JP2015155398A - 口腔疾患の予防および治療を行うための組成物、およびその方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】歯茎の組織を強くし、または再生し、かつ後退した歯茎を回復させるために使用可能な口腔健康管理用製品の提供。
【解決手段】練り歯磨き、またはマウスウォッシュなどの剤形の形態で、クロロフィル、ポリフェノールおよびトリテルペノイドを含む特定の植物種から、エタノールまたはメタノールなどの有機溶剤を用いて抽出された抽出物を含む口腔用組成物。
【選択図】図1

Description

本発明は口腔健康管理用製品に関し、具体的には、ハーブ抽出物から得られる活性抽出物を含む、練り歯磨きなどの製品に関する。
口腔健康管理は、個人の健康全般にとって重要である。心臓病、糖尿病、およびいくつかの呼吸器系疾患といった全身病と、不十分な口腔健康管理との間には、密接な相関関係があるということが調査報告により明らかになってきている。虫歯、口腔潰瘍、歯肉の出血、歯齦炎、歯周炎、歯茎の後退および骨量減少をはじめとする口腔疾患は、人類の3番目に多い死亡原因と見なされている。したがって、これら病気を効果的に予防・治療するための新しい方法を開発することは非常に重要である。
齲蝕(虫歯)は、普通の風邪を除くと、最もまん延している病気のうちの1つであり、いくつかの国では80%〜90%の子供、および90%を超える高齢者の間でまん延している。齲蝕とは、主にミュータンス菌および乳酸菌をはじめとする原因菌が、歯の上に残る食物内の炭水化物を弱い酸に変化させることができ、この弱い酸により歯が脱灰してしまうときに発症する口腔疾患である。結果として、歯の固い構造体が次第に分解されて齲蝕となる。
歯茎とは歯を囲む柔らかい組織であり、それらの歯の周りを密閉し、その外見はコーラルピンク色で固い質感を有し、それぞれの歯をしっかりと支持している。歯茎の出血は、歯肉の出血すなわち歯肉出血としても知られ、歯磨きや歯間の掃除が不適切なために、主に歯と歯茎の境界に硬化した歯垢(歯石)が形成され、蓄積されてしまうために発生する。歯茎の出血を予防したり止めたりするために、歯と歯茎に細菌が繁殖し、付着することを防止することが不可欠である。
歯の骨量減少とは、主に歯茎の病気により引き起こされる歯の骨量減少および歯槽の骨量減少のことを指す。歯茎の後退は40才を過ぎた大人によくみられる症状であり、多くの場合、歯磨きや歯の間の掃除が不十分なため、あるいは歯周病により、歯の間に歯垢が溜まり、歯と歯茎の間にくさび打ち込まれるために発生する。歯茎の後退の予防および治療は、口腔健康を維持するためには重要であるが、歯茎の組織を強くし、または再生し、かつ後退した歯茎を回復させるために使用可能な製品は残念ながら存在しない。
したがって、本発明では、クロロフィル、ポリフェノール、およびトリテルペノイドと、この他に名前の知られていない化合物(以後、本明細書では「aCPT」と呼ぶ)とを含む活性植物抽出物を含む、口腔健康管理のための組成物を提供する。
このaCPTは、fructuo rosae laevigakea(EFRL)、Centella asiatica(ECA)、Rubus coreanusの未熟果(EUFRC)、Geum japonicum(GJ)および Rubus imperialis(ERI)を含むバラ科の数多くの種から作ることができる。これらの各植物からの抽出物は、同様の化合物の組成を含んでいるが、互いに比較してみると、GJから得られる抽出物がより多くのポリフェノール含んでいる。それらは全て本発明の趣旨の範囲内であり、使用上は互いに同等物として見なすことができる。
これらの植物は長い間漢方薬として使用されてきた。本発明により、これらの植物からの抽出物(aCPT)は、口腔疾患のうちの多くの治療で非常に効果的であることが見出された。さらに、このようなaCPTが、日常的な健康管理用の製品として、便利に使用されている、複数の剤形(0.05%〜50%)の形で、具体的には、練り歯磨きの形態として配合されるのに適しているが分かった。その他の好適な剤形として、クリーム、軟膏、ゲル、フォーム、パウダー、スプレー、飲み物、粉末飲み物(drink mix)、キャンディ、薬用ドロップ、マウスウォッシュ、うがい液、ゲルストリップ(gel strip)、デンタルフロス、薬用ドロップ、およびガムが挙げられるが、これらに限定はされない。
本発明による植物のaCPTは、1〜6個の炭素原子を有する低級アルキルアルコール溶媒と水を用いて、EFRL、ECA、EUFRC、GJ、およびERIなどの各植物を抽出することにより作られる。この溶媒はエタノール/水、またはメタノール/水が好ましい。本発明によれば、低級アルキルアルコール溶媒を用いて作られるaCPTは、例えば、虫歯、口腔潰瘍、歯茎および口の腫れと痛み、口内炎、歯肉の出血、歯齦炎または歯周炎、歯茎の後退、口臭、歯の骨量減少、加齢に伴う歯の弛緩または歯牙欠損などの複数の口腔疾患に対して強力な効果を発揮する。
出来上がった抽出物が、rosae laevigakea(EFRL)、Centella asiatica(ECA)、Rubus coreanus(EUFRC)の未熟果、Geum japonicum(GJ)および Rubus imperialis(ERI)とそれぞれ比較できるレベルのクロロフィル、ポリフェノール、およびトリテルペノイドを含む限り、本発明に用いられる用語「aCPT」は全ての植物から本出願で後述する抽出法を用いて作られる抽出物を意味する。
図1は、aCPTの投与によりdKOマウスの歯の骨量減少が予防される様子を示した図である。 図2は、EFRL、ECA、EUFRC、GJ、およびERIから作られたaCPTを投与されたマウスのそれぞれのGIスコアを示した図である。 図3は、加齢したマウスの加齢に伴う歯茎の後退からの回復におけるaCPTの効果を示した図である。 図4は、加齢した動物における歯のエナメルの厚さおよび寸法に対するaCPTの保護効果を示した図である。 図5は、CPTにより口腔細菌の繁殖を抑える様子を示した図であり、a〜eは、5種類のそれぞれ防腐剤を含む培養皿内での口腔細菌の繁殖の様子であり、aCPT0.1%、aCPT0.3%、aCPT0.5%は、3種類のそれぞれ濃度のaCPTを含む培養皿内での口腔細菌の繁殖の様子である。 図6は、5種類のそれぞれ防腐剤と比較した、人間の口内炎を引き起こす細菌の繁殖に対するCPTの著しい抑制効果を示した図である。 図7は、人間におけるaCPT投与後の歯垢指数(PLI)の評価を示した図である。
本発明を特徴づける新規性の種々の特徴は、具体的には、本開示に添付され、かつ本開示の一部を形成する請求項により示される。本発明、その動作上の利点、およびその使用によって達成される特定な目的をより良く理解するために、本発明の好ましい実施形態が示されている添付図面、および以下の説明を参照するものとする。
植物材料からのCPTの作成
本発明による抽出物を作成する方法には、一般に、C1〜C4アルコールからなる群から選択されたアルコールを用いて植物を抽出する工程(a)が含まれる。室温で、このステップを3〜6回(通常は5回)繰り返すことができる。抽出を行う前に、抽出効率を上げるために植物材料を粉末状にする、あるいは小さく切断することができる。C1〜C4アルコールには、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、イソブタノール、およびtert−ブタノールが含まれる。一般に、抽出される乾燥植物の量の重量で1〜10倍までアルコールを加える。本明細書で開示される生体効果を実証するために用いられる活性抽出物を作るために用いられる方法の具体例を詳細に以下で説明する。
例1.例示的な植物からの活性抽出物の分離
EFRLおよびGJの植物は7月に中国の太白県、山西省および貴州省で採取する。以下の詳細な説明と同じように、これらの2種類の植物からそれぞれ抽出物を作成する。
植物(100kg)を洗い、乾燥し小さく切断する。植物を乾燥させた切片を95%のエタノール(200L)に50℃で2時間浸し、さらに95%のエタノールと水を加えて60%のエタノール(1:10w/v)を作る。植物の切片を、それぞれさらに60℃で6時間抽出し、出てきた抽出物を濾過し、植物の切片をさらに、60%のエタノール(1:10v/v)を用いて60℃で6時間さらに抽出する。出てきた抽出を混ぜ合わせて濾過し、エレクトロスプレーで乾燥させて粉末にしたものが活性抽出物である。試験データによると、この活性抽出物には、20〜30%のクロロフィル、50〜80%のポリフェノール、および1〜3%のトリテルペノイドが含まれ、これを本発明では「aCTP」と呼ぶ。このaCTPを用いて練り歯磨き、すなわちaCPT−練り歯磨き(CPT−T)を調合し、これを用いて、本明細書で開示される全ての生態学的検査を行った。
一般に利用可能な技術、および当技術分野では常識の技能を用いて活性抽出物をさらに種々の程度まで精製することが可能であることは、当業者なら容易に理解できるであろう。本発明を実行するためさらに精製する必要はないが、当業者が判断したいくつかの剤形に関してはさらに精製した方が好ましい場合もある。本発明の趣旨の範囲内では、このaCPTは、本発明による生体効果を保持している限り、さらなる精製の有無に関わらず、低級アルコール溶媒(上記の例1により例示された)用いて作られる天然の抽出物でよい。
NMR分析により、例1で作られたEFRLまたはGJのaCPTは、クロロフィルa、クロロフィルb、カスアリニン、2,3,7,8−テトラヒドロキシ−[1]ベンゾピラノ[5,4,3−cde][1]ベンゾピラン−5,10−ジオン、GeminA、B、マデカシン酸、ポテンチリン、アシアト酸、2−ヒドロキシオレアノール酸、ニガ−イチゴシドF1、カジ−イチゴシドF1、オイスカフ酸、ウルソル酸、アシアチコシド、2−ヒドロキシオレアノール酸、およびトルメント酸の28−β−D−グルコシドを含むことが確認できた。特定な状況により活性抽出物を作る方法を修正する必要がある場合、この情報が修正抽出物および精製手順の設計に役立つであろう。練り歯磨きの作成で要求される精製よりも高いレベルの精製が、特定な剤形を作る際に必要となる場合もある。
医薬組成物の製剤および投与量
当業者なら理解するであろうが、この医薬組成物は、投与される特定な組成物により、および、その組成物を投与するために用いられる特定な方法により、部分的に判定される、医学的に許容可能な担体を含むことができる。したがって、この化合物の組成を投与するための多種多様な好適な医薬組成物の製剤が存在する(例えば、RemingtonのPharmaceutical Sciences,Mack Publishing Co., Easton,PA 18th ed.,1990年を参照)。
本発明によれば、このaCPTは、例えば、クリーム、軟膏、ゲル、フォーム、パウダー、液剤、スプレー、キャンディ、薬用ドロップ、マウスウォッシュ、練り歯磨き、うがい液、ガム、マウスウォッシュ、マウスリンス、練り歯磨き、口腔ケア用ゲルストリップ、およびデンタルフロスなどの複数の剤形を調合するのに適している。これら剤形を作る方法は当技術分野では既知であり、本発明の一部ではない。これらの調合された剤形には、口腔疾患の治療、口腔健康の維持、または口腔疾患の予防といった用途により、様々な濃度のaCPT(0.1%から50%以上)が含まれている。例えば、虫歯、口腔歯垢、歯茎の出血、歯周炎、歯齦炎、動揺歯、口腔潰瘍、老化にともなう歯牙欠損、歯茎の後退、口内の傷の治療などの異なる口腔状態に対するaCPTの治療効果または予防効果を試験したとき、普通の健康な被験者には、通常、虫歯、口腔歯垢、口臭の予防するために、aCPTを0.1〜1%含む練り歯磨きが使用され、このaCPTには殺菌効果があるために、練り歯磨きには防腐剤を使用する必要がない。軽度から中程度の口腔疾患を患っている人にはaCPTを1〜3%含む練り歯磨きが適しており、これを頻繁に用いることで通常の口腔疾患を予防可能である。中程度から重度の口腔疾患を患っている人には、aCPTを4〜30%以の含む練り歯磨きが適しており、頻繁に使用することでほとんどの口腔疾患の予防および治療が可能である。
本出願に記載された実施形態に関して、例示的な練り歯磨きは以下の配合で作られた。
aCPTの生体活動
例2.加齢したアルツハイマー病のマウス(条件付きPS1/PS2ダブルノックアウト、アルツハイマー病のマウスすなわちdKO)の試験的歯周炎および炎症性骨吸収
に対する、GJのaCPTの治療効果
プレセニリン1(PS1)およびプレセニリン2(PS2)は、γセクレターゼの不可欠な構成要素である膜貫通タンパク質、すなわち、アミロイド前駆体タンパク質(APP)およびノッチレセプタの膜内切断を担う錯体である(De Strooper et al.,1998,1999)。過去の報告書によると、PS1またはPS2のどちらかの突然変異が、アルツハイマー病(AD)の早期発症に関係があるらしいということが記載されている(Haass, 1997; Price & Sisodia, 1998)。それ続く研究では、前脳内のPS1およびPS2の両方の遺伝子を条件付きでノックアウトさせた状態のマウス(dKOマウス)は、生後2か月の速い段階でADの疑いのある軽い神経変性表現型の症状を示した。生後6か月のdKOマウスには著しい記憶障害が見られた。興味深いことに、近年の研究により、dKOマウスの脳内の炎症は、歯周組織の異常、口内炎、および骨吸収などの口腔組織を含む周辺部臓器および組織まで広がる可能性があることが分かった(Han et al.,2011)。したがって、dKOのADマウスのモデルは、口腔疾患、特に老化に伴う口腔疾患に対する将来の治療法を開発するための好適な動物モデルとして用いることができる。
20〜50グラムの16匹のdKOマウス(生後6か月)を実験群と統制群とに分けた。両方のグループのマウスは水を自由に飲むことができ、実験群にはGJの抽出物から得られたaCPTを0.5%含むラットペレット餌を、統制群にはaCPTを含まないラットペレット餌を、それぞれ2か月間与えた。61日目に、マウスを屠殺した。下顎を取り除き、そこから石灰質を取り除き、組織学的に処理した。組織部をH&Eで着色し、組織形態計測のパラメータを評価した。
CPTを投与された群と比較して、非投与の統制群のマウスには著しい骨量減少が見られた(表1)。非投与のdKOマウスの歯周組織には、炎症性細胞浸潤、浮腫、および形態異常により特徴付けられるかなりの炎症反応が観察された。しかし、aCPTを投与されたマウスには、非常に少ない炎症性細胞浸潤、およびより健康な形態的特徴を伴う著しく軽減された炎症反応しか見られなかった。もっと興味深いことには、実験群の過半数の実験マウスには、かなり大きな歯槽骨との接触面積を有するかなりの大きな臼歯の根が見られ、それは同じ年齢の統制群のマウス(dKOでない野生型マウス)のものよりさえも大きかった(図1)。
表1.aCPTの処方により予防されたdKOマウスの歯の骨量減少
Ctrl:dkoでない野生型マウス、dko:前脳内のPS1およびPS2の両方の遺伝子を条件付きでノックアウトした状態のaCPT非投与の統制群マウス、aCPT:aCPT投与したdkoのマウス
これとは対照的に、非投与の統制群のdKOマウスにはどのマウスにも、aCPTを投与されたdKOマウスに見られる上記の結果は見られなかった。その代わり、これらのマウスの歯周炎症および歯槽堤の吸収は著しくひどく、臼歯の根の歯槽骨との接触面積は、同じ年齢でaCPTを投与されたdKOマウス、および野生型の統制マウス(dKOされていない)と比較して小さかった。結果として、dKOマウスにおいて、GJから得られるaCPTを含むチューイングフードは、臼歯の骨量減少を著しく予防し、臼歯の歯槽骨との接触面積を著しく大きく維持することが分かった。さらに、CPTを含む食物を噛むことにより、実験的歯周炎の炎症過程も著しく緩和された。これに加えて、aCPTを投与されたdKOマウスからは著しく大きな臼歯の根が発見され、それは同じ年齢の野生型の統制群の臼歯の根よりも大きいくらいであった。
例3.SAMマウスの実験的歯周炎および加齢した口腔状態に対するaCPTの効果
老化促進モデルマウス(SAM)は老化促進および加齢に伴う疾患のマウスのモデルとして開発された(Takeda et al. 1981)。脳萎縮などのSAMP10マウスの特徴のほとんどの加齢に伴う変化に加え、これらのマウスは、歯の疾患の研究において老化を促進したモデルとし手利用可能である(Sashima et al., 1987; Chen et al.,1989)。人間の歯周炎および歯槽の骨量減少は、年齢が進むとともに進行しひどくなる慢性疾患として見なされている(Anderson, 1982)。この研究では、生存期間の中央値を333日と加速した老化を示す短い寿命のマウス(SAMP10)を使用し(Takeda et al, 1991)、加齢に伴う口腔疾患に対する治療効果に関してaCPTを試験した。
方法、SAMP10マウス(n=48)を餌および水道水を自由に与える従来の条件で飼育した。マウスが生後6か月になったとき、実験群のマウス(各群n=8)には、1%のGJ、1%のEFRL、1%のECA、1%のEUFRC、または1%のERI(すなわち、5種の植物から作られた、それぞれのaCPT)を含む従来のマウスの餌をそれぞれ3か月間与えた。非投与の統制群(n=8)のマウスには、これら抽出物を含まない従来の餌を与えた。投与後3か月してから、5つの実験群のマウスに与えていたこれら抽出物を含むマウスの餌をそれぞれ、抽出物の含まない従来の餌と入れ替えた。マウスが生後10か月のとき、全ての群のマウスの歯周炎指数(GI)(色、硬さ、および歯肉組織をプロービングしたときの出血を評価するための歯肉の目視検査に基づく評価法)を評価し、その後、実験したマウスを屠殺した。歯槽の骨量減少の平均(mmSD)は、それぞれ臼歯の根の軸に沿った咬頭先端と歯槽骨の間の距離の合計し、対側から引くことにより評価された。形態計測および組織学の分析が全て群のマウスに行われた。
結果、歯齦炎のスコア(GI)は0から3のスケールシステムで測定された。すなわち、0=炎症なし、1=軽度の炎症、色は若干変化しているが質感はほとんど変化していない、2=中程度の炎症、中程度の光沢、赤み、浮腫、肥大、およびプロービングにより出血する傾向がある、3=ひどい炎症、著しい赤み、肥大、および自然に出血する傾向がある。GIスコア=GIスコアの合計を、スコアを付けされた位置(歯の周りの歯と歯茎の境界)の数で割ったスコアである。
GJ、EFRL、ECA、EUFRC、またはERIをそれぞれ投与された群のマウスのGIスコア(0.601〜0.732±0.301)は、非投与の統制群のマウスのGIスコア(1.232±0.438)よりも著しく低いことが分かった(図2)(p<0.01)。歯槽の骨量減少は著しく防止され、GJおよびその他の抽出物を投与された群のマウスの歯槽骨およびセメント質は、非投与の統制群のマウスと比較すると、よく維持されている(p<0.05)。組織学的調査により、非投与の統制群のマウスには歯周組織内の浮腫および炎症細胞の浸透を含む炎症反応、および歯槽骨吸収が観察された(図3)。さらに、非投与の統制群のマウスの歯周組織の硬さおよび全体積は著しく低下していた。これとは対照的に、GJおよびその他の抽出物を投与されたマウスでは、浮腫および炎症性細胞浸潤が極めて少なく炎症反応が著しく小さかった。さらに、より多くの線維芽細胞および堆積したコラーゲンに特徴付けられた歯周組織の体積および硬さが著しく増加し、歯周組織全体で著しく多くの(9.3〜11.2%)毛細血管が観察された(p<0.05)(図3)。
まとめると、これら観察結果により、5種類の抽出物全て(特にGJ)は、加齢したマウスの歯周組織の浮腫および炎症性細胞浸潤を含む炎症反応、および歯槽骨吸収を抑えただけでなく、歯茎内の歯周組織の大幅な成長および修復も刺激し、歯齦炎、歯周炎、および歯肉退縮を著しく改善させたことが示唆される。要するに、GJ、EFRL、ECA、EUFRCおよびERIを含む抽出物は、加齢に伴う歯周炎症反応、歯齦炎、歯肉退縮および歯槽の骨吸収の進行を著しく抑えることができる。
例4.歯茎の強化および歯茎の後退から回復の効果
歯冠とは歯槽骨の上の歯の上部であり、歯根とは歯槽骨内の歯の下の部分のことを指す。歯冠−歯根の好ましい比率は、歯とその歯茎の予後における臨界指数として、1:1から1:2の間である(Czochrowska et al., 2002)。歯茎の再生におけるCPTの効果を評価するために、従来のマウス用の餌を与えた統制群マウス(SAMP10、n=8、生後6か月)と、1%のaCPTすなわちGJを含む餌を与えた治療SAMP10マウス(n=8、生後6か月)との両方に関して歯冠−歯根の比率を計算した。餌を与え続けて3か月後、統制群のマウスには、臼歯の根元部がより多く露出してしまい芳しくない臼歯の歯冠−歯根比率が確認された。これとは対照的に、1%のaCPTすなわちGJを投与されたマウスの臼歯の歯冠−歯根比率は正常で、その臼歯の根元部の露出は著しく少なかった。
人間の場合、歯のエナメル質の厚さは50才位から薄くなり始める。しかし、SAMP10のマウスによるこの研究では、aCPT非投与の統制群のSAMP10マウスのエナメル質の厚さは生後9か月で著しく減少し、歯の表面のエナメル質の容積は非連続的であることも確認された(図4)。これとは対照的に、CPTすなわちGJを投与された群のマウスのエナメル質の厚さと、容積は両方共維持され(図4)、aCPTすなわちGJの投与により、おそらく歴年齢によるエナメル質の退行性変化が防止されているだろうということが示されている(P<0.001)。
動揺歯.いくつかの歯がグラついていることに気が付いたら、これは歯茎の病気が進行していることの非常に明確な兆候である。患者は、時として絶望的な状況になって初めて歯がグラついていることに気が付くため、患者自身が歯のグラつきに気が付いたときは、大抵の場合、非常に悪い兆候である。
多くの場合、歯茎の病気は口内に常駐する様々な種類の細菌によって引き起こされる。中には進行のはやい歯茎の病気に関連する細菌をより多くの種類口内に有する患者もいる。これらの細菌は歯茎と歯の結合部に溜まり易い。通常の健康な歯茎には、歯の周辺に溝すなわちシワ(深さ1〜3ミリ)がある。歯茎が細菌に感染すると、歯茎が歯から引き離されてしまう可能性がある。歯茎の病気により歯茎が歯から引き離されると、この溝が3ミリより深く「ポケット」状態になる。次いで、歯茎の病気を引き起こす細菌が、歯を支えている下部の骨まで拡がり、最終的に歯がグラつき始める。患者は歯茎の病気を初期の段階で適切に治療しなければ、歯を失いかねない。
人間の口腔疾患に対する、GJ(GJのaCPT)を含む練り歯磨き(CPT−T、配合上記通り)の治療効果も試験してみた。被験者(n=12)(このうちの9人(40〜60才)には、軽い歯茎の後退の症状、2人(52〜70才)には動揺歯の症状、そして1人(46才)にはひどい歯茎の後退および動揺歯の症状がある)に、CPT−T(3%)を1日2回投与してみた。CPT−Tを使用する前の検査では、全て被験者の歯の間に大きな隙間があり、歯茎全体が後退していることが確認された。2人の被験者には、歯の間の隙間が拡がっていることに加え、前面下部(左側)および前面上部(右側)の歯に動揺歯(1〜3個)があり、これら動揺歯は2〜3年を超えた期間に渡ってこげ茶色に変色していた。1人の被験者は全ての歯がひどい動揺歯であり、その全ての歯がこげ茶色に変色し、噛む力も著しく弱っていた。さらに検査すると、その被験者の歯根の過半数(前面、上部、下部、低部、および後部の歯)は、歯茎が後退したことにより露出し、歯茎はプロービングやで歯磨き簡単に出血し、歯齦炎および歯茎の後退を示す口臭も確認された。
これら試験の被験者には、CPT−T(3%、すなわち97グラムの練り歯磨きと、3グラムのGJのaCPT)を用いて、朝と夜の1日2回少なくとも3分間、歯を磨くよう指示をした。その結果、CPT−Tを投与してから2〜3週間後、全ての被験者が、CPTすなわちGJの投与以降、歯の間に食い込んだ固い食品の切片、または食品の繊維が著しく小さくなった瞬間を感じており、これは、おそらく補強された歯茎が歯を所定で位置にしっかりと支えることができるようになったため、歯の間の空間が狭まったことを示している。検査中、全ての被験者の歯の間の隙間は、CPT−Tの投与前よりも約1/3程度狭くなった。2人の被験者の動揺歯は外れにくくなり、患部の歯のこげ茶色の歯も非常に明るい色になった。ほとんどの被験者の赤くて柔らかくなった歯茎は、ピンク色になり著しく回復した。おそらく口内の細菌感染、および炎症が著しく回復したため、口臭もなくなった。
CPT−Tの投与から6週間後、すでに狭まっていた全ての被験者の歯の空間が、維持されていることが確認できた。全体として、CPT−Tを使用後、歯はより白く固くなった。検査中、2人の被験者の動揺歯は完全に正常に戻り、以前は栄養状態が悪かったためにこげ茶色だったこれら動揺歯も、他の全ての正常の歯と同様に普通の白に戻った。いくつかの被験者の赤くて柔らかくなった歯茎は、通常のコーラルピンクに戻り、感染や炎症は全て消えた。口内の細菌感染、炎症、および口腔疾患による口臭も著しく改善された、あるいは完全になくなった。CPT−Tを投与してから6週間後、ひどい歯茎の後退および動揺歯の症状をみせた被験者(46才)も著しく回復し、全ての動揺歯が動きづらくなり、赤く柔らかくなり出血していた歯茎も著しく回復し、噛む力も戻ってきた。しかし、この患者の後退した歯茎と動揺歯を回復させるには、さらに長い時間、さらに高い濃度のCPT−Tを投与する必要がある。上記の全ての結果により、後退した歯茎を強化することで、グラつく歯をしっかりと支えることができ、歯に良好な栄養を供給することが示された。さらに興味深いことには、歯茎の後退があった何人かの被験者の歯根で、以前は露出していた領域は小さくなり、CPT−Tを使用して2か月後にほとんど歯茎に覆われたことが確認できた。その他の試験により、9〜25%のGJの練り歯磨きなどの、練り歯磨きに含まれるより高い濃度のCPTにより、口腔疾患に対してより優れた治療効果が提供されることも確認できた。
いくらかの歯のグラつきは、歯茎の病気が進行している明確な兆候である。通常、動揺歯は臨床的には回復の望みがなく、動揺歯の患者は歯を失うものと見なされている。CPT−Tは病原性の菌の成長を著しく阻害し、組織の回復を促進することができるため、歯茎の病気の直接の原因菌を取り除き、損傷した歯茎の回復力を向上させることができる。その結果、CPT−Tは、上記で実証した通り、歯茎の病気および歯茎の後退を予防し、治療することができる。
例5.歯茎の出血に対するCPT−Tの効果
歯茎の出血が深刻な群、または歯茎の出血が慢性的な群に分けた、9人の被験者(年齢26才から80才までの範囲)に対して、CPT−T(100グラムの練り歯磨きにそれぞれ0.1、0.5または3グラムのGJを含ませた、0.1%、0.5%または3%のもの)を試験してみた。それぞれ朝と夜に1回ずつ2分間、CPT−T(〜1g)で歯を磨くことにより、9人の被験者全てにおいて歯茎の出血が収まることが確認された。歯茎の出血の症状によって、歯茎の出血が止まるのに必要な期間は1〜6日と幅があった。この中の2人の事例では、CPT−Tで歯磨きを行ってから1日後に歯茎の出血が止まった。他の4人の事例では、CPT−Tを処方してから3〜5日後に歯茎の出血が止まった。ここ2〜3年の間に歯茎の出血が再発し完治が難しかった残る3人の事例でも、2週間も磨きを続ければ歯茎の出血が止まった。これとは対照的に、aCPTを含んでいない練り歯磨を使用した9人の統制群の被験者では、1人だけの歯茎の出血が歯磨きを開始してから6日後に止まった。
歯間出血指数(Interdental Bleeding Index)(IBI)とは、出血した歯間の隙間の数を、検査された歯間の隙間の数で割って、最小値0(出血なし)から最大値1(出血)の間でスコアを付けた指数である。出血場所の数を歯の間の場所の数で割ってスコア―付けした。練り歯磨きを使用する前の、偽薬(n=9)の被験者のIBIは、0.387±0.286であり、aCPTを使用する群の被験者(n=9)のIBIは0.365±0.276であった。しかし、練り歯磨きを使用してから2週間後、aCPTを含まない練り歯磨きを使用した偽薬群の被験者のIBIは平均で0.358±0.266となり、一方1〜3%のaCPTを含む練り歯磨きを使用したCPT群の被験者のIBIは0.101±0.098となった。
例6.口腔潰瘍に対するCPT−Tの急激な治療効果
たびたび再発する口腔潰瘍を患っていた6人の被験者(女性4人、男性2人、年齢は48〜82才)に対して、少なくとも3分間、朝と夜の1日2回CPT−T(1%のGJ)を使用して歯磨きをさせる実験を行った。CPT−Tを投与してから1〜7日後、6人の全ての被験者から口腔潰瘍が完全になくなった。口腔潰瘍の治療に要する期間は1日から1週間の間と幅があった。潰瘍の症状、および練り歯磨きに含まれているaCPTの濃度により、軽い潰瘍または偶発性の潰瘍の被験者の場合、1〜3日以内で潰瘍を完治させることができた。しかし、難治の口腔潰瘍の場合、潰瘍の完治まで6〜8日を要した。通常、練り歯磨きに含まれるaCPTの濃度が高いほど、より速く口腔潰瘍を治療することができる。例えば、1人の女性は2年を超える間、たびたび再発する難治の口腔潰瘍を患っていたが、この女性にCPT−T(3%のGJ)を投与して7日後に、治りにくかった彼女の潰瘍が完治した。これとは対照的に、統制群の3人の被験者は偶発性の口腔潰瘍を患っていたが、統制用の練り歯磨きを使用した場合に、練り歯磨きを使用してから完治するまでそれぞれ4日、5日および8日もかかった。ところが、たびたび再発する口腔潰瘍を患うその他の3人の被験者には、潰瘍の回復が見られなかった。
例7.抗口細菌(anti−mouth bacteria)および虫歯の予防に対するCPT−Tの効果
口内には栄養、細胞片、および細胞からの排出物が存在するため、口内は主に連鎖球菌、乳酸菌、ブドウ球菌、コリネバクテリウム、および数多くの嫌気性菌をはじめとする種々の細菌を繁殖させる捕捉的な媒体とっている。齲蝕は、主として乳酸菌属、ミュータンス菌、およびアクチノミセス属などの細菌の酸化代謝物によって発生する。これら細菌は通常、口内で繁殖し、炭水化物を栄養にしている。これら細菌により、歯垢として知られる、粘着性のぬるぬるとした菌膜の被覆が口内や歯の上に形成される。朝歯磨き前に歯垢は良く見られる。これらの歯や歯茎を覆う透明で粘着性のあるぬるぬるとした膜に含まれる細菌が、食べ物に含まれる糖を主に嫌気呼吸を介して代謝するため、細菌から酸性の排出物が排出され、歯の表面が高い酸性に変化する。これらの酸が歯を攻撃し、歯のエナメル質を破壊し、歯のミネラルの含有量が減少し、経時的に虫歯となる。
細菌の歯の表面への付着に対するaCPTの抑制効果
口腔細菌は炭水化物と結合するタンパク質を介して歯の表面に付着するが、aCPTに含まれるポリフェノールは、細菌の炭水化物と結合するタンパク質を沈殿させることができる。したがって、aCPTは細菌の歯への付着を抑制することができ、それにより細菌の付着を減少させることができる。0.3%のaCPTにより、ミュータンス菌の歯の表面への付着を抑えることが可能であることが示されている。
細菌の繁殖に対するaCPTの抑制効果
この研究では、aCPTの細菌の繁殖の抑制効果を試験した。練り歯磨き、シャンプー、化粧品およびボディケア製品などに広く使用されている、安息香酸0.2%、クロルヘキシジン0.2%、パラベン0.4%の、トリクロサン0.3%、ソルビン酸カリウム0.15%などの市販の防腐剤を陽性対象として用いた。
歯間楊枝を用いて、普通の被験者8人(男性4人、女性4人)の歯の間の隙間から口腔細菌を取り出し、そのサンプルを集めた。人間の口内の口腔唾液は水、アミノ酸、タンパク質、脂質、炭水化物、およびいくつかの無機物質で構成される。したがって、細菌の繁殖には適している。歯の表面や歯茎に形成される歯垢は、嫌気性スピロヘータ細菌、およびビブリオ(コンマ形状の細菌)、ブドウ球菌、乳酸菌、連鎖球菌(特に、ミュータンス菌)、およびアクチノマイセス・オドントリティカスを主に含む。
この実験は口腔細菌の繁殖に対するaCPTの抑制効果を検査することを目的としている。サンプル最近が付着した楊枝を、マンニット食塩寒天培地(MSA)のプレート上にそれぞれ無菌状態でストリーキングすることにより細菌を接種した。接種されたプレートを37℃で培養した。
MSAのプレートには、陽性対象として、上記の防腐剤がそれぞれ米国規制委員会の推奨による記載された濃度(クロルヘキシジン0.2%、安息香酸0.2%、パラベン 0.4%、トリクロサン0.3%、ソルビン酸カリウム0.15%)で含まれていた。培養試験の対象ごとのバッチ培養内でaCPTの最大抑制希釈(maximal inhibiting dilution)(MID)を測定した。
これら5種類の防腐剤全てにおいて、歯垢の予防、および細菌の抑制に対するそれらの効果が報告されている。したがって、この研究の狙いは、齲蝕および歯齦炎の発症において重要な役割を果たしている口腔細菌の繁殖に対する、これらの5種類の市販の防腐剤と、異なる濃度のaCPTの効果を比較することである。
これらの培養基は、CO80パーセント、N15パーセントの、およびH5パーセントの雰囲気で人口培養された。全てのサンプルの培養基を0.5×10から1×10cell/mlの間の密度まで培養し、それらをそれぞれの防腐剤、または様々な濃度のaCPTを含む第2の培養基に接種した。異なる被験者から得られた口腔細菌に対する5種類の防腐剤、およびaCPTの繁殖抑制効果は、それぞれの培養皿の細菌の集落をカウントすることにより判定された。
上記の米国で推奨された濃度では、5種類の防腐剤を含む培養皿の全領域のあらゆる場所で口腔細菌の集落が観察されていることが示された(図5)。これと比較して、aCPTを投与された培養基でも0.1%の濃度のaCPTまたはGJでは、防腐剤を投与された口腔細菌の培養基で観察されたものと同じような細菌の集落の数が観察されたが、aCPTすなわちGJの濃度が0.3%になると、細菌の集落の数は約65%程度少なくなった(図5)。0.5%のaCPTすなわちGJが培養基に使用されると、10個未満細菌の集落だけしか観察されなかった(図5)。aCPTすなわちGJの濃度が1%を超えると、観察される細菌の集落5個未満であり、中には全く観察されない場合もあった。
次いで、口内炎の患者の被験者から得られた、液体状の細菌の培養基内の口腔細菌の繁殖に対するaCPTの抑制効果を試験してみた。口内炎を患う被験者は、夜に歯磨きを行い、その翌朝に10%のFBSを含む1640培地で口をすすいだ。この口腔内をすすいだ水を24ウェル培養プレートに移し、それぞれのウェルにすすいだ水を1mlずつ入れた。上記の5種類の防腐剤、およびaCPTの様々な濃度をウェルの3つの平行に並んだ穴にそれぞれ加え、そのプレートを37℃の培養器で培養した。37℃で18時間培養後、aCPT(0.1%、0.2%、0.4%、0.8%、および1.6%)では、抽出された口腔細菌の繁殖に対する用量依存性抑制効果が観察された。これとは対照的に、これらの選択された防腐剤(0.05〜0.3%のクロルヘキシジン、0.05〜0.3%の安息香酸、0.1〜0.5%のパラベン、0.05〜0.4%のトリクロサン、および0.05〜0.2%のソルビン酸カリウム)では、口腔細菌の繁殖に対する弱い用量依存性抑制効果が観察されたものの、これらの防腐剤の抑制効果の効力は、弱く米国の推奨する濃度では、15〜35%の繁殖抑制効果しか確認されなかった(図6)。より対照的には、0.1%のaCPTすなわちGJが投与された細菌の培養基では、培養基内の細菌の繁殖の10%程度の抑制効果、すなわち、米国で推奨する濃度における選択された防腐剤と同じ効果しか見られなかったが、0.2〜1.6%のaCPTすなわちGJでは、細菌の繁殖を、それぞれ60%(0.2%)、81%(0.4%)、90%(0.8%)、96%(1.6%)まで抑制した(図6)。これら結果により、人間の口腔細菌の繁殖に対するaCPTの抑制効果は、広く使用されている5種類の防腐剤よりも優れていることが示された。
よく知られていることだが、防腐剤には、肌の炎症、発癌、および神経系の疾患などの様々な副作用を引き起こす可能性がある。その結果、2009年の新しい米国規格では防腐剤の添加の許容量は0.3%以下と定められた。したがって、低い濃度でもより活動的な防腐剤が好まれるようになった。aCPTは天然の食用植物(GjまたはEFRL、あるいはその他植物)から抽出され、推奨される濃度における上記の広く使用される防腐剤と比較しても、低い濃度(0.1〜0.2%)において同等に活動的あるため、テストされた広く使用される防腐剤の米国の推奨する濃度より1/2〜1/3の少ない用量で同等の対口腔細菌効果を有する、より安全なグリーンな防腐剤として、aCPTは見なされている。さらに、これら防腐剤の米国で推奨される濃度の2/3または同じ濃度までaCPTの濃度を増加させると、その口腔内の細菌の繁殖に対する抑制効果は、テストされた防腐剤の米国で推奨される濃度における抑制効果と比較して1.7〜4倍または2.3〜5.4倍優れたものとなる(図6)。これら結果により、人間の口腔細菌の繁殖に対するaCPTの抑制効果は、5種類の広く使用される防腐剤と比較しても、かなり強力で、かつより安全であることが示唆される。より重要なことは、食用植物の天然の組成は変化していないため、0.1〜1.6%の濃度の何百種類もの異なる天然の化合物を含む活動的な小片は、各化合物に関して数百倍薄くした濃度と同じである。さらに、0.5〜2%aCPTの練り歯磨きの量の1,600,000〜16,000,000倍または400,000〜4,000,000倍に当たる、480〜4800mg/kg(ネズミの体重)の量のaCPTを60日間毎日ネズミに口腔投与しても実験動物に対する明らかな副作用は発生しないことが実行可能なあらゆる毒性試験により実証された。これに加えて、特許出願の作成以前に、0.1〜28%のaCPTを含む練り歯磨きを、それぞれ2年を超える期間試験した結果、口腔疾患に対するその強力なマルチ治療効果(multi−therapeutic effect)以外に、あらゆる好ましくない効果すなわち副作用は確認されなかった。したがって、aCPTの練り歯磨きは、非効率的で、副作用の可能性のある合成防腐剤にとって代わることができるだけでなく、天然の抗菌因子(複数可)、抗炎症因子(複数可)、加齢した歯茎および口腔組織における歯茎の組織の再生促進作用、および組織修復因子(複数可)を含むaCPTの性質により、様々な口腔疾患に対して並外れた治療効果も提供することができ、この組織修復因子は、局部的組織に分化して損傷、あるいは後退した歯茎および口腔組織を修復する幹細胞または前駆細胞を発生させることができる。
例8.歯の上で歯垢が形成されることを抑え予防する効果
試験管内の研究における細菌の繁殖に対するaCPTの抑制効果の実演により、歯の表面に適切な抗歯垢因子が形成される可能性を予測した。これを試験するために、16人の被験者を集め、試験の前に試験の基準線として、歯石を取り除き、ラバー砥石を用いて歯を研磨した。CPT−Tの使用前、使用中(練り歯磨きを使用してから1週間、および1か月)、および使用後(練り歯磨き使用後3か月)に、全ての被験者の歯茎および歯をチェックした。少なくともそれぞれの歯の6箇所をチェックした。歯垢の除去、および歯の表面の歯垢形成の抑制に対してCPT−Tは即効性があるため、CPT−Tを使用して1週間後、歯垢の除去および抗歯垢因子に対するCPT−Tの有効性を評価した。
歯垢指数(PLI)の評価は、0から5のスケールで行われた(0=歯垢なし、1=歯の表面に歯垢の斑点が点在する、2=薄く連続的な歯垢の帯、3=歯の3分の1まで覆う歯垢の帯、4=歯の表面の3分の2まで覆う歯垢、5=歯冠の3分の2以上を覆う歯垢)。歯垢のスコアは、全てのスコアの合計を、スコアを付けされた場所(歯)の数で割った数字である。
朝1回、夜1回の1日2回に少なくとも3分間、実験群の被験者(n=30人、年齢26才〜62才)はCPT−T(1〜3%のGJ)を用いて歯磨きを行い、統制群の被験者(n=30人、年齢24才〜58才)はaCPTを含まないだけでそれ以外は同じ練り歯磨きを用いて歯磨きを行った。試験する練り歯磨きを投与する前に両方の群の全ての被験者におけるPLIの評価が行われ、その結果、平均のPLIスコアは、それぞれ約2.61±1.08(実験群)、および 2.59±1.19(統制群)であることが示された(図7)。しかし、CPT−Tを投与すると、実験群のPLIスコアは次第に下がっていった(第1週で1.61±0.82、第2週で1.03±0.65、CPT−Tの投与後の第4週で0.51±0.31)(p<0.001)(図7)。これとは対照的に、統制群のPLIスコアには、著しい変化が見られなかった(第1週で2.53±1.21、第2週で2.32±1.41、統制練り歯磨きの投与後の第4週で2.36±1.12)(図7)。さらに著しい違いは、練り歯磨きを投与してから2週間後に、朝の歯を磨く前に両方の群の被験者をチェックした際、実験群の歯の表面には明らかな細菌の膜は形成されてなく滑らかなままで、PLIは約1.13±0.61であった。これとは明らかに対照的に、統制群の被験者の歯の表面は薄く粗い細菌の膜で覆われ、PLIは約3.86±1.65あった(p<0.001)(図7)。この薄く粗い歯の膜には、糖およびその他の炭水化物を発酵させて乳酸、およびその他の酸を形成するミュータンス連鎖球菌、およびいくつかの別の細菌を含む多数の細菌が含まれている。繰り返される酸の生成サイクルにより、下部の無機質の表面および表面下の両方が徐々に溶かされ、これにより、不透明な白または茶色のスポットがエナメル質の表面下に現われ、歯の固い組織において元には戻らない構造体の損傷が引き起こされ、最終的に齲蝕に発展する。したがって、CPT−Tの細菌の繁殖の抑制効果、およびそれに伴う歯の表面の歯垢形成の抑制効果により、口臭、齲蝕および口内炎から歯を強力に保護している。より興味深いことには、CPT−Tを投与してから1〜2か月後、歯のエナメル質の無機が溶けることにより、歯の咬合面の数か所に粗く不透明な白のスポットが形成された、実験群の4人の被験者において、歯の咬合面の粗く多孔質の部分にエナメル質が形成され、不透明な色の滑らかな表面となり、普通の外観に修復され、初期段階の虫歯に対して、エナメル質の無機質を補充し、修復が行われたことが示された。統制群のその他3人の被験者の灰白色で粗く多孔質の表面の進行中の損傷とは対照的に、新しく修復された表面の損傷は、固くつやが出てきた。
植物抽出物の同等物
本発明により、5種類の異なる植物の種類、すなわちfructuo rosae laevigakea (EFRL)、Centella asiatica(ECA)、Rubus coreanus(EUFRC)の未熟果、Geum japonicum(GJ)、およびRubus imperialis(ERI)のエタノール抽出物は、お互いに同様の活性化合物の組成を含む。使用においては、それらを互いに同等物として見なすことは可能である。例1で記載され同じ抽出法を使用してそれぞれの同等の植物から作られた抽出物の場合(それぞれEFRL、ECA、EUFRC、GJ、およびERIと呼ばれる)、その同等性は、例3の実験により実証済みである。EFRL、ECA、EUFRC、GJおよびERIは、歯茎の後退の回復、口内の損傷、歯茎の潰瘍、歯茎の出血、および口内炎症に対して同様の効果を有することが確認されている。図2には、例示的なデータが示されている。したがって、全ての目的および意図に対して、それらの植物は、本発明を実施する上で、互いに同等物と見なされる。
本明細書では種々の様態および実施形態を開示してきたが、当業者にはその他の様態および実施形態も明らかである。本明細書で開示された種々の様態および実施形態の開示は説明だけをその目的とし、限定を意図するものではなく、本来の範囲および趣旨は以下の請求項により規定されるものとする。

Claims (12)

  1. 口腔健康管理用製品であって、
    経口で許容可能な剤形内の有効量のaCPTと、
    前記製品が口腔健康の改善用であることを表示する製品表示と、を含む製品。
  2. 請求項1に記載の製品であって、
    前記経口で許容可能な剤形が、クリーム、軟膏、ゲル、フォーム、パウダー、液剤、スプレー、キャンディ、薬用ドロップ、練り歯磨き、うがい液、およびガムからなる群から選択される、製品。
  3. 請求項1に記載の製品であって、
    前記経口で許容可能な剤形が、マウスウォッシュ、マウスリンス、口腔ケア用ゲルストリップ、およびデンタルフロスからなる群から選択される、製品。
  4. 請求項2に記載の製品であって、
    前記経口で許容可能な剤形が、練り歯磨きである、製品。
  5. 請求項1に記載の製品であって、
    前記aCPTは、Fructuo rosae laevigakea(EFRL)、Centella asiatica(ECA)、Rubus coreanus(EUFRC)の未熟果、Geum japonicum(GJ)、およびRubus imperialis(ERI)からなる群から選択される植物種から作られる、製品。
  6. 請求項5に記載の製品であって、
    前記経口で許容可能な剤形が、クリーム、軟膏、ゲル、フォーム、パウダー、液剤、スプレー、キャンディ、薬用ドロップ、マウスウォッシュ、練り歯磨き、うがい液、およびガムからなる群から選択される、製品。
  7. 請求項5に記載の製品であって、
    前記経口で許容可能な剤形が、マウスウォッシュ、マウスリンス、口腔ケア用ゲルストリップ、およびデンタルフロスから群から選択される、製品。
  8. 請求項7に記載の製品であって、
    前記経口で許容可能な剤形が、練り歯磨きである、製品。
  9. 口腔健康を改善する方法であって、
    Fructuo rosae laevigakea(EFRL)、Centella asiatica(ECA)、Rubus coreanus(EUFRC)の未熟果、Geum japonicum(GJ)、およびRubus imperialis(ERI)からなる群から選択される植物種の抽出物を含む健康管理用製品を人に投与する方法。
  10. 請求項9に記載の製品であって、
    前記健康管理用製品が、練り歯磨きの形態である、方法。
  11. 請求項5に記載の製品であって、
    前記aCPTが、Geum japonicumから作られる、製品。
  12. 請求項5に記載の製品であって、
    前記aCPTが、rosae laevigakeaから作られる、製品。
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