JP2015163386A - 酸性ガス分離モジュールの製造方法および酸性ガス分離モジュール - Google Patents

酸性ガス分離モジュールの製造方法および酸性ガス分離モジュール Download PDF

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Abstract

【課題】促進輸送膜を用いるスパイラル型の酸性ガス分離モジュールにおいて、供給ガス流路用部材に起因する促進輸送膜の損傷を防止できる酸性ガス分離モジュールの製造方法、および、この製造方法で製造した酸性ガス分離モジュールを提供する。【解決手段】多孔質支持体の上に促進輸送膜を形成してなる酸性ガス分離膜を2枚作製し、この2枚の酸性ガス分離膜を、促進輸送膜を対面して貼着し、この貼着体と供給ガス流路用部材とを積層して、この積層体を含む積層体をスパイラル状に巻回することにより、この課題を解決する。【選択図】図3

Description

本発明は、促進輸送膜を用いて原料ガスから酸性ガスを分離する酸性ガス分離モジュールの製造方法に関する。詳しくは、スパイラル型の酸性ガス分離モジュールにおいて、供給ガス流路用部材による促進輸送膜の損傷を防止できる酸性ガス分離モジュールの製造方法、および、この製造方法で製造した酸性ガス分離モジュールに関する。
近年、原料ガス(被処理ガス)から、炭酸ガスなどの酸性ガスを選択的に分離する技術の開発が進んでいる。例えば、酸性ガスを選択的に透過する酸性ガス分離膜を用いて、原料ガスから酸性ガスを分離する酸性ガス分離モジュールが開発されている。
具体的には、特許文献1には、管壁に貫通孔が形成された、分離した酸性ガスを収集するための中心筒(中心透過物収集管)に、酸性ガス分離膜を含む積層体を多重に巻き付けてなる酸性ガス分離モジュール(以下、分離モジュールとも言う)が開示されている。
この特許文献1に開示される分離モジュールは、酸性ガス分離膜として、いわゆる溶解拡散膜を用いる分離モジュールである。溶解拡散膜は、膜に対する酸性ガスと分離対象物質との溶解性および膜中の拡散性の差を利用して、原料ガスから酸性ガスを分離する。
また、特許文献2には、空間を酸性ガス分離膜で原料室と透過室とに分けて、原料室に原料ガス(CO2、H2およびH2Oからなる混合ガス)を供給し、酸性ガス分離膜で選択的に分離(透過)した酸性ガスを、透過室から取り出す分離モジュール(実験装置)が開示されている。
この特許文献2に開示される分離モジュールは、酸性ガス分離膜に、いわゆる促進輸送膜を用いる分離モジュールである。促進輸送膜は、膜中に酸性ガスと反応するキャリアを有し、このキャリアによって酸性ガスを膜の反対側に輸送することで、原料ガスから酸性ガスを分離する。
このような酸性ガス分離膜を用いる分離モジュールの構成として、特許文献1に示されるような、スパイラル型の分離モジュールが知られている。
スパイラル型の分離モジュールとは、酸性ガス分離膜を有する積層体を、壁面に貫通孔を有する中心筒に巻回してなる構成(螺旋状に巻き付けてなる構成)を有する。このようなスパイラル型の分離モジュールは、酸性ガス分離膜の面積を非常に大きくできるため、効率の良い処理が可能である。
スパイラル型の分離モジュールは、一例として、酸性ガス分離膜および中心筒に加え、酸性ガスを分離される原料ガスの流路となる供給ガス流路用部材、および、酸性ガス分離膜で分離された酸性ガスの流路となる透過ガス流路用部材を有して構成される。
このような部材からなるスパイラル型の酸性ガス分離モジュールは、酸性ガス分離膜、供給ガス流路用部材および透過ガス流路用部材を積層した積層体を、1つ、もしくは、複数積層して、中心筒に巻き付けた構成を有する。
例えば、前述の特許文献1には、酸性ガス分離膜を二つ折りにして供給ガス流路用部材(供給物スペーサ)を挟持し、二つ折りにした酸性ガス分離膜の一方に透過ガス流路用部材(透過物スペーサ)を積層した積層体を作成し、この積層体を、複数、積層した積層体を中心筒(透過物収集管)に巻き付けた、スパイラル型の分離モジュールが開示されている。
ところが、促進輸送膜を利用する場合には、このような構成のスパイラル型のモジュールでは、目的とする性能を有する分離モジュールが得られない場合が有る。
一般的に、促進輸送膜を有する酸性ガス分離膜は、促進輸送膜の吸湿性が高いほど、酸性ガスの分離速度(透過速度)が高くなる傾向にある。そのため、促進輸送膜は、超吸水性樹脂などの親水性化合物をバインダとして用い、このバインダにキャリアを分散してなる、柔軟かつ低粘性なゲル状の物(ゲル膜)である場合が多い。
一方、供給ガス流路用部材は、原料ガスの通気性や散乱性等を確保するために、ネット状(メッシュ状/網目構造)の物を用いる場合が多い。
ゲル状の促進輸送膜は、粘着性が高い場合が多い。そのため、酸性ガス分離膜と供給ガス流路用部材とを積層した積層体を巻回すると、両者の曲率の違い等に起因して、促進輸送膜と供給ガス流路用部材とが擦れて、ネット状の供給ガス流路用部材がゲル状の促進輸送膜を引っ掻くような状態になってしまう。この擦れにより、供給ガス流路用部材が、促進輸送膜を損傷してしまう。
このような損傷部は、原料ガスの抜け(リーク)等の欠陥の原因となる。そのため、促進輸送膜を用いる分離モジュールは、このような欠陥部に起因して、酸性ガスの分離効率が低下してしまう等の問題が有る。
これに対して、特許文献3には、水処理に用いる半透過性複合膜において、半透過性複合膜をポリビニルアルコール(PVA)水溶液に浸漬して、その表面にPVAコーティングを施すことで、半透過性複合膜を巻回する際に、半透過性複合膜が損傷するのを防止することが記載されている。
また、特許文献4には、促進輸送膜を用いるスパイラル型等の分離モジュールにおいて、酸性ガス分離膜を構成する促進輸送膜(第2層)の表面に、ガス透過性の高い第3層を設けることにより、促進輸送膜の表面保護を図れることが記載されている。
特開平4−215824号公報 特許第4621295号公報 特表平8−500279号公報 特開2011−183379号公報
促進輸送膜を用いるスパイラル型の分離モジュールにおいて、特許文献3や4に示されるように、促進輸送膜の表面に保護膜を形成することで、供給ガス流路用部材との摺接に起因する促進輸送膜の損傷は、大幅に抑制できる。
しかしながら、本発明者の検討によれば、促進輸送膜の表面に保護膜を設けても、酸性ガス分離膜を有する積層体を巻回する際に、保護膜と促進輸送膜とが摺接して、促進輸送膜を損傷して欠陥を生じてしまう場合が有る。
そのため、促進輸送膜の表面に保護膜を設ける方法では、促進輸送膜の損傷を十分に防止することができない。さらに、促進輸送膜の表面に保護膜を設けることで、酸性ガス分離膜の構成要素が増えてしまうという問題も有る。
本発明の目的は、このような従来技術の問題点を解決することにあり、促進輸送膜を有する酸性ガス分離膜を用いるスパイラル型の酸性ガス分離モジュールの製造方法であって、促進輸送膜の表面に、別途、保護膜等を設ける必要がなく、酸性ガス分離膜を含む積層体を巻回する際における促進輸送膜の損傷を防止できる酸性ガス分離モジュールの製造方法、および、この製造方法で製造した酸性ガス分離もジュールを提供することにある。
この目的を達成するために、本発明の酸性ガス分離モジュールの製造方法は、多孔質支持体と、酸性ガスと反応するキャリアおよびキャリアを担持するための親水性化合物を含有する、多孔質支持体の上に形成される促進輸送膜とを有する酸性ガス分離膜を、2枚、作製する工程、
作製した2枚の酸性ガス分離膜を、促進輸送膜を対面して貼着して、分離膜貼着体を作製する工程、
分離膜貼着体と、原料ガスの流路となる供給ガス流路用部材とを積層して、流路−分離膜積層体を作製する工程、および、
流路−分離膜積層体を含む積層体を巻回する工程、を有することを特徴とする酸性ガス分離モジュールの製造方法を提供する。
このような本発明の酸性ガス分離モジュールの製造方法において、分離膜貼着体を作製する工程は、促進輸送膜を対面して積層した酸性ガス分離膜を加圧する処理を含むのが好ましい。
また、流路−分離膜積層体を作製する工程は、分離膜貼着体を二つに折り返して、折り返した分離膜貼着体の間に供給ガス流路用部材を挟む処理を含むのが好ましい。
また、流路−分離膜積層体を含む積層体が、酸性ガス分離膜によって分離された酸性ガスの流路となる透過ガス流路用部材を含むのが好ましい。
また、多孔質支持体が、不織布と多孔質体との積層体であるのが好ましい。
また、酸性ガス分離膜が、促進輸送膜を多孔質体の上に形成してなるものであるのが好ましい。
また、分離膜貼着体において、流路−分離膜積層体とされた際に供給ガス流路用部材から離間する側となる酸性ガス分離膜は、多孔質支持体と促進輸送膜との間に中間層を有するのが好ましい。
さらに、中間層がシリコーン樹脂層であるのが好ましい。
また、本発明の酸性ガス分離モジュールは、本発明の製造方法で製造した酸性ガス分離モジュールを提供する。
このような本発明の酸性ガス分離モジュールの製造方法および酸性ガス分離モジュールによれば、酸性ガス分離モジュールの促進輸送膜は、促進輸送膜および促進輸送膜を支持する多孔質支持体のみに接触しており、しかも、ゲル状の促進輸送膜同士は、高い粘着力で貼着されるため、互いに摺接することが無い。
そのため、本発明によれば、スパイラル型の酸性ガス分離モジュールにおいて、促進輸送膜を有する酸性ガス分離膜を含む積層体を巻回する際における促進輸送膜の損傷を好適に防止でき、促進輸送膜の欠陥の少ない、高性能な酸性ガス分離モジュールを得ることができる。
本発明の酸性ガス分離モジュールの製造方法で製造される本発明の酸性ガス分離モジュールの一例を一部切り欠いて示す概略斜視図である。 図1に示す酸性ガス分離モジュールの積層体の一部の概略断面図である。 (A)および(B)は、本発明の酸性ガス分離モジュールの製造方法を説明するための概念図である。 本発明の酸性ガス分離モジュールの製造方法を説明するための概念図である。 (A)および(B)は、本発明の酸性ガス分離モジュールの製造方法を説明するための概念図である。 (A)および(B)は、本発明の酸性ガス分離モジュールの製造方法を説明するための概念図である。 本発明の酸性ガス分離モジュールの製造方法を説明するための概念図である。 本発明の酸性ガス分離モジュールの製造方法を説明するための概念図である。
以下、本発明の酸性ガス分離モジュールの製造方法および酸性ガス分離モジュールについて、添付の図面に示される好適実施例を基に、詳細に説明する。
図1に本発明の製造方法で製造した、本発明の酸性ガス分離モジュールの一例の一部切欠き概略斜視図を示す。なお、以下の説明では、酸性ガス分離モジュールを、単に、分離モジュールとも言う。
図1に示すように、分離モジュール10は、基本的に、中心筒12と、分離膜貼着体20Aを含む積層体14Aを巻回してなる積層体巻回物14と、テレスコープ防止板16と、被覆層18とを有して構成される。
分離モジュール10において、分離膜貼着体20Aは、2枚の酸性ガス分離膜20を、促進輸送膜20aを対面して貼着してなるものである。また、分離モジュール10において、積層体14Aは、分離膜貼着体20Aと、供給ガス流路用部材24と、透過ガス流路用部材26とからなる積層体である。
この分離モジュール10は、一例として、一酸化炭素、炭酸ガス(CO2)、水(水蒸気)および水素を含有する原料ガスGから、酸性ガスGcとして炭酸ガスを分離する。
本発明の製造方法で製造する分離モジュール10は、いわゆるスパイラル型の分離モジュールである。
すなわち、分離モジュール10は、後述するシート状の積層体14Aを、複数、積層して、この積層物を中心筒12に巻回して積層体巻回物14(すなわち、積層されて巻回された積層体14Aによる略円筒状物)を形成し、積層体巻回物14の両端面に、中心筒12を挿通してテレスコープ防止板16を設けてなる構成を有する。また、巻回した積層体14Aの最外周面は、ガス非透過性の被覆層18で覆われている。
このような分離モジュール10において、酸性ガスを分離される原料ガスGは、例えば図1中奥手側のテレスコープ防止板16(その開口部16d)を通って、積層体巻回物14の端面から各積層体14Aの内部に供給される。
積層体14Aに供給された原料ガスGは、積層体14A内を流れつつ、酸性ガスGcを分離される。
また、積層体14Aによって原料ガスGから分離された酸性ガスGcは、中心筒12から排出され、酸性ガスを分離された原料ガスG(以下、便宜的に残余ガスGrとする)は、積層体巻回物14の供給側とは逆側の端面から排出され、テレスコープ防止板16(同前)を通って分離モジュール10の外部に排出される。
中心筒(透過ガス集合管)12は、原料ガスG供給側の端面が閉塞する円筒状の管で、周面(管壁)には複数の貫通孔12aが形成される。
原料ガスGから分離された酸性ガスGcは、後述する透過ガス流路用部材26を通って、貫通孔12aから中心筒12内に至り、中心筒12の開放端12bから排出される。
中心筒12において、後述する接着剤層30で封止される領域における開口率(中心筒12の外周面に占める貫通孔12aの面積率)は、1.5〜80%が好ましく、3〜75%がより好ましく、5〜70%がさらに好ましい。中でも、実用的な観点から、中心筒12の開口率は、5〜25%が、特に好ましい。
中心筒12の開口率を上記範囲とすることにより、効率的に酸性ガスGcを収集することができ、また、中心筒12の強度を高め、加工適性を十分に確保できる。
また、貫通孔12aは、直径0.5〜20mmの円形の孔であるのが好ましい。さらに、貫通孔12aは、中心筒12の周壁に、均一に形成されるのが好ましい。
なお、中心筒12には、必要に応じて、分離した酸性ガスGcを開放端12b側に流すためのガス(スイープガス)を供給する供給口(供給部)を設けてもよい。
さらに、中心筒12の管壁には、軸方向に沿ってスリット(図示省略)が設けられているのが好ましい。このスリットに関しては、後に詳述する。
前述のように、積層体14Aは、分離膜貼着体20Aと、供給ガス流路用部材24と、透過ガス流路用部材26とを積層してなるものである。
なお、図1の符号30は、分離膜貼着体20Aと透過ガス流路用部材26とを接着し、かつ、積層体14A同士を接着すると共に、透過ガス流路用部材26における酸性ガスGcの流路を、中心筒12側が開口するエンベロープ状にする接着剤層30である。
前述のように、図示例の分離モジュール10は、この積層体14Aを、複数、積層して、この積層体14Aの積層物を中心筒12に巻回してなる(螺旋状に巻回してなる(螺旋状に巻き付けてなる))、略円筒状の積層体巻回物14を有する。
以下、便宜的に、この積層体14Aの巻回に対応する方向(矢印y方向)を巻回方向、巻回方向と直交する方向(矢印x方向)を幅方向とする。
分離モジュール10において、積層体巻回物14を構成する積層体14Aは1枚でもよい。しかしながら、複数の積層体14Aを積層して巻回することにより、分離膜貼着体20A(酸性ガス分離膜20)の膜面積を大きくして、1つの分離モジュールで分離する酸性ガスGcの量を向上できる。
積層体14Aの積層数は、分離モジュール10に要求される処理速度や処理量、分離モジュール10の大きさ等に応じて、適宜、設定すればよい。ここで、積層する積層体14Aの数は、50以下が好ましく、45以下がより好ましく、40以下が特に好ましい。積層体14Aの積層数を、この数とすることで、中心筒12への積層体14Aの巻回が容易になり、加工性を向上できる。
図2に、積層体14Aの部分断面図を示す。前述のように、矢印xは幅方向、矢印yは巻回方向である。
図示例において、積層体14Aは、二つ折りにした分離膜貼着体20Aの間に供給ガス流路用部材24を挟み込んで流路−分離膜積層体36とし(図4参照)、この流路−分離膜積層体36に、透過ガス流路用部材26を積層してなる構成を有する。また、分離膜貼着体20Aは、2枚の酸性ガス分離膜20を促進輸送膜20aを対面して貼着してなるものである(図3(A)参照)。
この構成については、後に詳述する。
前述のように、分離モジュール10において、原料ガスGは、テレスコープ防止板16(開口部16d)を通って、積層体巻回物14の一方の端面から供給される。すなわち、原料ガスGは、各積層体14Aの幅方向(矢印x方向)の端部(端面)に供給される。
図2に概念的に示すように、積層体14Aの幅方向の端面に供給された原料ガスGは、供給ガス流路用部材24を幅方向に流れる。この流れの中で、分離膜貼着体20A(促進輸送膜20a)に接触した酸性ガスGcは、原料ガスGから分離されて、分離膜貼着体20Aを積層体14Aの積層方向に通過して(促進輸送膜20aのキャリアによって積層方向に輸送されて)、透過ガス流路用部材26に流入する。
透過ガス流路用部材26に流入した酸性ガスGcは、透過ガス流路用部材26を巻回方向(矢印y方向)に流れて、中心筒12に至り、中心筒12の貫通孔12aから中心筒12内に流入する。中心筒12内に流入した酸性ガスGcは、中心筒12を幅方向に流れて、開放端12bから排出される。
また、酸性ガスGcを除去された残余ガスGrは、供給ガス流路用部材24を幅方向に流れて、積層体巻回物14の逆側の端面から排出され、テレスコープ防止板16(その開口部16d)を通って、分離モジュール10の外部に排出される。
供給ガス流路用部材24は、その幅方向の端部から、原料ガスGを供給され、部材内を流れる原料ガスGと、分離膜貼着体20A(酸性ガス分離膜20の促進輸送膜20a)とを接触させる。
このような供給ガス流路用部材24は、前述のように二つ折りされた分離膜貼着体20Aのスペーサとして機能して、原料ガスGの流路を構成する。また、供給ガス流路用部材24は、原料ガスGを乱流にするのが好ましい。この点を考慮すると、供給ガス流路用部材24は、ネット状(メッシュ状/網目構造)の部材が好ましい。
このような供給ガス流路用部材24の形成材料としては、十分な耐熱性および耐湿性を有するものであれば、各種の材料が利用可能である。
一例として、紙、上質紙、コート紙、キャストコート紙、合成紙などの紙材料、セルロース、ポリエステル、ポリオレフィン、ポリアミド、ポリイミド、ポリスルホン、アラミド、ポリカーボネートなどの樹脂材料、金属、ガラス、セラミックスなどの無機材料等が、好適に例示される。
樹脂材料としては、具体的には、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、ポリスルホン(PSF)、ポリプロピレン(PP)、ポリイミド、ポリエーテルイミド、ポリエーテルエーテルケトンおよびポリフッ化ビニリデン等が、好適に例示される。
供給ガス流路用部材24の厚さは、原料ガスGの供給量や要求される処理能力等に応じて、適宜、決定すれば良い。
具体的には、100〜1000μmが好ましく、150〜950μmがより好ましく、200〜900μmが特に好ましい。
本発明の製造方法による分離モジュール10において、分離膜貼着体20Aは、2枚の酸性ガス分離膜20を貼着してなるものである。また、酸性ガス分離膜20は、促進輸送膜20aと、促進輸送膜20aを支持する多孔質支持体20bとを有する。
促進輸送膜20aは、少なくとも、供給ガス流路用部材24を流れる原料ガスGに含有される酸性ガスGcと反応するキャリア、および、このキャリアを担持する親水性化合物を含有する。このような促進輸送膜20aは、原料ガスGから酸性ガスGcを選択的に透過させる機能を有している。
多孔質支持体20bは、この促進輸送膜20aを実質的に支持するものである。
本発明の製造方法では、促進輸送膜20aを対面して2枚の酸性ガス分離膜20を貼着することで、分離膜貼着体20Aを作製する。さらに、分離膜貼着体20Aを折り返して、折り返した間に前述の供給ガス流路用部材24を挟み込むことにより、流路−分離膜積層体36を作製する。
酸性ガス分離膜20、分離膜貼着体20A、および、流路−分離膜積層体36に関しては、後に詳述する。
透過ガス流路用部材26は、キャリアと反応して分離膜貼着体20Aを透過した酸性ガスGcを、中心筒12の貫通孔12aに流すための部材である。
前述のように、図示例において、積層体14Aは、分離膜貼着体20Aを二つ折りにして、供給ガス流路用部材24を挟み込んだ流路−分離膜積層体36を有する。この流路−分離膜積層体36に、透過ガス流路用部材26を積層して、接着剤層30で接着することにより、1つの積層体14Aが構成される。
透過ガス流路用部材26は、積層体14Aの間でスペーサとして機能して、積層体14Aの巻回中心(内側)に向かって中心筒12の貫通孔12aに至る、原料ガスGから分離した酸性ガスGcの流路を構成する。また、この酸性ガスGcの流路を適正に形成するために、後述する接着剤層30が浸透する必要が有る。この点を考慮すると、透過ガス流路用部材26は、供給ガス流路用部材24と同様、ネット状(メッシュ状/ネット状)の部材が好ましい。
透過ガス流路用部材26の形成材料は、十分な強度や耐熱性を有するものであれば、各種の材料が利用可能である。具体的には、エポキシ含浸ポリエステルなどのポリエステル系の材料、ポリプロピレンなどのポリオレフィン系材料、ポリテトラフルオロエチレンなどのフッ素系の材料、金属、ガラス、セラミックスなどの無機材料等が、好適に例示される。
透過ガス流路用部材26の厚さは、原料ガスGの供給量や要求される処理能力等に応じて、適宜、決定すれば良い。
具体的には、100〜1000μmが好ましく、150〜950μmがより好ましく、200〜900μmが特に好ましい。
前述のように、透過ガス流路用部材26は、原料ガスGから分離されて分離膜貼着体20Aを透過した酸性ガスGcの流路となる。
そのため、透過ガス流路用部材26は、流れるガスに対しての抵抗が少ないのが好ましい。具体的には、空隙率が高く、圧をかけたときの変形が少なく、かつ、圧損が少ないのが好ましい。
透過ガス流路用部材26の空隙率は、30〜99%が好ましく、35〜97.5%がより好ましく、40〜95%が特に好ましい。
また、圧をかけたときの変形は、引張試験を行ったときの伸度で近似できる。具体的には、10N/10mm幅の荷重をかけたときの伸度が5%以内であることが好ましく、4%以内であることがより好ましい。
さらに、圧損は、一定の流量で流した圧縮空気の流量損失で近似できる。具体的には、15cm角の透過ガス流路用部材26に、室温で15L(リットル)/minの空気を流した際に、流量損失が7.5L/min以内であるのが好ましく、7L/min以内であるのがより好ましい。
以下、図3(A)〜図8を参照して、本発明の分離モジュールの製造方法について、詳細に説明する。
前述のように、積層体14Aは、供給ガス流路用部材24、分離膜貼着体20A、および、透過ガス流路用部材26を積層してなるものである。
また、分離膜貼着体20Aは、2枚の酸性ガス分離膜20を促進輸送膜20aを対面して貼着したものである。さらに、酸性ガス分離膜20は、促進輸送膜20aと、この促進輸送膜20aを実質的に支持する多孔質支持体20bとから形成される。
本発明の製造方法においては、図3(A)の上段〜中段に概念的に示すように、まず、多孔質支持体20bの上に促進輸送膜20aを形成してなる酸性ガス分離膜20を、2枚、作製する。
前述のように、促進輸送膜20aは、原料ガスGから酸性ガスGcを選択的に透過させる機能を有している(酸性ガスGcを選択的に輸送する機能を有している)。
このような促進輸送膜20aは、少なくとも親水性ポリマー等の親水性化合物、酸性ガスと反応するキャリアおよび水等を含有する。
親水性化合物はバインダーとして機能するものであり、促進輸送膜20aにおいて、水分を保持して、キャリアによる二酸化炭素等の酸性ガスの分離機能を発揮させる。また、親水性化合物は、耐熱性の観点から、架橋構造を有するのが好ましい。
親水性化合物は、水に溶けて塗布組成物を形成できると共に、促進輸送膜20aが高い親水性(保湿性)を有するのが好ましいという観点から、親水性が高いものが好ましい。
具体的には、親水性化合物は、生理食塩液の吸水量が0.5g/g以上の親水性を有することが好ましく、同1g/g以上の親水性を有することがより好ましく、同5g/g以上の親水性を有することがさらに好ましく、同10g/g以上の親水性を有することが特に好ましく、さらには、同20g/g以上の親水性を有することが最も好ましい。
親水性化合物の重量平均分子量は、安定な膜を形成し得る範囲で、適宜、選択すればよい。具体的には、20,000〜2,000,000が好ましく、25,000〜2,000,000がより好ましく、30,000〜2,000,000が特に好ましい。
親水性化合物の重量平均分子量を20,000以上とすることで、安定して十分な膜強度を有する促進輸送膜20aを得ることができる。
特に、親水性化合物が架橋可能基としてヒドロキシ基を有する場合には、親水性化合物は、重量平均分子量が30,000以上であるのが好ましい。この際には、重量平均分子量は更に好ましくは40,000以上であり、より好ましくは、50,000以上である。また、親水性化合物が架橋可能基としてヒドロキシ基を有する場合には、製造適性の観点から、重量平均分子量は、6,000,000以下であることが好ましい。
また、架橋可能基としてアミノ基を有する場合には、親水性化合物は、重量平均分子量が10,000以上であるものが好ましい。この際には、親水性化合物の重量平均分子量は、15,000以上であるのがより好ましく、20,000以上であるのが特に好ましい。また、親水性化合物が、架橋可能基としてアミノ基を有する場合には、製造適性の観点から、重量平均分子量は、1,000,000以下であるのが好ましい。
なお、親水性化合物の重量平均分子量は、例えば、親水性化合物としてポリビニルアルコール(PVA)を用いる場合には、JIS K 6726に準じて測定した値を用いればよい。また、市販品を用いる場合には、カタログ、仕様書などで公称される分子量を用いればよい。
親水性化合物を形成する架橋可能基としては、耐加水分解性の架橋構造を形成し得るものが、好ましく選択される。
具体的には、ヒドロキシ基、アミノ基、塩素原子、シアノ基、カルボキシ基、および、エポキシ基等が例示される。これらの中でも、アミノ基およびヒドロキシ基が好ましく例示される。さらに、最も好ましくは、キャリアとの親和性およびキャリア担持効果の観点から、ヒドロキシ基が例示される。
親水性化合物としては、具体的には、単一の架橋可能基を有するものとしては、ポリアリルアミン、ポリアクリル酸、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリアクリルアミド、ポリエチレンイミン、ポリビニルアミン、ポリオルニチン、ポリリジン、ポリエチレンオキサイド、水溶性セルロース、デンプン、アルギン酸、キチン、ポリスルホン酸、ポリヒドロキシメタクリレート、ポリ−N−ビニルアセトアミドなどが例示される。最も好ましくはポリビニルアルコールである。また、親水性化合物としては、これらの共重合体も例示される。
また、複数の架橋可能基を有する親水性化合物としては、ポリビニルアルコール−ポリアクリル酸共重合体が例示される。ポリビニルアルコール−ポリアクリル塩共重合体は、吸水能が高い上に、高吸水時においてもハイドロゲルの強度が大きいため好ましい。
ポリビニルアルコール−ポリアクリル酸共重合体におけるポリアクリル酸の含有率は、例えば1〜95モル%、好ましくは2〜70モル%、より好ましくは3〜60モル%、特に好ましくは5〜50モル%である。なお、アクリル酸の含有率は、公知の合成方法で制御することができる。
なお、ポリビニルアルコール−ポリアクリル酸共重合体において、ポリアクリル酸は、塩であってもよい。この際におけるポリアクリル酸塩としては、ナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩の他、アンモニウム塩や有機アンモニウム塩等が例示される。
ポリビニルアルコールは市販品としても入手可能である。具体的には、PVA117(クラレ社製)、ポバール(クラレ製)、ポリビニルアルコール(アルドリッチ社製)、J−ポバール(日本酢ビ・ポバール社製)等が例示される。分子量のグレードは種々存在するが、重量平均分子量が130,000〜300,000のものが好ましい。
ポリビニルアルコール−ポリアクリル酸塩共重合体(ナトリウム塩)も、市販品として入手可能である。例えば、クラストマーAP20(クラレ社製)が例示される。
なお、本発明の製造方法において、促進輸送膜20aの親水性化合物は、2種以上を混合して使用してもよい。
親水性化合物の含有量は、形成した促進輸送膜20aにおいて、親水性化合物がバインダーとして機能し、かつ、水分を十分に保持できる量を、親水性組成物やキャリアの種類等に応じて、適宜、設定すればよい。
具体的には、促進輸送膜20aにおける親水性化合物の含有量は、0.5〜50質量%が好ましく、0.75〜30質量%がより好ましく、1〜15質量%が特に好ましい。親水性化合物の含有量を、この範囲とすることにより、上述のバインダーとしての機能および水分保持機能を、安定して、好適に発現できる。
親水性化合物の架橋構造は、熱架橋、紫外線架橋、電子線架橋、放射線架橋、光架橋等、公知の手法により形成できる。
好ましくは光架橋もしくは熱架橋であり、最も好ましくは熱架橋である。
また、促進輸送膜20aの形成には、親水性組成物と共に、架橋剤を用いるのが好ましい。すなわち、促進輸送膜20aを形成するための塗布組成物は、架橋剤を含有するのが好ましい。
架橋剤としては、親水性化合物と反応し、熱架橋や光架橋等の架橋し得る官能基を2以上有する架橋剤を含むものが選択される。また、形成された架橋構造は、耐加水分解性の架橋構造となるのが好ましい。
このような観点から、塗布組成物に添加される架橋剤としては、エポキシ架橋剤、多価グリシジルエーテル、多価アルコール、多価イソシアネート、多価アジリジン、ハロエポキシ化合物、多価アルデヒド、多価アミン、有機金属系架橋剤などが好適に例示される。より好ましくは多価アルデヒド、有機金属系架橋剤およびエポキシ架橋剤であり、中でも、アルデヒド基を2以上有するグルタルアルデヒドやホルムアルデヒドなどの多価アルデヒドが好ましい。
エポキシ架橋剤としては、エポキシ基を2以上有する化合物であり、4以上有する化合物も好ましい。エポキシ架橋剤は市販品としても入手可能であり、例えば、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル(共栄社化学株式会社製、エポライト100MF等)、ナガセケムテックス社製EX−411、EX−313、EX−614B、EX−810、EX−811、EX−821、EX−830、日油株式会社製エピオールE400などが例示される。
また、エポキシ架橋剤に類似する化合物として、環状エーテルを有するオキセタン化合物も、また、好ましく使用される。オキセタン化合物としては、官能基を2以上有する多価グリシジルエーテルが好ましく、市販品としては、例えばナガセケムテックス社製EX−411、EX−313、EX−614B、EX−810、EX−811、EX−821、EX−830、などが例示される。
多価グリシジルエーテルとしては、例えば、エチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、グリセロールポリグリシジルエーテル、ジグリセロールポリグリシジルエーテル、ポリグリセロールポリグリシジルエーテル、ソルビトールポリグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールポリグリシジルエーテル、プロピレングリコールグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル等が例示される。
多価アルコールとしては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ポリエチレングリコール、グリセリン、ポリグリセリン、プロピレングリコール、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ポリオキシプロピル、オキシエチエンオキシプロピレンブロック共重合体、ペンタエリスリトール、ソビトール等が例示される。
多価イソシアネートとしては、例えば、2,4−トルイレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート等が例示される。
多価アジリジンとしては、例えば、2,2−ビスヒドロキシメチルブタノール−トリス[3−(1−アシリジニル)プロピオネート]、1,6−ヘキサメチレンジエチレンウレア、ジフェニルメタン−ビス−4,4’−N,N’−ジエチレンウレア等が例示される。
ハロエポキシ化合物としては、例えば、エピクロルヒドリン、α−メチルクロルヒドリン等が例示される。
多価アルデヒドとしては、例えば、グルタルアルデヒド、グリオキサール等が例示される。
多価アミンとしては、例えば、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ペンタエチレンヘキサミン、ポリエチレンイミン等が例示される。
さらに、有機金属系架橋剤としては、例えば、有機チタン架橋剤、有機ジルコニア架橋剤等が例示される。
例えば、親水性化合物として、重量平均分子量が130,000以上のポリビニルアルコールを用いる場合には、この親水性化合物と反応性が良好で、加水分解耐性も優れている架橋構造が形成可能である点から,エポキシ架橋剤やグルタルアルデヒドが好ましく利用される。
また、親水性化合物として、ポリビニルアルコール−ポリアクリル酸共重合体を用いる場合は、エポキシ架橋剤やグルタルアルデヒドが好ましく利用される。
また、親水性化合物として、重量平均分子量が10,000以上のポリアリルアミンを用いる場合には、この親水性化合物と反応性が良好で、加水分解耐性も優れている架橋構造が形成可能である点から、エポキシ架橋剤、グルタルアルデヒド、および、有機金属架橋剤が好ましく利用される。
さらに、親水性化合物として、ポリエチレンイミンやポリアリルアミンを用いる場合には、エポキシ架橋剤が好ましく利用される。
架橋剤の量は、親水性化合物や架橋剤の種類に応じて、適宜、設定すればよい。
具体的には、親水性化合物が有する架橋可能基量100質量部に対して0.001〜80質量部が好ましく、0.01〜60質量部がより好ましく、0.1〜50質量部が特に好ましい。架橋剤の含有量を上記範囲とすることにより、架橋構造の形成性が良好であり、かつ、形状維持性に優れる促進輸送膜を得ることができる。
また、親水性化合物が有する架橋可能基に着目すれば、架橋構造は、親水性化合物が有する架橋可能基100molに対し、架橋剤0.001〜80molを反応させて形成されたものであるのが好ましい。
促進輸送膜20aにおいて、キャリア(酸性ガスキャリア)は、酸性ガス(例えば、炭酸ガス(CO2))と反応して、酸性ガスを輸送するものである。
キャリアは、酸性ガスと親和性を有し、かつ、塩基性を示す水溶性の化合物である。具体的には、アルカリ金属化合物、窒素含有化合物および硫黄酸化物等が例示される。
なお、キャリアは、間接的に酸性ガスと反応するものでも、キャリア自体が、直接、酸性ガスと反応するものでもよい。
前者は、供給ガス中に含まれる他のガスと反応し、塩基性を示し、その塩基性化合物と酸性ガスが反応するものなどが例示される。より具体的には、スチーム(水分)と反応してOH-を放出し、そのOH-がCO2と反応することで、促進輸送膜20a中に選択的にCO2を取り込むことができる化合物であり、例えば、アルカリ金属化合物である。
後者は、キャリア自体が塩基性であるようなもので、例えば、窒素含有化合物や硫黄酸化物である。
アルカリ金属化合物としては、アルカリ金属炭酸塩、アルカリ金属重炭酸塩、および、アルカリ金属水酸化物等が例示される。ここで、アルカリ金属としては、セシウム、ルビジウム、カリウム、リチウム、および、ナトリウムから選ばれたアルカリ金属元素が好ましく用いられる。なお、本発明において、アルカリ金属化合物とは、アルカリ金属そのもののほか、その塩およびそのイオンも含む。
アルカリ金属炭酸塩としては、炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸ルビジウム、および、炭酸セシウム等が例示される。
アルカリ金属重炭酸塩としては、炭酸水素リチウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸水素ルビジウム、および、炭酸水素セシウム等が例示される。
さらに、アルカリ金属水酸化物としては、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化ルビジウム、および、水酸化セシウム等が例示される。
これらの中でも、アルカリ金属炭酸塩が好ましく、また、酸性ガスとの親和性が良いという観点から、水に対する溶解度の高いカリウム、ルビジウム、および、セシウムを含む化合物が好ましい。
また、キャリアとしてアルカリ金属化合物を用いる際には、2種以上のキャリアを併用してもよい。
促進輸送膜20a中に2種以上のキャリアが存在することにより、膜中で異なるキャリアを距離的に離間させることができる。これにより、複数のキャリアの潮解性の違いによって、促進輸送膜20aの吸水性に起因して、製造時等に促進輸送膜20a同士や、促進輸送膜20aと他の部材とが貼着すること(ブロッキング)を、好適に抑制できる。
また、ブロッキングの抑制効果を、より好適に得られる等の点で、2種以上のアルカリ金属化合物をキャリアとして用いる場合には、潮解性を有する第1化合物と、第1化合物よりも潮解性が低く比重が小さい第2化合物を含むのが好ましい。一例として、第1化合物としては炭酸セシウムが、第2化合物としては炭酸カリウムが、例示される。
窒素含有化合物としては、グリシン、アラニン、セリン、プロリン、ヒスチジン、タウリン、ジアミノプロピオン酸などのアミノ酸類、ピリジン、ヒスチジン、ピペラジン、イミダゾール、トリアジンなどのヘテロ化合物類、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、モノプロパノールアミン、ジプロパノールアミン、トリプロパノールアミンなどのアルカノールアミン類、クリプタンド[2.1]、クリプタンド[2.2]などの環状ポリエーテルアミン類、クリプタンド[2.2.1]、クリプタンド[2.2.2]などの双環式ポリエーテルアミン類、ポルフィリン、フタロシアニン、エチレンジアミン四酢酸等が例示される。
さらに、硫黄化合物としては、シスチン、システインなどのアミノ酸類、ポリチオフェン、ドデシルチオール等が例示される。
促進輸送膜20aにおけるキャリアの含有量は、キャリアや親水性化合物の種類等に応じて、適宜、設定すればよい。具体的には、促進輸送膜20aにおけるキャリアの量が、0.3〜30質量%となる量が好ましく、0.5〜25質量%となる量がより好ましく、1〜20質量%となる量が特に好ましい。
塗布組成物におけるキャリアの含有量を、上記範囲とすることにより、塗布前の塩析を好適に防ぐことができ、さらに、形成した促進輸送膜20aが、酸性ガスの分離機能を確実に発揮できる。
また、塗布組成物における親水性化合物とキャリアとの量比は、親水性化合物:キャリアの質量比で1:9〜2:3以下が好ましく、1:4〜2:3以下がより好ましく、3:7〜2:3が特に好ましい。
促進輸送膜20a(促進輸送膜20aを形成するための塗布組成物)は、必要に応じて、増粘剤を含有してもよい。
増粘剤としては、例えば、寒天、カルボキシメチルセルロース、カラギナン、キタンサンガム、グァーガム、ペクチン等の増粘多糖類が好ましい。中でも、製膜性、入手の容易性、コストの点から、カルボキシメチセルロースが好ましい。
カルボキシメチルセルロースを用いることにより、少量の含有量で、所望粘度の塗布組成物が容易に得られるうえ、塗布組成物に含まれる溶媒以外の成分の少なくとも一部が塗布組成物中で溶解できずに析出してしまう恐れも少ない。
増粘剤(塗布組成物における)の含有量は、目的とする粘度に調節可能であれば、できるだけ少ないほうが好ましい。
一般的な指標としては、10質量%以下が好ましく、0.1〜5質量%がより好ましく、0.1〜2質量%以下がより好ましい。
促進輸送膜20a(促進輸送膜20aを形成するための塗布組成物)は、このような親水性化合物、架橋剤およびキャリア、あるいはさらに増粘剤に加え、必要に応じて、各種の成分を含有してもよい。
このような成分としては、ジブチルヒドロキシトルエン(BHT)等の酸化防止剤、炭素数3〜20のアルキル基または炭素数3〜20のフッ化アルキル基と親水性基とを有する化合物やシロキサン構造を有する化合物等の特定化合物、オクタン酸ナトリウムや1−ヘキサスルホン酸ナトリウム等の界面活性剤、ポリオレフィン粒子やポリメタクリル酸メチル粒子等のポリマー粒子等が例示される。
その他、必要に応じて、触媒、保湿(吸湿)剤、補助溶剤、膜強度調節剤、欠陥検出剤等を用いてもよい。
また、本発明の分離モジュールの製造方法において、促進輸送膜20aの厚さは、促進輸送膜20aの組成等に応じて、目的とする性能を得られる膜厚を、適宜、設定すればよい。具体的には、3〜1000μmが好ましく、5〜500μmがより好ましい。
促進輸送膜20aの膜厚を、上記範囲とすることにより、ガス透過性能を向上できる、欠陥の発生を抑制できる等の点で好ましい。
多孔質支持体20b(以下、支持体20bとも言う)は、炭酸ガス等の酸性ガスの透過性を有し、かつ、支持体20bに形成された促進輸送膜20aを支持するものである。
支持体20bは、この機能を有する物であれば、公知の各種の物が利用可能である。
本発明の製造方法において、支持体20bは、単層であってもよい。しかしながら、支持体20bは、多孔質膜と補助支持膜とからなる2層構成であるのが好ましい。このような2層構成を有することにより、上記の酸性ガス透過性や、促進輸送膜20aの支持という機能を、より確実に発現する。2層構成の支持体20bでは、通常、多孔質膜が促進輸送膜20aの形成面となる。
なお、多孔質支持体が単層である場合には、形成材料としては、以下に多孔質膜および補助支持膜で例示する各種の材料が利用可能である。
多孔質膜は、耐熱性を有し、また加水分解性の少ない材料からなることが好ましい。このような多孔質膜としては、具体的には、ポリスルホン(PSF)、ポリエーテルスルホン、ポリプロピレン(PP)およびセルロースなどのメンブレンフィルター膜、ポリアミドやポリイミドの界面重合薄膜、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)や高分子量ポリエチレンの延伸多孔膜等が例示される。
中でも、PTFE等の含フッ素ポリマー、PPおよびPSFから選択される1以上の材料を含む多孔質膜は好ましく例示される。その中でも、PTFEや高分子量ポリエチレンの延伸多孔膜は、高い空隙率を有し、酸性ガス(特に炭酸ガス)の拡散阻害が小さく、さらに、強度、製造適性などの観点から好ましい。特に、耐熱性を有し、また加水分解性の少ない等の点で、PTFEの延伸多孔膜が、好適に利用される。
支持体20bにおいて、補助支持膜は、多孔質膜の補強用に備えられるものである。
補助支持膜は、要求される強度、耐延伸性および気体透過性を満たすものであれば、各種の物が利用可能である。例えば、不織布、織布、ネット、および、メッシュなどを、適宜、選択して用いることができる。
補助支持膜も、前述の多孔質膜と同様、耐熱性を有し、また加水分解性の少ない素材からなることが好ましい。
この点を考慮すると、不織布、織布、編布を構成する繊維としては、耐久性や耐熱性に優れる、ポリプロピレン(PP)などのポリオレフィン、アラミド(商品名)などの改質ポリアミド、ポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデンなどのフッ素含有樹脂などからなる繊維が好ましい。メッシュを構成する樹脂材料も同様の素材を用いるのが好ましい。これらの材料のうち、安価で力学的強度の強いPPからなる不織布は、特に好適に例示される。
支持体20bが補助支持膜を有することにより、力学的強度を向上できる。そのため、後述するように、いわゆるRtoR(ロール・トゥ・ロール(roll to roll))を利用して分離膜貼着体20Aを作成する場合でも、支持体20bに皺がよることを防止でき、生産性を高めることもできる。
支持体20bは、薄すぎると強度に難がある。この点を考慮すると、多孔質膜の膜厚は5〜100μm、補助支持膜の膜厚は50〜300μmが好ましい。
また、支持体20bを単層にする場合には、支持体20bの厚さは、30〜500μmが好ましい。
ここで、本発明の製造方法に用いられる酸性ガス分離膜20においては、後述する2枚の酸性ガス分離膜20を貼着してなる分離膜貼着体20Aとされた際に、他方の酸性ガス分離膜20よりも供給ガス流路用部材24から離間する側の酸性ガス分離膜20は、支持体20bと促進輸送膜20aとの間に中間層を有してもよい。
また、この中間層は、一部が支持体20bの内部に入り込んだ(染み込んだ)状態となっていてもよい。
前述のように、促進輸送膜はゲル状であり、また、分離モジュール10は、酸性ガスの分離時には、温度100〜130℃、湿度90%程度の原料ガスGを、1.5MPa程度の圧力で供給される。
そのため、分離膜貼着体20Aにおいて、供給ガス流路用部材24と離間する側の酸性ガス分離膜20(供給ガス流路用部材24から見て、支持体20bが促進輸送膜20aよりも遠くに位置する酸性ガス分離膜20)は、使用によって促進輸送膜20aが支持体20b側に押圧される。その結果、この酸性ガス分離膜20では、使用によって、次第に、促進輸送膜20aが支持体20bに押し込まれてしまい、また、キャリアが促進輸送膜20aから抜けて支持体20bを透過して、酸性ガス分離能力が低下する。
これに対し、供給ガス流路用部材24と離間する側の酸性ガス分離膜20が、支持体20bと促進輸送膜20aとの間に中間層を有することにより、支持体20bへの促進輸送膜20aの押し込みや、促進輸送膜20aからのキャリアの抜けを抑制できる。
中間層の一例として、シリコーン結合を有する化合物やシリコーン含有化合物からなる層が例示される。具体的には、オルガノポリシロキサン(シリコーン樹脂)やポリトリメチルシリルプロピンなどシリコーン含有ポリアセチレン等が利用できる。オルガノポリシロキサンの具体例としては、下記の一般式で示されるものが例示される。

なお、上記一般式中、nは1以上の整数を表す。ここで、入手容易性、揮発性、粘度等の観点から、nの平均値は10〜1000000の範囲が好ましく、100〜100000の範囲がより好ましい。
また、R1n、R2n、R3およびR4は、それぞれ、水素原子、アルキル基、ビニル基、アラルキル基、アリール基、ヒドロキシル基、アミノ基、カルボキシル基、エポキシ基からなる群より選択されるいずれかを示す。なお、n個存在するR1nおよびR2nは、それぞれ、同じであっても異なっても良い。また、アルキル基、アラルキル基およびアリール基は環構造を有していても良い。さらに、前記アルキル基、ビニル基、アラルキル基およびアリール基は置換基を有していても良く、この際における置換基は、例えば、アルキル基、ビニル基、アリール基、ヒドロキシル基、アミノ基、カルボキシル基、エポキシ基およびフッ素原子から選ばれる。これらの置換基は、可能であれば、さらに置換基を有することもできる。
1n、R2n、R3およびR4に選択されるアルキル基、ビニル基、アラルキル基およびアリール基は、入手容易性などの観点から、炭素数1〜20のアルキル基、ビニル基、炭素数7〜20のアラルキル基、炭素数6〜20のアリール基がより好ましい。
1n、R2n、R3およびR4は、メチル基またはエポキシ置換アルキル基が好ましく、例えば、エポキシ変性のポリジメチルシロキサン(PDMS)など、PDMS誘導体が好適に利用できる。
また、中間層としては、上記のオルガノポリシロキサン以外にも、ポリ[1−(トリメチルシリル)−1−プロピン](PTMSP)、ブタジエン系・イソプレン系ゴム材料、低密度なポリメチルペンテン等からなる層も利用可能である。
中間層の厚さは、0.5〜15μmが好ましい。なお、この厚さは、支持体20bへの入り込み分も含む厚さである。
中間層の厚さ上記範囲とすることにより、後述する分離モジュール10の作製プロセスでの欠陥発生を抑制でき、さらに、酸性ガス透過性の低下を抑えながら所望の分離性能を得られる等の点で好ましい。
また、この点を考慮すると、中間層の厚さは、0.5〜10μmがより好ましく、0.5〜5μmが特に好ましい。
このような酸性ガス分離膜20は、公知の各種の方法で作製すればよい。好ましくは、RtoRを利用する塗布法によって作製する。
周知のように、RtoRとは、長尺な基板(被処理物)を巻回してなるロールから、基板を送り出し、長手方向に搬送しつつ、塗布組成物の塗布や乾燥等を行い、処理済の基板をロール状に巻き取る製造方法である。
酸性ガス分離膜20を作製する際には、長尺な支持体20bを巻回してなるロールを、RtoRによる公知の成膜装置に装着して、このロールから支持体20bを送り出して、支持体20bを長手方向に搬送しつつ、促進輸送膜20aとなる塗布組成物を塗布する。
促進輸送膜20aを形成する際の複合体の搬送速度は、塗布組成物の組成や粘度等に応じて、適宜、設定すればよい。
ここで、複合体の搬送速度が速すぎると、塗布組成物の塗膜の膜厚均一性の低下や塗布組成物の乾燥が不十分になるおそれがあり、遅過ぎると生産性が低下する。この点を考慮すると、複合体の搬送速度は、0.5m/min以上が好ましく、0.75〜200m/minがより好ましく、1〜200m/minが特に好ましい。
前述のように、促進輸送膜20aは、親水性ポリマー等の親水性化合物、酸性ガスと反応するキャリアおよび水等を含有する。
従って、このような促進輸送膜20aを形成するための塗布組成物(塗布液/塗料)は、前述の親水性化合物、キャリアおよび水(常温水または加温水)、あるいはさらに、架橋剤等の必要となる成分を含む塗布組成物である。なお、親水性化合物は、架橋、一部架橋および未架橋のいずれでも良く、また、これらが混合されたものでもよい。この塗布組成物も、公知の方法で調製すればよい。
ここで、促進輸送膜20aとなる塗布組成物は、25℃における粘度が100cp以上であるのが好ましい。塗布組成物の25℃における粘度を、100cp以上とすることにより、塗布組成物を塗布する際のハジキを抑制できる、塗布組成物の塗布の均一性を良くできる等の点で好ましい。
なお、粘度は、JIS Z 8803に準じて、B型粘度計による回転数60rpmにおける粘度を、25℃で測定すればよい。
促進輸送膜20aとなる塗布組成物の塗布は、公知の物が各種、利用可能であり、前述の中間層と同様の物が例示される。また、促進輸送膜20aとなる塗布組成物の好ましい粘度や塗布組成物の塗布量等を考慮すると、ロールコータ、バーコータ、正回転ロールコータ、ナイフコータ等は好適に利用される。
促進輸送膜20aとなる塗布組成物を塗布したら、次いで、支持体20bを長手方向に搬送しつつ、この塗布組成物を乾燥して、促進輸送膜20aを形成する。
乾燥方法は、温風乾燥や支持体20bの加熱による乾燥方法等、水の除去による乾燥を行う公知の方法が、各種、利用可能である。
温風乾燥を行う場合には、温風の風速は、塗布組成物を迅速に乾燥できると共に、塗布組成物の塗膜(ゲル膜)が崩れない速度を、適宜、設定すればよい。具体的には、0.5〜200m/minが好ましく、0.75〜200m/minがより好ましく、1〜200m/minが特に好ましい。
また、温風の温度は、支持体20bの変形などが生じず、かつ、塗布組成物を迅速に乾燥できる温度を、適宜、設定すればよい。具体的には、膜面温度で、1〜120℃が好ましく、2〜115℃がより好ましく、3〜110℃が特に好ましい。
支持体20bの加熱による乾燥を行う場合には、支持体20bの変形などが生じず、かつ、塗布組成物を迅速に乾燥できる温度を、適宜、設定すればよい。また、支持体20bの加熱に、乾燥風の吹き付けを併用してもよい。
具体的には、支持体20bの温度を60〜120℃として行うのが好ましく、60〜90℃として行うのがより好ましく、70〜80℃として行うのが特に好ましい。また、この際において、膜面温度は、15〜80℃が好ましく、30〜70℃がより好ましい。
塗布組成物を乾燥して、促進輸送膜20aすなわち酸性ガス分離膜20を作製したら、作製した酸性ガス分離膜20をロール状に巻き取る。
なお、酸性ガス分離膜20の巻取りの前に、公知の方法によって、促進輸送膜20aの表面に、離型性を有する保護シート等を積層して、この積層体を巻き取ってもよい。
また、先に作成した酸性ガス分離膜20が有る場合には、塗布組成物を乾燥して促進輸送膜20aすなわち酸性ガス分離膜20を作製した後、巻取りを行うことなく、先に作製した酸性ガス分離膜20を、互いの促進輸送膜20a対面して積層、貼着して、分離膜貼着体20Aとした後に、巻き取って、後述する貼着体ロール20ARとしてもよい。
あるいは、ロールから長尺な支持体20bを送り出して、支持体20bを長手方向に搬送しつつ、促進輸送膜20aとなる塗布組成物の塗布、乾燥することによる酸性ガス分離膜20を製造を、2つのラインで並行して行ない、各ラインで製造した酸性ガス分離膜20を、互いの促進輸送膜20a対面して積層、貼着して、分離膜貼着体20Aとした後に、巻き取って、後述する貼着体ロール20ARとしてもよい。
なお、支持体20bと促進輸送膜20aとの間に、前述の中間層を形成する場合にも、同様に、RtoRを利用する塗布法で行うのが、好ましい。
中間層となる塗布組成物は、前述のPDMS誘導体等の中間層となる化合物のモノマー、ダイマー、トリマー、オリゴマー、プレポリマー、および、これらの混合物や、硬化剤、硬化促進剤、架橋剤、増粘剤、補強剤、および、フィラー等を、有機溶剤に溶解(分散)してなる、塗布法によって樹脂層(樹脂の膜)等を形成する際に用いられる、一般的な塗布組成物(塗布液/塗料)である。このような塗布組成物は、公知の方法で調製すればよい。
また、中間層の形成では、必要に応じて、塗布組成物の乾燥後、紫外線照射、電子線照射、加熱等、中間層の形成材料に応じた硬化処理を行ってもよい。
このようにして2枚の酸性ガス分離膜20を作製したら、図3(A)の中段〜下段に示すように、促進輸送膜20aを対面した状態で、2枚の酸性ガス分離膜20を積層、貼着して、分離膜貼着体20Aとする。なお、中間層を有する酸性ガス分離膜を用いる場合には、中間層を有する酸性ガス分離膜は、基本的に、貼着する2枚の酸性ガス分離膜のうち、1枚のみでよい。
前述のように、促進輸送膜20aはゲル状の膜であり、また、粘着性を有するため、2枚の酸性ガス分離膜20は、十分な貼着力で貼着され、後述する積層体14Aの巻回を行う際にも、促進輸送膜20a同士が擦れることはない。また、促進輸送膜20aが接触するのは、他方の促進輸送膜20aと支持体20bのみである。
そのため、本発明の製造方法によれば、分離膜貼着体20A、供給ガス流路用部材24および透過ガス流路用部材26からなる積層体14Aをスパイラル状に巻回する際に、促進輸送膜20aが損傷することを、好適に防止できる。
この点に関しては、後に詳述する。
2枚の酸性ガス分離膜20を貼着してなる分離膜貼着体20Aは、公知のシート状物の積層および貼着方法を用いて作製すればよい。
例えば、RtoRによって分離膜貼着体20Aを作製する場合には、前述のように作製した、酸性ガス分離膜20を巻回してなる分離膜ロール20Rを、2個、作製する。この2個の分離膜ロール20Rを、図3(B)に概念的に示すように、公知の貼り合わせ装置の所定位置に装着する。この分離膜ロール20Rの装着は、各分離膜ロール20Rから送り出した酸性ガス分離膜20の、互いの促進輸送膜20aが対面するように行う。
次いで、各分離膜ロール20Rから、酸性ガス分離膜20を送り出し、ガイドローラ50、積層ローラ対52、搬送ローラ対54を経る所定の経路で挿通(通紙)し、2枚の酸性ガス分離膜20の先端を、巻取り軸56に巻回する。
以上の準備を終了したら、各分離膜ロール20Rから酸性ガス分離膜20を送り出して、ガイドローラ50等によって所定の搬送経路に案内して長手方向に搬送しつつ、積層ローラ対52によって促進輸送膜20aを対面させて2枚の酸性ガス分離膜20を積層および貼着して分離膜貼着体20Aとする。
さらに、作製した分離膜貼着体20Aを、搬送ローラ対54によって所定の搬送経路に案内して、巻取り軸56によって巻取り、分離膜貼着体20Aをロール状に巻回してなる貼着体ロール20ARとする。
この際において、酸性ガス分離膜20等の搬送速度は、速い方が生産性等の点で好ましいが、酸性ガス分離膜20の強度等に応じて、適宜、設定すればよい。
また、前述のように、促進輸送膜20aは粘着性を有するので、この酸性ガス分離膜20の貼着では、基本的に、接着剤や粘着剤等の接着部材を用いる必要はない。
ここで、本発明の製造方法において、分離膜貼着体20Aを作製する際には、貼り合わせた2枚の酸性ガス分離膜20を加圧するのが好ましい。これにより、2枚の酸性ガス分離膜20(促進輸送膜20a)の貼着力を、より向上できる。
加圧力は、促進輸送膜20aの種類や厚さ等に応じて、適宜、設定すればよい。具体的には、加圧力は10〜500kPaが好ましく、100〜300kPaがより好ましい。
加圧力を、この範囲とすることにより、2枚の酸性ガス分離膜20の粘着力を向上して、後述する巻回の際の促進輸送膜20a同士のズレをより好適に防止できる等の点で好ましい。
貼り合わせた酸性ガス分離膜20(分離膜貼着体20A)の加圧は、加圧ローラやプレス装置等を用いる公知の方法で行えばよい。
例えば、前述のようなRtoRによって、分離膜貼着体20Aを作製する場合には、積層ローラ対52によって2枚の酸性ガス分離膜20を貼着する際に加圧を行ってもよい。あるいは、搬送ローラ対54を加圧ローラ対にする等、分離膜貼着体20Aの搬送経路中に1個以上の加圧ローラを設けてもよい。あるいは、積層ローラ対52による加圧と加圧ローラによる加圧とを、併用してもよい。
また、この加圧を行う際に、必要に応じて、酸性ガス分離膜20および/または分離膜貼着体20Aの加熱や加湿等を行ってもよい。これらの処理は、積層ローラ対52を加熱する方法等、公知の方法で行えばよい。
なお、分離膜貼着体20Aにおいて、2枚の酸性ガス分離膜20による二つの促進輸送膜20aの合計膜厚は、促進輸送膜20aの組成等に応じて、目的とする性能を得られる膜厚を、適宜、設定すればよい。
具体的には、5〜1000μmが好ましく、10〜500μmがより好ましい。
本発明の製造方法において、分離膜貼着体20Aを構成する2枚の酸性ガス分離膜20は、促進輸送膜20aの厚さが同じでも異なってもよい。また、2枚の酸性ガス分離膜20は、支持体20bの厚さおよび/または構成が同じでも異なってもよい。
さらに、分離膜貼着体20Aを構成する2枚の酸性ガス分離膜20は、促進輸送膜20aが、同じでも互いに異なってもよい。
このようにして分離膜貼着体20Aを作製したら、図4に概念的に示すように、分離膜貼着体20Aを二つ折りにし、間に供給ガス流路用部材24を挟み込む。すなわち、供給ガス流路用部材24を、二つ折りにした分離膜貼着体20Aで挟持した流路−分離膜積層体36を作製する。この際には、分離膜貼着体20Aは均等に二つ折りにするのではなく、図4に示すように、一方が、若干、長くなるように、二つ折りする。
なお、以下の図4〜図8では、図面を簡潔にして構成を明確に示すために、供給ガス流路用部材24および透過ガス流路用部材26は、端面(端部)のみをネット状で示す。また、前述のRtoRによって分離膜貼着体20Aを作製した場合には、分離膜貼着体20Aを所定のサイズに切断した後に、これらの操作を行う。
ここで、分離膜貼着体20Aを構成する2枚の酸性ガス分離膜20において、一方が前述の中間層を有する場合には、この二つ折りは、この中間層を有する側の酸性ガス分離膜20が外側になるように行う。
また、供給ガス流路用部材24による促進輸送膜20aの損傷を防止するために、分離膜貼着体20Aを二つ折りにした谷部に、二つ折りにしたシート状の保護部材(例えば、カプトンテープなど)を配置するのが好ましい。
さらに、二つ折りにした分離膜貼着体20Aの短い方の表面(支持体20bの表面)に、接着剤層30となる接着剤30aを塗布する。
ここで、接着剤30a(すなわち、接着剤層30)は、図4に示すように、幅方向(矢印x方向)の両端部近傍で、巻回方向(矢印y方向)の全域に延在して帯状に塗布し、さらに、折り返し部と逆側の端部近傍で幅方向の全域に延在して帯状に塗布する。
一方で、図5(A)および図5(B)に概念的に示すように、中心筒12の延在方向と短手方向とを一致して、中心筒12に、接着剤等の固定手段34を用いて、透過ガス流路用部材26の端部を固定する。
ここで、前述のように、中心筒12の管壁には、軸方向に沿ってスリット(図示省略)が設けられているのが好ましい。この場合、スリットに、後述する透過ガス流路用部材26の先端部を入れ込み、中心筒12の内周面に固定手段で固定するようにする。この構成によれば、透過ガス流路用部材26を含んだ積層体を中心筒12に巻き付ける際に、テンションをかけながら巻き付けるようにしても、中心筒12の内周面と透過ガス流路用部材26との摩擦で、透過ガス流路用部材26がスリットから抜けることを防止でき、すなわち、透過ガス流路用部材26の固定が維持される。
次いで、図6(A)および図6(B)に概念的に示すように、接着剤30aを塗布した面を透過ガス流路用部材26に向け、かつ、折り返し側を中心筒12に向けて、流路−分離膜積層体36を、中心筒12に固定した透過ガス流路用部材26に積層し、透過ガス流路用部材26と流路−分離膜積層体36(分離膜貼着体20A(支持体20b))とを接着する。
さらに、図6(A)に示すように、積層した流路−分離膜積層体36の上面(長い側の分離膜貼着体20Aの表面)に、接着剤層30となる接着剤30aを塗布する。なお、以下の説明では、最初に固定手段34で中心筒12に固定された透過ガス流路用部材26と逆側の方向(図中上側)を、上側とも言う。
図6(A)に示すように、この面の接着剤30aも、先と同様、幅方向の両端部近傍で、巻回方向の全域に延在して帯状に塗布し、さらに、折り返し部と逆側の端部近傍で幅方向の全域に延在して帯状に塗布する。
次いで、図7に概念的に示すように、接着剤30aを塗布した流路−分離膜積層体36の上に、透過ガス流路用部材26を積層し、分離膜貼着体20A(支持体20b)と透過ガス流路用部材26とを接着し、積層体14Aが形成される。
次いで、先と同様、図4に示すように、分離膜貼着体20Aで供給ガス流路用部材24を挟み込んだ流路−分離膜積層体36を作製して、接着剤層30となる接着剤30aを塗布して、接着剤を塗布した側を下に向けて、最後に積層した透過ガス流路用部材26と流路−分離膜積層体36とを積層して、接着する。
さらに、先と同様、積層した流路−分離膜積層体36の上面に、図6(A)に示すように接着剤30aを塗布して、次いで、図7に示すように、その上に、透過ガス流路用部材26を積層して、接着し、2層目の積層体14Aを積層する。
以下、図4、図6(A)〜図7の工程を繰り返して、図8に概念的に示すように、所定数の積層体14Aを積層する。
なお、この積層は、図8に示すように、積層体14Aが、上方に行くにしたがって、次第に、巻回方向に中心筒12から離間するように積層するのが好ましい。これにより、中心筒12への積層体14Aの巻回(巻き付け)を容易に行い、かつ、各透過ガス流路用部材26の中心筒12側の端部もしくは端部近傍が、好適に中心筒12に当接できる。
所定数の積層体14Aを積層したら、図8に示すように、中心筒12の外周面に接着剤38aを、最初に中心筒12に固定した透過ガス流路用部材26の上面の中心筒12と流路−分離膜積層体36との間に接着剤38bを、それぞれ、塗布する。
次いで、図8に矢印ywで示すように、積層した積層体14Aを巻き込むようにして、積層体14Aを中心筒12に巻回する(スパイラル状に巻き付ける)。
ここで、本発明の製造方法においては、2枚の酸性ガス分離膜20を促進輸送膜20aを対面して貼着してなる分離膜貼着体20Aを作製し、この分離膜貼着体20Aと供給ガス流路用部材24とを積層して流路−分離膜積層体36を作製する。さらに、この流路−分離膜積層体36に透過ガス流路用部材26を積層して積層体14Aを作製して、この積層体14Aを1以上、積層して巻回する。
本発明の分離モジュールの製造方法は、このような分離膜貼着体20Aを作製し、この分離膜貼着体20Aを用いて流路−分離膜積層体36を作製して、流路−分離膜積層体36を含む積層体14Aを巻回することにより、積層体14A(積層体14Aの積層体)をスパイラル状に巻回する際に、促進輸送膜20aが損傷することを、好適に防止できる。
特許文献1にも示されるように、スパイラル状の分離モジュールでは、通常、酸性ガスの分離に作用する膜(層)を内側にして酸性ガス分離膜を二つ折りにし、間に供給ガス流路用部材を挟んで挟持体を構成し、この挟持体に透過ガス流路用部材を積層した積層体を巻回することで、分離モジュールを作製する。
このようなスパイラル型の分離モジュールにおいて、促進輸送膜を有する酸性ガス分離膜を用いると、前述のように、積層体を巻回する際に、粘着性が高い促進輸送膜と供給ガス流路用部材とが擦れて、ネット状の供給ガス流路用部材がゲル状の促進輸送膜を引っ掻くような状態になり、促進輸送膜が損傷して、欠陥部となってしまう。
特許文献3や4に示されるように、促進輸送膜の表面に保護膜を設けることにより、促進輸送膜の損傷は、抑制できる。しかしながら、前述のように、保護膜を設けても、巻回時に、保護膜と促進輸送膜との擦れが生じ、この擦れによって、促進輸送膜が損傷し、欠陥部となってしまう。
これに対し、本発明の製造方法では、促進輸送膜20aを対面した状態で、2枚の酸性ガス分離膜20を積層、貼着して、分離膜貼着体20Aを作製し、この分離膜貼着体20Aと供給ガス流路用部材24との積層体である流路−分離膜積層体36を作製して、この流路−分離膜積層体36を含む積層体14Aをスパイラル状に巻回する。
前述のように、促進輸送膜20aはゲル状の膜(ゲル膜)であり、また、高い粘着性を有する。そのため、促進輸送膜20aを対面して貼着された2枚の酸性ガス分離膜20は、十分な貼着力で貼着され、後述する積層体14Aの巻回を行う際にも、擦れることはない。また、分離膜貼着体20Aは、促進輸送膜20a同士を対面して貼着するので、促進輸送膜20aが接触するのは、他方の促進輸送膜20aおよび支持体20b(多孔質膜)のみである。
そのため、本発明の製造方法によれば、分離膜貼着体20A、供給ガス流路用部材24および透過ガス流路用部材26からなる積層体14A(積層体14Aの積層体)をスパイラル状に巻回する際に、供給ガス流路用部材24等によって促進輸送膜20aが損傷することを、好適に防止できる。
従って、本発明の製造方法によれば、促進輸送膜20aの欠陥に起因する分離性能の低下等が無い、高性能な分離モジュールを製造できる。さらに、本発明の製造方法によれば、別途、保護膜を形成する必要がなく、保護膜等を有さない通常の酸性ガス分離膜を用いて、促進輸送膜20aの欠陥を防止した分離モジュールが製造できる。
積層体14A(その積層体)を巻き終わったら、最外周(すなわち、最初に中心筒12に固定した最下層)の透過ガス流路用部材26に、ひき出す方向(巻き絞める方向)の張力を掛けた状態で、所定時間、維持して、接着剤30a等を乾燥させる。
所定時間が経過したら、最外周の透過ガス流路用部材26を1周した位置で超音波融着等によって固定し、固定位置よりも外方の余分な透過ガス流路用部材26を切断して、積層した積層体14Aを中心筒12に巻回してなる積層体巻回物14を完成する。
前述のように、原料ガスGは、供給ガス流路用部材24の端部から供給され、酸性ガスGcは、分離膜貼着体20Aを積層方向に通過して(輸送されて)、透過ガス流路用部材26に流入し、透過ガス流路用部材26内を流れて、中心筒12に至る。
ここで、接着剤30aを塗布されるのは、分離膜貼着体20A(酸性ガス分離膜20)の支持体20bであり、また、接着剤30aによって接着されるのは、ネット状の透過ガス流路用部材26である。従って、接着剤30aは、支持体20bおよび透過ガス流路用部材26内に浸透(含浸)し、両者の内部に接着剤層30が形成される。
また、接着剤層30(接着剤30a)は、前述のように、幅方向の両端部近傍で、巻回方向の全域に延在して帯状に形成される。さらに、接着剤層30は、この幅方向両端部近傍の接着剤層30を幅方向に横切るように、中心筒12側となる折り返し部と逆側の端部近傍で幅方向の全域に延在して帯状に形成される。すなわち、接着剤層30は、中心筒12側を開放して、透過ガス流路用部材26および支持体20bの外周を囲むように形成される。加えて、透過ガス流路用部材26は、分離膜貼着体20Aによって挟まれた状態となっている。
これにより、積層体14Aの透過ガス流路用部材26には、中心筒12側が開放するエンベロープ状の流路が形成される。従って、分離膜貼着体20Aを透過して透過ガス流路用部材26に流入した酸性ガスGcは、外部に流出することなく、透過ガス流路用部材26内を中心筒12に向かって流れ、貫通孔12aから中心筒12内に流入する。
本発明の分離モジュール10において、接着剤層30(接着剤30a)は、十分な接着力、耐熱性および耐湿性を有するものであれば、各種の公知の接着剤が利用可能である。
一例として、エポキシ樹脂、塩化ビニル共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル−塩化ビニリデン共重合体、塩化ビニル−アクリロニトリル共重合体、ブタジエン−アクリロニトリル共重合体、ポリアミド樹脂、ポリビニルブチラール、ポリエステル、セルロース誘導体(ニトロセルロース等)、スチレン−ブタジエン共重合体、各種の合成ゴム系樹脂、フェノール樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、フェノキシ樹脂、シリコーン樹脂、尿素ホルムアミド樹脂等が好適に例示される。
なお、接着剤層30となる接着剤30aは、一度塗りでもよいが、好ましくは、最初はアセトン等の有機溶剤で希釈した接着剤を塗布し、その上に、接着剤のみを塗布するのが好ましい。また、この際には、有機溶剤で希釈した接着剤は幅広に塗布し、接着剤は、これよりも狭い幅で塗布するのが好ましい。
本発明の分離モジュール10において、このようにして作製される積層体巻回物14の両端部には、テレスコープ防止板(テレスコープ防止部材)16が配置される。
前述のように、テレスコープ防止板16は、積層体巻回物14が原料ガスGによって押圧されて、供給側の端面が入れ子状に押し込まれ、逆側の端面が入れ子状に突出する、いわゆるテレスコープ現象を防止するための部材である。
本発明において、テレスコープ防止板16は、スパイラル型の分離モジュールに用いられる公知のものが、各種、利用可能である。
図示例において、テレスコープ防止板は、円環状の外環部16aと、外環部16aの中に中心を一致して配置される円環状の内環部16bと、外環部16aおよび内環部16bを連結して固定するリブ(スポーク)16cとを有して構成される。積層体14A(積層体14Aを積層した積層物)が巻回される中心筒12は、内環部16bを挿通する。
図示例において、リブ16cは、外環部16aおよび内環部16bの中心から、等角度間隔で放射状に設けられおり、外環部16aと内環部16bとの間で、かつ、各リブ16cの間隙が、原料ガスGもしくは残余ガスGrが通過する開口部16dとなっている。
テレスコープ防止板16の形成材料は、十分な強度と、耐熱性および耐湿性を有する、各種の材料が利用可能である。
具体的には、金属材料(例えば、ステンレス(SUS)、アルミニウム、アルミニウム合金、錫、錫合金等)、樹脂材料(例えばポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、芳香族ポリアミド樹脂、ナイロン12、ナイロン66、ポリサルフィン樹脂、ポリテトラフルオロエチレン樹脂、ポリカーボネート樹脂、アクリル・ブタジエン・スチレン樹脂、アクリル・エチレン・スチレン樹脂、エポキシ樹脂、ニトリル樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂(PEEK)、ポリアセタール樹脂(POM)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)等)、およびこれら樹脂の繊維強化プラスチック(例えば繊維としては、ガラス繊維、カーボン繊維、ステンレス繊維、アラミド繊維などで、特に長繊維が好ましい。具体例としては、例えばガラス長繊維強化ポリプロピレン、ガラス長繊維強化ポリフェニレンサルファイドなど)、並びに、セラミックス(例えばゼオライト、アルミナなど)等が好適に例示される。
なお、樹脂を用いる際には、ガラス繊維等で強化した樹脂を用いてもよい。
積層体巻回物14の外周には、被覆層18が形成される。
被覆層18は、積層体巻回物14の周面(あるいはさらにテレスコープ防止板)を覆って、この周面すなわち積層体巻回物14の端面以外から外部への原料ガスGや残余ガスGrの排出を遮断するためのものである。
被覆層18は、原料ガスG等を遮蔽できる物が、各種、利用可能である。また、被覆層18は、筒状の部材であってもよく、線材やシート状の部材を巻回して構成してもよい。
一例として、FRP製の線材に、前述の接着部材40や接着剤層30に利用される接着剤を含浸して、接着剤を含浸した線材を、隙間無く、必要に応じて多重に、積層体巻回物14に巻き付けてなる被覆層18が例示される。
なお、この際においては、必要に応じて、被覆層18と積層体巻回物14との間に、積層体巻回物14への接着剤の染み込みを防止するためのカプトンテープ等のシート状部材を設けてもよい。
以上、本発明の酸性ガス分離モジュールの製造方法および酸性ガス分離モジュールについて詳細に説明したが、本発明は上述の例に限定はされず、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、各種の改良や変更を行ってもよいのは、もちろんである。
以下、本発明の具体的実施例を挙げ、本発明の酸性ガス分離モジュールの製造方法および酸性ガス分離モジュールについて、より詳細に説明する。
[実施例1]
<促進輸送膜20aとなる塗布組成物の調製>
ポリビニルアルコール−ポリアクリル酸共重合体(クラレ社製 クラストマーAP-20)を3.3質量%、架橋剤(和光純薬社製 25質量%グルタルアルデヒド水溶液)を0.016質量%、含む水溶液を調製した。この水溶液に、1M塩酸をpH1.7になるまで添加して、架橋させた。
架橋後、40%炭酸セシウム水溶液(稀産金属社製)を炭酸セシウム濃度が6.0質量%になるように添加した。すなわち、本例では、炭酸セシウムが促進輸送膜20aのキャリアとなる。
さらに、界面活性剤(日油社製 1質量%ラピゾールA−90)を0.004質量%、添加して、促進輸送膜20aとなる塗布組成物を調製した。
<酸性ガス分離膜20の作製>
支持体20bとして、PP不織布の表面に多孔質膜(多孔質のPTFE)を積層してなる、長尺な積層体(GE社製)を巻回してなる支持体ロールを用意した。
塗布装置(ロールコータ)および乾燥装置を有する、RtoRによって塗布法で成膜を行う一般的な成膜装置の所定位置に、支持体ロールを装着した。次いで、支持体ロールから支持体20bを送り出し、所定の搬送経路に挿通して、先端を巻取り軸に巻回した。また、先に調製した促進輸送膜20aとなる塗布組成物を、塗布装置の材料槽に充填した。
以上の準備を終了した後、この成膜装置によって、支持体20bを長手方向に搬送しつつ、塗布装置によって促進輸送膜20aとなる塗布組成物を塗布し、乾燥装置によって塗布組成物を乾燥した。これにより、図3(A)の上段に示すような支持体20bの上に促進輸送膜20aを有する酸性ガス分離膜20を、ロール状に巻回してなる、分離膜ロール20Rを作製した。なお、促進輸送膜20aの膜厚は、20μmとした。
本例においては、全く同じ分離膜ロール20Rを、二つ、作製した。
<分離膜貼着体20Aの作製>
このようにして作製した二つの分離膜ロール20Rを、図3(B)に示すような、RtoRによってシート状物の積層および貼着を行う一般的な装置の所定位置に装着した。なお、二つの分離膜ロール20Rは、積層ローラ対52において、送り出した酸性ガス分離膜20の互いの促進輸送膜20aが対面するように装着した。次いで、装着した二つの分離膜ロール20Rから酸性ガス分離膜20を送り出し、ガイドローラ50、積層ローラ対52および搬送ローラ対54を経る所定の搬送経路に挿通して、先端を巻取り軸56に巻回した。
以上の準備を終了した後、両分離膜ロール20Rから送り出した酸性ガス分離膜20を長手方向に搬送しつつ、積層ローラ対52によって促進輸送膜20aを対面して積層および貼着して、分離膜貼着体20Aを作製した。なお、積層ローラ対52による挟持圧力は、300kPaとした。
作製した分離膜貼着体20Aは、搬送ローラ対54で所定方向に搬送しつつ、巻取り軸56で巻き取って、貼着体ロール20ARとした。
<分離モジュールの作製>
図5(A)および図5(B)に示すように、SUS製の中心筒12に、透過ガス流路用部材26(100メッシュのステンレス製の金網(線径0.1mm、目開き0.154mm))を固定した。固定手段34は、SUSを接着可能な接着剤を用いた。
一方、作製した分離膜貼着体20Aを貼着体ロール20ARから引き出して、所定の長さに切断して、二つ折りした。二つ折りは、図4に示すように、一方の分離膜貼着体20Aが、若干、長くなるように行った。二つ折りした分離膜貼着体20Aの谷部にカプトンテープを貼り、供給ガス流路用部材24の端部が促進輸送膜20aの膜谷部を傷つけないように補強した。
次いで、二つ折りした分離膜貼着体20Aに、供給ガス流路用部材24(厚さ0.5mmのPP製ネット)を挟み込んで、流路−分離膜積層体36を作製した。
この流路−分離膜積層体36の分離膜貼着体20Aが短い方の支持体20b側に、図4に示すように、幅方向(矢印x方向)の両端部近傍に、巻回方向(矢印y方向)の全域に延在し、かつ、巻回方向の折り返し部と逆側の端部近傍に、幅方向の全域に延在してエポキシ系樹脂からなる接着剤30a(ヘンケルジャパン社製 E120HP)を塗布した。
次いで、接着剤30aを塗布した側を下方に向けて、図6(A)および図6(B)に示すように、流路−分離膜積層体36と中心筒12に固定した透過ガス流路用部材26とを積層し、接着した。
次いで、透過ガス流路用部材26に積層した流路−分離膜積層体36の分離膜貼着体20Aの上面に、図6(A)および図6(B)に示すように、幅方向の両端部近傍に、巻回方向の全域に延在し、かつ、巻回方向の折り返し部と逆側の端部近傍に、幅方向の全域に延在して、接着剤30aを塗布した。さらに、接着剤30aを塗布した分離膜貼着体20Aの上に、図7に示すように、透過ガス流路用部材26を積層して、接着することにより、1層目の積層体14Aを形成した。
先と同様にして、図4に示す流路−分離膜積層体36を、もう一つ作製し、同様に、短い側の分離膜貼着体20Aの支持体20b側に、同様に接着剤30aを塗布した。次いで、図6(A)および図6(B)と同様に、接着剤30aを塗布した側を先に形成した1層目の積層体14A(その透過ガス流路用部材26)に向けて、流路−分離膜積層体36を、1層目の積層体14A(透過ガス流路用部材26)の上に積層し、接着した。さらに、この流路−分離膜積層体36の上面に、図6(A)および図6(B)と同様に接着剤30aを塗布し、その上に、図7と同様に透過ガス流路用部材26を積層して、接着することにより、2層目の積層体14Aを形成した。
さらに、上記2層目と同様にして、2層目の積層体14Aの上に、3層目の積層体14Aを形成した。
中心筒12に固定した透過ガス流路用部材26の上に、3層の積層体14Aを積層した後、図8に示すように、中心筒12の周面に接着剤38aを塗布し、さらに、中心筒12と最下層の積層体14Aとの間の透過ガス流路用部材26上に、接着剤38bを塗布した。接着剤38aおよび38bは、接着剤30aと同じ物を用いた。
次いで、図8の矢印yw方向に中心筒12を回転することで、積層した3層の積層体14Aを巻き込むようにして中心筒12に多重に巻き付け、積層体巻回物14とした。
このようにして作製した積層体巻回物14の両端部に、内環部16bに中心筒12を挿通して、図1に示される形状の、厚さ2cmのPPS製(ガラス繊維40%入り)のテレスコープ防止板16を取り付けた。テレスコープ防止板16と積層体巻回物14との距離は、1mmとした。
さらに、テレスコープ防止板16の周面および積層体巻回物14の周面に、FRP樹脂テープを巻き付けて封止することで、被覆層18を形成して、分離モジュール10を作製した。作成した分離モジュール10の膜面積は、合計で1.2m2(設計値)であった。
[比較例1]
酸性ガス分離膜20の作製において、促進輸送膜20aの厚さを40μmに変更した以外は、実施例1と同様にして、図3(A)の上段に示すような支持体20bの上に促進輸送膜20aを有する酸性ガス分離膜20を、ロール状に巻回してなる、分離膜ロール20Rを、1つ作製した。
また、厚さ100μmの長尺なPP製の不織布(タピルス社製)を巻回してなる不織布ロールを用意した。
分離膜貼着体20Aの作製において、一方の分離膜ロール20Rに変えて、用意した不織布ロールを図3(B)に示す装置に装着した。それ以外は、実施例1と同様にして、酸性ガス分離膜20の促進輸送膜20aの表面に不織布を積層してなる積層体を作製した。
さらに、分離膜貼着体20Aに変えて、この酸性ガス分離膜20の促進輸送膜20aの表面に不織布を積層してなる積層体を用いた以外は、実施例1と同様にして、分離モジュールを作製した。なお、酸性ガス分離膜20と不織布との積層体は、不織布を内側にして二つ折りにし、その間に供給ガス流路用部材24を挟み込んで、流路−分離膜積層体とした。
[比較例2]
酸性ガス分離膜20の作製において、促進輸送膜20aの厚さを40μmに変更した以外は、実施例1と同様にして、図3(A)の上段に示すような支持体20bの上に促進輸送膜20aを有する酸性ガス分離膜20を、ロール状に巻回してなる、分離膜ロール20Rを、1つ作製した。
さらに、分離膜貼着体20Aに変えて、何も貼着しない酸性ガス分離膜20を用いた以外は、実施例1と同様にして、分離モジュールを作製した。なお、酸性ガス分離膜20は、促進輸送膜20aを内側にして二つ折りにし、その間に供給ガス流路用部材24を挟み込んで、流路−分離膜積層体とした。
[実施例2]
<酸性ガス分離膜の作製>
酸性ガス分離膜20の作製において、促進輸送膜20aと支持体20bとの間に中間層を形成した以外は、実施例1と同様にして、支持体20bの上に中間層を有し、中間層の上に促進輸送膜20aを有する酸性ガス分離膜を作製し、この酸性ガス分離膜をロール状に巻回してなる、分離膜ロールを、1つ作製した。
中間層の形成は、以下のように行った。
中間層を形成するための塗布組成物として、エポキシ変性ポリジメチルシロキサン(信越化学社製 KF−102)に、硬化剤として、東京化成工業社製の4−イソプロピル−4’−メチルジフェニルヨードニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボラートをシリコーン樹脂に対して0.5重量%添加した塗布組成物を調製した。
一方で、実施例1と同じ、支持体20bを巻回してなる支持体ロールを用意した。
塗布装置(ロールコータ)および硬化装置を有する、RtoRによって塗布法で成膜を行う一般的な成膜装置の所定位置に、支持体ロールを装着した。次いで、支持体ロールから支持体20bを送り出し、所定の搬送経路に挿通して、先端を巻取り軸に巻回した。また、先に調製した中間層となる塗布組成物を、塗布装置の材料槽に充填した。
以上の準備を終了した後、この成膜装置によって、支持体20bを長手方向に搬送しつつ、塗布装置によって中間層となる塗布組成物を塗布し、乾燥装置によって紫外線を照射することで塗布組成物を硬化して、支持体20bにシリコーン樹脂からなる中間層を形成した。これにより、支持体20bに中間層を形成した長尺なシート状物を巻回してなるロールを作製した。
中間層の厚さは、10μmとした。ここで、中間層の厚さは、支持体20bに染み込んだシリコーン樹脂の厚さと、支持体20b上に形成されたシリコーン樹脂の厚さとの和とした。なお、支持体20bに染み込んだシリコーン樹脂の厚さは、EDX(エネルギー分散型X線吸光法)によるSi元素分布によって測定した。
このロールを、実施例1と同じ、塗布装置および乾燥装置を有するRtoRによって塗布法で成膜を行う一般的な成膜装置の所定位置に装着した。次いで、実施例1と同様にして、中間層の上に促進輸送膜20aを形成して、支持体20bの上に中間層を有し、中間層の上に促進輸送膜20aを有する酸性ガス分離膜を作製し、この酸性ガス分離膜ロール状に巻回して、分離膜ロールとした。
さらに、実施例1と同様にして、図3(A)の上段に示すような、支持体20bの上に促進輸送膜20aを有する酸性ガス分離膜20をロール状に巻回してなる、分離膜ロール20Rを、1つ作製した。
<分離膜貼着体の作製>
このようにして作製した、中間層を有する酸性ガス分離膜を巻回した分離膜ロールと、中間層を有さない酸性ガス分離膜20を巻回した分離膜ロール20Rとを用い、実施例1と同様にして、促進輸送膜20aを対面して2枚の酸性ガス分離膜を積層、貼着して、分離膜貼着体を作製して、貼着体ロールとした。
<分離モジュールの作製>
中間層を有する酸性ガス分離膜と、実施例1と同様の中間層を有さない酸性ガス分離膜20とを貼着してなる分離膜貼着体を、貼着体ロールから引き出して、実施例1と同様にして、分離モジュールを作製した。
なお、流路−分離膜積層体を作製するために、分離膜貼着体を二つ折りにする際には、中間層を有する酸性ガス分離膜が外側になるように、分離膜貼着体を二つ折りした。
[性能評価]
作製した各分離モジュール10を、中心筒12の開放端12bのみが外部に出た状態として、筒型の密閉容器に収容した。この密閉容器内に、25℃50%RHでヘリウムガスを導入し、0.3MPaの圧力を掛けた状態で、中心筒12の開放端12bから排出されるヘリウムガスの流量を測定した。
中心筒12の開放端12bから排出されるヘリウムガスの流量が100mL(ミリリットル)/min未満である場合をA;
中心筒12の開放端12bから排出されるヘリウムガスの流量が100mL/min以上200mL/min未満である場合をB;
中心筒12の開放端12bから排出されるヘリウムガスの流量が200mL/min以上である場合をC; と評価した。
その結果、実施例1の評価はA;
比較例1の評価はB;
比較例2の評価はC;
実施例2の評価はA; であった。
このように、2枚の酸性ガス分離膜20を促進輸送膜20aを対面して貼着して分離膜貼着体20Aとする本発明の製造方法による分離モジュール10は、中心筒12の開放端12bから排出されるヘリウムガスの流量が微量である。すなわち、本発明によれば、分離モジュール10の巻きつけ時に供給ガス流路用部材24との擦れに起因する促進輸送膜20aの劣化や損傷等が生じていないことが分かる。
これに対し、促進輸送膜20aと供給ガス流路用部材24とが、直接、接触する比較例2は、分離モジュールを作製するための巻回時に、供給ガス流路用部材24と促進輸送膜20aとが擦れて、促進輸送膜20aの劣化や損傷が生じ、此処からヘリウムガスが透過したと考えられる。
また、酸性ガス分離膜20の促進輸送膜20aにPP製の不織布(保護膜)を設けた比較例1では、不織布によって、供給ガス流路用部材24による促進輸送膜20aの劣化や損傷を抑制できるものの、分離モジュールを作製するための巻回時に、不織布との擦れによって促進輸送膜20aの劣化や損傷が生じてしまい、本発明ほどの保護効果が得られていないと考えられる。
以上の結果より、本発明の効果は明らかである。
水素ガスの製造や天然ガスの精製等に用いられる酸性ガス分離モジュールの製造に好適に利用可能である。
10 (酸性ガス)分離モジュール
12 中心筒
14 積層体巻回物
14A 積層体
16 テレスコープ防止板
16a 外環部
16b 内環部
16c リブ
16d 開口部
18 被覆層
20 酸性ガス分離膜
20R 分離膜ロール
20A 分離膜貼着体
20AR 貼着体ロール
20a 促進輸送膜
20b 多孔質支持体
24 供給ガス流路用部材
26 透過ガス流路用部材
30 接着剤層
30a 接着剤
34 固定手段
36 流路−分離膜積層体
40 接着部材
50 ガイドローラ
52 積層ローラ対
54 搬送ローラ対
56 巻取り軸

Claims (9)

  1. 多孔質支持体と、酸性ガスと反応するキャリアおよび前記キャリアを担持するための親水性化合物を含有する、前記多孔質支持体の上に形成される促進輸送膜とを有する酸性ガス分離膜を、2枚、作製する工程、
    作製した前記2枚の酸性ガス分離膜を、前記促進輸送膜を対面して貼着して、分離膜貼着体を作製する工程、
    前記分離膜貼着体と、原料ガスの流路となる供給ガス流路用部材とを積層して、流路−分離膜積層体を作製する工程、および、
    前記流路−分離膜積層体を含む積層体を巻回する工程、を有することを特徴とする酸性ガス分離モジュールの製造方法。
  2. 前記分離膜貼着体を作製する工程は、前記促進輸送膜を対面して積層した前記酸性ガス分離膜を加圧する処理を含む請求項1に記載の酸性ガス分離モジュールの製造方法。
  3. 前記流路−分離膜積層体を作製する工程は、前記分離膜貼着体を二つに折り返して、前記折り返した分離膜貼着体の間に前記供給ガス流路用部材を挟む処理を含む請求項1または2に記載の酸性ガス分離モジュールの製造方法。
  4. 前記流路−分離膜積層体を含む積層体が、前記酸性ガス分離膜によって分離された酸性ガスの流路となる透過ガス流路用部材を含む請求項1〜3のいずれか1項に記載の酸性ガス分離モジュールの製造方法。
  5. 前記多孔質支持体が、不織布と多孔質体との積層体である請求項1〜4のいずれか1項に記載の酸性ガス分離モジュールの製造方法。
  6. 前記酸性ガス分離膜が、前記促進輸送膜を前記多孔質体の上に形成してなるものである請求項5に記載の酸性ガス分離モジュールの製造方法。
  7. 前記分離膜貼着体において、前記流路−分離膜積層体とされた際に供給ガス流路用部材から離間する側となる酸性ガス分離膜は、前記多孔質支持体と促進輸送膜との間に中間層を有する請求項1〜6のいずれか1項に記載の酸性ガス分離モジュールの製造方法。
  8. 前記中間層がシリコーン樹脂層である請求項7に記載の酸性ガス分離モジュールの製造方法。
  9. 請求項1〜8のいずれか1項に記載の製造方法で製造した酸性ガス分離モジュール。
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