JP2015153925A - ヒートシンク付パワーモジュール用基板の製造方法 - Google Patents

ヒートシンク付パワーモジュール用基板の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】パワーモジュール用基板とフィン一体型ヒートシンクとの接合時に生じる反りを低減できるとともに、フィン一体型ヒートシンクと各種機器の構造部材とを密着させて保持することができるヒートシンク付パワーモジュール用基板の製造方法を提供する。【解決手段】ろう付け工程において、一対の加圧板110A,110Bは、回路層12の表面を押圧する曲面状の凸面110aを有する上側加圧板110Aと、ヒートシンク20のピン状フィン22の先端を押圧する曲面状の凹面110bを有する下側加圧板110Bとからなり、その下側加圧板110Bの周縁部には、冷却時に板状部材21の周縁部の下面を受ける平坦面を有する受け部101が設けられている。【選択図】 図3

Description

本発明は、大電流、高電圧を制御する半導体装置に用いられるヒートシンク付パワーモジュール用基板の製造方法に関する。
パワーモジュールとして、窒化アルミニウムを始めとするセラミックス基板の一方の面にアルミニウム板が接合されるとともに、他方の面にアルミニウム板を介してアルミニウム系のヒートシンクが接合されたヒートシンク付パワーモジュール用基板が用いられている。
従来、ヒートシンク付パワーモジュール用基板は、次のように製造されてきた。
まず、セラミックス基板表面に、セラミックス基板とアルミニウム板との接合に適するろう材を介して、セラミックス基板の一方の面及び他方の面にアルミニウム板を積層し、所定の圧力で加圧しながら、ろう材が溶融する温度以上まで加熱し冷却することにより、セラミックス基板と両面のアルミニウム板とを接合してパワーモジュール用基板を製造する。
次に、パワーモジュール用基板の他方の面側のアルミニウム板に、そのアルミニウム板とヒートシンクとの接合に適するろう材を介してヒートシンクを積層し、所定の圧力で加圧しながら、ろう材が溶融する温度以上まで加熱し冷却する。これにより、アルミニウム板とヒートシンクとを接合してヒートシンク付パワーモジュール用基板を製造することができる。
また、このように構成されるヒートシンク付パワーモジュール用基板の一方の面側に接合されたアルミニウム板は、回路層として形成され、この回路層上にはんだ材を介してパワー素子等の電子部品が搭載される。
ところが、セラミックス基板とアルミニウム板のような熱膨張係数の異なる部材の接合においては、接合後の冷却時における熱収縮により反りが発生する。このように、ヒートシンク付パワーモジュール用基板に反りが生じた場合には、電子部品を回路層へはんだ付けする際に、はんだや電子部品の位置ずれを引き起こしやすい。また、電子部品自体の破壊や熱サイクルによるはんだ接合部や基板の信頼性の低下を招くおそれがある。
そこで、このような反りの対策として、特許文献1では、パワーモジュール用基板(金属‐セラミックス接合基板)とヒートシンク(放熱器)とをろう付けする際に、ヒートシンクの他方の面に、凹のR面を有する治具を突き合わせて配置し、金属回路板の他方の面に、その金属回路板側に突出する凸のR面を有する治具を接触させ、これら一対の治具でパワーモジュール用基板とヒートシンクとを加圧しながら加熱接合することとしており、接合後のヒートシンク付パワーモジュール用基板(放熱器一体型基板)の反り量を低減することが記載されている。
一方、例えば特許文献2に示されるように、板状部材に複数のフィンを立設させたフィン一体型ヒートシンクにおいては、フィンが立設される板状部材の周縁部を各種機器の構造部材に密着させた状態で取り付けられる。このため、フィン一体型ヒートシンクにおいては、パワーモジュールとしての要求仕様を満たすための反りを低減することが求められるとともに、周縁部が各種機器の構造部材への取り付け部とされることから、周縁部と構造部材との密封性を確保するために、周縁部を平面で形成することが必要とされる。
特開2013‐197246号公報 特開2012‐227365号公報
特許文献1に記載されるように、パワーモジュール用基板とヒートシンクとをR面を有する治具で挟んで加圧しながら加熱接合することにより、反り量を低減することはできるが、ヒートシンクがパワーモジュール用基板よりも大きい場合、ヒートシンクの周縁部は治具によって加圧されないので、ヒートシンクの上部と下部との熱収縮差により変形が生じ、周縁部を平面に維持することができなくなる。このため、パワーモジュール用基板とヒートシンクとの接合後に、別工程を設けてヒートシンクの周縁部を平面に矯正する必要があった。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、パワーモジュール用基板とフィン一体型ヒートシンクとの接合時に生じる反りを低減できるとともに、フィン一体型ヒートシンクと各種機器の構造部材とを密着させて保持することができるヒートシンク付パワーモジュール用基板の製造方法を提供することを目的とする。
本発明は、セラミックス基板の一方の面に回路層が配設され、前記セラミックス基板の他方の面に金属層が配設されてなるパワーモジュール用基板を、板状部材の周縁部を除く中央部の表面に複数のフィンが立設されたフィン一体型のヒートシンクに接合するヒートシンク付パワーモジュール用基板の製造方法であって、前記パワーモジュール用基板の前記金属層に前記ヒートシンクを重ねて配置した積層体を一対の加圧板の間に挟んで積層方向に加圧しながら加熱することにより、前記パワーモジュール用基板と前記ヒートシンクとをろう付けするろう付け工程を有し、前記ろう付け工程において、前記一対の加圧板は、前記回路層表面を押圧する曲面状の凸面を有する上側加圧板と、前記ヒートシンクの前記フィンの先端を押圧する曲面状の凹面を有する下側加圧板とからなり、該下側加圧板の周縁部には、冷却時に前記板状部材の周縁部の下面を受ける平坦面を有する受け部が設けられていることを特徴とする。
通常の接合時においては、パワーモジュール用基板とヒートシンクとの熱膨張差により、回路層を上側として凸状の反りが発生する。この点、本発明のヒートシンク付パワーモジュール用基板の製造方法においては、ヒートシンクとパワーモジュール用基板との接合時において、ヒートシンクとパワーモジュール用基板との積層体を、曲面状の凸面又は凹面を有する一対の加圧板で挟持することとしているので、その挟持した部分では積層方向の回路層側を上側とする凹状の反りを生じさせることができる。
そして、これらヒートシンクとパワーモジュール用基板との積層体をろう材が溶融する温度以上で所定時間保持した後に冷却することで、ヒートシンクとパワーモジュール用基板とを、接合面において凹状に沿った形状でろう材を固めることができ、積層方向の加圧状態を解放した後も、回路層を上側として凹状に反る、あるいは凸状でも反り量が小さい接合体が得られる。
また、冷却時において、金属層とヒートシンクとの接合面から延出して設けられるヒートシンクの周縁部について何らの拘束も行わない場合には、図6に示す従来のヒートシンク付パワーモジュール用基板1Aのように、ヒートシンク20の周縁部21が下側に曲がる変形が生じる。これは、ヒートシンク20の上側にパワーモジュール用基板10が接合されることにより、ヒートシンク20の上面20a側と下面20b側とで熱伸縮差が生じ、ヒートシンク20の下面20b側がより変形しやすくなるためである。
この点、本発明においては、ヒートシンクの周縁部の下面を受け部により支えて補助することで、冷却に伴う熱収縮による変形が生じることを防止することができ、周縁部の平面状態を良好に維持することができる。
なお、ヒートシンクとパワーモジュール用基板との接合時においては、周縁部が外部の負荷によって変形させられることがないように、受け部は、加熱時にヒートシンクの板状部材の周縁部と接触しない寸法設定とすることが好ましい。
したがって、パワーモジュール用基板とヒートシンクとの接合時に生じる反りを低減でき、素子はんだ付け工程における作業性を向上することができるとともに、ヒートシンクの周縁部を平面状態に維持できることから、ヒートシンク付パワーモジュール用基板と各種機器の構造部材とを密着させて取り付けることができ、良好に保持することができる。
本発明のヒートシンク付パワーモジュール用基板の製造方法において、前記上側加圧板の周縁部には、前記受け部の平坦面と対向する平坦面を有する押さえ部が設けられており、前記押さえ部の平坦面は、前記ろう付け工程の冷却時において変形する前記板状部材の周縁部の上面を受ける構成とされているとよい。
押さえ部が設けられていることにより、冷却時にヒートシンクの周縁部の端部が上側に向かう反りが発生したとしても、押さえ部と接触することによってヒートシンクの周縁部の変形を抑制することができる。また、複数のヒートシンク付パワーモジュール用基板におけるヒートシンクの周縁部の変形量のばらつきを抑えることができる。
本発明によれば、パワーモジュール用基板とフィン一体型ヒートシンクとの接合時に生じる反りを低減して、パワーモジュール製造時の作業性を向上させることができるとともに、フィン一体型ヒートシンクと各種機器の構造部材とを密着させて良好な放熱性能を確保することができる。
ヒートシンク付パワーモジュール用基板を用いたパワーモジュールを示す断面図である。 本発明に係るヒートシンク付パワーモジュール用基板の製造方法を説明する断面図であり、(a)がパワーモジュール用基板とヒートシンクとの接合前、(b)が接合後の状態を示す。 本発明に係る第1実施形態のヒートシンク付パワーモジュール用基板の製造方法に用いる治具を説明する側面図である。 本発明に係る第2実施形態のヒートシンク付パワーモジュール用基板の製造方法に用いる治具を説明する側面図である。 パワーモジュールの水冷ボックスへの取り付け例を示す分解斜視図である。 従来の方法により製造されるヒートシンク付パワーモジュール用基板の断面図である。
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。
本発明に係るヒートシンク付パワーモジュール用基板の製造方法により製造されるヒートシンク付パワーモジュール用基板1は、図1に示すように、パワーモジュール用基板10に、複数のフィンが立設されたフィン一体型のヒートシンク20が接合されたものであり、本実施形態のヒートシンク付パワーモジュール用基板の製造方法においては、まず図2(a)に示すようにパワーモジュール用基板10を製造し、このパワーモジュール用基板10とヒートシンク20とをろう付けすることにより、図2(b)に示すようなヒートシンク付パワーモジュール用基板1を製造する。
そして、このように製造されるヒートシンク付パワーモジュール用基板1の表面に半導体チップ等の電子部品30が搭載されることにより、パワーモジュール100が製造される。
なお、フィン一体型のヒートシンク20を備えるパワーモジュール100は、例えば図5に示すような冷却ボックス40に取り付けられた状態で使用される。この冷却ボックス40は、ヒートシンク20のピン状フィン22を内部に挿入状態として取り付けるための開口部41が形成されるとともに、その開口部41の周囲を囲むようにパッキン収容溝42が形成されている。そして、パッキン収容溝42の外側にねじ穴43が形成されており、ヒートシンク20をピン状フィン22が下方を向くように配置することにより開口部41内に挿入し、板状部材21の周縁部を開口部41の周囲にパッキン50を介して密接させ、ねじ止めにより固定する構成とされる。
図示例では、2個のヒートシンク付パワーモジュール用基板1が取り付けられるようになっており、白抜き矢印で示すように、冷却ボックス40の内部に冷却媒体が流通して、挿入状態のピン状フィン22を冷却するようになっている。
ヒートシンク付パワーモジュール用基板10を構成するパワーモジュール用基板10は、セラミックス基板11と、セラミックス基板11の一方の面に積層された回路層12と、セラミックス基板11の他方の面に積層された金属層13とを備える。そして、パワーモジュール用基板10の回路層12の表面に電子部品30がはんだ付けされ、金属層13の表面にヒートシンク20が取り付けられるものである。
セラミックス基板11は、例えばAlN(窒化アルミニウム)、Si(窒化珪素)等の窒化物系セラミックス、もしくはAl(アルミナ)等の酸化物系セラミックスにより形成され、本実施形態ではAlNを用いた。また、セラミックス基板11の厚さは0.2〜1.5mmの範囲内に設定されており、本実施形態では0.635mmに設定されている。
回路層12は、純度99質量%以上のアルミニウムが用いられ、JIS規格では1000番台のアルミニウム、特に1N90(純度99.9質量%以上:いわゆる3Nアルミニウム)又は1N99(純度99.99質量%以上:いわゆる4Nアルミニウム)を用いることができる。また、回路層12には、アルミニウム以外にもアルミニウム合金や、銅又は銅合金を用いることもできる。
金属層13は、純度99質量%以上のアルミニウム又はアルミニウム合金が用いられ、JIS規格では1000番台のアルミニウム、特に1N99(純度99.99質量%以上:いわゆる4Nアルミニウム)を用いることができる。
本実施形態においては、回路層12及び金属層13は、純度が99.99%以上のアルミニウム(いわゆる4Nアルミニウム)の圧延板からなるアルミニウム板とされ、その厚さは0.2mm〜3.0mmに設定されており、回路層12が0.6mm、金属層13が2.1mmの厚さとされている。
そして、これら回路層12及び金属層13とセラミックス基板11とは、例えばろう付けにより接合される。ろう材としては、Al‐Si系、Al‐Ge系、Al‐Cu系、Al‐Mg系又はAl‐Mn系等の合金が使用される。
なお、パワーモジュール100を構成する電子部品30は、回路層12の表面に形成されたNiめっき(不図示)上に、Sn‐Ag‐Cu系、Zn‐Al系、Sn‐Ag系、Sn‐Cu系、Sn‐Sb系もしくはPb‐Sn系等のはんだ材を用いて接合される。図1中の符号31が、そのはんだ接合層を示す。また、電子部品30と回路層12の端子部との間は、アルミニウムからなるボンディングワイヤ(不図示)により接続される。
また、パワーモジュール用基板10に接合されるヒートシンク20は、アルミニウム、銅、アルミニウム合金、銅合金、又はAlSiC系複合材料等により形成され、図1及び図2に示すように、板状部材21の一面側に、パワーモジュール用基板10が接合される平面状の上面20aが形成されるとともに、その上面20aと反対側の下面20bに、複数のピン状フィン22が立設されたフィン一体型のヒートシンクである。また、ピン状フィン22は、下面20bの周縁部を除く中央部に立設されており、各ピン状フィン22の先端位置は水平面上に揃えられ、下面20bの表面からほぼ等しい立設高さとなるように形成されている。また、板状部材21の周縁部には、例えば図5に示すように、冷却ボックス40等の各種機器への取り付けの際にねじ止めを行うための貫通孔23が形成されている。
なお、ヒートシンク20に立設されるフィンの形状は特に限定されるものではなく、本実施形態のようなピン状フィン22の他、帯板状のフィン等を形成することもできる。
次に、本発明の第1実施形態に係るヒートシンク付パワーモジュール用基板1の製造方法を説明する。
まず、回路層12及び金属層13として、それぞれ99.99質量%以上の純アルミニウム圧延板を準備し、これらの純アルミニウム圧延板を、セラミックス基板11の一方の面及び他方の面にそれぞれろう材を介して積層し、加圧・加熱することによって、セラミックス基板11の一方の面及び他方の面に純アルミニウム圧延板が接合されたパワーモジュール用基板10を製造する。なお、このろう付け温度は、600℃〜655℃に設定される。
このように構成されたパワーモジュール用基板10にヒートシンク20を接合するには、まず、図3に示すように、一対の加圧板110A,110Bとその四隅に設けられた支柱111によって構成された治具112を用いて、加圧板110A,110B間にヒートシンク20及びパワーモジュール用基板10を積層し、これらのろう付けを行う(ろう付け工程)。
治具112の一対の加圧板110A,110Bは、ステンレス鋼材の表面にカーボン板が積層されたものであり、パワーモジュール用基板10の回路層12表面を押圧する曲面状の凸面110aを有する上側加圧板110Aと、ヒートシンク20のピン状フィン22の先端を押圧する曲面状の凹面110bを有する下側加圧板110Bとからなり、これら加圧板110A,110Bの対向する凸面110a及び凹面110bが、ヒートシンク20のパワーモジュール用基板10との接合面を凹状とするような曲率半径Rが500mm以上6000mm以下とされる曲面を有する凹面又は凸面に形成されている。また、下側加圧板110Bの周縁部には、ヒートシンク20のピン状フィン22の周囲を囲むようにして、冷却時にヒートシンク20(板状部材21)の周縁部の下面を受ける平坦面を有する受け部101が設けられている。
そして、支柱111の両端には螺子が切られており、加圧板110A,110Bを挟むようにナット113が締結されている。また、支柱111に支持された天板114と上側加圧板110Aと間に、その上側加圧板110Aを下方に付勢するばね等の付勢手段115が備えられており、加圧力は、この付勢手段115とナット113の締付けによって調整される。
本実施形態のヒートシンク付パワーモジュール用基板1のろう付け工程においては、まず、下側に配置される凹面110bを有する下側加圧板110Bの上にヒートシンク20を載置し、その上にAl‐Si系ろう材箔(図示略)を介してパワーモジュール用基板10を重ねて載置して、これらヒートシンク20とパワーモジュール用基板10との積層体を、凸面110aを有する上側加圧板110Aとの間で挟んだ状態とする。この際、ヒートシンク20とパワーモジュール用基板10との積層体は、一対の加圧板110A,110Bの凸面110a及び凹面110bにより厚み方向に加圧され、その加圧(挟持)された部分では、ヒートシンク20の接合面を凹状の反りとする変形を生じさせた状態で拘束される。そして、ヒートシンク20とパワーモジュール用基板10との積層体を、一対の加圧板110A,110Bによる加圧状態で加熱することにより、ヒートシンク20とパワーモジュール用基板10の金属層13とをろう付けにより固着する。
なお、Al-Si系ろう材箔としては、Al‐5質量%Si〜Al‐20質量%Siろう材箔を用いることができる。また、ろう付けは、真空雰囲気中で、荷重0.1MPa〜10MPa、加熱温度580℃〜650℃の条件で行う。
次に、これらヒートシンク20とパワーモジュール用基板10との接合体を、治具112に取り付けた状態、つまり、変形を生じさせた状態で、常温(25℃)まで冷却する。
この場合、ヒートシンク20とパワーモジュール用基板10との接合体は、治具112の一対の加圧板110A,110Bによって厚み方向に挟持(加圧)された状態とされ、ヒートシンク20の接合面を凹状の反りとする変形を生じさせた状態で拘束されている。このため、その挟持された部分では、冷却に伴うヒートシンク20とパワーモジュール用基板10との接合体の形状は見かけ上は変化がないように見える。ところが、通常の接合時においてはパワーモジュール用基板10とヒートシンク20との熱膨張差により、回路層12を上側として凸状の反りが発生する。しかし、挟持された部分は変形が出来ない状態に拘束されていることから、凸状の反りを生じさせる応力に抗して塑性変形が生じることとなる。
そして、これらヒートシンク20とパワーモジュール用基板10との積層体をろう材が溶融する温度以上で所定時間保持した後に冷却することで、一対の加圧板110A,110Bにより挟持されたヒートシンク20とパワーモジュール用基板10との接合面においては、凹状に沿った形状でろう材を固めることができ、積層方向の加圧状態を解放した後も、図2(b)に示すように、回路層12を上側として凹状に反る、あるいは凸状でも反り量が小さくなり、製造時に生じる反りが低減される。
一方、ヒートシンク20の周縁部は、冷却時において下側加圧板110Bの周縁部に設けられた受け部101により支えられ補助されるようになっていることから、冷却に伴う熱伸縮により変形が生じることを防止することができる。このため、ヒートシンク20(板状部材21)の周縁部の平面状態を良好に維持することができる。
なお、ろう付け接合の加熱時において、板状部材21の周縁部が外部からの負荷により変形させられることがないように、受け部101は、加熱時おいてはヒートシンク20の板状部材21の周縁部と接触しない寸法設定とすることが好ましい。
したがって、このようにして製造されたヒートシンク付パワーモジュール用基板1においては、パワーモジュール用基板10とヒートシンク20との接合時に生じる反りを低減でき、素子はんだ付け工程における作業性を向上させることができる。また、ヒートシンク20(板状部材21)の周縁部を平面状態に維持できることから、ヒートシンク付パワーモジュール用基板1と各種機器の構造部材とを密着させて取り付けることができ、良好に保持することができる。
また、上記第1実施形態においては、ヒートシンク20とパワーモジュール用基板10との積層体を、曲面状の凸面又は凹面を有する一対の加圧板110A,110Bで挟持することにより、その挟持した部分では積層方向の回路層12側を上側とする凹状の反りを生じさせることとする一方で、金属層13とヒートシンク20との接合面から延出して設けられる板状部材21の周縁部においては、一対の加圧板110A,110Bによる押圧力が付加されないようにして平面状態を維持することとしていた。
一方、図4に示す第2実施形態の製造方法のように、下側加圧板120Bの周縁部に受け部101を設けるとともに、上側加圧板120Aの周縁部にその受け部101と対向する平坦面を有する押さえ部102を設けて、これら受け部101と押さえ部102とによってヒートシンク20の周縁部の変形を抑えることも可能である。
この場合、ろう付け時の加熱温度からの冷却の際に、ヒートシンク20の周縁部の下面が受け部101により支えられ補助されるようになっていることから、熱伸縮によりヒートシンク20の周縁部が下側に向かって変形することを防止することができる。ところが、冷却時において熱伸縮による応力が加わり続けると、ヒートシンク20の周縁部の下面を受け部101により受けていることにより、その周縁部の端部が上側に向かって反る変形を生じる場合がある。この場合において、本実施形態では、押さえ部102が設けられていることにより、冷却の際にヒートシンク20の周縁部の端部が上側に向かう反りが発生したとしても、周縁部の上面が押さえ部102と接触することによって変形を抑制することができる。そして、受け部101と押さえ部102との間で、ヒートシンク20の周縁部の変形を抑制することとしているので、複数のヒートシンク付パワーモジュール用基板1におけるヒートシンク20の周縁部の変形量のばらつきを抑えることもできる。
なお、パワーモジュール用基板10とヒートシンク20とのろう付けの加熱時において、これらの積層体への加圧力が十分に伝達されないおそれがあるため、押さえ部102は、ろう付けの加熱時においてはヒートシンク20の板状部材21の周縁部と接触しない寸法設定とすること、すなわち、冷却時においてのみ周縁部の下面と押さえ部102とが接触するように寸法設定することが好ましい。
このため、ろう付け工程において、ヒートシンク20とパワーモジュール用基板10との積層体が、一対の加圧板120A,120Bによって厚み方向に挟持(加圧)され、加熱された状態では、受け部101の平坦面と押さえ部102の平坦面との間隔は、ヒートシンク20の板状部材21の厚みよりも僅かに大きく設定することが好ましい。例えば、板状部材21の厚みが5mmとされる場合には、加熱時における板状部材21の周縁部との隙間を確保するために、受け部101の平坦面と押さえ部102の平坦面との間隔は5.1mm程度に設定することが望ましい。
なお、その他構成は、第1実施形態のものと同様であり、同一符号を付して説明は省略する。
なお、本発明は、上記実施形態の構成のものに限定されるものではなく、細部構成においては、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
例えば、銅製の回路層とセラミックス基板とのろう付けには、活性金属ろう材を用いて接合する方法を採用することもできる。例えば、活性金属であるTiを含む活性金属ろう材(例えば、Ag‐27.4質量%Cu‐2.0質量%Ti)を用い、銅製の回路層とセラミックス基板との積層体を加圧した状態のまま真空中で加熱しAg‐Cu合金を介して回路層とセラミックス基板とを接合できる。
また、上記実施形態では、ヒートシンクとパワーモジュール用基板とを、Al‐Si系ろう材を用いて接合したが、Al‐Si‐Mg系ろう材を用いて接合することもできる。この場合、真空雰囲気で接合を行う必要がなく、窒素等の不活性雰囲気下でろう付けを行うことができ、簡便にヒートシンクとパワーモジュール用基板とを接合することができる。
さらに、ヒートシンクとパワーモジュール用基板との接合は、Al‐Si系ろう材とフラックスを用いて、窒素等の不活性雰囲気下でろう付けを行うこともできる。
また、ヒートシンクの材質が銅又は銅合金である場合、固相拡散接合によって接合することもできる。固相拡散接合は、真空雰囲気中で、荷重0.3MPa〜10MPa、加熱温度400℃以上548℃未満の加熱温度で5分〜240分保持することにより行うことができる。
さらに、セラミックス基板と回路層、及びセラミックス基板と金属層との接合、金属層とアルミニウム又はアルミニウム合金からなるヒートシンクとの接合を、TLP接合法(Transient Liquid Phase Diffusion Bonding)と称される過渡液相接合法によって接合してもよい。
この過渡液相接合法においては、回路層又は金属層の表面に蒸着させた銅層を、回路層又は金属層とセラミックス基板との界面、あるいは金属層とヒートシンクとの界面に介在させて行う。加熱により、回路層又は金属層とアルミニウム中に銅が拡散し、回路層又は金属層の銅層近傍の銅濃度が上昇して融点が低下し、アルミニウムと銅との共晶域にて接合界面に金属液相が形成される。この金属液相が形成された状態で温度を一定に保持しておくと、金属液相がセラミックス基板又はヒートシンクと反応するとともに、銅がさらにアルミニウム中に拡散することに伴い、金属液相中の銅濃度が徐々に低下して融点が上昇し、温度を一定に保持した状態で凝固が進行する。これにより、回路層又は金属層とセラミックス基板、あるいは金属層とヒートシンクとの強固な接合が得られる。
1 ヒートシンク付パワーモジュール用基板
10 パワーモジュール用基板
11 セラミックス基板
12 回路層
13 金属層
20 ヒートシンク
21 板状部材
22 ピン状フィン(フィン)
23 貫通孔
30 電子部品
31 はんだ接合層
40 冷却ボックス
41 開口部
42 パッキン収容溝
43 ねじ穴
50 パッキン
100 パワーモジュール
101 受け部
102 押さえ部
110A,110B,120A,120B 加圧板
110a 凸面
110b 凹面
111 支柱
112 治具
113 ナット
114 天板
115 付勢手段

Claims (2)

  1. セラミックス基板の一方の面に回路層が配設され、前記セラミックス基板の他方の面に金属層が配設されてなるパワーモジュール用基板を、板状部材の周縁部を除く中央部の表面に複数のフィンが立設されたフィン一体型のヒートシンクに接合するヒートシンク付パワーモジュール用基板の製造方法であって、前記パワーモジュール用基板の前記金属層に前記ヒートシンクを重ねて配置した積層体を一対の加圧板の間に挟んで積層方向に加圧しながら加熱することにより、前記パワーモジュール用基板と前記ヒートシンクとをろう付けするろう付け工程を有し、前記ろう付け工程において、前記一対の加圧板は、前記回路層表面を押圧する曲面状の凸面を有する上側加圧板と、前記ヒートシンクの前記フィンの先端を押圧する曲面状の凹面を有する下側加圧板とからなり、該下側加圧板の周縁部には、冷却時に前記板状部材の周縁部の下面を受ける平坦面を有する受け部が設けられていることを特徴とするヒートシンク付パワーモジュール用基板の製造方法。
  2. 前記上側加圧板の周縁部には、前記受け部の平坦面と対向する平坦面を有する押さえ部が設けられており、前記押さえ部の平坦面は、前記ろう付け工程の冷却時において変形する前記板状部材の周縁部の上面を受ける構成とされていることを特徴とする請求項1記載のヒートシンク付パワーモジュール用基板の製造方法。
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