JP2015164375A - 蓄電制御システム、蓄電制御装置、蓄電制御方法及びプログラム - Google Patents

蓄電制御システム、蓄電制御装置、蓄電制御方法及びプログラム Download PDF

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Abstract

【課題】蓄電池の利便性を高める。【解決手段】蓄電装置(BATT)7の蓄電状態を制御する蓄電制御システム1において、制御部30は、蓄電装置7が設けられた位置の温度が予め定めた閾値温度以下になる低温時に前記蓄電装置7に蓄電させないように、蓄電装置7が設けられた位置における将来の気象状態を予測した予測情報に基づいて、蓄電装置7の蓄電放電を制御する。【選択図】図1

Description

本発明は、蓄電制御システム、蓄電制御装置、蓄電制御方法及びプログラムに関する。
太陽光発電装置が発電する電力を電力需要に応じて効率よく供給するために、発電電力量が電力需要量より多くなることにより生じる余剰電力を蓄電池に一時的に蓄えて、蓄えた電力を電力需要量の多い時間に供給するシステムがある。このようなシステムでは、電力を効率よく蓄えることが必要とされることから、例えば、蓄電可能な電力のエネルギー密度が比較的高いリチウムイオン電池が利用されている。
蓄電池には安定に利用できる温度範囲が定められており、その温度範囲内で当該蓄電池を利用することが必要とされる。仮に、安定に利用できる温度範囲外で利用した場合に、蓄電池の電極の劣化が進行してしまうものがある。例えば、リチウムイオン電池は、安定に利用できる温度範囲より低い温度環境のもとで蓄電すると電極の劣化が進行することが知られている。
関連する蓄電池(二次電池)の充放電制御方法として、充電を許可する温度の温度範囲と放電を許可する温度の温度範囲をそれぞれ指定して、充電時と放電時とで温度範囲を切り替える技術がある(特許文献1)。特許文献1に技術によれば、充電を許可する温度範囲の下限温度を、放電を許可する温度範囲の下限温度より高くして、充電を許可する温度範囲を下回る低温時の充電を制限する。
特開2011−155820号公報
しかしながら、特許文献1の技術では、蓄電池の蓄電量が蓄電(充電)を必要とされるレベルまで低下した状態で、蓄電池の周囲の温度が蓄電を許可する温度範囲を下回った場合には、放電することができるとしても蓄電させることができない。そのため、蓄電池の周囲の温度が蓄電を許可する温度範囲まで上昇するまで、蓄電を必要とされるレベルまで低下した蓄電量を回復させることができない。このような場合、蓄電を許可する温度範囲より温度が低下した期間の蓄電量を十分に確保することができないという問題がある。
本発明は、上記の問題を鑑みて、蓄電池の利便性を高める蓄電制御システム、蓄電制御装置、蓄電制御方法及びプログラムを提供する。
[1]この発明の一態様の蓄電制御システムは、蓄電池の蓄電状態を制御する蓄電制御システムにおいて、前記蓄電池が設けられた位置の温度が予め定めた閾値温度以下になる低温時に前記蓄電池に蓄電させないように、前記蓄電池が設けられた位置における将来の気象状態を予測した予測情報に基づいて前記蓄電池の蓄電放電を制御する制御部を備えることを特徴とする。
[2]また、本発明は、上記の発明において、前記制御部は、前記将来の気象状態を予測した予測情報から前記低温時を検出し、前記検出した低温時に前記蓄電池に蓄電させないように前記蓄電池の蓄電放電を制御することを特徴とする。
[3]また、本発明は、上記の発明において、前記制御部は、前記蓄電池が設けられた位置を含む地域の天気予報、前記蓄電池に電力を供給する太陽電池が設けられた位置の日照量、又は、前記太陽電池によって変換された電力量に基づいて前記将来の気象状態を予測して、前記将来の気象状態を予測した予測情報に基づいて前記蓄電池の蓄電放電を制御することを特徴とする。
[4]また、本発明は、上記の発明において、前記制御部は、前記天気予報、前記日照量、及び、前記太陽電池によって変換された電力量のうちの少なくとも何れかの情報を収集する情報収集部と、前記収集した情報から前記蓄電池が設けられた位置の将来の気温を予測する予測部と、前記予測した前記将来の気温に基づいて前記蓄電池の蓄電放電を制御する蓄電制御部と、を備えることを特徴とする。
[5]また、本発明は、上記の発明において、前記予測部は、前記将来の気温の変化を予測して、前記蓄電制御部は、前記将来の気温が前記閾値温度以下になる低温時に前記蓄電池に蓄電させないように前記蓄電池の蓄電放電を制御することを特徴とする。
[6]また、本発明は、上記の発明において、前記閾値温度は、前記蓄電池の蓄電を許容する温度範囲に応じて定められ、前記蓄電制御部は、予測した前記将来の気象状態に基づいて、前記閾値温度を超えると予測した時間において前記蓄電池を蓄電して、前記閾値温度以下になると予測した時間において前記蓄電池を蓄電しないように、前記蓄電池の蓄電放電を制御することを特徴とする。
[7]また、本発明は、上記の発明において、前記制御部は、近い将来に前記閾値温度以下になると判定した場合に、前記閾値温度以下になるまでの期間において、蓄電池からの放電を抑制するように制御することを特徴とする。
[8]また、本発明は、上記の発明において、前記制御部は、前記将来の気象状態から一日の寒暖の周期を予測して、前記蓄電池を前記一日のうち比較的暖気にあると予測した時間に前記蓄電池の蓄電を実施して、前記一日のうち比較的寒気にあると予測した時間に前記蓄電池の蓄電を制限するように制御することを特徴とする。
[9]また、本発明は、上記の発明において、前記蓄電池の種類は、リチウムイオン電池であることを特徴とする。
[10]また、本発明の一態様の蓄電制御方法は、蓄電池の蓄電状態を制御する蓄電制御方法において、前記蓄電池が設けられた位置における将来の気象状態に基づいて、前記蓄電池が設けられた位置の温度が予め定めた閾値温度以下になる低温時に前記蓄電池に蓄電させないように前記蓄電池の蓄電放電を制御するステップを備えることを特徴とする。
[11]また、本発明の一態様のプログラムは、蓄電池の蓄電状態を制御する蓄電制御システムのコンピュータに、前記蓄電池が設けられた位置における将来の気象状態に基づいて、前記蓄電池が設けられた位置の温度が予め定めた閾値温度以下になる低温時に前記蓄電池に蓄電させないように前記蓄電池の蓄電放電を制御するステップを実行させるためのプログラムである。
本発明においては、蓄電池の利便性を高める蓄電制御システム、蓄電制御装置、蓄電制御方法及びプログラムを提供する。
本発明の第1実施形態における蓄電制御システムの概略構成を示す構成図である。 蓄電制御システム1における蓄電制御の処理の手順を示すフローチャートである。 本実施形態における連続する3日間の天気予報情報と、蓄電池に対する蓄電の可否を推定した結果とを示す説明図である。 本実施形態における推定ルールの一例と、同推定ルールに従った制御について示す状態遷移図である。 図4に示す推定ルールに従って推定した温度から蓄電が可能か否かを推定した結果の一例を示す説明図である。 蓄電装置7に対する蓄電放電計画の調整処理について示す説明図である。 第1実施形態の第1の変形例における連続する2日間の天気予報情報を示す説明図である。 第1実施形態の第1の変形例における推定ルールの一例と、同推定ルールに従った制御について示す状態遷移図である。
以下、本発明の実施の形態について添付図面を参照して説明する。以下の説明において、同じ構成には同じ符号を付す。また、各図の説明において構成を追加したり削除したりして説明する場合がある。
(第1実施形態)
本実施形態における蓄電制御システムは、蓄電装置(蓄電池)が低温状態に設けられた場合の蓄電量を確保して蓄電装置の利便性を高める。ところで、蓄電装置(蓄電池)の一種であるリチウムイオン電池(LIB)は、定格温度範囲より低い温度で蓄電すると電極の劣化につながる場合がある。電極の劣化につながるような低温状態は、冬季の夜間などに生じる確率が高くなる。
一般に一日の寒暖の差は、数度から十数度見込まれる。1日の寒暖の周期に応じて気温が変化することから、蓄電池の電極の劣化につながるような低温状態が終日を通して継続することは少ない。つまり、1日のうちで低温状態の時間帯もあれば、低温状態ではない時間帯もある。仮に、低温状態の時間帯で蓄電を制限するとしても、低温状態ではない時間帯では蓄電することができる。そこで、本実施形態における蓄電制御システムでは、低温状態が生じうる時間帯を予め予測して、予測結果に応じて蓄電と放電のバランスをとることで、低温状態の時間帯の蓄電量を確保するように蓄電状態を制御する。このように蓄電池の蓄電状態(例えば、SOC:State Of Charge)を制御することにより、低温状態の時間帯に蓄電を実施しないようにする。
以下、電極の劣化につながるような低温状態が生じる場合の例をあげて、本実施形態について説明する。
図1は、本実施形態における蓄電制御システム1の概略構成を示す構成図である。同図に示される蓄電制御システム1は、変圧器2、直流電源装置(REC)3、負荷装置9までの給電経路10、太陽光発電装置(PV)4、パワーコンディショナ(PCS)5、蓄電装置(BATT)7、パワーコンディショナ(PCS)8、制御部30、環境検出装置40を備える。
変圧器2は、商用電力系統90から供給される高圧交流電圧(例えば、3相AC6600V)を所定の低圧交流電圧(例えば、3相AC400V)に降圧し、この低圧交流電圧を直流電源装置(REC)3に供給する。直流電源装置3は、商用交流電力を直流電力に変換する整流装置であり、変圧器2から入力される低圧交流電圧を所定の電圧の直流電圧に変換する。例えば、直流電源装置3はAC/DCコンバータであり、DC380Vの直流電圧を、主幹の電力供給線である給電経路10へ出力する。
給電経路10には、パワーコンディショナ(PCS)5を介して太陽光発電装置4(太陽電池)が接続されている。PCS5は、太陽光発電装置4が発電した電力を変換して給電経路10に供給する。PCS5は、給電経路10との間の接続/開放を行うための開閉器を含む。PCS5は、給電経路10と電気的に接続状態にある時に、直流電源装置3の出力に連系可能にする。
また、給電経路10には、パワーコンディショナ(PCS)8を介して、蓄電池を備える蓄電装置(BATT)7が接続されている。PCS8は、給電経路10との間の接続/開放を行うための開閉器を含む。PCS8は、給電経路10と電気的に接続状態にある時に、直流電源装置3の出力に連系可能にする。PCS8は、制御部30の制御に応じて、蓄電装置7に蓄電させたり、蓄電装置7から放電させたり、放電も蓄電も行なわずに蓄電量を保持させるようにしたりする。
上記のREC3、PCS5、PCS8のそれぞれは、負荷装置9が消費する電力を供給する。また、REC3、PCS5のそれぞれは、PCS8を介して蓄電装置7に蓄電させる電力を供給する。
制御部30は、PCS8を制御して、蓄電装置7に蓄電させたり、蓄電装置7から放電させたり、放電も蓄電も行なわずに蓄電量を維持させるようにしたりする。制御部30は、情報収集部31、記憶部32、予測部33、及び、蓄電制御部34を備える。
情報収集部31は、蓄電装置7の蓄電と放電を制御するための各種情報を情報提供部71や情報提供部81から収集して、収集した情報を記憶部32に記憶させる。例えば、情報収集部31は、上記の各種情報として、天気予報情報、周囲環境情報、太陽光発電装置4における日射量、PCS5から供給した電力量などを収集する。
上記の天気予報情報は、情報提供部71や情報提供部81によって提供される情報である。例えば、情報提供部71は、天気情報提供会社等によって設けられ、通信網72を介して天気予報情報(天気予報)を提供する。情報提供部71が提供する天気予報情報は、一般のユーザがパーソナルコンピュータなどを用いて、通信網72を介して参照可能な情報として提供される。また、情報提供部81は、天気情報提供会社等によって設けられ、天気予報などの放送番組の情報として天気予想情報(天気予報)を提供する。情報提供部81が提供する天気予報情報は、一般のユーザがテレビなどを用いて参照可能な情報として、放送設備82を介して提供される。情報収集部31は、情報提供部71や情報提供部81からそれぞれ提供される天気予報情報を収集可能に構成される。
上記の周囲環境情報は、蓄電装置7が設けられた位置の周囲環境を示す情報である。蓄電装置7が設けられた位置の周囲環境を示す情報には、気温、気圧、天候などのうち少なくとも何れかの情報が観測結果の情報として含まれる。
上記の太陽光発電装置4における日射量は、太陽光発電装置4に照射される日射量である。太陽光発電装置4に照射される日射量は、太陽光発電装置4によって発電される発電電力量を左右する。
上記のPCS5から供給した電力量は、太陽光発電装置4によって発電された電力に基づいてPCS5が変換して、給電経路10に供給した電力量である。
以上に示したように、情報収集部31は、天気予報情報、周囲環境情報、太陽光発電装置4における日射量、太陽光発電装置4が発電した発電電力量、PCS5が供給した電力量などの各種情報を収集する。情報収集部31は、収集した各種情報を記憶部に書き込んで記憶させる。
記憶部32は、情報収集部31によって書き込まれた各種情報を記憶する。情報収集部31によって書き込まれる各種情報には、天気予報情報、周囲環境情報、太陽光発電装置4における日射量、太陽光発電装置4が発電した発電電力量、PCS5が供給した電力量などのうち少なくとも何れかの情報が含まれる。
予測部33は、記憶部32に記憶された各種情報のうちから少なくとも一部の情報を読み出して、読み出した各種情報に基づいて蓄電装置7が設けられた位置の将来の気温を予測して、予測結果に応じた予測情報を生成する。予測部33が生成する予測情報は、蓄電装置7に蓄電するか、蓄電装置7から放電させるか、蓄電量を維持させるかの何れかの状態に蓄電装置7の状態を制御する蓄電放電計画の生成に用いられる。
蓄電制御部34は、予測部33が生成した予測情報に基づいて、蓄電装置7に蓄電するか、蓄電装置7から放電させるか、蓄電量を維持させるかの何れかの状態に制御する蓄電放電計画を生成する。蓄電制御部34は、生成した蓄電放電計画に応じてPCS8を制御して蓄電装置7の蓄電と放電を制御する。
以上、制御部30の詳細については、後述する。
図2を参照して、蓄電制御システム1における蓄電制御の処理について説明する。同図は、蓄電制御システム1における蓄電制御の処理の手順を示すフローチャートである。
まず、蓄電制御システム1は、情報の収集処理を実施する。例えば、制御部30における情報収集部31は、情報の収集処理として、蓄電装置7の蓄電と放電を制御するための各種情報を、情報提供部71や情報提供部81から収集して、収集した情報を記憶部32に記憶させる(ステップSa100)。
次に、蓄電制御システム1は、蓄電の実施の可否についての推定を予め定めた期間ごとに分けて実施する。例えば、予め定めた期間を3時間又は6時間などにする。蓄電の実施の可否について推定するにあたり、予測部33は、制御部30における情報収集部31によって収集された情報から蓄電装置7が設けられた位置の将来の気温を予測する。蓄電制御部34は、予測結果に基づいて蓄電装置7に対する蓄電の可否について推定し、予め定めた期間ごとの推定結果を得る(ステップSa200)。
次に、蓄電制御システム1は、蓄電装置7における蓄電の可否についての推定結果に基づいて、蓄電装置7の蓄電放電計画を調整する。例えば、制御部30における蓄電制御部34が、上記の蓄電装置7の蓄電放電計画の調整処理を実施する(ステップSa300)。
次に、蓄電制御部34は、蓄電装置7の蓄電放電計画に基づいて、蓄電装置7の蓄電と放電とを制御する(ステップSa400)。
以上に示す手順に従って、蓄電制御システム1は、蓄電装置7に対する蓄電放電計画を調整することにより、蓄電放電計画に基づいて蓄電装置7の蓄電と放電とを制御することが可能になる。
図3を参照して、天気予報情報について説明する。同図は、連続する3日間の天気予報情報と、蓄電装置7に対する蓄電の可否を推定した結果とを示す説明図である。同図に示す3日間は、低温状態が発生しやすい冬季の3日間を例示するものである。
同図に示される天気予報情報は、今日から明後日までの6時間ごとの天気と降水確率の予測と、その日の最高気温と最低気温との予測を含むものである。
例えば、天気については、「10日の天気は、0時から12時までが晴れ、12時過ぎから18時までがくもり、18時から深夜0時までが雨になる」と予測され、「11日の天気は、0時から12時までが雪、12時から18時までがくもり、18時から深夜0時までが晴になる」と予測され、「12日の天気は、0時から18時までが晴、18時から深夜0時までがくもりになる」と予測されている。
また、降水確率については、「10日の降水確率は、0時から12時までが低く、12時過ぎから18時までが30%、18時から深夜0時までが70%になる」と予測され、「11日の降水確率は、0時から12時までが70%、12時から18時までが20%、18時から深夜0時までが低くなる」と予測され、「12日の降水確率は、0時から18時までが低く、18時から深夜0時までが20%になる」と予測されている。
また、最高気温と最低気温については、「10日の最高気温は10℃(度)、最低気温は0℃になる」と予測され、「11日の最高気温は2℃、最低気温は−5℃になる」と予測され、「12日の最高気温は5℃、最低気温は−5℃になる」と予測されている。
上記のように6時間ごとの予測を示す天気予報情報は、数日先までの情報を得ることができる。ただし、同天気予報情報からは、最高気温と最低気温については、その日の最高値と最低値しか得ることができない。そのため、最高気温と最低気温の情報からは、一日のうちで、どの時間帯に最高気温と最低気温に達するのかの情報や、どのように温度が変化するかの情報を直接得ることができない。
そこで、蓄電制御システム1は、取得した気象予報情報に基づいて、1日の温度変化を推定する。例えば、気象の経験則や気象の履歴情報などに基づいて気温の変化を推定する推定ルールを定めておき、蓄電制御システム1は、定めた推定ルールに従って、同図に示す天気の予測情報と、最高気温と最低気温の予測情報とに基づいて一日の気温の変化を予測する。
ここで、気象の経験則の例を挙げる。例えば、最低気温に係る気象の経験則としては、以下が挙げられる。
一般に、日の入りから日の出までの時間帯に最低気温に達することが多い。天候により最低気温に達する時間が、昼間になる場合もある。
また、ある時点の天気と将来の気温とを関係づける経験則としては、以下が挙げられる。天気が雨である場合には、気温は0℃以上であることが多い。雪が降っているときの気温は、一般に0℃近傍か0℃を下回る。晴れた日の夜間は、放射冷却効果により冷え込むが、雲がある場合には、放射冷却は起こりにくいことから気温の変化が少ない。
また、過去の天気と将来の気温を関係づける経験則としては以下があげられる。雪が降ったあとの所定の期間の気温の変化は少ない。例えば、雪が降ったあとの所定の期間は、半日程度の期間である。つまり、雪が上がってから12時間以内の温度の変化が少ない。また、天気がくもりから雨や雪に変化した場合には、雨や雪に変化した後の気温はくもりの時点の気温より低下する。
上記のように、気象の経験則を整理して、天気の変化と気温の変化との関係づけることにより、所定の時間帯ごとの気温の変化を推定する推定ルールを定める。
次に、図4を参照して、天気予報に基づいて所定の期間(時間帯)ごとに気温の変化を推定し、当該期間に蓄電が可能な温度か否かを推定する推定ルールの一例について説明する。同図は、推定ルールの一例と、同推定ルールに従った制御について示す状態遷移図である。同図には、2つの状態が示されている。符号ST11で示す一方の状態が、蓄電が可能な温度に応じた制御状態(「可」と示す)であり、符号ST12で示す他方の状態が蓄電を制限する温度に応じた制御状態である。
まず、蓄電可能な温度に応じた制御状態ST11において、最低気温の予測値が気温の判定基準値以上の場合(条件Z11b)場合には、制御部30は、蓄電可能な温度が継続すると推定する。また、蓄電可能な温度に応じた制御状態ST11において、予測された天気が雪以外であって、所定の期間(時間帯)ごとに予測した当該期間の気温が所定の温度より高い場合(条件Z11a)にも、制御部30は、蓄電可能な温度が継続すると推定する。上記のように蓄電可能な温度が継続すると推定した結果に応じて、制御部30は、蓄電制御システム1の制御状態ST11を継続させる。
一方、蓄電可能な温度に応じた制御状態ST11において、予測した気温が気温の判定基準値未満の場合(条件Z10b)と、予測された天気が雪である場合(条件Z10a)との何れかの場合には、制御部30は、蓄電を制限する温度になると推定する。上記のように蓄電を制限する温度になると推定した結果に応じて、制御部30は、蓄電制御システム1の制御状態を制御状態ST12に遷移させる。
次に、蓄電を制限する温度に応じた状態ST12において、予測した気温が気温の判定基準値の値未満の場合(条件Z00b)には、制御部30は、蓄電を制限する温度が継続すると推定する。また、天気が雨以外と予測され、当該期間より前に降っていた雪がやむ時刻から当該期間が12時間以内の場合(条件Z00a)にも、制御部30は、蓄電を制限する温度が継続すると推定する。上記のように蓄電を制限する温度が継続すると推定した結果に応じて、制御部30は、蓄電制御システム1の制御状態ST12を継続させる。
一方、蓄電を制限する温度に応じた状態ST12において、天気が雨以外と予測され、当該期間より前に降っていた雪がやむ時刻から当該期間が12時間以上経過したか、天気が雨と予測されたかの何れかの場合(条件Z01a)、かつ、予測した気温が気温の判定基準値以上の場合(条件Z01b)には、制御部30は、蓄電可能な温度になると推定する。上記のように蓄電可能な温度になると推定した結果に応じて、制御部30は、蓄電制御システム1の制御状態を制御状態ST11に遷移させる。
以上に示す状態遷移図に従って、制御部30は、蓄電制御システム1を制御する。
図5を参照して、上記図4に示す推定ルールに従って、上記図3に示される10日から12日までの3日間における温度を推定し、推定した温度から蓄電が可能か否かを推定した結果の一例について説明する。同図は、図4に示す推定ルールに従って推定した温度から蓄電が可能か否かを推定した結果の一例を示す説明図である。
10日の天気は、12時までが晴れており、午後になるとくもりに代わり、夜になると雨になると予測されている。気温の推定ルールに従えば、この日の気温は、一般的な変化に従って、昼すぎに最高気温に達した後、徐々に低下して夜半に最も気温が下がると推定できる。一方で、10日の最低気温が0℃と予測されていることから、終日0℃以上の気温になると推定できる。この日の気温の推定結果から、蓄電を終日実施できると推定できる。同図では、蓄電を終日実施できると推定した結果を、「蓄電の可否」の欄に「○」印で示す。
11日の天気は、深夜から昼までが雪であり、午後になって雪は上がってくもりになり、夜になって晴れると予測されている。気温の推定ルールに従えば、この日の気温は、以下のようになると推定できる。雪が降る昼までの気温は0℃以下になることが見込まれ、その間に最低気温に達する可能性が高い。午後の気温は、雪が降った後の気温の変化の特徴により、気温の変化が少なく、0℃からいくらか上昇することが見込まれ、夕方までの間に最高気温の2℃に達する。夜になると晴れることから放射冷却が起こり、気温が低下する。このように、11日の気温は、最高気温が2℃であることから、余裕をもって0℃以上になる時間が少ないことが分かる。例えば、気温の判定基準値を3℃にした場合、最高気温が2℃であると、最高気温ですら判定基準値を下回ることになる。このような気温の推定結果から、蓄電を終日実施できないと推定できる。同図では、蓄電を終日実施できると推定できない場合を、「蓄電の可否」の欄に「×」印で示す。
12日の天気は、前日からの晴れが夜まで続く。この日の気温は、日の出までが0℃より低くなり、その間に最低気温(−5℃)に達すると推定できる。その後、徐々に気温が上昇して昼過ぎに最高気温(5℃)に達する。日の出時刻の7時から、最高気温を記録しやすい14時までの間の何れかの時点で気温が0℃以上に上昇して、その後に最高気温に達する。最高気温に達した後に、気温が低下するとしても、夕方までは少なくとも0℃以上であると推定する。以上の気温の推定結果から、昼前から夕方までの期間に蓄電を実施できると推定し、その推定により蓄電を実施できると推定した結果を、「蓄電の可否」の欄に「○」印を付けて示す。また、他の時間帯は、蓄電を実施できないと推定し、その推定により蓄電を実施できると推定した結果を、「蓄電の可否」の欄に「×」印で示す。
上記のように、予測部33は、推定ルールに従って気温の変化を予測する。蓄電制御部34は、予測部33が予測した気温の変化に基づいて蓄電装置7の制御状態を制御する。
蓄電制御部34は、蓄電装置7の制御状態を充たすように蓄電装置7に対する蓄電放電計画を調整する。
以上に示したように、予測された気温や天気から蓄電が可能な状態か否かを推定することができる。
図6を参照して、蓄電装置7に対する蓄電放電計画の調整について説明する。同図は、蓄電装置7に対する蓄電放電計画の調整処理について示す説明図である。
同図(a)に示すグラフの縦軸が推定電力使用量と太陽光発電装置4の推定発電電力量とを示し、横軸が時間の経過を示す。同図(a)では、一般家庭の3日間の推定電力使用量(G601)と太陽光発電装置4の推定発電電力量(G602)とを模式化して示す。一般家庭の場合、推定電力使用量は、昼間外出し夜に在宅する人がいることから、昼間の推定電力消費量が少なく、夕方から深夜にかけての推定電力使用量が多くなる。
太陽光発電装置4は、太陽光発電装置4に日がさしている間(例えば、7時から17時まで)に限り発電する。つまり、太陽光発電装置4に日がさしている間に限り太陽光発電装置4の推定発電電力量を得ることができる。
推定電力使用量と推定発電電力量を比較すると、昼間(例えば、8時から16時)は推定発電電力量が推定使用電力量より多くなって余剰電力が発生するが、夜間(例えば、17時以降)は推定発電電力量を得ることができない。このことから、太陽光発電装置4の推定発電電力量だけでは、夜間に必要とされる推定使用電力量を賄うことができない。そこで、昼間の余剰電力を一旦蓄えて、夜間に消費する推定使用電力量の一部に充当するように蓄電装置7を活用することを基準とする蓄電放電計画を生成する。
同図(b)に示すグラフの縦軸が蓄電装置7の蓄電量(G603)を示し、横軸が同図(a)と同様に時間の経過を示す。
同図(b)は、同図(a)に示す同日の蓄電装置7の蓄電量を模式化して示す。同図(b)では、10日から12日までの天気が良く、気温も蓄電を制限する温度に達することがない場合に、上記の基準とする蓄電放電計画に基づいて蓄電装置7の蓄電量を制御したときの蓄電量の変化を示す。
同図(b)において0時から6時までは、商用電力系統からの電力を蓄電装置7に蓄電する。このように、蓄電制御システム1は、商用電力系統からの電力を夜間に蓄電することにより、太陽光発電装置4の発電電力量が十分な電力量に達するまでの電力需要を蓄電装置7からの放電によって賄うことができる。6時からは、蓄電装置7への蓄電を中断する。また、太陽光発電装置4の発電電力量が、負荷装置9によって消費される電力量を超えるまでは、蓄電装置7から放電させて負荷装置9に電力を供給する。太陽光発電装置4の発電電力量が負荷装置9によって消費される電力需要量を超えてからは、余剰電力を蓄電装置7に蓄電する。その後、太陽光発電装置4の発電電力量が、負荷装置9によって消費される電力需要量より低下した段階で、蓄電装置7への蓄電を停止するとともに、蓄電装置7からの放電を開始する。なお、蓄電装置7の蓄電量が所定の電力量まで低下した場合には、不足する蓄電量を商用電力系統からの電力によって蓄電することで、翌朝までに蓄電しておくべき蓄電量を確保する。
上記のような蓄電装置7を用いた制御を連日繰り返すことにより、太陽光発電装置4によって発電された電力や、電気使用量が比較的安く設定された夜間の電力を、蓄電装置7に蓄電した時刻から負荷装置9の電力需要に適した時刻にシフトして使用することができる。
ところで、冬季などに気温が低下して蓄電装置7に蓄電させることができない場合がある。同図(c)のグラフは、蓄電装置7に蓄電させることができない時間帯が生じると予測された日の蓄電量(G604)を模式化して示す。なお、同図(c)の座標軸は同図(b)と同様である。
同図(c)に示す期間において、10日の夜から11日の昼までと、11日の夜から12日の朝までとの期間に蓄電を制限することが必要とされる低温状態が生じると予測されたものとする。この場合、低温状態になった期間に蓄電装置7に蓄電して蓄電量を回復させることができないため、その期間に達するまでの期間において蓄電装置7からの放電を制限する。例えば、10日に太陽光発電装置4によって発電された電力のうちの余剰電力により蓄電された電力を10日の夜間に消費しないように、蓄電装置7からの放電を制限する。このように、蓄電装置7からの放電を制限することにより、蓄電装置7の蓄電量を維持するように制御することができる。その結果、10日夜から11日の朝(例えば、6時)までの蓄電量を維持することができる。また、11日夜から12日の朝(例えば、6時)までの蓄電量も同様に維持することができる。
一方、昼間に太陽光発電装置4が十分な電力量の電力を発電している場合には、蓄電装置7に蓄電させるように制御する。ただし、昼間であっても、蓄電装置7の蓄電を制限することが必要な気温になると予測された場合には、蓄電装置7の蓄電を制限する。例えば、同図(c)においては、11日の朝から昼までの期間に相当する。11日の午後になると蓄電の制限が解除され、太陽光発電装置4が発電した電力を負荷装置9が消費するとともに、余剰な電力は蓄電装置7に蓄電される。
上記のように、蓄電装置7に対する蓄電放電計画の調整することにより、蓄電装置7の蓄電を制限することが必要になる低温状態になる前に、蓄電装置7からの放電を制限して、十分な蓄電量を確保した状態で、上記の低温状態の期間を迎えることができる。
11日についても10日と同様に、11日の夕方の段階で蓄電装置7からの放電を制限するとともに、当該低温になると予測された期間の蓄電を制限する。ただし、翌12日の朝から蓄電装置7の蓄電を制限することが必要な温度より気温が高くなると予測されており、蓄電装置7の蓄電を制限する必要がない。これにより、太陽光発電装置4の発電電力量が負荷装置9によって消費される電力量を超えてからは、余剰な電力を蓄電装置7に蓄電する。
ところで、電気使用料金に係る電気事業者との契約において、電気使用料金が昼と夜とで異なる単価が設定される契約がある。このような契約のもとでは、比較的料金の安い夜間に蓄電装置7に蓄電して、夜間に蓄電した電力を昼間に蓄電装置7から放電させて、負荷装置9が利用するように制御することにより、夜間と昼間の総電力使用料金を低減することができる。また、上記のように昼間に使用する電力を夜間に蓄えることにより、昼夜の電気使用量の不均衡な状態をバランスさせて、昼間のピーク電力を抑えたり、夜間の余剰電力有効に利用したりすることができる。
ただし、蓄電装置7の周囲の気温が低温状態になると、上記のとおり蓄電装置7への蓄電が制限される。例えば、蓄電装置7の周囲の気温が夜間に低温状態になる場合には、夜間に蓄電することが制限される。そのため、蓄電が制限される低温状態を考慮せずに放電する制御方法の場合には、翌朝の蓄電量を十分に確保できなくなる恐れがある。
これに対し、本実施形態の蓄電制御システム1は、上記のように将来の温度変化を予測して、蓄電装置7の蓄電放電を制御することから低温状態が解消した後の蓄電量を確保することができる。
このように、蓄電制御システム1は、低温状態が解消した後の蓄電量を確保することにより、蓄電装置7の利便性を高めることができる。
(第1実施形態の第1の変形例)
図7を参照して、図3に示した天気予報情報と異なる天気予報情報について説明する。同図は、連続する2日間の天気予報情報を示す説明図である。
同図に示される天気予報情報は、直近の数時間以内の予測、例えば前述の図3に示す3日のうち1日分の予測を3時間ごとに示すものである。このような情報として、地域時系列予報がある。地域時系列予報では、1日を3時間ごとに時間を分けて次のように表現されている。0時から3時までを「未明」、3時から6時までを「明け方」、6時から9時までを「朝」、9時から12時までを「昼前」、12時から15時までを「昼過ぎ」、15時から18時までを「夕方」、18時から21時までを「夜のはじめの頃」、21時から翌日の0時までを「夜遅く」と表現する場合がある。
上記に従って、同図に示される天気の予測結果について示すと、「10日の天気は、昼過ぎからくもり、夜のはじめの頃から雨になる」と予測され、「11日の天気は、未明から昼前まで雪、昼過ぎからくもりになる」と予測されている。
また、同図に示された風の予測結果について示すと、「10日の風向きが昼過ぎから南西、風速が3〜5m/s、夜のはじめの頃から風向きが北西に代わり、風速が3〜5m/sになる」と予測され、「11日の風向きが未明から昼前まで北西、風速が朝まで10m/s以上になり、昼前には3〜5m/sになり、昼過ぎからは風が弱くなる」と予測されている。
また、同図に示された気温の予測結果について示すと、「10日の気温は昼過ぎに5℃を超えていたが、その後徐々に低下して夜遅くには、0℃まで低下する」と予測され、「11日の気温は未明から朝までさらに低下して氷点下5℃程度になり、その後昼前に上昇に転じるが、昼過ぎまで氷点下となる状態が続く。夕方には、2℃近くまで上昇する」と予測されている。
このように、地域時系列予報によれば、現在から1日先までの天気予報として温度変化の情報も取得できる。現在から1日分の温度変化の情報として、地域時系列予報による温度変化の情報を利用してもよい。地域時系列予報を利用することにより、現在から1日分の温度変化の予測情報の精度を高めることができる。
なお、上記のとおり地域時系列予報では、2日目以降の温度変化の予測情報については公開されていない。蓄電装置7の蓄電の制御に、現在から1日分については地域時系列予報を利用できるとしても、2日目以降は地域時系列予報を利用できない。そこで、2日目以降に渡って蓄電装置7の蓄電の制御を実施する場合には、現在から1日分については地域時系列予報を利用して、2日目以降は、第1実施形態に示すように気象予測情報に基づいて温度変化を推定することにするとよい。上記のように地域時系列予報と気象予測情報とを用いることにより、直近の1日分の予測精度を高めつつ、2日以上の長期にわたって温度の変化を予測することが可能になる。これにより、蓄電装置7の利便性をより高めることが可能になる。
なお、直近の1日分については上記天気予報情報(例えば、地域時系列予報)を適用する場合、上記図4に示す推定ルールに代えて図8に示す推定ルールに従うようにしてもよい。蓄電制御部34は、上記天気予報情報による将来の気温の変化に基づいて、蓄電装置7に対する蓄電放電計画を調整する。
図8を参照して、予測された気温に基づいて、蓄電が可能か否かを推定する推定ルールの一例について説明する。同図は、推定ルールの一例と、同推定ルールに従った制御について示す状態遷移図である。同図には、2つの状態が示されている。一方が、蓄電が可能な温度に応じた制御状態(「可」と示す)であり、他方が蓄電を制限する温度に応じた制御状態である。
まず、蓄電可能な温度に応じた制御状態ST21において、気温が蓄電可能な温度範囲にある場合(条件Z31)、制御部30は、蓄電可能な温度が継続すると推定する。上記のように蓄電可能な温度が継続すると推定した結果に応じて、制御部30は、蓄電制御システム1の制御状態ST21を継続させる。
一方、蓄電可能な温度に応じた制御状態ST21において、気温が蓄電可能な温度範囲より低下した場合(条件Z30)、制御部30は、蓄電を制限する温度になると推定する。上記のように蓄電を制限する温度になると推定した結果に応じて、制御部30は、蓄電制御システム1の制御状態を制御状態ST22に遷移させる。
次に、蓄電を制限する温度に応じた制御状態ST22において、気温が蓄電可能な温度範囲より低下している場合(条件Z41)、制御部30は、蓄電を制限する温度が継続すると推定する。上記のように蓄電を制限する温度が継続すると推定した結果に応じて、制御部30は、蓄電制御システム1の制御状態ST22を継続させる。
一方、蓄電を制限する温度に応じた制御状態ST22において、気温が蓄電可能な温度範囲になった場合(条件Z40)、制御部30は、蓄電が可能な温度になると推定する。上記のように蓄電が可能な温度になると推定した結果に応じて、制御部30は、蓄電制御システム1の制御状態を制御状態ST21に遷移させる。
以上のように、予測された気温が気温の判定基準値以上か否かに応じて、蓄電装置7の蓄電が可能か否かを推定することができる。以上に示す状態遷移図に従って、制御部30は、蓄電制御システム1を制御する。
また、蓄電装置7の蓄電が可能か否かを推定した結果を、図4と同様の結果の表示方法により、○と×とを図7の「蓄電の可否」の欄に示す。
このように、第1の変形例である蓄電制御システム1においても、低温状態が解消した後の蓄電量を確保することにより、蓄電装置7の利便性をより高めることができる。
(第1実施形態の第2の変形例)
提供される気象情報の対象とする範囲が、都道府県などを単位とする場合のように比較的広い場合がある。このような気象情報を用いて気温を推定した場合、推定した気温が、蓄電装置7が設けられた位置の気温と異なることがある。
例えば、推定した気温と実際に蓄電装置7が設けられた位置の気温とが異なる要因としては、標高の違い、海岸線からの距離の違いなどがある。広域になるほど標高の差が大きくなる。標高が高いほど気温が下がることから、対象とする位置の標高に応じて気温がばらつく要因になる。また、広域になるほど海岸線からの距離の差が大きくなる。対象とする位置が海岸線から近いほど海風の影響を受けやすく、遠くなるほど海風の影響を受けにくくなることから、対象とする位置の海岸線からの距離に応じて気温がばらつく要因になる。このように、対象となる位置が特定できたとしても、蓄電装置7が設けられた位置における気象情報に基づいた気温の推定結果と、実際のその地点の気温の予測結果とに、各種条件に依存する偏差が生じる。
そこで、第2の変形例である蓄電制御システム1は、各種条件に依存する偏差を、実際のその地点で観測された気温に基づいて補正する。上記偏差の補正は、蓄電装置7が設けられた位置を含む範囲の気象情報に基づいた気温の推定結果と、実際のその地点で環境検出装置40によって観測された気温との差に基づいて、蓄電装置7が設けられた位置を含む範囲の気象情報に基づいた気温の推定結果からの偏差の量を定める。気象情報に基づいた気温の推定結果から、定めた偏差の量に基づいて補正することにより、蓄電装置7が設けられた位置における気象情報に基づいた気温の推定結果の精度を高めることができる。
このように、第2の変形例である蓄電制御システム1において、蓄電装置7が設けられた位置における気象情報に基づいた気温の推定結果の精度を高めることができる。これにより、第2の変形例である蓄電制御システム1は、蓄電放電の実施の可否について精度を高めて判定できることにより、蓄電装置7の利便性を高めることができる。
(第1実施形態の第3の変形例)
太陽光発電装置4の発電電力量から、発電電力量の昼と夜の周期的な変化を検出することができる。検出した発電電力量の周期的な変化から、日の出から日の入りまでの時間を検出することができるとともに、一日の時刻をも検出することもできる。
日の出から日の入りまでの時間が長くなる夏季には、蓄電を制限する温度まで夜間の温度が低下することはほとんどない。そのため、夏季には、低温時の蓄電制限を考慮することなく蓄電と放電を制御することができる。一方、日の出から日の入りまでの時間が短くなる冬季には、蓄電を制限する温度まで夜間の温度が低下する可能性が高くなる。そのため、冬季には、低温時の蓄電制限を考慮して蓄電と放電とを制御する必要がある。
さらに、太陽光発電装置4が発電した電力量から、降雪期による低温状態を検出することができる。例えば、太陽光発電装置4に照射される光が遮蔽される場合がある。その要因が、雲の移動である場合には、1時間の中でも電力量が上下する変動が観測される。ただし、その要因が、太陽光発電装置4の表面の積雪である場合には、1時間の中で発電電力量の変動がほとんど観測できないか、1時間より長い期間に渡って徐々に変化するという変動が観測される。或いは、積雪が落下して急に発電電力量が増加するという変動が観測される。発電電力量において、このような変化を検出した場合には、降雪が続いているか、太陽光発電装置4の表面に積雪があるかの状態と判定することができる。要するに、発電電力量の変化から、降雪が続いているか、又は、太陽光発電装置4の表面に積雪があるかの状態を検出した場合には、当該地点の気象状態が降雪による低温状態にあり、当該地点の気温が0℃以下になっている可能性が高いと予測部33が推定する。
上記のように推定された結果から、蓄電制御部34は、蓄電装置7への蓄電を制限するように制御する。
このようにして、第3の変形例である蓄電制御システム1において、太陽光発電装置4の発電電力量から、予測部33が降雪時又は積雪時を検出し、当該地点の気温が0℃以下であると推定することができる。これにより、第3の変形例である蓄電制御システム1は、発電電力量から、降雪時又は積雪時を検出し、当該地点の気温が0℃以下を検出できることから、蓄電装置7の蓄電量の制御が可能になり、蓄電装置7の利便性を高めることができる。
なお、上記の太陽光発電装置4の発電電力量に代えて、PCS5が供給した電力量に基づいて上記の処理を実施してもよい。
(第1実施形態の第4の変形例)
日照量から日照量の昼と夜の周期的な変化を検出することができる。検出した日照量の周期的な変化から、日の出から日の入りまでの時間を検出することができるとともに、一日の時刻をも検出することもできる。
検出した日照量に基づいて、前述の太陽発電装置の発電電力量と同様に、日の出から日の入りまでの時間を検出することができるとともに、一日の時刻をも検出することもできる。
日の出から日の入りまでの時間が長くなる夏季には、蓄電を制限する温度まで夜間の温度が低下することはほとんどない。そのため、夏季には、低温時の蓄電制限を考慮することなく蓄電と放電を制御することができる。一方、日の出から日の入りまでの時間が短くなる冬季には、蓄電を制限する温度まで夜間の温度が低下する可能性が高くなる。そのため、冬季には、低温時の蓄電制限を考慮して蓄電と放電を制御する必要がある。
さらに、日照量から、前述の太陽発電装置の発電電力量と同様に、降雪期による低温状態を検出することができる。
このように、第4の変形例である蓄電制御システム1において、太陽光発電装置4の発電電力量から、発電電力量の昼と夜の周期的な変化を検出することができる。これにより、第3の変形例である蓄電制御システム1は、発電電力量の昼と夜の周期的な変化を検出することにより、蓄電装置7の利便性を高めることができる。
以上、本発明の実施形態について説明したが、上記実施形態において、制御部30は、内部にコンピュータシステムを有している。そして、上述した処理に関する一連の処理の過程は、プログラムの形式でコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記憶されており、このプログラムをコンピュータが読み出して実行することによって、上記処理が行われる。ここで、コンピュータ読み取り可能な記録媒体とは、磁気ディスク、光磁気ディスク、CD−ROM、DVD−ROM、半導体メモリ等をいう。また、このコンピュータプログラムを通信回線によってコンピュータに配信し、この配信を受けたコンピュータが当該プログラムを実行するようにしても良い。また、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。
なお、ここで、本発明と上述した実施形態との対応関係について補足して説明する。すなわち、本発明における蓄電制御システムは、図1に示す蓄電制御システム1が対応する。また、本発明における制御部は、制御部30が対応する。
[1]そして,上記実施形態において、蓄電制御システム1は、蓄電装置7が設けられた位置の温度が予め定めた閾値温度以下になる低温時に蓄電装置7に蓄電させないように、蓄電装置7が設けられた位置における将来の気象状態を予測した予測情報に基づいて蓄電装置7の蓄電放電を制御する制御部30を備え、蓄電装置7の蓄電状態を制御する。
このような構成の蓄電制御システム1では、制御部30が、蓄電装置7が設けられた位置における将来の気象状態を予測した予測情報に基づいて、蓄電装置7が設けられた位置の温度が低温になる時に蓄電装置7に蓄電させないように蓄電装置7の蓄電放電を制御する。
これにより、蓄電制御システム1は、蓄電装置7が設けられた位置の温度が低温になる時(低温時)の蓄電装置7の蓄電状態を制御して、低温時の蓄電量を確保できることから、蓄電装置7の利便性を高めることができる。
[2]また、上記実施形態において、制御部30は、前記将来の気象状態を予測した予測情報から前記低温時を検出し、前記検出した低温時に蓄電装置7に蓄電させないように蓄電装置7の蓄電放電を制御する。
これにより、制御部30は、将来の気象状態を予測した予測情報から将来の気温の低温時を検出する。制御部30は、低温時を検出することにより、低温時に蓄電装置7に蓄電させないように蓄電装置7の蓄電放電を制御して、低温時の蓄電量を確保できることから、蓄電装置7の利便性を高めることができる。
[3]また、上記実施形態において、制御部30は、前記天気予報、前記日照量、又は、太陽光発電装置4によって変換された電力量に基づいて前記将来の気象状態を予測して、前記将来の気象状態を予測した予測情報に基づいて蓄電装置7の蓄電放電を制御する。
これにより、制御部30は、前記天気予報、前記日照量、又は、太陽光発電装置4によって変換された電力量に基づいて、将来の気象状態を予測することにより、将来の気象状態を予測した予測情報に基づいて低温時に蓄電装置7に蓄電させないように蓄電装置7の蓄電放電を制御することができる。上記により、制御部30は、蓄電装置7の利便性を高めることができる。
[4]また、上記実施形態において、制御部30は、前記天気予報、前記日照量、及び、太陽光発電装置4によって変換された電力量のうちの少なくとも何れかの情報を収集する情報収集部31と、前記収集した情報から蓄電装置7が設けられた位置の将来の気温を予測する予測部33と、前記予測した前記将来の気温に基づいて蓄電装置7の蓄電放電を制御する蓄電制御部34と、を備える。
これにより、情報収集部31が、天気予報、日照量、及び、太陽光発電装置4によって変換された電力量のうちの少なくとも何れかの情報を収集し、予測部33が、前記収集した情報から蓄電装置7が設けられた位置の将来の気温を予測する。その結果、蓄電制御部34は、前記予測した前記将来の気温に基づいて蓄電装置7の蓄電放電を制御することができる。上記により、制御部30は、蓄電装置7の利便性を高めることができる。
[5]また、上記実施形態において、予測部33は、前記将来の気温の変化を予測して、蓄電制御部34は、前記将来の気温が前記閾値温度以下になる低温時に蓄電装置7に蓄電させないように蓄電装置7の蓄電放電を制御する。
これにより、予測部33が前記将来の気温の変化を予測した結果に応じて、蓄電制御部34は、前記将来の気温が前記閾値温度以下になる低温時に蓄電装置7に蓄電させないように蓄電装置7の蓄電放電を制御して、蓄電装置7の利便性を高めることができる。
[6]また、上記実施形態において、前記閾値温度は、蓄電装置7の蓄電を許容する温度範囲に応じて定められ、蓄電制御部34は、予測した前記将来の気象状態に基づいて、前記閾値温度を超えると予測した時間において蓄電装置7を蓄電して、前記閾値温度以下になると予測した時間において蓄電装置7を蓄電しないように、蓄電装置7の蓄電放電を制御する。
これにより、蓄電制御部34は、予測した前記将来の気象状態に基づいて、蓄電装置7の蓄電を許容する温度範囲にあると予測した時間において蓄電装置7を蓄電して、蓄電装置7の蓄電を許容する温度範囲を外れると予測した時間において蓄電装置7を蓄電しないように、蓄電装置7の蓄電放電を制御することができる。
[7]また、上記実施形態において、制御部30は、近い将来に前記閾値温度以下になると判定した場合に、前記閾値温度以下になるまでの期間において、蓄電装置7からの放電を抑制するように制御する。
これにより、制御部30は、近い将来に前記閾値温度以下になるまでの期間において、蓄電装置7からの放電を抑制することができる。
[8]また、上記実施形態において、制御部30は、前記将来の気象状態から一日の寒暖の周期を予測して、蓄電装置7を前記一日のうち比較的暖気にあると予測した時間に蓄電装置7の蓄電を実施して、前記一日のうち比較的寒気にあると予測した時間に蓄電装置7の蓄電を制限するように制御する。
これにより、制御部30は、前記将来の気象状態から一日の寒暖の周期を予測して、蓄電装置7を一日のうち比較的暖気にあると予測した時間に蓄電装置7の蓄電を実施することができ、一日のうち比較的寒気にあると予測した時間に蓄電装置7の蓄電を制限することができる。
[9]また、上記実施形態において、蓄電装置7の種類は、リチウムイオン電池である。
これにより、制御部30は、リチウムイオン電池を備える蓄電装置7の蓄電放電を制限することができる。
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明の蓄電制御システム1は、上述の図示例にのみに限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。
例えば、蓄電装置7の蓄電状態は、蓄電装置7の蓄電量の他、蓄電装置7のSOC、蓄電装置7の端子電圧などの情報に基づいて定めることができる。
また、以上の説明においては、蓄電装置7における蓄電池についてリチウムイオン電池を例示して説明したが、他の種類の蓄電池であってもよい。なお蓄電装置7における蓄電池の種類や仕様によって、蓄電と放電を実施可能な温度が異なる。それゆえ、蓄電と放電を実施可能な温度にあるか否かを判定する気温の判定基準値は、蓄電装置7における蓄電池の種類や仕様に応じて定めるものとする。
また、蓄電装置7に蓄電可能とする最低温度が0℃までとした場合、気温の判定基準値を0℃より数度高めることで、安全側に余裕を見た判定基準値を設定することができる。なお、蓄電装置7に蓄電可能とする最低温度が仕様上0℃までであったとしても、蓄電装置7の性能により、気温の判定基準値を0℃に設定することも可能である。
また、上記の推定ルールは、予め定めておき、蓄電制御部34から参照可能な情報として記憶部32に記憶させておくものとする。上記の推定ルールは、蓄電装置7が設置されている位置で観測された気象の履歴情報をもとにして生成したり、季節の変化や蓄電装置7の状態に応じて定期的に更新したりしてもよい。
1・・・蓄電制御システム1、
2・・・変圧器、3・・・直流電源装置(REC)、
4・・・太陽光発電装置(PV、太陽電池)、5・・・パワーコンディショナ(PCS)、
7・・・蓄電装置(BATT、蓄電池)、8・・・パワーコンディショナ(PCS)、
30・・・制御部、
31・・・情報収集部、32・・・記憶部、33・・・予測部、34・・・蓄電制御部、
40・・・環境検出装置、
71・・・情報提供部、81・・・情報提供部

Claims (11)

  1. 蓄電池の蓄電状態を制御する蓄電制御システムにおいて、
    前記蓄電池が設けられた位置の温度が予め定めた閾値温度以下になる低温時に前記蓄電池に蓄電させないように、前記蓄電池が設けられた位置における将来の気象状態を予測した予測情報に基づいて前記蓄電池の蓄電放電を制御する制御部
    を備えることを特徴とする蓄電制御システム。
  2. 前記制御部は、
    前記将来の気象状態を予測した予測情報から前記低温時を検出し、前記検出した低温時に前記蓄電池に蓄電させないように前記蓄電池の蓄電放電を制御する
    ことを特徴とする請求項1に記載の蓄電制御システム。
  3. 前記制御部は、
    前記蓄電池が設けられた位置を含む地域の天気予報、前記蓄電池に電力を供給する太陽電池が設けられた位置の日照量、又は、前記太陽電池によって変換された電力量に基づいて前記将来の気象状態を予測して、前記将来の気象状態を予測した予測情報に基づいて前記蓄電池の蓄電放電を制御する
    ことを特徴とする請求項2に記載の蓄電制御システム。
  4. 前記制御部は、
    前記天気予報、前記日照量、及び、前記太陽電池によって変換された電力量のうちの少なくとも何れかの情報を収集する情報収集部と、
    前記収集した情報から前記蓄電池が設けられた位置の将来の気温を予測する予測部と、
    前記予測した前記将来の気温に基づいて前記蓄電池の蓄電放電を制御する蓄電制御部と、
    を備えることを特徴とする請求項3に記載の蓄電制御システム。
  5. 前記予測部は、
    前記将来の気温の変化を予測して、
    前記蓄電制御部は、
    前記将来の気温が前記閾値温度以下になる低温時に前記蓄電池に蓄電させないように前記蓄電池の蓄電放電を制御する
    ことを特徴とする請求項4に記載の蓄電制御システム。
  6. 前記閾値温度は、前記蓄電池の蓄電を許容する温度範囲に応じて定められ、
    前記蓄電制御部は、
    予測した前記将来の気象状態に基づいて、前記閾値温度を超えると予測した時間において前記蓄電池を蓄電して、前記閾値温度以下になると予測した時間において前記蓄電池を蓄電しないように、前記蓄電池の蓄電放電を制御する
    ことを特徴とする請求項5に記載の蓄電制御システム。
  7. 前記制御部は、
    近い将来に前記閾値温度以下になると判定した場合に、前記閾値温度以下になるまでの期間において、蓄電池からの放電を抑制するように制御する
    ことを特徴とする請求項6に記載の蓄電制御システム。
  8. 前記制御部は、
    前記将来の気象状態から一日の寒暖の周期を予測して、前記蓄電池を前記一日のうち比較的暖気にあると予測した時間に前記蓄電池の蓄電を実施して、前記一日のうち比較的寒気にあると予測した時間に前記蓄電池の蓄電を制限するように制御する
    ことを特徴とする請求項1から7の何れか1項に記載の蓄電制御システム。
  9. 前記蓄電池の種類は、リチウムイオン電池である
    ことを特徴とする請求項1から8の何れか1項に記載の蓄電制御システム。
  10. 蓄電池の蓄電状態を制御する蓄電制御方法において、
    前記蓄電池が設けられた位置における将来の気象状態に基づいて、前記蓄電池が設けられた位置の温度が予め定めた閾値温度以下になる低温時に前記蓄電池に蓄電させないように前記蓄電池の蓄電放電を制御するステップ
    を備えることを特徴とする蓄電制御方法。
  11. 蓄電池の蓄電状態を制御する蓄電制御システムのコンピュータに、
    前記蓄電池が設けられた位置における将来の気象状態に基づいて、前記蓄電池が設けられた位置の温度が予め定めた閾値温度以下になる低温時に前記蓄電池に蓄電させないように前記蓄電池の蓄電放電を制御するステップ
    を実行させるためのプログラム。
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