JP2015164406A - ライフサイエンス用容器 - Google Patents

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拓也 樋口
Takuya Higuchi
樋口  拓也
孝之 池田
Takayuki Ikeda
孝之 池田
石川 浩二
Koji Ishikawa
浩二 石川
長沼 宏之
Hiroyuki Naganuma
宏之 長沼
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Abstract

【課題】本発明は、水接触角の調整が容易であり、かつ、水接触角の長期間維持が可能なライフサイエンス用容器を提供することを主目的とする。
【解決手段】本発明は、凹部を有する樹脂容器と、上記樹脂容器の上記凹部内の表面に貼付された水接触角調整層と、を有し、上記水接触角調整層がモスアイ構造を有する水接触角調整部を有することを特徴とするライフサイエンス用容器を提供することにより、上記目的を達成する。
【選択図】図1

Description

本発明は、水接触角の調整が容易であり、かつ、水接触角の長期間維持が可能なライフサイエンス用容器に関するものである。
近年、容器内で細胞を培養し、人工臓器やバイオセンサ、バイオリアクターなどに応用することが試みられている。また、タンパク質、ペプチド、糖類、核酸(DNA、RNA)等の生体分子を含む化合物や細胞等の検出、分離、精製、分析、評価等が行われている。
また、マイクロメートルオーダーの幅の流路を有し、マイクロ流路が合流したり、分岐したりする構造を有するマイクロ流路に微量の溶液を流して、化合物の合成や検出、分離、精製、分析、評価等が試みられている。
このような細胞培養や化合物等の検出等に用いられる生化学試験用の器具、マイクロ流路等のライフサイエンス用の容器の材質としては、取り扱いの容易性、大量生産性および加工容易性等のために樹脂が広く用いられている。
しかしながら、細胞培養に用いた場合、容器を構成する樹脂によっては、細胞との親和性が適切でなく、効率的に細胞の培養等を行うことができない場合がある。
また、化合物の検出等に用いた場合、容器を構成する樹脂によっては目的とする化合物等が容器表面に吸着することにより、化合物等の検出や評価を精度良く行うことができないといった問題がある。
さらに、マイクロ流路に用いた場合、容器を構成する樹脂とマイクロ流路に流す溶液との親和性が低い場合には、マイクロ流路と溶液との間に気泡が発生するといった問題がある。
このような問題に対して、特許文献1〜特許文献4では、樹脂容器の細胞や化合物等との親和性を調整する方法として、樹脂容器に紫外線やプラズマを照射する方法や、樹脂容器に細胞や化合物との親和性に優れた材料からなる層をコーティングする方法が挙げられている。
特開平3−7575号公報 特開平3−7576号公報 特開平5−176753号公報 特開2013−237812号公報
しかしながら、上述のような方法では、樹脂容器内面の細胞や化合物等との親和性を十分に得ることができない場合や、目的との親和性を長期間にわたって維持することが困難な場合がある。
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、水接触角の調整が容易であり、かつ、水接触角の長期間維持が可能なライフサイエンス用容器を提供することを主目的とする。
上記目的を達成するために、本発明は、凹部を有する樹脂容器と、上記樹脂容器の上記凹部内の表面に貼付された水接触角調整層と、を有し、上記水接触角調整層がモスアイ構造を有する水接触角調整部を有することを特徴とするライフサイエンス用容器を提供する。
本発明によれば、上記樹脂容器の上記凹部内の表面に上記水接触角調整層が貼付されていることにより、樹脂容器の材質によらず所望の水接触角の内面を有するものとすることができる。このため、細胞や化合物等との親和性を容易に調整可能なものとすることができる。
また、上記水接触角調整層に含まれる水接触角調整部がモスアイ構造を有するものであることにより、水接触角の調整が容易であり、かつ、水接触角の長期間維持が可能なものとすることができる。
本発明においては、上記水接触角調整部の水接触角が35°〜110°の範囲内であることが好ましい。細胞培養容器として用いた場合に、足場依存性細胞の培養等に適したものとすることができるからである。
本発明においては、上記水接触角調整部の水接触角が35°未満であることが好ましい。細胞培養容器として用いた場合に、浮遊性細胞の培養等に適したものとすることができるからである。また、足場依存性細胞に対する細胞接着阻害領域に適したものとすることができるからである。
本発明においては、上記凹部内の側面が、上記水接触角調整部により覆われていることが好ましい。本発明の効果をより効果的に発揮できるからである。
本発明においては、上記水接触角調整層が、上記樹脂容器を横断するように貼付されていることが好ましい。上記水接触角調整層の樹脂容器への貼付が容易だからである。
本発明においては、上記ライフサイエンス用容器が、マイクロ流路、ディッシュまたは細胞培養容器に用いられることが好ましい。本発明の効果をより効果的に発揮できるからである。
本発明は、水接触角の調整が容易であり、かつ、水接触角の長期間維持が可能なライフサイエンス用容器を提供できるといった効果を奏する。
本発明のライフサイエンス用容器の一例を示す概略平面図である。 図1のA−A線断面図である。 本発明のライフサイエンス用容器の他の例を示す概略平面図である。 図3のB−B線断面図である。 本発明のライフサイエンス用容器の他の例を示す概略断面図である。 本発明における水接触角調整層の一例を示す概略断面図である。 本発明のライフサイエンス用容器の他の例を示す概略断面図である。 本発明のライフサイエンス用容器の他の例を示す概略断面図である。 本発明のライフサイエンス用容器の製造方法の一例を示す工程図である。 Wenzel理論図の一例を示すグラフである。
本発明は、ライフサイエンス用容器に関するものである。
以下、本発明のライフサイエンス用容器について詳細に説明する。
本発明のライフサイエンス用容器は、凹部を有する樹脂容器と、上記樹脂容器の上記凹部内の表面に貼付された水接触角調整層と、を有し、上記水接触角調整層がモスアイ構造を有する水接触角調整部を有することを特徴とするものである。
このような本発明のライフサイエンス用容器について図を参照して説明する。図1は、本発明のライフサイエンス用容器の一例を示す概略平面図である。図2は図1のA−A線断面図である。図1および図2に例示するように、本発明のライフサイエンス用容器10は、凹部11を有する樹脂容器1と、上記樹脂容器1の凹部11内の表面に貼付された水接触角調整層2と、を有し、上記水接触角調整層2がモスアイ構造を有する水接触角調整部2Hを有するものである。
なお、この例においては、水接触角調整層2は、表面の全面に水接触角調整部2Hを有するものである。また、樹脂容器1は1つの凹部11を有するものであり、凹部の底面および側面1aが水接触角調整部2Hにより覆われているものである。
本発明によれば、上記樹脂容器の上記凹部内の表面に上記水接触角調整層が貼付されていることにより、上記樹脂容器の材料によらず所望の水接触角の内面を有するものとすることができる。このため、細胞や化合物等との親和性を容易に調整可能なものとすることができる。
また、上記水接触角調整部は、モスアイ構造を有するため、水接触角を水接触角調整層を構成する材料およびモスアイ構造の両者により調整することができる。
ここで、水接触角調整部の水接触角を水接触角調整層を構成する材料およびモスアイ構造の両者により調整できる原理は、Wenzel理論により説明することができる。
この理論について、水接触角を小さくする、つまり、親水化する場合について説明する。
すなわち、平坦な層を形成したときの層表面における水接触角が90°未満となる材料では、表面積を大きくすることで親水化することができる。図10にWenzel理論図の一例を示す。図中の表面積率γは微細加工による表面積の増加率である。例えば、平坦な層を形成したときの層表面における水接触角が70°の場合、表面積率γが1.5のときは水接触角は60°に変化し、表面積率γが3.5のときは水接触角は5°以下に変化する。
また、水接触角を大きくする、つまり、疎水化する場合も同様に、平坦な層を形成したときの層表面における水接触角が90°より大きくなる材料を用いた場合、表面積を大きくすることで疎水化することができる
また、モスアイ構造では表面積率γが大きいため、水接触角を十分に小さくすることや大きくすることが容易であり、水接触角の調整効果が顕著に発揮される。
このようなことから、樹脂容器の表面を覆うようにコーティングした場合のように、表面が平坦なものでは所望の水接触角の表面とすることができない材料であっても、モスアイ構造を有する水接触角調整部を形成した場合には、所望の水接触角を有するものとすることが可能となるのである。
さらに、モスアイ構造がその構造上、水接触角の調整に寄与するものであるため、水接触角が経時的に変化することを抑制することが可能である。
このため、例えば、UV照射等により水接触角を調整したもの等と比較して、所定の水接触角の長期間維持が可能となり、水接触角の調整を行った後から使用するまでの間、さらには使用中の水接触角の経時変化を抑制できる。
このように容器の製造から使用までの期間や使用期間に依らず容器表面の水接触角の経時変化が抑制できることから、例えば接着状態の変化が増殖や分化に影響を与えることが知られている細胞の培養に用いた場合には、細胞の増殖や分化等をより精度良く制御することが可能となる。また、培養した細胞を用いた評価等についても細胞が接着している箇所の水接触角の経時変化のない状態で行うことができ、評価を安定的に行うことが可能となる。
また、化合物等の吸着を安定的に抑制できることにより、化合物等の検出や評価を精度良く行うことが可能となる。
さらに、樹脂容器の凹部に溜める溶液または流す溶液との親和性が良好な状態を安定的に維持することができる。このため、凹部と溶液との間の気泡発生を長期間抑制でき、凹部に溜める溶液の液量変化および凹部に流す溶液の流量変化を抑制できる。このため、細胞の培養や、化合物の合成や分離等を精度良く行うことができる。
このように、細胞培養や化合物の合成等のライフサイエンス分野に適用することにより、水接触角の調整が容易であり、かつ、水接触角の長期間維持が可能であるとの本発明の効果をより効果的に発揮できるのである。
なお、本発明におけるライフサイエンス用とは、細胞や生体分子、化学分野における化合物等を取り扱うことをいうものである。
より具体的には、細胞の培養、検出、分離、精製、分析および評価や、生体分子を含む化合物の合成、検出、分離、精製、分析および評価等に用いられるものをいうものである。
本発明のライフサイエンス用容器は樹脂容器および水接触角調整層を少なくとも有するものである。
以下、本発明のライフサイエンス用容器の各構成について詳細に説明する。
1.樹脂容器
本発明における樹脂容器は、凹部を有するものである。
上記凹部は各用途において用いられる収納物を収納する部位であり、収納物と接する側面を有する部位である。
上記凹部の平面視形状としては、用途に応じて異なるものであり、円形状、矩形状、ライン状とすることができる。またこれらの平面視形状を組み合わせたものであっても良い。
既に説明した図1および図2は、平面視形状が円形状である場合の一例を示すものである。また、図3および図4は、2つの円形状の凹部がマイクロ流路に用いられるようなライン状の凹部により結合された形状である場合の一例を示すものである。
なお、図3および図4中の符号については、図2のものと同一の部材を示すものであるので、ここでの説明は省略する。
上記凹部の底面の形状としては、用途に応じて異なるものであり、平坦状であっても良く、円弧状であっても良い。また、凹部の底面にさらに凹部が形成されているものであっても良い。
なお、既に説明した図1〜図4は、凹部の底面の形状が平坦状である場合の一例を示すものである。また、図5は、凹部の底面にさらに凹部が形成され、断面視上階段状に形成された凹部を有する場合の一例を示すものである。
なお、図5中の符号については、図2のものと同一の部材を示すものであるので、ここでの説明は省略する。
上記凹部の深さとしては、10μm〜500μmの範囲内であることが好ましく、なかでも、20μm〜100μmの範囲内であることが好ましい。上記深さであることにより、例えば、凹部内の側面が水接触角調整部部により覆われるように水接触角調整層を貼付した際に、水接触角調整層を樹脂容器との間に空隙なく貼付させることが容易だからである。
なお、上記凹部の深さは、凹部の最も深い箇所から、凹部の側面の頂点、すなわち、凹部に最も多く収納物を収納した際に収納物と接する側面の最大高さまでの距離をいうものであり、具体的には図2、図4および図5中のaで示される距離をいうものである。また、既に説明した図5のように凹部内の内面に凹部が形成され、凹部が断面視上階段状に形成されたものである場合には、各段の深さaで示される距離をいうものである。
上記凹部の数としては、少なくとも収納物を収納できる凹部を1以上含むものであればよく、既に説明した図2に例示するようなディッシュのように1つの凹部を有するものであっても良く、マイクロウェルプレートのように凹部を2以上有するものであっても良い。
上記樹脂容器を構成する樹脂系材料としては、可撓性を有していてもよく有さなくてもよい。また、樹脂系材料は、剛性を有していてもよく、弾性を有していてもよい。
このような樹脂系材料としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂、塩化ビニル樹脂、ポリスチレン(PS)樹脂、ポリプロピレン(PP)樹脂等を好適に用いることができ、なかでも、ポリスチレン樹脂であることが好ましい。ライフサイエンス用途の容器に広く用いられているからである。
なお、本発明においては、上記樹脂系材料の2以上を組み合わせて用いても良い。
2.水接触角調整層
本発明における水接触角調整層は、水接触角調整部を含むものである。
(1)水接触角調整部
上記水接触角調整部は、モスアイ構造を有する領域であり、水接触角調整層の表面に形成される領域である。また、上記凹部内の表面の少なくとも一部を覆うものである。
また、上記樹脂容器の凹部内とは異なる水接触角を有するものであり、本発明のライフサイエンス用容器の凹部内に露出するように形成されるものである。
上記モスアイ構造は、蛾の目の構造を模倣したものであり、複数の微細突起が配列された微細凹凸構造である。モスアイ構造を構成する微細突起は、図6(a)、(b)に例示するように、微細突起2aの底部から頂部に向かうに従って、水平断面の断面積が徐々に小さくなる形状を有し、いわゆるテーパー形状を有するものである。
モスアイ構造を構成する微細突起の形状は、上述のように、微細突起の底部から頂部に向かうに従って、水平断面の断面積が徐々に小さくなる形状である。微細突起の底部から頂部に向かうに従って、水平断面の断面積が徐々に小さくなるとは、微細突起の高さ方向と直交する水平面で切断したと仮定したときの水平断面内における微細突起の断面積占有率が、微細突起の底部から頂部に近づくに従い連続的に漸次減少することをいい、すなわち微細突起が先細りとなることをいう。このような微細突起の形状の具体例としては、半円状、半楕円状、三角形状、放物状、釣鐘状等の垂直断面形状を有するものが挙げられる。複数の微細突起は、同一の形状を有していてもよく異なる形状を有していてもよい。
なお、図6中の符号については、図2のものと同一の部材を示すものであるので、ここでの説明は省略する。
モスアイ構造においては、図6(a)に示すように隣接する微細突起2a同士が密接して配置されていてもよく、図6(b)に示すように隣接する微細突起2a同士が離れて配置されていてもよい。中でも、水接触角を効果的に調整できることから、隣接する微細突起が密接していることが好ましい。ここで、密接とは、隣接する微細突起の付け根位置が接しているか、接するほど近いことをいう。
モスアイ構造において、隣接する微小突起間の距離d(以下、「隣接突起間距離d」と称する。)の平均値dAVGは、所望の水接触角を示すモスアイ構造が得られれば特に限定されないが、表面積を大きくして水接触角を効果的に調整する観点から、50nm〜500nmの範囲内であることが好ましく、中でも70nm〜300nmの範囲内、特に70nm〜180nmの範囲内であることが好ましい。なお、微細突起が一定周期で規則的に配置されている場合には、隣接突起間距離dは微細突起の周期と一致する。
なお、隣接突起間距離dにはばらつきがあってもよい。ここで、隣接突起間距離dとは、図6(a)、(b)に示すような隣接する微小突起2aの頂部から頂部までの距離をいう。
また、モスアイ構造を構成する微細突起の高さHの平均値HAVGは、所望の水接触角を示すモスアイ構造が得られれば特に限定されないが、表面積を大きくして水接触角を効果的に調整する観点から、100nm〜350nmの範囲内であることが好ましく、200nm〜250nmの範囲内であることがより好ましい。水接触角の効果的な調整を考慮すると微細突起の高さHは高い方が好ましいが、微細突起の高さHが高すぎるものは形成が困難である。
なお、微細突起の高さHにはばらつきがあってもよい。ここで、微細突起の高さHとは、図6(a)、(b)に示すような微小突起2aの付け根位置から頂部までの距離をいう。
本発明において、隣接突起間距離dの平均値dAVGおよび微細突起の高さHの平均値HAVGは、以下の方法により測定される。
(1)まず、原子間力顕微鏡(Atomic Force Microscope:AFM)または走査型電子顕微鏡(Scanning Electron Microscope:SEM)を用いて微細突起の面内配列(微細突起配列の平面視形状)を検出する。
(2)続いて、この求められた面内配列から各微細突起の高さの極大点(以下、単に極大点と称する。)を検出する。なお、極大点を求める方法としては、平面視形状と対応する断面形状の拡大写真とを逐次対比して極大点を求める方法、平面視拡大写真の画像処理によって極大点を求める方法等、種々の手法を適用することができる。
(3)次に、検出した極大点を母点とするドロネー図(Delaunary Diagram)を作成する。ここで、ドロネー図とは、各極大点を母点としてボロノイ分割を行った場合に、ボロノイ領域が隣接する母点同士を隣接母点と定義し、各隣接母点同士を線分で結んで得られる三角形の集合体からなる網状図形である。各三角形は、ドロネー三角形と呼ばれ、各3角形の辺(隣接母点同士を結ぶ線分)は、ドロネー線と呼ばれる。
(4)次に、各ドロネー線の線分長の度数分布、すなわち隣接する極大点間の距離(隣接突起間距離)の度数分布を求める。
(5)このようにして求めた隣接突起間距離dの度数分布から平均値dAVGおよび標準偏差σを求める。
同様の手法を適用して微細突起の高さHの平均値HAVGを求める。まず、上述の(2)により求められる極大点から、特定の基準位置からの各極大点位置の相対的な高さの差を取得してヒストグラム化する。このヒストグラムによる度数分布から微細突起の高さの平均値HAVG、標準偏差σを求める。
なお、微細突起の高さを測る際の基準位置は、微細突起の付け根位置、すなわち隣接する微細突起の間の谷底(高さの極小点)を高さ0の基準とする。ただし、谷底の高さ自体が場所によって異なる場合、例えば、各微細突起間の谷底を連ねた包絡面が、微細突起の隣接突起間距離に比べて大きな周期でうねった凹凸形状を有する場合等は、(1)まず、基材(樹脂容器)の表面または裏面から測った各谷底の高さの平均値を、該平均値が収束するに足る面積の中で算出する。(2)次いで、該平均値の高さを有し、かつ基材(樹脂容器)の表面または裏面と平行な面を基準面として考える。(3)その後、該基準面を改めて高さ0として、該基準面からの各微細突起の高さを算出する。
微細突起のアスペクト比(微細突起の高さの平均値HAVG/隣接突起間距離の平均値dAVG)は、所望の水接触角を示すモスアイ構造が得られれば特に限定されないが、0.4〜2.5の範囲内であることが好ましく、0.8〜2.1の範囲内であることがより好ましい。
上記水接触角調整部の水接触角、すなわち、モスアイ構造の表面における水接触角としては、用いる用途に応じて適宜設定することができる。
例えば、足場依存性細胞を安定的に接着させる観点からは、35°〜110°の範囲内とすることが好ましく、足場依存性細胞が筋芽細胞等である場合には、40°〜60°の範囲内であることが好ましく、足場依存性細胞が内皮細胞等である場合には、40°〜100°の範囲内であることが好ましい。
浮遊性細胞の接着を抑制し安定的な浮遊状態で培養する観点、および足場依存性細胞の接着を阻害する観点からは、35°未満とすることが好ましく、浮遊性細胞が受精卵等である場合には、5°〜25°の範囲内であることが好ましく、浮遊性細胞が昆虫細胞(血球系細胞、卵巣)等である場合には、5°以上35°未満の範囲内であることが好ましい。
また、水を主成分とする水性媒体との間の気泡抑制を目的とする場合には、30°以下であることが好ましく、なかでも20°以下であることが好ましい。
なお、水を主成分とするとは、水の全溶媒中の含有量が70質量%以上であるものをいうものである。
また、モスアイ構造の表面における水接触角は、通常3°以上である。
ここで、本発明における水接触角は、純水の静的接触角をいうものであり、測定対象物の表面に純水1.0μLの液滴を滴下し、着滴10秒後に、滴下した液滴の左右端点と頂点を結ぶ直線の、固体表面に対する角度から接触角を算出するθ/2法に従って測定した接触角とする。測定装置としては、例えば、協和界面科学社製 接触角計DM 500を用いることができる。
また、静的接触角は、水接触角調整層を形成する材料および水接触角調整部のモスアイ構造の形状等を変更することにより、調整することができる。
上記水接触角調整部の上記水接触角調整層内の形成箇所としては、既に説明した図2に例示するように水接触角調整層2がその表面の全面に水接触角調整部2Hを有していてもよく、図7に例示するように水接触角調整層2がその表面に部分的に水接触角調整部2Hを有していてもよい。
また、図8に例示するように異なる水接触角を有するように微細突起の形状等の異なる水接触角調整部(2H−1および2H−2)をパターン状に有するものであっても良い。
なお、図7および図8中の符号については、図2のものと同一の部材を示すものであるので、ここでの説明は省略する。
上記水接触角調整部の上記樹脂容器の凹部内に対する貼付箇所としては、上記凹部内の表面の少なくとも一部を覆うように貼付されるものであれば特に限定されるものではなく、上記凹部内の全表面を覆うように貼付されるものであっても良い。
また、本発明においては、凹部が樹脂容器に複数設けられている場合には、そのうちの1の凹部内の表面の少なくとも一部を覆うように貼付されるものであれば良いものである。
本発明においては、なかでも、上記凹部内の側面が上記水接触角調整部により覆われていることが好ましい。水接触角調整層が樹脂容器とは別体として設けられることにより、例えば、賦型やフォトリソグラフィ―法等により凹部内の側面に対してモスアイ構造を形成する場合と比較して、容易に凹部内の側面に対して水接触角調整部を形成できる。このため、水接触角の調整が容易であり、かつ、水接触角の長期間維持が可能であるとの本発明の効果をより効果的に発揮できるからである。
上記水接触角調整部の凹部内に貼付される数としては、2以上であっても良い。また、凹部内に2以上の水接触角調整部が貼付される場合、水接触角調整部は、異なる水接触角調整層に形成されたものであっても良く、既に説明した図7に示すように同一の水接触角調整層内に形成されたものであっても良い。
(2)水接触角調整層
本発明における水接触角調整層は上記樹脂容器上に貼付されるものである。
ここで、貼付されるとは、水接触角調整層および樹脂容器が別体として設けられていることをいうものであり、例えば、樹脂容器表面に直接モスアイ構造が設けられたものは含まないものである。このため、水接触角調整層および樹脂容器の間には通常、境界が存在する。
上記水接触角調整層を構成する水接触角調整層形成用材料としては、所望の形状のモスアイ構造を形成することができ、所望の水接触角を有する水接触角調整部を形成可能なものであれば特に限定されるものではない。
上記水接触角調整層形成用材料としては、金属材料、無機材料および樹脂材料のいずれ用いることができる。また、これらの材料を組み合わせたものであっても良い。本発明においては、なかでも、樹脂材料であることが好ましい。上記モスアイ構造の形成が容易だからである。
上記樹脂材料としては、少なくとも樹脂を含有し、必要に応じて重合開始剤等その他の成分を含有する。ここで、樹脂とは、モノマーやオリゴマーの他、ポリマーを含む概念である。
上記樹脂としては、モスアイ構造を形成可能なものであれば特に限定されるものではなく、例えば、アクリレート系、エポキシ系、ポリエステル系等の電離放射線硬化性樹脂、アクリレート系、ウレタン系、エポキシ系、ポリシロキサン系等の熱硬化性樹脂、アクリレート系、ポリエステル系、ポリカーボネート系、ポリエチレン系、ポリプロピレン系等の熱可塑性樹脂等の各種材料および各種硬化形態の賦形用樹脂を使用することができる。また、非反応性重合体を含有してもよい。なお、電離放射線とは、分子を重合させて硬化させ得るエネルギーを有する電磁波または荷電粒子を意味し、例えば、すべての紫外線(UV−A、UV−B、UV−C)、可視光線、ガンマー線、X線、電子線等が挙げられる。
上記樹脂としては、なかでも成形性および機械的強度に優れる点から電離放射線硬化性樹脂が好ましい。電離放射線硬化性樹脂とは、分子中にラジカル重合性やカチオン重合性結合を有する単量体または重合体を適宜混合したものであり、適宜重合開始剤を用いて電離放射線により硬化されるものである。また、成形性に優れるとは、所望の形状に精度良く成形できることをいう。
本発明においては、アクリレート系、エポキシ系、ポリエステル系の電離放射線硬化性樹脂よりなる群から選ばれる少なくとも一種を含むことが好ましく、さらに、アクリロイル基やメタクリロイル基を有するアクリレート系の電離放射線硬化性樹脂から選ばれる少なくとも一種を含むことが好ましく、特に、紫外線硬化性樹脂であることが好ましい。
上記水接触角調整層形成用材料の水接触角としては、上記水接触角調整部、すなわち、モスアイ構造の表面を所望の水接触角を有するものとすることができるものであれば特に限定されない。
ここで、Wenzel理論によれば上記水接触角調整部の水接触角を90°未満とする場合には、水接触角調整層形成用材料を用いて平坦な水接触角調整層形成用材料層を形成したときの水接触角調整層形成用材料層表面における水接触角が90°未満のものであれば良く、また、上記水接触角調整部の水接触角を90°より大きくする場合には、90°より大きなものであれば良いが、このような表面積を大きくすることによる親水化または疎水化の限界点となる水接触角は表面の凹凸形状等によっても影響を受ける。本発明における水接触角調整部のようなモスアイ構造の表面では、実験的に、水接触角調整層形成用材料層表面における水接触角が75°近傍に親水化または疎水化の限界点となる水接触角が存在する。このため、上記水接触角調整部の水接触角を75°以下とする場合には水接触角調整層形成用材料層表面における水接触角が75°以下であることが好ましく、上記水接触角調整部の水接触角を75°より大きくする場合には75°より大きいことが好ましい。
より具体的には、水接触角調整部の水接触角を5°〜75°の範囲内とする場合には、上記水接触角調整層形成用材料の水接触角は、40°〜75°の範囲内であることが好ましく、なかでも、40°〜60°の範囲内であることが好ましい。
また、水接触角調整部の水接触角を100°〜120°の範囲内とする場合には、上記水接触角調整層形成用材料の水接触角は、75°より大きく90°以下であることが好ましく、なかでも、80°〜90°の範囲内であることが好ましい。
上記水接触角調整部を所望の水接触角を有するものとすることが容易だからである。
ここで、水接触角調整層が樹脂材料を硬化させてなるものである場合、上記の水接触角調整層形成用材料層の表面における水接触角は、樹脂材料を硬化させて平坦な水接触角調整層形成用材料層を形成したときの水接触角調整層形成用材料層の表面における水接触角である。例えば樹脂材料が電離放射線硬化性樹脂を含むものである場合には、電離放射線の照射により硬化させたものの水接触角をいうものであり、熱可塑性樹脂を含むものである場合には、室温である25℃まで冷却し硬化させたものの水接触角をいうものである。
上記水接触角調整層の層構造は、最表面に上記水接触角調整部が露出するものであれば良く、単層構造であっても、2層以上が積層した構造であっても良い。
例えば、上記水接触角調整部を含む層と、樹脂容器側に形成され、樹脂容器との密着性を向上させる中間層と、を有するものとすることができる。
上記水接触角調整層の厚みとしては、モスアイ構造を安定的に形成できるものであれば特に限定されるものではないが、例えば1μm以上50μm以下の範囲内とすることができる。上記厚みが上述の範囲内であることにより、射出成型法により、本発明のライフサイエンス用容器を容易に形成できるからである。また、凹部に空隙なく貼付させることが容易だからである。
なお、上記水接触角調整層の厚みは、上記樹脂容器の表面から上記水接触角調整層表面までの距離のうち最も長い距離をいうものである。
具体的には図6中のTで示されるように、樹脂容器表面から微細突起2aの頂部までの樹脂容器表面に対する垂直方向の距離を意味するものである。
本発明における水接触角調整層の上記樹脂容器に対する貼付箇所としては、上記樹脂容器の上記凹部内の表面の少なくとも一部を覆うように貼付されることにより、上記水接触角調整部が安定的に上記凹部内の表面の少なくとも一部を覆うことができるものであれば良い。
本発明においては、なかでも、既に説明した図1および図2に示すように、上記樹脂容器を横断するような箇所、すなわち、樹脂容器の外周端と、その外周端から最も遠い箇所の外周端との間を直線的に結ぶように形成されることが好ましい。射出成型法により、本発明のライフサイエンス用容器を形成する場合、樹脂容器を形成するための上型および下型の間に水接触角調整層をロールトゥロールで配置することが可能となる等、上記水接触角調整層の樹脂容器への貼付が容易となるからである。
上記水接触角調整層の形成方法としては、上述のモスアイ構造を形成可能な方法であれば特に限定されないが、上記水接触角調整層形成用材料が樹脂材料である場合には、成形性に優れ、かつ安定量産ができる点から、賦形によりモスアイ構造を形成する方法が好ましい。
具体的には、支持基材上に、樹脂材料を滴下した後、樹脂材料にモスアイ構造形成用原版を押し付けて、モスアイ構造を形成するモスアイ構造形成工程と、上記モスアイ構造形成用原版を剥離する剥離工程とを有する方法を挙げることができる。
上記樹脂材料を支持基材上に滴下する方法としては、所定の領域に樹脂材料を滴下することができる方法であればよく、例えば、インクジェット法、ディスペンサーを用いる方法等の吐出法が挙げられる。
上記モスアイ構造を形成する方法は、樹脂材料の種類等に応じて適宜選択される。例えば、硬化性樹脂組成物を用いる場合には、硬化性樹脂組成物にモスアイ構造形成用原版を押し付けて、硬化性樹脂組成物を硬化させることによりモスアイ構造を形成することができる。また、熱可塑性樹脂組成物を用いる場合には、熱可塑性樹脂組成物を加熱して軟化させ、熱可塑性樹脂組成物にモスアイ構造形成用原版を押し付けて、熱可塑性樹脂組成物を冷却することによりモスアイ構造を形成することができる。
樹脂材料の硬化方法は、樹脂材料の種類等に応じて適宜選択することができる。
上記モスアイ構造形成用原版としては、繰り返し使用した際に変形および摩耗するものでなければ特に限定されるものではなく、金属製であってもよく、石英製であってもよく、樹脂製であってもよいが、通常、耐変形性および耐摩耗性に優れている点から、金属製または石英製が好適に用いられる。中でも、モスアイ構造形成用原版側から紫外線等を照射して樹脂材料を硬化させる場合には、モスアイ構造形成用原版が透明であることが好ましく、石英製が好ましい。また、支持基材側から紫外線等を照射して樹脂材料を硬化させることもできる。
上記モスアイ構造形成用原版の形状としては、例えば、平板状、ロール状等が挙げられ、生産性向上の観点からは、ロール状が好ましい。
また、水接触角調整層が中間層を有するような積層構造を有する場合、水接触角調整層の形成方法としては、上述の方法によりモスアイ構造を有する層を形成した後、その層と中間層等とをドライラミ法等により積層する方法を用いることができる。
3.ライフサイエンス用容器
本発明のライフサイエンス用容器は、樹脂容器と、水接触角調整層と、を有するものであるが、必要に応じて他の構成を有するものであっても良い。
このような他の構成としては、例えば、樹脂容器を覆うように配置される蓋部等を挙げることができる。
本発明のライフサイエンス用容器の製造方法としては、上記樹脂容器と、上記凹部内の表面の少なくとも一部を覆うように貼付された水接触角調整層と、を有する容器を精度良く形成できる方法であれば特に限定されるものではない。
本発明においては、なかでも、射出成型法を用いることが好ましい。より具体的には、図9に例示するように、水接触角調整層形成用フィルム2´を上型21aおよび下型21bの間に配置した後(図9(a))、両金型(21aおよび21b)を密着させ、溶融状態の樹脂容器形成用材料1´を射出し(図9(b))、固化させた後、両金型(21aおよび21b)を取り外すことにより、ライフサイエンス用容器10を得ることが好ましい(図9(c))。樹脂容器の内面側に水接触角調整層が貼付された本発明のライフサイエンス用容器を容易に得ることができるからである。また、型に沿って水接触角調整層を変形させつつ樹脂容器と密着させることができるため、樹脂容器の凹部の側面が上記水接触角調整部により覆われるように、水接触角調整層を貼付することを容易に行うことができるからである。
本発明のライフサイエンス用容器の用途としては、ライフサイエンス用に用いられるものであれば特に限定されるものではないが、容器内面の水接触角の調整および水接触角の長期間維持が要求される用途であることが好ましく、より具体的には、マイクロ流路、ディッシュまたは細胞培養容器に用いられることが好ましい。
また、マイクロ流路は、マイクロメートルオーダーの幅の流路(凹部)を有し、マイクロ流路に沿って、微量の溶液を流動させることができるものである。また、マイクロ流路が合流したり、分岐したりする構造を有するものである。
細胞培養容器としては、一般的に細胞培養用途に用いられる容器を挙げることができ、具体的には、細胞培養用のディッシュ、フラスコさらには複数の凹部を有するマルチウェルプレート等を挙げることができる。
上記細胞培養容器に用いられる場合、培養される細胞としては、種々のものを用いることができ、足場依存性のものとしては、例えば生体内の各組織、臓器を構成する上皮細胞や内皮細胞、収縮性を示す骨格筋細胞、平滑筋細胞、心筋細胞、神経系を構成するニューロン、グリア細胞、線維芽細胞、生体の代謝に関係する肝実質細胞、非肝実質細胞や脂肪細胞、分化能を有する細胞として、種々組織に存在する幹細胞、さらには骨髄細胞、ES細胞、iPS細胞、幹細胞、ES細胞やiPS細胞から分化誘導した種々の細胞等を用いることができる。
また、浮遊性細胞としては、血球系細胞やリンパ系細胞や受精卵等を挙げることができる。
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は、例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。
以下、本発明について実施例および比較例を用いて具体的に説明する。
[実施例1]
(1)モスアイ構造形成用原版の作製
純度99.50%の圧延されたアルミニウム板を、研磨後、0.02Mシュウ酸水溶液の電解液中で、印加電圧40V、20℃の条件にて100秒間、陽極酸化を実施した。次に、第一エッチング処理として、陽極酸化後の電解液で50秒間エッチング処理を行った。続いて、第二エッチング処理として、1.0Mリン酸水溶液で120秒間孔径処理を行った。さらに、上記処理を繰り返し、これらを合計5回追加実施した。これにより、アルミニウム基板上に微小孔が密に形成された陽極酸化アルミニウム層が形成された。最後にフッ素系離型剤を塗布し、余分な離型剤を洗浄することで、モスアイ構造形成用原版を得た。
なお、モスアイ構造形成用原版のアルミニウム層に形成された微細な凹凸形状は、平均隣接微小孔間距離100nm、平均深さ160nmであった。また、頂点を複数有する微小突起となるような微小孔が一部存在しており、一部の微小孔に深さのばらつきがある形状であった。
(2)水接触角調整層の形成
支持基材上に、下記組成のUV硬化性樹脂組成物をインクジェット法によって滴下した。次に、UV硬化性樹脂組成物にモスアイ構造用原版Aを押し付け、支持基材側よりUV光(波長365nm)を照射して、UV硬化性樹脂組成物を完全に硬化し、原版Aを剥離して水接触角調整層を形成した。水接触角調整層の厚みは5μmであり、表面にはモスアイ構造が形成されていた。モスアイ構造は隣接する突起間の距離の平均値が100nm、平均突起高さが160nmであった。
(UV硬化性樹脂組成物)
・EO変性ビスフェノールAジアクリレート 70質量部
・ポリエチレングリコールジアクリレート 30質量部
・ジフェニル(2,4,6-トリメトキシベンゾイル)ホスフィンオキシド(ルシリンTPO) 1質量部
[実施例2]
UV硬化性樹脂組成物を、INS−3N(十条ケミカル株式会社製)に変更した以外は実施例1と同様にして水接触角調整層を得た。
[比較例1]
モスアイ構造を形成せず、平坦な膜状に形成した以外は実施例1と同様にして水接触角調整層を得た。
[比較例2]
モスアイ構造を形成せず、平坦な膜状に形成した以外は実施例2と同様にして水接触角調整層を得た。
[評価]
協和界面科学社製 接触角計(DM 500)を使って、θ/2法によって静的接触角を測定した。この際、着滴1秒後および10秒後に接触角を測定した。結果を下記表1に示す。
また、接触角の測定は、モスアイ構造の形成の直後、2週間後および6ヵ月後に実施した。
Figure 2015164406
実施例1で得られた水接触角調整層は、比較例1より水接触角が小さくなった。実施例2で得られた水接触角調整層は、比較例2より水接触角が大きくなった。
実施例で得られた水接触角調整層は6ヵ月後でも水接触角が変化しなかった。
1 … 樹脂容器
2 … 水接触角調整層
2H … 水接触角調整部
10 … ライフサイエンス用容器
11 … 凹部

Claims (6)

  1. 凹部を有する樹脂容器と、
    前記樹脂容器の前記凹部内の表面に貼付された水接触角調整層と、
    を有し、
    前記水接触角調整層がモスアイ構造を有する水接触角調整部を有することを特徴とするライフサイエンス用容器。
  2. 前記水接触角調整部の水接触角が35°〜110°の範囲内であることを特徴とする請求項1に記載のライフサイエンス用容器。
  3. 前記水接触角調整部の水接触角が35°未満であることを特徴とする請求項1に記載のライフサイエンス用容器。
  4. 前記凹部内の側面が、前記水接触角調整部により覆われていることを特徴とする請求項1から請求項3までのいずれかの請求項に記載のライフサイエンス用容器。
  5. 前記水接触角調整層が、前記樹脂容器を横断するように貼付されていることを特徴とする請求項1から請求項4までのいずれかの請求項に記載のライフサイエンス用容器。
  6. 前記ライフサイエンス用容器が、マイクロ流路、ディッシュまたは細胞培養容器に用いられることを特徴とする請求項1から請求項5までのいずれかの請求項に記載のライフサイエンス用容器。
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