JP2015161591A - 観測値処理装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】観測地点において欠測が生じたために補間する場合に、その観測地点において連続して欠測が生じても、その観測地点の近傍に誤差を大きくする観測地点が存在していても、その観測地点のデータを補間することができる観測値処理装置、方法及びプログラムを提供すること。【解決手段】観測値処理装置10は、複数の異なる観測地点から観測値を、計測された時点の時刻と共に収集し、観測地点の観測値が得られなかったと観測地点ごとに仮定をした場合に、仮定をした観測地点のデータを推定するための優先度であって仮定をした観測地点以外の観測地点の優先度を、収集した観測値に基づいて決定し、仮定をした観測地点ごとに対応付けて優先度記憶手段32に記憶させる。そして、観測地点について、欠測地点か否かを判定し、欠測地点であると判定した場合に、欠測地点のデータを、優先度記憶手段32に記憶されている観測地点の観測値を用いて補間する。【選択図】図1

Description

本発明は、観測値処理装置、方法及びプログラムに関する。
従来より、地理的に分散配置されたセンサにおいて、観測値間にはセンサの設置位置による相関関係(空間相関)が存在する場合に、補間を行う技術がある。例えば、屋外の気温や湿度、雨量の様に、観測地間の距離が近いと、観測値も近い値となるような相関関係が存在し、その関係が欠損の生じた時点においても同様である場合に、補間を行うことができる。このような技術について、観測値に欠測が生じた際の観測値の補間処理に関して、以下の従来技術がある。
特許文献1は、雨量観測設備に欠測が生じた場合に雨量値の補間を行う技術を開示する。正常に観測された雨量値を利用し、周辺の雨量値の変化量と欠測した地点の前後の時刻の雨量値を利用して、補間を行っている。補間処理は、欠測が生じた前後の時点の観測値が既知であるという前提の手法である。補間処理に利用する観測地点としては、欠測した雨量観測地点の近傍又は降雨状況が似ている他の1つ以上の観測地点を利用している。
特許文献2は、日射量の補間を行うためにクリギング法を利用する技術を開示する。クリギング法とは、周辺の観測値の加重平均により補間を行う手法であり、加重の決定には、2点間の距離と観測値の差分の関係式を利用する。雲の影響を考慮するために、雲の速度係数と減衰係数を有する関数を補間に利用している。補間処理に利用する観測地点としては、補間地点から一定範囲の距離の観測値を利用して補間を行っている。
特開2009−186251号公報 特開2013−44572号公報
しかしながら、従来技術では、補間時に利用する観測値の選択に関して、以下に示す課題があった。特許文献1は、降雨量の欠測時の補間処理に関する技術であるが、欠測地点の近傍又は降雨状況の似ている観測地点を利用すると記述してあり、その決め方については明示されていない。周辺の観測値を利用するため、利用する観測値によっては、補間値の誤差を大きくする雨量値も存在する。また、欠測時点の前後の観測値を利用するため、連続して欠測する場合を想定していない。センサの故障による欠測の場合は、欠測が連続して生じる可能性がある。さらに、欠測の生じたセンサが観測可能状態に戻ることを前提としているため、欠測が生じても補間処理できない場合もある。
特許文献2では、補間精度向上のために補間手法を変更することにより、補間値の誤差を小さくしようとしている。特に補間時に利用する観測値においては、補間地点から空間的距離の近い観測値を優先的に利用している。実際、補間処理で利用されているクリギング法では、補間地点から遠い距離の観測値を利用しても、補間値の変化は小さく、距離の遠い観測値を利用する必要はない。しかし、補間値に影響のある範囲における観測値には、誤差を大きくする観測地点も存在する。
本発明が解決する課題は次の3点である。
(1)特許文献1において、補間に利用する観測地点は、近傍か欠測地点と降雨状況が似ている、としか記述されておらず、特許文献2においても、補間地点からの距離によって利用する観測値を決定するため、従来技術では、補間に利用する観測値によっては誤差が大きくなる点が課題である。
(2)特許文献1において、欠測前後の時刻の観測値を利用するため、連続して生じる欠測に対する処理を行えない点が課題である。
(3)特許文献1において、欠測後の時刻の観測値を利用するため、欠測状態から観測可能な状態に戻るという前提条件がある。
そこで、観測地点において欠測が生じたために補間する場合に、その観測地点において連続して欠測が生じても、その観測地点の近傍に誤差を大きくする観測地点が存在していても、その観測地点のデータを補間することができる装置が求められている。
本発明は、観測地点において欠測が生じたために補間する場合に、その観測地点において連続して欠測が生じても、その観測地点の近傍に誤差を大きくする観測地点が存在していても、その観測地点のデータを補間することができる観測値処理装置、方法及びプログラムを提供することを目的とする。
本発明では、以下の機能を設けることによる課題の解決を図る。
・センサから得られた観測値の収集し、収集した観測値と観測時刻、センサの設置位置等の保存機能。
・観測地点ごとに、補間に利用する観測地点の優先度を決定する機能。
・収集した観測値に基づいた、観測値の欠測判定機能。
・欠測した観測地点のデータを他の観測地点を利用して補間する補間処理機能。
具体的には、以下のような解決手段を提供する。
(1) 位置が既知の観測地点に設けられたセンサにより計測された観測値を処理する観測値処理装置であって、複数の異なる前記観測地点から前記観測値を、計測された時点の時刻と共に収集する収集手段と、前記観測地点の観測値が得られなかったと前記観測地点ごとに仮定をした場合に、前記仮定をした前記観測地点のデータを推定するための利用する観測地点の優先度であって前記仮定をした前記観測地点以外の前記観測地点の前記優先度を、前記収集手段によって収集された観測値に基づいて決定し、決定した前記観測地点の前記優先度を、前記仮定をした前記観測地点ごとに対応付けて優先度記憶手段に記憶させる優先度決定手段と、前記観測地点について、観測値が得られなかった観測地点である欠測地点か否かを判定する欠測地点判定手段と、前記欠測地点判定手段によって前記欠測地点であると判定された場合に、前記欠測地点のデータを、前記優先度記憶手段に記憶されている前記観測地点の観測値を用いて補間する補間処理手段と、を備え、前記優先度決定手段は、前記仮定をした前記観測地点である第1観測地点の位置から所定の長さの第1距離の範囲内で、前記第1観測地点における観測値との誤差が最小となる前記観測地点を、前記第1観測地点における優先度が最も高い前記観測地点として決定し、次に、前記第1距離を前記所定の長さだけ長くした第2距離の範囲内で、既に優先度を決定した前記観測地点の観測値を含めて算出した補間値において前記第1観測地点との誤差が最小となる前記観測地点を、優先度が次に高いと決定し、優先度が次に高いと決定する処理を、前記第1観測地点の位置からの距離が予め決定しておいた長さに達するまで繰り返す、観測値処理装置。
(1)の構成によれば、(1)に係る観測値処理装置は、複数の異なる観測地点から観測値を、計測された時点の時刻と共に収集し、観測地点の観測値が得られなかったと観測地点ごとに仮定をした場合に、仮定をした観測地点のデータを推定するための優先度であって仮定をした観測地点以外の観測地点の優先度を、収集した観測値に基づいて決定し、決定した観測地点の優先度を、仮定をした観測地点ごとに対応付けて優先度記憶手段に記憶させる。そして、観測値処理装置は、観測地点について、観測値が得られなかった観測地点である欠測地点か否かを判定し、欠測地点であると判定した場合に、欠測地点のデータを、優先度記憶手段に記憶されている観測地点の観測値を用いて補間する。優先度の決定において、観測値処理装置は、仮定をした観測地点である第1観測地点の位置から所定の長さの第1距離の範囲内で、第1観測地点における観測値との誤差が最小となる観測地点を、第1観測地点における優先度が最も高い観測地点として決定し、次に、第1距離を所定の長さだけ長くした第2距離の範囲内で、既に優先度を決定した観測地点の観測値を含めて算出した補間値において第1観測地点との誤差が最小となる観測地点を、優先度が次に高いと決定し、優先度が次に高いと決定する処理を、第1観測地点の位置からの距離が予め決定しておいた長さに達するまで繰り返す。
すなわち、(1)に係る観測値処理装置は、観測地点ごとに、その観測地点が欠測地点となった場合を仮定し、仮定した観測地点のデータを、他の観測地点の観測値を用いて補間して推定できるように、補間するために用いる他の観測地点の優先度を予め決定し、優先度記憶手段に記憶させる。そして、観測値処理装置は、欠測地点について、優先度記憶手段に基づいて他の観測地点の観測値を用いて補間して欠測地点のデータを推定する。
したがって、(1)に係る観測値処理装置は、観測地点において欠測が生じたために補間する場合に、その観測地点以外の観測地点の観測値を用いて補間するため、その観測地点において連続して欠測が生じたり、欠測状態から観測可能な状態に戻ることを前提条件としなくても、その観測地点のデータを補間することができる。そして、観測値処理装置は、補間に用いるための観測値であって予め決定している観測地点の優先度に基づく観測値を用いて補間するので、その観測地点の近傍に誤差を大きくする観測地点が存在していても、その観測地点のデータを精度よく補間することができる。
(2) 前記優先度決定手段は、前記優先度を、前記収集手段によって収集された前記観測値が計測された時刻ごとに求め、求めた時刻ごとの前記優先度に基づいて、前記補間処理手段が補間するために用いる前記優先度を決定し、決定した前記優先度を前記優先度記憶手段に記憶させる、(1)に記載の観測値処理装置。
したがって、(2)に係る観測値処理装置は、時刻ごとに優先度を求め、求めた時刻ごとの優先度に基づいて優先度を決定し、決定した優先度に基づく観測地点の観測値を用いて補間するので、その観測地点の近傍に誤差を大きくする観測地点が存在していても、その観測地点のデータをさらに精度よく補間することができる。
(3) (1)に記載の観測値処理装置が実行する方法であって、前記収集手段が、複数の異なる前記観測地点から前記観測値を、計測された時点の時刻と共に収集する収集ステップと、前記優先度決定手段が、前記観測地点の観測値が得られなかったと前記観測地点ごとに仮定をした場合に、前記仮定をした前記観測地点のデータを推定するための利用する観測地点の優先度であって前記仮定をした前記観測地点以外の前記観測地点の前記優先度を、前記収集ステップによって収集された観測値に基づいて決定し、決定した前記観測地点の前記優先度を、前記仮定をした前記観測地点ごとに対応付けて優先度記憶手段に記憶させる優先度決定ステップと、前記欠測地点判定手段が、前記観測地点について、観測値が得られなかった観測地点である欠測地点か否かを判定する欠測地点判定ステップと、補間処理手段が、前記欠測地点判定ステップによって前記欠測地点であると判定された場合に、前記欠測地点のデータを、前記優先度記憶手段に記憶されている前記観測地点の観測値を用いて補間する補間処理ステップと、を備え、前記優先度決定ステップは、前記仮定をした前記観測地点である第1観測地点の位置から所定の長さの第1距離の範囲内で、前記第1観測地点における観測値との誤差が最小となる前記観測地点を、前記第1観測地点における優先度が最も高い前記観測地点として決定し、次に、前記第1距離を前記所定の長さだけ長くした第2距離の範囲内で、既に優先度を決定した前記観測地点の観測値を含めて算出した補間値において前記第1観測地点との誤差が最小となる前記観測地点を、優先度が次に高いと決定し、優先度が次に高いと決定する処理を、前記第1観測地点の位置からの距離が予め決定しておいた長さに達するまで繰り返す、方法。
したがって、(3)に係る方法は、観測地点において欠測が生じたために補間する場合に、その観測地点において連続して欠測が生じても、その観測地点の近傍に誤差を大きくする観測地点が存在していても、その観測地点のデータを補間することができる。
(4) コンピュータに、(3)に記載の方法の各ステップを実行させるためのプログラム。
したがって、(4)に係るプログラムは、観測地点において欠測が生じたために補間する場合に、その観測地点において連続して欠測が生じても、その観測地点の近傍に誤差を大きくする観測地点が存在していても、コンピュータに、その観測地点のデータを補間させることができる。
本発明によれば、観測地点において欠測が生じたために補間する場合に、その観測地点において連続して欠測が生じても、その観測地点の近傍に誤差を大きくする観測地点が存在していても、その観測地点のデータを補間することができる。
すなわち、本発明によれば、観測地点ごとに、補間に利用する観測地点の優先度を予め決定することで、補間地点の近傍から単純に選択する手法に比べて、補間に利用する観測地点の選択によって生じる誤差を減少させることができる。
また、欠測が連続して生じた場合においても、誤差を減少させることができる。
本発明の一の実施形態に係る観測値処理装置の構成を示す図である。 本発明の一の実施形態に係る観測値処理装置による優先度の決定を説明するための図である。 本発明の一の実施形態に係る観測値処理装置による優先度記憶手段の例を示す図である。 本発明の一の実施形態に係る観測値処理装置による優先度の決定を観測時刻ごとに求める場合を説明するための図である。 本発明の一の実施形態に係る観測値処理装置による優先度記憶手段において観測時刻ごとに求めた優先度の例を示す図である。 本発明の一の実施形態に係る観測値処理装置の処理を示すフローチャートである。 本発明の一の実施形態に係る観測値処理装置の優先度決定処理を示すフローチャートである。 クリギング法を利用した場合の、本発明と比較手法とにおける補間処理での利用観測地点数と誤差の平均値との変化を示す図である。 逆距離加重法を利用した場合の、本発明と比較手法とにおける補間処理での利用観測地点数と誤差の平均値との変化を示す図である。
以下、本発明の実施形態について、図を参照しながら説明する。
本発明では、地理的に分散配置されたセンサによる観測値をサーバが定期的に収集する場合において、欠測が生じた場合の補間処理を考える。対象としている観測値は、屋外の気温や湿度、雨量の様に、観測地間の距離が近いと、観測値も近い値となる性質を持つことを前提とする。また、その性質が将来においても同様であるとする。本発明により、過去の観測値に基づいて観測地点ごとに補間に利用する観測値の優先度を決定する。これにより、単純に観測地点から距離的に近い観測値を利用する手法に比べて、誤差を減少させることが可能となる。
ここで、欠測した状態とは、取得すべき観測値が取得できなかった状態、又は異常値であると判定された状態を表わす。また、補間値の誤差とは、欠測が生じなかった場合の観測値と、欠測が生じた場合に観測可能な他地点の観測値により補間した値との差を表わすこととする。
処理対象や観測値の条件について説明する。本実施形態では、同種の物理量を検出する複数のセンサが異なる位置に配置されて、これら複数のセンサにより検出される観測値に関して、あるセンサにより検出される観測値と別のセンサにより検出される観測値との間にこれらのセンサの間の配置の違い(例えば、距離)に応じた相関関係があるという条件を満たす観測値を処理の対象とする。具体的には、本実施形態では、クリギング法と逆距離加重法において処理可能な観測値を処理の対象とする。逆距離加重法とは、補間地点と観測地点間の距離の逆数を加重として平均した値を補間値とする手法である。なお、本実施形態では、例えば、一箇所に集中して複数のセンサが配置される場合や、観測対象がセンサの配置位置に無関係である(相関関係がない)場合は、処理の対象外であるとする。また、欠測を想定するため、補間地点の欠測以前の観測値は既知とする。特許文献1の様に、欠測状態の後の時刻の観測値の利用は想定しない。
本実施形態では、クリギング法と逆距離加重法を基本とした空間補間方法による欠測値の補間を行うが、代替する他の手法を基本とする空間補間方法が用いられてもよい。
図1は、本発明の一の実施形態に係る観測値処理装置10の構成を示す図である。
観測値処理装置10は、収集手段11と、優先度決定手段12と、欠測地点判定手段13と、補間処理手段14とを備える。手段ごとに説明する。
収集手段11は、複数の異なる前記観測地点から前記観測値を、計測された時点の時刻と共に収集する。具体的には、収集手段11は、観測地点のセンサにより得られる観測値を、計測された時点の時刻と共に収集し、観測地点ごとに観測値記憶手段31に記憶する。
観測地点の位置や、センサ情報、観測値の種類等については、観測情報を管理するサーバ(図示せず)等から取得するとしてよい。
優先度決定手段12は、観測地点の観測値が得られなかったと観測地点ごとに仮定をした場合に、仮定をした観測地点のデータを推定するための利用する観測地点の優先度であって仮定をした観測地点以外の観測地点の優先度を、観測値記憶手段31に記憶された観測値に基づいて決定し、決定した観測地点の優先度を、仮定をした観測地点ごとに対応付けて優先度記憶手段32に記憶させる。優先度の決定において、優先度決定手段12は、仮定をした観測地点である第1観測地点の位置から所定の長さの第1距離の範囲内で、第1観測地点における観測値との誤差が最小となる観測地点を、第1観測地点における優先度が最も高い前記観測地点として決定し、次に、第1距離を所定の長さだけ長くした第2距離の範囲内で、既に優先度を決定した観測地点の観測値を含めて算出した補間値において第1観測地点との誤差が最小となる観測地点を、優先度が次に高いと決定する。
具体的には、優先度決定手段12は、観測地点Iにおける、観測地点Iのデータを補間するために利用する観測地点の優先度を次の手順により求める。
Step1.優先度p=1とする。
Step2.観測地点Iから距離の近いM個の観測地点の集合を、優先度がpとなる観測地点の候補の集合とする。
Step3.既に優先度が設定されている観測地点の観測値と、観測地点の候補の集合の部分集合X(要素数がL個)とを利用して補間を行い、補間値と地点Iの観測値との誤差が最小となるXを選択する。
Step4.Xの優先度をpとし、候補地点集合からXを除去する。
Step5.p=p+1、M=M+Lとする。
Step6.観測地点IからM番目に近い距離にある観測値を候補地点集合に追加する。ただし、M>観測可能な観測値数となった場合は、候補地点集合への追加処理は行わない。
Step7.候補地点集合の要素がゼロとなるまでstep3〜step6を繰り返す。
ここで、Step2では、優先度を計算する候補を、補間地点から距離の近いM個に限定するという制約を設けている。補間地点から距離的に遠い地点も選択可能とすると,偶然誤差が小さくなる観測地点を選択する可能性が高くなる。距離の近い観測地点に候補を限定することで、その可能性を抑える。また、距離による制約を設けないと、組み合わせ数が膨大となり、計算時間が多くなるので、これを回避する利点もある。
Step3では、観測地点Iの観測値と、補間値との誤差を計算するが、初回時には優先度pが設定されている観測値は存在しない。また、地点Iの観測値が欠測したと仮定した際の処理であるため、地点Iの観測値と補間値との誤差は計算可能である。本実施形態では補間手法としてクリギング法と逆距離加重法を想定する。
ここで、図2及び図3に基づいて、Step3におけるLが1の場合の優先度の決定について説明する。図2は、本発明の一の実施形態に係る観測値処理装置10による優先度の決定を説明するための図である。
図2(1)は、観測値が得られなかったと仮定をした場合の第1観測地点101の位置から所定の長さの距離の範囲1011内に、優先度p=1とする候補の観測地点201,202,203,204が存在し、さらにその外側に観測地点205,206,207が存在していることを示している。所定の長さとはStep2におけるMに基づいて決定される。
最初に、観測値処理装置10は、範囲1011内のM個の観測地点201,202,203,204の観測値と、第1観測地点101の観測値とを比較し、各1地点のみから補間値を求める。実際には、各観測値と第1観測地点101の観測値との誤差が最小となる観測地点を求める。
図2(2)が示すように、観測値処理装置10は、第1観測地点101における観測値との誤差が最小となる観測地点201を、第1観測地点における優先度が最も高い観測地点として決定する。
次に、図2(3)が示すように、観測値処理装置10は、(M+L)番目に近い距離にある観測地点として、範囲1012内の観測地点205を、優先度p=2とする候補の観測地点として、観測地点202,203,204に追加する。そして、図2(3)が示すように、観測値処理装置10は、各観測地点(202,203,204,205)の観測値と、既に優先度を決定した観測地点201の観測値とを利用して補間値をそれぞれ求める。第1観測地点101と各補間値との誤差が最小となる観測地点203を、優先度が次に高い(p=2)と決定する。
同様に、図2(4)が示すように、観測値処理装置10は、(M+L)番目に近い距離にある観測地点として、範囲1013内の観測地点206を、優先度を決める候補の観測地点として、観測地点202,204,205に追加し、既に優先度を決定した観測地点201,203の観測値を利用して算出した補間値において第1観測地点101との誤差が最小となる観測地点205を、優先度がその次に高い(p=3)と決定する。
以降も同様に、優先度を決定していく。
このようにして、観測値処理装置10は、観測地点ごとに、その観測地点の観測値が得られなかった場合に、その観測地点のデータを補間するために利用する観測地点を、優先度を付けて優先度記憶手段32に記憶させる(後述する図3参照)。
図3は、本発明の一の実施形態に係る観測値処理装置10による優先度記憶手段32の例を示す図である。
優先度記憶手段32は、図3が示すように、観測地点ごとに、その観測地点以外の観測地点であって、その観測地点が欠測した場合に補間するために利用する観測地点の優先度を対応付けて記憶している。
図1に戻って、観測値処理装置10の構成の説明をする。
さらに、優先度決定手段12は、優先度を、収集手段11によって収集された観測値が計測された時刻ごとに求め、求めた時刻ごとの優先度に基づいて、補間処理手段14が補間するために用いる優先度を決定し、決定した優先度を優先度記憶手段32に記憶させるとしてもよい(後述する図5参照)。
具体的には、優先度決定手段12は、上述のStepにおいて、時刻t−nからt−1までの観測時刻ごとに、観測地点Iにおける利用する観測地点の優先度を計算する(Step8)。そして、優先度決定手段12は、利用観測地点ごとのt−nからt−1までの各時刻の優先度の平均値を時刻tに観測地点Iが欠測した場合に利用する観測地点の優先度とする(Step9)。
観測値処理装置10は、Step8、Step9において特定の時刻によらず利用観測地点を決定することで、優先度の時刻変化の影響を抑えることができる。欠測が生じて補間するときは、優先度を決定した時刻とは異なる時刻であるため、観測値処理装置10は、観測時ごとに求めた優先度の平均を算出することにより、時刻に関する依存性、偶然発生した観測値の変動の影響を排除することができる。
なお、優先度の計算は観測値が得られるごとに行うことが可能だが、優先度の変動が少なく、毎回の更新が必要ない場合は、必ず計算する必要はない。
ここで、図4及び図5に基づいて、観測時刻ごとの優先度について説明する。
図4は、本発明の一の実施形態に係る観測値処理装置10による優先度の決定を観測時刻ごとに求める場合を説明するための図である。図4が示すように、観測値処理装置10は、補間するために利用する観測地点の優先度を、観測時点(t−3、t−2、t−1等)ごとに、図2で説明したように求める。そして、観測値処理装置10は、観測地点ごとに求めた優先度の平均値を算出し、算出した平均値を優先度とする。
図5は、本発明の一の実施形態に係る観測値処理装置10による優先度記憶手段32において観測時刻ごとに求めた優先度の例を示す図である。図5が示すように、優先度記憶手段32は、観測時点の観測地点ごとに、その観測地点以外の観測地点であって、その観測地点が欠測した場合に補間するために利用する観測地点の優先度を対応付けて記憶すると共に、算出された優先度の平均値を記憶する。
再び図1に戻って、観測値処理装置10の構成の説明をする。
欠測地点判定手段13は、観測地点について、観測値が得られなかった観測地点である欠測地点か否かを判定する。
具体的には、欠測地点判定手段13は、ある時刻の観測値が取得できなかった場合に、観測地点に欠測があったと判定する。また、欠測地点判定手段13は、取得した観測値が過去に収集した観測値に比べ一定値以上の差があり異常値であると判断できる場合にも、欠測があったと判定する。
補間処理手段14は、欠測地点判定手段13によって欠測地点であると判定された場合に、欠測地点のデータを、優先度記憶手段32に記憶されている観測地点の観測値を用いて補間する。
本実施形態における補間手法はクリギング法と逆距離加重法を想定する。各補間手法は、(1)式による加重平均により、地点sの補間を行う。
Figure 2015161591
ここで、sはi番目の観測地点、Z(s)はsの観測値、λはsに対する加重、Nは観測値の数を表す。(1)式にて利用する観測地点sの集合Sets0は、(2)式に示すように、地点sごとに計算された優先度に基づき決定される。
Sets0={s|sは優先度の高い順にN個の観測地点}・・・(2)
Sets0を、欠測した観測地点に空間的距離が近い観測地点にするのではなく、事前計算された優先度により選択される観測地点とすることで、補間時の誤差減少を図る。Nは補間に利用する観測地点の数である。最終的には,欠測した地点sにおける補間値が得られる。
図6は、本発明の一の実施形態に係る観測値処理装置10の処理を示すフローチャートである。観測値処理装置10は、コンピュータ及びその周辺装置が備えるハードウェア並びに該ハードウェアを制御するソフトウェアによって構成され、以下の処理は、それぞれの制御部(例えば、CPU)が、OSの下で所定のソフトウェアに従い定期的(例えば、1時間ごとに)実行する処理である。
ステップS101において、CPU(収集手段11)は、観測値を収集する。より具体的には、CPUは、観測地点に対応付けて、収集した観測値と観測時刻とを観測値記憶手段31に記憶させる。
ステップS102において、CPU(優先度決定手段12)は、優先度決定処理を実行する(後述する図7参照)。
ステップS103において、CPU(欠測地点判定手段13)は、欠測があるか否かを判断する。この判断がYESの場合、CPUは処理をステップS104に移し、この判断がNOの場合、CPUは処理を終了する。
ステップS104において、CPU(補間処理手段14)は、欠測した観測地点のデータを優先度記憶手段32に基づいて補間する。具体的には、CPUは、優先度記憶手段32に記憶されている観測地点の優先度に基づいて、クリギング法又は逆距離加重法による加重平均により、欠測地点のデータを補間する。その後、CPUは処理を終了する。
図7は、本発明の一の実施形態に係る観測値処理装置10の優先度決定処理を示すフローチャートである。
ステップS201において、CPU(優先度決定手段12)は、欠測したと仮定する第1観測地点と、優先度の初期値(p=1)とをセットする。
ステップS202において、CPU(優先度決定手段12)は、補間するために利用する観測地点の候補を求める。より具体的には、CPUは、第1観測地点から所定の距離の範囲内の観測地点を、優先度がpとなる観測地点の候補とする。
ステップS203において、CPU(優先度決定手段12)は、候補の中から、第1観測地点との誤差を最小とする観測地点を求め、優先度を記憶させる。より具体的には、CPUは、候補の観測地点の観測値と、既に優先度を決定した観測地点の観測値とを利用して補間値を算出し、算出した補間値において第1観測地点との誤差が最小となる候補の観測地点を求め、求めた観測地点の優先度を優先度記憶手段32に記憶させる。
ステップS204において、CPU(優先度決定手段12)は、第1観測地点について終了か否かを判断する。この判断がYESの場合、CPUは処理をステップS205に移し、この判断がNOの場合、CPUは処理をステップS206に移す。
ステップS205において、CPU(優先度決定手段12)は、全ての観測地点について終了か否かを判断する。この判断がYESの場合、CPUは本処理を実行する直後に処理を戻し、この判断がNOの場合、CPUは処理をステップS201に移す。
ステップS206において、CPU(優先度決定手段12)は、候補の観測地点を追加し、優先度を下げる。より具体的には、CPUは、所定の距離だけ長くした距離の範囲内の観測地点を候補として追加し、優先度を下げる(p+1)。その後、CPUは処理をステップS203に移す。
図8及び図9において、一般的な補間技術として利用されるクリギング法と、逆距離加重法とについて、本発明を適用した際の誤差を比較する。また、補間地点から距離の近い観測地点を利用する手法(baseline)を適用した場合の誤差も比較する。同一領域において、時刻12:00の時点の1地点に欠測が生じたとして、利用する観測値数による補間時の誤差の変化を示す。補間処理で利用する観測値の優先度の計算は、同日の06:00〜11:00の1時間ごとの6データセットを利用した。欠測が生じたとする地点を変更して64地点全てで行い、誤差の平均を求めた。すなわち、63地点の観測値は既知の状態で、1地点が未知という状況を、64通り行ったことになる。補間手法は、クリギング法と逆距離加重法(IDW)の2通りで行う。そして、補間に利用する観測地点数と誤差の関係を調べる。ここでの誤差とは、補間値と観測値との差の絶対値である。
比較手法(baseline)は、補間地点から距離的に近い順に選択する手法である。
図8は、クリギング法を利用した場合の、本発明と比較手法とにおける補間処理での利用観測地点数と誤差の平均値との変化を示す図である。
図8は、比較手法での誤差の最小値が約1.18℃であるのに対し、本実施形態における手法では誤差の最小値が約1.09℃と減少したことを示している。
図9は、逆距離加重法を利用した場合の、本発明と比較手法とにおける補間処理での利用観測地点数と誤差の平均値との変化を示す図である。
図9は、比較手法での誤差の最小値が約1.37℃であるのに対し、本実施形態における手法では誤差の最小値が約1.19℃と減少していることを示している。
本実施形態によれば、観測値処理装置10は、複数の異なる観測地点から観測値を、計測された時点の時刻と共に収集し、観測地点の観測値が得られなかったと観測地点ごとに仮定をした場合に、仮定をした観測地点のデータを推定するための優先度であって仮定をした観測地点以外の観測地点の優先度を、収集した観測値に基づいて決定し、決定した観測地点の優先度を、仮定をした観測地点ごとに対応付けて優先度記憶手段32に記憶させる。そして、観測値処理装置10は、観測地点について、観測値が得られなかった観測地点である欠測地点か否かを判定し、欠測地点であると判定した場合に、欠測地点のデータを、優先度記憶手段32に記憶されている観測地点の観測値を用いて補間する。優先度の決定において、観測値処理装置10は、仮定をした観測地点である第1観測地点の位置から所定の長さの第1距離の範囲内で、第1観測地点における観測値との誤差が最小となる観測地点を、第1観測地点における優先度が最も高い観測地点として決定し、次に、第1距離を所定の長さだけ長くした第2距離の範囲内で、既に優先度を決定した観測地点の観測値を含めて算出した補間値において第1観測地点との誤差が最小となる観測地点を、優先度が次に高いと決定し、優先度が次に高いと決定する処理を、第1観測地点の位置からの距離が予め決定しておいた長さに達するまで繰り返す。さらに、観測値処理装置10は、優先度を、収集した観測値が計測された時刻ごとに求め、求めた時刻ごとの優先度に基づいて、補間するために用いる優先度を決定し、決定した優先度を優先度記憶手段32に記憶させる。
したがって、観測値処理装置10は、観測地点において欠測が生じたために補間する場合に、その観測地点において連続して欠測が生じても、その観測地点の近傍に誤差を大きくする観測地点が存在していても、その観測地点のデータを補間することができる。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述した実施形態に限るものではない。また、本発明の実施形態に記載された効果は、本発明から生じる最も好適な効果を列挙したに過ぎず、本発明による効果は、本発明の実施形態に記載されたものに限定されるものではない。
10 観測値処理装置
11 収集手段
12 優先度決定手段
13 欠測地点判定手段
14 補間処理手段
31 観測値記憶手段
32 優先度記憶手段

Claims (4)

  1. 位置が既知の観測地点に設けられたセンサにより計測された観測値を処理する観測値処理装置であって、
    複数の異なる前記観測地点から前記観測値を、計測された時点の時刻と共に収集する収集手段と、
    前記観測地点の観測値が得られなかったと前記観測地点ごとに仮定をした場合に、前記仮定をした前記観測地点のデータを推定するための利用する観測地点の優先度であって前記仮定をした前記観測地点以外の前記観測地点の前記優先度を、前記収集手段によって収集された観測値に基づいて決定し、決定した前記観測地点の前記優先度を、前記仮定をした前記観測地点ごとに対応付けて優先度記憶手段に記憶させる優先度決定手段と、
    前記観測地点について、観測値が得られなかった観測地点である欠測地点か否かを判定する欠測地点判定手段と、
    前記欠測地点判定手段によって前記欠測地点であると判定された場合に、前記欠測地点のデータを、前記優先度記憶手段に記憶されている前記観測地点の観測値を用いて補間する補間処理手段と、を備え、
    前記優先度決定手段は、前記仮定をした前記観測地点である第1観測地点の位置から所定の長さの第1距離の範囲内で、前記第1観測地点における観測値との誤差が最小となる前記観測地点を、前記第1観測地点における優先度が最も高い前記観測地点として決定し、次に、前記第1距離を前記所定の長さだけ長くした第2距離の範囲内で、既に優先度を決定した前記観測地点の観測値を含めて算出した補間値において前記第1観測地点との誤差が最小となる前記観測地点を、優先度が次に高いと決定し、優先度が次に高いと決定する処理を、前記第1観測地点の位置からの距離が予め決定しておいた長さに達するまで繰り返す、
    観測値処理装置。
  2. 前記優先度決定手段は、前記優先度を、前記収集手段によって収集された前記観測値が計測された時刻ごとに求め、求めた時刻ごとの前記優先度に基づいて、前記補間処理手段が補間するために用いる前記優先度を決定し、決定した前記優先度を前記優先度記憶手段に記憶させる、請求項1に記載の観測値処理装置。
  3. 請求項1に記載の観測値処理装置が実行する方法であって、
    前記収集手段が、複数の異なる前記観測地点から前記観測値を、計測された時点の時刻と共に収集する収集ステップと、
    前記優先度決定手段が、前記観測地点の観測値が得られなかったと前記観測地点ごとに仮定をした場合に、前記仮定をした前記観測地点のデータを推定するための利用する観測地点の優先度であって前記仮定をした前記観測地点以外の前記観測地点の前記優先度を、前記収集ステップによって収集された観測値に基づいて決定し、決定した前記観測地点の前記優先度を、前記仮定をした前記観測地点ごとに対応付けて優先度記憶手段に記憶させる優先度決定ステップと、
    前記欠測地点判定手段が、前記観測地点について、観測値が得られなかった観測地点である欠測地点か否かを判定する欠測地点判定ステップと、
    補間処理手段が、前記欠測地点判定ステップによって前記欠測地点であると判定された場合に、前記欠測地点のデータを、前記優先度記憶手段に記憶されている前記観測地点の観測値を用いて補間する補間処理ステップと、を備え、
    前記優先度決定ステップは、前記仮定をした前記観測地点である第1観測地点の位置から所定の長さの第1距離の範囲内で、前記第1観測地点における観測値との誤差が最小となる前記観測地点を、前記第1観測地点における優先度が最も高い前記観測地点として決定し、次に、前記第1距離を前記所定の長さだけ長くした第2距離の範囲内で、既に優先度を決定した前記観測地点の観測値を含めて算出した補間値において前記第1観測地点との誤差が最小となる前記観測地点を、優先度が次に高いと決定し、優先度が次に高いと決定する処理を、前記第1観測地点の位置からの距離が予め決定しておいた長さに達するまで繰り返す、
    方法。
  4. コンピュータに、請求項3に記載の方法の各ステップを実行させるためのプログラム。
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