以下、添付図面を参照して、本発明の実施の形態について説明する。
図1は、この実施の形態に適用されるパチンコ遊技機1を正面からみた正面図である。パチンコ遊技機1は、縦長の方形状に形成された外枠(図示せず)と、外枠の内側に開閉可能に取り付けられた遊技枠とで構成される。また、パチンコ遊技機1は、遊技枠に開閉可能に設けられている額縁状に形成されたガラス扉枠2を有する。遊技枠は、外枠に対して開閉自在に設置される前面枠(図示せず)と、機構部品等が取り付けられる機構板(図示せず)と、それらに取り付けられる種々の部品(後述する遊技盤6を除く)と、を含む構造体である。
図1に示すように、パチンコ遊技機1は、額縁状に形成されたガラス扉枠2を有する。ガラス扉枠2の下部表面には打球供給皿(上皿)3がある。打球供給皿3の前面には、チャンスボタン16が設けられている。チャンスボタン16は、可変表示装置9などの演出手段において所定の種類の演出が実行されているときに、遊技者がこれを操作し、その操作が所定の操作条件を満たしたか否かにより、演出の結果を変化させることができるボタンである。
打球供給皿3の下部には、打球供給皿3に収容しきれない遊技球を貯留する余剰球受皿4、回転操作することにより遊技領域7に打球を発射する打球操作ハンドル(操作ノブ)5が設けられている。また、ガラス扉枠2の背面には、遊技盤6が着脱可能に取り付けられている。なお、遊技盤6は、それを構成する板状体と、その板状体に取り付けられた種々の部品とを含む構造体である。また、遊技盤6の前面には打ち込まれた遊技球が流下可能な遊技領域7が形成されている。
遊技領域7の中央付近には、液晶表示装置(LCD)により構成される可変表示装置9を備えている。可変表示装置9の周囲を取り巻く円形状の枠の中に、演出手段としての装飾ランプ25a〜25cと、役物26とが設けられている。遊技領域7の可変表示装置9よりも下側には、2つの始動入賞口14a、14bが上下に並べて配置されている。下側にある始動入賞口14bには、開放状態となることで遊技球の入賞を容易にする可変入賞装置15が設けられている。可変入賞装置15が閉鎖状態となっているときには、始動入賞口14bへの遊技球の入賞が困難になるが、完全に不可能となってしまう訳ではない。
始動入賞口14a、14bの下方には、大入賞口21が開放状態とされる特別可変入賞装置20が設けられている。特別可変入賞装置20が閉鎖状態となっているときには、大入賞口21に遊技球が全く入賞し得なくなる。特別可変入賞装置20が設けられている位置は、遊技者が可変表示装置9を見て遊技を進めている場合には、大入賞口21が開放状態となっているのかどうかが遊技者にほとんど分からないような位置となっている。特別可変入賞装置20の両側には、7セグメントLEDにより構成される特別図柄表示器10a、10bが設けられている。特別図柄表示器10a、10bでは、7セグメントLEDによって表示される特別図柄の変動表示を行なっている。
特別図柄表示器10aは、始動入賞口14aへの遊技球の入賞に基づいて特別図柄の変動表示を行い、特別図柄表示器10bは、始動入賞口14bへの遊技球の入賞に基づいて特別図柄の変動表示を行う。特別図柄表示器10a、10bの両方で同時に特別図柄の変動表示が行われることはなく、特別図柄表示器10aまたは10bで特別図柄の変動表示が終了した後に、特別図柄表示器10a、10bの両方で変動表示を開始させるための条件が成立しているときには、いわゆる電チューサポートがされる方の特別図柄表示器10bで優先的に特別図柄の変動表示が行われることとなる。
特別図柄表示器10a、10bに表示される表示結果のうち特定表示結果(大当たり図柄)には、第1特定表示結果(確率変動大当たり図柄)と、第2特定表示結果(確変昇格大当たり図柄)と、第3特定表示結果(突然確変大当たり図柄)と、第4特定表示結果(時短大当たり図柄)とが含まれる。第1特定表示結果、第2特定表示結果、第3特定表示結果、第4特定表示結果以外の表示結果は、ハズレ図柄となる。
特別図柄表示器10a、10bの表示結果の態様は、7つのセグメントの点灯/非点灯の組み合わせにより、2^7−1=127通りある(^は、べき乗を表し、7セグメントの全てを非点灯する態様が特別図柄表示器10a、10bの表示結果として除かれるため、1だけマイナスされている)。第1特定表示結果、第2特定表示結果、第3特定表示結果、第4特定表示結果には、「0」〜「9」の数字などの遊技者にとって比較的分かり易い図柄を含んでいてよいが、意味のある文字とは認識できない7つのセグメントの点灯/非点灯の組み合わせも採用しており、特別図柄表示器10a、10bの表示結果だけからは大当たりの種類を特定することが非常に困難なものとなっている。
特別図柄表示器10a、10bに第1特定表示結果(確率変動大当たり図柄)を表示した後には、後述する第1大当たり遊技状態に遊技状態を制御する。第1大当たり遊技状態の終了後に、通常遊技状態(或いは、確率変動状態とならない時短状態)よりも大当たり確率が高くなる確率変動状態に遊技状態が制御される。また、次の大当たり(種類を問わず)が発生するまでの間、時短状態(特別図柄及び普通図柄の変動表示の時間が短縮される状態)に遊技状態が制御される(時短状態の制御は、第1大当たり遊技状態が開始された時点で開始される)。
特別図柄表示器10a、10bに第2特定表示結果(確変昇格大当たり図柄)を表示した後には、後述する第1大当たり遊技状態に遊技状態を制御する。第1大当たり遊技状態の終了後に、前記した確率変動状態に遊技状態が制御される。また、次の大当たり(種類を問わず)が発生するまでの間、時短状態(特別図柄及び普通図柄の変動表示の時間が短縮される状態)に遊技状態が制御される(時短状態の制御は、第1大当たり遊技状態が開始された時点で開始される)。
特別図柄表示器10a、10bに第3特定表示結果(突然確変大当たり図柄)を表示した後には、後述する第2大当たり遊技状態に遊技状態を制御する。第2大当たり遊技状態の終了後に、次の大当たり(種類を問わず)が発生するまでの間、時短状態(特別図柄及び普通図柄の変動表示の時間が短縮される状態)に遊技状態が制御されるとともに、前記した確率変動状態に遊技状態が制御される。
特別図柄表示器10a、10bに第4特定表示結果(時短大当たり図柄)を表示した後には、後述する第1大当たり遊技状態に遊技状態を制御する。第1大当たり遊技状態の終了後に、次の大当たり発生までの大当たり確率を通常とする(確率変動状態の大当たり確率よりも低くなる)通常遊技状態に制御される。時短状態には、特別図柄表示器10a、10bにおいて100回の変動表示が行われるまでの間だけ制御される(時短状態の制御は、第1大当たり遊技状態が開始された時点で開始される)。なお、通常遊技状態において何れかの種類の大当たりが発生することを、初当たりという。
また、可変表示装置9では、3×3のマトリクス状に並べられた9つの飾り図柄表示領域9a〜9iにて飾り図柄を縦方向にスクロールさせる変動表示を行っている。可変表示装置9の大当たりラインは、縦方向の3ライン、横方向の3ライン、及び対角線の2ラインの合計8ラインが設定されている。飾り図柄の種類としては、「7」及び「ブランク図柄」の他に、「リンゴ」を含む複数種類のフルーツ図柄がある。
可変表示装置9は、特別図柄表示器10a、10bで行われる変動表示の内容を、飾り図柄の変動表示によって演出効果を高めて遊技者に表示するための変動表示装置である。特別図柄表示器10a、10bで特別図柄の変動表示が継続されている限り、飾り図柄の変動表示が一旦停止(仮停止)していても、大当たり抽選及び大当たり種別抽選に対する確定的な表示結果が示されたことにはならない。
また、可変表示装置9においては、飾り図柄を変動表示させ、大当たり抽選及び大当たり種別抽選の結果に応じた飾り図柄を停止させる変動表示の他に、キャラクタの表示などによる演出(後述する先読み予告やリーチ予告などの各種演出)が行われる。さらに、可変表示装置9は、特別図柄の変動表示に合わせて飾り図柄の変動表示を行うため以外に、大当たりラウンド演出を行うためにも用いられる。
なお、第1特定表示結果(確率変動大当たり図柄)の表示によっても、第2特定表示結果(確変昇格大当たり図柄)の表示によっても、第1大当たり状態から確率変動状態への制御(+時短)という遊技状態の制御には全く変わりがない。もっとも、特別図柄表示器10a、10bに第1特定表示結果(確率変動大当たり図柄)が表示されたときには、この時点で可変表示装置9に表示される飾り図柄を全てフルーツ図柄で揃える、或いは2ライン以上に「7」を揃えるなどして確率変動状態に制御される旨が報知される。
これに対して、第2特定表示結果(確変昇格大当たり図柄)が表示されたときには、この時点では可変表示装置9に表示される飾り図柄を第4特定表示結果(時短大当たり図柄)が表示されたときと同様に1ラインだけ「7」の図柄で揃えるなどして確率変動状態に制御される旨が報知されない。第4特定表示結果(時短大当たり図柄)が表示されたときには、可変表示装置9に表示される飾り図柄を1ラインだけ「7」で揃える。確率変動状態に制御される旨は、大当たりラウンド演出において行われる確変昇格演出によって報知される。
第3特定表示結果(突然確変大当たり図柄)が表示されたときには、可変表示装置9に表示される飾り図柄を特別図柄表示器10a、10bにハズレ図柄(何れのラインにも「7」が揃わず、全てフルーツ図柄で揃えられることもない)が表示されたときと同様の3つの飾り図柄が揃っていない態様にするものとなっている。なお、突然確率大当たりによって制御される第2大当たり遊技状態は、後述するように大入賞口21の開放が極短期間で終了し、大当たりラウンド演出も実行されずに次の変動表示の開始までハズレ図柄を表示したままとしておく。もっとも、第2大当たり遊技状態が終了して次の変動表示が開始されたときには、確率変動状態に制御されていることとなる。
また、特別図柄表示器10aまたは10bにて特別図柄の変動表示が行われ、可変表示装置9にて飾り図柄の変動表示が行われているときに、装飾ランプ25a〜25cの点灯や役物26の駆動などによる演出が実行されることがある。なお、パチンコ遊技機1において実行される演出には、大きく分けて予告と告知とがあるが、予告とは、それによって示される内容が生じる可能性があることの報知であり、それによって示される内容が生じることを確定的に示す報知である告知と区別される。但し、一連の演出の終了間際までは可能性を示すだけであるが、当該一連の演出の最終部分で確定的な報知がなされる場合は、最終部分が告知、それよりも前の部分が予告としての意味を持つ演出となる。
可変表示装置9の表示領域のうちの下部の表示領域に、始動入賞口14a、14bに遊技球が入り始動条件が成立したが未だ特別図柄表示器10a、10bの開始条件(例えば、前回の特別図柄の変動表示の終了、大当たり遊技状態の終了)が成立していない始動条件の成立回数として後述する主基板31のRAM55(図2参照)に記憶された保留記憶数をそれぞれ表示する保留記憶数表示手段として特別図柄保留記憶表示部11a、11bが設定されている。
特別図柄保留記憶表示部11aは、4つのアイコンの表示部を備え、始動入賞口14aへの有効始動入賞(本実施形態では、保留記憶数が4未満のときの始動入賞)がある毎に、表示するアイコンをその時点で表示されているアイコンの右側に1つ追加し、特別図柄表示器10aにて特別図柄の変動表示が開始される毎に、最も左側に表示されていたアイコン(今回開始した変動表示に対応していたもの)を消去するとともに、他に表示されていたアイコンを1つずつ左にずらして表示する。すなわち、表示するアイコンの数を1つ減らす。特別図柄保留記憶表示部11bについても、同様に、始動入賞口14bへの有効始動入賞がある毎に、アイコンを1つ増やし、特別図柄表示器10bにて特別図柄の変動表示が開始される毎に、アイコンを1つ減らす。
RAM55(図2参照)には、特別図柄表示器10aにおける特別図柄の始動条件が成立(打球が始動入賞口14aへ入賞)したときに主基板31のCPU56(図2参照)により抽出された大当たり判定用乱数等の各種乱数の抽出順番を特定可能に記憶する4つの保留記憶バッファが設けられている。特別図柄保留記憶表示部11aは、保留記憶バッファのうちで各種乱数の記憶された保留記憶バッファの数(保留記憶数)を特定可能に表示する。保留記憶バッファには、抽出された各種乱数のうち未だ開始条件(例えば、前回の特別図柄の変動表示の終了、大当たり遊技状態の終了)が成立していない数値データが予め定められた上限数として4個まで記憶される。特別図柄保留記憶表示部11bについても、同様の保留記憶バッファが設けられている。
上記した始動入賞口14a、14bに入った入賞球は、それぞれ遊技盤6の背面に導かれ、始動口スイッチ62a、62b(図2参照)によって検出される。可変入賞装置15は、ソレノイド71(図2参照)によって開放状態とされる。後述する普通図柄の変動表示の結果に応じてソレノイド71により可変入賞装置15が開放状態となることにより、遊技球が始動入賞口14bに入賞し易くなり(始動入賞し易くなり)、遊技者にとって有利な状態となる。
また、特別可変入賞装置20は、ソレノイド72(図2参照)により可動して大入賞口21に遊技球が入賞可能な受入可能状態と、大入賞口21に遊技球が入賞不能な受入不能状態とに変化可能であり、受入可能状態において大入賞口21が開放状態とされるものとなる。また、特別可変入賞装置20から遊技盤6の背面に導かれた入賞球は、カウントスイッチ63(図2参照)で検出される。遊技盤6の背面には、大入賞口21内の経路を切り換えるためのソレノイド73(図2参照)も設けられている。
特別可変入賞装置20は、第1大当たり遊技状態において、大入賞口21の開放から一定時間経過するまで、または所定個数(例えば、10個)の遊技球が入賞するまで大入賞口21を開放状態とする。大入賞口21が開閉されてから一定期間(例えば、第1大当たり遊技状態においては30秒、第2大当たり遊技状態においては1秒)経過するまで、または所定個数(例えば、10個)の打球が大入賞口21に入賞するまでが1ラウンドである。大当たり遊技状態は、このような大入賞口21の開放が所定回数(例えば、15回)に亘って繰り返して提供される遊技状態である。
特別可変入賞装置20は、また、第2大当たり遊技状態において、大入賞口21を極めて短い時間(例えば、0.2〜0.5秒程度)で2回だけ開放状態とする。突然確変大当たりしたときに確率変動状態に制御される前の遊技状態が、この第2大当たり遊技状態である。第2大当たり遊技状態は、大入賞口21の開放が極めて短い期間しか行われないため、打球が1つも大入賞口21に入賞しないまま終了して、確率変動状態に制御されることとなる場合も多く、第2大当たり遊技状態に制御されたこと自体が遊技者に気づかれない場合も多い。
また、遊技領域7の右側には、「○」及び「×」と付された左右一対のLEDからなる普通図柄表示器12が設けられている。この普通図柄表示器12は、普通図柄と呼ばれる複数種類の識別情報(例えば、「○」及び「×」)を変動表示可能なものである。
ゲート28a、28bを遊技球が通過したことがゲートスイッチ61(図2参照)で検出されると、普通図柄当たり判定用乱数が抽出されて主基板31(図2参照)に搭載されるRAM55(図2参照)の普通図柄バッファに格納される。この実施の形態では、RAM55(図2参照)の普通図柄バッファに記憶可能な普通図柄当たり判定用乱数の記憶数の上限は、4個となっている。普通図柄表示器12において普通図柄の表示状態が変化(「○」および「×」が交互に点灯)する変動表示を開始できる状態(前回の普通図柄表示器12における変動表示の終了)であれば、普通図柄表示器12において普通図柄の変動表示が開始される。
普通図柄表示器12の上方には、普通図柄バッファに格納される普通図柄当たり判定用乱数の記憶数を表示する所定数(この実施の形態では4つ)のLEDを有する普通図柄保留記憶表示器13が設けられている。この普通図柄保留記憶表示器13は、ゲート28a、28bを遊技球が通過したことがゲートスイッチ61で検出されて新たに普通図柄当たり判定用乱数が記憶されると、点灯するLEDを1つ増やす。普通図柄表示器12にて普通図柄(例えば、「○」及び「×」)の変動表示が開始される毎に点灯しているLEDを1減らす。
普通図柄表示器12にて、○と×の付された左右のランプ(点灯時に図柄が視認可能になる)が交互に点灯することによって普通図柄の変動表示が行われ、変動表示は所定時間(例えば、時短状態であれば2.9秒、時短状態でなければ29.2秒)継続する。そして、変動表示の終了時に○の付された左側のランプが点灯すれば当たりとなる。普通図柄表示器12における変動表示の表示結果が当たりである場合には、可変入賞装置15が所定時間(例えば、時短状態であれば2.9秒、時短状態でなければ1.4秒)だけ開放状態になる。
普通図柄の変動表示の結果を当たりとするか否かは、ゲート28a、28bを遊技球が通過し、ゲートスイッチ61で遊技球が検出されたときに抽出された普通図柄当たり判定用乱数の値が所定の普通図柄当たり判定値と合致したか否かによって決定される。この当たり確率は、時短状態では非常に高い(例えば、35/36)が、時短状態でなければ低い(例えば、1/36)となっている。時短状態は、このように可変入賞装置15が開放状態にある割合が非常に多いので、遊技者の手持ちの遊技球を減少させずに(或いは、減少したとしても減少量はごく僅かで)、遊技を進められる状態となっている。
ゲート28aの左方及び下方、並びにゲート28bの下方及び右方には、それぞれ入賞口29a〜29dが設けられている。入賞口29a〜29dに遊技球が入賞したことが入賞口スイッチ64a(図2参照)で検出されると、所定数の遊技球が払い出される。遊技球の払い出しは、始動入賞口14a、14b、大入賞口21への遊技球の入賞によっても行われるが、ゲート28a、28bを遊技球が通過しても行われない。
遊技盤6の遊技領域7の下部には、入賞しなかった打球が取り込まれるアウト口30が設けられている。また、遊技領域7の外側の左右上部には、所定の音声出力として効果音や音声を発声する2つのスピーカ27が設けられている。遊技領域7の外周上部、外周左部および外周右部には、前面枠に設けられた天枠ランプ40、枠ランプ左41および枠ランプ右42が設けられている。
また、図1には示していないが。パチンコ遊技機1には打球操作ハンドル5を操作することにより駆動モータを駆動し、駆動モータの回転力を利用して遊技球を遊技領域7に発射する打球発射装置45(図2参照)が設けられている。打球発射装置45から発射された遊技球は、遊技盤6に遊技領域7を囲むように円形状に載設された打球レールを通って遊技領域7に入り、その後、遊技領域7を下りてくる。始動入賞口14a、14b、大入賞口21、入賞口29a〜29dのいずれにも入賞しなかった遊技球は、アウト口30から排出されるものとなっている。
図2は、本実施形態に係るパチンコ遊技機1の回路構成の概要を表したブロック図である。主基板31には、プログラムに従ってパチンコ遊技機1を制御する基本回路53が搭載されている。基本回路53は、ゲーム制御用のプログラム等を記憶するROM54、ワークメモリとして使用される記憶手段としてのRAM55、プログラムに従って遊技の信号を制御するCPU56、及び表示制御基板80等に制御信号を送信するI/Oポート部57を含む。
この実施の形態では、ROM54、RAM55、CPU56及びI/Oポート部57を含む基本回路53は、1チップマイクロコンピュータとして構成されているが、この基本回路53を構成する1チップマイクロコンピュータには、パチンコ遊技機1の電源が遮断されている間にもバックアップバッテリから電力が供給されている。すなわち、RAM55に記憶されているデータは、バックアップバッテリから電力が供給される限りにおいて、パチンコ遊技機1の電源が遮断されている間も保持される。
なお、CPU56はROM54に格納されているプログラムに従って制御を実行するので、以下、CPU56が実行する(または、処理を行う)ということは、具体的には、CPU56がプログラムに従って制御を実行することである。このことは、主基板31以外の他の基板に搭載されているCPUについても同様である。また、この実施の形態で用いられる遊技制御用マイクロコンピュータとは、主基板31に搭載されるCPU56、ROM54、RAM55、I/Oポート部57、等の周辺回路のことである。
また、ゲートスイッチ61、始動口スイッチ62a、62b、カウントスイッチ63、入賞口スイッチ64、余剰球受皿4がいっぱいになったときに検出する満タンスイッチ(図示しない)、カウントスイッチ短絡信号(図示しない)、からの信号を基本回路53に与えるスイッチ回路32、可変入賞装置15を開閉するソレノイド71、特別可変入賞装置20を開閉するソレノイド72、大入賞口21内に設けられたシーソーを可動するソレノイド73、等を基本回路53からの指令に従って駆動するソレノイド回路33、電源投入時に基本回路53をリセットするためのシステムリセット回路(図示しない)、基本回路53から与えられるデータに従って、大当たり遊技状態(第1大当たり遊技状態、第2大当たり遊技状態)の発生を示す大当たり情報等の情報出力信号をホールコンピュータ等の外部装置に対して出力する情報出力回路34、も主基板31に搭載されている。
また、電源起動時において内部状態(RAM55)をリセットするリセットスイッチ93、及び電源のON/OFF切り替えを行うメインスイッチ94も、主基板31に接続されており、これらのスイッチの検出信号を基本回路53へと送る。これらのスイッチ93、94は、パチンコ遊技機1の内部に設けられている。
また、主基板31に搭載されたCPU56は、特別図柄表示器10a、10bの表示制御、および、普通図柄表示器12の表示制御を行う。さらに、普通図柄保留記憶表示器13の発光制御を行う。
主基板31に設けられた遊技制御用マイクロコンピュータ(CPU56及びROM54、RAM55等の周辺回路)は、プリペイドカード等が挿入されることによって球貸しを可能にするカードユニット50、遊技盤6に設けられた複数の入賞口にて遊技球の入賞を検出したことにより賞球払い出しを行う球払出装置44、を制御する払出制御基板36に払出制御信号を送信する。また、遊技制御用マイクロコンピュータは、打球操作ハンドル5を操作することにより打球発射装置45を駆動制御して遊技球を遊技領域7に向けて発射制御する発射制御基板37に発射制御信号を送信する。
さらに、遊技制御用マイクロコンピュータは、表示制御基板80に演出制御コマンド(演出制御信号)を送信する。演出制御コマンドを受信することにより表示制御基板80に設けられた表示制御用マイクロコンピュータ(表示制御用CPU(図示しない)、RAM(図示しない)、ROM(図示しない)、I/Oポート部(図示しない)、等の周辺回路)は、可変表示装置9の表示制御を行う。表示制御用マイクロコンピュータには、パチンコ遊技機1の電源が遮断されている間にバックアップバッテリから電力が供給されず、そのRAMに記憶されたデータは、パチンコ遊技機1の電源が遮断されると消去される。
表示制御用CPUは、ROMに格納されたプログラムに従って動作し、主基板31から演出制御コマンドを受信すると、受信した演出制御コマンドに従って可変表示装置9の表示制御を行う。具体的には、画像表示を行う表示制御機能及び高速描画機能を有するVDP(図示しない)により可変表示装置9の表示制御を行う。表示制御用CPUは、受信した演出制御コマンドに従ってキャラクタROM(図示しない)から必要なデータを読み出す。キャラクタROMは、可変表示装置9に表示される画像の中でも使用頻度の高いキャラクタ画像データ、具体的には、人物、怪物、文字、図形または記号等を予め格納しておくためのものである。
そして、表示制御用CPUは、キャラクタROMから読み出したデータをVDPに出力する。VDPは、表示制御用CPUからデータが入力されたことに基づいて動作する。この実施の形態では、可変表示装置9の表示制御を行うVDP(図示しない)が表示制御基板80に搭載されている。また、VDPは、表示制御用CPUとは独立した二次元のアドレス空間を持ち、そこにVRAM(図示しない)をマッピングしている。VDPは、キャラクタ画像データに従って可変表示装置9に表示するための画像データを生成し、VRAMに展開する。VRAMは、VDPによって生成された画像データを展開するためのフレームバッファメモリである。そして、可変表示装置9に出力する。なお、可変表示装置9の表示制御には、特別図柄の変動表示、大当たりラウンド演出、保留記憶のアイコン表示などが含まれる。
また、表示制御基板80には、スイッチ回路(図示しない)を介してチャンスボタン16が接続されており、チャンスボタン16の操作によって内容が変化される演出を可変表示装置9において実行しているときには、チャンスボタン16の操作を検出した検出信号に基づいて、可変表示装置9における画像の表示を制御するものとしている。
また、この実施の形態では、表示制御基板80に設けられた表示制御用マイクロコンピュータは、音声出力基板70にスピーカ27の駆動信号を出力することによりスピーカ27の音声出力制御を行うとともに、ランプドライバ基板35に役物、ランプ・LEDの駆動信号を出力することによりパチンコ遊技機1に設けられた役物、ランプ・LEDの発光制御を行う。すなわち、表示制御基板80に搭載される表示制御用マイクロコンピュータは、主基板31から送信される可変表示装置9の表示制御、ランプ・LEDの点灯制御、遊技音発生等の演出の制御に関する指令情報としての演出制御コマンド(制御信号)に基づいて可変表示装置9、スピーカ27、パチンコ遊技機1に設けられるランプ・LED等の発光体の制御を行う演出制御用マイクロコンピュータである。
以下、この実施の形態にかかるパチンコ遊技機1における特別図柄表示器10a、10bにおける特別図柄の変動表示、及び可変表示装置9における飾り図柄の変動表示について説明する。特別図柄の変動表示の結果を大当たりとするか否か(大当たり抽選)、大当たりとする場合にはいずれの種類の大当たりとするか(大当たり種別抽選)、さらには特別図柄の変動パターンをいずれとするか(変動パターンの決定)は、始動入賞時に抽出される各種乱数に基づいて、特別図柄表示器10a、10bにおける特別図柄の変動表示の開始条件が成立したときに決定される。
まず、大当たりの決定について説明する。図3(a)は、ROM54に記憶されている大当たり判定用テーブルを示す図である。特別図柄の変動表示の結果を大当たりとするか否かは、図3(a)の大当たり判定用テーブルと、始動入賞時に抽出された乱数のうちの大当たり判定用乱数(ランダムR:0〜65535)の値とに基づいて決定される。通常時(非確率変動時)においては、大当たり判定用乱数の値が1000〜1059、13320〜13477であれば、大当たりとすることを決定し、それ以外の値であれば、ハズレとすることを決定する。一方、確率変動時においては、大当たり判定用乱数の値が1020〜1519、13320〜15004であれば、大当たりとすることを決定し、それ以外の値であれば、ハズレとすることを決定する。
次に、大当たり種別の決定について説明する。図3(b)及び図3(c)は、ROM54に記憶されている大当たり種別判定用テーブルを示す図である。ここで、図3(b)は、特別図柄表示器10bで特別図柄の変動表示を行う場合に大当たり種別を決定するための大当たり種別判定用テーブルであり、図3(c)は、特別図柄表示器10aで特別図柄の変動表示を行う場合に大当たり種別を決定するための大当たり種別判定用テーブルである。
特別図柄表示器10bで特別図柄の変動表示を行う場合には、大当たり判定用乱数及び大当たり判定用テーブルに基づいて特別図柄の変動表示の結果を大当たりとする旨が決定された場合、さらに始動入賞時に抽出された乱数のうちの大当たり種別判定用乱数(ランダムQ:0〜9)の値が0、3、5または7であれば確率変動大当たりと決定し、1であれば確変昇格大当たりと決定し、9であれば突然確変大当たりと決定し、2、4、6または8であれば時短大当たりと決定する。
一方、特別図柄表示器10aで特別図柄の変動表示を行う場合には、大当たり判定用乱数及び大当たり判定用テーブルに基づいて特別図柄の変動表示の結果を大当たりとする旨が決定された場合、さらに始動入賞時に抽出された乱数のうちの大当たり種別判定用乱数(ランダムQ:0〜9)の値が3、5または7であれば確率変動大当たりと決定し、1であれば確変昇格大当たりと決定し、0または9であれば突然確変大当たりと決定し、2、4、6または8であれば時短大当たりと決定する。
ところで、確率変動状態では、30分の1の確率で大当たりとなるが、新たな大当たりが発生するまで特別図柄の変動表示が実行される回数の制限なく、時短状態に制御される。時短状態では、可変入賞装置15が開放状態にある割合が非常に高く、特別図柄表示器10aよりも優先される特別図柄表示器10bにて特別図柄の変動表示を行わせるための始動入賞口14bの入賞による保留記憶が途切れることが少ない。また、第1大当たり遊技状態に制御されている間の時間は非常に長いので、ほとんど例外なく、第1大当たり遊技状態が終了するまでに始動入賞口14aの入賞による保留記憶も、始動入賞口14bの入賞による保留記憶を何れも一杯になる。
特別図柄表示器10aで特別図柄の変動表示を行う場合に確率変動大当たりまたは確変昇格大当たりとなる確率は、大当たりとなった場合の2/5(=4/10)であるのに対して、特別図柄表示器10bで特別図柄の変動表示を行う場合に確率変動大当たりまたは確変昇格大当たりとなる確率は、大当たりとなった場合の1/2(=5/10)もある。つまり、一旦確率変動大当たりまたは確変昇格大当たりが発生すると、それに基づく第1大当たり遊技状態が終了してから、さらに遊技者が多くの遊技球を獲得することができる第1大当たり遊技状態を介して次も確率変動状態となる割合が高いものとなる。
次に、特別図柄の変動パターンの決定について説明する。特別図柄の変動パターンは、開始条件が成立したとき(すなわち、特別図柄及び飾り図柄の変動表示が開始するとき)に、特別図柄の変動表示の結果(大当たりとするか否か、大当たりとする場合は大当たりの種別)に応じて決定されるものとなる。また、変動パターンを決定する場合、まず始動入賞時に抽出された乱数のうちの変動種別判定用乱数の値に基づいて変動パターンの種別を決定し、さらに始動入賞時に抽出された変動パターン判定用乱数の値に基づいて変動パターンを決定するものとなる。
変動パターンの種別には、ハズレとすることが決定された場合には、非リーチハズレ、ノーマルリーチハズレ、スーパーリーチハズレの3種類がある。確率変動大当たり、確変昇格大当たりまたは時短大当たりとすることが決定された場合には、ノーマルリーチ当たり、スーパーリーチ当たりの2種類がある。突然確変大当たりとすることが決定された場合には、突然確変の1種類であるが、これは、飾り図柄の変動に関しては非リーチハズレと基本的に同じものになる。
ここで、ノーマルリーチ(ノーマルリーチハズレまたはノーマルリーチ当たり)、スーパーリーチ(スーパーリーチハズレまたはスーパーリーチ当たり)は、何れも変動表示の過程において1番目、2番目にそれぞれ停止される左と右の飾り図柄が同一の種類の図柄で揃うリーチ表示態様が出現するパターンであるが、ノーマルリーチは、中の飾り図柄の変動表示の態様がハズレの場合と異ならない(最終的に停止される図柄は異なる)変動パターンであり、変動表示の開始から終了までに要する時間が非リーチハズレと比べて通常の場合には変わりがない。
一方、スーパーリーチは、リーチ表示態様が出現した後、最後に停止される中の飾り図柄の変動表示が通常とは異なる態様となる演出表示(ここで、例えばキャラクタのバトル演出などによるリーチ演出を行うものとしてもよい)が行われる変動パターンとなっており、変動表示に要する時間が非リーチハズレやノーマルリーチと比べると、かなり長くなっている。確率変動大当たり、確変昇格大当たりまたは時短大当たりでのスーパーリーチ当たりには、再抽選のある変動パターンと再抽選のない変動パターンとがあり、変動種別判定用乱数の値に基づいて変動パターンの種別がスーパーリーチ当たりと決定されたときに、変動パターン判定用乱数の値に基づいて具体的な変動パターンの種類として決定される。
もっとも、保留記憶の数が3以上となったときには、選択された変動パターンの本来の変動表示時間よりも特別図柄及び飾り図柄の変動表示が実行される時間が短縮される(4となったときには、3となったときよりも一層短縮される)。非リーチハズレとノーマルリーチハズレでは、通常の場合に変動表示が実行される時間に変わりがないものの、ノーマルリーチハズレでは一旦リーチ表示態様を出現させてから変動表示の結果を導出させるという過程を経ることになるため、短縮された変動時間については、このような過程を経ないでよい非リーチハズレよりもノーマルリーチハズレの方が長くなる。
また、スーパーリーチハズレの変動パターンでは、リーチ表示態様が表示された後のリーチ演出が一部省略されて、飾り図柄の変動表示の結果が表示されることがある。もっとも、スーパーリーチハズレの変動パターンで短縮された変動時間は、ノーマルリーチハズレよりも短くなることはない。
次に、ハズレが決定されたときの変動パターンの種別の振り分けについて詳細に説明する。ハズレが決定されたときの変動パターンの種別の振り分けは、時短状態においても電チューサポートのない始動入賞口14aの始動入賞に基づいて行われる変動表示と、時短状態において電チューサポートがされる始動入賞口14bの始動入賞に基づいて行われる変動表示とで異なる。
図4、図5は、ROM54に記憶されている変動パターンの種別決定用テーブルのうちで、ハズレが決定されたときに適用される変動パターンの種別決定用テーブルを示す図であり、図4は、始動入賞口14aの始動入賞に対するものを、図5は、始動入賞口14bの始動入賞に対するものを示す。始動入賞口14a、14bの何れの始動入賞に対しても、ハズレが決定されたときには、特図ゲームの開始時における保留記憶の数に応じて種別の振り分けが異なっている。図4、図5の例では、変動種別判定用の乱数が0〜251の範囲の値を取るものとして説明する。
図4に示すように、始動入賞口14aの始動入賞に対しては、保留記憶の数が2以下であるときには、変動種別判定用の乱数の値が0〜99だと非リーチハズレ、100〜229だとノーマルリーチハズレ、230〜251だとスーパーリーチハズレとなる。一方、保留記憶の数が3以上であるときには、変動種別判定用の乱数の値が0〜199だと非リーチハズレ、200〜229だとノーマルリーチハズレ、230〜251だとスーパーリーチハズレとなる。変動種別判定用乱数の値が0〜99であるときには、始動入賞の時点(この時点では、変動表示の開始時における保留記憶数が確定しない)で非リーチハズレとなることが確定されることになる。
一方、図5に示すように、始動入賞口14bの始動入賞に対しては、保留記憶の数が2以下であるときには、変動種別判定用の乱数の値が0〜139だと非リーチハズレ、140〜229だとノーマルリーチハズレ、230〜251だとスーパーリーチハズレとなる。一方、保留記憶の数が3以上であるときには、変動種別判定用の乱数の値が0〜209だと非リーチハズレ、210〜229だとノーマルリーチハズレ、230〜251だとスーパーリーチハズレとなる。変動種別判定用乱数の値が0〜139であるときには、始動入賞の時点(この時点では、変動表示の開始時における保留記憶数が確定しない)で非リーチハズレとなることが確定されることになる。
図4、図5から分かるように、スーパーリーチハズレに振り分けられることとなる乱数の範囲は、保留記憶の数に関わらずに同じであるのに対して、非リーチハズレとノーマルリーチハズレに振り分けられる乱数の範囲は、保留記憶の数に応じて異なっていることになる。非リーチハズレに振り分けられる乱数の範囲は、変動表示の開始時における保留記憶の数が同じであれば、始動入賞口14bの始動入賞に対するものの方が、始動入賞口14aの始動入賞に対するものよりも大きいこととなる。また、始動入賞の時点で非リーチハズレに振り分けられることが確定する乱数の範囲についても、変動表示の開始時における保留記憶の数が同じであれば、始動入賞口14bの始動入賞に対するものの方が、始動入賞口14aの始動入賞に対するものよりも大きいこととなる。
一方、図示を省略するが、確率変動大当たりが決定されたときに適用される変動パターンの種別決定用テーブル、確変昇格大当たりが決定されたときに適用される変動パターンの種別決定用テーブル、時短大当たりが決定されたときに適用される変動パターンの種別決定用テーブル、突然確変大当たりが決定されたときに適用される変動パターンの種別決定用テーブルでは、保留記憶の数に応じた種別の振り分けの違いはない。
ノーマルリーチ当たり、スーパーリーチ当たりの各々に振り分けられることとなる乱数の範囲は、保留記憶の数に関わらずに同じである。また、スーパーリーチ当たりに振り分けられる比率は、ハズレが決定されたときにスーパーリーチハズレに振り分けられる比率よりも大幅に高くなっている(この関係は、特図ゲームの開始時における保留記憶の数に応じて変わることはない)。ノーマルリーチ当たりに振り分けられる比率は、ノーマルリーチハズレに振り分けられる比率に対して、ここまで大幅に高くなることはない。つまり、確率変動大当たり、確変昇格大当たり、または時短大当たりとなる信頼度は、ノーマルリーチよりもスーパーリーチの方が高い。
変動パターンの種別が決定されると、そこからより細かく変動パターンが決定される。ここで、変動パターンの種別が非リーチハズレ、確率変動大当たり、確変昇格大当たりまたは時短大当たりでノーマルリーチ当たりの場合に選択される変動パターンは、それぞれ1種類だけである。ノーマルリーチハズレの場合に選択される変動パターンには、飾り図柄のすべりコマ数が異なる複数の変動パターン(1コマ前、1コマ後、2コマ後)がある。スーパーリーチハズレの場合に選択される変動パターンには、飾り図柄のすべりコマ数が異なる複数の変動パターン(1コマ前、1コマ後、2コマ後)がある。
ところで、特別図柄表示器10aにおける特別図柄の変動表示と、特別図柄表示器10bにおける特別図柄の変動表示では、変動パターンの種別、種類に違いがなく、その変動表示の結果が同じもの同士を比較すれば、変動パターン種別の選択確率にも違いはない。もっとも、特別図柄表示器10aにおいて特別図柄の変動表示を行う場合は、特別図柄表示器10bの場合よりも、確変昇格大当たりの確率が高く、突然確変大当たりの確率が低くなっている。これを加味すると、特別図柄表示器10a、10bの何れにおいて特別図柄の変動表示を行うかによって、変動パターンの種別、種類の選択に違いが生じてくる。
例えば、特別図柄表示器10a、10bの何れで特別図柄の可変表示を行う場合でも、ハズレの比率は変わらないので、大当たり抽選の結果がハズレである場合にスーパーリーチハズレが選択される割合は変わらない。これに対して、大当たり抽選の結果が大当たりである場合、特別図柄表示器10aで特別図柄の可変表示を行う場合、特別図柄表示器10bで特別図柄の可変表示を行う場合よりも、突然確変大当たりとなる確率が低いので、スーパーリーチ当たりが選択される確率が相対的に高い。従って、特別図柄表示器10aで特別図柄の変動表示を行う方が、特別図柄表示器10bで特別図柄の変動表示を行うときよりも、スーパーリーチで変動表示が実行されることが多くなりやすい。
前述したとおり、特別図柄表示器10a、10bにおいて特別図柄が変動表示されるときにおいては、可変表示装置9において飾り図柄が変動表示される。特別図柄表示器10a、10bにおける特別図柄の変動表示は、開始条件の成立によって直ちに開始されるものとなるが、可変表示装置9における飾り図柄の変動表示は、開始条件の成立によって直ちに開始されるのではなく、開始条件の成立から一定の遅延時間を経過してから開始されるものとなっている。なお、特別図柄の変動表示は、開始条件が成立してから選択された変動パターンに応じて定められた変動表示時間を経過するまで実行されることとなる。
上記したように、特別図柄表示器10a、10bに第1、第2または第4特定表示結果が導出されると、すなわち確率変動大当たり、確変昇格大当たりまたは時短大当たりが発生すると、第1大当たり遊技状態に制御されるが、この確率変動大当たり、確変昇格大当たりまたは時短大当たりを発生させることとなる始動入賞が発生しても、そのときには先の始動入賞に基づいて特別図柄の(飾り図柄も)変動表示が行われていることもある。この場合は、始動入賞に基づいて変動表示を行う権利(始動入賞時に抽出された各種乱数)が保留記憶されるが、保留記憶されている旨が特別図柄保留記憶表示部11a、11bに表示されて、遊技者に報知されるものとなる。
もっとも、先の始動入賞に基づく飾り図柄の変動表示が行われている間や、第1大当たり遊技状態が終了して大当たりラウンド演出から再び飾り図柄の変動表示が行われるときにおいて保留記憶の表示が行われていても、保留記憶の中に大当たりやスーパーリーチハズレとなる乱数が含まれていることがあるが、当該先の始動入賞に基づく飾り図柄の変動表示自体は後の始動入賞についての保留記憶とは関係なく行われるので、保留記憶の中に大当たりやスーパーリーチハズレとなる乱数が含まれていることを遊技者が知ることはできない。
しかし、飾り図柄の変動表示が行われている間や、第1大当たり遊技状態が終了して大当たりラウンド演出から再び飾り図柄の変動表示が行われるときにおいて、未だ実際には開始されていない変動表示において大当たりやスーパーリーチになるかどうかが分からないからと言って、遊技者がこれを期待していない訳ではない。第1大当たり遊技状態が終了した時点での保留記憶に対しては、特に確率変動大当たりまたは確変昇格大当たりに基づく第1大当たり遊技状態の終了後には確率変動状態に制御され、高い確率で大当たりとなるために、その保留記憶のうちに大当たりとなるものが含まれていることを遊技者が期待し、スーパーリーチが出現した程度で遊技者の期待感が満足されるものではない。
そこで、この実施の形態にかかるパチンコ遊技機1では、このような遊技者の期待感を煽るために、飾り図柄の変動表示が行われている間には保留記憶により次以降に行われる変動でノーマルリーチ当たり、スーパーリーチ当たりまたはスーパーリーチハズレとなる可能性があることを報知する先読み予告(変動時先読み予告)を行うものとしている。また、第1大当たり遊技状態が終了して大当たりラウンド演出から再び飾り図柄の変動表示が開始されるときには、始動入賞口14a、14bについての保留記憶中に大当たりとなるものが含まれている可能性を報知する先読み予告(大当たり後先読み予告)を行うものとしている。なお、第1大当たり遊技状態の終了後の最初の変動表示においても、変動時先読み予告は実行される。
変動時先読み予告は、当該変動表示の開始時点で始動入賞口14a、14bの保留記憶にノーマルリーチ当たり、スーパーリーチ当たりまたはスーパーリーチハズレとなるものが含まれていれば、当該変動表示で必ず「リンゴ」を1以上含む飾り図柄の組み合わせを選択し、当該変動表示の終了時に停止された飾り図柄に含まれている「リンゴ」を所定のキャラクタ図柄に変更して表示させることにより行われる。なお、大当たり遊技状態または時短状態に制御されている間における始動入賞口14aへの始動入賞に基づいて実行される変動表示は、これがノーマルリーチ当たり、スーパーリーチ当たりまたはスーパーリーチハズレとなる場合にも先読み予告がされないが、これについての詳細は、後述する。
大当たり後先読み予告は、通常、大当たり遊技状態の終了までに始動入賞口14a、14bの何れの保留記憶とも満杯になっており、特別図柄保留記憶表示部11a、11bに合計8つのアイコンが表示されているものとなる。特別図柄保留記憶表示部11a、11bにアイコンの表示された8つの保留記憶の各々に対して先読み抽選を行い、その結果に応じて各アイコンの表示色を、赤色、橙色、または黄色に変化させて先読み予告を行うものとしている。なお、大当たり後先読み予告の詳細についても後述する。
変動時先読み予告や大当たり後先読み予告を実行するか否かは、表示制御基板80の表示制御用CPUが決定するものとなっている。また、飾り図柄の変動表示についても、具体的に表示される飾り図柄の種類は、主基板31のCPU56によって行われた大当たりの決定、大当たり種別の決定、及び変動パターンの決定、並びに変動開始時における保留記憶スキャン(後述)の結果に従うことを条件として、表示制御基板80の表示制御用CPUが決定するものとなっている。
これらの決定を表示制御基板80の表示制御用CPUが行えるようにするため、始動入賞口14aまたは14bに遊技球が入賞したときに、このときに抽出された大当たり判定用乱数により大当たりとなるか否か(さらに、大当たり種別乱数により決定される大当たりの種別を含んでいてもよい)、及び変動種別判定用乱数の値により選択される変動パターンの種別、並びに遊技球が入賞した始動入賞口の種類と該始動入賞後の保留記憶数と対応付けた始動入賞コマンドが、主基板31のCPU56から表示制御基板80の表示制御用CPUへと送信されるものとなっている。なお、始動入賞コマンドの詳細については、後述する。
また、特別図柄表示器10aまたは10bにて特別図柄の変動表示を開始させるときに、これを開始させた始動入賞と、この変動表示において大当たりとするか否か及び大当たり種別と、決定された変動パターンとを示す開始時コマンドが、主基板31のCPU56から表示制御基板80の表示制御用CPUへと送信されるものとなっている。また、遊技状態が変化したときに、変化した後の遊技状態を示す遊技状態コマンドが、主基板31のCPU56から表示制御基板80の表示制御用CPUへと送信されるものとなっている。
また、特別図柄表示器10aまたは10bに第1特定表示結果〜第6特定表示結果が導出されて、大当たり遊技状態に制御されたときには、各ラウンドが開始される度に当該ラウンド数を示す大当たりラウンドコマンドが、主基板31のCPU56から表示制御基板80の表示制御用CPUへと送信されるものとなっている。各ラウンドが終了したときにも、ラウンドの終了を示すラウンド終了コマンドが、主基板31のCPU56から表示制御基板80の表示制御用CPUへと送信されるものとなっている。
さらに、パチンコ遊技機1の電源を立ち上げたときには、前回の電源遮断時のデータがクリアされずにRAM55に記憶されていれば該電源遮断時の状態(始動入賞口14a、14bの保留記憶がある場合もあり)から、RAM55がクリアされていれば初期状態(始動入賞口14a、14bの何れの保留記憶の数も0)から、遊技の進行を開始させることとなるが、このときに、始動入賞口14a、14bの保留記憶数と遊技状態とを特定可能な情報を含む起動時コマンドが、主基板31のCPU56から表示制御基板80の表示制御用CPUへと送信されるものとなっている。
表示制御基板80の表示制御用CPUは、最新に受信した始動入賞コマンド(或いは起動時コマンド)で示される始動入賞口14a、14bの保留記憶の数を開始時コマンドを受信する度に減算していくことで、始動入賞口14a、14bの保留記憶の数をリアルタイムで把握できるものとなっている。
次に、始動入賞口14aまたは14bに遊技球が入賞したときに送信される始動入賞コマンドについて説明する。図6は、始動入賞コマンドのフォーマットを示す図である。図示するように、始動入賞コマンドには、始動入賞コマンドA101と、始動入賞コマンドB102と、始動入賞コマンドC103の3種類がある。何れも上位バイトが制御情報(コマンドの種類毎の識別情報)、下位バイトが当該コマンドで表示制御基板80の表示制御用CPUに通知される情報となっている。
始動入賞コマンドA101は、始動入賞口14aについての保留記憶数(始動入賞後)を始動入賞口14aに遊技球が入賞したときには、始動入賞コマンドA101と始動入賞コマンドC103とが、始動入賞口14bに遊技球が入賞したときには、始動入賞コマンドB102と始動入賞コマンドC103とが送信される。なお、本発明の実施の形態において、単に「始動入賞コマンド」と言った場合には、特に説明がない限り、始動入賞コマンドA101と始動入賞コマンドC103のセット、または始動入賞コマンドB102と始動入賞コマンドC103のセットを指すものとする。
始動入賞コマンドA101は、始動入賞口14aについての保留記憶数(始動入賞後)を示すコマンドであり、始動入賞コマンドB102は、始動入賞口14bについての保留記憶数(始動入賞後)を示すコマンドである。始動入賞口14a、14bの何れであるかは、上位バイトの制御情報で区別される。
始動入賞コマンドC103は、当該始動入賞に基づく変動表示で確率変動大当たり、確変昇格大当たりまたは時短大当たりとなるか否かを示す大当たり情報と、当該始動入賞に基づく変動表示で選択される変動パターンの種別を示す変動パターン情報とを含むコマンドである(以下、大当たり情報と変動パターン情報とを合わせて、先読み情報と呼ぶ場合がある)。大当たり抽選においてハズレが決定されることとなる場合の始動入賞に基づく変動表示で選択される変動パターンの種別がスーパーリーチハズレとなることも非リーチハズレとなることも確定されていない場合の変動パターン情報は、ノーマルリーチハズレとなることを示すが、変動パターン情報がノーマルリーチハズレであるからといって当該変動表示の変動パターンがノーマルリーチハズレで確定されているとは限らない(当該変動表示が開始されるときの保留記憶数によっては、非リーチハズレが選択される場合もある)。
始動入賞コマンドC103は、上位バイトの識別情報で始動入賞口14a、14bの何れであるかが識別されないが、必ず始動入賞コマンドA101または始動入賞コマンドB102の何れかに続けて送信されるため、表示制御基板80の表示制御用CPUは、コマンドの送受信において異常が生じない限り、1つ前に送信されたコマンド(始動入賞コマンドA101または始動入賞コマンドB102)を参照すれば、始動入賞口14a、14bの何れの始動入賞に基づいて送信されたものであるかを識別することができる。
始動入賞口14aに遊技球が入賞していたときには、CPU56は、これについての保留記憶数(始動入賞後)を読み出して始動入賞コマンドA101を生成するとともに、大当たり判定用乱数に基づいて大当たりとなるか否か、及び変動種別判定用乱数に基づいて選択される変動パターンの種別(但し、非リーチハズレとノーマルリーチハズレの何れとなるかが未だ確定しない場合は、暫定的にノーマルリーチハズレ)を判定して始動入賞コマンドC103を生成し、順番にRAM55の送信コマンドキューに挿入する。始動入賞口14bに遊技球が入賞していたときも同様に、始動入賞コマンドB102と始動入賞コマンドC103を生成し、順番にRAM55の送信コマンドキューに挿入する。
後述する始動口スイッチ通過処理に他の処理が割り込んだり、他の種類のコマンドを生成して送信コマンドキューに挿入することはないので、始動入賞コマンドA101と始動入賞コマンドC103、或いは始動入賞コマンドB102と始動入賞コマンドC103は、必ず続けて送信コマンドキューに挿入される。主基板31のCPU56は、後述するように2ms毎に割り込み処理を行い、各割り込み処理で送信コマンドキューから1つコマンドを取り出して表示制御基板80の表示制御用CPUに送信しているが、送信コマンドキューに未だコマンドが残っていれば、その先頭のコマンドが次の割り込み処理で送信される。
従って、主基板31のCPU56による始動入賞コマンドの生成、及びCPU56と表示制御基板80の表示制御用CPUとの間での送受信の処理で異常(コマンド取りこぼし、コマンドのデータ化け)が生じていない限り、始動入賞コマンドA101が送信された割り込み処理の次の割り込み処理で必ず対応する始動入賞コマンドC103が、始動入賞コマンドB102が送信された次の割り込み処理で必ず対応する始動入賞コマンドC103が送信されることとなる。
一方、表示制御基板80の表示制御用CPUは、33ms毎の割り込み処理でコマンドの受信を判定しているが、例えば、始動入賞口14aの始動入賞に基づいて送信される始動入賞コマンドA101及び始動入賞コマンドC103の受信は、コマンドの生成及び送受信の処理で異常が生じていない限り、同じ回の割り込み処理か、連続した2回の割り込みで判定されることとなる。
表示制御基板80に搭載された表示制御用マイクロコンピュータのRAMには、主基板31のCPU56から送られてきたコマンドに応じて各種演出を実行できるようにするため(つまり、コマンドが示す内容を把握できるようにするため)のコマンド保存領域が設けられている。図7は、表示制御基板80に搭載された表示制御用マイクロコンピュータに含まれるRAMに設けられるコマンド保存領域を示す図である。ここでは、本発明の説明に必要な始動入賞コマンドと開始時コマンドの保存領域のみを示している。
図示するように、表示制御用マイクロコンピュータに含まれるRAMには、始動入賞コマンドの保存領域80a、80bと、開始時コマンドの保存領域80cとが設けられている。始動入賞コマンドの保存領域80a、80bは、それぞれ始動入賞口14a、14bの各々に対応する始動入賞コマンドを先入れ先出し方式で保存する領域である。すなわち、RAM55に設けられた始動入賞口14a、14bの各々に対する保留記憶バッファに対応させて、始動入賞コマンド80a、80bの保存領域が設けられている。
例えば、始動入賞口14aについての始動入賞コマンド(始動入賞コマンドA101及び始動入賞コマンドC103)を受信すると、そのうちの始動入賞コマンドC103が始動入賞コマンドの保存領域80aの最後尾に保存される(始動入賞コマンドA101が示す内容は、始動入賞コマンドの保存領域80a、80bの違いと、始動入賞コマンドC103の記憶順で特定されるため、特に記憶させておく必要はない)。但し、第1大当たり遊技状態または時短状態に制御されているときに始動入賞口14aについての始動入賞コマンドを受信したときは、そのときの内容で始動入賞コマンドC103を始動入賞コマンドの保存領域80aの最後尾に保存させるのではなく、大当たり情報がハズレ、変動パターン情報がノーマルリーチハズレを示す内容に書き換えて始動入賞コマンドC103を保存させる。
始動入賞口14bについての始動入賞コマンド(始動入賞コマンドB102及び始動入賞コマンドC103)を受信すると、そのうちの始動入賞コマンドC103が始動入賞コマンドの保存領域80bの最後尾に保存される(始動入賞コマンドB102が示す内容は、始動入賞コマンドの保存領域80a、80bの違いと、始動入賞コマンドC103の記憶順で特定されるため、特に記憶させておく必要はない)。第1大当たり遊技状態または時短状態に制御されているときに始動入賞口14bについての始動入賞コマンドを受信したときは、始動入賞口14aについての始動入賞コマンドを受信したときと異なり、そのときの内容のままで始動入賞コマンドC103を始動入賞コマンドの保存領域80aの最後尾に保存させる。
また、パチンコ遊技機1の電源投入時に送信された起動時コマンドを受信すると、受信した起動時コマンドが示す始動入賞口14a、14bの保留記憶の数だけ、それぞれ始動入賞コマンドの保存領域80a、80bに大当たり情報がハズレ、変動パターン情報がノーマルリーチハズレを示す内容の始動入賞コマンドC103(実際には受信していないもの)を書き込む。
始動入賞口14aについての開始時コマンドを受信すると、始動入賞コマンドの保存領域80aの先頭に保存されている始動入賞コマンドC103が取り出される。取り出された始動入賞コマンドC103は、このタイミングでは先読み予告などの演出の決定に用いられずに破棄される。始動入賞コマンドの保存領域80bについても、同様である。始動入賞コマンドの保存領域80a、80bは、開始時コマンドを受信する度に参照され、変動時先読み予告と大当たりと先読み予告(但し、第1大当たり遊技状態終了後に最初に開始時コマンドを受信したとき)の決定が行われる。
また、開始時コマンドの保存領域80cは、可変表示装置9において実行中の変動表示についての開始時コマンドを保存する領域である。例えば、始動入賞口14aについてのものであるか始動入賞口14bについてのものであるかを問わず、表示制御基板80の表示制御用CPUが開始時コマンドを受信すると、当該開始時コマンドを開始時コマンドの保存領域80cに記憶させる。開始時コマンドの保存領域80cに保存された開始時コマンドは、当該開始時コマンドに基づく飾り図柄の変動表示が終了したときに消去される。
以下、この実施の形態にかかるパチンコ遊技機において、表示制御基板80の表示制御用CPUにより実行される演出の制御について説明する。表示制御基板80の表示制御用CPUは、開始時コマンドを受信すると、後に説明するように飾り図柄の種類を選択し、開始時コマンドが示す変動パターンで飾り図柄を可変表示装置9において変動表示させた後、選択した種類の飾り図柄を可変表示装置9に表示して、変動表示の結果を示すものとしている。
なお、飾り図柄の変動表示の詳細な変動パターンは、当該変動表示が開始されるときになって初めて決定される。また、変動パターンの種別も、ハズレ時においては当該変動表示が開始されるときにおける保留記憶の数に応じて決定される。もっとも、変動パターンの種別としてスーパーリーチハズレが決定される変動種別判定用乱数の値の範囲は、変動表示が開始される際の保留記憶の数がどの様になっていても変わりがない。また、変動パターンの種別として非リーチハズレが決定される変動種別判定用乱数の値の範囲として、変動表示が開始される際の保留記憶の数がどの様になっていても変わりがない、すなわち非リーチハズレが確定している範囲がある。
表示制御基板80の表示制御用CPUは、始動入賞口14a、14bに遊技球が入賞したときに始動入賞コマンドを受信しているが、この始動入賞コマンドのうちの始動入賞コマンドC103は、確率変動大当たり、確変昇格大当たりまたは時短大当たりとなるか否かを示す大当たり情報と選択される変動パターンの種別(ノーマルリーチハズレか非リーチハズレかが確定してない場合は、暫定的にノーマルリーチハズレ)を示す変動パターン情報とを先読み情報として含むものとなっている。
従って、この始動入賞コマンドを解析すれば、大当たりとなることを判断することができる。さらに、当該始動入賞コマンドに対応した変動表示での詳細な変動パターンまでは判断できないものの、ノーマルリーチ当たり、スーパーリーチ当たりまたはスーパーリーチハズレの種別に属する変動パターンとなるかどうかだけは判断することができる。或いは、非リーチハズレとなる全ての場合は判断できないものの、非リーチハズレとしかなり得ないかどうか(すなわち、非リーチハズレが確定している)ことは判断することができる。
まず、変動時先読み予告及び大当たり後先読み予告の説明に先立って、停止すべき飾り図柄の組み合わせ選択について説明する。前述したように、飾り図柄の変動表示において具体的に停止されることとなる飾り図柄の組み合わせは、主基板31のCPU56によって行われた大当たりの決定、大当たり種別の決定、変動パターンの決定に従うことを条件として、各回の変動表示が開始されるときに、すなわち開始時コマンドを受信したときに、表示制御基板80の表示制御用CPUが決定するものとなっている。
変動時先読み予告を実行するためには、当該変動表示で必ず「リンゴ」を1以上含む飾り図柄の組み合わせを選択する必要がある。「リンゴ」を1以上含む飾り図柄の組み合わせを100%の確率で選択するということは、変動時先読み予告を実行することを決定することと同義とも言える。もっとも、「リンゴ」を1個以上含む飾り図柄の組み合わせが選択されても、当該変動表示の終了時に停止された飾り図柄に含まれている「リンゴ」を所定のキャラクタ図柄に変更して表示させなければ、変動時先読み予告を実行したことにはならない。
図8(a)は、各回の可変表示装置9に停止されることとなる飾り図柄の組み合わせを選択するためのテーブルを示す図である。この図では、本発明に必要な限りの区分で、飾り図柄の組み合わせを示すものとしている。例えば、当たり図柄には、1ライン以上の「7」揃い(さらに、ラインも様々)、及び全てフルーツ図柄(フルーツ図柄の組み合わせも様々)といったように、様々な組み合わせが含まれている。
また、ハズレ図柄のうちの「リンゴ」ありにも、「リンゴ」が1個以上含まれているという共通点はあるが、「リンゴ」の数(全てフルーツ図柄とならないので4個〜8個まで)や停止位置の異なる、様々な組み合わせが含まれている。但し、「リンゴ」ありが100%の確率で選択されるのは非リーチハズレの変動パターンである場合なので、最終停止図柄以外の8個が「リンゴ」となる組み合わせ(全てフルーツ図柄とする当たり図柄に対するリーチ表示態様となる)は含まれない。また、ハズレ図柄のうちの「リンゴ」なしにも、「リンゴ」が含まれていないという共通点があるが、リーチ表示態様が表示されるものやされないもの、停止される図柄の異なる、様々な組み合わせが含まれている。
受信した開始時コマンドにおいて、当該変動表示で確率変動大当たり、確変昇格大当たり、または時短大当たりとなることを示している場合には、停止すべき飾り図柄の組み合わせとして、必ず当たり図柄を選択する。このような確率変動大当たり、確変昇格大当たりまたは時短大当たりとなる変動表示は、そもそも変動時先読み予告が実行される場合とならず、「リンゴ」を含む飾り図柄の組み合わせが停止されても、キャラクタ図柄に変更して表示されることはない。
受信した開始時コマンドにおいて、当該変動表示で確率変動大当たり、確変昇格大当たり、または時短大当たりとなることを示していない、すなわちハズレまたは突然確変大当たりとなることを示している場合には、当該開始時コマンドにおいて示される変動パターンの種別が、非リーチハズレであるか否かを判定する。なお、ここで非リーチハズレであると判定するのは、あくまでも変動表示の開始時における変動パターンの決定に基づくのであって、始動入賞時に非リーチハズレとなることが確定していなくてもよい。
受信した開始時コマンドにおいて示される変動パターンの種別が非リーチハズレでない、すなわちノーマルリーチハズレ、スーパーリーチハズレまたは突然確変の何れかとなる場合には、ハズレ図柄のうちの「リンゴ」ありをa1の確率で選択し、ハズレ図柄のうちの「リンゴ」なしをa2の確率で選択する(但し、a1+a2=1)。なお、このような変動パターンの種別がノーマルリーチハズレ、スーパーリーチハズレまたは突然確変の何れかである変動表示は、そもそも変動時先読み予告が実行される場合とならず、「リンゴ」を含む飾り図柄の組み合わせが停止されても、キャラクタ図柄に変更して表示されることはない。
受信した開始時コマンドにおいて示される変動パターンの種別が非リーチハズレである場合には、始動入賞コマンドの保存領域80a、80bに保存されている各々の始動入賞コマンドC103を変動表示の実行順に順次参照し、その変動パターン情報にノーマルリーチ当たり、スーパーリーチ当たりまたはスーパーリーチハズレ(図では、スーパーリーチと表す)となるものが含まれているか否かを判定する(ノーマルリーチ当たり、スーパーリーチ当たりまたはスーパーリーチハズレとなるものが参照された時点で、それより後の実行順となる変動表示についての変動パターン情報は参照しない)。
始動入賞コマンドの保存領域80a、80bに保存されている各々の始動入賞コマンドC103の変動パターン情報にノーマルリーチ当たり、スーパーリーチ当たりまたはスーパーリーチハズレとなるものが含まれていない場合には、ハズレ図柄のうちの「リンゴ」ありをa1の確率で選択し、ハズレ図柄のうちの「リンゴ」なしをa2の確率で選択する(但し、a1+a2=1)。この場合は、受信した開始時コマンドに基づく変動表示は、変動時先読み予告の対象となる(変動時先読み予告の実行が確定する訳ではない)変動表示であり、「リンゴ」ありのハズレ図柄が選択された場合には、後述する変動時先読み予告の実行の決定に従って変動時先読み予告が実行される場合がある。
始動入賞コマンドの保存領域80a、80bに保存されている各々の始動入賞コマンドC103の変動パターン情報にノーマルリーチ当たり、スーパーリーチ当たりまたはスーパーリーチハズレとなるものが含まれている場合には、ノーマルリーチ当たり、スーパーリーチ当たりまたはスーパーリーチハズレとなる変動表示よりも前の実行順で始動入賞コマンドの保存領域80a、80bに保存されている全ての始動入賞コマンドC103の変動パターン情報が非リーチハズレの確定を示しているか否かを判定する。
ノーマルリーチ当たり、スーパーリーチ当たりまたはスーパーリーチハズレとなる変動表示よりも前の実行順で始動入賞コマンドの保存領域80a、80bに保存されている全ての始動入賞コマンドC103の変動パターン情報が非リーチハズレの確定を示している訳ではない場合には、ハズレ図柄のうちの「リンゴ」ありをa1の確率で選択し、ハズレ図柄のうちの「リンゴ」なしをa2の確率で選択する(但し、a1+a2=1)。この場合は、受信した開始時コマンドに基づく変動表示は、変動時先読み予告の対象とならない。
ノーマルリーチ当たり、スーパーリーチ当たりまたはスーパーリーチハズレとなる変動表示よりも前の実行順で始動入賞コマンドの保存領域80a、80bに保存されている全ての始動入賞コマンドC103の変動パターン情報が非リーチハズレの確定を示している場合には、受信した開始時コマンドに基づく変動表示で変動時先読み予告が実行されることが確定するので、100%の確率でハズレ図柄のうちの「リンゴ」ありを選択する。
次に、変動時先読み予告の実行の決定について説明する。図8(b)は、変動時先読み予告の実行を決定するためのテーブルである。変動時先読み予告の実行の決定は、上記したように変動時先読み予告の実行が確定する変動表示、或いは「リンゴ」ありの飾り図柄の組み合わせが選択された変動時先読み予告の対象となる変動表示において、表示制御基板80の表示制御用CPUにより行われる。なお、この実施の形態にかかるパチンコ遊技機1では、変動時先読み予告を飾り図柄の変動表示が停止してから行っているため、変動表示の終了よりも前までに変動時先読み予告の実行の決定を行えばよいが、ここでは、開始時コマンドの受信時において決定されるものとする。
図示するように、変動時先読み予告の実行が確定する場合、すなわち受信した開始時コマンドにおいて確率変動大当たり、確変昇格大当たりまたは時短大当たりとなることを示してなく、受信した開始時コマンドが示す変動パターンの種別が非リーチハズレとなり、始動入賞コマンドの保存領域80a、80bに保存されている各々の始動入賞コマンドC103の変動パターン情報にノーマルリーチ当たり、スーパーリーチ当たりまたはスーパーリーチハズレとなるものが含まれ、且つノーマルリーチ当たり、スーパーリーチ当たりまたはスーパーリーチハズレとなる変動表示よりも前の実行順で始動入賞コマンドの保存領域80a、80bに保存されている全ての始動入賞コマンドC103の変動パターン情報が非リーチハズレの確定を示している場合には、100%の確率で変動時先読み予告を実行することを決定する。
一方、変動時先読み予告の対象となる場合、すなわち変動時先読み予告の実行が確定する場合、すなわち受信した開始時コマンドにおいて確率変動大当たり、確変昇格大当たりまたは時短大当たりとなることを示してなく、受信した開始時コマンドが示す変動パターンの種別が非リーチハズレとなり、始動入賞コマンドの保存領域80a、80bに保存されている各々の始動入賞コマンドC103の変動パターン情報にノーマルリーチ当たり、スーパーリーチ当たりまたはスーパーリーチハズレとなるものが含まれてなく、「リンゴ」ありの飾り図柄の組み合わせが選択された場合には、変動時先読み予告を実行することをb1の確率で選択し、変動時先読み予告を実行しないことをb2の確率で選択する(但し、b1+b2=1)。
変動時先読み予告の実行が決定された変動表示では、表示制御基板80の表示制御用CPUは、可変表示装置9の飾り図柄表示領域9a〜9iの全てで飾り図柄の変動表示が停止された後に、該停止された飾り図柄の組み合わせのうちに含まれる「リンゴ」の図柄(必ず1つ以上含まれる)を、キャラクタ図柄に変更して表示させるものとしている。
次に、第1大当たり遊技状態が終了した後の最初の変動表示において実行される大当たり後先読み予告の実行の決定について詳細に決定する。図9は、特別図柄保留記憶表示部11a、11bに表示されるアイコンの表示色の変化による始動入賞口14a、14bについての保留記憶中に大当たりとなるものが含まれているかどうかの先読み予告を決定するためのテーブルである。
第1大当たり遊技状態が終了した後の最初の変動表示が開始されるときにおいて、表示制御基板80の表示制御用CPUにより、特別図柄保留記憶表示部11a、11bに表示されるアイコンの表示色が、保留記憶毎、すなわち始動入賞コマンドの保存領域80a、80bに記憶された大当たり情報毎に決定される。但し、前回以前の大当たりラウンド演出のエンディング演出の開始時に先読み予告の決定がされたアイコンに対しては、改めて決定が行われることはない。
図示するように、始動入賞コマンドの保存領域80a、80bに記憶されている大当たり情報が大当たりとなることを示している保留記憶に対するアイコンの表示色は、赤色、橙色、黄色が、それぞれα1、α2、α3(α1+α2+α3=1)の割合で選択される。一方、始動入賞コマンドの保存領域80a、80bに記憶されている大当たり情報がハズレとなることを示している保留記憶に対するアイコンの表示色は、赤色、橙色、黄色が、それぞれβ1、β2、β3(β1+β2+β3=1)の割合で選択される。ここで、α1>α2>α3(すなわち、β1<β2<β3)となっており、アイコンの表示色毎の大当たりとなることの信頼度(α/(α+β))は、赤色のアイコンが最も高く、橙色のアイコンが次に高く、黄色のアイコンが最も低くなっている。
保留記憶毎の先読み予告の決定が行われると、特別図柄保留記憶表示部11a、11bに表示されているアイコンの表示色が変化させられ(この表示色での表示は、当該アイコンに対応した変動表示が開始される前まで継続する)、また、決定されたアイコンの表示色に対応した先読み情報が始動入賞コマンドの保存領域80a、80bに記憶されている各大当たり情報に対応付けて記憶される。なお、大当たり後先読み予告は、変動時先読み予告と予告する内容が異なり、互いに干渉することはないので、第1大当たり遊技状態が終了した後の最初の変動表示では、大当たり後先読み予告の実行とともに変動中先読み予告も実行される場合がある。
上記したように、始動入賞口14aに遊技球が始動入賞したときには始動入賞コマンドA101及び始動入賞コマンドC103が、始動入賞口14bに遊技球が入賞したときには始動入賞コマンドB102及び始動入賞コマンドC103が、主基板31のCPU56から表示制御基板80の表示制御用CPUへと送信されるものとなっている。
もっとも、CPU56から表示制御用CPUへのコマンドの送信は、一方向でのみ行われているため、CPU56から正しくコマンドが送信されているのに表示制御用CPUが取りこぼしてしまったり、CPU56のコマンドの送信と表示制御用CPUのコマンドの受信とは何れも正しく行われているのに送信途中でコマンドがデータ化けすることもある。CPU56の制御負荷が一時的に異常な状態になるなどして本来の送信すべきタイミングでコマンドが送信されないこともある。このような異常は、当然のことながら始動入賞コマンドにおいても起こりえる。
表示制御基板80の表示制御用CPUが受信した始動入賞口コマンドのうちの始動入賞コマンドA101または始動入賞コマンドB102が示す保留記憶の数が、直前までに表示制御用CPUにて受信された各コマンド(始動入賞コマンドに限らない)から把握される保留記憶の数から1つだけ増加させた正常な数(但し、1つだけの増加であっても最大保留記憶数を越える5となっている場合は正常な数ではない)となっていない場合には、始動入賞コマンドの生成や送受信における異常が発生していると考えられる。また、始動入賞コマンドA101または始動入賞コマンドB102の受信から1割り込み(33ms)以内で始動入賞コマンドC103を受信していない場合には、始動入賞コマンドの生成や送受信における異常が発生していると考えられる。
そこで、この実施の形態にかかるパチンコ遊技機1では、このような保留記憶数が正常な数でない始動入賞コマンドを受信した場合や、始動入賞コマンドA101または始動入賞コマンドB102の受信から1割り込み(33ms)以内で始動入賞コマンドC103を受信していない場合には、新たな大当たりが発生するまで変動時先読み予告の実行を禁止するものとしている。この場合、表示制御基板80の表示制御用CPUは、第1大当たり遊技状態を終了した時点で始動入賞口14a、14bの保留記憶数がそれぞれ4個になっていると初期判断を行い、当該第1大当たり遊技状態が終了した後に、変動時先読み予告の実行を再開させるものとなる。
以下、この実施の形態にかかるパチンコ遊技機1において遊技の進行のために行われる処理について説明する。まず、電源起動時の処理について説明する。リセットスイッチ93をON状態とした状態でメインスイッチ94をON状態としてパチンコ遊技機1を起動すると、RAM55の格納領域のうち使用中スタック領域を除く全ての格納領域を初期化する。そして、遊技を進行させるための処理を開始させることができる。
一方、リセットスイッチ93をOFF状態でメインスイッチ94をON状態としてパチンコ遊技機1を起動した場合は、RAM55のデータが壊れているかどうかを診断し、RAM55のデータが壊れていなかった場合、すなわち前回のパチンコ遊技機1の電源をOFFしたときのデータが正常なままで残っている場合には、RAM55に記憶されているデータはそのままとして、前回にパチンコ遊技機1の電源をOFFしたときの状態から、遊技を進行させるための処理を開始させることができる。また、パチンコ遊技機1の起動時には、RAM55に残っていたデータのうちの遊技状態と始動入賞口14a、14bについての保留記憶数を参照し、これに基づいて起動時コマンドを生成し、表示制御基板80の表示制御用CPUへと送信する。
パチンコ遊技機1において遊技を進行させるための処理は、2ms毎に実行されるタイマ割り込みに従って実行される。なお、打球操作ハンドル5の操作に基づく遊技領域7への遊技球の発射だけは、2ms毎のタイマ割り込み処理とは独立して行われるものとなっている。
図10は、CPU56が実行するメイン処理にて2ms毎に実行されるタイマ割込処理を示すフローチャートである。タイマ割込が発生すると、CPU56は、レジスタの退避処理(ステップS21)を行った後、ステップS22〜S36の遊技制御処理を実行する。遊技制御処理において、CPU56は、まず、スイッチ回路32を介して、ゲートスイッチ61、始動口スイッチ62a、62b、カウントスイッチ63、クリアスイッチ65、等のスイッチの検出信号を入力し、それらの状態判定するスイッチ処理を行う(ステップS22)。
次に、遊技制御に用いられる大当たり判定用の乱数、大当たり種別判定用乱数等の各判定用乱数を生成するための各カウンタのカウント値を更新する処理を行う(ステップS23)。CPU56は、更に、初期値用乱数を生成するためのカウンタのカウント値を更新する処理(ステップS24)及び表示用乱数を生成するためのカウンタのカウント値を更新する処理を行う(ステップS25)。
更に、CPU56は、特別図柄プロセス処理を行う(ステップS26)。特別図柄プロセス処理では、遊技状態に応じて特別図柄表示器10a、10b、可変表示装置9、特別可変入賞装置20、等を所定の順序で制御するための特別図柄プロセスフラグに従って該当する処理が選び出されて実行される。そして、特別図柄プロセスフラグの値は、遊技状態に応じて各処理中に更新される。
また、普通図柄プロセス処理を行う(ステップS27)。普通図柄プロセス処理では、普通図柄表示器12の表示状態を所定の順序で制御するための普通図柄プロセスフラグに従って該当する処理が選び出されて実行される。そして、普通図柄プロセスフラグの値は、遊技状態に応じて各処理中に更新される。普通図柄プロセス処理を実行することにより普通図柄表示器12の表示制御および可変入賞装置15の開閉制御が実行される。
次いで、CPU56は、特別図柄プロセス処理でRAM55の送信コマンドキューの先頭に入れられた可変表示装置9等において各種演出を行うためのコマンドを先頭から1つ取り出し、これを表示制御基板80に送出する特別図柄コマンド制御処理を行う(ステップS28)。また、普通図柄プロセス処理でRAM55の所定の領域に設定された普通図柄に関するコマンドを送出する普通図柄コマンド制御処理を行う(ステップS29)。
更に、CPU56は、例えばホール管理用コンピュータに供給される大当たり情報、始動情報、確率変動情報などのデータを出力する情報出力処理を行う(ステップS30)。
また、CPU56は、始動口スイッチ62a、62b、カウントスイッチ63等の検出信号に基づく賞球個数の設定などを行う賞球処理を実行する(ステップS31)。具体的には、始動口スイッチ62a、62b、カウントスイッチ63等の何れかがオンしたことに基づく入賞検出に応じて、払出制御基板36に賞球個数を示す払出制御コマンドを出力する。払出制御基板36に搭載されている払出制御用CPUは、賞球個数を示す払出制御コマンドに応じて球払出装置44を駆動する。
そして、CPU56は、保留記憶数の増減をチェックする記憶処理を実行する(ステップS32)。記憶処理においては、始動口スイッチ62a、62bの検出信号に基づいて大当たり判定用乱数等の各種乱数を抽出し、抽出した乱数の値を始動口スイッチ62a、62bの別に保留記憶させる。
また、遊技機の制御状態を遊技機外部で確認できるようにするための試験信号を出力する処理である試験端子処理を実行する(ステップS33)。更に、所定の条件が成立したときにソレノイド回路33に駆動指令を行う(ステップS34)。可変入賞装置15、特別可変入賞装置20、を開放状態または閉鎖状態としたり、大入賞口21内の遊技球通路を切り替えたりするために、ソレノイド回路33は、駆動指令に応じてソレノイド71〜73を駆動する。その後、レジスタの内容を復帰させ(ステップS35)、割込許可状態に設定する(ステップS36)。
次に、ステップS26の特別図柄プロセス処理について説明する。特別図柄プロセス処理では、CPU56は、まず、遊技盤6に設けられている始動入賞口14a、14bに遊技球が入賞したことを検出するための始動口スイッチ62a、62bがオンしているかどうか、すなわち遊技球が始動入賞口14a、14bに入賞する始動入賞が発生しているかどうかを判定し、始動入賞が発生していたら始動口スイッチ通過処理を行う。
始動口スイッチ通過処理では、オンとなった始動口スイッチ62a、62bに対応する始動入賞口14a、14bの保留記憶数を判定する。また、大当たり判定用乱数大当たり、種別判定用乱数、変動種別判定用乱数、及び変動パターン判定用乱数を抽出し、当該始動入賞に基づく変動表示で大当たりとなるか否か(さらに、大当たりの種別を判定してもよい)、及び当該始動入賞に基づく変動表示で選択される変動パターンの種別を判定する(但し、ノーマルリーチハズレまたは非リーチハズレの何れとなるかが確定しない場合には、暫定的にノーマルリーチハズレと判定する)。
そして、始動入賞口14aの始動入賞であった場合には、始動入賞コマンドA101及び始動入賞コマンドC103を生成して、RAM55のコマンド送信キューに順番に挿入する。始動入賞口14bの始動入賞であった場合には、始動入賞コマンドB102及び始動入賞コマンドC103を生成して、RAM55のコマンド送信キューに順番に挿入する。なお、始動口スイッチ62a、62bの両方がオンしていたときには、上記の処理を始動入賞口14a、14bのそれぞれに対して順番に行い、この場合には、始動入賞コマンドA101及び始動入賞コマンドC103、始動入賞コマンドB102及び始動入賞コマンドC103の順でコマンド送信キューに挿入される。
その後、特別図柄プロセスフラグの状態に応じて、次に説明する特別図柄通常処理、変動パターン設定処理、演出設定処理、特別図柄変動処理、特別図柄停止処理、大入賞口開放前処理、大入賞口開放中処理、大当たり終了処理の何れかの処理を行う。
特別図柄通常処理:特別図柄の変動表示を開始できる状態になるのを待つ。CPU56は、特別図柄の変動表示が開始できる状態になると、保留記憶バッファに記憶される数値データの記憶数(保留記憶数)を確認する。保留記憶カウンタのカウント値が0でなければ、特別図柄の変動表示の結果、大当たり判定用乱数の値に基づいて大当たりとするか否か(特定表示結果とするか否か)を決定し、大当たりとする場合には、大当たり種別判定用乱数の値に基づいて大当たりの種別も決定する。
変動パターン設定処理:特別図柄表示器10a、10bにおける特別図柄の変動パターン種別を、始動入賞時に抽出した変動種別判定用乱数の値と保留記憶の数とに応じて選択する。そして、選択した変動パターンの種別と始動入賞発生時に抽出した変動パターン判定用乱数の値に応じて予め定められた複数種類の変動パターンの中から選択する。決定された変動パターンに基づいて、特別図柄の変動時間を特別図柄プロセスタイマ(ダウンタイマにより構成される)にセットした後、特別図柄プロセスタイマをスタートさせる。このとき、特別図柄表示器10aまたは10bに特別図柄の変動表示開始を指示する信号を出力するとともに、大当たりとするか否か及び大当たり種別を示すとともに選択した変動パターンを示す開始時コマンドとを、直後の特別図柄コマンド制御処理(ステップS28)で表示制御基板80に対して送信される状態に設定する。
特別図柄変動処理:変動パターン設定処理で選択された変動パターンに応じて変動時間のセットされた特別図柄プロセスタイマの計時時間を監視し、当該変動時間が経過して特別図柄プロセスタイマがタイムアウトすると、次に特別図柄停止処理に移行させるよう制御を行う。
特別図柄停止処理:特別図柄表示器10a、10bにて変動表示する特別図柄の変動表示を停止するとともに、特別図柄の停止を示す信号を特別図柄表示器10a、10bに出力される状態に設定するとともに、図柄の停止を示す図柄停止コマンドを、直後の特別図柄コマンド制御処理(ステップS28)で表示制御基板80に送信される状態に設定する。
大入賞口開放前処理:大当たり後に最初にこの処理が行われるときには大入賞口21のラウンド数を設定した後、大入賞口21を開放する制御を開始する。具体的には、ソレノイド72を駆動して大入賞口21を開放状態として特別可変入賞装置20を開放状態とする。また、大入賞口21の開放されたラウンド数をカウントすると共に、開放タイマによって大入賞口開放中処理の実行時間を設定する。
大入賞口開放中処理:大当たり遊技状態中のラウンド表示のためのラウンドコマンド及びラウンド終了コマンドを、直後の特別図柄コマンド制御処理(ステップS28)で表示制御基板80に送信される状態に設定する処理や、大入賞口21の閉成条件の成立を確認する処理等を行う。
大当たり終了処理:大当たり遊技状態が終了して遊技状態が変化したことを示す遊技状態コマンドを、直後の特別図柄コマンド制御処理(ステップS28)で表示制御基板80に送信される状態に設定する。
一方、表示制御基板80などのサブ側の各種基板においては、主基板31の基本回路53から送信されたコマンドに基づいて、特別図柄の変動表示に合わせて可変表示装置9において飾り図柄の変動表示を実行したり、変動中先読み予告や大当たり後先読み予告などの各種演出を実行したり、第1大当たり遊技状態に制御されているときに大当たりラウンド演出を実行する処理を行う。図11は、表示制御基板80の表示制御用CPUが実行するメイン処理を示すフローチャートである。
このメイン処理では、まず、表示制御基板80に搭載された表示制御用マイクロコンピュータに含まれるRAMのうちで必要な領域を初期化する初期化処理を行う(ステップS701)。次に、所定時間(例えば33ms(可変表示装置9の1フレーム期間))毎に実行されるタイマ割り込み処理によってセットされるタイマ割り込みフラグの状態が1となっているかどうかを判定し(ステップS702)、タイマ割り込みフラグの状態が1となるまでステップS702の処理を繰り返して行う。タイマ割り込みフラグの状態が1となっている後、まず、このタイマ割り込みフラグを0にクリアする(ステップS703)。
主基板31の基本回路53から送信されたコマンドが受信コマンドキューに挿入されているかどうかをチェックする。コマンド受信キューにコマンドが挿入されている場合には、コマンド受信キューからコマンドを取り出し、その内容を解析するコマンド解析処理を実行する。複数のコマンドがコマンド受信キューに送信されている場合には、その全てのコマンドを順番に受信コマンドキューから取り出し、それぞれの内容を解析する。コマンド解析処理では、始動入賞コマンドA101または始動入賞コマンドB102が示す保留記憶数が、直前までに受信したコマンドから把握される保留記憶数に対して1だけ増加した正常な数となっているか、始動入賞コマンドA101または始動入賞コマンドB102の受信と同じ割り込みで、或いは次の割り込みで、始動入賞コマンドC103を続けて受信しているかの判定も行う(ステップS704)。
次に、コマンド解析処理におけるコマンドの解析結果に基づいて、可変表示装置9において飾り図柄を変動表示させたり、大当たりラウンド演出を実行させたりする演出制御プロセス処理を実行する(ステップS705)。また、コマンドの解析結果に基づいて、変動中先読み予告や大当たり後先読み予告などの各種演出を実行させる予告制御プロセス処理を実行する(ステップS706)。さらに、演出の実行に必要な各種乱数を更新する乱数更新処理を実行して(ステップS707)、ステップS702の処理に戻る。
以上説明したように、この実施の形態にかかるパチンコ遊技機1では、始動入賞口14a、14bに遊技球が始動入賞すると、大当たり判定用乱数、大当たり種別判定用乱数及び変動種別判定用乱数が抽出されるが、先の始動入賞に基づく特別図柄の変動表示が実行中である場合や第1大当たり遊技状態に制御されている場合など当該始動入賞に基づく変動表示を直ちに開始できない場合は、抽出した各種乱数がRAM55の保留記憶バッファに保留記憶される。
そして、保留記憶された変動表示を開始できるようになると、保留記憶バッファに保留記憶された大当たり判定用乱数に基づいて大当たり抽選が行われ、大当たりとなる場合には保留記憶された大当たり種別判定用乱数に基づいて大当たり種別抽選が行われる。その結果により、確率変動大当たり、確変昇格大当たりまたは時短大当たりとなると、特別図柄表示器10a、10b及び可変表示装置9に変動表示の表示結果が導出された後、大入賞口21を最大30秒15ラウンドに亘って開放状態とする第1大当たり遊技状態に遊技状態が制御されるものとなる。
ところで、始動入賞時に抽出され、RAM55の保留記憶バッファに保留記憶された各種乱数は、未だ大当たり抽選や大当たり種別抽選、或いは変動パターンの選択を行うために用いられていないものの、保留記憶されている乱数の値で確率変動大当たり、確変昇格大当たり、または時短大当たりとなるか否かが既に決まっていることになる。また、ハズレとなるときでも少なくともスーパーリーチハズレが変動パターンの種別として選択される場合は、これが既に決まっていることになる。そして、保留記憶中に確率変動大当たり、確変昇格大当たり、または時短大当たりとなるものが含まれているか、或いはノーマルリーチ当たり、スーパーリーチ当たりまたはスーパーリーチハズレとなるものが含まれているかが、当該保留記憶に基づく変動表示が実行されるよりも前に先読み予告されるものとなっている。
ここで、確率変動大当たり、確変昇格大当たりまたは時短大当たりとなることの先読み予告の決定は、第1大当たり遊技状態が終了した後の最初の変動表示が開始されるときにのみ行われる(大当たり後先読み予告)。また、ノーマルリーチ当たり、スーパーリーチ当たりまたはスーパーリーチハズレとなることの先読み予告を実行するか否かの決定は、変動表示の開始時において、非リーチハズレの種別に属する変動パターンが選択された変動表示が開始されるときにのみ行われる(変動時先読み予告)。このように大当たり後先読み予告の決定も変動時先読み予告の決定も、全ての変動表示が開始される度に行われるのではなく、特定の変動表示が開始されるときにのみ行われるものとなっている。
ここで、変動時先読み予告は、その実行の決定自体は変動表示の開始時であるが、可変表示装置9に「リンゴ」を含む飾り図柄の組み合わせを停止させ、「リンゴ」の図柄をキャラクタ図柄に変更することにより行われるので、変動表示が終了されるタイミングで実行されることとなる。従って、確率変動大当たり、確変昇格大当たりまたは時短大当たりとなる変動表示や、リーチ表示態様が表示される変動パターン(ノーマルリーチハズレ)が選択された変動表示は、変動表示の終了タイミングで保留記憶中にノーマルリーチ当たり、スーパーリーチ当たりまたはスーパーリーチハズレとなるものが含まれる変動中先読み予告を実行するのに適さない。
この実施の形態にかかるパチンコ遊技機1では、このように変動時先読み予告の実行に適さない変動表示では、そもそも変動中先読み予告の決定を行わなくてもよいので、的確にノーマルリーチ当たり、スーパーリーチ当たりまたはスーパーリーチハズレとなることの先読み予告を実行できるとともに、制御負担も増大させない。一方、変動時先読み予告を実行するために、一旦選択した変動パターンを変更しなければならないということもないので、制御負担を増大させない。
一方、大当たり後先読み予告は、第1大当たり遊技状態が終了した後の最初の変動表示であれば、確率変動大当たり、確変昇格大当たりまたは時短大当たりとなる変動表示や、リーチ表示態様が表示される変動パターン(ノーマルリーチ当たり、スーパーリーチ当たり、ノーマルリーチハズレまたはスーパーリーチハズレ)が選択された変動表示であっても実行され得る。もっとも、大当たり後先読み予告が実行されるタイミングは、第1大当たり遊技状態が終了した後の最初の変動表示が開始されるタイミングであるので、変動表示の実行に適しないということはない。また、第1大当たり遊技状態の終了後の最初の変動表示であればどの回の変動表示でも、大当たり後先読み予告の決定及び実行を行うことになるので、却って制御負担を増大させない。
また、第1大当たり遊技状態が終了した後の最初の変動表示が開始されるときに実行される大当たり後先読み予告では、変動表示毎に実行し得る変動時先読み予告のように保留記憶中にノーマルリーチ当たり、スーパーリーチ当たりまたはスーパーリーチハズレとなるものが含まれていることを予告するのではなく、保留記憶中に確率変動大当たり、確変昇格大当たりまたは時短大当たりとなるものが含まれていることを予告するものとなっている。このように第1大当たり遊技状態が終了した後の最初の変動表示が開始されるときにのみ実行される大当たり後先読み予告において予告する内容を変動時先読み予告とは代えることで、多彩な先読み予告が実行されることとなり、遊技の興趣を向上させることができる。
また、変動表示毎の変動パターンの種別及び具体的な変動パターンは、当該変動表示の開始タイミングで決定されることとなるが、その決定は、大当たり抽選及び大当たり種別抽選の結果と始動入賞時に抽出された変動種別判定用乱数の値だけに左右されるのではなく、変動表示の開始時における保留記憶の数(開始される変動表示と同じ始動入賞口14a、14bに対するもの)にも左右される。変動表示の開始時における保留記憶の数は、実際に変動表示が開始されるときにならなければ確定しないので、始動入賞毎の保留記憶に基づいて実行される各変動表示で具体的に如何なる種類の変動パターンが選択されるかは、変動時先読み予告の決定を行う段階では特定できない。
もっとも、変動時先読み予告で予告するのは保留記憶中にノーマルリーチ当たり、スーパーリーチ当たりまたはスーパーリーチハズレが含まれていることであるが、大当たり抽選の結果が大当たりになる場合の変動パターンの種別(ノーマルリーチ当たりまたはスーパーリーチ当たり)の選択は、変動表示が開始されるときの保留記憶の数に応じて異なることはない。
一方、大当たり抽選の結果がハズレとなる場合において変動パターンの種別としてスーパーリーチハズレが選択されることとなる変動種別判定用乱数の範囲は、始動入賞口14a、14bの何れの始動入賞に関しても、変動表示が開始されるときの保留記憶の数に関わらずに同一の範囲となっている。従って、変動時先読み予告の決定を行う時点で、保留記憶により今後実行される変動表示の具体的な変動パターンまでは特定できないものの、少なくともスーパーリーチハズレとなることだけは特定できる。そして、変動表示が開始されるときの保留記憶の数が確定していなくても特定できるスーパーリーチハズレとなることが、まさしく変動時先読み予告で予告される内容となっている。
このため、変動開始時における保留記憶の数に応じて変動パターンの振り分けを変えたとしても、保留記憶に基づいて今後に実行される変動表示における変動パターン(ここでは、スーパーリーチハズレ)を先読み予告することができるものとなる。裏を返せば、大当たりとなるか否かではなく、特定の変動パターン(ここでは、スーパーリーチハズレ)となることを先読み予告するものとしても、変動表示が開始される時点での保留記憶の数に応じて適切な変動パターンの選択ができるようになり、保留記憶の数が少ないときはその消化を抑え、保留記憶の数が多いときはその消化を早めさせることができるようになり、保留記憶の適度な消化を実現することができるものとなる。
また、変動時先読み予告を実行するか否かが決定される変動表示は、変動パターンの種別として非リーチハズレが選択された変動表示であるが、非リーチハズレが選択される変動種別判定用乱数の範囲は、変動表示の開始時における保留記憶の数に応じて異なるものとなっている。もっとも、変動表示の開始時における保留記憶の数に関わらず、始動入賞口14aの始動入賞については変動種別判定用乱数の値が0〜99、始動入賞口14bの始動入賞については変動種別判定用乱数の値が0〜139のときには、非リーチハズレ以外の変動パターンの種別が選択されないことが確定している。
そして、非リーチハズレが選択された変動表示において保留記憶にノーマルリーチ当たり、スーパーリーチ当たりまたはスーパーリーチハズレとなるものが含まれている場合において、当該ノーマルリーチ当たり、スーパーリーチ当たりまたはスーパーリーチハズレとなる変動表示よりも前に実行される全ての変動表示で非リーチハズレが選択されることが確定している場合を条件として、変動時先読み予告を実行することを確定させている。この場合、ノーマルリーチ当たり、スーパーリーチ当たりまたはスーパーリーチハズレとなる変動表示が実行されるまでの全ての変動表示が非リーチハズレとなり、そこでも変動時先読み予告が実行されることとなる。これにより、ノーマルリーチ当たり、スーパーリーチ当たりまたはスーパーリーチハズレとなるまでの複数の変動表示で連続して変動時先読み予告を実行することができるものとなる。
また、変動時先読み予告は、保留記憶にノーマルリーチ当たり、スーパーリーチ当たりまたはスーパーリーチハズレとなるものが含まれているか否かを予告するものであるが、保留記憶にノーマルリーチ当たり、スーパーリーチ当たりまたはスーパーリーチハズレとなるものが含まれている可能性は、保留記憶の数が多くなるほど高まることとなる。始動入賞口14a、14bの始動入賞の何れについても、対応する保留記憶の数が3以上であるときには、保留記憶の数が2以下であるときよりも高い割合で非リーチハズレが選択されるものとなっている。そして、非リーチハズレが選択される割合が高くなれば、変動時先読み予告が実行される頻度も高まることとなる。
これにより、保留記憶の数が多くなっているときに、変動表示の時間が短い変動パターンを高い割合で選択したり変動表示の時間を短縮させたりして保留記憶の消化を早めさせるだけではなく、保留記憶のうちに大当たりとなるか、少なくともスーパーリーチとなるものが含まれていることに対する遊技者の期待感を高頻度で実行される変動時先読み予告にて効果的に高めさせることができ、遊技の興趣を向上させることができる。
また、始動入賞口14a、14bの双方に始動入賞の保留記憶があるときには、始動入賞口14bの始動入賞についての保留記憶を優先して消化して特別図柄表示器10bにて優先的に特別図柄の変動表示を実行させる。ここで、第1大当たり遊技状態に制御されている間(その終了を待たずに、既に時短状態に制御されている)には、通常、始動入賞口14a、14bの保留記憶とも満杯になる。第1大当たり遊技状態が終了した直後には必ず遊技状態が時短状態に制御されている(確率変動状態には制御されている場合と制御されていない場合とがある)。
また、遊技状態が時短状態に制御されているときには、可変入賞装置15の開放が頻繁に行われ、始動入賞口14bに遊技球が始動入賞する頻度が高まるため、始動入賞口14bへの始動入賞が次々と保留記憶されていく。始動入賞口14bの始動入賞についての保留記憶が途切れることは少ないため、時短状態において実行される特別図柄の変動表示は、ほとんど特別図柄表示器10bで実行される変動表示となる。そして、始動入賞口14bへの始動入賞に基づいて特別図柄表示器10bで実行される変動表示に対しては、始動入賞口14aへの変動表示に基づいて特別図柄表示器10aで実行される変動表示よりも高い割合で、変動パターンの種別として非リーチハズレが選択される。
従って、時短状態に制御されているときには、非リーチハズレが選択される割合が相対的に高くなり、結果として変動時先読み予告が実行される頻度も高くなるのに対して、時短状態に制御されていないときには、非リーチハズレが選択される割合が相対的に低くなり、結果として変動時先読み予告が実行される頻度も低くなる。これにより、時短状態にも制御されていない通常遊技状態において変動時先読み予告の実行頻度が高くなりすぎるのを抑えることができる。また、それ自体で通常遊技状態よりも大当たりの発生に対する遊技者の期待度を高めさせる時短状態に制御されているときに、さらに実行頻度を高くした先読み予告によって、その期待感をより効果的に高めさせることができるようになる。
ところで、この実施の形態にかかるパチンコ遊技機1では、CPU56等の制御部を搭載したメイン側の主基板31と、表示制御用マイクロコンピュータを搭載した表示制御基板80などのサブ側の基板とに分けて、制御回路を構成している。遊技の進行は、主基板31に搭載されたCPU56により制御されているが、変動時先読み予告や大当たり終了後先読み予告などの演出の実行は、主基板31のCPU56から送信されたコマンドに基づいて、表示制御基板80に搭載された表示制御用マイクロコンピュータに含まれる表示制御用CPUにより制御されている。
ところで、変動時先読み予告及び大当たり後先読み予告を実行するためには、表示制御用CPUは、始動入賞口14a、14bの始動入賞について保留記憶されている内容を知る必要がある。このために主基板31のCPU56は、始動入賞口14a、14bに遊技球が始動入賞したときに始動入賞コマンド(始動入賞コマンドA101及び始動入賞コマンドC103、または始動入賞コマンドB102及び始動入賞コマンドC103)を送信するだけでよい。表示制御基板80の表示制御用CPUは、受信した始動入賞コマンドに含まれる始動入賞コマンドC103を、RAMに設けられた始動入賞コマンドの保存領域80a、80bに先入れ先出しで記憶させていけばよい。
そして、表示制御用CPUは、変動時先読み予告及び大当たり後先読み予告の実行を決定するために、始動入賞コマンドの保存領域80a、80bに記憶させておいた始動入賞コマンドC103を参照することで、始動入賞口14a、14bの始動入賞についての保留記憶にノーマルリーチ当たり、スーパーリーチ当たりまたはスーパーリーチハズレとなるもの、或いは確率変動大当たり、確変昇格大当たりまたは時短大当たりとなるものが含まれているか否かを判定することができるものとなっている。このため、主基板31と表示制御基板80というメイン−サブの基板構成とし、変動時先読み予告及び大当たり後先読み予告の実行をサブ側の表示制御基板80に搭載された表示制御用CPUにより制御するものとしても、全体としての制御を複雑化させることがない。
また、始動入賞口14a、14bへの始動入賞があったときにCPU56から表示制御用CPUへと送信される始動入賞コマンドに含まれる始動入賞コマンドC103は、確率変動大当たり、確変昇格大当たりまたは時短大当たりとなるか否かを示す大当たり情報と、変動パターンの種別(ノーマルリーチハズレと非リーチハズレとが確定していないときには、暫定的にノーマルリーチハズレ)を示す変動パターン情報とを先読み情報として含んでいる。そして、変動時先読み予告と大当たり後先読み予告とで、始動入賞コマンドの保存領域80a、80bに保存された先読み情報の種類を代えることで、両者で予告される内容を変えても、徒に制御を複雑化させることもない。
パチンコ遊技機1の制御回路は、このようなメイン−サブの基板構成で構成されているが、メイン側の主基板31に搭載されたRAM55はパチンコ遊技機1の電源が遮断されたときにおいてもデータがバッテリバックアップされているのに対して、サブ側の表示制御基板80に搭載された表示制御用マイクロコンピュータに含まれるRAMはデータがバッテリバックアップされていない。つまり、電源を遮断してもRAM55の保留記憶バッファに記憶された保留記憶のデータが消えないため、パチンコ遊技機1を起動した後には電源を遮断する直前の状態から遊技が再開される。
一方、始動入賞コマンドの保存領域80a、80bに記憶された始動入賞コマンドC103のデータは消えてしまっているため、パチンコ遊技機1の電源を起動した後には始動入賞口14a、14bの保留記憶に対する変動時先読み予告及び大当たり後先読み予告を実行することができないことになる。もっとも、パチンコ遊技機1の電源を立ち上げたときには、始動入賞口14a、14bのそれぞれの保留記憶の数と遊技状態とを示す起動時コマンドがCPU56から表示制御用CPUへと送信される。表示制御用CPUは、起動時コマンドが示す保留記憶の数だけ、ノーマルリーチハズレを示す始動入賞コマンドC103を始動入賞コマンドの保存領域80a、80bに記憶させる。
このため、パチンコ遊技機1の電源を立ち上げたときにCPU56と表示制御用CPUの双方で実行しなければならない制御を、最小限に抑えることができる(仮に、電源の遮断前に始動入賞コマンドの保存領域80a、80bに記憶されていた始動入賞コマンドC103を復元しようとすると、主基板31のCPU56は、始動入賞口14a、14bの始動入賞毎に保留記憶バッファに記憶されている各種乱数に基づいて始動入賞コマンドと同等のコマンドを生成し、これを送信する必要が生じるので、制御が複雑になる)。
また、パチンコ遊技機1の電源を立ち上げたときの制御をこのように行うことで、実際には保留記憶にノーマルリーチ当たり、スーパーリーチ当たりまたはスーパーリーチハズレとなるものが含まれていない場合に、ノーマルリーチ当たり、スーパーリーチ当たりまたはスーパーリーチハズレチとなるものが含まれていることを徒に遊技者に期待させてしまうことがない。一方、保留記憶にノーマルリーチ当たり、スーパーリーチ当たりまたはスーパーリーチハズレとなるものが含まれていることを前提とした変動時先読み予告が行われないままに実行された変動表示の結果が確率変動大当たり、確変昇格大当たりまたは時短大当たりとなっても、遊技者の気分を害することはないので、大きな問題が生じることはない。
また、表示制御基板80の表示制御用CPUは、変動表示の開始時に主基板31のCPU56から送信された開始時コマンドを受信すると、始動入賞コマンドの保存領域80a、80bに記憶された始動入賞コマンドC103に含まれる変動パターン情報を参照して、始動入賞口14a、14bについての保留記憶にノーマルリーチ当たり、スーパーリーチ当たりまたはスーパーリーチハズレとなるものが含まれているか否かを判定している。第1大当たり遊技状態が終了した後の最初の変動表示では、さらに始動入賞コマンドの保存領域80a、80bに記憶された始動入賞コマンドC103に含まれる大当たり情報を参照して、始動入賞口14a、14bについての保留記憶に基づいて実行される変動表示で確率変動大当たり、確変昇格大当たりまたは時短大当たりとなるか否かも判定している。
もっとも、第1大当たり遊技状態または時短状態に制御されているときに始動入賞口14aに始動入賞することで送信された始動入賞コマンドのうちの始動入賞コマンドC103は、受信したそのままの内容で始動入賞コマンドの保存領域80a、80bに書き込むのではなく、大当たり情報をハズレ、変動パターン情報をノーマルリーチハズレと書き換えてから始動入賞コマンドの保存領域80a、80bに書き込むものとしている。第1大当たり遊技状態または時短状態に制御されているときの始動入賞口14aへの始動入賞に基づく保留記憶は、ノーマルリーチ当たり、スーパーリーチ当たりまたはスーパーリーチハズレとなるものでもなく、確率変動大当たり、確変昇格大当たりまたは時短大当たりとなるものでもないと判定されることとなる。
上記したように、始動入賞口14a、14bの何れについての保留記憶もある場合には、始動入賞口14bの保留記憶が優先的に消化され、特別図柄表示器10bで特別図柄の変動表示が行われるものとなる。時短状態においては、可変表示装置15の開放が頻繁に行われ、始動入賞口14bに遊技球が入賞する頻度が高まるので、始動入賞口14bについての保留記憶が途切れることは少ない。
従って、時短状態は、始動入賞口14aについての保留記憶があっても、これに基づく変動表示が行われないようになることを前提とした遊技状態であると言える。第1大当たり遊技状態が終了した後は、必ずこの時短状態に制御される。従って、時短状態に制御されている間は、開発者側の意図としては、始動入賞口14bへの始動入賞に基づいて実行される変動表示の結果により大当たりを発生させ、第1、第2大当たり遊技状態に制御させようとしていると言える。
この実施の形態にかかるパチンコ遊技機では、第1大当たり遊技状態または時短状態に制御されているときの始動入賞口14aへの始動入賞に基づく保留記憶は、ノーマルリーチ当たり、スーパーリーチ当たりまたはスーパーリーチハズレとなるものでもなく、確率変動大当たり、確変昇格大当たりまたは時短大当たりとなるものでもないと判定することで、始動入賞口14aへの始動入賞に基づく保留記憶にノーマルリーチ当たり、スーパーリーチ当たりまたはスーパーリーチハズレとなるもの、或いは確率変動大当たり、確変昇格大当たりまたは時短大当たりとなるものが含まれているか否かの判断材料を遊技者に与えないものとしている。これにより、遊技者の技術介入により時短状態に制御されているときに第1大当たり遊技状態の発生が生じないようにし、開発者が想定していた以上の出玉が得られてしまうことを防ぐことができる。
また、始動入賞口14a、14bへの始動入賞に基づいて表示制御基板80の表示制御用CPUが受信した始動入賞コマンドA101または始動入賞コマンドB102により示される始動入賞口14a、14bについての保留記憶数が、表示制御用CPUが直前までに受信していたコマンドに基づいて認識している保留記憶数に対して1だけ増加した正常な数を示すものでない場合に、次の第1大当たり遊技状態が終了するまで、変動時先読み予告の実行を禁止するものとしている。
これにより、本来変動時先読み予告のターゲットとすべきではない変動表示を変動時先読み予告のターゲットとして、意図せぬ変動時先読み予告が実行されてしまうことを防ぐことができる。なお、変動時先読み予告で予告される内容は、対象の変動表示が大当たりとなるか否かではなく、スーパーリーチハズレとなる場合も含む(スーパーリーチになっても結果がハズレでは遊技者に直接的な利益はない)ので、次の大当たりまで変動時先読み予告の実行を禁止しても、遊技者の不満が大きくなりすぎない。
本発明は、上記の実施の形態に限られず、種々の変形、応用が可能である。以下、本発明に適用可能な上記の実施の形態の変形態様について説明する。
上記の実施の形態では、確率変動大当たり、確変昇格大当たり、または突然確変大当たりの発生に基づいて確率変動状態に制御された場合、当該確率変動状態は、次に大当たりが発生するまで無制限で継続されるものとなっていた(但し、次の大当たりが確率変動大当たり、確変昇格大当たり、または突然確変大当たりであれば、改めて確率変動状態に制御される)。もっとも、確率変動状態において実行される特別図柄の変動表示の回数を無制限とせずに、一定回数までとするものとしてもよい。
1回の確率変動状態において実行される特別図柄の変動表示の最大回数は、確率変動状態における大当たり確率の逆数よりも大きい回数(例えば、100回)とすることもできる。或いは、保留記憶の数程度(例えば、第1大当たり遊技状態(大当たりラウンド演出中)における先読み予告の対象となる始動入賞口14bについての保留記憶数である4、或いは始動入賞口14a、14bについての保留記憶数の合計である8)とすることもできる。確率変動状態において実行される特別図柄の変動表示の回数を一定回数に限る場合、時短状態に制御する回数も、これに合わせることができる。
これに対して、第2大当たり遊技状態の終了後に、それ以前と同じ遊技状態に制御されることとなる小当たりを設けるものとしてもよい。小当たりを発生させるか否かは、大当たり抽選とは別に(例えば、大当たり抽選でハズレとなったときに)実行される小当たり抽選の結果により、或いは大当たり抽選において大当たり判定用乱数の値が所定の小当たり判定値の範囲にあるか否かにより決定するものとすることができる。小当たりは、あくまでも大当たり抽選の結果としてはハズレであるので、小当たりが決定されたときの変動表示で選択される変動パターンは、ハズレのときに選択される変動パターンと同じになる。
上記の実施の形態では、始動入賞口14a、14bに始動入賞したときに送信される始動入賞コマンドのうちで保留記憶数を示すものには、始動入賞口14a、14bの何れであるかに応じて異なる制御情報が割り当てられた始動入賞コマンドA101と始動入賞コマンドB102とがあった。もっとも、割り当てられた制御情報の違いで始動入賞口14a、14bの何れかを区分させるのではなく、下位バイトの情報として始動入賞口14a、14bの何れであるかを示す情報を含ませるものとしてもよい。この場合には、表示制御基板80の表示制御用CPUが識別すべきコマンドの種類をさらに減少させることができるとともに、その減少分だけの全く異なる内容を示すコマンドへ制御情報を割り当てることができるようになる。
上記の実施の形態では、始動入賞コマンドC103に含まれる先読み情報が大当たり情報と変動パターン情報で構成されていたが、大当たり情報は、大当たり抽選及び大当たり種別抽選の結果により確率変動大当たり、確変昇格大当たりまたは大当たりとなるか否かを示し、変動パターン情報は、選択される変動パターンの種別(但し、非リーチハズレかノーマルリーチハズレか確定してない場合は、暫定的にノーマルリーチハズレ)を示すものであった。もっとも、始動入賞口14a、14bへの始動入賞に基づいて抽出された大当たり判定用乱数及び大当たり種別判定用乱数の値そのものを示す大当たり情報と、始動入賞に基づいて抽出された変動種別判定用乱数の値そのものを示す変動パターン情報とを、始動入賞口14a、14bの保留記憶数とともに始動入賞コマンドに含めて、主基板31のCPU56から表示制御基板80の表示制御用CPUに送信するものとしてもよい。
表示制御CPUは、受信した始動入賞コマンドの大当たり情報で示される大当たり判定用乱数及び大当たり種別判定用乱数の値に従って、当該始動入賞に対応した変動表示で確率変動大当たり、確変昇格大当たりまたは時短大当たりとなるか否かを判定し、この大当たりとなるか否かの判定結果と、受信した始動入賞コマンドの変動パターン情報で示される変動種別判定用乱数の値に従って、当該始動入賞に対応した変動表示の変動パターンがノーマルリーチ当たり、スーパーリーチ当たりまたはスーパーリーチハズレとなるか否か、或いは非リーチハズレが確定されるかを判定するものとすればよい。
上記の実施の形態では、始動入賞口14a、14bに遊技球が始動入賞したときに、始動入賞口14a、14bの保留記憶数を示す始動入賞コマンドA101または始動入賞コマンドB102を先に送信し、これに続けて先読み情報を含む始動入賞コマンドC103を送信するものとしていた。もっとも、始動入賞コマンドA101または始動入賞コマンドB102と始動入賞コマンドC103との送信順を常に一定とするのであれば、この送信順は、上記の実施の形態とは逆であってもよい。表示制御基板80の表示制御用CPUは、始動入賞コマンドC103の方を先に受信したとしても続けて受信したのが始動入賞コマンドA101と始動入賞コマンドB102の何れであるかを判定することにより、先に受信していた始動入賞コマンドC103が始動入賞口14a、14bの何れの始動入賞に基づくものであるかを特定できるからである。
上記の実施の形態では、始動入賞口14a、14bに遊技球が始動入賞したときに主基板31のCPU56から表示制御基板80の表示制御用CPUへ送信される始動入賞コマンドは、始動入賞口14a、14bの保留記憶数を示す始動入賞コマンドA101または始動入賞コマンドB102と、先読み情報を含む始動入賞コマンドC103とに分かれていた。もっとも、始動入賞口14a、14bの保留記憶数、並びに大当たり情報及び変動パターン情報からなる先読み情報を全て含む1つの始動入賞コマンドのみを送信するものとしてもよい。この場合も、始動入賞コマンドA101または始動入賞コマンドB102の受信から始動入賞コマンドC103の受信までの受信間隔の判定を除いて、上記の実施の形態と同じに実施することができる。
上記の実施の形態では、変動時先読み予告は、可変表示装置9に「リンゴ」を含む飾り図柄の組み合わせが停止されたときに、当該「リンゴ」の図柄をキャラクタ図柄に変化させることにより実行されており、その実行タイミングは、飾り図柄の変動表示が終了されるタイミングとなっていた。もっとも、変動時先読み予告は、飾り図柄の開始から終了までの間の任意のタイミングで実行することができ、その実行態様も、上記のものに限られず任意である。
なお、変動時先読み予告が実行に一定の時間を要する態様(例えば、所定の動画像の表示)で行われるものである場合には、変動時先読み予告の実行を決定するのは、単に変動パターンの種別として非リーチハズレが選択されたことだけではなく、非リーチハズレの種別に属する変動パターンのうちで一定の変動時間を有する変動パターンが選択されたことを条件とすることもできる。
上記の実施の形態では、受信した開始時コマンドにおいて示される変動パターンの種別が非リーチハズレで、始動入賞コマンドの保存領域80a、80bに保存されている各々の始動入賞コマンドC103の変動パターン情報にノーマルリーチ当たり、スーパーリーチ当たりまたはスーパーリーチハズレとなるものが含まれている場合でも、ノーマルリーチ当たり、スーパーリーチ当たりまたはスーパーリーチハズレとなる変動表示よりも前の実行順で始動入賞コマンドの保存領域80a、80bに保存されている全ての始動入賞コマンドC103の変動パターン情報が非リーチハズレの確定を示している訳ではない場合には、受信した開始時コマンドに基づく変動表示は、変動時先読み予告の対象とならなかった。
もっとも、このような場合でも、受信した開始時コマンドにおいて示される変動パターンの種別が非リーチハズレで、始動入賞コマンドの保存領域80a、80bに保存されている各々の始動入賞コマンドC103の変動パターン情報にノーマルリーチ当たり、スーパーリーチ当たりまたはスーパーリーチハズレとなるものが含まれていない場合と同様に、受信した開始時コマンドに基づく変動表示を、変動時先読み予告の対象となる(変動時先読み予告の実行が確定する訳ではない)変動表示としてもよい。
或いは、始動入賞コマンドC103の変動パターン情報で、非リーチハズレの確定、非リーチハズレかノーマルリーチハズレか未確定、ノーマルリーチハズレの確定までを区別できるようにした場合、ノーマルリーチ当たり、スーパーリーチ当たりまたはスーパーリーチハズレとなる変動表示よりも前の実行順で始動入賞コマンドの保存領域80a、80bに保存されている全ての始動入賞コマンドC103の変動パターン情報がノーマルリーチハズレの確定を示していない限り、受信した開始時コマンドに基づく変動表示を、変動時先読み予告の対象となる(変動時先読み予告の実行が確定する訳ではない)変動表示としてもよい。
上記の実施の形態では、始動入賞口14a、14bの何れにも保留記憶がある場合に、電チューサポートがされる始動入賞口14bの保留記憶を優先消化して特別図柄表示器10bにおいて特別図柄の変動表示を実行させる(同時に可変表示装置9で飾り図柄の変動表示も実行される)ものとしていた。これにより、時短状態に制御されている間は、始動入賞口14aの始動入賞に基づく変動表示を可能な限り実行させずに、始動入賞口14bの始動入賞に基づく変動表示が続々と実行されるようにしていた。
もっとも、このように特別図柄表示器10a、10bの何れかを優先して特別図柄の変動表示を行うのではなく、始動入賞口14a、14bに遊技球が入賞した順番に従って、特別図柄表示器10aまたは10bの何れかで変動表示が行われるようにしてもよい。この場合、始動入賞口14a、14bのそれぞれで区別せずに特別図柄保留記憶表示部を設けたり、始動入賞口14a、14bのそれぞれで区別せずに共通の始動入賞コマンドの保存領域(最大8個分の始動入賞コマンドC103を記憶できる)を設けたりすることができる。
何れの態様にせよ、特別図柄表示器10aでの変動表示に優先して特別図柄表示器10bでの変動表示を実行させるものとする場合、表示制御基板80の表示制御用CPUは、第1大当たり遊技状態または時短状態に制御されているときに始動入賞口14aについての始動入賞コマンドを受信したときは、大当たり情報がハズレ、変動パターン情報がノーマルリーチハズレを示す内容に書き換えて始動入賞コマンドC103を始動入賞コマンドの保存領域80aの最後尾に保存させるものとすることができる。
上記の実施の形態では、第1大当たり遊技状態が終了した後の最初の変動表示が開始されるときに、始動入賞コマンドの保存領域80a、80bに記憶された始動入賞コマンドC103のうちの大当たり情報を参照して、特別図柄保留記憶表示部11a、11bに表示されたアイコンの表示色を変更させる大当たり後先読み予告を実行するものとしていた。
しかし、この時点において始動入賞コマンドの保存領域80a、80bに合計8つまで始動入賞コマンドC103が記憶されていないこともあり得る。もっとも、大当たり遊技状態に制御されている間は、通常は、始動入賞口14a、14bの何れの保留記憶も上限数に達すると考えられるので、何れかの始動入賞コマンドを取りこぼしたということが考えられる(もっとも、始動入賞口14a、14bの保留記憶が上限数に達していないことも可能性として全くあり得ない訳ではないが)。
そこで、第1大当たり遊技状態が終了した後の最初の変動表示が開始されるときにおいて始動入賞コマンドの保存領域80a、80bに記憶されている大当たり情報が合計8つに満たないときには、未だ先読み予告の決定がされていない全ての大当たり情報に対して、先読み予告の決定を行わないものとしてもよい。さらには、この時点で始動入賞コマンドの保存領域80a、80bに記憶されている始動入賞コマンドC103に代えて、大当たり情報がハズレ、変動パターン情報がノーマルリーチハズレの始動入賞コマンドC103を合計で8つ分書き込んでしまうものとしてもよい(この場合、既に先読み予告の決定がされているものは対象外としてもよい)。
また、第1大当たり遊技状態が終了した後の最初の変動表示が開始されるときに大当たり後先読み予告を行うのではなく、これよりも前の第1大当たり遊技状態に制御されている間に、大当たり後先読み予告と同様の先読み予告を行うものとしてもよい。この先読み予告は、例えば、大当たりラウンド演出のエンディング演出が開始されるときに実行するものとすることができる。
或いは、第1大当たり遊技状態が開始された時点で始動入賞コマンドの保存領域80a、80bに記憶されている始動入賞コマンドC103に対してはこの時点で、その後は始動入賞コマンドを受信して始動入賞コマンドの保存領域80a、80bに始動入賞コマンドC103が追加して記憶される度に、該追加された始動入賞コマンドC103に対して先読み予告の決定を行うものとしてもよい。或いは、始動入賞コマンドの保存領域80a、80bに記憶されている始動入賞コマンドC103の数が合計で8つに達した時点で、先読み予告の決定を行うものとしてもよい。先読み予告の決定タイミングと実行開始タイミングとは異なっていてもよい。
上記の実施の形態では、保留記憶に対する先読み予告として、第1大当たり遊技状態が終了した後の最初の変動表示が開始されるときの大当たり後先読み予告を実行するとともに、非リーチハズレの変動パターンが選択されたときの変動表示で変動時先読み予告を実行し得るものとしていた。これら大当たり後先読み予告も変動時先読み予告も、その実行態様は、開始から終了までにそれほど多くの時間を要するものではなかった。もっとも、先読み予告は、開始から終了までにある程度の時間を要する態様で実行されるものとすることや、遊技者によりチャンスボタン16の操作がなされたことを条件として(少なくともこの操作のために一定の時間を要する)実行されるものとすることもできる。
そこで、保留記憶に対する先読み予告は、開始から終了までに一定の時間を要する(保留記憶数に応じて短縮制御される場合には短縮制御された上でも一定の時間を要する)変動パターン(リーチ変動パターンであってもよい。また、リーチ表示態様が表示された後のリーチ表示演出に一定の時間を要するリーチ変動パターンとしてもよい)が選択されたときに、実行されるものとすることができる。或いは、各変動表示に対して選択可能な変動パターンの種類に、変動表示の開始から終了までに行われる演出において先読み予告を実行する演出(或いは、先読み予告を実行させるための遊技者の操作を促す演出)が含まれる変動パターンを用意しておき、このような変動パターンが選択されたことを条件として、先読み予告を実行する(或いは、さらに遊技者の操作を条件に先読み予告を実行する)ものとしてもよい。
例えば、表示制御基板80の表示制御用CPUは、開始時コマンドを受信したときに、該開始時コマンドが示す変動パターンが先読み予告を実行させるための遊技者の操作を促す演出が含まれる変動パターンであったときには、当該変動パターンに従って飾り図柄の変動表示を開始させるとともに、始動入賞コマンドの保存領域80a、80bを参照する。そして、始動入賞コマンドの保存領域80a、80bの参照結果に従って、先読み予告の実行を決定する(この決定自体は、上記の実施の形態における変動時先読み予告の決定と同じでよい)。
表示制御CPUは、開始時コマンドが示す変動パターンに従って実行されている変動表示で先読み予告を実行させるための遊技者の操作を促す演出が実行されている期間において、チャンスボタン16に対して遊技者により所定の操作がされたか否かを判定し、所定の操作がされたと判定したときに、該操作を促す演出と連動した演出により実行を決定していた先読み予告を実行するものとしてもよい。所定の操作がされなかったと判定したときには、実行が決定されていても先読み予告が実際には実行されないものとすることができる。
このような先読み予告を、開始から終了までにある程度の時間を要する態様で実行されるものとしたり、遊技者によるチャンスボタン16の操作を条件として実行されるものとした場合でも、これに適した変動パターンが選択されたときに先読み予告が実行され得るものとすることで、制御負担を大きく増大させることなく的確に先読み予告を実行することができるものとなる。
また、このような先読み予告を実行するものでは、特に保留記憶の数が多くなっているとき(すなわち、保留記憶中に大当たりやスーパーリーチとなるものが含まれている可能性が高くなるとき)に先読み予告が実行され易くするため、始動入賞口14a、14bの何れについても保留記憶数が3以上であるときには保留記憶数が2以下であるときよりも高い割合で、このような先読み予告を実行し得る変動パターンを選択するようにすることもできる。
もっとも、このような先読み予告を実行し得る変動パターンを選択することで、却って保留記憶が消化されにくくなってしまう。そこで、時短状態に制御されていないときの始動入賞口14bへの始動入賞(この間は、電チューサポートがないために稀にしか発生しない)に対してのみ保留記憶数が3以上であるときには保留記憶数が2以下であるときよりも高い割合で、このような先読み予告を実行し得る変動パターンを選択するようにしてもよい。そして、このときに始動入賞口14aへの始動入賞が保留記憶されていれば、始動入賞口14bへの始動入賞に基づいて実行される変動表示で、始動入賞口14aへの始動入賞についての保留記憶に対して先読み予告することができる。
この場合、時短状態に制御されていないときにおける大部分の始動入賞である始動入賞口14aへの始動入賞に対しては先読み予告を実行し得る変動時間の長い変動パターンが高い割合で選択されることはないので、保留記憶が消化されにくくなってしまうことを防ぐことができる。その一方で、始動入賞口14bへの始動入賞に対して先読み予告を実行し得る変動時間の長い変動パターンを高い割合で選択して先読み予告が実行されるようにするため、稀にしか発生しない始動入賞口14bへの始動入賞に基づく変動表示に対する興趣を高めさせることができるものとなる。
なお、一定の時間を要する変動パターンや遊技者の操作を促す演出を含む変動パターンが選択されたときの先読み予告の実行と、上記の実施の形態のように非リーチハズレの変動パターン(一定の時間を要することもなく、遊技者の操作を促す演出を含むこともない)が選択されたときの先読み予告の実行とを併用してもよい。この場合、前者と後者では、異なる実行態様で保留記憶に対する先読み予告が実行されるものとすることができる。また、前者と後者で予告する内容を異ならせる(例えば、前者の場合は、大当たり後先読み予告のように保留記憶中に大当たりとなるものが含まれていることを予告するが、後者の場合は、上記の実施の形態の変動時先読み予告と同じとする)ものとしてもよい。
上記の実施の形態では、飾り図柄の変動表示と大当たりラウンド演出以外に実行される演出として、現在は未だ実行されていない変動表示で大当たりとなるか否か、或いはノーマルリーチ当たり、スーパーリーチ当たりまたはスーパーリーチハズレとなるか否かを報知する大当たり後先読み予告と変動時先読み予告とを実行するものとしていた。もっとも、現在実行されている変動表示で大当たりとなるか否か、スーパーリーチとなるか否か、或いはリーチ表示態様が出現するか否かといったことを予告する演出も実行してもよい。
上記の実施の形態では、飾り図柄の変動パターンは、主基板31のCPU56が、変動種別判定用乱数の値に基づいて種別を決定した後、決定した種別と変動パターン判定用乱数の値に基づいて詳細なパターンとして決定されるものとしていた。もっとも、変動時先読み予告にての判断が必要とされるノーマルリーチ当たり、スーパーリーチ当たりまたはスーパーリーチハズレの変動パターンとなるか否か、及び非リーチハズレが確定するか否かは、変動種別判定用乱数の値に基づく変動パターンの種別の決定までで確定されるものとなる。主基板31のCPU56が決定するのは変動パターンの種別までとし(但し、この場合は、種別毎に変動表示の時間が確定されるものとする)、詳細な変動パターンの決定は、表示制御基板80の表示制御用CPUが行うものとしてもよい。
上記の実施の形態では、大当たり抽選及び大当たり種別抽選の結果に関わらず、変動パターンとして疑似連を選択することはなかった。これに対して、変動パターンとして一定の割合で疑似連を選択できるようにしてもよい。ここで、疑似連とは、特別図柄の変動表示に応じて可変表示装置9で飾り図柄が変動表示されるが、1回分の特別図柄の変動表示(すなわち、1回の始動入賞)に対して、飾り図柄表示領域9a〜9iの全てにおいて飾り図柄の変動表示を仮停止(図柄の更新を停止しているが確定はしていない状態であって、揺り動かすなどの状態としていてもよい)させた後に、全ての飾り図柄を再度変動表示させる再変動表示を1回または複数回実行する飾り図柄の変動パターンを指す。