JP2015153925A - ヒートシンク付パワーモジュール用基板の製造方法 - Google Patents
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Abstract
Description
まず、セラミックス基板表面に、セラミックス基板とアルミニウム板との接合に適するろう材を介して、セラミックス基板の一方の面及び他方の面にアルミニウム板を積層し、所定の圧力で加圧しながら、ろう材が溶融する温度以上まで加熱し冷却することにより、セラミックス基板と両面のアルミニウム板とを接合してパワーモジュール用基板を製造する。
また、このように構成されるヒートシンク付パワーモジュール用基板の一方の面側に接合されたアルミニウム板は、回路層として形成され、この回路層上にはんだ材を介してパワー素子等の電子部品が搭載される。
そして、これらヒートシンクとパワーモジュール用基板との積層体をろう材が溶融する温度以上で所定時間保持した後に冷却することで、ヒートシンクとパワーモジュール用基板とを、接合面において凹状に沿った形状でろう材を固めることができ、積層方向の加圧状態を解放した後も、回路層を上側として凹状に反る、あるいは凸状でも反り量が小さい接合体が得られる。
また、冷却時において、金属層とヒートシンクとの接合面から延出して設けられるヒートシンクの周縁部について何らの拘束も行わない場合には、図6に示す従来のヒートシンク付パワーモジュール用基板1Aのように、ヒートシンク20の周縁部21が下側に曲がる変形が生じる。これは、ヒートシンク20の上側にパワーモジュール用基板10が接合されることにより、ヒートシンク20の上面20a側と下面20b側とで熱伸縮差が生じ、ヒートシンク20の下面20b側がより変形しやすくなるためである。
この点、本発明においては、ヒートシンクの周縁部の下面を受け部により支えて補助することで、冷却に伴う熱収縮による変形が生じることを防止することができ、周縁部の平面状態を良好に維持することができる。
なお、ヒートシンクとパワーモジュール用基板との接合時においては、周縁部が外部の負荷によって変形させられることがないように、受け部は、加熱時にヒートシンクの板状部材の周縁部と接触しない寸法設定とすることが好ましい。
したがって、パワーモジュール用基板とヒートシンクとの接合時に生じる反りを低減でき、素子はんだ付け工程における作業性を向上することができるとともに、ヒートシンクの周縁部を平面状態に維持できることから、ヒートシンク付パワーモジュール用基板と各種機器の構造部材とを密着させて取り付けることができ、良好に保持することができる。
押さえ部が設けられていることにより、冷却時にヒートシンクの周縁部の端部が上側に向かう反りが発生したとしても、押さえ部と接触することによってヒートシンクの周縁部の変形を抑制することができる。また、複数のヒートシンク付パワーモジュール用基板におけるヒートシンクの周縁部の変形量のばらつきを抑えることができる。
本発明に係るヒートシンク付パワーモジュール用基板の製造方法により製造されるヒートシンク付パワーモジュール用基板1は、図1に示すように、パワーモジュール用基板10に、複数のフィンが立設されたフィン一体型のヒートシンク20が接合されたものであり、本実施形態のヒートシンク付パワーモジュール用基板の製造方法においては、まず図2(a)に示すようにパワーモジュール用基板10を製造し、このパワーモジュール用基板10とヒートシンク20とをろう付けすることにより、図2(b)に示すようなヒートシンク付パワーモジュール用基板1を製造する。
なお、フィン一体型のヒートシンク20を備えるパワーモジュール100は、例えば図5に示すような冷却ボックス40に取り付けられた状態で使用される。この冷却ボックス40は、ヒートシンク20のピン状フィン22を内部に挿入状態として取り付けるための開口部41が形成されるとともに、その開口部41の周囲を囲むようにパッキン収容溝42が形成されている。そして、パッキン収容溝42の外側にねじ穴43が形成されており、ヒートシンク20をピン状フィン22が下方を向くように配置することにより開口部41内に挿入し、板状部材21の周縁部を開口部41の周囲にパッキン50を介して密接させ、ねじ止めにより固定する構成とされる。
図示例では、2個のヒートシンク付パワーモジュール用基板1が取り付けられるようになっており、白抜き矢印で示すように、冷却ボックス40の内部に冷却媒体が流通して、挿入状態のピン状フィン22を冷却するようになっている。
金属層13は、純度99質量%以上のアルミニウム又はアルミニウム合金が用いられ、JIS規格では1000番台のアルミニウム、特に1N99(純度99.99質量%以上:いわゆる4Nアルミニウム)を用いることができる。
本実施形態においては、回路層12及び金属層13は、純度が99.99%以上のアルミニウム(いわゆる4Nアルミニウム)の圧延板からなるアルミニウム板とされ、その厚さは0.2mm〜3.0mmに設定されており、回路層12が0.6mm、金属層13が2.1mmの厚さとされている。
なお、ヒートシンク20に立設されるフィンの形状は特に限定されるものではなく、本実施形態のようなピン状フィン22の他、帯板状のフィン等を形成することもできる。
まず、回路層12及び金属層13として、それぞれ99.99質量%以上の純アルミニウム圧延板を準備し、これらの純アルミニウム圧延板を、セラミックス基板11の一方の面及び他方の面にそれぞれろう材を介して積層し、加圧・加熱することによって、セラミックス基板11の一方の面及び他方の面に純アルミニウム圧延板が接合されたパワーモジュール用基板10を製造する。なお、このろう付け温度は、600℃〜655℃に設定される。
なお、Al-Si系ろう材箔としては、Al‐5質量%Si〜Al‐20質量%Siろう材箔を用いることができる。また、ろう付けは、真空雰囲気中で、荷重0.1MPa〜10MPa、加熱温度580℃〜650℃の条件で行う。
この場合、ヒートシンク20とパワーモジュール用基板10との接合体は、治具112の一対の加圧板110A,110Bによって厚み方向に挟持(加圧)された状態とされ、ヒートシンク20の接合面を凹状の反りとする変形を生じさせた状態で拘束されている。このため、その挟持された部分では、冷却に伴うヒートシンク20とパワーモジュール用基板10との接合体の形状は見かけ上は変化がないように見える。ところが、通常の接合時においてはパワーモジュール用基板10とヒートシンク20との熱膨張差により、回路層12を上側として凸状の反りが発生する。しかし、挟持された部分は変形が出来ない状態に拘束されていることから、凸状の反りを生じさせる応力に抗して塑性変形が生じることとなる。
なお、ろう付け接合の加熱時において、板状部材21の周縁部が外部からの負荷により変形させられることがないように、受け部101は、加熱時おいてはヒートシンク20の板状部材21の周縁部と接触しない寸法設定とすることが好ましい。
一方、図4に示す第2実施形態の製造方法のように、下側加圧板120Bの周縁部に受け部101を設けるとともに、上側加圧板120Aの周縁部にその受け部101と対向する平坦面を有する押さえ部102を設けて、これら受け部101と押さえ部102とによってヒートシンク20の周縁部の変形を抑えることも可能である。
このため、ろう付け工程において、ヒートシンク20とパワーモジュール用基板10との積層体が、一対の加圧板120A,120Bによって厚み方向に挟持(加圧)され、加熱された状態では、受け部101の平坦面と押さえ部102の平坦面との間隔は、ヒートシンク20の板状部材21の厚みよりも僅かに大きく設定することが好ましい。例えば、板状部材21の厚みが5mmとされる場合には、加熱時における板状部材21の周縁部との隙間を確保するために、受け部101の平坦面と押さえ部102の平坦面との間隔は5.1mm程度に設定することが望ましい。
なお、その他構成は、第1実施形態のものと同様であり、同一符号を付して説明は省略する。
例えば、銅製の回路層とセラミックス基板とのろう付けには、活性金属ろう材を用いて接合する方法を採用することもできる。例えば、活性金属であるTiを含む活性金属ろう材(例えば、Ag‐27.4質量%Cu‐2.0質量%Ti)を用い、銅製の回路層とセラミックス基板との積層体を加圧した状態のまま真空中で加熱しAg‐Cu合金を介して回路層とセラミックス基板とを接合できる。
さらに、ヒートシンクとパワーモジュール用基板との接合は、Al‐Si系ろう材とフラックスを用いて、窒素等の不活性雰囲気下でろう付けを行うこともできる。
また、ヒートシンクの材質が銅又は銅合金である場合、固相拡散接合によって接合することもできる。固相拡散接合は、真空雰囲気中で、荷重0.3MPa〜10MPa、加熱温度400℃以上548℃未満の加熱温度で5分〜240分保持することにより行うことができる。
この過渡液相接合法においては、回路層又は金属層の表面に蒸着させた銅層を、回路層又は金属層とセラミックス基板との界面、あるいは金属層とヒートシンクとの界面に介在させて行う。加熱により、回路層又は金属層とアルミニウム中に銅が拡散し、回路層又は金属層の銅層近傍の銅濃度が上昇して融点が低下し、アルミニウムと銅との共晶域にて接合界面に金属液相が形成される。この金属液相が形成された状態で温度を一定に保持しておくと、金属液相がセラミックス基板又はヒートシンクと反応するとともに、銅がさらにアルミニウム中に拡散することに伴い、金属液相中の銅濃度が徐々に低下して融点が上昇し、温度を一定に保持した状態で凝固が進行する。これにより、回路層又は金属層とセラミックス基板、あるいは金属層とヒートシンクとの強固な接合が得られる。
10 パワーモジュール用基板
11 セラミックス基板
12 回路層
13 金属層
20 ヒートシンク
21 板状部材
22 ピン状フィン(フィン)
23 貫通孔
30 電子部品
31 はんだ接合層
40 冷却ボックス
41 開口部
42 パッキン収容溝
43 ねじ穴
50 パッキン
100 パワーモジュール
101 受け部
102 押さえ部
110A,110B,120A,120B 加圧板
110a 凸面
110b 凹面
111 支柱
112 治具
113 ナット
114 天板
115 付勢手段
Claims (2)
- セラミックス基板の一方の面に回路層が配設され、前記セラミックス基板の他方の面に金属層が配設されてなるパワーモジュール用基板を、板状部材の周縁部を除く中央部の表面に複数のフィンが立設されたフィン一体型のヒートシンクに接合するヒートシンク付パワーモジュール用基板の製造方法であって、前記パワーモジュール用基板の前記金属層に前記ヒートシンクを重ねて配置した積層体を一対の加圧板の間に挟んで積層方向に加圧しながら加熱することにより、前記パワーモジュール用基板と前記ヒートシンクとをろう付けするろう付け工程を有し、前記ろう付け工程において、前記一対の加圧板は、前記回路層表面を押圧する曲面状の凸面を有する上側加圧板と、前記ヒートシンクの前記フィンの先端を押圧する曲面状の凹面を有する下側加圧板とからなり、該下側加圧板の周縁部には、冷却時に前記板状部材の周縁部の下面を受ける平坦面を有する受け部が設けられていることを特徴とするヒートシンク付パワーモジュール用基板の製造方法。
- 前記上側加圧板の周縁部には、前記受け部の平坦面と対向する平坦面を有する押さえ部が設けられており、前記押さえ部の平坦面は、前記ろう付け工程の冷却時において変形する前記板状部材の周縁部の上面を受ける構成とされていることを特徴とする請求項1記載のヒートシンク付パワーモジュール用基板の製造方法。
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