸フィルムを以下に示す所定の方法により一軸延伸または二軸延伸し、その後さらに熱処理することによって得ることができる。なお、ポリエステルは、前記した好適なジカルボン酸成分とジオール成分とを公知の方法で重縮合させることで得ることができる。また、通常は、チップ状のポリエステルを2種以上混合してフィルムの原料として使用することが好ましく行われる。
原料樹脂を溶融押し出しする際には、ポリエステル原料をホッパードライヤー、パドルドライヤー等の乾燥機、または真空乾燥機を用いて乾燥するのが好ましい。そのようにポリエステル原料を乾燥させた後に、押出機を利用して、200〜300℃の温度で溶融しフィルム状に押し出す。押し出しに際しては、Tダイ法、チューブラー法等、既存の任意の方法を採用することができる。
そして、押し出し後のシート状の溶融樹脂を急冷することによって未延伸フィルムを得ることができる。なお、溶融樹脂を急冷する方法としては、溶融樹脂を口金から回転ドラム上にキャストして急冷固化することにより実質的に未配向の樹脂シートを得る方法を好適に採用することができる。
本発明の目的を達成するには、フィルムの延伸方向はフィルム縦(長手)方向、横(幅)方向のいずれでも構わない。以下では、最初に縦延伸、次に横延伸を実施する縦延伸−横延伸法について説明するが、順番を逆にする横延伸−縦延伸であっても、主配向方向が変わるだけであるので構わない。また、延伸方向が縦方向のみ、もしくは横方向のみでも構わない。
まず、縦方向の延伸を行う。実質的に未配向のフィルムを、Tg以上Tg+30℃以下の温度で3.0倍以上4.5倍以下の倍率となるように縦延伸するのが好ましい。縦方向への延伸倍率が高くなると、縦方向への配向が強化されすぎてしまい、縦方向への延伸、または次工程の横延伸で破断が生じてしまう。縦延伸倍率の好ましい上限は4.2倍以下であり、3.9倍以下だとより好ましい。縦延伸後にフィルムを長手方向へ弛緩(リラックス)して最終的な延伸倍率をコントロールすることもできる。リラックスは、縦延伸後のフィルムをTg以上Tg+90℃以下の温度で加熱し、ロールの速度差を用いる等の手段を用いることで、長手方向に任意の倍率でフィルムを弛緩することで行うことができる。加熱手段はロール、近赤外線、遠赤外線、熱風ヒータ等のいずれも用いる事ができる。
また、縦延伸倍率が3.0倍よりも低いとフィルム長手方向の厚み斑が悪化してしまう場合があり、フィルムをロールとして巻き取った際に巻きズレ等の問題が生じるため、好ましくない。最終的な縦方向の延伸倍率を3.0倍以下としたい場合は、縦延伸を3.0倍以上で実施した後にリラックスを実施することでコントロールすることができる。縦延伸倍率の好ましい下限は3.2倍以上であり、3.4倍以上だとより好ましい。上記したように、横延伸を実施するのであれば、縦延伸を実施しなくても構わない。
次に、横方向の延伸を行う。横方向の延伸は、テンター内でフィルム幅方向の両端際をクリップによって把持した状態で、Tg以上Tg+30℃以下の温度で3.5〜5.0倍程度、行うことが好ましい。横方向の延伸を行う前には、Tg-10℃以上Tg+50℃以下の温度で予備加熱を行っておくことが好ましい。
横延伸の後は、フィルムの熱処理を行う。熱処理温度は、原料として用いるポリエステル樹脂のDSC昇温プロファイルから得られる融解開始温度以上とすることが好ましい。熱処理の際には横方向のクリップ間距離を縮めるリラックス処理(前記の長手方向のリラックス処理とは異なる)を任意の倍率で行っても良い。融解開始温度以上で熱処理することにより、延伸によって生じたフィルムの結晶配向を部分的に崩壊させて40%伸張時応力を調節でき、折畳み角度を低下させる作用がある。それと同時に、融解開始温度以上の熱処理によって、延伸で生じたフィルムの非晶配向も崩壊させて収縮性を低下させることができる。熱処理温度が融解開始温度より低いとフィルムが結晶化する領域で熱処理していることになり、フィルムの収縮性は低下するものの、折畳み保持角度が増加して好ましくない。一方、熱処理温度が240℃を超える場合、本発明では非晶性のポリエステル樹脂を用いるため、フィルムの収縮が大きくなる。このことで製膜中のフィルムの厚み斑が悪化し、さらに過熱が進むとフィルムが完全融解して破断してしまうため好ましくない。
後は、フィルム両端部を裁断除去しながら巻き取れば、ポリエステルフィルムロールが得られる。
次に実施例及び比較例を用いて、本発明を具体的に説明するが、本発明は、かかる実施例の態様に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、適宜変更することが可能である。
フィルムの評価方法は下記の通りである。尚、フィルムの面積が小さいなどの理由で、長手方向と幅方向が直ちに特定できない場合は、仮に長手方向と幅方向を定めて測定すればよく、仮に定めた長手方向、幅方向が、真の長手方向、幅方向と90度間違っているからと言って、特に問題を生ずることはない。
[40%伸張時の応力]
測定方向をフィルム幅方向とすると、幅方向に140mm、測定方向と直交する方向(フィルム長手方向)に20mmの短冊状の試験片を作製した。万能引張試験機「DSS−100」(島津製作所製)を用いて、試験片の両端からチャックで各々20mmずつ把持(チャック間距離100mm)して、雰囲気温度23℃、引張速度200mm/min.の条件にて引張試験を行った。得られた応力−ひずみ曲線より、ひずみ40%時の応力を40%伸張時の応力とした。長手方向の測定は、前記幅方向の測定と試料片の作成方向を90度変更して実施した。尚、ひずみが40%に到達する前にフィルムが破断した場合は、応力を0MPaとした。最終的には幅方向と長手方向、それぞれから得られた応力の平均値をひずみ40%時の応力として用いた。
[折畳み保持角度]
28℃50%RH環境の恒温室でフィルムを24時間放置する。その後直ちに、各々のフィルムを20℃65%RH環境で10cm×10cmの正方形に裁断し、4つ折にした(5cm×5cmの正方形)。フィルムを折りたたむ際、最初の2つ折りで出来た長方形の短辺が縦方向になるようにした。その後 底面の大きさが3cm×3cmの5kgの錘を20秒間、4つ折りのフィルムに乗せた。錘を外した後、4つ折りのフィルムを30分間放置した。その後、折られたフィルムが開いた角度(完全に折畳まれた状態を0度とした)を測定して求めた。また、フィルムを折りたたむときの縦方向、横方向の両方の折畳み保持角度を測定し、角度が大きい方の値を折畳み保持角度とした。
[温湯熱収縮率]
フィルムを10cm×10cmの正方形に裁断し、80±0.5℃の温水中に無荷重状態で10秒間浸漬して熱収縮させた後、25℃±0.5℃の水中に10秒間浸漬し、水中から引き出してフィルムの縦および横方向の寸法を測定し、下記式1にしたがって、それぞれ収縮率を求めた。
収縮率={(収縮前の長さ−収縮後の長さ)/収縮前の長さ}×100(%) 式1
[ヘイズ]
JIS-K-7136に準拠し、ヘイズメータ(日本電色工業株式会社製、300A)を用いて測定した。なお、測定は2回行い、その平均値を求めた。
[引張破壊強さ]
測定方向をフィルム幅方向とすると、幅方向に140mm、測定方向と直交する方向(フィルム長手方向)に20mmの短冊状の試験片を作製した。万能引張試験機「DSS−100」(島津製作所製)を用いて、試験片の両端からチャックで各々20mmずつ把持(チャック間距離100mm)して、雰囲気温度23℃、引張速度200mm/min.の条件にて引張試験を行い、引張破壊時の応力を引張破壊強さとした。長手方向の測定は、前記幅方向の測定と試料片の作成方向を90度変更して実施した。
[ガラス転移点(Tg)]
セイコー電子工業株式会社製の示差走査熱量計(型式:DSC220)を用いて、JIS K7121に従って求めた。未延伸フィルム10mgを、−20℃から120℃まで、昇温速度10℃/分で昇温し、昇温プロファイルを得た。得られたプロファイルの変曲点の前後に接線を引き、その交点をガラス転移点(Tg;℃)として読み取った。
[融解開始温度]
セイコー電子工業株式会社製の示差走査熱量計(型式:DSC220)を用いて、JIS K7121に従って低温側の補外融解開始温度を求めた。まずフィルム10mgを20℃から300℃まで昇温速度10℃/分で昇温し、昇温プロファイルを得た。昇温プロファイルにおいて、低温側のベースラインを高温側に延長した直線と融解ピークの低温側の曲線に勾配が最大になる点で引いた接線の交点の温度を融解開始温度として読み取った。
[長手方向厚み斑]
フィルムを長さ12m×幅40mmの長尺なロール状にサンプリングし、ミクロン測定器株式会社製の連続接触式厚み計を用いて、測定速度5m/分でフィルムの長手方向に沿って連続的に厚みを測定した(測定長さは10m)。測定時の最大厚みをTmax.、最小厚みをTmin.、平均厚みをTave.とし、下式2からフィルムの長手方向の厚み斑を算出した。

厚み斑={(Tmax.−Tmin.)/Tave.}×100 (%) ・・式2
[幅方向厚み斑]
フィルムを長さ40mm×幅1.2mの幅広な帯状にサンプリングし、ミクロン測定器株式会社製の連続接触式厚み計を用いて、測定速度5m/分でフィルム試料の幅方向に沿って連続的に厚みを測定した(測定長さは500mm)。測定時の最大厚みをTmax.、最小厚みをTmin.、平均厚みをTave.とし、上式2からフィルムの幅方向の厚み斑を算出した。
また、実施例および比較例に用いたポリエステルは以下の通りである。
・ポリエステル1:エチレングリコール70モル%、ネオペンチルグリコール30モル%とテレフタル酸とからなる共重合ポリエステル
・ポリエステル2:ポリエチレンテレフタレート(PET)
・ポリエステル3:ポリエステル2中にSiO2を7000ppm添加したポリエステルマスターバッチ
・ポリエステル4:ポリブチレンテレフタレート(PBT)
・ポリエステル5:ポリブチレンテレフタレート54モル%、ポリε−カプロラクトン46モル%共重合体
・ポリエステル6:エチレングリコール70モル%、1.4-シクロヘキサンジメタノール30モル%とテレフタル酸とからなる共重合ポリエステル
(実施例1)
上記したポリエステル1とポリエステル2とポリエステル3とポリエステル4を重量比60:15:5:20で混合し、混合して押出機に投入した。この混合樹脂を270℃で溶融させてTダイから押出し、表面温度25℃に冷却された回転する金属ロールに巻き付けて急冷することにより、厚さ250μmの未延伸フィルムを得た。未延伸フィルムのガラス転移温度は65℃、融解開始温度は130℃であった。得られた未延伸フィルムを、複数のロール群を連続的に配置した縦延伸機へ導き、予熱ロールでフィルム温度が70℃になるまで予備加熱した後、表面温度80℃に設定された低速回転ロールと、表面温度80℃に設定された高速回転ロールとの間で、回転速度差を利用して、縦方向に3.5倍延伸した。 しかる後、縦延伸後のフィルムを、テンター内で幅方向の両端際をクリップによって把持した状態で、まずフィルムの表面温度が90℃になるまで予備加熱を行い、その後、85℃で横方向に4.0倍に延伸した。横延伸後のフィルムは、幅方向の両端際をクリップによって把持した状態でテンター内の熱処理ゾーンに導き、当該熱処理ゾーンにおいて、140℃の温度で10秒間に亘って熱処理を施した後に冷却した。しかる後、両縁部を裁断除去して幅400mmでロール状に巻き取ることによって、約18μmの二軸延伸フィルムを所定の長さに亘って連続的に製造した。
得られたフィルムの特性は、上記した方法によって評価した。得られた応力ひずみ曲線を一例として図2に示す。また、評価結果を表1に示す。得られた二軸延伸フィルムは、好ましい折り畳み角度、低熱収縮率、好ましいヘイズのフィルムとなり、総合的に大変好ましいものであった。
(実施例2)
実施例1と同じポリエステル原料を実施例1と同様に溶融押し出しし、熱処理温度を170℃とした以外は実施例1と同様の方法・条件で製膜することによって、約18μmの二軸延伸フィルムを所定の長さに亘って連続的に製造した。そして、得られたフィルムの特性を上記した方法によって評価した。評価結果を表1に示す。実施例1と同様、良好なフィルムを得た。
(実施例3)
上記したポリエステル1とポリエステル2とポリエステル3とポリエステル4を重量比50:35:5:10で混合後、実施例1と同様に溶融押し出しを行った。未延伸フィルムのガラス転移温度は70℃、融解開始温度は170℃であった。その後、熱処理温度を170℃とした以外は実施例1と同様の方法・条件で製膜することによって、約18μmの二軸延伸フィルムを所定の長さに亘って連続的に製造した。得られたフィルムの特性は上記した方法によって評価した。評価結果を表1に示す。実施例1と同様、良好なフィルムを得た。
(実施例4)
上記したポリエステル1とポリエステル2とポリエステル3とポリエステル5を重量比50:35:5:10で混合後、実施例1と同様に溶融押し出しを行った。未延伸フィルムのガラス転移温度は65℃、融解開始温度は150℃であった。その後、熱処理温度を150℃とした以外は実施例1と同様の方法・条件で製膜することによって、約18μmの二軸延伸フィルムを所定の長さに亘って連続的に製造した。得られたフィルムの特性は上記した方法によって評価した。評価結果を表1に示す。実施例1と同様、良好なフィルムを得た。
(実施例5)
上記したポリエステル1とポリエステル2とポリエステル3とポリエステル4を重量比75:10:5:10で混合後、実施例1と同様に溶融押し出しを行った。未延伸フィルムのガラス転移温度は70℃、融解開始温度は140℃であった。その後、熱処理温度を160℃とした以外は実施例1と同様の方法・条件で製膜することによって、約18μmの二軸延伸フィルムを所定の長さに亘って連続的に製造した。得られたフィルムの特性は上記した方法によって評価した。評価結果を表1に示す。実施例1と同様、良好なフィルムを得た。
(実施例6)
実施例1と同じポリエステル原料を実施例1と同様に溶融押し出しし、厚さ70μmの未延伸フィルムを得た。この未延伸フィルムを、テンター内で幅方向の両端際をクリップによって把持した状態で、まずフィルムの表面温度が85℃になるまで予備加熱を行い、80℃で横方向に4.0倍に延伸した。横延伸後のフィルムは、幅方向の両端際をクリップによって把持した状態でテンター内の熱処理ゾーンに導き、当該熱処理ゾーンにおいて、140℃の温度で10秒間に亘って熱処理を施した後に冷却した。その後、実施例1と同様の方法で約18μmの横方向一軸延伸フィルムを所定の長さに亘って連続的に製造した。そして、得られたフィルムの特性を上記した方法によって評価した。評価結果を表1に示す。実施例1と同様、良好なフィルムを得た。
(実施例7)
上記したポリエステル3とポリエステル4とポリエステル6を重量比5:20:75で混合後、実施例1と同様に溶融押し出しを行った。未延伸フィルムのガラス転移温度は65℃、融解開始温度は140℃であった。その後、実施例1と同様の方法・条件で製膜することによって、約18μmの二軸延伸フィルムを所定の長さに亘って連続的に製造した。得られたフィルムの特性は上記した方法によって評価した。評価結果を表1に示す。実施例1と同様、良好なフィルムを得た。
(比較例1)
上記したポリエステル2とポリエステル3を重量比95:5で混合後、実施例1と同様に溶融押し出しを行った。未延伸フィルムのガラス転移温度は75℃、融解開始温度は200℃であった。その後、熱処理温度を200℃とした以外は実施例1と同様の方法・条件で製膜することによって、約18μmの二軸延伸フィルムを所定の長さに亘って連続的に製造した。得られたフィルムの特性は上記した方法によって評価した。評価結果を表1に示す。40%伸張時応力や折畳み保持角度が本発明の規定範囲から外れており、好ましくないフィルムとなった。
(比較例2)
実施例1と同じポリエステル原料を、実施例1と同様の方法で溶融押出しして未延伸のフィルムを得た。その後、熱処理温度を90℃とした以外は比較例1と同様の条件で製膜することによって、約18μmの二軸延伸フィルムを所定の長さに亘って連続的に製造した。そして、得られたフィルムの特性を上記した方法によって評価した。評価結果を表1に示す。70℃の温湯熱収縮率が大きく、好ましくないフィルムとなった。
(比較例3)
上記したポリエステル1とポリエステル2とポリエステル3を重量比25:70:5で混合後、実施例1と同様に溶融押し出しを行った。未延伸フィルムのガラス転移温度は75℃、融解開始温度は190℃であった。その後、熱処理温度を190℃とした以外は実施例1と同様の方法・条件で製膜することによって、約18μmの二軸延伸フィルムを所定の長さに亘って連続的に製造した。得られたフィルムの特性は上記した方法によって評価した。評価結果を表1に示す。折畳み角度が本発明の規定範囲から外れており、不適格なフィルムが得られた。
本発明のポリエステルフィルムは、優れた折畳み保持性を有し、低い収縮性、優れた透明性を有している。その為、包装紙、紙製手提げ袋、本のカバー、折り紙等の紙の代替用途に好ましく使用できるものである。

Claims (5)

  1. エチレンテレフタレートユニットを含む非晶性ポリエステルからなり、下記要件(1)から(3)を満たすことを特徴とするポリエステルフィルム。
    (1)フィルムの長手方向と幅方向の各々の引張り試験による40%伸張時応力について、長手方向の40%伸張時応力と幅方向の40%伸張時応力の平均値が40MPa以上110MPa以下
    (2)80℃の温湯中で10秒間に亘って処理した場合における長手方向及び幅方向の温湯熱収縮率がいずれも-10%以上10%以下
    (3)ヘイズが1%以上15%以下
  2. 折畳み保持角度が20度以上50度以下であることを特徴とする請求項1に記載のポリエステルフィルム。
  3. DSC昇温プロファイルにおける融解開始温度が100℃以上180℃以下であることを特徴とする請求項1又は2に記載のポリエステルフィルム。
  4. 長手方向及び/又は幅方向の引張り破壊強さが100MPa以上300MPa以下であることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載のポリエステルフィルム。
  5. 請求項1から4いずれかのポリエステルフィルムを連続的に製造する方法であって、溶融押出され、冷却固化された未延伸シートを長手方向及び/又は幅方向に延伸後、ポリエステルフィルムの融解開始温度以上240℃以下の温度で熱固定することを特徴とするポリエステルフィルムの製造方法。
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