JP2015161566A - 撮像システム、照明手段 - Google Patents

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Abstract

【課題】簡易な構造で、被撮像物の体軸の直角方向の全周を同時に撮像する。
【解決手段】撮像システム1では、一端側が小径に他端側が大径に開口した錐形筒状を成す反射面12を内側に有する反射手段10を用い、その内側の錐状台形空間に被撮像体5を位置させる撮像空間20を確保する。反射手段10の大径の開口側には、反射面12と同軸となる筒形の発光面94を有する照明手段90を配置する。照明手段10によって撮像空間20内に光を照射しながら、撮像手段60を用いて、反射手段10の反射面12で反射した被撮像体5の反射像を撮像する。
【選択図】図1

Description

本発明は、被撮像体の全周を同時に撮像するための撮像システム及び照明手段に関する。
従来、様々な部品、部材に対して、カメラによって周囲を撮像して検査することが行われている。例えば、雄ねじに関していえば、螺旋溝が正しく形成されているか否か、検査しなければならない。この場合、撮像システムでは、雄ねじを保持しながら、90度ずつ回転させて、カメラによって、四方向の側面画像を撮像し、これらによって、螺旋溝の形成状態を画像解析によって判定する。
これら撮像システムは極めて幅広い分野で利用されており、被撮像体としては、雄ねじ以外に、ボールスプラインのスプライン軸や、鉛筆等の筆記具、飲料ボトル、各種線材や棒材など多岐にわたる。その材料も、金属、樹脂、繊維など多岐にわたる。撮像システムによる撮像目的も、傷等の外観検査、形状測定、異物検知、X線等を用いた内部検査など多岐にわたる。
特開2010−54231
しかしながら、これらの撮像システムでは、被撮像体を回転させる必要があり、その回転精度に誤差が生じると、正しい映像を取得できなくなる。一方、被撮像体を固定し、カメラ側を回転させることも考えられるが、その場合、撮像システムの構造が複雑化する。
また、被撮像体が大量生産品の場合は、それぞれの被撮像体を高速に撮像する必要があるが、一つずつ被撮像体を回転させていると、撮像に時間を要し、量産ラインに導入することが困難になるという問題がある。
また、特許文献1に開示されている技術の場合、被撮像体を回転させずとも被撮像体の全周相当分の撮影像を得ることが可能である反面、撮像手段に最も近い被撮像体の部位である真正面部と両脇部とでは、各部位から撮像手段を構成する受光面までの距離差が被撮像体の半径相当程あって、光路長差が非常に大きくなる。そのため、被撮像体の各部を高精度に撮像しようとする場合、極めて深い被写界深度の撮像手段を用いても被撮像体の全体に亘ってピントを合わせた像を得ることが出来ないという問題がある。
本発明は、上記問題点に鑑みて本発明者の鋭意研究により成されたものであり、簡易な構造によって、高精度且つ高速に被撮像体の全周を、全体にピントを合わせつつも同時に撮像可能とする撮像システムを提供することを目的とする。
即ち、上記目的を達成する本発明は、一端側が小径に他端側が大径に開口した錐形筒状を成す内周を反射面とする反射手段と、前記反射手段の内側の錐状台形空間に、被撮像体を位置させて前記被撮像体の中心を通る体軸直角方向の多方位からの像を撮像可能とする撮像空間と、前記反射手段の前記大径の前記開口側において前記反射面と略同軸状に配置され、内側に向かって光を放射する略筒形の発光面を有する照明手段と、前記被撮像体を前記撮像空間内に保持させた状態で、前記照明手段によって前記撮像空間内に光を照射して、前記反射手段の前記反射面で反射した前記被撮像体の反射像を撮像する撮像手段と、を備えることを特徴とする撮像システムである。
上記撮像システムに関連して、前記照明手段は、前記発光面内において部分的に光を放射する部分発光領域を有し、前記部分発光領域を経時的に軸方向及び/又は周方向に推移させることを特徴とする。
上記撮像システムに関連して、前記照明手段は、前記部分発光領域を軸方向及び/又は周方向に複数有してなり、複数の前記部分発光領域を点灯させることで、前記部分発光領域を軸方向に推移させることを特徴とする。
上記撮像システムに関連して、前記部分発光領域が、円筒形であることを特徴とする。
上記撮像システムに関連して、前記反射手段の前記反射面は、円錐状であることを特徴とする。
上記撮像システムに関連して、前記反射手段は、表面反射鏡であることを特徴とする。
上記撮像システムに関連して、前記反射面において反射された前記被撮像体の反射像を撮像して得られた撮像画像と、予め登録したマスター画像とを比較して、これら該撮像画像と該マスター画像との一致度を算出する画像一致度算出手段を有することを特徴とする。
上記撮像システムに関連して、前記画像一致度に応じて合否判定を行う合否判定手段を有することを特徴とする。
上記目的を達成する本発明の照明手段は、内側に向かって光を放射する筒形の発光面を有することを特徴とする。
また、上記照明手段に関連して、照明手段は有機ELによって構成される発光面を内面側に向けて筒状に構成されることを特徴とする。
また、上記照明手段に関連して、照明手段は、自発光する発光素子の発光面より内側に導光機能及び/又は光拡散機能を有する筒面状発光化手段を有することを特徴とする。
本発明によれば、簡潔な構造でありながらも、被撮像体の体軸直角方向の全周を高速かつ高精度に撮像することが出来るようになる。
本発明の実施形態に係る撮像システムの全体構成を示す側面図である。 同撮像システムの同軸化繰送手段の構成を拡大して示す、(A)上面図、(B)B−B矢視上面図、(C)C−C矢視上面図である。 同撮像システムによる合格部品の振り分け態様を示す側面図である。 同撮像システムによる不合格部品の振り分け態様を示す側面図である。 同撮像システムにおける反射面の他の構成態様を示す底面図である。 同撮像システムにおける振分手段の他の構成態様を示す側面図である。 同撮像システムにおける撮像手段の他の配置態様を示す側面図である。 同撮像システムにおける開放保持機構の他の構成例を示す(A)側面図、(B)上面部分断面図である。 同撮像システムにおける開放保持機構の他の構成例の動作状態を示す上面部分断面図である。 従来の撮像システムの撮像状態を示す図である。
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。なお、本実施形態では、被撮像物として雄ねじ体を選定し、この雄ねじの螺旋溝の形成状態を検査するために、撮像システムを用いる場合について例示するが、被撮像物としては雄ねじ体に限定されるものではない。
図1は、本実施形態に係る撮像システム1を示す。この撮像システム1は、反射手段10と、反射手段10の内側に設けられる撮像空間20と、撮像空間20内に被撮像物(以下、雄ねじ体5)を位置させる同軸化繰送手段30と、雄ねじ体5の反射像を撮像する撮像手段60と、画像一致度算出手段70と、合否判定手段75と、振分手段80と、照明手段90を備える。
反射手段10は、一端側が小径で他端側が大径に開口した錐形筒状を成しており、その内周を反射面12としている。また反射手段10は、小径となる一端側の開口16Aが鉛直上方となり、大径となる他端側の開口16Bが鉛直下方となる状態で、錐軸14が鉛直方向と平行とすることが好ましい。更に本実施形態では、反射手段10が円錐となっており、その反射面12の角度は、錐軸14に対して略45度となっている。一端側の開口16Aを介して雄ねじ体5が内部に挿入され、他端側の開口16Bを介して雄ねじ体5が外部に放出される。
反射面12は、いわゆる表面反射鏡とすることが好ましい。この表面反射鏡は金属表面に鏡面仕上げ加工等を施して得ることが出来る他、スパッタリングミラーとも呼ばれる、図1の領域Xに拡大して示されるように、例えば、ガラス等の基材12Aの表面に鏡面材料を付着させて金属膜12Bを形成し、この金属膜12Bの反ガラス側面を鏡面処理した構造が代表的である。従って、反射面12は、金属膜12Bの反ガラス側に形成され、ガラスを介することなく、直接、反射面12に雄ねじ体5を映り込ませる。結果、ガラスの厚さの影響(屈折や多重反射等の影響)を受けることなく映像を反射することができるので、反射像の形状の乱れが大幅に抑制される。勿論、通常の光透過性材料の背面に金属膜が形成される一般的な鏡を用いることもできる。
なお、本撮像システム1のように、円錐形筒状を成す反射手段10の円錐形状の錐軸14からの傾斜角を略45度とすると次の利点が得られる。撮像空間20内の錐軸14に沿った様々な箇所を始点とし、反射面12でそれぞれ反射され錐軸14に対して直交する直交面(ここでは撮像面60A)中に対応する各点を終点とした場合、視点から終点まで光路長が至る所で等しくなる。結果、各部の至る所で、撮像手段60のピントを合わせることが可能となる。従って、この錐軸14に対して同心となる棒状材料(ここでは雄ねじ体5の軸部)を撮像する場合に、表面の凹凸相当距離を除けば、上述と同様の結果を得ることが出来る。勿論、ここで、被写界深度の深い光学系を採用した撮像手段を用いる場合には、被撮像物の表面に多少の凹凸があっても全周に亘って高解像度にピントを合わせることが可能となる。また、撮像される映像の縮尺が、反射手段10を用いずに、錐軸14を側面から撮像した状態と一致させることもできる。
撮像空間20は、この反射手段10の内側に形成される円錐台形空間となる。この円錐台形空間内に雄ねじ体5を位置させる。結果、撮像手段60は、雄ねじ体5の周囲を取り囲む反射手段10を介して、雄ねじ体5の中心を通る体軸5Aの直角方向の全方位から同時撮像可能とする。
同軸化繰送手段30は、反射手段10の錐状台形の中心を通る錐軸14と、雄ねじ体5の体軸5Aを同軸化しつつ、雄ねじ体5を保持して、撮像空間内20の所定位置に雄ねじ体5を配置する。なお、本実施形態では、反射手段10の錐軸14が鉛直方向に平行となっているので、雄ねじ体5の体軸5Aも鉛直方向に平行となる。
同軸化繰送手段30は、鉛直方向に配置される筒状部32と、この筒状部32の下端側に配置される開放保持機構40を備える。筒状部32は、自身の筒軸が、反射手段10の錐軸14の延長線上に沿って配置され、一端となる上方の開口は、雄ねじ体5が投入される投入口32Aとなり、他端となる下方の開口は、雄ねじ体5を放出する放出口32Aとなる。この放出口32は、小径側の開口16Aの近傍に位置する。筒状部32の内径は、雄ねじ体5の頭部外形と比較して、少しだけ大きく設定されており、一つ以上、好ましくは複数の雄ねじ体5を内部に収容し、且つ鉛直方向に整列させる。具体的に筒状部32の内周断面形状は、上方の投入口32A側は、雄ねじ体5の頭部の最大径よりも大きな円形に設定されているが、下端の放出口32Aに進むにつれて、雄ねじ体5の頭部の六角形状と略同形状となっている。結果、筒状部32は、雄ねじ体5の周方向の整列も行う。この際、筒状部32は、振動装置によって微細振動させてもよい。但し、撮像時には当該微細振動を停止させることが好ましい。
図2に拡大して示されるように、開放保持機構40は、筒状部32の放出口32Bの外側に連続するように配置される保持部42と、この保持部42を、放出口32Bの半径方向に進退させる駆動部44と、保持部42全体を、反射手段10に対して錐軸14の直角方向全方位に移動させる位置決め手段50を備える。保持部42は、放出口32Bの内径よりも半径方向内側に突出可能な複数の係合突起42Aを備える。駆動部44によって、複数の係合突起42Aを放出口32B(図2では図示省略)の内側に進入させると、係合突起42Aが雄ねじ体5の頭部の段差と係合して、雄ねじ体5を保持することが可能となる。一方、係合突起42Aを放出口32Bの外側に退避させると、雄ねじ体5との係合状態が開放され、雄ねじ体5が鉛直下方に落下する。更に保持部42は、係合突起42Aに連続するようにして、雄ねじ体5の頭部の側面、より好ましくは雄ねじ体5の軸部の付け根を挟み込む複数の押圧面42Bを有する。従って、駆動部44によって、複数の押圧面42Bを放出口32Bの内側に進入させると、押圧面42Bが雄ねじ体5の頭部の側面を両側から挟み込んで、若しくは雄ねじ体5の軸部の付け根を複数方位(好ましくは多方位)から挟み込んで、雄ねじ体5の姿勢を固定する。これにより、雄ねじ体5の体軸5Aが、鉛直方向と強制的に平行となる。
位置決め手段50は、反射手段10の錐軸14に対して直角方向に移動するいわゆるX−Yステージであり、Xステージ52とYステージ54を備えて構成される。これにより、保持部42の中心(雄ねじ体5の体軸5A)をX−Y平面内で自在に移動させることができ、体軸5Aと錐軸14を同軸化できる。この同軸制御は、後述する撮像手段60によって雄ねじ体5の下端面を撮像し、画像解析することによって行う事が好ましい。なお、ここでは開放保持機構40が位置決め手段50を有する場合を例示しているが、保持部42の形状のみによって雄ねじ体5の体軸5Aの同軸化が達成される場合は、この位置決め手段50を省略できる。また、ここでは特に図示しないが、位置決め手段50は、必要に応じて、保持部42をZ方向に移動させる移動手段を備えることも可能である。
筒状部32の下端側には、雄ねじ体5の通過を検知するセンサ58が設けられる。このセンサ58は近接センサであり、筒状部32の最下端近傍において、次の撮像用として待機する雄ねじ体5の通過状態を検知する。具体的にセンサ58は、待機中の雄ねじ体5の軸部の途中に配置されており、その雄ねじ体5の頭部がセンサ58に接近すると通過信号を発する。従って、駆動部44が保持部42を退避させることによって、撮像が完了した雄ねじ体5を開放して落下させると、筒状部32の下端で待機中の雄ねじ体5がこれに追従して筒状部32内を落下し、センサ58が通過信号を発する。駆動部44がこの通過信号を受信すると、保持部42を再び進入させて、係合突起42Aによって雄ねじ体5の頭部を受け止める。その後、駆動部44は更に保持部42を進入させて、押圧面42Bによって頭部の側面若しくは雄ねじ体5の軸部の付け根部位を挟み込んで、雄ねじ体5の保持位置を固定させる。
以上の動作を繰り返すことにより、開放保持機構40は、筒状部32の内部に収容される雄ねじ体5について、筒状部32の通過の可否を規定することで、順番に雄ねじ体5を繰送できる。具体的には、通過可能状態と通過不可状態とを切り替え、通過可能状態では雄ねじ体5を開放し、通過不可状態では雄ねじ体5を保持する。この開放保持機構40は、通過不可状態では雄ねじ体の体軸5Aと錐軸14を同軸化しつつ、雄ねじ体5の軸部を撮像空間20に位置させる。
図1に戻って、撮像手段60は、反射手段10の錐軸14と同軸状態で鉛直下方に配置されるカメラであり、反射面12から得られる反射光の光軸(進行方向)と、自身の光軸(撮像方向)が一致する。この撮像手段60は、本実施形態ではCCDカメラ又はCMOSカメラ等の受光素子からなる平坦な受光面を有し、反射手段10の反射面12で反射した反射像、具体的には雄ねじ体5の軸部の全方位像を撮像する。なお、この撮像手段60は、できる限り被写界深度が大きい状態、又は焦点深度が大きい状態で用いることが望ましい。
照明手段90は、内側に向かって光を放射する円筒形状の発光面94を有している。この照明手段90は、反射手段10の大径となる他端側の開口16Bにおいて、反射手段10と撮像手段60の間を結ぶ反射光の光路の周辺を取り囲むように、反射面12と略同軸状に配置される。発光面90の軸方向の長さは、雄ねじ体5の軸方向長さ(撮像長さ)と比較して大きい方が好ましい。発光面94は、例えば有機ELのように、積層材料自体が拡散光として直接発光するものが好ましいが、この他にも、LED等の光を円筒面内に導く筒面状発光化手段を用いることも出来る。この筒面状発光化手段は、LED等の光を導く導光機能と、光拡散機能を有し、これらの機能によって発光面94をほぼ均等に発光させることが出来るように構成するようにしても良い。この際、導光機能を有する導光板は、LED等の自発光光源の半径方向内側又は軸方向内側に配置して光を拡散板(光拡散機能)まで案内する。このように、照明手段90の円筒状の発光面94を、雄ねじ体5に対して軸方向にずらしつつ、発光面の角度も雄ねじ体5と対向しない状態で配置し、発光面94から軸心方向に拡散的に光を照射して間接的に雄ねじ体5を照らす。この結果、撮像手段60によって撮像される映像のハレーション(局所的に白くぼやける現象)を著しく抑制できる。ちなみに、照明手段の発光面を雄ねじ体5側に向けて直接的に照らすと、撮像手段60によって撮像される映像にハレーションが生じやすいことが、本発明者の検証で明らかとなっている。
更にこの照明手段90は、発光面94内において部分的に光を放射できる四つの部分発光領域95A〜95Dを有する。部分発光領域95A〜95Dは円筒形状となっていて、これらが軸方向に連なって発光面94を構成する。
各部分発光領域95A〜95Dは、互いに独立した有機EL層で構成されており、個別に電圧を印加することで互いに独立して発光する。一つの部分発光領域が発光している間は、残りの部分発光領域が消灯するように制御すれば、各部分発光領域95A〜95Dが、部分的に光を照射することになる。四つの部分発光領域95A〜95Dを適宜点灯させれば、結果として、部分発光領域が軸方向に推移する状態を作り出すことができる。
このように、部分発光領域95A〜95Dを経時的に軸方向に推移(移動)させながら、雄ねじ体5の複数の映像を撮像すると、ねじ山の影の状態が異なる複数の映像を取得できる。これらの映像を比較することで、影の変動から、ねじ山の形状や深さ、見えにくい欠陥等を推測できる。
なお、ここでは各部分発光領域95A〜95Dは、互いに独立した有機EL層とする場合を例示したが、発光面94全体を、ドット状又はマトリクス状上の有機EL層とすることで、任意の領域を自在に部分発光領域にすることもできる。また、発光面の表面に液晶層を配置して、任意の領域の光を液晶で遮ることによって、残りの範囲を部分発光領域にすることもできる。
撮像手段60によって撮像された画像データは、ケーブルや無線等を含む情報伝達手段を介して画像一致度算出手段70に出力される。画像一致度算出手段70は、いわゆる演算装置であり、画像データに基づいて各種画像処理や演算処理を実行する。具体的には、予めシミュレーションで作成された、或いは理想的な雄ねじ体を用いて撮像されたマスター画像と、実際の雄ねじ体5を撮像して得られた撮像画像を比較して、画像マッチングによりこれらの一致度を算出する。この一致度に関するデータは、合否判定手段75に提供される。
合否判定手段75は、画像一致度に応じて合否判定を行う。画像一致度が所定の閾値を超えて、不一致と判断される場合は、雄ねじ体5の螺旋溝の品質が悪いと判定する。画像一致度が所定の閾値内に収まることで、一致と判断される場合は、雄ねじ体5の螺旋溝の品質が良好と判定する。
なお、画像一致度算出手段70及び合否判定手段75は、コンピュータにおいてプログラムが実行されることで実現される。この演算処理の詳細については説明を省略するが、各種の既知の手法を採用することができる。マスター画像、撮像手段60によって撮像された画像データ、画像一致度算出手段70や合否判定手段75によって導出された測定データは、図示を省略したハードディスク等の記憶媒体に記憶されると共に、必要であれば図示を省略した表示装置やプリンタ等に出力する。
図3及び図4に示されるように、振分手段80は、合否判定手段75による合否判定結果に基づいて、雄ねじ体5を、二種類以上のグループに機械的に振り分ける。具体的に振分手段80は、反射手段10の鉛直下方側且つ撮像手段60の上方に配置されており、互いに異なる方向に傾斜する合格傾斜面82A及び不合格傾斜面82Bと、合格傾斜面82A及び不合格傾斜面82Bを雄ねじ体5の落下位置に進退させる移動装置84を備える。例えば、開放保持機構40が、撮像後の雄ねじ体5を開放する際に、落下位置に合格側傾斜面82Aを進入させると、雄ねじ体5は合格側回収箱86Aに回収される。一方、落下位置に不合格側傾斜面82Bを進入させると、雄ねじ体5は不合格側回収箱86Bに回収される。撮像手段60による撮像中は、合格傾斜面82A及び不合格傾斜面82Bを光路から対比させる。なお、ここでは、振分手段80が合格傾斜面82Aと不合格傾斜面82Bを別々に備える場合を例示したが、一つの面の傾斜方向を切り替えることで、雄ねじ体5を二つの方向に振り分けることができる。また、図6に示されるように、合格傾斜面82Aと不合格傾斜面82Bの間に撮影干渉回避領域82Cを設けたスライダを用意し、このスライダをガイドレール85に沿って移動させることで、合格傾斜面82Aと不合格傾斜面82Bを切り替えることもできる。撮像手段60は、この撮影干渉回避領域82Cを介して画像を撮影する。なお、この図6の照明手段90は、二つの部分発光領域95A、95Bを有しており、この部分発光領域95A、95Bが連なって発光面94を構成している。
なお、本発明は、上述のように傾斜面を用いて合否判定する場合に限られず、複数のカップを用いて合否判定したものを振り分けたり、空圧を用いて雄ねじ体5を動かしたり、プッシャによって雄ねじ体5を押すようにして振り分けたり等、様々な方法を用いることが出来る。
以上、本実施形態の撮像システム1によれば、簡潔な構成で、雄ねじ体5の体軸5Aに対する直角方向の全方位を、まとめて撮像することが可能となり、撮像時間を大幅に短縮することができる。また、反射手段10が円錐形の筒状となることから、両端の開口16A、16Bを介して、一方の開口16Aから雄ねじ体5を搬入し、他方の開口16Bから雄ねじ体5を搬出することができる。従って、パーツフィーダ等の自動供給装置と組みあわせることで大量の雄ねじ体5を連続的に撮像することができ、量産ラインに適したシステム構成とすることが出来る。
とりわけ本実施形態では、反射手段10と同軸状態、かつ、雄ねじ体5から軸方向にずらした状態で、筒形状の発光面94を有する照明手段90を配置している。結果、撮像手段60によって撮像される映像のハレーションを極端に抑制でき、雄ねじ体5の表面欠陥などを高精度に検知することが可能となる。また、発光面94における部分発光領域95A〜95Dを軸方向及び/又は周方向に推移させながら、複数の映像を撮像して、映像の変化等を分析すれば、表面の凹凸形状やその深さ、さらには見つかりにくい表面欠陥等を検知することが可能となる。
なお、ここでは反射面12を円錐形状としたが、多角錐にすることも可能である。例えば、図5(A)に示されるように、被撮像物が円柱であれば反射面12を円錐にし、図5(B)に示されるように、被撮像物が三角柱であれば反射面12を三角錐とし、図5(C)に示されるように、被撮像物が四角柱であれ反射面12を四角錐とすることで、適切な撮像が可能となる。この場合は、照明手段90の発光面94も、三角筒や四角筒にすることが好ましい。勿論、この他の錐体形状を選定することもできる。
更に、本撮像システム1では、反射面12が表面反射鏡で構成されるので、一般的な鏡と比較してガラスの屈折や多重反射等の影響を受けないため、撮像結果の形状精度を高めることができる。
反射面12の傾斜角が略45度に設定する場合、雄ねじ体5の軸部の軸方向に沿った様々な箇所を始点とし、反射面12でそれぞれ反射されて、錐軸14に対して直交する撮像面60Aに対応する各点を終点とした場合、始点から終点まで光路長が至る所で等しくなる。更に、雄ねじ体5(被撮像体)の軸部(測定対象表面)の体軸直角方向の断面形状と、反射面12の錐軸直角方向の断面形状を相似させているので、雄ねじ体5の軸部の周方向に沿った様々な箇所を始点とし、反射面12でそれぞれ反射されて、錐軸14に対して直交する撮像面60Aに対応する各点を終点とした場合、同様に始点から終点まで光路長が至る所で等しくなる。結果、雄ねじ体5の軸部のあらゆる表面の至る所で、その表面自体の凹凸(螺旋溝)の差異を除けば、全ての光路長が等しくなるので、全方位について同時に光撮像手段60のピントを合わせることが可能となる。結果、この錐軸14に対して同心となる棒状材料(ここでは雄ねじ体5の軸部)を撮像する場合に、螺旋溝の凹凸相当距離を除けば、ピントを容易に合わせが極めて容易となる。また、雄ねじ体5の体軸5Aの軸方向の実寸と、同心円状となる撮像結果の半径方向の実寸が、ほぼ一致するので、高精度の形状判定に適している。なお、図10に示されるように、雄ねじ体5の軸部側面を、撮像手段60によって直接撮像する場合は、撮像手段に接近する正面位置Rと、撮像手段から最も離れた両脇位置Qとの間で光路長が大きく異なるので、被写界深度を大きくしても、同時に双方にピントを合わせることが極めて困難となる。この傾向は、呼び径の大きさに比例して顕著となる。
更に本撮像システム1では、反射手段10の錐軸14及び雄ねじ体5の体軸5Aを鉛直方向にしているので、自然落下を用いて雄ねじ体5を反射手段10内から搬出できる。従って、雄ねじ体5の搬送機構を簡略化することが可能となる。具体的には、シュータ又はフィーダとなる筒状部32を用いて、自重落下方式によって雄ねじ体5を搬送し、同軸化繰送手段30が、この最も下端の雄ねじ体5を保持して、雄ねじ体5の軸部を撮像空間20内に固定する。撮像完了後は、同軸化繰送手段30が、雄ねじ体5を開放して落下させるだけで、搬出が完了する。従って、高コストとなるロボットハンド等を用いず、同軸化繰送手段30の構成も簡潔化できる上、高速処理が可能となる。
この際、雄ねじ体5を、反射手段10の小径の開口16A側から搬入するため、同軸化繰送手段30が、反射手段10における、大径側の開口16Bを通過する反射光の光路と干渉しないで済む。結果、撮像手段60の配置構成も簡略化できる。
更に、本撮像システム1では、撮像画像とマスター画像の一致度から合否判定をおこない、振分手段80を用いて、落下する雄ねじ体5の搬出先を振り分けるので、極めて簡素な構成で、不良品の排除が可能となる。
なお、本実施形態では、反射手段10の錐軸14の延長線上に、撮像手段60を配置したが、本発明はこれに限定されない。例えば、図7に示されるように、錐軸14の延長線上に、光路に対して45度で傾斜する第二反射手段95を配置し、この第二反射手段95が、反射光の光路を変更しつつも、錐軸から撮像手段まで至る光路長を至る点でほぼ等しく保つようにすることもできる上、撮像手段を鉛直上向きに配置した場合に起こり得る、例えば、塵埃等の降積や被撮像物の落下時における振り分けミスによるレンズへの衝突等を事前に回避することが出来る。このようにすると、撮像手段60の配置場所に柔軟性を持たせることが可能となる。勿論、第二反射手段95は、表面反射鏡であることが好ましい。
また本撮像システム1の開放保持機構40においては、位置決め手段50が、保持部42をX−Y平面内で移動させる構造を例示したが、本発明はこれに限定されない。例えば図8(A)に示される開放保持機構140のように、雄ねじ体5の軸部の付け根を3方向から保持する保持部142と、この保持部142を、雄ねじ体5の体軸を中心とした半径方向にスライドさせるスライダ144と、保持部142を半径方向内側に付勢するばね146と、保持部142に設けられるカム受け148と、このカム受け148と係合して、ばね146の力に抗して保持部142を半径方向外側に移動させる板カム150と、板カム150をベルト駆動するモータ152を備えることも好ましい。
図8(B)に示されるように、板カム150は、筒状部32に対して、特に図示しないベアリングを介して回転自在に配置される。板カム150の外寸(半径方向寸法)は、周方向に沿って少なくとも二段階以上(ここでは三段階)に変化しており、もっとも大きい「雄ねじ体解放領域150A」と、中間の「雄ねじ体受け止め領域150B」と、最も小さい「雄ねじ体固定領域150C」が周方向にこの順番に形成される。各領域150A〜150Cは、それぞれ120度間隔で三カ所に設けられることによって、一つの板カム150で三つの保持部142を同時に移動させる。
因みに、図8(B)は、板カム150の雄ねじ体固定領域150Cにカム受け149が係合している状態を示しており、この状態では、三本の保持部142の突端が最も半径方向内側に突出することによって、雄ねじ体5の軸部を挟み込んで固定する。結果、雄ねじ体5の体軸5Aと錐軸14を同軸化できるので、撮像が実行される。また、図9(A)は、板カム150の雄ねじ体開放領域150Aに、カム受け149が係合している状態を示しており、三本の保持部142が、雄ねじ体5の頭部よりも半径方向外側に退避することによって雄ねじ体5を開放する。これにより雄ねじ体5が落下する。図9(B)は、板カム150の雄ねじ体受け止め領域150Bに、カム受け149が係合している状態を示しており、三本の保持部142の突端が、雄ねじ体5の頭部よりも半径方向内側、且つ軸部外形よりも半径方向外側に待機することによって、上方から落下してくる雄ねじ体5の軸部を通過させつつ、頭部を受け止める。
板カム150をモータ152によって一方向に等速回転させることで、雄ねじ体5の解放、雄ねじ体5の受け止め、雄ねじ体の固定が繰り返されることになり、連続的に雄ねじ体5を繰り出して順番に撮像できる。なお、図8及び図9では、筒状部32内の最下端の雄ねじ体5に対して、その一つ上で待機している雄ねじ体5を保持する予備保持部160を備えており、共通の板カム150の動作で、保持部142と同じ動作を行う。この予備保持部160により、撮像中の雄ねじ体の上の雄ねじ体5を保持できるので、上の雄ねじ体が、撮像中の雄ねじ体に衝突する状況を回避できるので、撮像中の雄ねじ体5の保持姿勢に誤差が発生することを抑制できる。なお、図8及び図9では、板カム150の外寸が階段状に変位する場合を例示したが、滑らかに変位するように設計することも勿論可能である。
以上、本実施形態では、被撮像体として、軸部に螺旋溝又は螺旋突起を有する雄ねじ体5を撮像する場合を例示したが、本発明はこれに限定されず、様々な部品、部材を撮像することができる。一方、本撮像システムでは、被撮像体が棒状部位を有しており、その棒状部位の全周を撮像する際に好適である。
また、本発明の実施例は、上記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。
本発明によれば、簡便な構造によって、被撮像体を高速に撮像することが可能となる。
1 撮像システム
5 雄ねじ体
5A 体軸
10 反射手段
12 反射面
14 錐軸
16A、16B 開口
20 撮像空間
30 同軸化繰送手段
32 筒状部
32A 投入口
32B 放出口
40 開放保持機構
42 保持部
42A 係合突起
42B 押圧面
44 駆動部
50 位置決め手段
52 Xステージ
54 Yステージ
58 センサ
70 画像一致度算出手段
75 合否判定手段
80 振分手段
90 照明手段
94 発光面
95A〜95D 部分発光領域

Claims (11)

  1. 一端側が小径に他端側が大径に開口した錐形筒状を成す内周を反射面とする反射手段と、
    前記反射手段の内側の錐状台形空間に、被撮像体を位置させて前記被撮像体の中心を通る体軸直角方向の多方位からの像を撮像可能とする撮像空間と、
    前記反射手段の前記大径の前記開口側において前記反射面と略同軸状に配置され、内側に向かって光を放射する略筒形の発光面を有する照明手段と、
    前記被撮像体を前記撮像空間内に保持させた状態で、前記照明手段によって前記撮像空間内に光を照射して、前記反射手段の前記反射面で反射した前記被撮像体の反射像を撮像する撮像手段と、
    を備えることを特徴とする撮像システム。
  2. 前記照明手段は、前記発光面内において部分的に光を放射する部分発光領域を有し、前記部分発光領域を経時的に軸方向及び/又は周方向に推移させ得ることを特徴とする、
    請求項1に記載の撮像システム。
  3. 前記照明手段は、前記部分発光領域を軸方向及び/又は周方向に複数有してなり、複数の前記部分発光領域を点灯させることで、前記部分発光領域を軸方向及び/又は周方向に推移させることを特徴とする、
    請求項2に記載の撮像システム。
  4. 前記部分発光領域が、略円筒形であることを特徴とする、
    請求項2又は3に記載の撮像システム。
  5. 前記反射手段の前記反射面は、円錐状であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の撮像システム。
  6. 前記反射手段は、表面反射鏡であることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の撮像システム。
  7. 前記反射面において反射された前記被撮像体の反射像を撮像して得られた撮像画像と、予め登録したマスター画像とを比較して、これら該撮像画像と該マスター画像との一致度を算出する画像一致度算出手段を有することを特徴とする請求項1乃至6の何れかに記載の撮像システム。
  8. 前記画像一致度に応じて合否判定を行う合否判定手段を有することを特徴とする請求項7に記載の撮像システム。
  9. 内側に向かって光を放射する筒形の発光面を有することを特徴とする照明手段。
  10. 有機ELによって構成される発光面を内面側に向けて筒状に構成されることを特徴とする請求項9に記載の照明手段。
  11. 自発光する発光素子の発光面より内側に導光機能及び/又は光拡散機能を有する筒面状発光化手段を有することを特徴とする請求項9又は10に記載の照明手段。
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